国 際 税 務 研 究 会 国 際 税 務 2015 年 3 月 号 掲 載 韓 国 の 2015 年 税 制 改 正 及 び 実 務 への 影 響 税 理 士 法 人 プライスウォーターハウスクーパース 公 認 会 計 士 ( 韓 国 ) 李 炅 宅 Samil PricewaterhouseCoopers( 三 逸 会 計 法 人 ) 公 認 会 計 士 ( 韓 国 ) 盧 映 錫 2014 年 9 月, 公 表 された 税 制 改 正 案 が 一 部 修 正 を 経 て 2014 年 12 月 国 会 を 通 過 し,その 改 正 税 法 を 規 定 する 税 法 施 行 令 改 正 案 が 2015 年 1 月 27 日 に 閣 僚 会 議 を 通 過 しました 韓 国 における 経 済 状 況 は 世 界 経 済 の 回 復 が 遅 れたことから 内 需 は 伸 び 悩 んでおり,それに 伴 う 賃 上 げ 率 と 就 業 者 増 加 率 の 伸 び 悩 みなどにより 韓 国 国 民 が 感 じる 景 況 感 は 依 然 として 厳 しい 状 況 にありま す また, 高 齢 化 が OECD 加 盟 国 の 中 で 最 も 速 く 進 み, 生 産 可 能 人 口 及 び 消 費 余 力 の 減 少 などの 問 題 が 生 じています 所 得 格 差 は 2011 年 以 後 少 しずつ 改 善 されているものの, 高 齢 層 の 相 対 的 貧 困 率 は OECD 加 盟 国 の 中 で 最 も 高 い 水 準 を 記 録 しています 上 記 のような 社 会 及 び 経 済 の 状 況 を 鑑 みて, 韓 国 政 府 は 内 需 の 活 性 化 を 通 じて 景 気 回 復 を 図 り, 家 計 所 得 の 増 大 などを 通 じた 民 生 安 定 を 税 制 の 側 面 で 積 極 的 に 支 援 するとともに, 課 税 の 公 平 性 の 実 現 及 び 納 税 便 宜 の 向 上 など, 税 制 の 合 理 化 も 持 続 的 に 推 進 する 方 向 へと 税 制 改 正 を 実 施 しました 2015 年 税 制 改 正 ( 主 に 外 国 人 投 資 企 業 に 関 する 内 容 )は,1 経 済 活 性 化 の 側 面,2 課 税 の 公 平 化 の 側 面,3 税 制 の 合 理 化 の 側 面 の3つの 観 点 から 類 型 化 され, 主 な 改 正 事 項 は 次 の 通 りです 1 経 済 活 性 化 の 側 面 家 計 所 得 の 増 大 のために 勤 労 所 得 増 大 税 制 ( 賃 金 増 加 企 業 に 対 して 増 加 分 の5%または 10%を 税 額 控 除 )の 導 入 企 業 所 得 還 流 税 制 ( 投 資, 賃 金 増 加, 配 当 などが 当 期 所 得 の 一 定 額 を 満 たさない 場 合, 本 来 納 付 す る 法 人 税 のほかに 追 加 で 10%を 課 税 )の 導 入 投 資 及 び 消 費 を 拡 大 させるために 雇 用 創 出 投 資 税 額 控 除 制 度 の 控 除 税 率 の 改 正 外 国 人 勤 労 者 課 税 特 例 適 用 期 限 の 延 長 や 外 国 人 投 資 企 業 の 同 一 事 業 場 内 の 減 免 対 象 範 囲 の 拡 大 2 課 税 の 公 平 化 の 側 面 外 国 人 技 術 者 の 誘 致 を 支 援 するために 所 得 税 減 免 対 象 となる 外 国 人 技 術 者 の 範 囲 の 拡 充 域 外 脱 税 の 防 止 を 強 化 するために, 居 住 者 判 定 基 準 の 強 化 (1 年 以 上 から 183 日 以 上 ) 海 外 金 融 口 座 申 告 制 度 の 改 善 ( 過 怠 金 の 引 き 上 げや 修 正 申 告 期 限 後 申 告 時 の 過 怠 金 減 免 引 き 上 げ) 国 際 取 引 明 細 書 申 告 期 限 内 未 提 出 に 対 する 過 怠 金 (1 千 万 ウォン) 賦 課 PwC 1
過 少 資 本 税 制 適 用 基 準 の 強 化 (3 倍 から2 倍 ) 海 外 オープンマーケットから 購 入 する 電 子 的 サービス(アプリ, 音 楽 映 画 ファイルなど)を 付 加 価 値 税 の 対 象 とする 改 正 デリバティブ 所 得 に 対 する 譲 渡 所 得 課 税 の 改 正 3 税 制 の 合 理 化 の 側 面 納 税 者 の 権 利 保 護 のために 内 国 税 と 関 税 の 課 税 価 格 間 事 前 合 意 制 度 の 導 入 国 税 及 び 関 税 の 更 正 請 求 期 間 が3 年 から5 年 に 拡 大 国 外 関 連 者 との 取 引 価 格 算 出 と 関 連 した 資 料 提 出 の 簡 素 化, 海 外 旅 行 者 携 帯 品 の 免 税 限 度 額 の 引 上 げ 及 び 未 申 告 者 に 対 する 加 算 税 の 増 額 以 下 は 2015 年 税 制 改 正 のうち, 主 に 外 国 人 投 資 企 業 に 関 する 内 容 について 説 明 するとともに, 実 務 への 影 響 についても 簡 単 に 述 べます 1. 経 済 の 活 性 化 を 図 るための 税 制 改 正 (1) 家 計 所 得 の 増 大 に 資 する 税 制 1) 勤 労 所 得 増 大 税 制 の 新 設 勤 労 所 得 の 増 大 を 通 じて 家 計 の 可 処 分 所 得 が 増 加 するように, 賃 金 を 増 やした 企 業 に 対 して 賃 金 の 増 加 分 の 10%( 大 企 業 5%)を 税 額 控 除 できるという 規 定 が 新 設 されました( 租 特 法 1 1 第 29 の4, 租 特 令 2 2 第 26 の4) 一 次 的 な 優 遇 対 象 は 企 業 ではあるものの, 勤 労 者 の 賃 金 増 加 につながると 期 待 されるこ とから, 企 業 よりは 勤 労 者 に 優 遇 を 与 える 制 度 であるといえます 政 府 は 企 業 の 所 得 が 家 計 へ 流 れる 必 要 があるのに,これが 行 き 詰 まって 勤 労 者 の 可 処 分 所 得 が 減 っている とし, 今 回 のインセンティブ を 通 じて 勤 労 者 の 所 得 が 増 えることを 期 待 する と 制 度 の 趣 旨 を 説 明 しています 勤 労 所 得 増 大 税 制 の 内 容 を 簡 単 にまとめると 下 記 の 通 りとなります 表 1 1 租 特 法 : 租 税 特 例 制 限 法, 以 下 同 じ 2 租 特 令 : 租 税 特 例 制 限 法 施 行 令, 以 下 同 じ PwC 2
表 1 区 分 内 容 適 用 対 象 者 すべての 企 業 3 ( 個 人 事 業 者 含 む) 適 用 要 件 1 及 び2を 満 たす 1 適 用 年 度 における 常 時 勤 労 者 の 平 均 賃 金 増 加 率 > 直 前 3 年 間 平 均 賃 上 げ 率 の 平 均 なお 平 均 賃 金 計 算 においては 役 員 と 高 額 年 俸 者 (1.2 億 ウォン 以 上 の 者 )など 除 外 がされる 2 適 用 年 度 の 常 時 勤 労 者 数 直 前 年 度 常 時 勤 労 者 数 4 税 額 控 除 率 中 小 企 業 及 び 中 堅 企 業 5 10% 大 企 業 6 5% 税 額 控 除 額 - [ 適 用 年 度 平 均 賃 金 - 直 前 年 度 平 均 賃 金 (1 + 直 前 3 年 平 均 賃 上 げ 率 の 平 均 )] 直 前 年 度 勤 労 者 数 * 税 額 控 除 率 * 雇 用 増 加 効 果 を 排 除 するため 適 用 期 間 2015 年 1 月 1 日 から 2017 年 12 月 31 日 までの 間 に 終 了 する 事 業 年 度 なお, 適 用 要 件 において 総 賃 上 げ 率 ではなく, 平 均 賃 上 げ 率 が 用 いられています これは, 総 賃 金 を 基 準 とした 場 合, 勤 労 者 の 賃 金 が 増 加 しなくても 雇 用 が 拡 大 することにより 税 制 優 遇 が 受 けられる こととなり,このような 弊 害 を 避 けるためです 2) 企 業 所 得 還 流 税 制 の 新 設 企 業 が 稼 得 した 所 得 を 投 資, 賃 金 増 加 及 び 配 当 に 活 用 させるためにこれら 投 資 等 が 当 期 所 得 の 一 3 韓 国 の 税 法 においては, 法 人 を 中 小 企 業, 中 堅 企 業 及 び 大 企 業 に 区 分 し, 中 小 企 業 及 び 中 堅 企 業 には 大 企 業 に 比 し, 税 制 上 の 優 遇 規 定 が 適 用 されています 具 体 的 な 区 分 は 脚 注 4,5,6のとおりです 4 中 小 企 業 とは 下 記 の 要 件 をすべて 満 たす 企 業 です 1 2 不 動 産 賃 貸 業 など 特 定 業 種 に 該 当 しないこと 直 前 3 課 税 年 度 の 売 上 高 の 平 均 金 額 が 一 定 金 額 ( 業 種 別 に 400 億 ウォンから 1,500 億 ウォン) 以 下 の 企 業 3 相 互 出 資 制 限 企 業 集 団 (いわゆる, 財 閥 企 業 )に 属 しないこと,かつ 直 前 年 度 総 資 産 額 が 5,000 億 ウォン 以 上 の 法 人 に 30% 以 上 の 持 分 を 保 有 されている 企 業 でないこと 4 資 産 総 額 が 5,000 億 ウォン 以 上 の 企 業 ではないこと 5 中 堅 企 業 とは 下 記 の 要 件 をすべて 満 たす 企 業 です 1 2 3 4 中 小 企 業 でないこと 不 動 産 賃 貸 業 など 特 定 業 種 に 該 当 しないこと 相 互 出 資 制 限 企 業 集 団 に 属 しないこと 直 前 3 課 税 年 度 の 売 上 高 の 平 均 金 額 が 3,000 億 ウォン 未 満 の 企 業 であること 6 大 企 業 とは 中 堅 企 業 と 中 小 企 業 に 該 当 しない 企 業 PwC 3
定 額 を 満 たさない( 基 準 未 達 額 ) 場 合, 本 来 納 付 する 法 人 税 のほかに 追 加 で 課 税 ( 単 一 税 率 10%)する, 企 業 所 得 還 流 税 制 が 新 設 されました( 法 人 税 法 第 56, 法 人 税 令 第 93) 韓 国 政 府 は, 最 近 の 景 気 低 迷 の 原 因 には 企 業 の 利 益 が 社 内 留 保 される 傾 向 があるとの 認 識 の 下, 投 資, 賃 金 増 加 及 び 配 当 を 促 す 仕 組 みとして 企 業 所 得 還 流 税 制 を 新 設 しました この 制 度 は, 自 己 資 本 が 500 億 ウォンを 超 える 法 人 ( 中 小 企 業 除 外 )や 相 互 出 資 制 限 企 業 集 団 に 所 属 する 企 業 が 対 象 とされ, 大 企 業 と 中 堅 企 業 に 直 接 的 な 影 響 を 及 ぼすことになると 思 われます 企 業 所 得 還 流 税 制 の 内 容 を 表 2 にまとめました 表 2 区 分 内 容 適 用 対 象 者 自 己 資 本 500 億 ウォン 超 過 法 人 ( 中 小 企 業 除 外 )または 相 互 出 資 制 限 企 業 集 団 に 所 属 する 企 業 税 額 計 算 方 式 (a)または(b)のいずれかを 選 択 ( 最 初 に 選 択 する 時 は 3 年 間 継 続 して 適 用 ) (a) [ 当 期 所 得 * 80% - ( 投 資 額 **+ 賃 金 増 加 額 ***+ 配 当 額 など****)] 10% (b) [ 当 期 所 得 30% - ( 賃 金 増 加 + 配 当 額 など)] 10% * 当 期 所 得 : 法 人 税 法 上 所 得 金 額 から 一 定 の 項 目 を 加 減 調 整 7 ** 投 資 額 : 事 業 用 の 有 無 形 資 産 ( 機 械 装 置 など) 取 得 などの 資 産 取 得 額 *** 賃 金 増 加 額 : 職 員 ( 役 員 高 額 年 俸 者 除 外 ) 賃 金 の 増 加 額 **** 配 当 額 など: 現 金 配 当 ( 中 間 決 算 配 当 ) 自 社 株 購 入 ( 消 却 )など 適 用 期 間 2015 年 1 月 1 日 から 2017 年 12 月 31 日 までの 間 に 終 了 する 事 業 年 度 なお 税 額 計 算 方 式 においては (a)と(b)のいずれかを 選 択 できるように 規 定 していますが 両 方 式 の 違 いは 投 資 項 目 の 有 無 であることから 当 期 所 得 の 50% 以 上 を 投 資 に 使 う 企 業 は(a)を 選 択 することが 有 利 であり 投 資 金 額 が 当 期 所 得 の 50% 未 満 の 企 業 は(b)を 選 択 することが 有 利 だと 言 えます (2) 投 資 及 び 消 費 の 拡 大 1) 雇 用 創 出 投 資 税 額 控 除 制 度 の 整 備 雇 用 創 出 投 資 税 額 控 除 制 度 は, 雇 用 創 出 型 投 資 を 促 進 するために, 雇 用 創 出 人 員 により 投 資 税 額 控 除 優 遇 を 受 けられるように,2011 年 税 制 改 正 時 に 設 けられた 制 度 ( 租 特 法 第 26, 租 特 令 第 23)で, 2011 年 1 月 1 日 以 後 の 投 資 から 適 用 されています なお, 控 除 税 額 は, 事 業 用 資 産 8 に 投 資 したうえで, 常 勤 の 勤 労 者 数 が 前 年 度 下 回 らなかった 9 場 合 に 7 ただし, 国 内 投 資 を 喚 起 するために, 海 外 投 資 持 分 取 得 は 投 資 の 範 囲 から 除 外 されます 8 該 当 事 業 に 主 に 使 用 される 有 形 資 産 ( 主 に 機 械 装 置 )とソフトウェアなど 土 地 と 建 築 物, 車 両 運 搬 具, 工 具 や 機 構, 備 品 などは 除 く PwC 4
は, 下 記 の1 及 び2の 合 計 額 となります 1 基 本 控 除 額 : 投 資 金 額 に 対 して 基 本 控 除 率 (1~4%)を 乗 じた 額 2 追 加 控 除 額 : 雇 用 の 増 加 人 数 に 比 例 した 控 除 額 10 と 投 資 金 額 に 対 して 追 加 控 除 率 (3%)を 乗 じた 金 額 のいずれ か 少 ない 金 額 政 府 では,2015 年 税 制 改 正 において 雇 用 の 拡 大 を 促 す 投 資 をより 促 進 するために 基 本 控 除 率 を1% 引 き 下 げ( 中 堅 企 業 及 び 中 小 企 業 ) 又 は 廃 止 ( 大 企 業 )し,その 代 り 追 加 控 除 率 を1% 引 き 上 げ( 中 堅 企 業 及 び 中 小 企 業 ) 又 は 現 行 どおり 維 持 ( 大 企 業 )しました また, 地 域 経 済 活 性 化 及 び 雇 用 促 進 効 果 の 大 きいサービス 業 支 援 のために, 地 方 投 資 又 はサービス 業 に 対 しては, 追 加 控 除 率 をそれぞれ1% 引 き 上 げました 税 制 改 正 による 雇 用 創 出 投 資 税 額 控 除 率 の 変 動 は 次 のとおりです 表 3 表 3 ( 単 位 :%) 区 分 大 企 業 (3%~5%) 中 堅 企 業 (5%~8%) 中 小 企 業 (7%~9%) 首 都 圏 内 首 都 圏 外 首 都 圏 内 首 都 圏 外 首 都 圏 内 首 都 圏 外 基 本 控 除 1 0 2 0 2 1 3 2 4 3 4 3 追 加 控 除 合 計 一 般 3 3 3 4 3 4 3 5 3 4 3 5 サービス 業 3 4 3 5 3 5 3 6 3 5 3 6 一 般 4 3 5 4 5 6 7 7 7 8 サービス 業 4 4 5 5 5 6 6 8 7 8 7 9 2) 外 国 人 勤 労 者 課 税 特 例 適 用 期 限 の 延 長 韓 国 においては, 従 来 から 高 度 な 技 術 を 有 する 外 国 人 の 受 入 れを 通 じて 成 長 力 を 強 化 するために, 外 国 人 勤 労 者 に 対 する 課 税 特 例 を 規 定 しています その 内 容 は, 課 税 特 例 の 対 象 になる 外 国 人 勤 労 者 の 所 得 に 対 し 韓 国 の 一 般 的 な 所 得 税 率 (6%~38%)の 代 わりに, 国 内 勤 務 開 始 日 から5 年 間 は 9 中 小 企 業 の 場 合 には, 常 勤 勤 労 者 数 が 減 少 する 場 合 にも 基 本 控 除 の 適 用 が 可 能 ただし, 基 本 控 除 額 か ら 減 少 した 常 勤 労 働 者 数 に1 千 万 ウォンを 乗 じた 金 額 を 差 し 引 いた 金 額 が 税 額 控 除 額 になる 10 増 加 した 勤 労 者 数 に1 千 万 ウォン~2 千 万 ウォンを 乗 じた 金 額 PwC 5
17%の 単 一 税 率 が 適 用 されます なお, 地 方 所 得 税 11 についても 同 様 に 税 額 が 軽 減 される(1.7%)こと になります( 租 特 法 第 18 の22) ただし,これは 恒 久 的 措 置 ではなく 一 時 的 な 措 置 であり,その 適 用 期 限 は 2014 年 12 月 31 日 までと 規 定 されていました しかし,2015 年 税 制 改 正 によりヘッドクォーター 認 証 企 業 については 上 記 の 適 用 期 限 を 廃 止 して 恒 久 的 に 適 用 できるように 改 正 され,その 他 の 企 業 については, 適 用 期 限 を2 年 延 長 し 2016 年 12 月 31 日 までとしました 12 ここでヘッドクォーター 認 証 企 業 とは, 海 外 に 多 くの 活 動 拠 点 を 有 する,いわゆるグローバル 企 業 で, 韓 国 において 事 業 戦 略, 人 事 管 理, 研 究 開 発 機 能 などのヘッドクォーター 機 能 を 有 する 企 業 として 外 国 人 投 資 促 進 法 で 規 定 しています 海 外 子 会 社 に 対 する 意 思 決 定 と 経 営 支 援 活 動 を 総 括 する 拠 点 を 誘 致 する 場 合, 高 級 就 職 先 の 創 出, 国 内 調 達 増 大, 後 続 生 産 施 設 投 資 などの 効 果 を 得 ることができま す このようなヘッドクォーターを 誘 致 するためには, 高 度 な 技 術 を 有 する 人 材 の 住 居 環 境 改 善, 海 外 子 会 社 と 頻 繁 な 移 転 取 引 に 対 する 税 制 の 合 理 化 などが 重 要 であることから,このような 点 を 勘 案 してヘ ッドクォーターに 勤 める 外 国 人 勤 労 者 に 対 し, 所 得 と 関 係 なく 特 例 措 置 である 17%の 税 率 を 恒 久 的 に 適 用 できることとなりました 3) 外 国 人 投 資 企 業 の 同 一 事 業 場 内 減 免 対 象 範 囲 の 拡 充 外 国 人 ( 法 人 又 は 個 人 ) 投 資 は, 長 期 的 に 安 定 した 外 資 の 確 保, 雇 用 創 出, 先 進 技 術 及 び 経 営 手 法 の 移 転, 構 造 改 革 の 円 滑 化 など 多 様 な 経 済 効 果 を 発 生 させます このような 経 済 効 果 をもたらす 外 国 人 投 資 を 促 進 するために, 韓 国 においては 外 国 人 投 資 に 対 して 法 人 税 及 び 所 得 税, 地 方 税, 関 税 及 び 付 加 価 値 税 などにおいて 多 様 な 租 税 特 例 を 与 えています そのうち, 外 国 人 投 資 企 業 に 対 する 法 人 税 の 減 免 は, 租 税 特 例 制 限 法 で 定 めている 減 免 対 象 となる 事 業 を 営 むことによって 発 生 した 所 得 に 対 する 減 免 です( 租 特 法 第 121 の2) その 減 免 率 は, 高 度 技 術 を 伴 う 事 業 及 び 産 業 支 援 サービス 業 の 場 合, 最 初 の5 年 間 で 100%,それ 以 降 の2 年 間 で 50%となっ ており,その 他 の 場 合 ( 経 済 自 由 区 域 入 居 企 業 など)は, 最 初 の3 年 間 で 100%,それ 以 降 の2 年 間 は 50%となっています 11 所 得 税 の 納 税 義 務 がある 個 人 は 地 方 所 得 税 を 納 税 する 義 務 があります 韓 国 における 地 方 所 得 税 は 日 本 の 個 人 住 民 税 及 び 法 人 税 と 同 様 の 性 格 を 持 つ 地 方 税 ですが 個 人 所 得 税 の 納 税 義 務 があるかどうかを 判 断 す る 際, 韓 国 内 に 当 該 納 税 義 務 者 が 住 所 を 有 するかどうかを 問 わないという 点 で, 日 本 の 個 人 住 民 税 とは 異 なります 12 ( 適 用 時 期 )2015 年 1 月 1 日 以 後 初 めて 労 働 を 提 供 する 所 得 から 適 用 ただし,2015 年 1 月 1 日 以 降 のヘッドクォーターの 認 証 を 受 けた 企 業 に 対 して 勤 労 を 提 供 した 者 も 改 正 規 定 を 適 用 PwC 6
なお, 外 国 人 投 資 企 業 が, 同 じ 事 業 所 内 で 既 存 事 業 とは 異 なる 新 たな 事 業 を 開 始 する 場 合 は,その 新 たに 追 加 された 事 業 もまた 外 国 人 投 資 減 免 対 象 事 業 に 該 当 することがあります この 場 合, 従 来 の 制 度 では, 同 じ 事 業 所 内 においては, 減 免 率 が 異 なる 減 免 対 象 事 業 を1 事 業 のみ 適 用 できるとしていまし たが,2015 年 税 制 改 正 では 外 国 人 投 資 支 援 の 実 効 性 を 高 めるために, 同 じ 事 業 所 内 で 減 免 率 が 異 な る 減 免 対 象 事 業 が 複 数 ある 場 合 には, 区 分 経 理 することを 条 件 に,それぞれが 減 免 を 受 けられるように しました 2. 課 税 の 公 平 化 を 図 るための 税 制 改 正 (1) 非 課 税 減 免 制 度 の 整 備 1) 外 国 人 技 術 者 に 対 する 所 得 税 減 免 対 象 調 整 韓 国 では 優 秀 な 技 術 を 保 有 した 外 国 人 勤 労 者 の 誘 致 を 支 援 するために, 一 定 の 要 件 を 充 たす 外 国 人 技 術 者 が 国 内 で 内 国 法 人 に 勤 労 を 提 供 する 場 合, 当 該 外 国 人 技 術 者 が 国 内 で 最 初 に 勤 労 を 提 供 した 日 から5 年 となる 日 が 属 する 月 までに 発 生 した 勤 労 所 得 に 対 しては 所 得 税 を 免 除 しています( 租 特 法 第 18, 租 特 令 第 16) ここで 外 国 人 技 術 者 とは, 従 来 は1 特 定 研 究 機 関 政 府 出 資 機 関 非 営 利 法 人 研 究 機 関 に 勤 務 する 研 究 員,2 産 業 分 野 ( 企 業 の 研 究 所 など)に5 年 以 上 従 事 する 者 または, 該 当 分 野 学 士 のうち3 年 以 上 従 事 する 者,3エンジニアリング 技 術 導 入 契 約 による 技 術 提 供 者 などが 該 当 していましたが,2015 年 税 制 改 正 では 上 記 の 要 件 の 中 で1と2に 該 当 する 者 は 所 得 税 減 免 対 象 から 除 外 する 一 方, 高 付 加 価 値 の 外 国 人 投 資 を 支 援 するために 外 国 人 投 資 企 業 R&D センターに 勤 務 する 研 究 員 を 新 たに 追 加 しまし た(2015 年 1 月 1 日 以 後 最 初 に 勤 労 を 提 供 する 分 から 適 用 ) これは, 内 国 人 との 公 平 性 を 図 るために 所 得 税 の 免 除 対 象 技 術 者 の 範 囲 を 縮 小 させたものと 考 えられます ここで, 外 国 人 投 資 企 業 R&D センター とは, 外 国 企 業 が 独 立 した 研 究 施 設 を 設 置 し 自 然 系 分 野 修 士 または,3 年 以 上 の 研 究 経 験 を 有 する 学 士 を5 人 以 上 常 時 雇 う 施 設 をいいます そのため, 韓 国 に 子 会 社 を 設 立 して 研 究 所 を 運 営 する 日 系 企 業 の 場 合 は 新 しく 対 象 者 に 追 加 される 可 能 性 があるので, 外 国 人 投 資 企 業 R&D センター に 該 当 するかについての 検 討 が 必 要 となります (2) 域 外 における 脱 税 防 止 の 強 化 1) 居 住 者 判 定 基 準 の 強 化 韓 国 所 得 税 法 においても 日 本 と 同 様, 個 人 を 居 住 者 と 非 居 住 者 に 区 分 して 課 税 範 囲 を 規 定 していま PwC 7
す つまり, 居 住 者 は, 国 内 源 泉 所 得 と 国 外 源 泉 所 得 すべてに 対 し 無 制 限 に 納 税 義 務 を 有 する 13 もの の, 非 居 住 者 は, 国 内 源 泉 所 得 に 対 して 制 限 的 に 納 税 義 務 が 生 じることになります ここで 居 住 者 とは, 韓 国 国 内 に 住 所 を 有 する 個 人 及 び1 年 以 上 居 所 を 有 する 個 人 をいうものとされて います 1 年 以 上 韓 国 内 に 居 住 することを 必 要 とする 職 業 を 有 するか, 家 族, 職 業, 資 産 などの 状 況 を 勘 案 して1 年 以 上 韓 国 内 に 居 住 するものと 認 められる 場 合 は, 韓 国 内 に 住 所 を 有 すると 見 なされます 14 ( 所 得 法 第 1の2, 所 得 法 令 第 2, 第 2の2, 第 4, 相 贈 法 第 11) 一 方, 非 居 住 者 とは 引 き 続 き1 年 以 上 国 外 に 居 住 することを 必 要 とする 職 業 を 有 する 者 ( 内 国 法 人 の 国 外 事 業 場 または 100% 海 外 子 法 人 に 派 遣 された 役 員 又 は 職 員 は 除 外 ), 外 国 国 籍 を 取 得 した 者 及 び 外 国 の 永 住 権 を 取 得 した 者 ( 国 内 に 生 計 を 共 にする 家 族 がいない 者 に 限 る)をいいます また, 職 業 と 資 産 状 況 を 勘 案 し, 再 入 国 して 主 に 国 内 に 居 住 すると 認 められない 場 合 も 非 居 住 者 とみなされまし た 政 府 は, 事 実 上, 韓 国 内 で 活 動 しながらも 1 年 以 上 国 外 に 居 所 を 有 する という 現 行 所 得 税 法 上 の 非 居 住 者 の 規 定 を 利 用 する 租 税 回 避 行 為 が 増 加 している 状 況 を 問 題 視 し,2015 年 税 制 改 正 において1 年 以 上 と 規 定 されていた 居 住 期 間 要 件 を,183 日 以 上 に 変 更 しました すなわち, 韓 国 内 に 183 日 以 上 居 所 を 有 した 個 人,183 日 以 上 韓 国 内 に 居 住 することを 必 要 とする 職 業 を 有 する 者, 家 族, 職 業, 資 産 などの 状 況 を 勘 案 し,183 日 以 上 韓 国 内 に 居 住 するものと 認 められる 場 合 は 韓 国 で 居 住 者 と 判 定 される ことになりました なお,2 課 税 期 間 にわたって 183 日 以 上 居 住 する 者 は, 国 内 に 183 日 以 上 居 所 を 有 することになります このため, 税 制 改 正 により 2015 年 1 月 1 日 以 後 居 住 者 と 判 定 される 場 合 には 韓 国 国 内 外 のすべての 所 得 に 対 し 無 制 限 納 税 義 務 が 発 生 することになるので,このような 点 を 事 前 に 認 識 して 所 得 申 告 漏 れ がないように 留 意 する 必 要 があります 特 に, 韓 国 に 技 術 者 などを 長 期 出 張 形 式 で, 派 遣 させる 日 本 企 業 が 少 なくないものと 理 解 されるところ, 当 該 出 張 者 の 所 得 税 の 課 税 関 係 について 再 検 討 する 必 要 性 があると 思 われます 13 ただし, 課 税 期 間 終 了 日 10 年 前 から 国 内 に 住 所 や 居 所 を 有 した 期 間 の 合 計 が5 年 以 下 である 外 国 人 居 住 者 については 国 内 で 支 払 いがされた 国 外 発 生 所 得 及 び, 国 内 へ 送 金 された 所 得 に 対 して 課 税 が 行 われま す 14 相 贈 法 : 相 続 税 法 及 び 贈 与 税 法, 以 下 同 じ PwC 8
2) 海 外 金 融 口 座 申 告 制 度 の 改 善 海 外 金 融 口 座 申 告 制 度 は, 居 住 者 15 や 内 国 法 人 が 保 有 している 10 億 ウォン 以 上 の 海 外 金 融 口 座 を 国 税 庁 に 申 告 する 制 度 をいいます これは 域 外 脱 漏 税 源 を 把 握 して 海 外 へ 不 当 流 出 された 資 本 を 正 常 課 税 権 内 へ 引 戻 し, 国 内 資 本 の 不 当 な 海 外 流 出 と 域 外 所 得 脱 漏 を 事 前 に 抑 制 するために 2011 年 16 17 に 初 めて 導 入 されました( 国 租 法 第 34 の2, 第 34 の3, 第 35, 国 租 令 第 51) このような 海 外 金 融 口 座 について 適 正 な 申 告 を 促 すとともに, 自 己 申 告 する 納 税 者 との 公 平 感 を 確 保 するため,2015 年 税 制 改 正 では 海 外 金 融 口 座 申 告 制 度 が 一 部 改 正 されました 1 過 怠 金 の 引 き 上 げ 海 外 金 融 口 座 を 申 告 しなかった 場 合 に 課 される 過 怠 金 が 下 記 のとおり 引 上 げられました 未 申 告 金 額 が 20 億 ウォン 以 下 分 : 未 申 告 金 額 の4%=>10% 未 申 告 金 額 が 20 億 ウォン 超 50 億 ウォン 以 下 分 : 未 申 告 金 額 の7%=>15% 未 申 告 金 額 が 50 億 ウォン 超 過 分 : 未 申 告 金 額 の 10%=>20% また, 申 告 金 額 について 説 明 ができない 時 に 課 される 過 怠 金 が 未 釈 明 金 額 の 10%から 20%へ 引 き 上 げられ, 未 申 告 金 額 が 50 億 ウォンを 超 過 する 場 合 の 刑 事 処 罰 が 現 行 の 未 申 告 金 額 10% 以 下 罰 金 又 は2 年 以 下 懲 役 から, 未 申 告 金 額 20% 以 下 罰 金 又 は2 年 以 下 懲 役 へ 強 化 され, 海 外 金 融 口 座 の 適 正 な 申 告 を 促 す 仕 組 みとしました 2 修 正 申 告 期 限 後 申 告 時 の 過 怠 金 減 免 引 き 上 げ 1)のとおり, 未 申 告 又 は 未 釈 明 時 に 課 される 過 怠 金 又 は 罰 金 は 引 き 上 げる 一 方, 海 外 金 融 口 座 修 正 申 告 及 び 期 限 後 申 告 については 過 怠 金 減 免 率 は 引 き 上 げました( 納 税 者 が 自 主 的 に 修 正 申 告 又 は 期 限 後 申 告 をする 場 合 に 限 る) 具 体 的 な 減 免 率 は, 修 正 申 告 の 場 合, 申 告 期 間 以 後 6ヵ 月 以 内 に 申 告 する 場 合 の 減 免 率 が 50%か ら 70%,1 年 以 内 は 20%から 50%,2 年 以 内 は 10%から 20%に 変 更 されており,4 年 以 内 (10%)の 区 間 が 追 加 で 新 設 されました また, 期 限 後 申 告 の 過 怠 金 減 免 率 も, 申 告 期 間 以 後 1ヵ 月 以 内 は 50%か ら 70%,6ヵ 月 以 内 は 20%から 50%に 変 更 されており,1 年 以 内 (20%)および2 年 以 内 (10%)の 期 間 が 追 加 で 新 設 されており, 自 己 申 告 する 納 税 者 に 対 し 負 担 を 減 少 させる 改 正 と 言 われています 15 ' 居 住 者 'には 外 国 人 居 住 者 も 含 まれるので, 日 本 から 韓 国 に 派 遣 され, 居 住 者 になった 日 本 人 駐 在 員 など も 対 象 になることに 留 意 する 必 要 があります 16 国 租 法 : 国 際 租 税 調 整 に 関 する 法 律, 以 下 同 じ 17 国 租 令 : 国 際 租 税 調 整 に 関 する 法 律 施 行 令, 以 下 同 じ PwC 9
3) 国 際 取 引 明 細 書 申 告 期 限 内 未 提 出 に 対 する 過 怠 金 賦 課 韓 国 では 国 外 特 殊 関 係 者 と 国 際 取 引 を 行 う 納 税 義 務 者 は, 国 外 特 殊 関 係 者 の 人 的 事 項 及 び 国 外 特 殊 関 係 者 との 取 引 状 況 が 記 載 された 国 際 取 引 明 細 書 を, 法 人 税 申 告 期 限 までに 納 税 地 管 轄 税 務 署 長 に 提 出 することとされています 既 存 の 法 令 では 上 記 の 国 際 取 引 明 細 書 を 法 人 税 申 告 期 限 まで 提 出 しない 場 合, 課 税 当 局 が 提 出 を 要 求 することができ, 正 当 な 事 由 なく 期 限 まで 提 出 しなかった 場 合 や 虚 偽 の 資 料 を 提 出 した 場 合 には7 千 万 ウォンの 過 怠 金 を 課 することができるように 規 定 されていました 2015 年 税 制 改 正 では, 国 際 取 引 に 対 する 課 税 の 実 効 性 を 向 上 させるために 国 際 取 引 明 細 書 を 法 人 税 申 告 期 限 まで 提 出 しなかった 納 税 義 務 者 にも1 千 万 ウォンの 過 怠 金 を 課 するように 改 正 したことから, 法 人 税 申 告 時 に 関 連 書 式 の 提 出 漏 れがないように 留 意 する 必 要 があります( 国 租 法 第 12, 国 租 令 第 51) 4) 過 少 資 本 税 制 適 用 基 準 の 強 化 資 本 に 対 する 配 当 は 損 金 と 認 められないものの, 借 入 金 に 対 する 支 払 利 息 は 損 金 と 認 められることか ら, 韓 国 の 内 国 法 人 が 外 国 法 人 ( 国 外 支 配 株 主 18 )から 資 金 を 調 達 する 際, 出 資 よりは 借 入 れにより 行 われる 場 合 が 多 いと 言 えます このように 過 大 な 借 入 金 に 対 する 利 子 を 損 金 と 認 めない 制 度 が 過 少 資 本 税 制 です 日 本 と 同 様 に 韓 国 の 税 法 にも 過 少 資 本 税 制 が 存 在 し, 韓 国 の 内 国 法 人 が 国 外 支 配 株 主 からの 借 入 金 が 出 資 金 額 の 業 種 別 倍 数 ( 一 般 業 種 は3 倍, 金 融 業 は6 倍 )を 超 過 する 場 合,その 超 過 借 入 金 に 対 する 支 払 利 息 を 損 金 不 算 入 とするように 規 定 していますが, 最 近 頻 発 している 多 国 籍 企 業 の 租 税 回 避 に 対 する 課 税 強 化 の 一 環 として,2015 年 税 制 改 正 では 一 般 業 種 のブラック 業 種 別 倍 数 を 既 存 の3 倍 か ら2 倍 に 強 化 しました( 国 租 法 第 14, 第 15) また, 過 少 資 本 税 制 が 適 用 される 借 入 金 の 範 囲 についても 一 部 改 正 が 行 われ, 過 少 資 本 税 制 の 適 用 対 象 になる 借 入 金 の 範 囲 を 既 存 の 国 外 支 配 株 主 からの 借 入 だけでなく, 国 外 支 配 株 主 の 親 族 など 特 殊 関 係 者 などからの 借 入 も 含 めるようにしました なお, 国 外 支 配 株 主 の 親 族 など 特 殊 関 係 者 とは, 次 のとおりです 18 内 国 法 人 の 持 分 の 50% 以 上 を 直 接 / 間 接 的 に 所 有 している 外 国 株 主 及 びその 外 国 株 主 が 株 式 の 50% 以 上 を 直 接 / 間 接 的 に 所 有 している 外 国 法 人 など PwC 10
国 外 支 配 株 主 と 次 の 関 係 にある 者 ( 国 税 基 本 法 上 特 殊 関 係 者 ) 1 血 族 親 せきなど 親 族 関 係 * *6 親 等 以 内 の 血 族,4 親 等 以 内 の 親 せき, 配 偶 者 ( 事 実 婚 姻 含 む) 等 2 役 員 使 用 人 など 経 済 的 相 関 関 係 * * 役 員, 使 用 人, 本 人 の 金 銭 やその 他 の 財 産 で 生 計 を 維 持 する 者 など < 適 用 時 期 >2015 年 1 月 1 日 以 後 開 始 する 課 税 年 度 分 から 適 用 このようなことから, 従 来 過 少 資 本 税 制 の 適 用 対 象 ではなかった 場 合 でも, 税 制 改 正 により 過 少 資 本 税 制 の 適 用 を 受 ける 可 能 性 もありますので 十 分 な 検 討 が 求 められます (3) 新 規 財 源 の 確 保 1) 海 外 オープンマーケットで 購 入 する 電 子 的 サービス(アプリ, 音 楽 映 画 ファイルなど)VAT 課 税 韓 国 の 付 加 価 値 税 法 では 韓 国 の 消 費 者 が 海 外 オープンマーケット(グーグル アップルなど)を 通 じて アプリを 購 入 する 場 合, 韓 国 内 開 発 者 アプリは 付 加 価 値 税 が 課 税 されていますが, 海 外 開 発 者 アプリ には 課 税 されませんでした( 表 4 参 照 ) 表 4 マーケットの 区 分 アプリなど 開 発 者 の 区 分 国 内 開 発 者 アプリな ど 国 内 オープンマーケット(SKT KT な どのアプリストア)から 購 入 時 (VAT 課 税 ) 国 内 開 発 者 申 告 納 付 海 外 オープンマーケット(グーグル ア ップルなどのアプリストア)から 購 入 時 (VAT 課 税 ) 国 内 開 発 者 申 告 納 付 海 外 開 発 者 アプリな ど (VAT 課 税 ) 国 内 オープンマーケット 事 業 者 などが 申 告 納 付 海 外 開 発 者 海 外 オープンマーケット 事 業 者 いずれも 納 付 しない すなわち, 海 外 オープンマーケットで 販 売 された 電 子 的 サービスであっても 国 内 開 発 者 が 開 発 して 販 売 したアプリに 対 しては 付 加 価 値 税 が 課 税 される 反 面, 海 外 開 発 者 が 開 発 したアプリで 対 しては 付 加 価 値 税 が 課 税 されませんでした 2015 年 税 制 改 正 では 海 外 オープンマーケット 事 業 者 が 海 外 開 発 者 アプリに 対 して 付 加 価 値 税 を 納 付 するという 制 度 を 韓 国 でも 導 入 することとしました また, 国 内 開 発 者 と 海 外 開 発 者 間 の 課 税 公 平 及 び 課 税 基 盤 を 拡 大 するという 趣 旨 で 海 外 開 発 者 アプリの 場 合 には, 海 外 オープンマーケット 事 業 者 が 国 税 庁 ホームページにオンラインで 簡 便 事 業 者 登 録 をし, 付 加 価 値 税 を 納 付 するように 改 正 しました な PwC 11
お, 本 改 正 は 2015 年 7 月 1 日 以 後 提 供 する 役 務 から 適 用 されます( 付 価 法 19 新 設 )( 付 価 令 20 第 96 の2 新 設, 付 価 令 第 711, 第 731) 2)デリバティブ 譲 渡 所 得 課 税 今 まで 韓 国 ではデリバティブ 市 場 の 活 性 化 を 目 的 に,デリバティブに 対 する 所 得 については 非 課 税 と してきました しかし,2015 年 の 税 制 改 正 では 他 の 所 得 との 課 税 公 平 などを 勘 案 してデリバティブの 譲 渡 所 得 に 対 しても 2016 年 1 月 1 日 以 後 の 取 引 から 課 税 ( 税 率 10%)することになりました( 所 得 税 法 第 9415 号 など 新 設 ) ただし,デリバティブ 課 税 導 入 初 期 であることを 考 慮 して, 国 内 デリバティブは KOSPI200 21 先 物 オプ ションを 対 象 として 課 税 することとし, 国 外 デリバティブは 海 外 デリバティブ 市 場 で 取 引 される 取 引 所 デリ バティブを 課 税 対 象 と 規 定 しました 3. 税 制 の 合 理 化 を 図 るための 改 正 (1) 納 税 者 の 権 利 保 護 1) 内 国 税 と 関 税 の 課 税 価 格 間 事 前 合 意 制 度 の 導 入 2015 年 税 制 改 正 においては, 課 税 当 局 が 課 税 価 格 変 更 処 分 をする 前 に 国 税 と 関 税 の 課 税 価 格 を 調 整 できる 制 度 を 導 入 して 納 税 者 の 不 便 を 解 消 できるようにしました( 国 租 法 第 6の3 及 び 関 税 法 第 37 の 2 新 設 ) つまり, 内 国 税 である 法 人 税 の 事 前 合 意 制 度 (APA:Advance Pricing Agreement)の 申 請 時,または 関 税 の 課 税 価 格 事 前 審 査 (ACVA:Advance Customs Valuation Arrangement)の 申 請 時 に,APA または ACVA を 同 時 に 申 請 することが 可 能 となり, 申 請 を 受 けた 国 税 庁 長 官 と 関 税 庁 長 官 は 課 税 価 格 の 評 価 方 法 及 び 適 正 範 囲 を 協 議 して 決 めるようにした 制 度 です これに 関 する 実 務 的 な 申 請 手 続 きについて 簡 単 にまとめると 下 記 表 5 のとおりになります 19 付 加 法 : 付 加 価 値 税 法, 以 下 同 じ 20 付 価 令 : 付 加 価 値 税 法 施 行 令, 以 下 同 じ 21 KOSPI200 は, 日 本 語 では 韓 国 200 種 株 価 指 数 とも 呼 ばれ, 韓 国 取 引 所 の 全 上 場 銘 柄 から 市 場 代 表 性 や 業 種 代 表 性, 及 び 流 動 性 を 勘 案 して 決 定 された 200 のプルーチップス( 優 良 株 式 銘 柄 )を 対 象 とする 時 価 総 額 加 重 型 の 株 価 指 数 をいう PwC 12
表 5 区 分 事 前 合 意 申 請 対 象 事 前 合 意 可 能 の 有 無 通 知 その 他 手 続 き 適 用 時 期 内 容 国 税 の 独 立 企 業 間 価 格 と 関 税 の 課 税 価 格 の 評 価 方 法 が 似 ている 場 合 - ( 国 税 独 立 企 業 間 価 格 ) 独 立 価 格 比 準 法 再 販 売 価 格 基 準 法 原 価 基 準 法 ( 国 租 法 第 511~3) - ( 関 税 課 税 価 格 ) 同 種 同 質 輸 入 物 品 取 引 価 格 法 類 似 輸 入 物 品 取 引 価 格 法 国 内 販 売 価 格 逆 算 方 法 算 定 価 格 方 法 ( 関 税 法 第 31~ 第 34) 課 税 官 庁 は 事 前 合 意 申 込 書 の 受 付 日 から 90 日 以 内 に 事 前 合 意 申 請 者 宛 に 事 前 合 意 が 可 能 か 否 かについて 通 知 - 事 前 合 意 の 不 可 通 知 を 受 けた 場 合 納 税 者 は 受 領 日 から 30 日 以 内 に APA と ACVA の 別 途 進 行 如 何 を 課 税 官 庁 に 回 答 事 前 承 認 審 査 方 法 及 び 手 続 きなどは APA と ACVA を 準 用 公 布 日 以 後 事 前 合 意 を 申 請 する 分 から 適 用 韓 国 には, 日 本 に 比 べて, 外 国 の 親 会 社 からの 資 本 財 の 輸 入 金 額 が 大 きい 子 会 社 が 多 いことから, 実 務 的 に 内 国 税 と 関 税 との 摩 擦 問 題 がよく 提 起 されており, 輸 入 価 格 の 決 定 に 苦 情 を 訴 える 会 社 が 多 数 ありました しかし,このような 制 度 の 導 入 により, 国 税 庁 と 関 税 庁 が 事 前 に 輸 入 価 格 を 相 互 合 意 する ことで,このような 問 題 を 事 前 に 解 決 できるとの 点 で 納 税 者 の 権 利 保 護 に 大 変 役 立 つ 制 度 だと 思 われま す 2) 国 税 及 び 関 税 更 正 請 求 期 間 の 拡 大 今 まで 納 税 者 が 申 告 した 内 容 に 対 し, 政 府 が 追 加 で 課 税 できる 賦 課 除 斥 期 間 は5 年 でしたが, 納 税 者 が 政 府 に 過 大 納 付 した 税 額 を 還 付 請 求 できる 更 正 請 求 期 間 は3 年 と 規 定 されていたため, 納 税 者 の 権 利 が 制 限 されてきました このような 状 況 を 考 慮 して,2015 年 の 税 制 改 正 では, 国 税 の 賦 課 除 斥 期 間 と 同 じく 納 税 者 の 更 正 請 求 期 間 も5 年 に 延 長 し, 納 税 者 の 利 益 保 護 を 強 化 しました なお, 適 用 時 期 は 2015 年 1 月 1 日 からにな ります( 国 税 基 本 法 第 45 の21, 関 税 法 第 38 の3 4) (2) 納 税 協 力 事 務 の 軽 減 1) 国 際 取 引 独 立 企 業 間 価 格 算 出 関 連 書 類 提 出 の 簡 素 化 納 税 者 は 国 外 特 殊 関 係 者 との 取 引 に 際 し 最 も 合 理 的 な 独 立 企 業 間 価 格 算 出 方 法 を 選 択 して, 選 択 された 方 法 及 び 理 由 を 課 税 標 準 及 び 税 額 の 確 定 申 告 時 に 納 税 地 管 轄 税 務 署 長 に 提 出 しなければなり ません ただし, 小 額 の 取 引 まで 全 て 提 出 させるのは 納 税 者 に 過 度 な 負 担 となるため, 一 事 業 年 度 の 国 際 取 引 金 額 が 下 記 の 金 額 以 下 の 場 合 には 提 出 を 要 しないこととされました( 国 租 令 第 7) PwC 13
独 立 企 業 間 価 格 算 出 方 法 選 択 理 由 書 の 提 出 免 除 基 準 全 体 財 貨 取 引 金 額 の 合 計 が 50 億 ウォン 以 下 でかつ, 役 務 取 引 金 額 の 合 計 が5 億 ウォン 以 下 国 外 特 殊 関 係 者 別 財 貨 取 引 金 額 の 合 計 が 10 億 ウォン 以 下,かつ 役 務 取 引 金 額 の 合 計 が1 億 ウォン 以 下 2014 年 1 月 に 開 催 された 外 国 人 投 資 企 業 懇 談 会 での 外 国 人 投 資 活 性 化 案 で 提 起 された 内 容 を 基 に, 2015 年 税 制 改 正 では 上 記 の 提 出 免 除 基 準 を 下 記 のとおり 修 正 して 納 税 者 の 負 担 を 緩 和 しました 全 体 財 貨 取 引 金 額 の 合 計 が 50 億 ウォン 以 下 でかつ, 役 務 取 引 金 額 の 合 計 が 10 億 ウォン 以 下 国 外 特 殊 関 係 者 別 財 貨 取 引 金 額 の 合 計 が 10 億 ウォン 以 下,かつ 役 務 取 引 金 額 の 合 計 が2 億 ウォン 以 下 2) 海 外 旅 行 者 携 帯 品 の 免 税 限 度 上 方 修 正 及 び 未 申 告 者 に 対 する 加 算 税 の 強 化 海 外 旅 行 から 帰 ってきた 旅 行 者 が 購 入 した 免 税 品 は 一 定 金 額 の 限 度 内 で 免 除 ( 基 本 免 税 )されます その 基 本 免 税 金 額 は 現 行 法 では,US$400 ドルです しかし, 国 民 所 得 の 向 上 及 び 国 民 厚 生 増 大 の 見 地 から 2015 年 税 制 改 正 を 通 じて 基 本 免 税 金 額 が US$600 ドルへ 上 方 修 正 されています なお,この 規 定 は,2015 年 1 月 1 日 以 後 入 国 する 旅 行 者 携 帯 品 から 適 用 されます( 関 税 法 第 241, 関 税 法 規 則 第 48) 一 方, 上 記 の 免 税 限 度 金 額 を 超 える 免 税 品 については 申 告 納 付 しなければなりません 未 申 告 者 に 対 する 加 算 税 率 は 現 行 法 では 30%です しかし, 海 外 旅 行 者 携 帯 品 に 対 する 自 己 申 告 を 誘 導 する ため, 加 算 税 を 一 般 未 申 告 は 40%, 常 習 未 申 告 (2 年 以 内 2 回 以 上 未 申 告 )は 60%にまで 上 方 修 正 さ れています なお,この 規 定 は,2015 年 1 月 1 日 以 後 入 国 する 旅 行 者 の 携 帯 品 から 適 用 されます 以 上 PwC 14