パナマ 運 河 拡 張 後 の 国 際 物 流 動 向 (コンテナ 貨 物 を 中 心 に)について 掲 載 誌 掲 載 年 月 : 日 本 海 事 新 聞 1404 日 本 海 事 センター 企 画 研 究 部 研 究 員 久 保 麻 紀 子 研 究 員 松 田 琢 磨 要 旨 アジア 米 国 東 岸 コンテナ 輸 送 では MLB/IPI から 東 岸 向 け 海 上 輸 送 へ またパナマ 運 河 経 由 からスエズ 運 河 経 由 へ 貨 物 がシフト パナマ 運 河 拡 張 で 北 米 東 岸 向 け 船 舶 大 型 化 の 可 能 性 が 高 まるが 港 湾 整 備 荷 役 等 に 課 題 も 運 河 の 拡 張 で 単 純 にパナマ 運 河 経 由 北 米 東 岸 向 けコンテナ 輸 送 量 が 増 加 するとは 言 い 切 れず はじめに パナマ 運 河 は 太 平 洋 と 大 西 洋 を 結 ぶ 国 際 物 流 の 要 衝 であり 全 世 界 の 海 上 貿 易 量 の 約 5%が 通 航 している パナマ 運 河 は 現 在 運 河 拡 張 工 事 を 行 っており(15 年 完 了 予 定 )) こ れまで 同 運 河 を 通 航 できなかった 大 型 船 舶 (コンテナ 船 では 13,000TEU 程 度 )が 通 航 可 能 になるほか 閘 門 増 築 による 渋 滞 の 解 消 も 期 待 されている 一 方 同 運 河 においては 近 年 通 航 料 の 値 上 げが 相 次 ぎ 利 用 者 の 負 担 が 増 している ( 公 財 ) 日 本 海 事 センターではこ うしたパナマ 運 河 を 巡 る 状 況 変 化 を 踏 まえ 平 成 25 年 度 より パナマ 運 河 拡 張 後 の 国 際 物 流 に 関 する 調 査 を 開 始 し このたび 中 間 報 告 をとりまとめた 14 年 1 月 の 本 欄 では このうちパナマ 運 河 とスエズ 運 河 の 通 航 料 の 動 向 とパナマ 運 河 通 航 料 値 上 げの 影 響 分 析 の 結 果 について 紹 介 した 本 稿 では 筆 者 らが 行 った 荷 主 企 業 物 流 事 業 者 外 航 海 運 事 業 者 へのヒアリングとデータ 分 析 を 踏 まえ アジア 北 米 東 岸 を 結 ぶ 3 つのルートの 現 状 と パナマ 運 河 拡 張 後 の 見 通 しについて 述 べることとしたい 1.アジア 北 米 東 岸 へのコンテナ 航 路 パナマ 運 河 を 通 航 する 貨 物 の 最 大 の 貿 易 ルートはアジア 米 国 東 岸 間 航 路 であり 同 運 河 通 航 貨 物 全 体 の 36.7%を 占 める アジアから 北 米 東 岸 にコンテナ 貨 物 を 運 ぶ 場 合 a)パナマ 運 河 経 由 でニューヨーク 等 北 米 東 岸 の 港 に 寄 港 するルート(パナマ 経 由 All Water)のほか b)ロサンゼルス 等 北 米 西 岸 の 港 で 荷 揚 げし コンテナを 鉄 道 やトラックに 積 み 替 えて 東 岸 まで 輸 送 するルート (MLB/IPI) c)スエズ 運 河 から 地 中 海 大 西 洋 を 経 由 するルート(スエズ 経 由 All Water)が 存 在 する( 図 1 参 照 ) 各 サービスの 特 徴 を 比 較 すると 次 の 通 りである
西 岸 揚 げインターモーダル ルート(MLB/IPI) スエズ 運 河 経 由 ルート パナマ 運 河 経 由 ルート 図 1 アジア 北 米 東 岸 のコンテナ 航 路 1 MLB/IPI とパナマ 経 由 All Water 北 米 東 岸 までの 必 要 日 数 は MLB/IPI が 約 18~21 日 で パナマ 経 由 All Water よりも 4 ~9 日 程 度 早 く 到 着 する また アジア 北 米 西 岸 のサービスは 運 航 事 業 者 数 が 多 く 高 頻 度 で 運 航 されており 荷 主 の 利 便 性 が 高 い しかし MLB/IPI は 鉄 道 やトラックを 利 用 する 分 運 賃 が 高 く 鉄 道 で 北 米 東 岸 まで 輸 送 する 場 合 パナマ 経 由 All Water の 1.5 倍 に のぼる また MLB/IPI は 西 岸 港 湾 で 貨 物 の 積 み 替 えを 行 うため 荷 主 が 積 み 替 えによ るダメージを 危 惧 する 場 合 ( 高 額 貨 物 等 )は 回 避 されることが 多 い 2 パナマ 経 由 All Water とスエズ 経 由 All Water 極 東 積 みの 場 合 所 要 日 数 はパナマ 経 由 が 短 いが 香 港 深 圳 周 辺 で 両 運 河 経 由 の 所 要 日 数 が 同 程 度 となり 香 港 深 圳 以 南 ではスエズ 運 河 経 由 が 短 くなる 運 賃 はパナマ 経 由 スエズ 経 由 とも 同 程 度 である 船 社 にとってはスエズ 運 河 の 方 がより 大 型 船 の 通 航 が 可 能 であり 貨 物 1 単 位 あたり 運 航 コストを 低 減 できる 一 方 スエズ 運 河 では 保 有 国 エジプ トや 近 隣 諸 国 の 政 変 やソマリア 沖 の 海 賊 の 問 題 がある パナマ 運 河 では 渋 滞 による 遅 延 や 運 河 通 航 料 の 高 騰 (1 月 の 本 欄 記 事 参 照 ) 等 の 問 題 がある 3 荷 主 のルート 選 択 要 因 ヒアリングによれば 上 述 した 様 々な 要 因 の 中 でも 貨 物 の 到 達 日 数 と 運 賃 が 決 定 的 であ り この 2 つをトレードオフとみる 意 見 が 多 くを 占 めた 輸 送 品 目 が 低 価 格 の 場 合 輸 送 コストが 重 視 され 運 賃 の 安 い All Water が 選 択 される 反 対 に 高 額 商 品 等 で 到 達 日 数 が 荷 主 のキャッシュフローに 大 きく 影 響 する 場 合 到 達 日 数 の 短 い MLB/IPI が 選 択 され
る ジャストインタイム 輸 送 が 必 要 になる 場 合 も サービスの 頻 度 が 高 く 船 による 輸 送 経 路 が 短 く 遅 延 の 可 能 性 が 低 い MLB/IPI が 選 ばれる 2.アジア 北 米 東 岸 の 荷 動 き 1 西 岸 揚 げ 東 岸 揚 げへのシフト アジア 米 国 東 岸 間 の 貨 物 輸 送 には MLB/IPI が 多 く 用 いられているが 西 岸 港 湾 近 郊 における 交 通 渋 滞 や 鉄 道 の 混 乱 港 湾 スト 等 の 影 響 により 西 岸 揚 げコンテナ 貨 物 量 の 米 国 揚 げコンテナ 貨 物 全 体 に 占 める 割 合 はこの 10 年 で 約 9% 低 下 している( 図 2 参 照 ) 80.0% 78.0% 78.5% 76.0% 76.8% 76.0% 74.0% 75.3% 74.0% 72.0% 70.0% 71.7% 70.7% 70.8% 70.2% 70.0% 69.7% 68.0% 66.0% 64.0% 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 Data Source: Zepol TradeIQ 図 2 西 岸 揚 げコンテナ 貨 物 量 が 米 国 揚 げコンテナ 貨 物 全 体 に 占 める 割 合 (2003~2013 年 単 位 :%) また 仕 向 地 となる 米 国 内 地 域 別 に 西 岸 揚 げ 貨 物 の 割 合 をみると 東 岸 沿 岸 州 について は 西 岸 揚 げ の 割 合 が 低 く 中 東 部 や 北 西 部 では 7~9 割 であり シカゴ メンフィス 以 西 の 西 側 貨 物 鉄 道 事 業 者 のテリトリーでは 西 側 揚 げが 圧 倒 的 に 多 い( 図 3 参 照 )
西 海 岸 91.4% 山 岳 部 92.3% 北 西 部 90.0% 東 海 岸 中 部 46.8% 北 東 部 87.0% ニューイングランド 34.6% 南 西 部 82.1% 東 海 岸 南 部 32.6% 南 東 部 73.0% Data Source: Zepol "TradeIQ" 図 3 米 国 国 内 仕 向 地 地 域 別 西 岸 揚 げ 貨 物 の 割 合 (2012 年 単 位 :%) 米 国 内 貨 物 鉄 道 事 業 者 のうち 早 くからインターモーダル 輸 送 に 積 極 的 に 投 資 を 行 っ た 西 岸 2 社 とは 対 照 的 に 東 岸 事 業 者 の 鉄 道 ネットワークは 接 続 性 や 到 達 日 数 の 面 で 課 題 が 多 いと 言 われている 東 岸 やガルフの 港 湾 からトラック 輸 送 可 能 な 沿 岸 地 域 ではこれら 港 湾 からの 荷 揚 げが 選 ばれるが 東 部 内 陸 地 域 においては 東 岸 やガルフの 港 湾 からの 内 陸 輸 送 のコストや 輸 送 日 数 を 勘 案 すると 海 上 輸 送 のメリットが 減 殺 されるため MLB/IPI が 依 然 広 く 利 用 されていると 考 えられる 2 パナマ 経 由 All Water からスエズ 経 由 All Water へのシフト 英 国 の 調 査 会 社 ドゥルーリーによれば アジア 北 米 東 岸 間 でのスエズ 運 河 経 由 配 船 船 腹 量 は 08 年 第 3 四 半 期 の 15.4%から 13 年 第 3 四 半 期 には 36.5%まで 上 昇 している 5 年 間 の 配 船 船 腹 量 の 増 加 量 の 約 8 割 をスエズ 運 河 経 由 が 占 め かなりの 割 合 でスエズ シ フトが 進 んでいる この 理 由 としては アジアにおける 生 産 拠 点 の 南 下 に 伴 う 積 出 港 南 下 の 影 響 を 受 け 香 港 深 圳 以 南 の 地 域 (アセアンおよびインド 亜 大 陸 諸 国 )からの 輸 送 ニ ーズが 高 まっていることや スエズ 運 河 ではパナマ 運 河 を 通 航 できない 大 型 船 が 利 用 可 能 であることが 挙 げられる また 相 次 ぐパナマ 運 河 通 航 料 値 上 げによる 運 航 コスト 上 昇 がスエズ 運 河 経 由 へのシフ トを 生 じさせている 可 能 性 も 高 い 筆 者 らの 調 査 によれば パナマ 運 河 の 通 航 量 が 10% 上 昇 した 場 合 日 本 商 船 隊 によるパナマ 運 河 通 航 量 が 11.1% 減 少 することが 示 されている (1 月 の 本 欄 記 事 参 照 )
このほかヒアリングでは パナマ 運 河 経 由 All Water では 途 中 に 寄 港 地 がないが スエ ズ 運 河 経 由 All Water では 北 アフリカ 向 け 等 のトランシップ 貨 物 を 取 り 扱 えること 東 岸 最 大 の 消 費 地 であるニューヨーク ニュージャージー 港 に 最 初 に 寄 港 可 能 である 点 なども スエズ 運 河 経 由 All Water を 利 用 する 理 由 とする 意 見 が 聞 かれた 3. 今 後 の 見 通 し 物 流 事 業 者 や 荷 主 からのヒアリング 等 を 踏 まえると パナマ 運 河 拡 張 によってアジア 北 米 東 岸 間 の 物 流 に 生 じる 影 響 としては 以 下 が 挙 げられる 1 船 舶 の 大 型 化 船 舶 の 大 型 化 は 貨 物 一 単 位 あたり 運 航 コストを 低 減 させ 投 入 隻 数 減 少 を 可 能 とする ため 昨 今 大 手 外 航 船 社 によって 積 極 的 に 推 進 されている ヒアリングでも 邦 船 社 を 含 む 複 数 の 物 流 事 業 者 より パナマ 運 河 拡 張 は 通 航 船 舶 の 大 型 化 をもたらすことが 指 摘 された ただし 輸 送 量 増 加 が 見 込 めないと 船 舶 大 型 化 に 消 極 的 な 見 方 もない 訳 ではない また 船 舶 大 型 化 は 運 航 頻 度 低 下 に 繋 がる 可 能 性 もある さらに 寄 港 地 港 湾 のキャパシティ 拡 大 も 船 舶 大 型 化 を 促 すと 考 えられるが MARAD 報 告 書 (13 年 11 月 )によれば 東 岸 主 要 港 湾 の 中 で 整 備 工 事 の 完 了 期 限 が 決 まっているものはニューヨーク サバンナ 等 4 港 の みであり 工 事 後 に 8,000TEU 型 の 着 岸 に 必 要 な 水 深 50 フィートを 確 保 できる 港 湾 はニュ ーヨーク ハンプトンローズ 等 6 港 となっている( 表 1) また 船 舶 大 型 化 によって 各 港 湾 における 一 回 の 寄 港 での 取 扱 貨 物 量 は 増 大 すると 予 想 されるが 米 国 港 湾 ターミナル の 荷 役 処 理 能 力 の 限 界 から 船 舶 大 型 化 による 貨 物 の 集 中 に 対 して 適 切 な 対 処 ができない 可 能 性 もあるとの 意 見 もみられた Source:MARAD 表 1 東 岸 港 湾 の 拡 張 工 事 計 画 港 湾 名 干 潮 時 の 水 路 の 深 さ 浚 渫 計 画 で 目 標 とされる 水 深 浚 渫 工 事 予 定 終 了 年 ボストン 40 feet 12.2m 48~50 feet 14.6~15.2m 現 在 調 査 中 ニューヨーク/ ニュージャージー 45~50 feet 13.7~15.2m 50 feet 15.2m 2014 デラウェアリバー 40 feet 12.2m 45 feet 13.7m 2017 バルチモア 50 feet 15.2m 現 時 点 では 計 画 なし 現 時 点 では 計 画 なし 現 時 点 では 計 画 なし ハンプトンローズ 50 feet 15.2m 55 feet 16.8m 不 明 ウィルミントン 現 在 調 査 中 42 feet 12.8m 42 feet 以 上 12.8m 以 上 (ノースカロライナ 州 ) (2014 年 6 月 に 報 告 書 完 成 予 定 ) チャールストン 45 feet 13.7m 47 feet 以 上 14.3m 以 上 現 在 調 査 中 (2015 年 9 月 に 報 告 書 完 成 予 定 ) サバンナ 42 feet 12.8m 47 feet 以 上 14.3m 以 上 2016 ジャクソンビル 40 feet 12.2m 45~47 feet 13.7~14.3m 現 在 調 査 中 ポートエバーグレーズ 42~45 feet 12.8~13.7m 48 feet 以 上 14.6m 以 上 現 在 調 査 中 マイアミ 42 feet 12.8m 50 feet 15.2m 2014 モービル 45 feet 13.7m 50 feet 以 上 15.2m 以 上 現 在 調 査 中 ニューオーリンズ 45 feet 13.7m 50 feet 15.2m 現 在 調 査 中 ヒューストン 45 feet 13.7m 現 時 点 では 計 画 なし 現 時 点 では 計 画 なし 現 時 点 では 計 画 なし
2 MLB/IPI からパナマ 運 河 経 由 All Water への 貨 物 のシフトの 可 能 性 パナマ 運 河 航 行 船 舶 が 大 型 化 すれば 貨 物 一 単 位 あたり 輸 送 コストが 低 下 する これが 運 賃 低 下 に 繋 がれば 現 在 MLB/IPI を 利 用 する 荷 主 の 中 でパナマ 運 河 経 由 All Water の 利 用 に 切 り 替 える 者 が 出 てくる 可 能 性 がある ただし MLB/IPI では 運 賃 よりもスピー ドを 優 先 する 貨 物 が 輸 送 される 傾 向 にあるため 荷 主 が 到 達 日 数 を 犠 牲 にしても All Water を 選 択 するには かなりの 運 賃 低 下 が 必 要 となる また すでにアジアから 相 当 の 貨 物 が 東 岸 揚 げ 海 上 輸 送 にシフトしている 今 後 さらに 東 岸 経 由 貨 物 を 増 やすためには 東 岸 からの 内 陸 輸 送 の 必 要 日 数 を 短 縮 し かつコストを 低 廉 に 抑 えることが 必 要 となる 内 陸 輸 送 の 時 間 短 縮 と 運 賃 低 下 が 起 きるかどうかは 東 岸 の 鉄 道 事 業 者 等 物 流 事 業 者 の 戦 略 によるところも 大 きい さらに 米 国 内 陸 部 への 物 流 ゲートウェイが 東 岸 に 移 るか 否 かという 観 点 からは 中 長 期 的 なアメリカ 国 内 の 人 口 や 経 済 発 展 等 にも 影 響 を 受 ける MLB/IPI とパナマ 経 由 All Water の 競 合 の 強 まりは 寡 占 化 が 進 んでいると 言 われる 米 国 内 陸 上 貨 物 輸 送 の 運 賃 低 下 にもつながる 可 能 性 がある しかしながら 船 社 からのヒ アリングにおいては 東 岸 向 け 海 上 輸 送 は 西 岸 向 けに 比 べて 距 離 が 長 い 分 コストも 高 いこ と 等 から 運 賃 引 き 下 げの 余 地 やインセンティブは 小 さいとの 意 見 が 述 べられている ま た 海 上 運 賃 は 市 況 の 影 響 を 大 きく 受 ける これらのことから 現 状 では 船 社 が 競 争 力 のある 東 岸 向 け 海 上 運 賃 を 提 供 して MLB/IPI からパナマ 経 由 All Water へのシフトを 促 す 可 能 性 は 決 して 高 くない 3 スエズ 運 河 経 由 All Water からパナマ 運 河 経 由 All Water への 貨 物 のシフトの 可 能 性 パナマ 運 河 拡 張 による 通 航 船 舶 の 大 型 化 によりパナマ 運 河 All Water に 物 流 が 再 シフト するかどうかは 船 舶 大 型 化 によるパナマ 運 河 経 由 All Water の 輸 送 コスト 低 減 の 度 合 い に 影 響 を 受 けると 考 えられる ただし スエズ シフトの 理 由 の 一 つであるアジアの 生 産 地 南 下 は 継 続 すると 思 われる ヒアリングによれば スエズ 運 河 経 由 All Water にはパナ マ 運 河 All Water にはない 複 数 のメリットが 指 摘 されている このためパナマ 運 河 拡 張 後 においても 船 社 がスエズ 運 河 経 由 ルートを 志 向 する 可 能 性 は 低 くない 一 方 輸 送 コス トに 少 なからず 影 響 を 及 ぼすパナマ 運 河 の 通 航 料 については 現 時 点 では パナマ 運 河 通 航 貨 物 量 との 間 に 負 の 相 関 があるとみられ その 低 廉 化 が 実 現 すればパナマ 運 河 経 由 への シフトの 可 能 性 が 高 まるだろう まとめと 今 後 の 課 題 コンテナ 船 に 関 しては パナマ 運 河 拡 張 に 伴 い 運 河 通 航 船 舶 の 大 型 化 が 進 むと 考 えられ るが 一 方 で 船 舶 大 型 化 を 確 実 ならしめるためには 東 岸 港 湾 の 整 備 や 荷 役 能 力 向 上 といっ た 課 題 が 解 決 される 必 要 がある 船 舶 大 型 化 は 運 航 コスト 低 下 をもたらすが これにより パナマ 運 河 経 由 All Water の 運 賃 がダイレクトに 低 下 するとは 結 論 づけられず また
MLB/IPI からパナマ 運 河 経 由 All Water へのシフトが 起 きるかどうかには 受 益 者 である 船 社 や 東 岸 鉄 道 事 業 者 等 物 流 事 業 者 の 戦 略 のほか 米 国 内 の 動 向 が 重 要 である 東 岸 への 海 上 輸 送 についてはアジアの 生 産 地 南 下 やスエズ 運 河 の 様 々なメリットにより 近 年 スエズ 運 河 経 由 へのシフトが 起 きており パナマ 運 河 拡 張 により 大 型 船 が 通 航 可 能 と なってもパナマ 運 河 経 由 に 貨 物 が 再 シフトするとまでは 言 えない すなわち パナマ 運 河 拡 張 工 事 完 成 により 通 航 船 舶 の 少 なからぬ 部 分 の 大 型 化 は 予 想 されるものの パナマ 運 河 経 由 のコンテナ 貨 物 輸 送 量 が 増 加 するかどうかは 未 だ 不 確 定 要 素 が 大 きいといえる なお 筆 者 らは 2 月 に 米 国 政 府 機 関 や 物 流 関 係 有 識 者 等 を 訪 問 し パナマ 運 河 拡 張 の 影 響 についてインタビューを 行 い 米 国 内 の 諸 状 況 に 照 らしても 上 記 分 析 は 違 和 感 のないも のであることを 確 認 した また インタビューにおいては 今 後 米 国 から 輸 出 が 開 始 され る LNG や 輸 出 解 禁 に 向 けた 議 論 が 開 始 された 米 国 産 原 油 等 に 関 する 輸 送 の 重 要 性 が 高 まる 可 能 性 鉄 道 料 金 の 高 止 まり 等 について 指 摘 があった これを 踏 まえ 来 年 度 調 査 で は LNG 船 等 コンテナ 船 以 外 の 船 舶 を 中 心 とした 動 向 調 査 や 米 国 内 陸 上 輸 送 機 関 の 運 賃 上 昇 の 影 響 等 について 調 査 を 進 めたいと 考 えている