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2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け

2016年夏のボーナス見通し

ができたとしよう この 場 合 世 帯 数 要 因 は 東 京 での 増 加 と 秋 田 での 減 少 で 相 殺 されるためゼロと 考 える 同 時 に 住 居 を 必 要 としている 人 が 秋 田 県 に 引 っ 越 してその 住 宅 を 建 替 えた 場 合 には 建 替 え 要 因 として

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越


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平成24年度 業務概況書

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第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

新 市 建 設 計 画 の 変 更 に 係 る 新 旧 対 照 表 ページ 変 更 後 変 更 前 表 紙 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 安 中 市 松 井 田 町 合 併 協 議 会 平 成 27 年 3 月 変 更 安 中 市 6 2. 計 画 策 定 の 方 針 (3) 計

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災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

タイトル

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

第25回税制調査会 総25-1

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市況トレンド

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

事 業 税 の 外 形 標 準 課 税 事 業 税 は 都 道 府 県 が 所 得 ( 利 益 )に 対 して 課 税 します 1. 個 人 事 業 税 業 種 区 分 税 率 ( 標 準 税 率 ) 第 1 種 事 業 ( 物 品 販 売 業 製 造 業 金 銭 貸 付 業 飲 食 店 業 不 動

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Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

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申 請 免 除 申 請 免 除 ( 学 生 以 外 ) 学 生 納 付 特 例 制 度 若 年 者 納 付 猶 予 制 度 法 定 免 除 世 帯 構 成 図 表 1 国 民 年 金 保 険 料 の 免 除 の 種 類 と 所 得 基 準 本 人 世 帯 主 配 偶 者 の 所 得 に 応 じて 免

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

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平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

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資料3 家電エコポイント制度の政策効果等について

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

小山市保育所整備計画

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

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養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

(3) 善 通 寺 市 の 状 況 善 通 寺 市 においては 固 定 資 産 税 の 納 期 前 前 納 に 対 する 報 奨 金 について 善 通 寺 市 税 条 例 の 規 定 ( 交 付 率 :0.1% 限 度 額 :2 万 円 )に 基 づき 交 付 を 行 っています 参 考 善 通 寺

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個 人 所 得 課 税 ~ 住 宅 ローン 控 除 等 の 適 用 期 限 の 延 長 2 4. 既 存 住 宅 に 係 る 特 定 の 改 修 工 事 をした 場 合 の 所 得 税 額 の 特 別 控 除 居 住 年 省 エネ 改 修 工 事 控 除 限 度 額 バリアフリー 改 修 工 事 平

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

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130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

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(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

職 員 の 等 に 関 する 条 例 第 24 条 の 承 認 は 正 規 の 勤 務 時 間 の 始 め 又 は 終 わりにおいて 30 分 を 単 位 として 行 う ものとする 2 育 児 を 原 因 とする 特 別 休 暇 を 承 認 されている 職 員 に 対 する の 承 認 については

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資    料 (法人課税)

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

片岡氏提出資料

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回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

Transcription:

平 成 21 年 (29 年 )1 月 22 日 NO.29-26 ベビーブーマーの 高 齢 化 による 米 住 宅 需 給 の 構 造 変 化 ~ 人 口 動 態 からみた 米 国 住 宅 市 場 の 中 期 展 望 ~ 長 らく 低 迷 していた 米 国 の 住 宅 市 場 は ようやく 底 入 れした 住 宅 バブルの 崩 壊 後 歴 史 的 な 低 水 準 に 落 ち 込 んだ 住 宅 販 売 や 着 工 は 今 後 中 期 的 にみた 適 正 水 準 へ 回 帰 していくとみられる では 米 国 の 住 宅 市 場 は 中 期 的 にどのよ うな 姿 が 予 想 されるのか 景 気 金 融 情 勢 や 政 府 の 住 宅 対 策 など 住 宅 市 場 には さまざまな 要 因 が 影 響 を 及 ぼすが 本 稿 では 人 口 動 態 の 面 から 住 宅 市 場 の 展 望 を 試 みた 1. 米 国 住 宅 市 場 とベビーブーマー 米 国 では 1946 年 から 1964 年 の 間 に 生 まれた いわゆるベビーブーム 世 代 (=ベビーブーマー 推 計 78 万 人 )が 人 口 層 の 中 で 大 きな 塊 を 形 成 しており これまで 米 国 の 経 済 政 治 社 会 など 幅 広 い 分 野 において 変 化 を 先 導 し 大 きな 存 在 感 を 示 してきた これは 住 宅 市 場 においても 例 外 ではなく ベビーブーマーの 動 向 が 住 宅 着 工 などに 影 響 を 及 ぼしてきた 197 年 前 後 には ベビーブーマーの 最 初 の 世 代 が 2 歳 代 半 ばに 達 し 独 立 して 世 帯 を 形 成 し 始 めた この 結 果 世 帯 数 の 伸 びは 人 口 の 伸 びを 大 きく 上 回 るようになった( 第 1 図 ) ヘビーブーマーの 独 立 は 住 宅 需 要 を 大 きく 盛 り 上 げ 住 宅 ブームをもたらした 住 宅 の 不 足 感 が 強 まっ た 結 果 住 宅 着 工 戸 数 は 大 幅 に 増 加 し 196 年 代 後 半 の 年 平 均 138 万 戸 から 197 年 代 前 半 には 179 万 戸 同 後 半 には 17 万 戸 に 拡 大 した( 第 2 図 ) ブー ム 当 初 は 彼 らの 所 得 水 準 が 低 かったため 着 工 の 中 でアパート( 集 合 住 宅 )の 占 める 割 合 が 高 かったが 所 得 が 増 えるに 伴 い 一 戸 建 ての 比 率 が 高 まってい った 1

第 1 図 : 米 国 の 人 口 世 帯 数 の 伸 び ( 前 年 比 %) 4 人 口 世 帯 数 3 2 1 6 6 7 7 8 8 9 9 ( 年 ) ( 資 料 ) 米 商 務 省 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 第 2 図 : 世 帯 数 と 住 宅 着 工 2 ( 年 平 均 千 戸 ) ( 年 平 均 増 減 千 世 帯 ) 2 世 帯 数 ( 右 ) 住 宅 着 工 1 1 1 1 6-6 6-7 7-7 7-79 8-8 8-9 9-9 9-1- -8 ( 年 ) ( 資 料 ) 米 商 務 省 のデータより 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 2.ベビーブーマーの 高 齢 化 が 今 後 住 宅 需 要 を 抑 制 現 在 ベビーブーマーの 初 期 世 代 は 退 職 年 齢 に 差 し 掛 っており 211 年 以 降 順 次 6 歳 を 迎 える ベビーブーマーの 年 齢 幅 は 上 下 19 年 と 広 いため 米 国 で はその 後 約 2 年 に 亘 って 高 齢 化 が 進 展 することになる 米 商 務 省 の 人 口 推 計 によれば 2-21 年 の 1 年 間 に 6 歳 以 上 の 人 口 は 2 万 人 増 加 する 見 込 みだが 21-22 年 には 146 万 人 22-23 年 には 173 万 人 へと 増 加 ペー 2

スが 加 速 する 一 方 2-64 歳 人 口 は 2-21 年 の 171 万 人 から 21-22 年 1 万 人 22-23 年 には 万 人 と 増 加 ペースが 大 きく 鈍 化 する この 結 果 過 去 4 年 間 2% 弱 で 推 移 してきた 高 齢 化 比 率 (2-64 歳 人 口 に 対 する 6 歳 以 上 人 口 の 比 率 ) は 急 速 に 上 昇 し 23 年 には 4%に 達 する 見 通 しで ある( 第 3 図 ) 第 3 図 :2 歳 以 上 人 口 の 推 移 (1 年 毎 の 増 減 )と 高 齢 化 比 率 4 4 3 3 2 2 1 1 ( 百 万 人 ) (%) 6 歳 以 上 2-64 歳 高 齢 化 比 率 ( 最 終 年 右 目 盛 ) 4 4 3 3 2 2 1 1 196-7 197-8 198-9 199-2-1 21-2 22-3 23-4 24-( 年 ) ( 資 料 ) 米 商 務 省 のデータより 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 こうした 過 去 に 経 験 のない 急 速 な 高 齢 化 は 住 宅 市 場 にどのような 影 響 を 及 ぼ すのだろうか Dowell Myers 南 カリフォルニア 大 学 教 授 等 は 国 勢 調 査 をもと に 年 齢 階 層 別 の 住 宅 購 入 率 売 却 率 ( 当 該 年 齢 層 の 中 で 住 宅 を 購 入 した 人 売 却 した 人 の 割 合 199-2 年 の 平 均 )を 算 出 している これによると 住 宅 購 入 率 は 2 歳 代 に 急 上 昇 し 3 歳 代 前 半 でピークをつけた 後 年 齢 の 上 昇 とと もに 緩 やかに 低 下 する 一 方 売 却 率 は 3 歳 代 後 半 まで 上 昇 した 後 7 歳 に 達 するまで 横 這 いが 続 くが 7 歳 代 に 入 ると 再 び 上 昇 8 歳 以 上 では 8.8% と 高 率 に 達 する そして 64 歳 までの 年 齢 層 では 購 入 率 が 売 却 率 を 上 回 り 住 宅 のネットの 買 い 手 であるのに 対 して 6 歳 以 上 ではネットの 売 り 手 とな っている( 第 4 図 ) これは 高 齢 になると 子 供 と 同 居 したり 老 人 ホームに 移 ったり 郊 外 の 広 い 一 戸 建 てから 便 利 な 都 市 部 のアパート( 貸 家 )へ 住 み 替 えたりで 持 家 を 売 り 切 るケースが 増 えるためである 211 年 以 降 は ベビ ーブーマーの 高 齢 化 により 住 宅 のネットの 売 り 手 である 6 歳 以 上 人 口 が 急 増 する 一 方 住 宅 購 入 の 中 心 年 齢 層 である 2-64 歳 人 口 の 伸 びが 大 幅 に 鈍 化 する ため 持 家 を 中 心 に 住 宅 需 要 の 伸 び 悩 みが 予 想 される 3

第 4 図 : 年 齢 階 層 別 にみた 住 宅 購 入 率 売 却 率 (199-2 年 平 均 ) 9 (%) 8 7 6 購 入 率 売 却 率 4 3 2 1 2-24 2-29 3-34 3-39 4-44 4-49 -4-9 6-64 6-69 7-74 7-79 8+ ( 資 料 )Myers, Dowell and Ryu, SungHo (27) 'Aging Baby Boomers and the Generational Housing Bubble: Foresight and Mitigation of an Epic Transition', Journal of the American Planning Association, なお 米 国 は 移 民 国 家 であるが ベビーブーマー 高 齢 化 の 影 響 を 移 民 で 相 殺 することは 難 しいとみられる 2-64 歳 人 口 の 増 加 ペースを 維 持 するには 移 民 を 年 間 1 万 人 規 模 で 増 やすことが 必 要 だが 米 国 の 移 民 ( 米 国 の 永 住 権 を 取 得 した 人 )の 数 は 新 規 入 国 者 でみれば 4 万 人 程 度 で 安 定 しており これを 一 気 に 3 倍 以 上 に 拡 大 することは 現 実 的 ではない( 第 図 ) また ( 統 計 に 計 上 されない 不 法 移 民 を 含 めて) 移 民 の 多 くは 初 めは 所 得 水 準 が 低 い 者 が 多 く 住 宅 購 入 層 として 期 待 することには 無 理 がある 第 図 : 米 国 の 移 民 ( 永 住 権 を 取 得 した 人 )の 数 14 12 ( 千 人 ) 移 民 ステータスの 調 整 1 新 規 入 国 者 2 1 8 6 1 すでに 米 国 内 に 居 住 しており 正 式 な 永 住 許 可 を 申 請 している 者 4 2 2 領 事 館 で 移 民 ビザを 発 給 された 米 国 外 に 居 住 する 外 国 人 199 1996 1997 1998 1999 2 21 22 23 24 2 26 27 28 ( 年 ) ( 資 料 ) 米 国 土 安 全 保 障 省 のデータより 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 4

3. 予 想 される 需 給 のミスマッチ 拡 大 米 国 では 人 口 増 加 率 こそ 鈍 化 するものの 日 本 のように 人 口 が 減 少 する 訳 ではないため 住 宅 市 場 全 体 が 厳 しいストック 調 整 にさらされる 可 能 性 は 低 い とみられる ただし 住 宅 種 別 や 地 域 によっては 大 幅 な 需 給 バランスの 悪 化 が 避 けられないと 予 想 される 1 住 宅 種 別 による 需 給 のミスマッチ 拡 大 住 宅 バブル 期 には 持 家 率 の 上 昇 を 背 景 に 一 戸 建 てを 中 心 とした 販 売 用 住 宅 の 供 給 が 大 きく 拡 大 した しかし バブル 崩 壊 後 は 住 宅 の 買 い 控 えや 差 し 押 さ えの 増 加 等 により 持 家 率 が 低 下 に 転 じ 現 在 では 販 売 用 住 宅 は 大 幅 な 過 剰 在 庫 状 態 に 陥 っている 29 年 6 月 末 の 持 家 の 空 き 家 率 は 2.%と 歴 史 的 な 高 水 準 にあり( 第 6 図 ) 実 数 では 販 売 用 住 宅 の 空 き 家 が 約 19 万 戸 と 住 宅 ブーム 前 の 1. 倍 に 達 している( 第 1 表 ) こうして 供 給 過 多 となったところへ ベ ビーブーマーの 高 齢 化 や 2-64 歳 人 口 の 伸 び 鈍 化 による 需 要 の 落 ち 込 みに 見 舞 われるため 販 売 用 住 宅 の 過 剰 在 庫 解 消 には 相 当 の 困 難 が 予 想 される 米 国 は 最 悪 のタイミングで 住 宅 バブルを 起 こしたと 言 えよう 一 方 高 齢 者 層 による 住 み 替 え 需 要 から 都 市 部 を 中 心 に 貸 家 (アパート)や 老 人 ホームなどでは 堅 調 な 需 要 が 見 込 まれ 地 域 によっては 深 刻 な 供 給 不 足 に 陥 る 恐 れもある このように 郊 外 の 一 戸 建 て 販 売 用 住 宅 ( 持 家 )と 都 市 部 の 貸 家 の 間 で 需 給 のミスマッチが 拡 大 することが 予 想 される 第 6 図 : 持 家 の 空 き 家 率 と 持 家 率 第 1 表 : 米 国 の 住 宅 ストック 4. 3. 3. 2. 2. 1. (%) (%) 持 家 の 空 き 家 率 持 家 率 ( 右 目 盛 ) 7 68 66 64 62 ( 千 戸 ) 22/2Q 29/2Q 伸 び 率 全 ストック 119,14 13,828 (9.8) 入 居 14,944 112,119 (6.8) 持 家 7,934 7,67 (6.6) 貸 家 34,1 36,12 (7.4) 空 き 家 14,16 18,79 (32.1) 通 年 使 用 1,624 14,99 (32.7) 貸 家 3,167 4,47 (39.2) 販 売 用 1,224 1,916 (6.) 成 約 済 93 1,79 (19.) その 他,33 6,697 (2.6) 1. 6. 8 季 節 使 用 3,36 4,61 (3.4) 6 7 7 8 8 9 9 ( 年 ) ( 資 料 ) 米 商 務 省 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 ( 資 料 ) 米 商 務 省 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成

2 地 域 格 差 の 拡 大 前 述 のように 全 米 平 均 では 6 歳 を 超 えると 住 宅 のネットの 売 り 手 に 転 じる が 州 別 にみるとかなりばらつきがある 前 出 の Dowell Myers 教 授 等 の 研 究 に よれば 米 国 ではリタイア 後 に 温 暖 で 物 価 が 安 い 州 へ 住 み 替 える 傾 向 があり アリゾナ フロリダ ネバダなど 老 後 の 住 み 替 えの 行 先 となっている 州 ( 以 下 受 け 皿 州 )では 7 歳 代 前 半 でも 住 宅 のネットの 買 い 手 である これに 対 し 寒 冷 で 物 価 が 高 い 北 東 部 の 州 では 総 じてネットの 売 り 手 に 転 じる 年 齢 が 低 く コネチカット ニュージャージー ニューヨーク マサチューセッツ 州 では 歳 代 でネットの 売 り 手 に 転 じている( 第 2 表 ) 注 目 されるのは 受 け 皿 州 では 高 齢 人 口 のみならず 2-64 歳 人 口 も 高 い 伸 びが 予 想 されていることである 21-23 年 の 2 年 間 の 州 別 の 人 口 伸 び 率 推 計 をみると 受 け 皿 州 では 6 歳 以 上 人 口 だけでなく 2-64 歳 人 口 も 全 米 で 上 位 3 位 を 占 めている( 第 3 表 ) 他 方 北 東 部 4 州 では 2-64 歳 人 口 がニ ュージャージー 州 を 除 き 減 少 予 想 となっている このため 受 け 皿 州 では 人 口 動 態 の 変 化 による 需 給 バランスの 悪 化 が 相 対 的 に 小 幅 に 止 まる 一 方 で 北 東 部 州 では 大 幅 に 悪 化 し 地 域 格 差 が 大 きく 拡 がると 予 想 される 第 2 表 : 州 別 にみた 住 宅 のネット 売 り 手 に 転 じる 年 齢 年 齢 層 < -9 6-64 6-69 7-74 7-79 8+ 当 該 年 齢 層 を 境 に 売 却 率 が 購 入 率 を 上 回 る 州 AK CA AL AR AZ CT IN IA CO FL IL MD KS DE NV NJ MI KY GA NY MN LA HI MA OH ME ID RI MS NM MO NC MT OR NE SC 早 期 リタイア 組 が 持 家 を 売 却 して 他 州 へ 流 出 する ことにより 歳 代 でネットの 売 り 手 に NH ND OK PA SD TX VT VA WA WV WI WY TN UT 他 州 から 流 入 したリタイア 組 が 住 宅 を 購 入 するため 7 歳 を 超 えて 初 めてネットの 売 り 手 に 数 6 7 22 12 3 ( 注 )シャドーは 北 東 部 の 州 ( 資 料 ) 前 出 Myers, Dowell and Ryu, SungHo (27) 6

第 3 表 : 州 別 人 口 推 計 (21 23 年 伸 び 率 の 高 い 順 ) 21 年 23 年 伸 び 率 (21-23) 2-64 6+ 2-64 6+ 2-64 6+ UNITED STATES 38,936 163,78 4,244 363,84 173,891 71,43 17.7 6.2 77.6 ARIZONA 6,637 3,37 922 1,712 4,71 2,371 61.4 41. 17.2 NEVADA 2,691 1,44 33 4,282 2,64 797 9.2 41.9 141.8 FLORIDA 19,22 1,67 3,419 28,686 12,943 7,769 49. 28.6 127.3 TEXAS 24,649 12,772 2,87 33,318 1,87,186 3.2 23.8 1.4 UTAH 2,9 1,233 23 3,48 1,4 461 34.3 26. 96.1 WASHINGTON 6,42 3,9 796 8,62 4,326 1,64 31.8 2. 96.6 NORTH CAROLINA 9,346 4,93 1,161 12,228,774 2,173 3.8 16.6 87.2 IDAHO 1,17 798 181 1,97 98 361 29.8 2. 99. OREGON 3,791 2,82 494 4,834 2,416 882 27. 16.1 78.4 GEORGIA 9,89,13 981 12,18,792 1,98 2.3 12.9 94. ALASKA 694 372 7 868 43 127 2. 8.3 124.9 VIRGINIA 8,1 4,31 994 9,82 4,711 1,844 22.7 9. 8.4 CALIFORNIA 38,67 2,4 4,393 46,44 22,728 8,288 22. 13.4 88.7 COLORADO 4,832 2,639 17,792 2,796 96 19.9 6. 84.8 MARYLAND,9 3,176 718 7,22 3,434 1,236 18.9 8.1 72.1 NEW HAMPSHIRE 1,386 78 179 1,646 82 33 18.8.1 97.3 TENNESSEE 6,231 3,32 829 7,381 3,497 1,418 18..2 71. MINNESOTA,421 2,92 67 6,36 3,6 1,193 16.3 4.6 78. SOUTH CAROLINA 4,447 2,36 66,149 2,41 1,134 1.8 2.1 87.3 DELAWARE 884 477 12 1,13 477 238 14.. 9.3 ARKANSAS 2,87 1, 412 3,24 1,21 66 12.7 1.4 9.3 HAWAII 1,341 692 191 1,466 663 327 9.4 4.2 71.1 VERMONT 63 361 93 712 344 174 9.1 4.6 86.1 OKLAHOMA 3,92 1,82 49 3,913 1,82 78 9. 2.7 3.1 NEW JERSEY 9,18 4,92 1,232 9,82 4,923 1,96 8.7.1 9.1 MISSOURI,922 3,116 822 6,43 3,62 1,32 8.6 1.7 8.4 MONTANA 969 28 14 1,4 491 27 7.9 7. 86. WISCONSIN,727 3,92 772 6,11 2,96 1,312 7.4 4.1 7. KENTUCKY 4,26 2,3 7 4, 2,222 93 6.8 3.6 62.1 INDIANA 6,392 3,364 811 6,81 3,2 1,232 6. 3.3 1.8 ALABAMA 4,96 2,433 649 4,874 2,38 1,39 6..1 6.1 NEW MEXICO 1,98 1,3 279 2,1 923 6. 1.3 99. MASSACHUSETTS 6,649 3,87 99 7,12 3,393 1,463..4 61. KANSAS 2,8 1,4 37 2,94 1,371 93 4.8.8 8. LOUISIANA 4,613 2,39 82 4,83 2,26 944 4.1.6 62.1 MISSISSIPPI 2,971 1,1 379 3,92 1,476 634 4.1 4.8 67.3 ILLINOIS 12,917 6,849 1,61 13,433 6,33 2,412 4. 4.6.7 MAINE 1,37 762 212 1,411 693 374 4. 9. 76.2 RHODE ISLAND 1,117 91 17 1,13 3 247 3.2 6.4 6.7 CONNECTICUT 3,77 1,92 16 3,689 1,788 794 3.1 6.8 4.1 NEBRASKA 1,769 91 243 1,82 819 376 2.9 1. 4. MICHIGAN 1,429,94 1,334 1,694,283 2,81 2..6.9 SOUTH DAKOTA 786 4 114 8 33 18 1.8 12.8 61.7 PENNSYLVANIA 12,84 6,689 1,96 12,768 6,9 2,89 1. 8.9 47.7 WYOMING 2 28 73 23 246 139.6 13.6 9.7 NEW YORK 19,444 1,397 2,62 19,477 9,38 3,917.2 8.3 47.7 OHIO 11,76 6,11 1,87 11,1,71 2,37.2 9.4 48. IOWA 3,1 1,73 4 2,9 1,382 663 1.8 12.2 47.4 NORTH DAKOTA 637 329 97 67 269 12 4.7 18. 6.9 WEST VIRGINIA 1,829 1,8 292 1,72 84 426 6. 16.2 4.8 ( 資 料 ) 米 商 務 省 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 7

4. 住 宅 価 格 モーゲージ 債 市 場 への 影 響 1 住 宅 価 格 ベビーブーマーの 高 齢 化 に 伴 う 住 宅 の 需 給 バランス 悪 化 により 今 後 住 宅 価 格 は 持 家 を 中 心 に 伸 び 悩 みが 見 込 まれる このため 資 産 効 果 による 個 人 消 費 の 押 し 上 げは 期 待 しにくくなり 住 宅 投 資 の 伸 び 鈍 化 と 合 わせて 中 期 的 な 成 長 率 を 抑 制 することが 懸 念 される そして これらは 地 域 間 の 格 差 を 伴 うと 予 想 される 前 述 のように 受 け 皿 州 では 需 給 バランスの 悪 化 が 小 幅 に 止 ま る 結 果 住 宅 価 格 への 影 響 も 相 対 的 に 小 さいことが 見 込 まれるのに 対 して 北 東 部 州 などでは 需 給 の 大 幅 な 悪 化 により 住 宅 価 格 に 大 きな 調 整 圧 力 がかかる とみられる なお 受 け 皿 州 は 住 宅 バブルがもっとも 激 しかった 地 域 と 重 なっている バブル 期 に 住 宅 価 格 が 高 騰 した 地 域 では バブル 崩 壊 後 の 価 格 の 調 整 も 大 きく 住 宅 ローンの 延 滞 問 題 などでは 現 在 も 厳 しい 状 況 に 置 かれている( 第 7 図 ) 米 抵 当 貸 付 銀 行 協 会 によれば カリフォルニア フロリダ アリゾナ ネバダ の 4 州 で 全 米 の 住 宅 差 し 押 さえ 開 始 件 数 の 44%を 占 めている( 今 年 4-6 月 期 ) このうち 受 け 皿 州 ではないカリフォルニア 州 では 6 歳 代 前 半 でネット の 売 り 手 に 転 じ 2-64 歳 人 口 の 伸 びも 他 3 州 の 半 分 以 下 に 止 まっている こ のため バブルの 後 遺 症 から 立 ち 直 ったとしても 199 年 代 終 わりからバブル 直 前 にみられた 1% 前 後 の 上 昇 率 に 戻 ることは 難 しいと 予 想 される( 第 2 表 第 3 表 ) それでも 人 口 の 伸 びは 全 米 平 均 を 上 回 っており 中 期 的 には 北 東 部 州 などに 比 べると 良 好 なパフォーマンスが 期 待 できそうである 第 7 図 : 州 別 住 宅 価 格 指 数 ( 米 連 邦 住 宅 金 融 局 ) 4 ( 前 年 比 %) 3 2 1-1 -2-3 -4 全 米 平 均 カリフォルニア 州 フロリダ 州 アリゾナ 州 ネバダ 州 92 93 94 9 96 97 98 99 1 2 3 4 6 7 8 9( 年 ) ( 資 料 ) 米 連 邦 住 宅 金 融 局 (FHFA)より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 8

2 モーゲージ 債 市 場 米 国 のモーゲージ 債 市 場 はここ 2 年 余 りで 急 速 な 成 長 を 遂 げ 米 国 債 市 場 を 上 回 る 規 模 となった( 第 8 図 ) しかし 中 期 的 にみると 住 宅 需 要 の 低 迷 から 住 宅 ローン 需 要 が 落 ち 込 み モーゲージ 債 市 場 の 成 長 率 が 鈍 化 することは 避 け られないとみられる さらに これまでのモーゲージ 債 市 場 の 拡 大 には 政 府 出 資 住 宅 金 融 機 関 (GSE)の 果 たした 役 割 が 大 きかったが 今 後 予 想 される GSE 改 革 の 方 向 性 如 何 ではモーゲージ 債 市 場 が 大 きく 縮 小 し その 結 果 財 政 悪 化 で 膨 張 する 米 国 債 市 場 と 再 び 規 模 が 逆 転 することも 十 分 予 想 される モーゲージ 債 市 場 が 縮 小 した 場 合 どのような 影 響 が 考 えられるか まず モーゲージ 債 の 主 な 運 用 主 体 である 米 銀 や 海 外 投 資 家 は 信 用 力 が 高 く 利 鞘 の 厚 いモーゲージ 債 に 替 わる 運 用 対 象 を 探 さなければならないが その 行 き 先 は 米 国 債 になる 可 能 性 が 高 いとみられる 実 際 現 在 は FRB の 大 量 の 購 入 により モーゲージ 債 市 場 は 実 態 的 に 急 縮 小 しているが その 中 で 米 銀 などは 米 国 債 の 保 有 比 率 を 高 めている これは 財 政 赤 字 の 拡 大 でファイナンスリスクが 懸 念 される 米 国 債 にとってはサポート 要 因 となる 次 に モーゲージ 市 場 の 縮 小 に より 米 国 金 利 の 変 動 が 穏 やかになることも 考 えられる モーゲージ 債 には 期 限 前 償 還 リスクがあり これに 対 する 投 資 家 のヘッジ 操 作 が 金 利 の 振 幅 を 大 きく している 面 がある 米 国 債 の 金 利 変 動 が 欧 州 債 に 比 べて 大 きいのはこの 影 響 に よると 言 われている このため モーゲージ 債 市 場 が 縮 小 すれば 金 利 のボラ ティリティ( 変 動 率 ) 低 下 につながる 可 能 性 もある 第 8 図 : 米 国 の 債 券 セクター 別 市 場 規 模 の 推 移 8 ( 兆 ドル) 7 6 米 国 債 モーゲージ 債 社 債 エージェンシー 債 その 他 資 産 担 保 証 券 4 3 2 1 198 199 199 2 2 28( 年 末 ) ( 資 料 )FRB SIFMA より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 9

.おわりに 以 上 みたように 米 国 の 住 宅 市 場 は 人 口 動 態 の 面 に 限 れば 中 期 的 に 明 るい 展 望 を 描 きにくい ただし ここでの 見 通 しは 特 定 の 年 齢 層 の 行 動 が 世 代 を 越 えても 変 わらないことが 前 提 となっている 従 って ベビーブーマーが 高 齢 化 した 時 に 過 去 の 高 齢 者 と 異 なる 行 動 をとれば 予 想 される 姿 は 変 わってく ることに 留 意 する 必 要 がある また 商 務 省 の 推 計 では 23 年 以 降 は 再 び 2-64 歳 人 口 の 増 加 ペースが 回 復 する 一 方 6 歳 以 上 人 口 の 伸 びが 鈍 化 し 高 齢 化 には 歯 止 めがかかる 見 通 し である( 前 掲 第 3 図 ) このため 長 期 的 にみれば 米 国 の 住 宅 市 場 を 必 ずし も 悲 観 視 する 必 要 はない ただし 21 年 以 降 に 人 口 動 態 の 大 きな 波 を 経 験 す ることは 間 違 いなく 住 宅 市 場 を 中 心 に 種 々のミスマッチの 発 生 が 予 想 される ことから 例 えば 都 市 計 画 などでは 課 題 を 抱 えることになろう (H21.1.22 山 中 崇 takashi_2_yamanaka@mufg.jp) 当 資 料 は 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 金 融 商 品 の 売 買 や 投 資 など 何 らかの 行 動 を 勧 誘 するものではありません ご 利 用 に 関 しては すべてお 客 様 御 自 身 でご 判 断 下 さいますよう 宜 しくお 願 い 申 し 上 げます 当 資 料 は 信 頼 できると 思 われる 情 報 に 基 づいて 作 成 されてい ますが 当 室 はその 正 確 性 を 保 証 するものではありません 内 容 は 予 告 なしに 変 更 することがありますので 予 めご 了 承 下 さい また 当 資 料 は 著 作 物 であり 著 作 権 法 により 保 護 されております 全 文 または 一 部 を 転 載 する 場 合 は 出 所 を 明 記 してください 発 行 : 株 式 会 社 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 1-8388 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 2-7-1 1