雇 用 の 場 におけるジェンダー 平 等 を 目 指 す 動 きと 課 題 The Political Movement for Gender Equality at Places of Employment and Its Problems 彼 谷 環 KAYA Tamaki 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 が 成 立 してからまもなく 30 年 を 迎 えるが 日 本 における 女 性 管 理 職 の 比 率 は 低 く 労 働 領 域 においても 男 女 の 格 差 は 依 然 大 きい i 女 性 労 働 者 の 地 位 向 上 をめざし 導 入 されてきたはずの 労 働 法 制 とそれに 基 づく 労 働 政 策 が ジェンダー 平 等 の 目 的 に 逆 行 する 状 況 を 生 み 出 す 諸 要 因 について 整 理 する あわせて 現 在 の 労 働 政 策 の 検 証 と 改 善 がなければ 政 府 主 導 のポジティブ アクションやワーク ライフ バランスが 空 疎 化 することを 指 摘 する キーワード: 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 ポジティブ アクション(PA) コース 別 雇 用 管 理 はじめに 国 連 では 国 際 女 性 の 日 にちなみ 潘 基 文 国 連 事 務 総 長 が ジェンダーの 平 等 が 進 んでい る 国 々の 経 済 成 長 率 は 相 対 的 に 高 くなっています 女 性 の 幹 部 が 多 い 企 業 は より 高 い 業 績 を 上 げています 和 平 合 意 も 女 性 が 参 加 して 成 立 した 場 合 のほうが 長 続 きします 女 性 議 員 が 多 い 議 会 のほうが 健 康 教 育 差 別 禁 止 育 児 支 援 など 重 要 な 社 会 問 題 に 関 する 法 律 を 多 く 成 立 させています というメッセージを 出 した ii また 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD)は 2014 年 3 月 加 盟 34カ 国 を 対 象 として 成 人 男 女 が 無 償 労 働 に 費 やす 時 間 についての 統 計 を 発 表 したが 最 も 家 事 に 協 力 的 なのはノルウェー 人 であり 最 も 非 協 力 的 なのは 日 本 人 という 結 果 となった iii これによると 日 本 では 家 事 労 働 に 費 やす 時 間 は 男 性 62 分 に 対 し 女 性 は300 分 近 くであり 約 5 倍 の 差 があるという 一 方 ノルウェーでは 男 性 180 分 女 性 210 分 である 日 本 において 働 く 女 性 が 多 くなり 雇 用 の 場 においてもジェンダー 平 等 が 目 指 されている 一 方 で それを 支 え る 家 事 分 担 については 依 然 女 性 に 負 うところが 大 きいことがわかる ところで 日 本 と 同 様 労 働 人 口 グラフで M 字 カーブ を 描 いてきた 韓 国 では ここ10 年 の 間 に 政 治 領 域 で 大 きな 変 化 がみられる M 字 カーブ とは 結 婚 出 産 子 育 て 期 に 仕 事 を 中 断 するため 30 代 女 性 の 就 労 人 口 が 減 尐 するという 日 本 と 韓 国 に 特 有 の 現 象 である しかし 韓 国 では 2001 年 金 大 中 政 権 時 に 女 性 部 ( 省 )が 設 置 され 各 部 署 の 女 性 関 連 業 務 を 調 整 したり 43
女 性 のマンパワーの 開 発 家 族 保 育 関 連 の 政 策 を 担 当 するようになった iv また 2004 年 3 月 政 党 法 を 改 正 しクォータ 制 を 導 入 したことで 女 性 議 員 比 率 が 上 昇 した( 導 入 当 初 はそれまでの 女 性 議 員 比 率 5.9%から13%へ 上 昇 2014 年 1 月 1 日 現 在 15.7% これに 対 し 日 本 は8%) v さらに 2013 年 2 月 初 の 女 性 大 統 領 も 誕 生 した 議 会 政 府 における 男 女 比 の 変 化 が 女 性 労 働 者 の 地 位 向 上 に 対 し 直 接 間 接 にどのような 効 果 があるか 本 稿 で 検 証 する 余 裕 はないが 韓 国 の 事 例 は ジェンダー 平 等 を 目 指 すモデルケースの 一 つとして 捉 えることができるだろう 現 在 日 本 では すべての 領 域 において 女 性 の 活 躍 と 地 位 向 上 が 意 識 され ポジティブ アク ション ( 以 下 PAとする )という 言 葉 も 浸 透 しつつある しかし 企 業 の 女 性 管 理 職 比 率 は 約 8%であり 多 くが3 割 を 超 える 欧 米 諸 国 に 大 きく 後 れを 取 っている 第 二 次 安 倍 内 閣 では 女 性 の 活 躍 が 成 長 戦 略 の 中 心 だと 位 置 づけ 内 閣 府 も 2014 年 1 月 31 日 から 女 性 の 活 躍 見 え る 化 サイト を 開 設 した vi 同 サイトへの 掲 載 企 業 は 上 場 企 業 3,552 社 のうち 情 報 開 示 に 同 意 した1,150 社 と 未 上 場 企 業 6 社 である(2014 年 2 月 14 日 現 在 ) vii しかし 実 際 のところ 回 答 欄 には 空 白 が 目 立 ち 全 項 目 に 対 して 数 字 を 明 記 する 企 業 とそうでない 企 業 との 差 が 著 しい と くに 女 性 登 用 に 関 する 目 標 の 有 無 内 容 という 項 目 を 無 回 答 とする 企 業 が 多 い 指 導 的 地 位 にある 女 性 を 2020 年 =30% にするという 国 家 目 標 に 対 して こうした 情 報 公 開 は 企 業 のイメージアップにとどまらず 企 業 自 身 の 意 識 改 革 にもつながることが 期 待 される だが なぜ 労 働 領 域 において 女 性 が 意 思 決 定 過 程 に 関 わる 機 会 が 尐 ないのか ひいては なぜ 貧 困 の 女 性 化 が 生 まれたのか その 社 会 的 背 景 とこれまでの 労 働 政 策 を 確 認 しておく 必 要 がある だろう 本 稿 は 日 本 国 憲 法 が 保 障 する 勤 労 権 について 確 認 したうえで 労 働 領 域 において 女 性 の 権 利 が 確 立 してきた 流 れを 追 いながら 女 性 の 活 躍 を 目 指 すための 法 制 度 と 労 働 政 策 がジェンダー 平 等 と 乖 離 している 事 実 について 若 干 の 考 察 をおこなうものである 1. 日 本 国 憲 法 が 保 障 する 勤 労 権 と 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 18 世 紀 近 代 市 民 革 命 の 担 い 手 であった 個 人 ( 資 本 家 )の 最 大 の 関 心 事 は 自 由 な 経 済 活 動 のために 旧 来 の 封 建 的 身 分 制 を 打 破 することにあった 経 済 的 自 由 こそ 神 聖 な 権 利 であると 考 えられたことから 雇 う 側 と 雇 われる 側 との 間 で 交 わされる 労 働 契 約 の 成 立 展 開 終 了 も 自 由 な 合 意 に 委 ねられることになった( 契 約 自 由 の 原 則 ) もっとも 現 実 には 使 用 者 と 労 働 者 の 関 係 で 対 等 な 交 渉 が 実 現 できるはずもなく 労 働 者 は 自 己 に 不 利 な 労 働 条 件 であっても 解 雇 という 切 り 札 には 勝 てなかった viii そこで 労 働 者 が 人 間 としての 尊 厳 を 保 つために 経 済 活 動 に 対 して 国 が 介 入 する 必 要 性 が 生 じ 労 働 権 法 理 が 確 立 されていった 日 本 国 憲 法 27 条 は 国 民 に 勤 労 の 権 利 を 保 障 するとともに(1 項 ) 勤 労 条 件 の 最 低 基 準 を 法 律 で 定 めるよう 命 じ(2 項 ) 児 童 の 酷 使 を 禁 止 している(3 項 ) これは 28 条 の 労 働 基 本 権 とともに 25 条 の 生 存 権 を 具 現 化 する 労 働 者 の 権 利 規 定 だとされている 歴 史 的 には 1919 年 のドイツ ワイマール 憲 法 163 条 2 項 で 保 障 された 労 働 権 規 定 ( すべてのドイツ 人 は 経 済 的 労 働 により 生 活 する 可 能 性 が 与 えられなければならない 適 当 な 労 働 の 機 会 が 与 えられない ときは その 必 要 な 生 活 費 が 配 慮 される 詳 細 は 特 別 のライヒ 法 律 で 定 められる )が 日 本 国 憲 法 27 条 の 成 立 に 大 きな 影 響 を 与 えたとされる ただし その 法 的 性 格 については 国 民 に 44
対 して 具 体 的 請 求 権 を 保 障 するものではなく 国 家 に 政 治 的 義 務 を 課 したプログラム 規 定 だと 解 されてきた ix しかし 近 年 憲 法 27 条 1 項 の 勤 労 権 保 障 によって 解 雇 規 制 を 根 拠 づけようとする 議 論 が 登 場 している そこでは 自 己 決 定 できる 労 働 者 ではなく 現 実 の 労 働 市 場 で 働 く 生 身 の 人 間 像 が 念 頭 に 置 かれ 労 働 権 保 障 も 個 人 の 幸 福 追 求 権 や 平 等 権 を 要 素 としているとすれば 労 働 すること 自 体 が 労 働 者 の 人 格 的 利 益 につながる ため 失 業 に 至 らせないことが 憲 法 的 価 値 を 有 している とされる x ところで 同 一 価 値 労 働 同 一 賃 金 の 原 則 は 1919 年 のベルサイユ 条 約 によって 確 立 し 労 働 基 準 法 4 条 がこれを 明 文 化 している( 使 用 者 は 労 働 者 が 女 性 であることを 理 由 として 賃 金 について 男 性 と 差 別 的 取 扱 いをしてはならない ) だが 当 初 労 基 法 の 男 女 同 一 賃 金 が 禁 止 するのは 賃 金 だけであった その 後 女 性 差 別 を 非 難 し 差 別 撤 廃 のための 政 策 を 講 じるこ とを 目 指 す 女 性 差 別 撤 廃 条 約 が 1979 年 国 連 で 採 択 され 日 本 政 府 がこれを 批 准 したことに 伴 い 国 内 法 を 整 備 する 必 要 に 迫 られる 1985 年 制 定 の 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 ( 雇 用 の 分 野 にお ける 男 女 の 均 等 な 機 会 及 び 待 遇 の 確 保 等 女 子 労 働 者 の 福 祉 の 増 進 に 関 する 法 律 以 下 均 等 法 と する )は 男 女 の 役 割 分 担 を 前 提 とした 当 時 の 雇 用 システムを 尊 重 しながら 男 女 平 等 を 実 現 し ようとしたため 多 くの 問 題 を 抱 えながらの 船 出 となった すなわち 均 等 法 制 定 当 初 は 労 働 基 準 法 のいわゆる 女 子 保 護 規 定 ( 女 性 労 働 者 に 対 する 時 間 外 休 日 労 働 深 夜 業 の 規 制 条 項 )が 存 続 していた 関 係 で 雇 用 における 男 女 差 別 は 努 力 義 務 という 行 政 指 導 によってのみ 規 制 さ れていた 弁 護 士 の 中 野 麻 美 によれば 非 正 規 雇 用 の 固 定 的 身 分 化 を 容 認 し 同 一 雇 用 区 分 内 に 差 別 禁 止 のフレームを 限 定 したものであった xi 均 等 法 は 1997 年 の 全 面 改 正 2007 年 の 再 改 正 と 二 度 の 改 正 を 経 て その 都 度 批 判 の 大 きか った 部 分 を 克 服 してきた しかし 同 一 の 雇 用 管 理 区 分 にある 男 女 の 格 差 しか 問 題 にされないと いう 規 制 枠 組 みは 労 働 時 間 制 規 制 緩 和 撤 廃 労 働 者 派 遣 法 第 三 号 被 保 険 者 の 制 度 化 ととも に 女 性 を 非 正 規 雇 用 に 動 員 する 新 性 別 役 割 の 受 け 皿 となってきた と 新 たな 批 判 を 生 む ことになった xii たとえば 1997 年 の 労 働 基 準 法 改 正 が 女 性 の 時 間 外 休 日 労 働 制 限 と 深 夜 業 禁 止 規 定 を 全 廃 し 妊 娠 出 産 に 対 する 保 護 等 のみを 残 したことに 伴 い 均 等 法 も 募 集 採 用 から 配 置 昇 進 など 雇 用 の 全 ステージにおける 差 別 取 扱 いが 禁 止 され 女 性 のみ の 募 集 も 違 法 とされた 法 律 の 正 式 名 称 からも 女 子 労 働 者 の 福 祉 の 増 進 のための という 部 分 が 削 除 された また PA(ポ ジティブ アクション= 積 極 的 差 別 是 正 措 置 )やセクシュアル ハラスメント 防 止 規 定 も 導 入 さ れた ただし PA については 男 女 労 働 者 の 間 に 事 実 上 生 じている 差 の 解 消 を 目 的 として 個 々 の 企 業 が 自 主 的 かつ 積 極 的 に 進 める 取 り 組 み ( 厚 生 労 働 省 女 性 の 活 躍 推 進 協 議 会 ポジティブ アクションのための 提 言 )とする 説 明 にみられるように 運 用 上 広 範 な 概 念 が 採 用 され 一 方 の 性 に 対 する 特 別 で 暫 定 的 な 措 置 だとする 本 来 の 性 格 は 希 薄 化 している セクシュアル ハラスメント 防 止 についても 当 初 は 被 害 者 側 による 調 停 申 請 も 認 められなかったが 2001 年 10 月 の 個 別 労 働 関 係 紛 争 解 決 促 進 法 の 施 行 により 紛 争 調 停 委 員 による 斡 旋 が 認 められるように なった xiii また 2007 年 の 再 改 正 では 以 下 のような 特 徴 がみられる 第 一 に 差 別 取 扱 いの 対 象 を 男 女 45
双 方 の 性 とすることで 従 来 から 批 判 されていた 均 等 法 の 片 面 性 効 力 から 抜 け 出 した(5 条 ) 第 二 に 差 別 禁 止 の 対 象 範 囲 を 拡 大 し 配 置 降 格 職 種 雇 用 形 態 の 変 更 退 職 勧 奨 雇 い 止 めを 追 加 した(6 条 ) 第 三 に 実 質 的 にいずれかの 性 にとって 差 別 となるおそれのある 措 置 ( 間 接 差 別 )を 禁 止 した(7 条 ) 第 四 に 事 業 主 は 妊 娠 出 産 を 理 由 とした 解 雇 やその 他 不 利 益 取 扱 いをしてはならず 妊 娠 出 産 1 年 以 内 の 解 雇 も 無 効 となった(9 条 ) 第 五 に セクシュアル ハラスメント 防 止 措 置 が 事 業 主 に 義 務 づけられ(11 条 ) これらの 義 務 に 従 わなかった 場 合 には 企 業 名 が 公 表 され(30 条 ) 過 料 規 定 も 新 たに 創 設 されることで(33 条 ) 実 効 性 の 確 保 を 図 る 2.コース 別 雇 用 管 理 をめぐる 事 件 女 性 であることを 理 由 として 昇 進 昇 格 の 機 会 を 与 えられなかった 女 性 労 働 者 が 企 業 を 訴 え た 事 例 は 数 多 い 代 表 的 な 判 例 のひとつに 野 村 證 券 事 件 がある 野 村 証 券 に 勤 める 女 性 社 員 12 名 は 同 期 同 学 歴 の 男 性 社 員 が 入 社 後 13 年 には 課 長 代 理 ( 総 合 職 における 指 導 職 一 級 )に 昇 格 するのに 対 し 女 性 たちにこうした 昇 格 がないのは 同 社 による 女 性 差 別 のためであるとして 企 業 を 相 手 取 り 女 性 社 員 らが 指 導 職 一 級 の 職 位 にあること 昇 格 を 前 提 とした 退 職 慰 労 金 規 定 の 適 用 を 受 ける 地 位 にあること 入 社 後 13 年 に 課 長 代 理 に 昇 格 したと 考 えた 場 合 受 けとることができた 賃 金 と 慰 謝 料 等 を 求 め 1993 年 に 提 訴 した これに 対 し 東 京 地 裁 は 2002 年 企 業 が 男 女 のコース 別 雇 用 管 理 制 度 を 採 用 していたことが 昇 進 昇 格 差 別 を 生 みだした 要 因 であると 言 明 した そして 原 告 女 性 が 入 社 した 当 時 は 男 女 コース 別 の 採 用 処 遇 が 公 序 に 反 していたとまではいえないが 改 正 均 等 法 が 施 行 された 平 成 11 年 4 月 以 降 は このような 男 女 のコース 別 処 遇 を 維 持 することは 本 条 均 等 法 第 6 条 の 昇 進 昇 格 における 差 別 的 取 扱 い 禁 止 条 項 に 違 反 するとともに 不 合 理 な 差 別 として 公 序 に 反 するこ とになったというべきであり 会 社 は 原 告 らが 被 った 精 神 的 苦 痛 に 対 する 慰 謝 料 を 支 払 う 義 務 が ある とした xiv つまり 地 裁 判 決 では 改 正 均 等 法 が 施 行 される 前 のコース 別 雇 用 管 理 制 度 は 公 序 良 俗 違 反 でないとする 一 方 同 法 施 行 後 は 違 法 となることを 認 めたのである 多 くの 雇 用 差 別 事 件 の 判 決 に 共 通 してみられるのは 憲 法 13 条 ( 個 人 の 尊 重 と 公 共 の 福 祉 に よる 制 約 )と 14 条 ( 平 等 原 則 と 差 別 の 禁 止 )の 保 障 が 労 働 者 と 企 業 の 私 人 間 においては 民 法 90 条 の 公 序 良 俗 にあたると 認 められた 点 だとされる 女 子 労 働 者 のみの 結 婚 退 職 制 を 民 法 90 条 違 反 とした 住 友 セメント 事 件 東 京 地 裁 判 決 や xv 男 女 別 定 年 制 を 不 合 理 な 差 別 とした 伊 豆 シャボテン 公 園 事 件 最 高 裁 判 決 xvi 日 産 自 動 車 男 女 別 定 年 制 事 件 最 高 裁 判 決 xviiも 同 様 の 立 場 を 示 している だが 21 世 紀 に 入 ってもなお 兼 松 事 件 東 京 地 裁 判 決 のように xviii 制 定 当 初 の 均 等 法 は 配 置 についての 男 女 の 差 別 的 取 扱 いをしないことを 努 力 義 務 とするにとどめていた として コ ース 別 雇 用 管 理 制 度 が 公 序 に 違 反 しないとする 判 決 もある ここでは 以 下 住 友 電 工 事 件 の 判 例 法 理 について 確 認 する 1966 年 高 校 を 卒 業 し 事 務 職 として 住 友 電 工 に 入 社 した 女 性 社 員 2 名 は 社 内 の 制 度 改 正 に より 高 卒 男 性 が 事 務 職 から 専 門 職 へ 転 換 したにもかかわらず 女 性 はすべて 事 務 職 とされ 一 向 に 昇 進 昇 格 しなかったことについて 企 業 と 国 を 相 手 どり 提 訴 した 企 業 に 対 しては 1960 年 代 中 頃 の 男 女 別 採 用 に 始 まる 男 女 別 労 務 管 理 が 男 女 平 等 取 扱 い 義 務 に 反 するとして 過 去 10 年 に 46
遡 っての 差 額 賃 金 相 当 損 害 金 と 慰 謝 料 を 請 求 した 他 方 国 に 対 しては 提 訴 に 先 立 ち 行 われた 大 阪 婦 人 尐 年 室 長 による 調 停 不 開 始 決 定 が 憲 法 14 条 や 男 女 差 別 取 扱 い 禁 止 法 理 に 違 反 し 違 法 だとして それぞれ 100 万 円 の 慰 謝 料 を 求 める 国 家 賠 償 請 求 を 行 った しかし 大 阪 地 裁 は 原 告 らの 請 求 を 全 面 的 に 棄 却 する xix 判 決 は 高 卒 女 子 が 全 社 採 用 の 対 象 から 排 除 されていたことを 憲 法 14 条 の 趣 旨 に 反 する としながらも 当 時 は 未 だ 男 子 は 経 済 的 に 家 庭 を 支 え 女 子 は 結 婚 して 家 庭 に 入 り 家 事 育 児 に 専 念 するという 役 割 分 担 意 識 が 強 かったこと 女 子 が 企 業 に 雇 用 されて 労 働 に 従 事 する 場 合 でも 働 くのは 結 婚 又 は 出 産 までと 考 えて 短 期 間 で 退 職 する 傾 向 にあったこと から 企 業 はもっとも 効 率 のよい 労 務 管 理 を 行 わざ るを 得 ない として 公 序 良 俗 には 反 しないとした それだけでなく 判 決 は 均 等 法 施 行 後 に おいても 企 業 に 是 正 義 務 を 認 めることについて 法 的 安 定 性 を 害 し 均 等 法 に 遡 及 効 を 認 めるこ とになるとしてこれを 否 定 し さらに 当 時 の 大 阪 婦 人 尐 年 室 長 による 調 停 の 不 開 始 決 定 も 違 法 ではないと 判 断 した xx こうした 判 決 の 態 度 は 男 女 差 別 の 禁 止 という 平 等 原 則 と 経 済 活 動 の 自 由 ( 憲 法 22 条 )と 財 産 権 保 護 ( 憲 法 29 条 )を 根 拠 とする 企 業 の 採 用 の 自 由 とを 対 立 させ 当 時 の 社 会 意 識 か ら 前 者 に 対 する 後 者 の 優 越 を 引 き 出 したものと 考 えられる( 参 考 樋 口 陽 一 鑑 定 意 見 書 ) さら に 判 決 は 採 用 の 場 での 男 女 差 別 が 実 定 法 上 初 めて 禁 止 されたのは 平 成 9 年 に 均 等 法 を 改 正 した 雇 用 の 分 野 における 男 女 の 均 等 な 機 会 及 び 待 遇 の 確 保 に 関 する 法 律 5 条 によって であ り 実 定 法 の 欠 如 を 理 由 に 男 女 差 別 の 禁 止 の 法 理 を 企 業 の 自 由 より 劣 位 に 置 く だが 1947 年 以 来 民 法 1 条 ノ 2 本 法 ハ 個 人 ノ 尊 厳 ト 両 性 ノ 本 質 的 平 等 トヲ 旨 トシテ 之 ヲ 解 釈 スヘシ (2004 年 の 全 面 改 定 で 削 除 )も 実 定 法 として 存 在 していたことや 憲 法 の 趣 旨 と 同 様 に 解 された 民 法 90 条 と 社 会 意 識 とが 天 秤 にかけられたことは 地 裁 判 決 が 批 判 される 要 因 だとされている 3.2009 年 CEDAW の 総 括 所 見 後 の 動 き 女 性 差 別 撤 廃 委 員 会 (CEDAW)は 2009 年 7 月 日 本 政 府 の 第 6 次 レポートに 対 して 総 括 所 見 を 出 した 全 60 パラグラフのうち 第 28 パラグラフで 学 会 の 女 性 を 含 め 女 性 の 雇 用 及 び 政 治 的 公 的 活 動 への 女 性 の 参 加 に 関 する 分 野 に 重 点 を 置 くとともに あらゆるレベル での 意 思 決 定 の 地 位 への 女 性 の 参 加 を 引 き 上 げるための 数 値 目 標 とスケジュールをもった 暫 定 的 特 別 措 置 を 採 用 するよう 締 約 国 に 要 請 する とした くわえて 第 59 パラグラフでは 上 記 の 部 分 を 2 年 以 内 に 回 答 を 要 するフォローアップ 項 目 として 指 定 した この 総 括 所 見 の 法 的 根 拠 は 女 性 差 別 撤 廃 条 約 4 条 締 約 国 が 男 女 の 事 実 上 の 平 等 を 促 進 することを 目 的 とする 暫 定 的 な 特 別 措 置 をとることは この 条 約 に 定 義 する 差 別 と 解 してはならない である この 要 請 に 対 し 日 本 政 府 は 2011 年 コメントを 返 している 具 体 的 には 男 女 共 同 参 画 の 政 治 分 野 における 拡 大 のための 新 たな 目 標 として 2010 年 11 月 22 日 発 表 の 男 女 共 同 参 画 第 3 次 基 本 計 画 で 設 定 された 2020 年 =30% 目 標 が 改 めて 提 示 された これは 社 会 のあ らゆる 分 野 における 指 導 的 地 位 にある 女 性 を xxi 2020 年 には 30%にする というものであるが 30%という 数 値 目 標 自 体 は 2003 年 6 月 男 女 共 同 参 画 推 進 本 部 が 決 定 した 女 性 のチャレン ジ 支 援 策 の 推 進 (2003 年 6 月 男 女 共 同 参 画 推 進 本 部 決 定 )や 男 女 共 同 参 画 基 本 計 画 ( 第 2 次 ) (2005 年 12 月 閣 議 決 定 ) 以 来 主 張 されており 目 新 しいものではない なお 30%が 設 定 され 47
る 理 由 のひとつには クリティカル マスの 法 則 同 様 ある 団 体 の 構 成 員 の 女 性 比 が 30% 以 上 に 達 すると それまでの 行 動 と 規 則 が 見 直 される 確 率 が 高 くなる という 指 摘 がある xxii 上 記 の 目 標 を 達 成 するために 内 閣 府 男 女 共 同 参 画 局 や 厚 労 省 等 が 中 心 となり 指 導 的 地 位 に ある 女 性 のデータをグラフに 表 し 見 える 化 を 図 るとともに 仕 事 と 生 活 の 調 和 を 推 進 するよ う ワーク ライフ バランス(WLB) 憲 章 も 制 定 された 一 方 政 党 に 対 しては 日 本 国 憲 法 上 の 政 党 の 自 由 な 法 的 性 格 を 考 慮 してか 第 3 次 基 本 計 画 では 30% の 数 値 目 標 について 次 のような 断 り 書 きが 明 記 された すなわち 上 記 の 数 値 目 標 は 政 府 として 達 成 を 目 指 す 努 力 目 標 にすぎず 政 党 の 自 律 的 行 動 を 制 約 するものでは なく 各 党 が 自 ら 達 成 を 目 指 す 目 標 ではない というものである( 下 線 部 は 筆 者 ) その 結 果 政 党 の 党 役 員 や 一 般 党 員 の 女 性 比 率 は 依 然 低 く 列 国 議 会 同 盟 が 毎 年 発 表 している 各 国 地 域 の 議 会 に 占 める 女 性 比 率 の 比 較 では 日 本 は 2014 年 1 月 1 日 現 在 8%であり 189 か 国 中 127 位 である(2013 年 には 122 位 ) xxiii 4. ワーク ライフ バランス (WLB)の 実 現 を 阻 む 法 制 度 仕 事 を 続 けたかったのに 仕 事 と 育 児 の 両 立 ができない 子 どもが 生 まれたら 親 子 で 過 ご す 時 間 をつくるはずだったのに 仕 事 が 忙 しくて 家 に 帰 れない 厚 生 労 働 省 毎 月 勤 労 統 計 調 査 によると 1993 年 頃 から 正 規 労 働 者 の 年 間 総 実 労 働 時 間 が 2000 時 間 を 超 え 高 止 まりしている 状 態 にある また アルバイトや 派 遣 社 員 などのパートタイム 労 働 者 は 1998 年 以 降 一 貫 して 増 え 続 け 1996 年 には 全 労 働 者 のうち 11.81%だったのが 2006 年 には 21.49%へと 約 2 倍 になった さらに 出 産 後 も 仕 事 を 続 けたいにもかかわらず 現 実 は 会 社 に 長 時 間 縛 られている 夫 の 手 助 けが 無 に 等 しいため 結 局 仕 事 をやめざるを 得 なかった 女 性 労 働 者 の 割 合 は 依 然 多 い xxiv 1980 年 代 後 半 からの 失 われた 20 年 さらには リーマン ショック と 金 融 危 機 以 後 働 いても 働 いても 貧 しくなるだけ の 買 い 叩 かれた 報 われない 雇 用 の 広 がりは 世 代 を 超 えて 貧 困 を 再 生 産 するだけでなく 人 間 の 再 生 産 さえ 不 可 能 にし 子 どもの 貧 困 率 を 高 めることから 産 業 社 会 の 未 来 に 警 告 を 発 するものである と 指 摘 がみられる xxv 伝 統 的 な 日 本 型 雇 用 システムに よって 固 定 化 した 正 規 雇 用 と 非 正 規 雇 用 のアクターは 前 者 が 企 業 との 固 い 結 びつきと 責 任 を 負 う 男 性 が 支 配 的 であったのに 対 し 後 者 は 家 族 的 責 任 を 主 に 負 担 し 長 期 勤 続 の 期 待 から 除 外 される 女 性 が 支 配 的 であった xxvi その 後 グローバル 経 済 の 波 は パート アルバイト 派 遣 労 働 といった 多 様 な 働 き 方 を 生 み 出 したが 短 時 間 労 働 者 は 仕 事 と 家 庭 を 両 立 させる 家 計 補 助 労 働 者 として 年 間 300 時 間 を 超 えて 働 かなければ 生 活 保 護 費 にも 追 いつかないという 女 性 差 別 的 低 賃 金 を 特 徴 とする 総 務 省 がまとめた 労 働 力 調 査 によると 2012 年 の 雇 用 者 数 は 対 前 年 比 で 女 性 は 10 万 人 増 加 (2,357 万 人 ) 男 性 は 13 万 人 減 尐 (3,148 万 人 )となり 雇 用 者 総 数 における 女 性 比 率 は 42.8%である xxvii 働 く 女 性 の 数 は 確 かに 増 えたものの その 内 訳 は 正 規 の 職 員 従 業 員 45.5% パート アルバイト 派 遣 社 員 等 を 含 む 非 正 規 の 職 員 従 業 員 54.5%と 後 者 の 割 合 が 高 い また 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 からは 女 性 の 正 規 労 働 者 は 男 性 のそれの 45%にとどまっている こうした 労 働 の 実 態 を 受 け 一 人 ひとりがやりがいや 充 実 感 を 感 じながら 働 き 仕 事 上 の 責 任 を 果 たすとともに 家 庭 や 地 域 生 活 などにおいても 子 育 て 期 中 高 年 期 といった 人 生 の 各 段 階 48
に 応 じて 多 様 な 生 き 方 が 選 択 実 現 できる 社 会 をつくることを 目 的 に 2007 年 12 月 18 日 仕 事 と 生 活 の 調 和 (WLB) 憲 章 が 策 定 された しかし 本 来 性 や 年 齢 に 関 わらず 誰 もが 意 欲 と 能 力 をもって 多 様 な 生 き 方 や 働 き 方 が 選 べ 公 正 な 処 遇 が 確 保 されている 社 会 の 実 現 を 目 指 すはずが WLB の 推 進 は 経 済 界 にとってはもっぱら 急 速 に 進 行 しつつある 尐 子 化 およ び 高 齢 化 に 企 業 が 対 応 するための 柱 だと 捉 えられている xxviii 自 らのライフスタイルにあう 生 き 方 を 選 んだ 結 果 がパートタイム 労 働 であったとすれば それ は 自 発 的 な 選 択 であると 言 えるかもしれない しかし ワーキング プア と 呼 ばれる 労 働 者 階 層 に 属 する 人 々が 増 える 現 状 からは 2008 年 版 日 本 経 団 連 報 告 の WLB に 対 応 するため 期 間 従 業 員 パートタイム 従 業 員 派 遣 社 員 の 活 用 も 進 めている という 記 述 は 増 大 する 非 正 規 労 働 者 層 を 正 当 化 する 単 なる 口 実 にしかすぎないであろう おわりに 上 智 大 学 法 学 部 教 授 の 三 浦 まりによれば 雇 用 の 場 でジェンダー 平 等 を 実 現 するには 次 の 2 点 から 困 難 であるとする xxix 第 一 に 労 働 政 治 におけるジェンダー バイアスの 存 在 である 第 二 に ジェンダー 平 等 政 策 が 新 自 由 主 義 と 親 和 性 が 高 いことである 第 一 の 点 は 本 論 でも 中 野 麻 美 の 主 張 を 基 に 考 察 したが これと 軌 を 一 にするものであろう すなわち 1960 年 代 の 高 度 経 済 成 長 を 機 に 労 働 力 不 足 を 補 うため 女 性 の 労 働 力 化 政 策 が 進 み とりわけ 専 業 主 婦 がパートタ イム 労 働 者 として 活 用 されてきた こうした 主 婦 パート からスタートした 非 正 規 雇 用 は 明 確 な 職 務 内 容 と 短 期 決 済 方 式 での 賃 金 支 払 いにより 正 規 労 働 者 とは 異 なる 雇 用 管 理 下 に 置 かれ る こうした 点 にこそ 同 一 価 値 同 一 労 働 賃 金 の 原 則 が 日 本 で 適 用 されにくい 理 由 だと 考 え られてきた xxx また 第 二 の 点 に 関 連 して ノーベル 経 済 学 賞 を 受 賞 したミルトン フリードマンの 理 論 に 代 表 される 新 自 由 主 義 が 市 場 原 理 を 重 視 したレーガン 米 大 統 領 の 経 済 政 策 (レーガノミクス)に 影 響 を 与 え 日 本 の 中 曽 根 政 権 の 規 制 緩 和 政 策 へ 飛 び 火 した フリードマンは 人 間 にとって 大 切 なことは 自 由 であり 自 由 に 行 動 することこそ 最 も 大 切 だ 規 制 をかけると 逆 に 不 正 がはびこ ると 主 張 する xxxi ことに 労 働 面 では 女 性 の 深 夜 労 働 の 解 禁 派 遣 労 働 という 新 たな 働 き 方 を 導 出 するが 他 方 家 計 補 助 労 働 に 徹 する 主 婦 層 は 税 制 の 配 偶 者 控 除 や 年 金 の 第 三 号 被 保 険 者 制 度 が 存 在 することで スムーズに 正 規 雇 用 へ 移 行 することはなかった xxxii 雇 用 の 場 におけるジェンダー 平 等 を 実 現 するには いわゆる 女 女 格 差 の 解 消 も 不 可 欠 で ある そのためには 労 働 者 間 の 格 差 と 貧 困 を 再 生 産 する 雇 用 管 理 区 分 体 制 を 見 直 すこと また ジェンダー 平 等 は 女 性 だけでなく 男 性 も 含 めた 両 性 を 対 象 とすることから 性 中 立 的 な 職 務 評 価 による 賃 金 制 度 が 必 要 である という 主 張 が 示 唆 に 富 むといえよう xxxiii いずれにせよ 労 働 政 策 が 雇 用 管 理 区 分 を 基 に 展 開 されるかぎり 女 性 管 理 職 を 一 定 程 度 置 くための PA や WLB は 男 性 並 みに 働 く 一 部 の 女 性 労 働 者 のみを 対 象 とした 制 度 にすぎなく なり 家 計 のために 働 く 非 正 規 労 働 者 は こうした 枠 組 みからなお 除 外 されたままにならざる を 得 ないであろう 本 稿 は 学 術 研 究 助 成 基 金 助 成 ( 基 盤 研 究 (C) 課 題 番 号 23530044) 日 本 とドイツにおけ 49
るポジティブ アクション 政 策 の 比 較 憲 法 的 考 察 の 成 果 である 註 i 2010 年 現 在 日 本 の 女 性 管 理 職 比 率 は 7.3%( 厚 労 省 調 べ) ちなみに 筆 者 が 暮 らす 富 山 県 では 5.7%( 全 国 44 位 )という 実 態 を 受 け 今 後 10 年 間 で 女 性 管 理 職 を 15%まで 上 げると いう 目 標 を 設 定 した(2014 年 3 月 ) ii 国 際 連 合 広 報 センターHP(http://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/7236/) iii OECD の 調 査 は 約 2 万 人 を 対 象 にした 2005 年 以 降 の 各 国 の 時 間 の 使 い 方 に 関 する 調 査 から 入 手 したデータに 基 づく 参 照 ロイター 日 本 版 2014 年 3 月 7 日 配 信 (http://jp.reuters.com/article/oddlyenoughnews/idjptyea2601c20140307) iv 以 下 参 照 民 主 党 男 女 共 同 参 画 委 員 会 クォータ 制 に 関 する 勉 強 調 査 訪 問 団 報 告 書 (2004 年 12 月 )における 池 銀 姫 女 性 部 長 官 の 発 言 (http://archive.dpj.or.jp/governance/act/images/houkan.pdf) v 列 国 議 会 同 盟 の HP(http://www.ipu.org/wmn-e/classif.htm) vi 内 閣 府 HP(http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/mierukasite.html) vii 公 開 項 目 は 1 従 業 員 2 管 理 職 3 役 員 4 女 性 登 用 に 関 する 目 標 の 有 無 内 容 5 平 均 年 齢 6 勤 続 年 数 7 新 卒 入 社 者 の 定 着 状 況 8 産 休 取 得 者 数 9 育 休 取 得 者 数 10 育 児 休 業 復 職 率 11 平 均 年 間 給 与 12 月 平 均 残 業 時 間 13 年 休 取 得 率 の 13 項 目 である viii 民 法 627 条 では 期 間 の 定 めのない 労 働 契 約 について 各 当 事 者 は いつでも 解 約 の 申 入 れ をすることができる と 定 め 使 用 者 の 解 雇 の 自 由 が 想 定 されている ix 法 学 協 会 編 註 解 日 本 国 憲 法 ( 上 ) ( 有 斐 閣 1953 年 )519 頁 x こうした 考 えに 立 てば 反 復 継 続 された 労 働 契 約 の 雇 い 止 めについても 合 理 的 手 続 きの 必 要 性 が 求 められることになるだろう 具 体 的 事 例 として 長 期 にわたり 同 一 派 遣 先 に 継 続 雇 用 さ れていた 派 遣 労 働 者 が 更 新 拒 絶 された 伊 予 銀 行 いよぎんスタッフサービス 事 件 ( 最 高 裁 第 二 小 法 廷 平 成 21 年 3 月 27 日 決 定 )がある xi 中 野 麻 美 雇 用 格 差 の 核 心 に 迫 る 改 革 が 未 来 を 決 める 世 界 843 号 (2013 年 )99 頁 xii 中 野 前 掲 論 文 100 頁 xiii 水 谷 英 夫 ジェンダーと 雇 用 の 法 辻 村 みよ 子 監 修 嵩 さやか 田 中 重 人 編 ジェンダー 法 政 策 研 究 叢 書 第 9 巻 雇 用 社 会 保 障 とジェンダー ( 東 北 大 学 出 版 会 2007 年 )139~145 頁 また 高 橋 保 女 性 をめぐる 法 と 政 策 原 理 体 系 課 題 改 訂 版 (ミネルヴァ 書 房 2008 年 )250~299 頁 参 照 高 橋 は 雇 用 における 性 差 別 禁 止 立 法 の 原 理 を 明 確 にし 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 の 基 本 概 念 について 整 理 するとともに 雇 用 の 男 女 の 均 等 な 機 会 および 待 遇 の 確 保 のために 国 事 業 所 が 行 うべき 措 置 についても 検 討 する xiv 東 京 地 判 2002 年 2 月 20 日 労 判 822-13 xv 東 京 地 判 1966 年 12 月 20 日 労 判 17-6-1406 xvi 最 判 1975 年 8 月 29 日 労 判 233-45 xvii 最 判 1981 年 3 月 24 日 民 集 35-2-300 xviii 東 京 地 判 2003 年 11 月 5 日 労 判 867-19 xix 大 阪 地 判 2000 年 7 月 31 日 判 時 1746-94 xx 宮 地 光 子 監 修 男 女 賃 金 差 別 裁 判 公 徐 良 俗 に 負 けなかった 女 たち 住 友 電 工 住 友 化 学 の 性 差 別 訴 訟 ( 明 石 書 店 2005 年 )36~37 頁 xxi 指 導 的 地 位 とは 国 連 のナイロビ 将 来 戦 略 勧 告 及 びジェンダー エンパワーメント 指 数 (GEM)の 算 出 方 法 を 踏 まえ 1 国 会 議 員 2 法 人 団 体 等 における 課 長 相 当 職 以 上 の 者 専 門 的 技 術 的 な 職 業 のうち 特 に 専 門 性 が 高 い 職 業 に 従 事 する 者 とされている 参 照 政 策 方 針 決 定 過 程 への 女 性 の 参 画 の 拡 大 に 係 る 数 値 目 標 のフォローアップについての 意 見 ( 2007 年 2 月 14 日 男 女 共 同 参 画 会 議 決 定 ) xxii ガブリエル ブルンス フリードリッヒ エーベルト 財 団 政 治 とジェンダー 会 議 マネージャ 50
ーの 発 言 xxiii 列 国 議 会 同 盟 の HP(http://www.ipu.org/wmn-e/classif.htm) xxiv 日 本 労 働 研 究 機 構 育 児 や 介 護 と 仕 事 の 両 立 に 関 する 調 査 (2003 年 9 月 ) xxv 中 野 前 掲 論 文 95 頁 また 大 沢 真 理 編 集 ジェンダー 社 会 科 学 の 可 能 性 第 2 巻 承 認 と 包 摂 へ 労 働 と 生 活 の 保 障 ( 第 2 章 浅 倉 むつ 子 執 筆 分 )( 岩 波 書 店 2011 年 )43~63 頁 浅 倉 論 文 は 労 働 法 の 男 性 中 心 主 義 批 判 から 生 まれた 女 性 中 心 アプローチのなかでの 尐 子 化 対 策 と WLB との 関 係 WLB の 法 規 範 的 根 拠 を 明 らかにするとともに 妊 娠 出 産 と 不 利 益 処 遇 についての 課 題 を 浮 き 彫 りにする さらに 高 橋 保 は WLB のために 定 められた 立 法 と して 育 児 介 護 休 業 法 を 取 り 上 げ パートタイム 労 働 法 次 世 代 育 成 支 援 対 策 についても WLB の 関 連 からそれらの 課 題 を 検 討 する 参 照 高 橋 前 掲 書 300~338 頁 xxvi 以 下 中 野 前 掲 論 文 98 頁 xxvii 以 下 彼 谷 環 シリーズ 日 本 国 憲 法 のいま 女 たちの 権 利 は 実 現 したのか 第 6 回 シャキット 情 報 139 号 (2014 年 2 月 )3 頁 xxviii 参 照 2007 年 版 日 本 経 団 連 経 営 労 働 政 策 委 員 会 報 告 ( 概 要 ) xxix 以 下 辻 村 みよ 子 編 ジェンダー 社 会 科 学 の 可 能 性 第 3 巻 壁 を 超 える 政 治 と 行 政 のジェ ンダー 主 流 化 ( 第 6 章 三 浦 まり 執 筆 分 )( 岩 波 書 店 2011 年 )145~167 頁 xxx 参 照 彼 谷 前 掲 論 文 3 頁 xxxi ミルトン フリードマン ローズ フリードマン/ 西 山 千 明 訳 選 択 の 自 由 新 装 版 自 立 社 会 への 挑 戦 ( 日 本 経 済 新 聞 出 版 社 2012 年 ) 参 照 xxxii その 結 果 三 浦 の 整 理 によれば 働 く 女 性 はいまや 4 つの 層 に 細 分 化 される(1 男 並 み に 働 ける 家 族 的 責 任 を 負 わない 正 規 雇 用 者 2 家 族 的 責 任 を 負 う 正 規 雇 用 者 3 家 計 補 助 的 に 働 く 主 婦 パート 4 家 計 維 持 のために 働 く 非 正 規 労 働 者 ) 参 照 三 浦 前 掲 論 文 145~167 頁 xxxiii 中 野 前 掲 論 文 105 頁 51