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Transcription:

平 成 28 年 熊 本 地 震 調 査 報 告 ( 木 造 住 宅 ) ホームズ 君 すまいの 安 心 フォーラム 株 式 会 社 インテグラル 2016 年 6 月 23 日 益 城 町 木 山 宮 園 地 区 惣 領 地 区 判 断 基 準 全 壊 半 壊 外 観 上 被 害 無 未 調 査

調 査 概 要 本 調 査 は 平 成 28 年 熊 本 地 震 の 被 災 地 における 木 造 住 宅 の 竣 工 年 代 別 の 被 害 状 況 と 特 徴 の 分 析 を 目 的 とし て 熊 本 県 上 益 城 郡 益 城 町 を 中 心 に 現 地 調 査 を 行 ったものである 表 1: 調 査 日 調 査 者 調 査 対 象 など 調 査 日 2016 年 5 月 2 日 ( 月 ) 5 月 20 日 ( 金 ) 5 月 26 日 ( 木 ) 調 査 地 熊 本 県 上 益 城 郡 益 城 町 ( 木 山 地 区 宮 園 地 区 および 惣 領 地 区 の 一 部 ) 調 査 対 象 木 造 住 宅 ( 調 査 棟 数 : 約 820 棟 ) 調 査 者 調 査 報 告 ホームページ 株 式 会 社 インテグラル 柳 澤 泰 男 ( 一 級 建 築 士 茨 城 県 木 造 住 宅 耐 震 診 断 士 ) 藤 間 明 美 木 村 良 行 落 合 小 太 郎 坂 入 徹 渡 辺 真 ホームズ 君 ドットコム よくわかる 耐 震 平 成 28 年 熊 本 地 震 調 査 報 告 http://jutaku.homeskun.com/taishin/jishin/2016_kumamoto_eq.html 倒 壊 分 析 マップ インテグラルが 調 査 を 行 った 辻 の 城 地 区 木 山 宮 園 地 区 および 惣 領 地 区 の 920 棟 の 木 造 住 宅 について 建 物 の 位 置 被 害 状 況 をまとめた 倒 壊 分 析 マップ URL:https://mypage.homeskun.jp/contents/eq/kumamoto/ 宇 土 市 役 所 1

地 震 の 概 要 ( 注 1) 平 成 28 年 熊 本 地 震 の 地 震 動 や 被 害 の 概 要 は 次 の 通 り 表 2: 地 震 情 報 2016 年 4 月 14 日 ( 木 )~4 月 16 日 ( 土 )に 益 城 町 周 辺 で 震 度 5 弱 以 上 を 観 測 した 主 な 地 震 地 震 発 生 日 時 前 震 2016/4/14( 木 ) 21:26 2016/4/14( 木 ) 22:07 2016/4/14( 木 ) 22:38 2016/4/15( 金 ) 00:03 本 震 2016/4/16( 土 ) 01:25 最 大 震 度 ( 地 点 ) 震 度 7 ( 益 城 町 宮 園 ) 震 度 6 弱 ( 益 城 町 宮 園 ) 震 度 5 弱 ( 宇 城 市 小 川 町 ) 震 度 6 強 ( 宇 城 市 豊 野 町 ) 震 度 7 ( 益 城 町 宮 園 西 原 村 小 森 ) マグニチュード M 6.5 M 5.8 M 5.0 M 6.4 M 7.3 震 源 の 深 さ 11km 8km 11km 7km 12km 最 大 加 速 度 ( 観 測 点 ) 表 3: 被 害 総 数 1,580ガル (KiK-net 益 城 ) 710ガル (KiK-net 益 城 ) ( 不 明 ) 2016 年 6 月 7 日 ( 火 )14:00 時 点 606ガル (KiK-net 益 城 ) 1,362ガル (KiK-net 益 城 ) 震 央 熊 本 県 熊 本 地 方 熊 本 県 熊 本 地 方 熊 本 県 熊 本 地 方 熊 本 県 熊 本 地 方 熊 本 県 熊 本 地 方 死 亡 重 軽 傷 全 壊 半 壊 一 部 破 損 人 的 被 害 ( 人 ) 49 1,663 住 宅 の 被 害 の 概 要 建 物 ( 住 宅 ) 被 害 ( 棟 ) 7,151 21,181 102,031 (このほか 分 類 未 確 定 分 の 住 家 被 害 数 :3,330 棟 ) 1981 年 以 前 に 建 てられた 住 宅 外 観 や 仕 様 などから 推 測 すると 調 査 した 被 災 地 域 の 住 宅 の 多 くが 1981 年 以 前 に 建 てられた ものと 推 測 される これらのほとんどは 倒 壊 など 全 壊 相 当 の 被 害 を 受 けたと 見 受 けられる 1981 年 ~2000 年 に 建 てられた 住 宅 1981 年 の 建 築 基 準 法 の 大 幅 改 正 により 耐 震 基 準 が 強 化 された この 基 準 が 適 用 された 1981 年 ~2000 年 に 建 てられたと 推 測 される 住 宅 においても やはり 多 く の 住 宅 が 倒 壊 を 含 め 全 壊 あるいは 半 壊 相 当 の 被 害 を 受 けたと 見 受 けられる 2000 年 以 降 に 建 てられた 住 宅 2000 年 の 建 築 基 準 法 の 改 正 により 耐 震 基 準 がさらに 強 化 された しかし 2000 年 以 降 に 建 てられ た 住 宅 の 一 部 でも 倒 壊 の 被 害 が 確 認 されている 2

建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 の 変 遷 大 地 震 が 起 こるたびに 建 築 基 準 法 は 大 幅 に 改 正 され 耐 震 基 準 が 強 化 されてきた( 表 4) このため 建 物 の 竣 工 年 すなわちどの 年 代 の 建 築 基 準 法 に 適 合 しているかによって 建 物 の 耐 震 性 が 異 なり 地 震 被 害 の 程 度 や 要 因 も 異 なる なお 本 報 告 では 各 耐 震 基 準 を 表 4に 記 した 名 前 で 呼 称 する 建 築 基 準 法 関 連 の 法 令 告 示 や 国 土 交 通 省 の 資 料 などによると 新 耐 震 基 準 (1981 年 )および 現 行 の 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )の 想 定 は 次 の 通 りである ( 注 2 注 3) ( 本 報 告 では 下 記 想 定 にある 大 地 震 について 大 規 模 の 地 震 動 という 呼 称 を 主 に 用 いる) 大 規 模 の 地 震 動 ( 震 度 6 強 ~7 に 達 する 程 度 ) で 倒 壊 崩 壊 しないこと 建 築 物 の 存 在 期 間 中 に1 度 は 遭 遇 することを 考 慮 すべき 極 めて 稀 に 発 生 する 地 震 動 に 対 して 倒 壊 崩 壊 するおそれのないこと ( 注 2) 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 ( 建 築 基 準 法 施 行 令 第 88 条 第 3 項 に 定 めるもの) に よる 力 に 対 して 倒 壊 崩 壊 等 しない 極 めて 稀 に 発 生 する 地 震 による 力 は 例 えば 東 京 を 想 定 した 場 合 気 象 庁 の 震 度 階 で 震 度 6 強 から 7 程 度 ( 中 低 層 の 建 物 に 作 用 する 地 動 の 最 大 加 速 度 で 300~400cm/s2 程 度 ) に 相 当 するということができる ( 注 3) また 住 宅 の 耐 震 性 能 については 建 築 基 準 法 とは 別 の 指 標 として 2000 年 施 行 の 住 宅 の 品 質 確 保 の 促 進 等 に 関 する 法 律 ( 以 下 品 確 法 )による 住 宅 性 能 表 示 制 度 の 耐 震 等 級 がある この 耐 震 等 級 2 および 耐 震 等 級 3は 建 築 基 準 法 より 大 きい 地 震 力 を 想 定 している( 表 5)( 注 3) 表 4: 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 の 変 遷 ( 注 2) 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 ( 本 報 告 での 呼 称 ) 建 築 基 準 法 の 改 正 日 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 ) - - 改 正 の 概 要 ( 木 造 住 宅 に 関 する 内 容 ) 新 耐 震 基 準 (1981 年 ) 1981 年 ( 昭 和 56 年 ) 6 月 1 日 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 )に 比 べ 必 要 とされる 耐 力 壁 の 量 ( 必 要 壁 量 )が 最 大 38% 増 加 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 ) ( 現 行 の 基 準 ) 2000 年 ( 平 成 12 年 ) 6 月 1 日 新 耐 震 基 準 (1981 年 )に 次 の 項 目 が 追 加 された 1) 基 礎 の 仕 様 規 定 の 明 確 化 ( 地 耐 力 に 応 じた 基 礎 形 式 の 選 定 等 ) 2) 耐 力 壁 配 置 規 定 (4 分 割 法 または 偏 心 率 0.3 以 下 ) 3) 継 手 仕 口 の 仕 様 の 明 確 化 ( 柱 頭 柱 脚 接 合 金 物 必 須 等 ) 表 5: 品 確 法 による 住 宅 性 能 表 示 制 度 の 耐 震 等 級 ( 注 3) 品 確 法 による 住 宅 性 能 表 示 の 耐 震 等 級 耐 震 等 級 1( 相 当 ) 耐 震 等 級 2 耐 震 等 級 の 想 定 する 耐 震 性 能 建 築 基 準 法 程 度 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない ( 耐 震 等 級 2および 等 級 3に 該 当 しない 建 物 ) 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 の1.25 倍 の 地 震 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない 耐 震 等 級 3 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 の1.5 倍 の 地 震 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない 3

建 物 の 竣 工 年 別 の 被 害 状 況 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 と 品 確 法 による 住 宅 性 能 表 示 制 度 の 耐 震 等 級 をふまえ 竣 工 年 と 耐 震 等 級 別 に 被 害 の 状 況 をまとめた ( 表 6) 表 6: 建 物 の 竣 工 年 別 耐 震 等 級 別 の 被 害 状 況 記 号 竣 工 年 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 品 確 法 による 住 宅 性 能 表 示 制 度 の 耐 震 等 級 被 害 状 況 ( 現 地 調 査 で 確 認 した 状 況 ) A 1981 年 以 前 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 ) ( 未 施 行 ) 全 壊 相 当 の 被 害 が 多 い B 1981 年 ~2000 年 新 耐 震 基 準 (1981 年 ) ( 未 施 行 ) 全 壊 や 半 壊 相 当 の 被 害 が 多 い 3 C 2000 年 以 降 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 ) 耐 震 等 級 1 ( 相 当 ) 建 築 基 準 法 程 度 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない ( 耐 震 等 級 2および 等 級 3に 該 当 しない 建 物 ) 耐 震 等 級 2 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 の1.25 倍 の 地 震 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない 被 害 はA Bに 比 べ 少 ないが 一 部 で 倒 壊 ( 全 壊 )した 建 物 も 確 認 した 被 害 はA B 耐 震 等 級 1 相 当 に 比 べ 少 な いが 一 部 で 倒 壊 ( 全 壊 )した 建 物 も 確 認 した 耐 震 等 級 3 極 めて 稀 に( 数 百 年 に 一 度 程 度 ) 発 生 する 地 震 による 力 の1.5 倍 の 地 震 力 に 対 し 倒 壊 崩 壊 等 しない 被 害 の 有 無 は 不 明 A: 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 )で 建 てられた 建 物 の 被 害 について 1981 年 以 前 に 竣 工 した 建 物 は 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 )で 建 てられたと 考 えられる これら の 建 物 の 被 害 の 状 況 は 全 壊 相 当 の 被 害 が 多 数 見 られた その 原 因 として 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 )では 建 築 基 準 法 における 必 要 壁 量 が 新 耐 震 基 準 (1981 年 )に 比 べて 少 なく 基 礎 が 無 筋 であること 接 合 部 の 金 物 も 使 われていないことが 考 えられ 大 規 模 の 地 震 動 ( 震 度 6 強 ~7 に 達 する 程 度 )に 耐 えられなかったと 考 えられる B: 新 耐 震 基 準 (1981 年 )で 建 てられた 建 物 の 被 害 について 1981 年 から 2000 年 以 前 に 竣 工 した 建 物 は 新 耐 震 基 準 (1981 年 )で 建 てられたと 考 えられる 全 壊 半 壊 相 当 の 被 害 が 多 く 見 られた その 原 因 として 新 耐 震 基 準 (1981 年 )は 必 要 壁 量 が 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 )に 比 べ 最 大 38% 増 加 しているが 壁 の 配 置 のバランスが 考 慮 されてい ないことや 接 合 部 の 緊 結 強 度 の 不 足 が 考 えられる C: 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられた 建 物 の 被 害 について 2000 年 以 降 に 竣 工 した 建 物 は 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられたと 考 えられる これら は AやBに 比 べて 倒 壊 の 被 害 が 少 なかった しかし 2016 年 5 月 14 日 付 の 日 本 建 築 学 会 の 熊 本 地 震 の 被 害 調 査 速 報 会 によれば 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられた 400~500 棟 の 住 宅 のうち 倒 壊 が 4~9 棟 全 壊 が 6~8 棟 合 わせて 最 大 17 棟 の 被 害 を 確 認 したと 報 告 している 日 本 建 築 学 会 はこれらの 原 因 につい ては 追 跡 調 査 を 行 い 2016 年 の 8 月 に 発 表 するとしているが インテグラルは 次 項 の 要 因 イ~トによると 考 える 4

強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられた 建 物 の 被 害 の 要 因 要 因 イ 大 規 模 な 地 震 動 が 複 数 回 発 生 (28 時 間 以 内 に 震 度 7が2 回 震 度 6 強 が 1 回 ) 平 成 28 年 熊 本 地 震 では 大 規 模 の 地 震 動 相 当 の 地 震 が 28 時 間 以 内 に 計 3 回 観 測 されてい る ( 震 度 7が2 回 震 度 6 強 が 1 回 ) 熊 本 県 の 災 害 対 策 本 部 会 議 の 資 料 ( 注 4)によれば 熊 本 県 上 益 城 郡 益 城 町 における 住 宅 の 全 壊 棟 数 は 前 震 (2016 年 4 月 14 日 21 時 26 分 ) 直 後 の 資 料 (2016 年 4 月 15 日 24 時 30 分 )では 10 棟 と 報 告 されている(ただしこの 数 は 益 城 町 の 安 永 地 区 (9 棟 )と 宮 園 地 区 (1 棟 )の 合 計 であるが その 時 点 で 判 明 していた 限 りの 数 であり 全 地 区 を 網 羅 的 に 調 査 した 上 での 数 ではないと 推 測 される) これに 対 し 本 震 の 後 である 直 近 の 資 料 (2016 年 6 月 12 日 13 時 30 分 )では 2309 棟 と 報 告 されている ここから 前 震 直 後 には 全 壊 棟 数 はそれほど 多 くなかったが 本 震 により 全 壊 棟 数 が 大 幅 に 増 加 したと 推 測 することがで きる 大 規 模 の 地 震 動 が 複 数 回 発 生 した 場 合 の 建 物 の 倒 壊 の 可 能 性 については 2005 年 11 月 に 国 立 研 究 開 発 法 人 防 災 科 学 技 術 研 究 所 の 兵 庫 耐 震 工 学 研 究 センター Eディフェンス ( 兵 庫 県 三 木 市 )で 行 われた 実 大 建 物 振 動 台 実 験 で 報 告 されている ( 注 5) 実 験 の 概 要 耐 震 性 能 が 異 なる 次 の 2 物 件 に 対 して 震 度 7の 地 震 動 (JR 鷹 取 波 )を 2 回 加 える 実 験 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 ) 相 当 の 建 物 ( 耐 震 診 断 の 評 点 :0.50 倒 壊 する 可 能 性 が 高 い ) 新 耐 震 基 準 (1981 年 ) 相 当 の 建 物 ( 耐 震 診 断 の 評 点 :1.84 倒 壊 しない ) この 実 験 から 1 回 目 の 大 規 模 の 地 震 動 により 見 た 目 の 被 害 は 無 くても 建 物 全 体 の 耐 震 性 能 がおよそ 65% 程 度 低 下 し そこへ 直 後 に 発 生 する 2 回 目 の 大 規 模 の 地 振 動 を 受 けると 倒 壊 などの 被 害 が 発 生 する 可 能 性 が 示 されている このため 今 回 の 平 成 28 年 熊 本 地 震 においても 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられた 建 物 や 耐 震 等 級 2 に 適 合 した 建 物 ( 大 規 模 の 地 震 動 の 1.25 倍 の 地 震 力 を 想 定 )であっても 1 回 目 の 大 規 模 の 地 震 動 では 倒 壊 に 耐 えたとしても 実 際 には 耐 震 性 能 の 大 幅 な 減 少 が 起 こり 2 回 目 の 大 規 模 の 地 震 動 で 倒 壊 に 至 った 建 物 が 発 生 したと 考 えられる 要 因 ロ 地 震 動 の 周 期 (1~2 秒 )の 継 続 時 間 が 長 かった 平 成 28 年 熊 本 地 震 の 本 震 は 周 期 1~2 秒 における 加 速 度 応 答 が 大 きかった( 注 6) この 周 期 の 地 震 動 は 木 造 住 宅 に 大 きな 被 害 を 及 ぼす 過 去 の 大 地 震 においても 例 えば 兵 庫 県 南 部 地 震 ( 最 大 震 度 7)でもこの 周 期 1~2 秒 における 加 速 度 応 答 が 大 きく 木 造 住 宅 の 地 震 による 被 害 が 大 きかった しかし 岩 手 宮 城 内 陸 地 震 ( 最 大 震 度 6 強 )では 周 期 1~2 秒 における 加 速 度 応 答 が 小 さかったため 震 度 に 比 べ 建 物 被 害 が 少 なかった 震 度 階 級 = 建 物 被 害 の 程 度 と 捉 えがちであるが 地 震 動 の 周 期 と 継 続 時 間 によって 建 物 被 害 に 大 きな 差 が 出 てくることが 知 られており 震 度 階 級 と 被 害 の 関 係 は 全 体 的 な 傾 向 としては 合 っているが 詳 細 には 震 度 と 木 造 住 宅 の 被 害 は 必 ずしも 比 例 しない 5

要 因 ハ 地 震 動 の 加 速 度 が 大 規 模 の 地 震 動 の 中 でも 大 きかった 可 能 性 がある 気 象 庁 が 発 表 する 震 度 は 通 常 震 度 階 級 を 指 す 震 度 階 級 は 実 際 に 計 測 された 加 速 度 から 求 める 計 測 震 度 をもとに 決 められている( 表 7) また 計 測 震 度 と 加 速 度 の 関 係 を 図 1に 示 す これらをもとに 大 規 模 の 地 震 動 ( 震 度 6 強 ~7に 達 する 程 度 )を 計 測 震 度 で 言 い 直 すと 計 測 震 度 6.0 以 上 である 表 4 と 図 1 から 建 築 基 準 法 が 想 定 する 大 規 模 の 地 震 動 ( 震 度 6 強 ~7 に 達 する 程 度 )と 照 らし 合 わせると 次 のことが 言 える 震 度 6 強 は 計 測 震 度 6.0 以 上 6.5 未 満 震 度 7 は 計 測 震 度 6.5 以 上 さらにここから 次 のように 言 える 計 測 震 度 6.0 ( 震 度 6 強 )と 計 測 震 度 6.5 ( 震 度 7)では 加 速 度 が 約 1.7 倍 異 なる 計 測 震 度 6.0 ( 震 度 6 強 )と 計 測 震 度 7.0 ( 震 度 7)では 加 速 度 が 約 3.1 倍 異 なる また 震 度 階 級 は 震 度 7 が 上 限 であり 加 速 度 や 計 測 震 度 がどれだけ 大 きくても 同 じ 震 度 7 と 表 現 されることである しかし 新 耐 震 基 準 (1981 年 ) 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 想 定 する 大 規 模 の 地 震 動 は 前 述 の 通 り 震 度 6 強 から7に 達 する 程 度 であるが 震 度 7 の 範 囲 としてどの 程 度 の 加 速 度 や 計 測 震 度 までを 想 定 しているかまでは 示 されていない 以 上 から 平 成 28 年 熊 本 地 震 では 大 規 模 の 地 震 動 の 中 でも 加 速 度 が 大 きい 計 測 震 度 7.0 と 同 等 かそれ 以 上 の 加 速 度 が 発 生 した 可 能 性 があり そのために 被 害 が 大 きくなった 可 能 性 が 考 えられる 表 7: 震 度 階 級 と 計 測 震 度 ( 注 7) 計 測 震 度 0.5 未 満 0 0.5 以 上 1.5 未 満 1 震 度 階 級 人 の 体 感 行 動 耐 震 性 が 高 い 木 造 建 物 ( 住 宅 )の 状 況 耐 震 性 が 低 い 人 は 揺 れを 感 じないが 地 震 計 には 記 録 される - - 屋 内 で 静 かにしている 人 には 揺 れ をわずかに 感 じる 人 がいる - - 1.5 以 上 2.5 未 満 2 2.5 以 上 3.5 未 満 3 3.5 以 上 4.5 未 満 4 屋 内 で 静 かにしている 人 の 大 半 が 揺 れを 感 じる 眠 っている 人 の 中 に は 目 を 覚 ます 人 もいる 屋 内 にいる 人 のほとんどが 揺 れを 感 じる 歩 いている 人 の 中 には 揺 れを 感 じる 人 もいる 眠 っている 人 の 大 半 が 目 を 覚 ます ほとんどの 人 が 驚 く 歩 いている 人 の ほとんどが 揺 れを 感 じる 眠 ってい る 人 のほとんどが 目 を 覚 ます - - - - - - 4.5 以 上 5.0 未 満 5 弱 大 半 の 人 が 恐 怖 を 覚 え 物 につか まりたいと 感 じる - 壁 などに 軽 微 なひび 割 れ 亀 裂 がみ られることがある 5.0 以 上 5.5 未 満 5 強 大 半 の 人 が 物 につかまらないと 歩 く ことが 難 しいなど 行 動 に 支 障 を 感 じ る - 壁 などにひび 割 れ 亀 裂 がみられるこ とがある 5.5 以 上 6.0 未 満 6 弱 6.0 以 上 6.5 未 満 6 強 6.5 以 上 7 立 っていることが 困 難 になる 壁 などに 軽 微 なひび 割 れ 亀 裂 がみ られることがある 立 っていることができず はわないと 壁 などにひび 割 れ 亀 裂 がみられるこ 動 くことができない 揺 れにほんろうさ とがある れ 動 くこともできず 飛 ばされること もある 壁 などのひび 割 れ 亀 裂 が 多 くなる まれに 傾 くことがある 壁 などのひび 割 れ 亀 裂 が 多 くなる 壁 などに 大 きなひび 割 れ 亀 裂 が 入 ることがある 瓦 が 落 下 したり 建 物 が 傾 いたりする ことがある 倒 れるものもある 壁 などに 大 きなひび 割 れ 亀 裂 が 入 るものが 多 くなる 傾 くものや 倒 れるものが 多 くなる 傾 くものや 倒 れるものがさらに 多 く なる 図 1: 計 測 震 度 と 加 速 度 の 相 関 関 係 ( 注 7) 同 じ 大 規 模 の 地 震 動 ( 震 度 階 級 6 強 ~7 に 達 する 程 度 ) の 中 でも 加 速 度 は 計 測 震 度 6.0 と 計 測 震 度 6.5 では 約 1.7 倍 計 測 震 度 6.0 と 計 測 震 度 7.0 では 約 3.1 倍 も 異 なる 6

要 因 ニ 被 害 を 受 けた 建 物 において 軟 弱 地 盤 相 当 であった 可 能 性 軟 弱 な 地 盤 に 大 地 震 が 発 生 した 場 合 地 震 力 の 増 幅 や 液 状 化 現 象 が 発 生 する 恐 れがある そのた め 建 築 基 準 法 では 軟 弱 地 盤 である 前 提 で 建 物 を 設 計 する 場 合 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 における 必 要 壁 量 が 1.5 倍 になるなど 軟 弱 地 盤 でない 場 合 に 比 べ 大 幅 に 高 い 耐 震 性 能 が 必 要 になる 参 考 ) 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 ( 構 造 耐 力 上 必 要 な 軸 組 等 ) 第 4 項 いわゆる 壁 量 計 算 に 関 する 記 述 4 ( 中 略 )( 特 定 行 政 庁 が 第 88 条 第 2 項 の 規 定 によつて 指 定 した 区 域 内 における 場 合 においては 表 二 に 掲 げる 数 値 のそれぞれ 一 五 倍 とした 数 値 )( 以 降 略 ) 軟 弱 地 盤 である 場 合 必 要 壁 量 を1.5 倍 にする 事 を 示 す 参 考 ) 建 築 基 準 法 施 行 令 第 88 条 ( 地 震 力 ) 第 2 項 構 造 計 算 における 地 震 力 の 計 算 に 関 する 記 述 2 標 準 せん 断 力 係 数 は 〇 二 以 上 としなければならない ただし 地 盤 が 著 しく 軟 弱 な 区 域 として 特 定 行 政 庁 が 国 土 交 通 大 臣 の 定 める 基 準 に 基 づいて 規 則 で 指 定 する 区 域 内 における 木 造 の 建 築 物 ( 第 四 十 六 条 第 二 項 第 一 号 に 掲 げる 基 準 に 適 合 するものを 除 く )にあつては 〇 三 以 上 としなければならない 軟 弱 地 盤 である 場 合 地 震 力 を1.5 倍 (0.3 0.2)にする 事 を 示 す 平 成 28 年 熊 本 地 震 で 住 宅 の 被 害 が 多 く 見 られた 益 城 町 は 被 災 地 の 一 部 地 区 の 地 盤 は 軟 弱 地 盤 相 当 であった 可 能 性 が 指 摘 されている 仮 に 設 計 が 軟 弱 地 盤 でない 前 提 である 状 態 で 実 際 には 軟 弱 地 盤 の 状 態 であったならば 建 物 の 耐 力 が 不 足 し 想 定 ( 軟 弱 地 盤 でない 想 定 ) 以 上 の 被 害 が 発 生 した 可 能 性 が 考 えられる 要 因 ホ 熊 本 の 地 震 地 域 係 数 が 0.9 であった 建 築 基 準 法 では 通 称 地 震 地 域 係 数 として 地 域 ごとに 地 震 の 頻 度 を 考 慮 した 上 で 地 震 力 に 乗 じて 低 減 する 値 を 定 めている 低 減 しない 場 合 の 通 常 の 値 が 1.0 であるのに 対 し 値 が 小 さい ほど 耐 震 性 能 を 低 減 させてもよい 事 を 示 してい る ( 地 震 地 域 係 数 は 建 築 基 準 法 における 許 容 応 力 度 計 算 を 含 む 構 造 計 算 や 耐 震 等 級 における 地 震 力 の 算 定 に 用 いられるが 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 では 使 用 されない) 熊 本 県 は 地 震 の 発 生 頻 度 が 低 いとされ 0.8 ~ 0.9 と 定 められている このことにより 地 震 に 対 する 安 全 性 の 認 識 を 低 め 耐 震 性 能 が 低 い 建 物 が 多 く 存 在 していた 可 能 性 が 考 えられる 要 因 ヘ 設 計 上 の 配 慮 不 足 建 築 基 準 法 では 規 定 されていないが 設 計 上 考 慮 すべきとされている 次 の 検 討 が 行 われていな い 物 件 が 見 られた バルコニーの 張 り 出 し 部 分 等 が 考 慮 されていない 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 では 各 階 の 必 要 壁 量 を 計 算 するにあたり 各 階 の 床 面 積 をもとにしている (この 計 算 の 考 え 方 は 床 面 積 によって 建 物 の 重 量 およびそれか ら 求 める 地 震 力 を 推 定 し 必 要 壁 量 を 導 き 出 す というもの)しかし 床 面 積 に バルコニ ー 張 り 出 し 部 分 やオーバーハング 吹 抜 ポーチを 含 める 事 にはなっていない 例 えば バルコニーが1 階 の 外 周 線 より 張 り 出 している 場 合 実 際 は 1 階 にその 荷 重 が かかってくるはずだが 前 述 の 通 りバルコニー 張 り 出 し 部 分 は1 階 の 床 面 積 に 含 めること になっていないため 1 階 床 面 積 から 求 める1 階 の 必 要 壁 量 が 少 なくなり 結 果 的 に1 階 の 壁 量 が 充 分 でなくなる 可 能 性 が 考 えられる 7

柱 や 壁 ( 耐 力 壁 )の 上 下 階 での 直 下 率 が 低 い( 直 下 率 : 上 階 の 壁 柱 の 直 下 に 下 階 の 壁 柱 が 存 在 する 割 合 )2 階 の 壁 や 柱 の 直 下 に 1 階 の 壁 や 柱 をできるだけ 配 置 することが 構 造 設 計 上 は 望 ましい しかし 平 面 計 画 上 の 要 望 を 優 先 するために 2 階 の 壁 や 柱 の 直 下 に 1 階 の 壁 や 柱 が 少 ない 建 物 も 見 られた このような 建 物 は 地 震 を 受 けた 場 合 に より 大 きな 負 担 が 床 や 梁 にかかる 恐 れがあるが 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 ではここまでは 規 定 されていない 筋 かいの 向 きが 偏 っている 筋 かいの 向 きは 通 常 異 なる 向 きの 筋 かいが 対 になるように 設 計 するが 向 きが 偏 って いる 住 宅 が 見 られた このような 状 態 では 地 震 動 の 方 向 によっては 設 計 上 の 耐 震 性 が 発 揮 できず 大 きな 被 害 を 受 ける 可 能 性 が 考 えられる 要 因 ト 耐 震 要 素 が 適 切 に 設 計 施 工 されていなかった 可 能 性 個 別 の 建 物 の 倒 壊 物 件 の 分 析 では 次 のような 状 況 が 見 られた 倒 壊 や 損 傷 の 直 接 的 な 原 因 で あったかは 不 明 であるが 耐 震 性 能 の 低 下 を 招 いていた 可 能 性 が 考 えられる 構 造 用 合 板 耐 力 壁 を 施 工 困 難 な 位 置 に 設 計 ( 仮 に 施 工 不 良 の 場 合 床 倍 率 や 耐 震 等 級 2を クリアできなくなる 可 能 性 がある) 筋 かい 端 部 の 金 物 の 取 付 不 良 ( 漏 れ) 筋 かいに 切 り 欠 き 8

まとめ 平 成 28 年 熊 本 地 震 は 現 行 の 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )の 施 行 から 16 年 が 経 過 した 2016 年 に 発 生 した 現 行 基 準 で 建 築 された 住 宅 が 十 分 に 存 在 している 状 況 で 発 生 した 地 震 といえる いわば 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )の 耐 震 性 が 試 された 初 めての 大 規 模 な 地 震 となった 現 行 の 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )の 建 物 は 大 規 模 の 地 震 動 に 対 して 倒 壊 しないことを 想 定 している が 1 回 目 の 地 震 動 ( 今 回 の 場 合 は 前 震 )で 耐 震 性 能 が 大 幅 に 減 少 し 2 回 目 以 降 の 大 地 震 動 ( 今 回 の 場 合 は 本 震 )で 倒 壊 に 至 る 可 能 性 を 示 した 今 後 より 詳 細 な 分 析 調 査 等 により 耐 震 基 準 の 見 直 しも 議 論 されると 思 われるが これに 対 して 耐 震 等 級 3 の 耐 震 性 能 の 建 物 は 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )の 1.5 倍 の 地 震 動 に 耐 える 設 計 基 準 を 示 し ている 設 計 者 がすぐにでもできることとしては 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )は 最 低 レベルの 耐 震 性 の 確 保 でしかないことを 認 識 し 今 後 も 大 規 模 の 地 震 動 の 発 生 の 可 能 性 を 想 定 すれば まずは 自 己 評 価 でもよいので 耐 震 等 級 3または 荷 重 や 耐 力 を 精 緻 に 計 算 可 能 な 許 容 応 力 度 計 算 による 設 計 を 行 うこと が 人 命 や 住 宅 の 被 害 を 減 らすことにつながると 言 える 以 下 に 今 後 の 被 害 を 防 ぐための 具 体 的 な 対 策 を 提 案 する 品 確 法 耐 震 等 級 3 相 当 を 目 標 に 設 計 する 大 規 模 の 地 震 動 が 複 数 回 来 ても 木 造 住 宅 が 倒 壊 崩 壊 を 免 れるために 耐 震 等 級 3を 目 標 に 設 計 する 耐 震 等 級 3が 想 定 する 大 規 模 の 地 震 動 の 1.5 倍 の 地 震 力 で 倒 壊 崩 壊 しない 設 計 施 工 となっていれば 耐 震 性 能 に 余 裕 が 生 まれ 今 回 の 地 震 のように 震 度 7クラスの 地 震 が 複 数 回 発 生 して 仮 にその 過 程 で 建 物 にダメージが 蓄 積 されて 耐 震 性 能 が 低 下 したとしても 倒 壊 や 崩 壊 を 免 れ 住 宅 の 目 的 である 生 命 と 財 産 を 守 れる 可 能 性 が 高 い 耐 震 等 級 3 にするために 新 築 時 に 発 生 するコストは 安 全 性 や 将 来 の 被 災 時 の 復 旧 コストを 考 えれば 充 分 に 意 義 がある 技 術 的 にも 特 殊 な 技 術 や 部 材 が 無 くても 設 計 施 工 が 充 分 可 能 である 品 確 法 耐 震 等 級 1 = 建 築 基 準 法 品 確 法 耐 震 等 級 2 = 建 築 基 準 法 の 1.25 倍 品 確 法 耐 震 等 級 3 = 建 築 基 準 法 の 1.50 倍 2 階 建 て 以 下 の 木 造 住 宅 でも 許 容 応 力 度 計 算 ( 構 造 計 算 )を 行 う 2 階 建 て 以 下 の 木 造 住 宅 の 多 くは 建 築 基 準 法 第 6 条 第 1 項 第 4 号 で 規 定 する 4 号 建 築 物 であ る 4 号 建 築 物 は いわゆる 4 号 特 例 により 確 認 申 請 時 において 構 造 安 全 性 チェックであ る 構 造 計 算 の 審 査 や 図 書 提 出 を 簡 略 化 することが 認 められている これにより 実 質 的 には 構 造 安 全 性 チェックに 必 要 な 計 算 は 壁 量 計 算 壁 配 置 ( 四 分 割 法 または 偏 心 率 ) 柱 頭 柱 脚 接 合 部 (N 値 計 算 )などを 行 えばよいことになっている しかし これらの 計 算 は 構 造 計 算 に 比 べて 大 幅 に 略 算 的 なものであり 建 物 全 体 を 見 て 構 造 的 に 弱 い 部 分 を 精 緻 に 把 握 できない 一 方 3 階 建 ての 木 造 住 宅 では 許 容 応 力 度 計 算 ( 構 造 計 算 )が 義 務 化 されている この 許 容 応 力 度 計 算 は 4 号 建 築 物 である 2 階 建 て 以 下 の 木 造 住 宅 でも 適 用 できる 構 造 安 全 性 チェックであり 建 物 の 荷 重 やその 伝 達 各 部 位 の 耐 力 を 正 確 に 計 算 できるため 構 造 的 な 弱 点 を 詳 細 に 検 討 し より 高 い 安 全 性 を 担 保 す ることができる したがって 2 階 建 て 以 下 の 木 造 住 宅 に おいても 許 容 応 力 度 計 算 を 行 うことが 望 ましい 梁 せ い 算 定 や 基 礎 の 配 筋 についても スパン 表 ではなく 許 容 応 力 度 計 算 を 行 えば より 精 緻 な 設 計 が 可 能 になる 9

水 平 構 面 の 検 定 を 行 う 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 などでは 水 平 構 面 ( 床 面 や 屋 根 面 )に 関 する 検 定 は 行 ってい ない それに 対 し 耐 震 等 級 2 耐 震 等 級 3および 許 容 応 力 度 計 算 では 必 須 となっている 重 要 な 検 定 項 目 の 一 つである 水 平 構 面 の 検 討 が 重 要 である 理 由 は 地 震 力 や 風 圧 力 などの 水 平 力 を 各 耐 力 要 素 ( 主 に 耐 力 壁 )に 均 等 に 伝 えるためには 水 平 構 面 の 剛 性 が 確 保 されていることが 必 要 になる からである また 壁 線 の 間 隔 が 大 きい 場 合 や 水 平 構 面 の 剛 性 が 充 分 でない 場 合 水 平 力 がかか った 時 に 水 平 構 面 が 変 形 する 恐 れがあり このような 被 害 を 防 ぐためにも 水 平 構 面 の 検 定 を 行 う べきである したがって 水 平 構 面 の 検 定 が 含 まれる 耐 震 等 級 2 耐 震 等 級 3( 共 に 床 倍 率 として 検 定 耐 力 壁 線 間 距 離 は 8m 以 下 ) あるいは 許 容 応 力 度 計 算 のいずれかを 行 うべきである 壁 量 充 足 率 を 1.50 以 上 にする 強 化 新 耐 震 基 準 (2000 年 )で 建 てられた 建 物 であっても 壁 量 計 算 の 基 準 をギリギリでクリア( 壁 量 充 足 率 1.00~1.10 程 度 )しているような 建 物 は 大 規 模 の 地 震 動 により 倒 壊 する 恐 れがある 壁 量 は 余 裕 のある 設 計 つまり 壁 量 充 足 率 を 1.50 以 上 にするべきである 軟 弱 地 盤 が 疑 われる 場 合 軟 弱 地 盤 割 増 として 地 震 力 を 1.5 倍 する たとえ 特 定 行 政 庁 から 軟 弱 地 盤 と 指 定 されていなくても 設 計 者 は 地 盤 調 査 の 結 果 や 過 去 の 地 形 や 地 震 の 記 録 を 調 べて 軟 弱 地 盤 であることが 疑 われる 場 合 は 軟 弱 地 盤 として 計 算 するべきであ る 具 体 的 には 次 の 通 り 建 築 基 準 法 施 行 令 第 46 条 の 壁 量 計 算 : 必 要 壁 量 を 1.5 倍 する 品 確 法 耐 震 等 級 : 必 要 壁 量 を 1.5 倍 する 許 容 応 力 度 計 算 : 地 震 力 を 1.5 倍 にする ( 標 準 せん 断 力 係 数 C0を 0.2 から 1.5 倍 の 0.3 へ 変 更 する) これにより 万 一 軟 弱 地 盤 による 地 震 力 の 増 幅 が 発 生 したとしても 建 物 の 倒 壊 や 崩 壊 を 免 れる 可 能 性 が 高 くなる また 仮 に 液 状 化 や 地 盤 沈 下 が 発 生 したとしても 倒 壊 崩 壊 を 免 れれば 建 物 が 傾 斜 する 程 度 で 済 み 生 命 や 財 産 を 守 れる 可 能 性 が 高 くなる 地 震 地 域 係 数 を 1.0 で 計 算 する 今 回 のように 地 震 地 域 係 数 が 0.9 と 定 められていた 熊 本 地 域 でも 大 規 模 な 地 震 動 が 頻 発 した 事 は 日 本 全 国 において 例 外 無 く 同 様 の 大 地 震 に 備 える 必 要 があることを 示 唆 している 日 本 全 国 いずれの 地 域 でも 地 震 地 域 係 数 を 1.0 で 計 算 するべきである 壁 や 柱 の 直 下 率 を 上 げる 建 築 基 準 法 のみで 検 討 する 場 合 は 2 階 の 壁 や 柱 の 直 下 に 1 階 の 壁 や 柱 をできるだけ 配 置 すること が 構 造 設 計 上 は 望 ましい ( 推 奨 値 : 柱 直 下 率 60% 以 上 壁 直 下 率 65% 以 上 ) しかし 平 面 計 画 上 の 要 望 を 優 先 するために 2 階 の 壁 や 柱 の 直 下 に 1 階 の 壁 や 柱 が 少 ない 建 物 も 多 く 見 受 けられる このような 建 物 は 地 震 を 受 けた 場 合 に 床 や 梁 により 大 きな 負 担 がかかる 恐 れがあるが 建 築 基 準 法 ではここまでは 規 定 されていない 10

脚 注 ( 国 研 )は 国 立 研 究 開 発 法 人 の 略 称 ( 公 財 )は 公 益 財 団 法 人 の 略 称 ( 注 1) 出 典 : 地 震 被 害 の 概 要 内 閣 府 熊 本 県 熊 本 地 方 を 震 源 とする 地 震 に 係 る 被 害 状 況 等 について http://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/index.html 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 県 熊 本 地 方 を 震 源 とする 地 震 に 係 る 被 害 状 況 等 について ( 平 成 28 年 6 月 7 日 16:30 現 在 ) http://www.bousai.go.jp/updates/h280414jishin/pdf/h280414jishin_30.pdf 気 象 庁 震 度 データベース 検 索 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/index.php ( 国 研 ) 防 災 科 学 技 術 研 究 所 2016 年 04 月 14 日 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 による 強 震 動 平 成 28 年 5 月 9 日 14 時 13 分 http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20160414212621/main_20160414212621.html 2016 年 04 月 16 日 平 成 28 年 (2016 年 ) 熊 本 地 震 による 強 震 動 平 成 28 年 5 月 27 日 15 時 00 分 http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20160416012405/main_20160416012405.html ( 注 2) 出 典 : 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 について 国 土 交 通 省 住 宅 建 築 物 の 耐 震 化 について 1 建 築 基 準 法 の 耐 震 基 準 と 耐 震 化 の 必 要 性 について http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html ( 注 3) 出 典 : 建 築 基 準 法 品 確 法 の 耐 震 等 級 が 想 定 する 地 震 について 建 築 基 準 法 施 行 令 第 88 条 第 3 項 ( 公 財 ) 日 本 住 宅 木 材 技 術 センター 2015 年 版 木 造 住 宅 のための 住 宅 性 能 表 示 - 基 本 編 - - 構 造 編 - - 申 請 編 - ( 平 成 27 年 10 月 第 5 版 ) 構 造 編 P.6 平 成 13 年 国 土 交 通 省 告 示 第 1346 号 ( 最 終 改 正 : 平 成 18 年 国 土 交 通 省 告 示 第 1129 号 ) 日 本 住 宅 性 能 表 示 基 準 別 表 1( 新 築 住 宅 に 係 る 表 示 すべき 事 項 等 ) http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/061001hyouji.pdf ( 注 4) 出 典 参 考 : 前 震 と 本 震 の 住 宅 の 被 害 について 熊 本 県 平 成 28 年 熊 本 地 震 に 関 する 災 害 対 策 本 部 会 議 資 料 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15459.html ( 注 5) 参 考 資 料 : 地 震 を 受 けた 建 物 の 耐 震 性 能 の 低 下 について 日 経 BP 社 日 経 アーキテクチュア 2016 年 6 月 9 日 号 P.17 NHK サイエンス ZERO 緊 急 報 告 熊 本 地 震 ~ 被 害 解 明 に 挑 む~ (2016 年 5 月 1 日 放 映 ) 内 容 ( 概 要 ) 2005 年 11 月 に( 国 研 ) 防 災 科 学 技 術 研 究 所 の 兵 庫 耐 震 工 学 研 究 センター E ディフェンス ( 兵 庫 県 三 木 市 )で 行 われた 実 大 建 物 振 動 台 実 験 の 一 部 が 収 録 されている 実 験 の 概 要 耐 震 性 能 が 異 なる 次 の2 物 件 に 対 して 震 度 7 の 地 震 動 (JR 鷹 取 波 )を 2 回 加 える 実 験 旧 耐 震 基 準 (1981 年 以 前 ) 相 当 の 建 物 ( 耐 震 診 断 の 評 点 :0.50 倒 壊 する 可 能 性 が 高 い ) 新 耐 震 基 準 (1981 年 ) 相 当 の 建 物 ( 耐 震 診 断 の 評 点 :1.84 倒 壊 しない ) 詳 細 は 下 記 の 防 災 科 学 技 術 研 究 所 の 資 料 を 参 照 ( 国 研 ) 防 災 科 学 技 術 研 究 所 実 験 の 映 像 (2005 年 11 月 付 )http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/movie-detail.html#2 実 験 の 概 要 (2005 年 11 月 21 日 付 )http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/pdf/20051121.pdf 平 成 17 年 度 大 都 市 大 震 災 軽 減 化 特 別 プロジェクトⅡ 木 造 建 物 実 験 ー 震 動 台 活 用 による 構 造 物 の 耐 震 性 向 上 研 究 - ( 平 成 20 年 3 月 )http://dil-opac.bosai.go.jp/publication/nied_tech_note/pdf/n320.pdf 木 造 建 物 実 験 の 評 点 について ( 平 成 26 年 6 月 2 日 付 ) 評 点 の 修 正 資 料 http://www.bosai.go.jp/hyogo/research/movie/pdf/20140602.pdf ( 注 6) 出 典 : 地 震 動 の 周 期 について 筑 波 大 学 境 有 紀 教 授 ( 筑 波 大 学 システム 情 報 系 教 授 ) 熊 本 地 震 (4/16 01:25)における KiK-net 益 城, 益 城 町 宮 園 震 度 計 と 過 去 の 強 震 記 録 との 比 較 (2016 年 4 月 27 日 付 ) http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakai/kmm_hk2_jp.htm 日 経 BP 社 日 経 アーキテクチュア 2016 年 6 月 9 日 号 P.12 ( 注 7) 出 典 参 考 : 震 度 階 級 計 測 震 度 について 気 象 庁 気 象 庁 震 度 階 級 関 連 解 説 表 ( 平 成 21 年 3 月 31 日 運 用 開 始 )http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/shindo/kaisetsu.html 計 測 震 度 の 算 出 方 法 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/kaisetsu/calc_sindo.htm 平 成 28 年 熊 本 地 震 調 査 報 告 ( 木 造 住 宅 ) 著 作 / 発 行 2016 年 6 月 23 日 作 成 記 載 内 容 の 複 写 複 製 (コピー 等 )を 禁 じます 株 式 会 社 インテグラル 株 式 会 社 インテグラルテクノロジー 茨 城 県 つくば 市 東 2-31-18 11 電 話 :029-850-3331