−à‡Æ’ifiW†i‡P†j.ai

Similar documents
5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

人 間 ドックコース( 脳 検 査 がん 検 査 含 む) 298,000 円 / 税 込 その 他 肥 満 症 やせ 症 高 / 低 血 圧 近 視 乱 視 白 内 障 緑 内 障 網 膜 疾 患 外 部 の 音 を 遮 断 したブースで 音 を 聞 き 取 って 調 難 聴 腹 部 超 音 波

診療行為コード

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される

Microsoft PowerPoint - K-net秦提出用改.ppt [互換モード]

10w.xdw

Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx

5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震


4 ぼうこう又は直腸機能障害

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

Microsoft Word - 1表紙.doc

Taro-条文.jtd

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

現 地 調 査 では 火 口 周 辺 の 地 形 や 噴 気 等 の 状 況 に 変 化 は 見 られませんでした また 赤 外 熱 映 像 装 置 5) による 観 測 では 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

各論_1章〜7章.indd

1章A_責了.indd

佐渡市都市計画区域の見直し

研修計画

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

KINGSOFT Office 2016 動 作 環 境 対 応 日 本 語 版 版 共 通 利 用 上 記 動 作 以 上 以 上 空 容 量 以 上 他 接 続 環 境 推 奨 必 要 2

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

表紙

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

Taro-iryouhoken

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

認 定 看 護 師 専 門 看 護 師 集 中 ケア 新 生 児 集 中 ケア A 呼 吸 ケアチーム 加 算 150 点 呼 吸 ケアチームの 設 置 救 急 看 護 小 児 救 急 看 護 慢 性 呼 吸 器 疾 患 看 護 急 性 重 症 患 者 看 護 A 247 認 知 症

○00表紙

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

PowerPoint プレゼンテーション

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

●電力自由化推進法案


1 狭 あい 道 路 等 整 備 事 業 について 1-1 はじめに 私 たちが 安 心 して 安 全 に 暮 らしていくうえで, 道 は 重 要 な 役 割 を 担 っています しかし, 道 が 狭 いと, 日 照 通 風 等 の 確 保 が 難 しいといった 住 環 境 の 面 だけでなく, 災

<819A B8B975E8CF6955C2E786C73>

Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

平成24年度 福島県患者調査の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課 保健統計室:H )

乳癌は女性にとって 身近な病気です

Microsoft PowerPoint - )大腸癌をお受けになる方に図(南堺_更新用 [互換モード]

2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け

Microsoft Word - 目次.doc

Microsoft Word 菊地

HIV感染防止マニュアル(出力用).indd

目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

光 輪 はさみこども 園 学 校 保 健 安 全 法 ( 第 19 条 )に 準 ずる(H24.4 改 定 ) 病 名 感 染 しやすい 期 間 登 園 のめやす 症 状 ( 発 熱 全 身 症 状 呼 吸 器 症 状 )がある 期 間 インフルエンザ ( 発 症 前 24 時 間 ~ 発 病 後

Microsoft Word - 膵臓癌ホームページ用.doc

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

Microsoft Word - A04◆/P doc

大 腸 がん 術 後 内 服 化 学 療 法 連 携 1コース~3コース 大 腸 がん 術 後 内 服 化 学 療 法 連 携 4コース 以 降 拠 点 病 院 への 紹 介 基 準 : 食 事 が 入 らないとき 腫 瘍 マーカー 上 昇 時 発 熱 時 処 方 拠 点 病 院 への 紹 介 基

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

Microsoft Word - 通知 _2_.doc

EST_  H.8.6.

Microsoft Word - 2章.doc


為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

東北電力株式会社 東通原子力発電所 敷地の地質・地質構造 (コメント回答)

地域支援心理研究センター 紀要 第10号

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

ひろっぱ355号2月Web用に.indd

別紙3

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

プレス発表に関する手引き

4. 手 術 により 期 待 される 効 果 手 術 は 直 腸 癌 に 対 する 治 療 として 最 も 確 実 な 方 法 とされていますが これに よりすべての 直 腸 癌 が 治 癒 するわけではありません 肉 眼 的 にすべての 癌 が 取 り 除 けた 場 合 でも 目 には 見 えない

δ

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

Microsoft Word - nagekomi栃木県特定医療費(指定難病)支給認定申請手続きのご案内 - コピー

< F2D817995DB94AD D8691E6328D86817A96BE8DD78F91>

-4- 他 照 射 録 診 療 放 射 線 技 師 は 放 射 線 を 人 体 に 対 して 照 射 したときは 遅 滞 なく 必 要 事 項 を 記 載 した 照 射 録 を 作 成 し その 照 射 について 指 示 をした 医 師 又 は 歯 科 医 師 の 署 名 を 受 けているか ( 診

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

目  次

PowerPoint プレゼンテーション

①表紙

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

北海道医療大学歯学部シラバス

公表表紙

Microsoft Word - conference

3 保 険 料 ( 掛 金 )を 納 めていること 原 則 として 初 診 日 月 前 々 月 まで 国 民 年 金 加 入 期 間 全 体 うち 3 分 2 以 上 きち んと 納 めている( 保 険 料 免 除 期 間 も 含 む)ことが 必 要 です 現 在 は 特 例 として 初 診 日 が

Transcription:

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 一 回 乳 癌 の 発 癌 と 進 展 ( 1 ) これから 数 回 にわたり 乳 癌 の 発 癌 の 過 程 と 進 展 について 具 体 的 にお 話 します (1) 乳 腺 の 幹 細 胞 図 のように ヒトの 乳 腺 ではブドウの 房 の ような 小 葉 ( 腺 房 ) 内 で 乳 汁 が 産 生 され 乳 管 を 通 って 乳 管 口 から 母 乳 として 排 出 されます これらの 表 面 は 乳 腺 上 皮 細 胞 ( 乳 管 上 皮 または 腺 房 上 皮 )が 覆 っています 完 全 に 成 熟 した 授 乳 が 可 能 になるまでに 分 化 した 乳 腺 上 皮 組 織 は 単 一 の 幹 細 胞 から 発 生 すると 考 えられま す 思 春 期 おび 青 年 期 の 女 性 の 乳 腺 は 発 癌 刺 激 に 対 する 感 受 性 が 最 も 高 く 乳 腺 の 幹 細 胞 数 が 最 も 多 く 幹 細 胞 ないし 前 駆 体 細 胞 は 発 癌 ( 形 質 転 換 ) 刺 激 の 目 標 となります 幹 細 胞 は 長 命 であるために 1つ 以 上 のオンコジン 突 然 変 異 を 蓄 積 しやすいといわれています 乳 管 性 および 小 葉 前 癌 病 変 は 終 末 乳 管 腺 房 単 位 ( 乳 管 の 末 端 )の 幹 細 胞 から 発 生 すると 考 えらています すなわち 乳 癌 の 発 癌 は 突 然 変 異 した 成 熟 幹 細 胞 に 起 源 をもつ 癌 幹 細 胞 に よりドライブされ 正 常 の 自 己 複 製 の 脱 調 節 であると 考 えられます 形 質 転 換 した 乳 腺 幹 細 胞 / 前 駆 体 細 胞 は 異 常 の 分 化 過 程 を 受 け 乳 癌 にみられる 表 現 型 の 多 様 性 を 発 生 するが 正 常 の 幹 細 胞 のもつ 分 化 の 機 能 的 性 格 をある 程 度 維 持 します この 中 間 の 所 謂 前 癌 状 態 の 過 形 成 異 型 性 増 殖 な どと 呼 ばれる 乳 腺 上 皮 細 胞 の 異 常 な 変 化 が 乳 腺 症 の 一 部 にみられ 乳 癌 に 移 行 す るリスクが 高 まります したがって 乳 腺 症 という 診 断 の 場 合 には 要 注 意 で 追 跡 調 査 が 必 要 です (2) 乳 癌 の 発 生 と 種 類 図 に 示 すように 乳 管 に 発 生 した 場 合 に" 乳 管 癌 " 小 葉 に 発 生 した 場 合 に" 小 葉 癌 " と 呼 びます 前 者 が 圧 倒 的 に 多 く 乳 癌 の90% 以 上 を 占 めます 稀 に 乳 管 開 口 部 付 近 に 発 生 した 場 合 には パジェット 病 と 呼 びます これは 乳 頭 ( 乳 首 )の 表 面 が 糜 爛 状 になることが 特 徴 です 乳 癌 の 増 殖 が 乳 管 内 あるいは 小 葉 内 にとどまっている 場 合 には" 非 浸 潤 癌 "とよび ます 乳 管 の 基 底 膜 を 破 壊 し 乳 管 外 に 浸 潤 した 場 合 には' 浸 潤 癌 "とよびます

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 三 回 乳 癌 の 発 癌 と 進 展 ( 3 ) (4) 浸 潤 癌 と 乳 癌 の 進 展 乳 管 の 基 底 膜 を 破 壊 し 乳 管 外 に 浸 潤 した 乳 癌 は 局 所 の 周 囲 組 織 への 直 接 浸 潤 リンパ 行 性 転 移 血 行 性 転 移 として 進 展 します (a) 局 所 進 展 は はじめは 乳 腺 の 乳 管 外 の 間 質 組 織 ( 脂 肪 組 織 )に 広 がりま す 乳 癌 自 体 の 性 格 と 間 質 ( 宿 主 側 の 性 格 )の 相 互 の 関 係 により 癌 の 境 界 が はっきりした 球 形 やラグビ-の 球 のような 楕 円 体 から ブロッコリ-のよう な 凸 凹 の 形 さらには 松 の 根 が 延 びていくような 浸 潤 形 まで 種 々ありま す したがって 乳 癌 が"しこり"として 触 れる 場 合 も パチンコの 玉 金 平 糖 のような 形 から はっきりとした"かたまり"ではなく 境 界 が 鮮 明 でない あまり 堅 くない 硬 結 として 触 れるようなものまで 種 々 雑 多 です これらは 病 理 学 的 ( 顕 微 鏡 で 観 察 したとき)には それぞれ 充 実 腺 管 癌 乳 頭 腺 管 癌 および 硬 癌 であることが 多 いようです このような 組 織 型 の 違 いは 癌 の 性 格 にある 程 度 関 係 し 乳 癌 の 再 発 や 死 亡 に 関 係 しています なお 病 理 学 的 に は 特 殊 型 として 粘 液 癌 髄 様 癌 小 葉 癌 などがあります 局 所 進 展 として 乳 癌 の 浸 潤 が 皮 下 脂 肪 組 織 やク-パ- 靭 帯 ( 乳 腺 組 織 を 皮 下 や 乳 腺 内 で 吊 り 上 げている 線 維 )に 及 ぶと その 表 面 の 皮 膚 や 乳 頭 が 牽 引 され 皮 膚 陥 凹 や 乳 頭 陥 凹 といった 症 状 が 出 てきます その 初 期 には えくぼ 症 状 (dimpling)として 親 指 と 人 差 指 で"しこり"の 表 面 を 軽 く 寄 せる と 中 央 部 にしわがよります これは 乳 癌 の 診 断 法 として 昔 から 有 名 なも のです さらに 乳 癌 の 浸 潤 が 皮 膚 に 直 接 達 すると 皮 膚 浸 潤 皮 膚 の 潰 瘍 が 形 成 されます 特 殊 なものに 皮 膚 全 体 が 発 赤 腫 脹 し オレンジの 皮 の 様 になる 炎 症 性 乳 癌 がありますが 癌 細 胞 が 皮 下 の 毛 細 血 管 やリンパ 管 に 侵 入 塞 栓 するためで 予 後 ( 生 存 率 )が 非 常 に 悪 いものです 乳 癌 の 浸 潤 が 乳 房 の 下 部 の 筋 肉 胸 壁 に 浸 潤 すると 乳 房 が 胸 壁 に 固 定 され さらに 進 むと 胸 膜 に 達 し または 胸 壁 全 体 が 鎧 (よろい)のように なります 特 殊 な 乳 癌 に 乳 頭 の 乳 管 開 口 部 に 発 生 したパジェット(Paget) 病 があり ます 乳 頭 部 が 発 赤 落 屑 し 湿 疹 のようにただれて 糜 爛 や 潰 瘍 となり 滲 出 液 や 血 液 がみられます 乳 腺 内 にはリンパ 管 血 管 が 網 状 に 豊 富 に 分 布 し 間 質 に 浸 潤 した 癌 細 胞 はリンパ 管 血 管 内 に 侵 入 し 転 移 します

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 四 回 乳 腺 外 来 で の 診 断 の 進 め 方 このような 乳 癌 をどのように 発 見 診 断 するべきでしょうか 女 性 が 乳 房 に 関 して 病 院 を 訪 れる 理 由 を 考 えてみましょう 1) 異 常 はないが 乳 癌 が 心 配 2) 違 和 感 3) 痛 み 4)しこり ( 腫 瘤 ) 5) 乳 頭 から 血 液 水 様 乳 汁 様 の 分 泌 液 がでる などでしょう 1)~3)の 場 合 は 乳 癌 である 可 能 性 は 非 常 に 少 ないですが 皆 無 でなく 乳 癌 の 検 診 の 目 的 も 自 覚 症 のない こ のような 時 期 に 発 見 しようとするわけです 一 方 閉 経 前 の 女 性 は 月 経 周 期 のホルモンの 周 期 的 変 化 により 乳 腺 も 変 化 し 月 経 ( 生 理 ) 前 に 膨 満 (はり) 痛 みや 違 和 感 が 生 じます 乳 腺 症 の 場 合 にはこのような 変 化 が 強 くなります このような 周 期 的 な 乳 腺 の 変 化 は 女 性 自 身 が 一 番 熟 知 しているので このような 変 化 以 外 の 症 状 の 出 現 が 重 要 です 痛 みは 急 性 乳 腺 炎 でも 起 こります 産 褥 時 の 乳 汁 の 排 出 が 不 十 分 のために 乳 汁 がうっ 滞 してお こるうっ 滞 性 乳 腺 炎 や 細 菌 が 感 染 しておこる 化 膿 性 乳 腺 炎 があります 皮 膚 の 発 赤 腫 脹 熱 感 疼 痛 の 症 状 は 炎 症 性 乳 癌 でも 起 こりますので 注 意 が 必 要 です 4)の 腫 瘤 にも 乳 癌 だけでなく 種 々の 疾 患 があります 最 も 多 いものは 乳 腺 症 と 線 維 腺 腫 で す 乳 腺 症 は30 代 以 上 に 多 く 顆 粒 状 結 節 状 などと 表 現 されるような 多 発 性 またはびまん 性 硬 結 ですが 単 発 性 のこともあります 一 般 に 境 界 不 明 瞭 で 周 囲 の 乳 腺 組 織 より 堅 い 不 整 形 の 硬 結 として 触 れることが 多 いのですが 嚢 胞 の 場 合 には 孤 立 性 の 堅 い 腫 瘤 として 触 れます 両 側 生 のことが 多 いですが 一 側 生 のことも 少 なくありません 種 々の 程 度 の 疼 痛 を 伴 うことが 多 く 持 続 性 のことが 多 いですが 月 経 前 に 増 強 し 月 経 とともに 軽 減 する 周 期 的 であることが 多 いです このように 乳 腺 症 は 多 彩 な 症 状 を 示 し ときに 乳 癌 に 非 常 に 類 似 した 症 状 を 呈 します これ は 乳 腺 症 の 組 織 像 が 乳 腺 の 増 殖 委 縮 化 生 などよりなり 多 彩 で 変 化 に 富 んでいるためです 乳 腺 症 は 一 般 的 には 乳 癌 に 進 展 するリスクは 正 常 乳 腺 と 変 わらず 委 縮 性 のものではむしろ 少 な いのですが 増 殖 性 異 型 性 の 乳 腺 症 では 乳 癌 のリスク( 将 来 乳 癌 になる 確 率 )が 高 いことが 欧 米 だけでなく 私 共 の 研 究 でも 確 認 されていますので 注 意 が 必 要 です 線 維 腺 腫 は 若 年 の10 代 後 半 から40 歳 代 までに 好 発 する 良 性 の 腫 瘍 です 単 発 性 ときに 多 発 性 の 境 界 明 瞭 で 表 面 平 滑 の 可 動 性 の 腫 瘤 として 触 れます 癌 が 合 併 することや 癌 に 進 展 することは まれです その 他 多 くの 比 較 的 まれな 疾 患 を 含 めて 乳 がんであるかないか 乳 がんに 進 展 す る 疾 患 であるか 追 跡 を 要 する 疾 患 であるかを 区 別 する 必 要 があります 5) 乳 頭 からの 分 泌 とくに 一 側 性 の 血 性 異 常 分 泌 は 乳 管 内 の 乳 頭 腫 または 乳 癌 の 可 能 性 があ ります このような 訴 えに 対 して 視 診 触 診 マンモグラフィー 超 音 波 (エコー) 検 査 細 胞 診 生 検 などを 行 います 次 回 からは 乳 癌 の 診 断 に 関 して 述 べます

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 五 回 乳 癌 の 診 断 法 乳 癌 の 診 断 法 には 問 診 視 診 触 診 マンモグラフィー 超 音 波 (エコー) 検 査 細 胞 診 生 検 などがあります その 他 CT MRI PETなども 行 われます 1) 問 診 視 診 触 診 前 回 述 べましたような 様 々な 症 状 で 乳 腺 外 来 を 訪 れる 女 性 に 対 して どのような 対 応 を とるのでしょうか 問 診 まず 問 診 を 多 くの 場 合 にはアンケート 形 式 で 書 面 に 書 いてもらいますが さらに 詳 し く 質 問 をして 補 足 します これにより 乳 房 の 症 状 がどのようであるか いつから 始 まっ たか 例 えばしこり( 腫 瘤 )が 次 第 に 大 きくなったか しこりの 様 子 痛 みを 伴 うか 月 経 ( 生 理 ) 前 に 大 きくなり 張 ってくるかなどにより おおよその 見 当 がつきます また 年 齢 月 経 がいつ 始 まったか( 初 潮 ) いつ 終 わったか( 閉 経 ) 月 経 周 期 は 順 調 か 最 終 月 経 の 日 にち 妊 娠 出 産 児 数 初 産 年 齢 授 乳 は 十 分 であったか 乳 腺 の 病 気 ( 乳 腺 炎 乳 腺 症 繊 維 腺 腫 など)や 乳 腺 の 手 術 病 理 検 査 の 有 無 ホルモン 補 充 療 法 や 経 口 避 妊 薬 を 服 用 したことがあるか 家 族 に 乳 癌 に 罹 った 人 がいるか などを お 聞 きします これは 乳 癌 の 危 険 因 子 の 項 でお 話 しましたように 乳 癌 になりやすい 人 ( 高 危 険 群 )となりにくい 人 ( 低 危 険 群 )を 区 別 するのに 役 立 ちます 視 診 触 診 引 き 続 いて 診 察 を 行 います 私 は 座 位 ( 座 った 位 置 )と 診 察 台 に 仰 臥 位 ( 仰 向 けの 位 置 )で 診 察 します 場 合 により 両 手 を 挙 げた 位 置 でも 診 察 します これは 乳 房 の 下 部 の 筋 肉 ( 大 胸 筋 など)が 緊 張 したり 緩 んだりすることにより 乳 房 の 皮 膚 表 面 の 変 化 や 乳 房 内 部 のしこりの 様 子 が 変 化 し しこりを 触 れやすくなり しこりの 性 格 が 判 り 易 くなります しこりがあれば その 上 にマジックで 印 をつけ エコーやマンモグラフィ 検 査 の 時 のマーカーにします しこりがあれば その 性 状 を 詳 しく 調 べ 良 性 か 悪 性 かを 判 断 します その1つのめど を 表 に 挙 げています このような 手 順 で 診 察 し エコーやマンモグラフィ 検 査 が 必 要 で あるかどうかを 判 断 し これらの 検 査 を 行 います 悪 性 良 性 良 性 乳 癌 乳 腺 症 繊 維 腺 腫 好 発 年 齢 40~60 歳 30~45 歳 20~35 歳 皮 膚 変 化 早 期 なし なし なし 進 行 すると 陥 凹 ( 大 嚢 胞 では 青 色 浮 腫 発 赤 に 透 見 することあり) えくぼ 症 状 (dimpling) 乳 頭 変 化 時 に 陥 凹 びらん なし なし 乳 頭 分 泌 時 にあり 時 にあり なし ( 血 性 多 い) ( 乳 汁 様 多 い) 境 界 不 明 瞭 やや 不 明 瞭 明 瞭 表 面 凸 凹 不 平 顆 粒 状 やや 凸 凹 不 平 平 滑 腫 硬 度 硬 やや 硬 弾 性 あり やや 硬 ~ 硬 い 形 状 不 整 不 整 硬 結 球 形 卵 形 波 動 なし 大 嚢 胞 ではあり なし 瘤 癒 着 なし 出 現 なし なし 可 動 性 やや 良 不 良 良 好 良 好 多 発 性 少 ない 多 い または 両 側 性 時 にあり 圧 痛 稀 月 経 前 に 増 強 なし

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 六 回 乳 癌 の 診 断 法 乳 癌 を 発 見 診 断 するための 画 像 診 断 法 について 述 べます これにはマンモグラフィ 超 音 波 検 査 (エコーグラフィ) 乳 管 造 影 CT MRI,などがあります それぞれの 特 徴 や 得 意 の 面 をいかに 示 します 1)マンモグラフィ マンモグラフィは 従 来 は 乳 房 に 異 常 が 疑 われた 場 合 に 行 われていましたが 最 近 では 超 音 波 検 査 とともに 視 触 診 では 検 出 できないような 病 変 とくに 微 小 石 灰 化 が 検 出 可 能 のことがあり 一 次 診 断 としての 重 要 性 が 認 識 されるようになりました わが 国 でも 乳 癌 検 診 のスクリーニング 検 査 として 導 入 されています マンモグラフィは 低 エネルギー( 低 電 圧 )の 軟 X 線 を 用 います これは 乳 房 が 乳 腺 組 織 と 間 質 繊 維 組 織 の 正 常 組 織 とそれから 生 じる 悪 性 や 良 性 の 病 巣 のX 線 吸 収 値 の 差 が 少 なく コントラストが 少 ないため また 乳 房 への 被 爆 線 量 を 少 なくするような 専 用 の 撮 影 装 置 を 用 います したがって 胸 部 X 線 撮 影 装 置 などでは 代 用 できません また 高 感 度 高 コントラストのフィルムと 増 感 紙 を 使 用 します デジタル 画 像 処 理 も 行 われます 撮 影 は 通 常 両 側 乳 房 の2 方 向 撮 影 ( 頭 尾 方 向 と 内 外 斜 位 方 向 )が 行 われますが 検 診 な どでは 内 外 斜 位 方 向 のみのことがあります なお 撮 影 時 に 乳 房 をできるだけ 圧 迫 する ことにより 乳 房 の 厚 さを 減 らして 散 乱 X 線 を 減 少 し コントラストが 良 い 画 像 を 得 るよ うにします しかし 人 により 痛 みを 感 じることもありますので その 際 は 遠 慮 なく 痛 い と 言 ってください できるだけ 痛 くないようにします 圧 迫 スポット 撮 影 は 怪 しい 部 分 を 圧 迫 筒 を 用 いて 一 部 のみ 圧 迫 し 高 コントラスト 画 像 が 得 られ 診 断 能 力 が 向 上 します マンモグラフィ 診 断 上 重 要 なことは 正 常 乳 腺 の 状 態 が 個 人 により 著 しく 異 なること です とくに 年 齢 ( 閉 経 前 か 閉 経 後 か) 妊 娠 授 乳 の 有 無 月 経 周 期 などにより 乳 腺 実 質 の 密 度 と 脂 肪 組 織 の 量 的 関 係 が 異 なります 閉 経 前 の 若 い 女 性 では 乳 腺 実 質 が 皮 膚 直 下 まで 存 在 し 濃 度 密 度 が 高 く 乳 腺 はすりガラス 状 で 内 部 構 造 がわかりにくく マンモグラフィ 検 査 の 苦 手 とする 年 代 です したがって 乳 癌 検 診 でも40 歳 代 にはマン モグラフィとともに 超 音 波 検 査 の 併 用 が 進 められています 一 方 閉 経 後 の 高 齢 女 性 で は 乳 腺 実 質 が 退 縮 死 脂 肪 化 し 乳 房 全 体 は 透 過 性 が 増 し 梁 柱 構 造 が 網 状 にみられ 異 常 所 見 は 検 出 しやすくなります マンモグラフィの 所 見 として 腫 瘤 石 灰 化 乳 腺 実 質 や 皮 膚 の 様 子 をチェックします 千 四 腫 瘍 などの 良 性 の 腫 瘤 は 一 般 的 には 辺 縁 は 明 瞭 平 滑 (ときに 透 亮 帯 がみられま す)で 円 形 や 楕 円 形 のことが 多 く ときに 分 葉 状 のことがあります これに 対 して 乳 癌 の 腫 瘤 陰 影 は 円 形 であることは 少 なく 不 整 な 多 角 形 であり 境 界 は 不 明 瞭 や 鋸 歯 状 であることが 多 いですが どのような 形 でもありえます ときにスピキュラとよばれ る 腫 瘤 からウニのとげのような 放 射 線 状 の 線 状 陰 影 がみられ また 腫 瘤 陰 影 ないに 石 灰 化 がみられます マンモグラフィの 石 灰 化 像 にも 良 性 と 悪 性 があります 粗 大 な 石 灰 化 や 単 発 性 のもの は 良 性 ですが 乳 がんでは 微 細 な 石 灰 化 が 密 に 集 まったり 乳 管 に 沿 ったり 不 均 一 分 枝 状 多 形 性 などがみられます 重 要 なことは 触 診 では 検 出 されない 時 期 にマ ンモグラフィで 石 灰 化 が 認 められ そのうち 乳 癌 であることがしばしばあります これが 乳 癌 検 診 のポイントの 一 つです

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 七 回 乳 癌 の 診 断 法 2) 超 音 波 検 査 (エコーグラフィ) 超 音 波 検 査 は 探 触 子 (プローブ)により 体 表 面 から 超 音 波 を 発 射 し 乳 腺 組 織 内 から の 反 射 を 受 診 し 二 次 元 の 画 像 を 作 成 します 組 織 の 密 度 堅 さ 均 一 性 組 織 境 界 面 の 性 質 などにより 超 音 波 受 信 像 が 超 音 波 の 透 過 または 反 射 の 程 度 に 応 じて 種 々 表 現 さ れます マンモグラフィは 組 織 のX 腺 透 過 性 の 違 いに 基 づいた 検 査 であり 透 過 性 の 差 が 少 ないもの 同 士 では 分 離 表 示 しにくいのですが 超 音 波 検 査 ではX 腺 と 異 なった 超 音 波 による 組 織 の 構 造 の 変 化 たとえば 比 較 的 若 い 女 性 の 充 実 性 の 乳 腺 内 の 腫 瘍 嚢 胞 などが 明 瞭 に 表 現 されます また 拡 大 した 乳 管 の 状 況 も 判 明 します このように 超 音 波 検 査 とマンモグラフィは 異 なった 原 理 により 互 いに 補 完 する 検 査 であり 乳 癌 の 補 助 診 断 法 として 共 に 必 須 のものであります マンモグラフィは 乳 腺 組 織 全 体 を2 方 向 ( 場 合 により1 方 向 ) 撮 影 によりカバーできますが 超 音 波 検 査 は 部 分 的 な 撮 影 像 しか 得 られず 乳 腺 全 体 をカバーするにはやや 時 間 を 要 します しかし マンモグラフィは 軟 X 線 の 照 射 による 被 爆 がありますが 超 音 波 検 査 ではありません 超 音 波 上 乳 腺 内 に 腫 瘤 をみとめた 時 には その 形 辺 縁 の 性 状 縦 横 比 乳 腺 境 界 の 性 状 腫 瘤 内 部 エコー 後 方 エコー 境 界 エコー 周 囲 組 織 の 変 化 などにより 良 性 悪 性 の 鑑 別 を 行 います 3)CT(コンピュータ 断 層 撮 影 ) MRI( 核 磁 気 共 鳴 画 像 法 ) PET(ポ ジトロン 断 層 法 ) 造 影 ヘリカルCTはX 線 の 吸 収 の 差 を 利 用 して 断 面 像 を 作 成 します MRI 検 査 は 造 影 剤 を 用 い X 線 CTとは 異 なる 物 質 の 物 理 現 象 である 核 磁 気 共 鳴 現 象 を 利 用 し 画 像 を 作 成 します これらは 乳 癌 の 乳 管 内 進 展 や 多 発 病 巣 といった 乳 癌 の 進 展 範 囲 の 診 断 に 役 立 ち とくに 乳 房 温 存 療 法 の 切 除 範 囲 を 決 定 する 場 合 に 利 用 されています 石 灰 化 のみなどの 非 触 知 乳 癌 の 診 断 に 役 立 つ 可 能 性 はあります また 超 音 波 検 査 やマンモグラフィで 診 断 不 能 の 場 合 に 用 いられることがありま す CT 検 査 はMRIに 比 べて 検 査 体 位 (MRI: 腹 臥 位 CT: 仰 臥 位 )が 異 なり 検 査 時 間 が 短 く 被 爆 の 問 題 があるが 造 影 剤 の 血 流 動 態 を 用 いて 検 査 することは 同 様 であります これらは 比 較 的 高 価 であり スクリーニング 検 査 には 不 向 きであると 考 えられ ます PET 検 査 は 癌 細 胞 は 正 常 細 胞 に 比 べて 活 発 に 増 殖 し ブドウ 糖 を 多 く 必 要 とし 細 胞 内 に 取 り 込 むことを 利 用 して 放 射 能 標 識 ブドウ 糖 (FDG)を 注 射 し FDGはがん 組 織 に 集 積 し PETカメラで 全 身 を 撮 影 します 上 述 の 検 査 法 が 形 態 学 的 診 断 であるのに 対 して PETは 腫 瘍 組 織 の 代 謝 や 機 能 を 反 映 した 情 報 を 得 ることができます 解 像 力 がMRIなどに 比 べてやや 低 く 全 身 の 遠 隔 転 移 を 検 出 するのに 役 立 ちます

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 八 回 乳 癌 の 診 断 法 4)サーモグラフィ サーモグラフィは 物 体 の 表 面 の 温 度 の 分 布 を 表 現 し 乳 癌 を 診 断 します 乳 癌 は 代 謝 の 程 度 が 高 く 高 温 であり その 直 上 の 皮 膚 温 度 が 高 くなることを 利 用 したものです 空 港 などで 新 型 インフルエンザの 検 疫 で 体 温 を 測 る 機 械 が よくテレビにでますが その 精 密 なものです 診 断 率 はマンモグラフィーや エコーに 比 べて 低 いですが 悪 性 の 予 後 不 良 の 乳 癌 を 検 出 できるといわれて います 5) 乳 頭 異 常 分 泌 の 細 胞 診 乳 管 造 影 法 と 乳 管 鏡 検 査 乳 頭 異 常 分 泌 ( 乳 管 口 から 授 乳 時 以 外 に 分 泌 物 がでること) とくに 乳 頭 出 血 がある 場 合 には その 乳 管 内 に 乳 頭 腫 などの 良 性 腫 瘍 や 癌 があることが あります まず 分 泌 物 の 細 胞 診 と 潜 血 反 応 を 行 います 腫 瘍 の 疑 いが 強 い 場 合 には 乳 管 造 影 を 行 います これは 異 常 分 泌 のある 乳 管 口 から 少 量 の 造 影 剤 を 注 入 して マンモグラフィーを 行 い 腫 瘍 の 位 置 性 状 を 確 認 します 乳 管 鏡 ( 乳 管 内 視 鏡 ) 検 査 は 乳 管 口 から 小 口 径 のファイバースコープを 挿 入 し 乳 管 内 を 観 察 腫 瘍 病 変 の 生 検 を 行 います 6) 穿 刺 細 胞 診 腫 瘍 に 直 接 細 い 注 射 針 (21-22G)を 刺 して 腫 瘍 の 組 織 を 吸 引 し 採 取 し スライドグラスの 上 に 吹 き 付 けて 固 定 液 で 固 定 します これらを 染 色 検 鏡 して 悪 性 であるか 否 かを 診 断 します 小 さな 腫 瘍 や 石 灰 化 のみの 場 合 には 超 音 波 のガイドの 下 に 穿 刺 を 行 うことにより より 正 確 に 腫 瘍 組 織 を 採 取 できる 可 能 性 があります 穿 刺 細 胞 診 の 際 に 注 意 すべきは 癌 細 胞 が 陽 性 の 場 合 は 確 認 ぢえますが 陽 性 の 判 定 が 困 難 であることがあります また 陰 性 擬 陽 性 の 時 には 腫 瘍 細 胞 が 十 分 に 採 取 できない 腫 瘍 の 性 格 ( 癌 細 胞 が 少 ない 異 型 の 弱 い 細 胞 の 存 在 )などの 理 由 で 癌 の 存 在 を 完 全 に 否 定 できない( 擬 陰 性 )ことがおこり ます

連 載 先 生 の 乳 がんを 知 ろう 第 十 九 回 乳 癌 の 診 断 法 7) 生 検 前 に 述 べた 穿 刺 細 胞 診 ( 針 生 検 )は 細 胞 の 小 集 団 を 吸 引 採 取 しますので 細 胞 の " 顔 "をみて 病 理 診 断 しますが 乳 癌 と 良 性 疾 患 の 境 界 病 変 やいわゆるおとなしい 癌 などの 場 合 には 細 胞 のみではなく 組 織 構 築 を 参 考 にして 診 断 しなければなら ないことがあり 組 織 の 塊 が 必 要 となります 外 科 的 生 検 には 摘 出 生 検 と 切 除 生 検 があり 腫 瘤 を 全 部 または 部 分 的 に 摘 出 します 外 科 手 術 直 前 に 生 検 し 迅 速 凍 結 標 本 で 病 理 診 断 を 行 う 方 法 がありますが 一 回 で 診 断 と 手 術 ができるという 利 点 がありますが 凍 結 切 片 を 作 成 する 装 置 病 理 医 の 待 機 が 必 要 であり 病 理 診 断 も 困 難 な 場 合 があります 最 近 では 比 較 的 大 きな 針 で 組 織 を 採 取 するコア 針 生 検 が 行 われています これにより 少 量 とはいえ 癌 組 織 が 塊 として 得 られ 病 理 診 断 が 容 易 正 確 となり ます また 皮 膚 の 切 開 の 範 囲 は 狭 く 傷 跡 はほとんど 残 りません ステレオガイド 下 生 検 は 石 灰 化 のみの 非 触 知 病 変 ( 触 ることができない)を 立 体 的 に ピンポイントで 確 認 し マンモトーム(11ゲージ)で 吸 引 します 生 検 の 結 果 は 癌 であるか 否 かだけでなく 乳 癌 の 組 織 型 ( 癌 の 種 類 ) グレード ホルモンレセプターの 有 無 ErbB-2(HER-2) 遺 伝 子 の 発 現 さらには 場 合 により 遺 伝 子 発 現 プロファイルにより 個 々の 患 者 さんに 特 有 な 乳 癌 の 性 格 の 情 報 が 詳 細 に 得 られますので 術 後 の 全 身 治 療 の 必 要 性 種 類 の 決 定 予 後 の 予 測 などが 決 定 でき ます 乳 癌 の 手 術 前 の 検 査 として 前 述 のような 乳 癌 の 画 像 診 断 および 病 理 組 織 学 的 な 診 断 により 個 々の 患 者 さんの 乳 癌 の 性 格 大 きさ 広 がりが 判 明 します また 肺 肝 臓 骨 などへの 全 身 的 転 移 の 有 無 をチェックします これらの 要 因 に 基 づき 手 術 法 が 複 数 ありますので 患 者 さんに 説 明 し どのような 手 術 法 がベストである かを 議 論 し 同 意 を 得 ます(インフォームドコンセント)