研 究 課 題 副 題 学 校 名 地 域 素 材 を 生 かし,デジタルペンやタブレット 端 末 を 活 用 した 協 働 学 習 に 関 する 研 究 ~ 新 美 南 吉 のコンテンツ 制 作 から 案 内 人 になるまでの 活 動 を 通 して~ 半 田 市 立 岩 滑 小 学 校 所 在 地 475-0962 愛 知 県 半 田 市 岩 滑 高 山 町 5-55 ホームページ アドレス http://www.yanabe-e.ed.jp 1 はじめに 本 校 は, ごんぎつね の 作 者 新 美 南 吉 のふる 里 である 岩 滑 (やなべ) 地 区 にある また, 新 美 南 吉 の 出 身 校 でもあり, 代 用 教 員 として 勤 務 したこともある 学 校 である 校 区 には ごんぎつね をはじ め, 新 美 南 吉 の 作 品 の 舞 台 となった 場 所 や 物 が 数 多 くある さらに, 新 美 南 吉 記 念 館 も 学 校 の 近 くにあ る そこで, 小 学 校 6 年 生 の 国 語 の 時 間 総 合 的 な 学 習 の 時 間 を 使 って, 新 美 南 吉 のゆかりの 場 所 や 物 語 の 舞 台 となったとところを 調 査 取 材 してデジタルコンテンツとしてまとめる 活 動 をさせたいと 考 えた これらの 活 動 を 通 して, 自 分 たちの 身 近 な 地 域 素 材 の 価 値 を 再 確 認 させたい また, 計 画 立 案 能 力 の 育 成 とその 提 示 の 仕 方, 地 域 にある 素 材 の 調 査 取 材 の 仕 方, 地 域 の 人 たちと のコミュニケーションの 取 り 方, 新 美 南 吉 記 念 館 との 協 力 体 制 の 取 り 方,デジタルコンテンツとしての まとめ 方, 自 分 の 考 えやまとめたものの 提 案 の 仕 方,わかりやすく 人 に 伝 える 方 法 や 話 し 方 などを 身 に 付 けさせたい さらに, 自 分 たちでもできる 地 域 や 社 会 への 貢 献 や 地 域 との 絆 についても 考 えさせたい 2 研 究 の 目 的 と 手 立 て 総 合 的 な 学 習 の 時 間 においては, 内 容 の 取 扱 いについての 配 慮 事 項 として 問 題 の 解 決 や 探 求 活 動 の 過 程 においては, 他 者 と 協 同 して 問 題 を 解 決 しようとする 学 習 活 動 や, 言 語 により 分 析 し,まとめたり 表 現 したりするなどの 学 習 活 動 が 行 われるようにすること を 指 導 するように 明 示 されている そこで, 本 研 究 においては, 少 人 数 のグループに 分 かれ, 現 地 での 調 査 や 調 べ 学 習 をもとに,さまざまな 場 面 で 話 し 合 うことを 重 点 的 に 行 う また, 多 くの 情 報 を 得 るために, 学 校 外 の 方 々の 協 力 を 得 ていく (1)お 互 いが 深 め 合 い, 高 め 合 える 活 動 を 効 果 的 に 展 開 するために 地 域 素 材 である 新 美 南 吉 の 世 界 をまとめていく 過 程 での 話 し 合 い 活 動 においては,デジタルペンや タブレット 端 末 を 活 用 する デジタルペンは 紙 にボールペンで 書 くだけでその 内 容 をデジタルで 記 録 共 有 でき, 時 間 軸 で 再 現 も 可 能 である 児 童 たちはお 互 いに 話 し 合 いながら 思 いや 思 考 を 抵 抗 な く 紙 に 表 現 していき 考 えをまとめて 共 有 することができる それらを 一 元 で 管 理 できるシステムを 導 入 する (2) 社 会 貢 献 する 実 践 力 を 養 うために 新 美 南 吉 記 念 館 の 協 力 を 得 てこの 実 践 研 究 を 進 めていく 自 分 たちの 地 域 に 誇 りを 持 ち, 社 会 貢 献 する 楽 しさを 体 験 させる 最 後 には, 子 どもたち 自 身 が 自 分 たちの 作 ったデジタルコンテンツをも
とにして, 新 美 南 吉 記 念 館 を 訪 れるお 客 さんに 対 して 館 内 をボランティアとして 案 内 したり, 南 吉 ゆ かりの 地 を 訪 れる 観 光 客 に 案 内 ボランティアとして 活 動 したりする 新 美 南 吉 案 内 人 を 目 指 す 3 研 究 の 実 践 6 年 生, 国 語 科 総 合 新 美 南 吉 の 案 内 人 になろう の 実 践 (1) 目 標 1 岩 滑 にある 南 吉 ゆかりのものや 場 所 に 関 心 をもち,より 詳 しく 調 べたいという 意 欲 をもって 調 べよ うとする 2 個 人 やグループで 課 題 を 見 つけて 調 べ,それらを 人 にわかりやすく 伝 えるためにまとめるとともに, ICT 機 器 を 活 用 してそれらを 効 果 的 に 伝 えることができる 3 調 査 取 材 活 動 を 通 して, 地 域 への 愛 着 と 誇 りをもつとともに, 友 達 と 協 働 することや 地 域 の 人 々 と 触 れ 合 うことの 楽 しさを 知 る (2) 学 習 活 動 の 計 画 第 1 次 第 1 時 南 吉 作 品 を 知 り, 南 吉 作 品 に 関 心 をもつ 第 2 時 安 城 市 立 桜 町 小 学 校 と 第 1 回 TV 会 議 で 学 校 紹 介 をする 第 3 時 ~ 第 5 時 南 吉 作 品 を 読 み, 内 容 や 感 想 を 書 く 第 6 時 ~ 第 10 時 南 吉 ゆかりの 地 を 探 検 する ( 地 域 の 人 との 協 力 ) 第 11 時 ~ 第 12 時 新 美 南 吉 記 念 館 を 取 材 する 第 13 時 安 城 市 立 桜 町 小 学 校 と 第 2 回 TV 会 議 で 南 吉 学 習 の 紹 介 をする 第 2 次 第 14 時 ~ 第 15 時 自 分 の 詳 しく 調 べるテーマを 決 め,グループを 作 る 第 16 時 ~ 第 18 時 テーマ 別 に 追 加 の 取 材 調 査 をする 第 19 時 ~ 第 20 時 取 材 調 査 してきたことをまとめる 第 21 時 南 吉 のふるさととして 案 内 する 場 所 別 に 各 自 でキャッチコピーを 作 る 第 22 時 岩 滑 新 美 南 吉 のポスターを 作 るために 必 要 な 資 料 を 整 理 する 第 23 時 岩 滑 新 美 南 吉 のポスターを 作 る 第 24 時 ~ 第 26 時 まとめたことを web ページにする 第 3 次 第 27 時 ~ 第 28 時 案 内 人 として 発 表 する 練 習 をする 第 29 時 ~ 第 30 時 他 グループの 発 表 を 聞 いて 自 分 たちと 比 べる 第 31 時 ボランティア 案 内 人 としての 心 構 えと 活 動 日 程 を 確 認 する 第 32 時 安 城 市 立 桜 町 小 学 校 と 第 3 回 TV 会 議 で 南 吉 バーチャル 案 内 をする 第 33 時 今 までの 活 動 を 振 り 返 り, 反 省 をする (3) 活 動 内 容 1 新 美 南 吉 ゆかりの 地 を 取 材 調 査 する 岩 滑 小 学 校 の 先 輩 でもある 新 美 南 吉 について 調 べる 活 動 を 展 開 した ここでは, 新 美 南 吉 に 関 する 書 籍 や 校 内 に 残 された 資 料 を 活 用 するだけでなく, 地 域 に 飛 び 出 して 取 材 活 動 を 展 開 した 取 材 先 は 南 吉 作 品 の 舞 台 となったお 寺 や 神 社 など 新 美 南 吉 ゆかりの 場 所 である また, 新 美 南 吉 について 詳 しい 地 域 の 人 たちや 新 美 南 吉 記 念 館 なども 取 材 した 新 美 南 吉 記 念 館 では, 館 長 さんから 新 美 南 吉 の 生 涯 などに ついて 資 料 をもとに 詳 しく 説 明 していただいた 調 査 取 材 活 動 においては, 後 にデジタルコンテンツを 作 成 することを 意 識 させて,メモの 他 にデジ タルカメラ,デジタルビデオ,タブレット 端 末 などを 活 用 させた
児 童 たちにとっては 身 近 なところであったが, 知 らなかった 事 実 やその 場 所 と 南 吉 作 品 とのつながりな どを 知 ることができた 新 美 南 吉 の 生 家 を 取 材 する 地 域 の 人 から 取 材 する 南 吉 作 品 の 舞 台 を 取 材 する 新 美 南 吉 記 念 館 を 取 材 する 2 調 査 取 材 した 内 容 をまとめる 自 分 が 新 美 南 吉 の 案 内 人 になるイメージを 持 って, 何 を 案 内 したいかテーマを 決 めていった その 過 程 において,デジタルペンを 活 用 してマインドマップを 書 いていき,グループ 内 で 学 級 内 で 発 表 してイ メージを 固 めていった また,テーマが 似 ているもの 同 士 がグループになり, 調 査 取 材 してきたもの をまとめていく 計 画 を 立 てていった できたあがったグループは 案 内 場 所 ごとに 以 下 の 7 グループである 八 幡 社, 南 吉 生 家, 常 夜 灯, 赤 い 井 戸 はなれの 家, 常 福 院, 光 蓮 寺, 新 美 南 吉 記 念 館 資 料 をまとめていく 過 程 には,グループ 内 でデジカメ 画 像 やタブレット 端 末,デジタルペンなどを 活 用 して 自 分 の 考 えや 思 いが 表 れているかを 児 童 自 身 がお 互 いに 確 認 していった さらに, 自 分 が 一 番 伝 えたいことを 明 確 にしていき, 友 達 の 意 見 やアドバイスをもらいながら, 次 のポスター 作 り,キャッチコピー 作 り,web ページ 作 りへと 進 めていくことができた
取 材 調 査 後 にデジタルペンで 書 いたマインドマップの 一 部 自 分 の 考 えや 思 いを 確 認 する 友 達 の 思 いや 考 えを 確 認 する 岩 滑 新 美 南 吉 のポスターを 作 る グループ 内 で 自 分 たちの 考 えや 思 いをもとにキャッ チコピーを 考 えた そのキャッチコピーの 決 定 過 程 で は,メンバー 全 員 が 資 料 をもとに 自 分 の 思 いを 発 表 す ることができた そして,みんなの 考 えや 思 いが 入 っ たキャッチコピー,ポスターができあがってきた 各 グループのポスターは 大 判 プリンターで 印 刷 した さ らに, 新 美 南 吉 記 念 館 や 交 流 校 に 送 った 南 吉 の 生 家 グループのポスター web ページにまとめる 新 美 南 吉 のゆかりの 地 ごとのグループでまとめたことを web ページにした ここまでの 活 動 でグルー プ 内 ではメンバーの 考 えや 思 いが 共 有 されていたのでスムーズに 作 業 を 進 めることができた
クリッカブルマップ 光 蓮 寺 グループのページ 3 交 流 校 とのTV 会 議 交 流 バーチャル 案 内 安 城 市 立 桜 町 小 学 校 の 6 年 生 とTV 会 議 システムを 活 用 した 南 吉 交 流 を 行 った 第 1 回 目 は,お 互 いの 学 校 紹 介 と 自 己 紹 介 を 行 い,これからの 交 流 の 期 待 を 持 った 第 2 回 目 は,お 互 いの 南 吉 学 習 についての 発 表 を 行 った 第 3 回 目 は, 岩 滑 小 学 校 から 南 吉 ゆかりの 岩 滑 地 区 をバーチャル 案 内 した これは, 今 までの 活 動 を まとめた 物 である 南 吉 ゆかりの 場 所 をデジタルでまとめた 物 や 案 内 地 図,それぞれの 場 所 のポスターと キャッチコピーである これにより, 興 味 を 持 った 桜 町 小 学 校 の 児 童 が 実 際 に 岩 滑 を 訪 れることになった 第 2 回 TV 会 議 交 流 の 様 子 第 3 回 TV 会 議 交 流 の 様 子 バーチャル 案 内 4 ボランティア 案 内 人 になる 桜 町 小 学 校 の 子 どもたちとそのご 家 族 が 岩 滑 地 区 を 訪 れた その 時, 自 分 たちのまとめた 物 をもとに タブレット 端 末 を 活 用 して 自 分 の 担 当 していた 場 所 を 案 内 することができた 準 備 段 階 では, 案 内 する 場 所 ごとにグループで 綿 密 に 計 画 している 姿 を 見 ることができた また, 当 日 は 岩 滑 を 訪 れて 案 内 を 受 けた 人 みんなに 喜 んでもらうことができた
生 家 を 案 内 するグループ 南 吉 記 念 館 を 案 内 するグループ 4 成 果 と 今 後 の 課 題 デジタルペンや ipad などを 協 働 学 習 に 活 用 することにより, 自 分 の 考 えや 友 達 の 考 えを 伝 えやすくな った グループの 中 で 自 分 の 考 えや 思 いを 人 に 伝 えようとするときにその 根 拠 となる 条 件 を 強 調 して 示 しながら 説 明 することができたので, 説 得 力 のある 説 明 をすることができた 取 材 調 査 をしてまとめていく 過 程 において, 常 にグループ 内 や 全 体 での 発 表 を 視 野 に 入 れてまとめ ていこうとする 姿 勢 が 見 られるようになってきた 自 分 の 考 えをまとめたり, 思 考 の 過 程 を 明 らかにしたり,それを 人 に 説 明 する 場 面 ではデジタルペン は 有 効 なツールになった また, 自 分 の 思 いや 効 果 的 な 説 明 を 行 う 場 合 はタブレット 端 末 での 資 料 を 提 示 しながらの 発 表 が 有 効 であった この2つを 組 み 合 わせることでより 効 果 的 に 話 し 合 いを 展 開 し ていくことができた 最 終 目 標 を 新 美 南 吉 の 案 内 人 になろう とすることにして, 自 分 たちの 身 近 な 地 域 素 材 をデジタル 化 して 扱 うことにより, 下 位 児 童 に 対 しても 興 味 を 持 って 最 後 まで 活 動 しようとする 意 欲 を 持 たせる ことができた 自 分 たちにしかできないボランティア 案 内 人 となり, 人 に 喜 んでもらえる 喜 びを 体 験 することができ た 岩 滑 地 区 の 取 材 調 査 活 動,それらをまとめて 発 表 する 活 動 において, 自 分 たちの 岩 滑 地 区 をより 詳 しく 知 ることができた また, 南 吉 の 作 品 や 南 吉 の 気 持 ちをより 理 解 することができた これらの 活 動 をグループで 活 動 してきたが,グループ 内 では 協 力 してよりよいものを 作 っていこうと する 意 識 が 高 まっていった 今 後 は,さらにグループ 内 の 高 め 合 い 深 め 合 いに 有 効 なICT 機 器 の 組 み 合 わせをいろいろと 試 していきたいと 思 う