放 射 線 実 験 の 手 引 き
霧 箱 実 験 目 的 放 射 線 は 放 射 性 物 質 から 出 ているということを 理 解 すること 放 射 線 の 飛 び 方 を 見 ることでイメージできるようになること 準 備 するもの 霧 箱 キット: 簡 易 霧 箱 実 験 キット 6 個 組 ナリカ B10-7749 アルコール( 消 毒 用 でも 可 ) ドライアイス:ブロック 状 のものより 粉 状 のものの 方 が 実 験 しやすいです 線 源 (モナズ 石 キャンプ 用 品 のマントル 等 ) スポイト 準 備 手 順 霧 箱 キットを 組 み 立 てる ドライアイスを 用 意 し 霧 箱 に 入 れる 線 源 を 霧 箱 の 中 に 入 れる ( 真 ん 中 に 置 くと 見 えやすい) スポイトでアルコールを 霧 箱 のスポンジ 部 に 滴 下 する 蓋 をして 5 分 くらい 待 つ 注 意 点 蛍 光 灯 の 明 かりで 見 難 いこともあるので LED の 小 型 ライトなどで 照 らすと 見 やすい 生 徒 への 学 習 項 目 見 えている 放 射 線 がアルファ 線 とベータ 線 であるということ 放 射 線 は 身 近 にもあるということ 2
1ドライアイスを 細 かくする 2カップを 重 ねる この 時 ドライアイスはすき 間 なく 充 填 されていること 3 線 源 を 置 く 4アルコールを 噴 霧 してカップを 重 ねる 5 分 ほど 待 つと 線 源 から 白 い 線 状 のものが 見 えるようになる 3
自 然 放 射 線 の 測 定 目 的 身 の 回 りにも 放 射 線 が 存 在 しいるということを 理 解 する 放 射 線 が 多 く 出 ているものを 確 認 する 準 備 するもの 放 射 線 測 定 器 (はかるくん アルファちゃん ベータちゃん) カリウムを 含 む 肥 料 湯 の 花 (ラドン 温 泉 の 素 ) 花 崗 岩 ( 御 影 石 ) 準 備 手 順 測 定 器 の 使 い 方 を 説 明 する この 測 定 器 は 放 射 線 を 測 定 するもので 精 密 機 器 なのでぞんざいに 扱 わない 旨 ( 例 :ここに 放 射 線 が 入 ってきたものを 数 値 として 表 示 しています) 表 示 されている 値 と 単 位 の 説 明 何 もないところで 測 定 を 行 い 測 定 器 の 表 示 が0でないことをシートにメモする 写 真 のように 準 備 したものを 測 定 し その 値 をシートにメモする 注 意 点 測 定 器 は 時 定 数 を 30 秒 に 設 定 し 1 分 30 秒 以 上 待 って 値 が 安 定 してからメモする 生 徒 への 学 習 項 目 測 定 器 が 放 射 線 を 検 知 して 値 を 出 すということ 測 定 器 の 値 が0にならないということ 身 の 回 りに 放 射 線 があるということ 身 の 回 りにも 放 射 線 を 出 すものがあるということ 危 険 ではなく ただ 知 らなかっただけなので 心 配 することはないという 旨 放 射 線 に 当 たること= 体 に 悪 いのではなく 沢 山 の 放 射 線 に 当 たることが 体 に 悪 い ということ 4
測 定 器 線 源 手 順 と 注 意 事 項 を 守 って 測 定 する 測 定 値 記 録 表 の 例 測 定 日 月 日 ( ) 時 刻 : 天 候 場 所 測 定 値 1 回 目 2 回 目 3 回 目 4 回 目 5 回 目 平 均 値 備 考 5
水 位 計 目 的 放 射 線 の 利 用 について 理 解 すること 準 備 するもの 放 射 線 測 定 器 (はかるくん アルファちゃん ベータちゃん GM 管 ) 空 のペットボトル 線 源 ( 汚 染 された 土 で 密 封 されているもの 等 ) 色 厚 紙 準 備 手 順 空 のペットボトルに 中 が 見 えないように 色 厚 紙 を 貼 る ( 写 真 1) 空 のペットボトルと 測 定 器 をこのように 置 き 測 定 器 の 数 値 をシートにメモする 6
空 のペットボトルと 線 源 と 測 定 器 をこのように 置 き 測 定 器 の 数 値 をシートにメモす る (このとき 数 値 が 上 がっていない 場 合 は 線 源 の 放 射 線 量 が 弱 いということになる ので 数 値 が 上 がるような 線 源 を 準 備 する) ペットボトルに 水 を 入 れ 再 度 同 じような 配 置 にて 測 定 器 の 表 示 をシートにメモする ( 数 値 が 下 がっていることを 確 認 する) 注 意 点 測 定 器 は 時 定 数 を 30 秒 に 設 定 し 1 分 30 秒 以 上 待 って 値 が 安 定 してからメモする 7
放 射 線 特 性 実 験 目 的 放 射 線 量 と 距 離 の 関 係 を 知 り 被 ばく 量 を 下 げるためには 何 をすべきかを 理 解 する 放 射 線 を 遮 へいするためには どのようなものが 効 率 がいいのかを 理 解 する 準 備 するもの 放 射 線 測 定 器 (はかるくん) 線 源 ( 汚 染 された 土 で 密 封 されているもの 等 ) マントル(キャンプ 用 品 ) 定 規 (5cm 10cm 50cm 1m が 測 定 できるもの) 紙 プラスチック 板 鉄 板 ( 複 数 枚 ) グラフ 用 紙 準 備 手 順 [ 距 離 との 関 係 の 確 認 実 験 ] 下 の 写 真 のように 距 離 を 変 更 して それぞれ 線 源 と 測 定 器 を 配 置 し 測 定 器 の 値 をメ モする ( 距 離 は 5cm 10cm 50cm 1m) 8
[ 遮 へいの 確 認 実 験 ] 左 の 写 真 のように 線 源 と 測 定 器 を 配 置 し まず 遮 へい 物 がない 状 態 で 測 定 器 の 値 を メモする 次 に 遮 へい 物 を 入 れて それぞれの 値 をメモする また 遮 へい 物 の 枚 数 を 増 やしてその 値 をメモし グラフにプロットしどのような 変 化 を 示 すかを 確 認 する 注 意 点 測 定 器 は 時 定 数 を 30 秒 に 設 定 し 1 分 30 秒 以 上 待 って 値 が 安 定 してからメモする 生 徒 への 学 習 項 目 1m も 離 れれば 値 は 十 分 下 がるということ 金 属 などいわゆる 重 い 物 質 ほど 遮 蔽 効 果 が 大 きいということ 9
放 射 線 の 知 識 放 射 性 物 質 不 安 定 な 原 子 核 を 含 む 物 質 不 安 定 な 原 子 核 は 一 定 の 割 合 で 崩 壊 し て 安 定 な 原 子 核 に 変 化 し その 際 に 放 射 線 を 出 す 放 射 線 を 出 す 能 力 を 放 射 能 と 呼 ぶことがある 放 射 線 放 射 性 物 質 から 出 る 目 に 見 え ない 何 か 放 射 線 が 分 子 にあたると 分 子 は 電 離 される 放 射 線 の 正 体 は 高 いエネ ルギーを 持 った 電 子 光 子 などの 流 れ 放 射 線 の 性 質 ひばく 被 曝 人 が 放 射 線 を 浴 びること 体 の 外 から 浴 びる 外 部 被 曝 と 体 の 内 部 から 浴 びる 内 部 被 曝 がある 10
放 射 線 の 知 識 ベクレル 記 号 は Bq で 表 される 放 射 性 物 質 の 量 を 測 るための 単 位 異 なった 種 類 の 放 射 性 物 質 でも ベクレルで 表 わした 量 が 等 しければ 出 てくる 放 射 線 の 量 はごく 大 ざっぱには 同 程 度 シーベルト 記 号 は Sv で 表 される 被 曝 によって 人 がどれくらいダメージを 受 け た 可 能 性 があるかを 表 わす 単 位 年 間 や 生 涯 での 通 算 で 用 いる 放 射 線 を 安 全 に 管 理 す るための 指 標 として 用 いられる 実 用 的 には ミリシーベルト (msv) という 単 位 を 使 う (1 msv = 0:001 Sv,1000 msv = 1 Sv) 外 部 被 曝 にも 内 部 被 曝 にも 用 いる 被 曝 の 原 因 が 違 っても ミリシーベルトで 表 わした 数 値 が 同 じなら 体 へのダメージは(だいたいは) 同 じだと 考 えられる ( 少 なくとも そうなることを 目 指 して ミリシーベルトの 数 値 が 決 められている) なお シーベルトやミリシーベルトの 単 位 で 表 わしている 量 は 実 効 線 量 と 呼 ばれる Gy グレイ 記 号 は Gy で 表 される 放 射 線 のエネルギーが 物 質 や 人 体 の 組 織 に 吸 収 された 量 を 表 す 単 位 放 射 線 が 物 質 や 人 体 に 当 たるともっているエネルギーを 物 質 に 与 える 1グレイとは 1キログラムの 物 質 が 放 射 線 により1ジュールのエネルギーを 受 けることを 表 す 11
放 射 線 の 知 識 ベクレル 毎 キログラム 記 号 は Bq/kg で 表 される という 単 位 は 食 品 や 水 の 汚 染 の 時 に 用 いられる これは 食 品 や 水 1 キログラムあたりに 何 ベクレルの 放 射 性 物 質 が 入 っ ているかを 表 わしている たとえば 食 品 中 の 放 射 性 セシウムの 濃 度 が 100Bq/kg と いうことは この 食 品 1 キログラムの 中 に 100 ベクレルの 放 射 性 セシウムが 入 ってい るということ 体 内 食 物 中 の 自 然 放 射 性 物 質 放 射 性 セシウムの 暫 定 規 制 値 と 新 基 準 値 12
放 射 線 の 知 識 μsv / h マイクロシーベルト パー アワー 記 号 はμSv / h で 表 される 空 間 線 量 率 いわゆる 放 射 線 の 強 さ の 単 位 マイクロシー ベルト 毎 時 (μsv/h) 学 校 や 公 園 にあるモニタリングポスト 1m の 高 さで 測 定 cpm カウント パー ミニットまた はシーピーエム 1 分 あたりの 放 射 線 計 測 回 数 で 放 射 線 量 放 射 線 測 定 機 に1 分 間 に 入 ってきた 放 射 線 の 数 を 計 測 している 人 体 への 影 響 の 大 小 は 考 慮 していない GM サーベイメータで 表 面 汚 染 の 測 定 測 定 器 を 扱 う 上 での 注 意 事 項 メータの 指 針 は 常 に 揺 れていますが その 中 心 値 を 読 んでください 指 針 に 気 を 取 られて 検 出 部 を 対 象 物 にぶつけないように 注 意 してください サーベイメータは 前 面 に 薄 い 膜 が 張 られており 鋭 いものとがったものが 当 たると 破 れてしまうことがあります この 薄 い 膜 が 破 れると 計 測 できなくなり 修 理 が 必 要 にな りますので 注 意 してください 対 象 物 にサーベイメータの 本 体 やケーブルが 触 れて 汚 染 しないように 注 意 してくださ い 汚 染 の 程 度 を 数 値 で 表 す 場 合 は 計 算 が 必 要 です 測 定 器 の 機 器 効 率 や 対 象 物 の 線 源 効 率 の 数 値 を 知 っておかなくてはなりません 対 象 物 に 凹 凸 (おうとつ)がある 場 合 は 距 離 が 保 てず 正 確 な 測 定 はできません 灰 や 木 片 などで 汚 染 が 浸 透 している 場 合 は 正 確 な 測 定 はできません 13
放 射 線 の 知 識 身 の 回 りの 放 射 線 被 ばく 自 然 放 射 線 と 人 工 放 射 線 私 たちの 生 活 環 境 には 自 然 から 受 け る 放 射 線 と 人 工 的 に 作 られた 放 射 線 が 存 在 している 人 類 は 地 球 の 誕 生 以 来 宇 宙 から 地 球 に 降 り 注 いでいる 宇 宙 線 や 大 地 飲 食 物 などからの 放 射 線 を 受 けて きた これらを 自 然 放 射 線 といい 私 たちは 年 間 一 人 当 たり 約 2.09 ミリ シーベルト( 日 本 平 均 )の 自 然 放 射 線 を 受 けている 1895 年 にレントゲン 博 士 によりエックス(X) 線 が 発 見 され 14
放 射 線 の 知 識 今 では 医 療 や 工 業 農 業 などで 色 々な 用 途 に 利 用 するため 人 工 的 に 放 射 線 が 作 られて いる これらを 人 工 放 射 線 といい 病 気 の 診 断 などに 用 いられるエックス(X) 線 撮 影 や CT などのエックス(X) 線 核 分 裂 のエネルギーを 取 り 出 す 原 子 力 発 電 所 で 生 まれる 放 射 線 などがある がんなどの 病 気 を 起 こすいろいろな 原 因 15
放 射 線 の 知 識 放 射 線 から 身 を 守 る 方 法 避 難 退 避 する 時 の 注 意 点 放 射 線 実 験 の 手 引 き 平 成 25 年 度 文 部 科 学 省 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 を 担 う 専 門 人 材 育 成 支 援 事 業 放 射 線 の 知 識 を 持 つ 測 定 技 術 者 の 育 成 及 び 計 測 支 援 事 業 発 行 : 平 成 26 年 3 月 編 集 発 行 : 放 射 線 の 知 識 を 持 つ 測 定 技 術 者 の 育 成 及 び 計 測 支 援 事 業 推 進 協 議 会 問 い 合 わせ 連 絡 先 : 学 校 法 人 新 潟 総 合 学 院 専 門 学 校 国 際 情 報 工 科 大 学 校 963-8811 福 島 県 郡 山 市 方 八 町 2-4-15 フリーダイアル 0120-454-443 http://www.wiz.ac.jp E-mail : wiz@nsg.gr.jp 16 退 避 と 避 難 は どち らも 放 射 性 物 質 から 身 を 守 ることであ り 退 避 は 家 や 指 定 された 建 物 の 中 に 入 ること 避 難 は 家 や 指 定 された 建 物 などからも 離 れて 別 の 場 所 に 移 ること です