TMT 時 代 のサイエンス 銀 河 の 形 成 と 進 化 嶋 作 一 大 ( 東 大 ) 1
この 発 表 の 目 的 TMT の 頃 の 銀 河 進 化 のサイエンスを 考 える 遠 方 銀 河 の 観 測 に 焦 点 を 当 てる しかし 誰 のために? 銀 河 研 究 者 のため? 各 自 やりたいサイエンスを 持 っている 天 文 コミュニティのため? 良 い 資 料 がすでにある 自 分 自 身 のため ( 現 在 の 到 達 点 新 たな 動 機 付 け) + 資 料 を 読 むのが 面 倒 な 他 分 野 の 人 のため - 銀 河 進 化 という 高 山 を 俯 瞰 - 登 頂 のための 戦 術 を 述 べたものではない 2
この発表の目的 TMT の頃の銀河進化のサイエンスを考える 遠方銀河の観測に焦点を当てる しかし誰のために 銀河研究者のため 各自やりたいサイエンスを持っている 天文コミュニティのため 良い資料がすでにある 自分自身のため (現在の到達点 新たな動機付け) + 資料を読むのが面倒な他分野の人のため - 銀河進化という高山を俯瞰 - 登頂のための戦術を述べたものではない 3
銀 河 の 形 成 と 進 化 の 歴 史 : 現 在 の 理 解 赤 方 偏 移 最 盛 期 銀 河 の 形 態 の 確 立 銀 河 団 の 形 成 最 初 の 銀 河 (z~30?) 未 発 見 宇 宙 年 齢 ( 億 年 ) 宇 宙 の 再 電 離 (z~10?) 未 同 定 4 現 在 に 向 かって かって かって かって 単 調 に 低 下 さまざまな 性 質 の 銀 河 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 銀 河 の 起 源 現 在 地 球 誕 生 3 星 形 成 率 密 度 [Msun Msun/yr/ /yr/mpc ] ( 宇 宙 の 星 形 成 活 動 の 活 発 さ)
銀 河 の 歴 史 のうわべをなぞったに 過 ぎない ( 一 部 の 明 るい 銀 河 の 一 部 の 性 質 を 調 べただけ) 5
証拠写真 z=7.0 銀河の歴史のうわべをなぞったに過ぎない (一部の明るい銀河の 一部の性質を調べただけ) 6
観 測 によると 銀 河 は 質 量 や 環 境 によって 性 質 が 異 なる z=0 での 銀 河 の 星 形 成 の 活 発 さ vs 星 質 量 渦 巻 銀 河 星 形 成 の 活 発 さ もっと 軽 い 銀 河 の 数 や 性 質 はよく わかっていない 矮 小 銀 河 楕 円 銀 河 星 質 量 [Msun Msun] Brinchmann et al. 2004 銀 河 全 体 の 進 化 を 知 るには 遠 方 宇 宙 でも 同 様 の 観 測 が 必 要 7
理 論 によると 銀 河 の 進 化 は 質 量 や 環 境 に 左 右 される ΛCDM モデル = 宇 宙 定 数 + 冷 たい 暗 黒 物 質 + 少 量 のバリオン+ 原 始 密 度 揺 らぎ 原 始 の 密 度 揺 らぎ - 軽 い 銀 河 から 重 い 銀 河 への 階 層 的 構 造 形 成 - 質 量 時 代 環 境 で 異 なる 複 雑 なバリオン 物 理 ガスの 冷 却 と 星 の 形 成 ガスへのフィードバック 機 構 超 新 星 による 加 熱 軽 い 銀 河 に 効 く AGNによる 加 熱 重 い 銀 河 に 効 く 環 境 効 果 ( 銀 河 同 士 銀 河 団 物 質 背 景 紫 外 線 ) これらのバリオン 物 理 はまだ 解 かれていない 未 知 の 機 構 が 隠 れているかもしれない フィードバック ガス 星 環 境 銀 河 冷 却 8
カギとなるパラメータ 質 量 (+ 星 形 成 率 ) 銀 河 進 化 は 質 量 に 依 存 L* 以 下 の 銀 河 内 部 構 造 進 化 の 物 理 形 態 形 態 以 外 の 構 造 CDM 星 ガスの 分 布 と 運 動 AGN/ 超 大 質 量 ブラックホール 環 境 銀 河 進 化 は 環 境 に 依 存 銀 河 密 度 銀 河 団 ガス 銀 河 間 ガス いろいろな 環 境 の 銀 河 銀 河 の 年 齢 形 成 中 の 銀 河 宇 宙 の 年 齢 再 電 離 期 の 銀 河 初 代 の 銀 河 9
未 知 のタイプの 銀 河 - 星 のない 銀 河 - DM のない 銀 河 質 量 (+ 星 形 成 率 ) 銀 河 進 化 は 質 量 に 依 存 L* 以 下 の 銀 河 カギとなるパラメータ 内 部 構 造 進 化 の 物 理 形 態 形 態 以 外 の 構 造 CDM 星 ガスの 分 布 と 運 動 AGN/ 超 大 質 量 ブラックホール 環 境 銀 河 進 化 は 環 境 に 依 存 銀 河 密 度 銀 河 団 ガス 銀 河 間 ガス いろいろな 環 境 の 銀 河 銀 河 の 年 齢 形 成 中 の 銀 河 宇 宙 の 年 齢 再 電 離 期 の 銀 河 初 代 の 銀 河 10
TMT (30m) 次 世 代 望 遠 鏡 の 能 力 集 光 力 = すばるの 約 15 倍 角 分 解 能 = すばるの 約 4 倍 (どちらも AO) 点 源 の 感 度 はすばるの 約 15 倍 JWST (6.5m), SPICA (3.5m) 夜 光 なし K-band 以 降 の 感 度 が 高 い ( 大 気 吸 収 もない) 4.5Kに 冷 やすSPICAは 中 間 遠 赤 外 でトップ 表 面 輝 度 の 低 い 天 体 が 観 測 できる 大 気 なし 広 い 視 野 で 回 折 限 界 の 画 像 限 界 等 級 (K band) Subaru Super Deep Field = 26.5mag AB ( 点 源 AO) TMT のノルマ = 32mag - すばるより100 倍 暗 い という 区 切 りの 良 さ - サイエンスからの 要 求 - JWST は 34mag を 狙 う 2um での 回 折 限 界 すばる 0. 06 (500pc@z=3) TMT 0. 016 (130pc@z=3) 11
未 知 のタイプの 銀 河 - 星 のない 銀 河 - DM のない 銀 河 質 量 (+ 星 形 成 率 ) 銀 河 進 化 は 質 量 に 依 存 L* 以 下 の 銀 河 カギとなるパラメータ 内 部 構 造 進 化 の 物 理 形 態 形 態 以 外 の 構 造 CDM 星 ガスの 分 布 と 運 動 AGN/ 超 大 質 量 ブラックホール 環 境 銀 河 進 化 は 環 境 に 依 存 銀 河 密 度 銀 河 団 ガス 銀 河 間 ガス いろいろな 環 境 の 銀 河 銀 河 の 年 齢 形 成 中 の 銀 河 宇 宙 の 年 齢 再 電 離 期 の 銀 河 初 代 の 銀 河 12
パラメータ #1: 質 量 軸 銀 河 の 見 かけの K 等 級 矮 小 銀 河 (M* + 6) 矮 小 銀 河 (M* + 3) 明 るい 銀 河 (M*) TMT, JWST すばる 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 ( 星 の 集 積 形 態 の 確 立 ) 軽 い 銀 河 を 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 で 観 測 できる - 階 層 的 構 造 形 成 の 本 質 - 質 量 に 依 存 するバリオン 物 理 13
銀 河 の 星 質 量 の 推 定 の 現 状 銀 河 の 総 質 量 の 推 定 の 現 状 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 矮 小 銀 河 銀 河 系 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 redshift Drory et al. 2005 Shimasaku+08 最 重 要 期 の 矮 小 銀 河 が 見 えていない 14 星 質 量 [Msun Msun/h 2 ] ダークハローの 質 量 [Msun Msun] 矮 小 銀 河
パラメータ #2: 宇 宙 の 時 間 軸 銀 河 の 最 遠 方 記 録 の 変 遷 宇 宙 の 再 イオン 化 いつどのようして 起 こったか 宇 宙 で 最 初 の 銀 河 はいつ 誕 生 し どんな 姿 だったのか 最 後 のフロンティア 他 分 野 にとっても 特 別 な 時 代 恒 星 進 化 - 種 族 III 星 - 極 超 新 星 - ガンマ 線 バースト - 重 元 素 合 成 星 形 成 - IMF の 進 化 - 原 始 ガスの 冷 却 15
超 遠 方 銀 河 の 見 かけ 等 級 ( 静 止 系 1500Aに 対 応 ) 1500(1+z) に 対 応 するバンドパス R Z H K L M TMT 0.1 Msun/yr 1 Msun/yr 次 世 代 望 遠 鏡 10 Msun/yr 現 在 の 限 界 再 イオン 化 時 代 暗 黒 時 代 の 銀 河 が 見 えてくる 0.1-1 Msun/yr 1E+9~1E+10 MDH 100 arcmin2 10<z<30 2E+6 Mpc3 16
パラメータ #3: 銀 河 の 時 間 軸 形 態 の 確 立 銀 河 の 合 体 と 成 長 星 の 集 積 最 初 の 星 形 成 最 初 の ガスの 冷 却 原 始 密 度 揺 らぎ DRGs LBGs LAEs EROs SMGs LABs? 誰 も 見 ていない 非 常 に 若 い 銀 河 は 数 が 少 ない すばるで 探 査 (Hyper Suprime-Cam) 次 世 代 望 遠 鏡 で 詳 細 に 観 測 銀 河 の 生 まれ 方 が 分 かる 17
パラメータ #4: 内 部 構 造 形 態 速 度 構 造 ( 面 分 光 ) VLT/SINFONI F-Schreiber+06 (z=2.43) Law+07 静 止 系 紫 外 (HST) Akiyama+08 静 止 系 可 視 (すばる) KeckII/OSIRIS Law+07 (z=2.18) 明 るい 銀 河 の 形 態 と ごく 少 数 の 銀 河 の 内 部 運 動 しか 調 べられていない 次 世 代 望 遠 鏡 ( 高 い 集 光 力 と 角 分 解 能 + 面 分 光 などの 新 技 術 ) - 暗 い 銀 河 への 拡 張 - 形 態 以 外 の 構 造 - AGN 超 大 質 量 ブラックホール 銀 河 進 化 の 物 理 が 分 かる 18
銀 河 パラメータ #5: 環 境 銀 河 間 ガスの 降 着 電 離 紫 外 線 銀 河 団 の 高 温 ガス 銀 河 の 相 互 作 用 合 体 銀 河 団 の 重 力 環 境 銀 河 からのガスの 流 出 重 元 素 汚 染 電 離 紫 外 線 の 放 射 AGNからのエネルギー 放 出 主 に z<1 についての 限 られたデータしかない 次 世 代 望 遠 鏡 - 銀 河 進 化 の 最 重 要 期 である z~1-4 - さまざまな 環 境 での 詳 細 な 観 測 環 境 効 果 の 物 理 がわかる 19
次 世 代 望 遠 鏡 によって 見 える 部 分 は 大 幅 に 広 がる 未 知 のタイプの 銀 河 - 星 のない 銀 河 - DM のない 銀 河 質 量 (+ 星 形 成 率 ) 銀 河 進 化 は 質 量 に 依 存 L* 以 下 の 銀 河 内 部 構 造 進 化 の 物 理 形 態 形 態 以 外 の 構 造 CDM 星 ガスの 分 布 と 運 動 AGN/ 超 大 質 量 ブラックホール 環 境 銀 河 進 化 は 環 境 に 依 存 銀 河 密 度 銀 河 団 ガス 銀 河 間 ガス いろいろな 環 境 の 銀 河 銀 河 の 年 齢 形 成 中 の 銀 河 宇 宙 の 年 齢 再 電 離 期 の 銀 河 初 代 の 銀 河 結 末 は? - 銀 河 進 化 が 解 明 されるかもしれない ( 登 頂 ) - 説 明 できない 現 象 が 見 つかるかもしれない ( 遭 難 ) - 本 質 的 な 進 展 はないかもしれない ( 足 踏 み) 20
銀 河 進 化 が 分 かれば 満 足 か 銀 河 進 化 - 単 に 複 雑 なだけの 応 用 物 理? ( 知 的 な 泥 レス ) - 宇 宙 で 一 回 きりしか 起 こらない 各 論? 生 物 学 - 生 命 現 象 は 物 理 法 則 ( 化 学 を 含 む) で 記 述 できる - 地 上 の 生 命 進 化 は 一 回 きりの 各 論 - 自 然 淘 汰 は 物 理 法 則 を 超 えた 普 遍 的 概 念 銀 河 進 化 にも 物 理 を 超 えた 何 か はないか? なさそう (だが 決 め 付 けは 禁 物 ) 天 体 物 理 学 以 外 の 視 点 での 動 機 付 けはないか? 21
銀 河 とは? Sandage 1961, The Hubble Atlas of Galaxies Galaxies are to astronomy what atoms are to physics 天 文 学 にとっての 銀 河 は 物 理 学 にとっての 原 子 Binney & Tremaine 1987, Galactic Dynamics Galaxies are to astronomy as ecosystems are to biology 天 文 学 にとっての 銀 河 は 生 物 学 にとっての 生 態 系 物 理 学 から 生 物 学 へ 我 々はなぜ この 宇 宙 の この 時 代 の この 銀 河 にいるのか 銀 河 生 物 学 銀 河 研 究 の 動 機 付 けの 問 題 22
できごと log 年 ビッグバン (E- 歳 ) 軽 元 素 合 成 (E-6 歳 ) 晴 れ 上 がり (E+5.5 歳 ) 最 初 の 銀 河 (E+8 歳 ) 現 在 (E+10 歳 ) 宇 宙 の 年 表 最 後 の 主 系 列 星 (E+13 歳 ) - 宇 宙 論 パラメータの 数 値 と 解 釈 が 正 しければ 宇 宙 は 無 限 の 未 来 まで 存 在 する - 星 の 系 としての 銀 河 が 存 在 するのは 1 億 歳 から 10 兆 歳 までの 5 桁 の 時 間 スケールのみ 宇 宙 の 年 表 において 銀 河 は 儚 い 存 在 - 儚 いゆえにいとおしい - 我 々 生 命 は 銀 河 と 運 命 をともにする 宇 宙 の 歴 史 の 中 で 我 々 生 命 は いつ どこに 存 在 できるのだろうか Adams & Lauglin 1997 無 限 の 未 来 23
Cosmic Habitable Spacetime 宇 宙 の 中 で 生 命 の 住 める 場 所 と 時 刻 を 特 定 する 現 在 宇 宙 の 星 形 成 史 ビッグバン 生 命 は 適 切 な 銀 河 の 中 の 適 切 な 場 所 にある 適 切 な 惑 星 に 住 める どこ? ( 銀 河 系 のオリオン 腕 は 典 型 か) 銀 河 ごと 銀 河 内 部 の 星 形 成 史 いつ? (100 億 歳 は 典 型 か) 過 去 と 未 来 の 星 形 成 史 銀 河 の 研 究 は 過 去 を 振 り 返 るばかりでは 駄 目 銀 河 進 化 モデルの 構 築 が 必 要 惑 星 形 成 論 との 融 合 生 命 は ほとんど 交 流 のない 銀 河 と 惑 星 の 研 究 者 が 共 有 できる 唯 一 の 動 機?? そもそも 宇 宙 は 永 遠 に 存 在 するのか 暗 黒 物 質 と 暗 黒 エネルギーの 正 体 物 理 定 数 は 本 当 に 定 数 か これらは 銀 河 を 使 って 調 べることができる 我 々はなぜこの 宇 宙 にいるのか 24
まとめ 次 世 代 望 遠 鏡 は 銀 河 のパラメータ 空 間 を 隅 々まで 照 らし 出 す 未 知 のタイプの 銀 河 - 星 のない 銀 河 - DM のない 銀 河 質 量 (+ 星 形 成 率 ) 銀 河 進 化 は 質 量 に 依 存 L* 以 下 の 銀 河 銀 河 の 年 齢 形 成 中 の 銀 河 内 部 構 造 進 化 の 物 理 形 態 形 態 以 外 の 構 造 CDM 星 ガスの 分 布 と 運 動 AGN/ 超 大 質 量 ブラックホール 環 境 銀 河 進 化 は 環 境 に 依 存 銀 河 密 度 銀 河 団 ガス 銀 河 間 ガス 宇 宙 の 年 齢 いろいろな 環 境 の 銀 河 再 電 離 期 の 銀 河 初 代 の 銀 河 銀 河 進 化 の 謎 が 解 けてしまう? 新 たな 謎 が 出 てくる? 本 質 的 な 進 展 はあまりない? とにかくやってみる 宇 宙 や 我 々の 存 在 についての 理 解 も 進 む 25
( Q:, A:, C:, ) (C) 32-33 extended sources ( ) (C) SDSS ( S Z ) [ ] ( ) (Q) TMT ( ) (A) (Q) ( ) ( ) (A)