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1 平 成 24 年 度 やまなし 再 発 見 講 座 & 埋 蔵 文 化 財 センターシンポジウム 自 然 災 害 と 考 古 学 ~ 過 去 からの 警 告 ~ 第 3 回 温 故 知 震 ~ 遺 跡 に 学 ぶ 地 震 災 害 ~ 平 成 25 年 2 月 21 日 ( 木 ) 保 坂 和 博 ( 山 梨 県 埋 蔵 文 化 財 センター) 1 はじめに 17 年 前 の 平 成 7 年 (1995)に 発 生 した 阪 神 淡 路 大 地 震 平 成 16 年 (2004)の 新 潟 県 中 越 地 震 さらに 平 成 23 年 (2011)3 月 の 東 日 本 大 震 災 での 広 範 囲 に 及 ぶ 甚 大 な 地 震 被 害 に 接 し 私 たちはあ まりにも 多 くの 尊 い 命 や 財 産 を 失 いました 日 本 列 島 に 住 む 私 たちが 地 震 と 無 縁 には 生 きられないこ とを 改 めて 痛 感 しました 阪 神 淡 路 大 震 災 に 始 まる 我 が 国 のこのような 大 地 震 の 多 発 状 況 は 東 北 地 方 太 平 洋 沖 海 底 を 震 源 とする 貞 観 地 震 や 関 東 直 下 型 地 震 の 相 模 武 蔵 地 震 東 海 東 南 海 南 海 地 震 の 3 連 動 とみられる 仁 和 地 震 などが 起 きた 9 世 紀 の 状 況 に 似 ていることから 千 年 に 一 度 の 巨 大 地 震 の 世 紀 に 入 ったとも 言 われています 今 後 も 避 けて 通 ることのできない 地 震 の 発 生 に 備 えるために は 各 地 域 の 過 去 にどのような 地 震 が 起 きてどのような 被 害 があったかを 知 ることが 必 要 です 過 去 千 数 百 年 にわたる 文 献 史 料 だけでなく 考 古 学 の 遺 跡 発 掘 現 場 から 得 られる 過 去 の 地 震 痕 跡 もその 役 に 立 ちます 改 めて 山 梨 県 内 の 地 震 災 害 を 振 り 返 り 私 たちがなすべきことを 再 確 認 できればと 思 い ます( 表 1) 2 地 震 はどのように 起 きるのか 地 球 の 表 面 は プレート と 呼 ばれる 十 数 枚 の 硬 い 岩 盤 からなり 対 流 するマントル に 乗 って 動 いています 大 陸 プレートの 下 に 海 洋 プレートが 沈 み 込 み その 境 界 に 蓄 えら れた 力 が ばね のように 跳 ね 返 りプレート 間 地 震 が 発 生 します( 図 1) 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 ( 東 日 本 大 震 災 )や 30 年 以 内 に 発 生 する 可 能 性 が 高 い 東 海 地 震 等 がこれにあ たります また 日 本 列 島 は ピィリピン 海 プレート 太 平 洋 プレートから 押 されて 隆 起 し 続 けて おり その 際 に 地 表 の 傷 である 断 層 がずれ 動 き 活 断 層 型 地 震 を 引 き 起 こします 兵 庫 県 南 部 地 震 ( 阪 神 淡 路 大 震 災 ) 等 はこれにあ たります 図 1 日 本 付 近 のプレートの 模 式 図 3 山 梨 県 の 地 形 地 質 について 山 梨 県 の 地 形 は 周 囲 を 富 士 山 八 ヶ 岳 南 アルプス 御 坂 山 地 秩 父 山 地 などの 高 山 に 囲 まれ 中 心 部 に 甲 府 盆 地 を 構 えるという 地 形 をなしています( 図 2) これらの 山 地 は 第 四 紀 ( 約 200 万 年 前 ~)に 山 地 として 形 成 され 絶 えず 隆 起 を 続 けてきています 盆 地 低 地 と 周 辺 山 地 との 間 の 山 麓 には

2 更 新 世 ( 洪 積 世 )の 台 地 があり 西 縁 の 市 之 瀬 台 地 南 縁 の 曽 根 丘 陵 があります 一 方 盆 地 底 面 は 第 四 紀 に 周 辺 の 山 地 に 対 し 相 対 的 に 沈 降 を 続 け 堆 積 作 用 区 域 と して 岩 屑 堆 積 の 場 になってきて います 現 在 の 盆 地 の 地 表 面 には 最 も 新 しい 1 万 年 前 以 降 の 完 新 統 ( 沖 積 世 ) 堆 積 物 が 覆 っており 数 限 りない 洪 水 による 自 然 堤 防 の 砂 礫 層 後 背 湿 地 の 砂 泥 層 など から 構 成 されています( 最 大 層 厚 約 160m) 具 体 的 には 笛 吹 川 重 川 日 川 金 川 浅 川 扇 状 地 等 の 峡 東 扇 状 地 群 が 笛 吹 川 を 中 心 図 2 山 梨 県 の 地 質 図 に 複 合 扇 状 地 を 形 成 し 北 山 山 地 山 麓 から 相 川 荒 川 扇 状 地 が 盆 地 南 西 部 に 芦 川 戸 川 滝 沢 川 扇 状 地 が 形 成 されています さら に 巨 摩 山 地 からの 巨 大 な 御 勅 使 川 扇 状 地 それに 釜 無 川 扇 状 地 と 盆 地 全 体 にわたって 広 がっています ( 図 3) これらは 土 砂 生 産 が 卓 越 している 富 士 川 の 扇 状 地 であるともいえます そのため 甲 府 盆 地 の 底 面 は 富 士 川 から 笛 吹 川 に 向 かう 緩 い 傾 きを 見 せています それらはいずれも 勾 配 は 急 であり その 中 でも 特 に 規 模 の 大 きいのは 御 勅 使 川 です 山 腹 や 丘 陵 台 地 の 上 には 御 岳 山 や 富 士 山 遠 くは 九 州 の 姶 良 カルデラの 火 山 灰 など 数 多 く の 火 山 の 厚 い 火 山 灰 やロームがのっています 図 3 甲 府 盆 地 の 扇 状 地 図 図 4 液 状 化 現 象 と 噴 砂

3 4 地 震 被 害 と 痕 跡 地 震 で 発 生 する 被 害 には 揺 れによる 建 物 の 倒 壊 や 地 滑 り 海 岸 の 埋 め 立 て 地 等 での 液 状 化 現 象 と 揺 れに 続 いて 起 きる 津 波 と 火 災 があります これらの 被 災 痕 跡 や 地 震 痕 跡 が 遺 跡 に 残 されていること がありますが 最 も 多 く 発 見 されているのが 液 状 化 現 象 に 伴 う 噴 砂 です( 図 4) この 墳 砂 は 気 象 庁 の 震 度 階 級 のⅥ( 列 震 ) Ⅶ( 激 震 )で 発 生 し 特 に 液 状 化 し 易 い 地 盤 条 件 ではⅤ( 強 震 )でも 発 生 します 液 状 化 跡 を 見 つけることは 人 間 が 立 っておれないほどの 強 い 地 震 動 が 発 生 したことの 証 明 となります 遺 跡 に 残 る 液 状 化 現 象 の 痕 跡 から 局 所 震 度 の 推 定 が 行 われており 以 下 のとおりとなります 震 度 5 弱 : 遺 跡 に 残 る 液 状 化 現 象 は 確 認 しにくい 震 度 5 強 : 旧 河 道 後 背 湿 地 などに 液 状 化 現 象 がみられる 震 度 6 弱 : 自 然 堤 防 上 の 集 落 で 液 状 化 現 象 の 痕 跡 を 確 認 できる 一 部 に 上 下 の 断 層 がある 震 度 6 強 : 自 然 堤 防 上 の 集 落 では 液 状 化 現 象 で 側 方 流 動 が 生 じる 地 表 に 陥 没 が 起 こり 旧 表 土 ごと 沈 み 込 む 図 5 液 状 化 現 象 と 噴 砂 の 模 式 図 図 6 南 海 トラフの 地 震 年 表 5 地 震 考 古 学 大 規 模 な 地 震 はある 程 度 の 周 期 をもって 発 生 することがわかっているので 過 去 の 大 地 震 の 歴 史 を 知 ることによって 将 来 の 地 震 を 推 測 することができます 過 去 の 大 地 震 について 古 文 書 等 の 記 録 以 外 に 文 字 のない 時 代 に 起 きた 地 震 あるいは 記 録 に 残 らなかった 地 震 の 事 態 を 発 掘 調 査 によって 知 ることができます 発 掘 された 地 震 の 痕 跡 を 年 代 の 分 かる 遺 構 や 遺 物 との 前 後 関 係 で 考 えれば 地 震 の 年 代 を 絞 り 込 む ことができます このような 遺 跡 で 地 震 痕 跡 を 研 究 する 地 震 考 古 学 が 寒 川 旭 さんによって 1988 年 に 提 唱 され 各 地 の 遺 跡 で 多 くの 成 果 が 得 られています 震 考 古 学 研 究 の 意 義 としては 1 遺 跡 から 地 震 の 痕 跡 が 見 つかった 場 合 遺 跡 には 時 代 がわかる

4 遺 物 が 多 く 含 まれているので 地 震 が 発 生 した 年 代 を 特 定 することができ さらには その 地 震 につ いての 記 述 がある 歴 史 資 料 と 対 比 させて 地 震 が 発 生 した 年 月 日 や 時 刻 などを 詳 細 に 特 定 できる 2 大 地 震 は 同 じ 場 所 である 程 度 決 まった 間 隔 で 起 こると 考 えられているので 過 去 の 複 数 回 の 発 生 時 期 がわかると その 間 隔 もわかり 将 来 の 地 震 発 生 時 期 の 推 定 に 役 立 つ また 地 質 条 件 が 同 じであ れば 地 震 によって 通 った 地 盤 災 害 が 繰 り 返 されるので 将 来 の 地 震 による 影 響 も 予 測 できる 3 遺 跡 での 観 察 によって 液 状 化 現 象 などの 地 質 現 象 がどのようなものであるのかが 明 らかになることも ある 発 掘 現 場 であれば 地 震 跡 を 地 下 深 く 調 査 することが 可 能 である 4 今 まで 明 確 な 説 明 が 与 え られなかった 歴 史 考 古 学 上 の 事 象 を 地 震 の 概 念 によって 説 明 できることもありうる などが あります 山 梨 県 内 での 地 震 痕 跡 は 甲 府 盆 地 西 縁 の 沖 積 低 地 を 南 北 に 横 切 る 中 部 横 断 自 動 車 道 建 設 などに 伴 う 大 規 模 発 掘 調 査 により 1990 年 代 初 頭 から 確 認 されはじめ 1996 年 の 埋 蔵 文 化 財 研 究 会 と 埋 文 関 係 救 援 連 絡 会 による 集 成 では 大 師 東 丹 保 遺 跡 と 油 田 遺 跡 の 2 遺 跡 のみでしたが 現 在 は 13 遺 跡 とな っています 6 山 梨 県 内 の 遺 跡 における 地 震 痕 跡 ( 表 2 図 7) 山 梨 県 内 において 地 震 痕 跡 が 確 認 された 遺 跡 は 甲 府 盆 地 の 沖 積 低 地 とその 周 辺 の 台 地 に 立 地 しま す 沖 積 低 地 としては 盆 地 中 央 部 の 濁 川 右 岸 の 後 背 低 地 に 上 町 天 神 遺 跡 盆 地 南 部 の 釜 無 川 左 岸 の 釜 無 川 扇 状 地 扇 端 部 および 笛 吹 川 と 荒 川 の 氾 濫 原 に 上 窪 遺 跡 八 反 田 遺 跡 盆 地 西 部 の 釜 無 川 右 岸 の 御 勅 使 川 扇 状 地 南 端 部 と 滝 沢 川 によって 形 成 された 複 合 扇 状 地 に 寺 部 村 附 第 6 遺 跡 と 油 田 遺 跡 その 南 1km 弱 の 右 岸 市 之 瀬 川 と 滝 沢 川 などにより 形 成 された 複 合 扇 状 地 扇 端 部 に 大 師 東 丹 保 遺 跡 そ の 南 3.5km 弱 の 釜 無 川 と 笛 吹 川 が 合 流 して 富 士 川 となる 地 点 ( 盆 地 内 の 最 低 地 )の 右 岸 の 氾 濫 原 に 町 屋 口 遺 跡 隣 接 試 掘 地 点 藤 田 池 遺 跡 その 南 2km 弱 の 富 士 川 右 岸 盆 地 の 水 がすべて 集 まり 富 士 川 谷 を 形 成 する 地 点 に 鰍 沢 河 岸 跡 が 見 られます いずれも 各 河 川 の 扇 状 地 扇 端 部 および 氾 濫 原 における 液 状 化 現 象 による 噴 砂 地 割 れ 断 層 井 戸 等 の 遺 構 の 変 形 などが 確 認 されています また 台 地 と しては 盆 地 南 縁 の 曽 根 丘 陵 に 上 の 平 遺 跡 と 米 倉 山 B 遺 跡 において 断 層 が 見 つかっています (1) 甲 府 盆 地 の 沖 積 低 地 における 地 震 痕 跡 ア 弥 生 ~ 古 墳 時 代 1 油 田 遺 跡 ( 南 アルプス 市 田 島 字 油 田 ) 調 査 は 1992 年 ~1993 年 にⅠ~Ⅳの4 区 画 に 分 け 実 施 され 遺 構 は 第 1 面 ( 平 安 時 代 ): 水 田 跡 第 2 面 ( 古 墳 時 代 後 期 ): 溝 状 遺 構 土 器 集 中 区 第 3 面 ( 弥 生 時 代 中 期 前 半 ): 土 器 集 中 区 な どが 確 認 されています 基 本 層 序 は 扇 状 地 の 表 層 で 発 生 する 網 状 流 による 堆 積 物 土 石 流 ( 泥 流 ) 堆 積 物 氾 濫 原 堆 積 物 などからなります 地 震 痕 跡 は Ⅰ 区 の 現 地 表 下 約 1.8m から 砂 脈 が 確 認 され ています シルト 層 に 覆 われた 小 礫 層 が 液 状 化 し 北 東 - 南 西 方 向 の 長 さ 約 8m 幅 約 25cm の 砂 脈 が 形 成 されています 砂 脈 の 方 向 は 遺 跡 周 辺 の 一 般 的 な 傾 斜 方 向 に 直 交 しており わずかに 南 東 方 向 に 張 り 出 しています 断 面 観 察 からは 液 状 化 を 起 こした 小 礫 層 の 礫 が 長 軸 を 砂 脈 上 部 に 向 け ており 液 状 化 による 礫 の 移 動 の 様 子 がうかがえます Ⅳ 層 以 下 の 地 層 は 砂 脈 を 挟 んで 上 下 に 10cm 前 後 食 い 違 っており 地 形 的 に 低 位 の 南 東 が 低 下 しています 単 に 砂 脈 が 上 昇 したのではなく 小 礫 層 が 水 平 方 向 に 流 動 し それに 伴 って 上 位 の 地 層 が 上 下 に 変 位 した 可 能 性 があります あるいは

5 小 礫 層 以 下 の 層 を 含 む 広 い 範 囲 が 地 すべりを 起 こしている 可 能 性 もあります 図 8-Aでは 砂 脈 上 部 とⅡ 層 が 接 しています Ⅱ 層 は 砂 脈 部 の 凹 地 を 埋 めるように 落 ち 込 んでいます 図 8-Bでは 砂 脈 はⅤ 層 中 で 止 まっていますが Ⅳ~Ⅶ 層 は 引 き 裂 かれてⅢ 層 がその 割 れ 目 に 落 ち 込 んでいます 図 8-A Bともに 砂 脈 の 側 面 に 周 囲 とは 異 なる 地 層 のブロックが 認 められます( 図 8のX Y) 以 上 から 砂 脈 は 地 表 まで 達 することなく 図 8-AではⅣ 層 を 引 き 裂 いて 止 まり 図 8-Bでは Ⅴ 層 中 に 止 まったものと 考 えられます 引 き 裂 かれた 地 層 の 空 隙 にⅡ 層 ないしⅢ 層 が 落 ち 込 んだと 思 われます 図 8-Bではでは 砂 脈 頂 部 よりも 上 位 の 地 層 まで 引 き 裂 かれていますが これは 小 礫 層 の 水 平 方 向 への 流 動 による 伸 張 力 あるいは 地 すべりによって 開 口 した 可 能 性 があります XやY のブロックは 砂 礫 層 より 上 位 の 地 層 が 分 離 し 崩 落 あるいは 移 動 したものと 思 われます 図 8-B のⅣ 層 上 面 が 波 状 に 変 形 しているのも 液 状 化 による 影 響 と 思 われます 図 8-AのⅡ 層 と 図 8-B のⅢ 層 は 下 部 が 割 れ 目 に 落 ち 込 んでいますが 上 部 の 面 には 変 位 変 形 が 見 られません このこと から この 変 異 変 形 すなわち 液 状 化 が 発 生 したのはⅡ 層 下 部 ないしⅢ 層 の 堆 積 中 と 考 えられます Ⅲ 層 は 弥 生 時 代 中 期 前 半 の 包 含 層 であることから 地 震 の 発 生 時 期 は 弥 生 時 代 中 期 前 半 と 推 定 され ます 図 8-A Bは 同 一 の 砂 脈 の 断 面 であることから 図 8-AのⅡ 層 下 部 と 図 8-BのⅢ 層 は 同 時 期 の 堆 積 と 考 えられます また 変 位 変 形 した 地 層 の 厚 さから この 液 状 化 は 当 時 の 地 表 下 25cm 前 後 の 小 礫 層 で 発 生 したといえます 2 大 師 東 丹 保 遺 跡 ( 南 アルプス 市 大 師 字 東 丹 保 ほか) 調 査 は 1992 年 ~1994 年 に 行 われ Ⅰ~Ⅳの4 区 画 に 分 け 実 施 され 鎌 倉 時 代 の 祭 祀 場 を 伴 う 居 住 域 とその 周 囲 に 展 開 する 水 田 域 などの 生 活 面 等 が 確 認 されました 地 震 痕 跡 は Ⅰ~Ⅲ 区 の 現 地 表 下 約 2.3~3m で 検 出 され 礫 層 ないし 砂 層 が 液 状 化 しています 砂 脈 は 何 本 も 認 められ 方 向 は 北 北 東 - 南 南 西 ~ 北 東 - 南 西 のものと 北 北 西 - 南 南 東 ~ 西 北 西 - 東 南 東 のものが 一 般 的 です 砂 脈 の 長 さは 北 北 東 - 南 南 西 ~ 北 東 - 南 西 方 向 のものは 数 m 前 後 が 中 心 で 北 北 西 - 南 南 東 ~ 西 北 西 - 東 南 東 方 向 のものは1m 前 後 と 短 いです 確 認 できる 砂 脈 の 立 ち 上 がりの 長 さはⅠ 区 で 60~80cm Ⅱ Ⅲ 区 では 一 部 を 除 いて 10cm 以 下 です 砂 脈 の 幅 はほとんど 数 cm ですが 広 いものは 50cm を 越 え ます 砂 脈 には 10cm を 越 える 礫 が 上 昇 してきている 箇 所 や 砂 脈 を 挟 んで 地 層 が 数 cm 上 下 に 食 い 違 っている 箇 所 もあります 図 や 写 真 からは 噴 砂 とは 断 定 できませんが 写 真 を 見 る 限 り 図 9の 砂 脈 には 液 状 化 層 の 上 位 地 層 のブロックや 液 状 化 層 と 上 位 地 層 が 混 合 したものが 入 り 込 んでいる ようです 写 真 からは 砂 礫 の 移 動 を 示 す 層 の 変 位 変 形 は 確 認 できません 地 震 発 生 時 期 は 噴 砂 が 弥 生 時 代 後 期 の 生 活 面 を 覆 う 薄 い 細 砂 層 を 切 ることから 弥 生 時 代 後 期 後 半 以 降 と 考 えられます 3 寺 部 村 附 第 6 遺 跡 ( 南 アルプス 市 寺 部 ) 調 査 は 2000 年 ~2003 年 に 行 われ 古 墳 時 代 前 期 の 竪 穴 住 居 跡 中 期 の 低 墳 丘 古 墳 平 安 時 代 以 降 の 竪 穴 状 遺 構 などが 発 見 されています 地 震 痕 跡 は 長 さ 2.4m 幅 5 cmほどの 帯 状 の 砂 脈 が 確 認 され 方 向 は N-66 -E となります 液 状 化 した 層 は 砂 脈 確 認 面 より 1.1m 程 の 深 さにある 黄 褐 色 砂 質 土 です 地 震 発 生 時 期 は 古 墳 時 代 前 期 の 溝 条 遺 構 に 切 られることから 古 墳 時 代 前 期 末 以 前 と 考 えられます イ 古 代 ~ 中 世 4 上 窪 遺 跡 ( 旧 玉 穂 町 下 河 東 ) 調 査 は 2002 年 ~2005 年 に 行 われ 2002 年 度 の 調 査 ( 第 1 地 点 )では 3 時 期 の 水 田 跡 が 確 認 さ れ 第 1 面 ( 第 9 層 )が 平 安 時 代 後 半 ~ 鎌 倉 時 代 第 3 面 ( 第 16 層 )が 10C 世 紀 前 半 となります( 第

6 2 面 は 畦 畔 の 位 置 や 層 位 関 係 から 第 1 面 との 時 間 差 は 小 さいと 予 想 ) 基 本 層 序 ( 図 12)は 釜 無 川 などの 営 力 による 影 響 が 見 られ 河 床 堆 積 物 に 相 当 する 沖 積 層 の 砂 層 ( 洪 水 )を 主 体 とし 部 分 部 分 にシルト 層 ( 文 化 層 )を 薄 く 挟 む 層 位 で 構 成 されます 地 震 痕 跡 は 第 1 面 の 水 田 面 に 広 がる 地 割 れ 断 層 および 曲 隆 した 地 形 が 認 められ 細 かな 地 割 れは 広 い 範 囲 で 生 じていますが 水 田 9 12 内 では 幅 約 15cm の 特 に 広 いものが 確 認 されています( 図 13) これらはやや 西 に 振 れながら 雁 行 状 に 配 列 し 南 北 方 向 に 並 行 して 走 り 水 田 9と12の 境 の 畦 畔 の 食 い 違 いが 示 すように 水 平 方 向 では 地 割 れの 東 側 が 相 対 的 に 南 側 にずれ 垂 直 方 向 ではやはり 地 割 れの 東 側 が 最 大 10cm 程 落 ちる 微 妙 な 正 断 層 を 生 じ ています これら 幅 広 の 地 割 れには 細 粒 砂 が 詰 まっており 当 初 噴 砂 と 考 えらましたが 砂 の 供 給 源 が 下 層 に 確 認 できず 地 震 によって 生 じた 地 割 れに 洪 水 で 運 ばれてきた 砂 が 入 り 込 んだ 可 能 性 が 高 いと 判 断 されます( 図 14) 水 田 8 内 には 地 震 に 起 因 すると 思 われる 曲 隆 した 地 形 (マウント 状 の 盛 り 上 がり)が 形 成 されており( 図 15) 地 割 れとコンタ( 図 15)からは 一 部 矛 盾 する 部 分 もありま すが 地 形 の 変 換 点 へこみの 周 辺 には 亀 裂 が 集 中 していることがわかり 亀 裂 は 不 等 沈 下 によるも のと 推 定 されます 地 震 の 時 期 は 平 安 時 代 後 半 ~ 鎌 倉 時 代 以 降 と 考 えられます 2003 年 度 の 調 査 ( 第 2 地 点 )は 現 地 表 約 40~50cm 下 の 第 1 面 ( 室 町 時 代 )で 溝 跡 やピット 約 120~130cm 下 の 第 2 面 ( 平 安 時 代 後 半 から 鎌 倉 時 代 )で 水 田 跡 が 確 認 されています( 約 150cm 下 の 第 3 面 でも 水 田 面 が 確 認 されている) 第 2 面 の 水 田 跡 は 層 位 的 に 第 1 地 点 の 第 1 面 の 水 田 跡 と 同 一 面 であり 地 震 痕 跡 は 第 1 地 点 同 様 に 水 田 面 に 多 数 の 地 割 れと 曲 隆 した 地 形 が 検 出 され さらに 第 3 面 下 の 粘 土 層 中 に 砂 脈 が 見 られ 上 面 に 噴 砂 の 広 がりが 認 められています( 図 16) 噴 砂 の 時 期 は 10C 前 半 と 平 安 時 代 後 半 ~ 鎌 倉 時 代 以 降 と 思 われます 5 平 田 宮 第 2 遺 跡 ( 旧 玉 穂 町 下 河 東 ) 2004 年 に 行 われた 第 1 次 調 査 では 第 1 面 水 田 跡 ( 平 安 時 代 後 半 ~ 鎌 倉 時 代 ) 第 2 面 住 居 跡 (10C 前 半 ) 第 3 面 畑 跡 (10C 前 半 )が 確 認 され 全 国 初 の 織 機 の 部 品 も 住 居 跡 から 発 見 されています 地 震 痕 跡 は 幅 4 cmで 上 下 に 約 8 cmのズレが 生 じている 噴 砂 によって 住 居 跡 床 面 を 切 っており( 図 17) また 畑 跡 の 畝 を 斜 めに 切 るように 平 行 した 2 つの 砂 脈 に 挟 まれた 範 囲 が 著 しく 破 壊 されており 全 体 として 幅 5mあまりの 噴 砂 脈 を 形 成 しています( 図 18) この 噴 砂 脈 は 北 北 東 - 南 南 西 方 向 で 地 下 水 がこの 方 向 で 流 れていると 考 えられることから 地 下 の 液 状 化 した 砂 層 が 側 方 流 動 をおこして 南 側 に 流 れ 当 時 の 表 土 が 溝 状 に 陥 没 したものと 考 えられています 地 震 の 発 生 時 期 は 10C 前 半 と 思 わ れます 2005 年 に 行 われた 第 2 次 調 査 では 第 1 面 住 居 跡 (10C 前 半 ) 第 2 面 畑 跡 (10C 前 半 )が 確 認 さ れ 畑 跡 の 畝 が 上 下 方 向 水 平 方 向 にズレている 部 分 に 噴 砂 が 確 認 されています( 図 19) 畝 に 隣 接 する 杭 列 は 地 震 発 生 後 に 畝 を 補 修 するために 打 たれたものと 考 えられます 地 震 の 発 生 時 期 は 一 部 畑 土 上 で 噴 砂 が 広 がっていることから 畑 の 存 続 期 間 中 (10C 前 半 )に 起 きたものと 考 えられます 2006 年 に 行 われた 第 3 次 調 査 では 第 1 面 水 田 跡 ( 平 安 後 半 ~ 鎌 倉 ) 第 2 面 住 居 跡 (10C 前 半 ) 第 3 面 畑 跡 水 田 跡 (10C 前 半 ) 第 4 面 井 戸 跡 (10C 前 半 以 前 )が 発 見 され 第 3 面 の 畑 面 に 遺 存 していた 井 戸 枞 材 が 北 西 方 向 から 南 東 方 向 に 力 が 働 き 携 帯 が 歪 み 井 戸 南 側 の 畑 面 直 上 に 散 ってい ることから 畑 が 使 われていた 時 期 (10C 前 半 )に 地 震 があり 井 戸 枞 が 変 形 したものと 考 えられます ( 図 20 写 真 1) ウ 近 世 6 八 反 田 遺 跡 7 八 反 田 遺 跡 隣 接 地 ( 旧 玉 穂 町 下 河 東 )

7 遺 跡 は 上 窪 遺 跡 ( 第 2 次 )から 南 西 約 700m に 位 置 します 調 査 は 2003 年 の 5 月 に 試 掘 調 査 ( 約 40m のトレンチ)が 行 われ 基 本 層 序 は 大 まかにⅠ 層 : 粘 土 質 ( 耕 作 土 ) Ⅱ 層 : 粘 土 質 ( 近 世 遺 構 面?) Ⅲ 層 : 中 粒 砂 ~ 細 砂 Ⅳ 層 : 砂 層 となります 地 震 痕 跡 は Ⅱ 層 上 面 から 多 数 の 砂 脈 が 確 認 され 現 地 表 下 約 50cm のⅣ 層 ( 砂 層 )を 供 給 源 としています 全 体 としては 南 北 走 行 で 長 さは 確 認 できた 範 囲 で 20m を 越 え 幅 は 約 10~20cm です また Ⅲ 層 とⅣ 層 の 境 界 面 でコンボルート 葉 理 ( 攪 乱 構 造 ) 等 地 震 に 起 因 すると 考 えられる 地 層 の 変 形 が 認 められます( 写 真 2) 地 質 学 の 立 場 からの 概 要 報 告 によると 砂 脈 は いくつかの 節 (セグメント)に 分 かれ 中 で 不 規 則 に 枝 分 かれし 折 れ 曲 がり あるいは 雁 行 状 に 配 列 する 部 分 があり 最 下 部 の 砂 層 (Ⅳ 層 )が 液 状 化 し 砂 の 上 昇 に 伴 い 礫 の 長 軸 が 噴 出 方 向 に 引 きずられている 状 況 が 確 認 されています 顕 微 鏡 観 察 では 液 状 化 した と 思 われる 砂 層 の 砂 は 微 粒 な 部 分 もあり 淘 汰 はそれほど 良 くないが 砂 脈 の 上 部 ではルーズでクリ ーンな 砂 になっているようです また 砂 脈 の 最 下 部 や 砂 層 (Ⅳ 層 ) 内 に 粘 土 質 (Ⅱ 層 )のブロック が 観 察 されています 噴 砂 の 時 期 は 耕 作 土 (Ⅰ~Ⅱ 層 ) 内 に 洪 水 層 が 見 られないことや 周 辺 地 域 で 関 東 大 震 災 時 の 噴 砂 が 確 認 されていないことから 江 戸 時 代 後 期 以 降 ( 安 政 東 海 地 震?)の 地 震 による 可 能 性 が 高 いと 推 定 されます 8 上 町 天 神 遺 跡 ( 甲 府 市 上 町 字 天 神 ) 調 査 は 2004 年 の 3 月 に 宅 地 造 成 に 伴 い 試 掘 確 認 調 査 が 行 われ その 結 果 遺 構 遺 物 は 確 認 さ れず 本 調 査 は 実 施 されなかったが 砂 脈 ( 写 真 4)を 数 多 く 検 出 しました 基 本 層 序 はⅠ 層 : 表 土 層 ( 耕 作 土 ) Ⅱ 層 : 粘 土 層 ( 床 土 ) Ⅲ 層 :( 上 位 近 世 面 ) Ⅳ 層 : 砂 層 ( 下 位 近 世 面 )です 砂 脈 は Ⅲ 層 直 上 で 検 出 し 3 箇 所 の 試 掘 地 点 においてそれぞれ 南 北 報 告 に 並 行 して 走 っています 幅 は 約 5cm~20cm 長 さは 長 いもので 約 4m ある 砂 脈 の 時 期 は 最 近 まで 耕 作 されていた 水 田 層 (Ⅱ 層 )ま で 達 せず Ⅲ 層 上 面 が 近 世 と 考 えられるため 近 世 以 降 の 地 震 によるものと 思 われます 9 鰍 沢 河 岸 跡 ( 旧 鰍 沢 町 鰍 沢 字 明 神 町 ) 調 査 は 1996 年 および 2000 年 ~2007 年 に 実 施 され 鰍 沢 河 岸 跡 は 江 戸 時 代 に 開 かれた 富 士 川 船 運 に 関 わって 築 かれた 河 岸 で 青 柳 河 岸 ( 旧 鰍 沢 町 ) 黒 沢 河 岸 ( 市 川 三 郷 町 )とともに 三 河 岸 と 呼 ばれ 年 貢 米 の 輸 送 を 主 な 役 割 として 発 達 し 富 士 身 延 鉄 道 ( 現 在 のJR 身 延 線 )が 全 線 開 通 する 昭 和 初 期 まで 継 続 した 施 設 です 発 掘 調 査 により 御 蔵 台 跡 ( 御 米 倉 跡 や 荷 積 台 跡 )をはじめ 江 戸 時 代 ~ 昭 和 にかけての 石 垣 や 水 路 井 戸 などが 検 出 しています また 各 時 代 の 生 活 面 を 覆 う 砂 層 が 何 枚 も 検 出 されました 地 震 痕 跡 は A2 区 で 砂 脈 が 確 認 され 富 士 川 に 沿 う 方 向 ( 北 東 - 南 西 )で2 m 以 上 上 昇 しています 幅 は 10cm 程 度 で 粗 砂 ~ 細 砂 で 構 成 され 上 部 へ 行 くほど 細 粒 になり 供 給 源 は 砂 礫 層 と 思 われます 砂 脈 の 時 期 は 近 世 以 降 によるものと 思 われます エ 近 代 10 町 屋 口 遺 跡 隣 接 地 試 掘 調 査 地 点 ( 旧 増 穂 町 字 青 柳 ) 試 掘 トレンチ( 東 西 方 向 )の 南 北 断 面 に 認 められた 砂 脈 の 方 向 は 東 北 東 - 西 南 西 であり 北 面 ( 図 10-A)の 砂 脈 は 幅 1~2cm で 粘 土 層 と 砂 層 を 割 って2m 以 上 上 昇 しています 砂 脈 の 供 給 源 であ る 液 状 化 層 は 確 認 できなかったが トレンチ 最 下 部 の 粘 土 層 が 不 透 水 層 となって 液 状 化 層 を 覆 ってい ると 思 われます 砂 脈 は 粗 砂 ~ 細 砂 で 構 成 され 上 部 へ 行 くほど 細 粒 になり 砂 脈 の 先 端 部 は 現 地 表 まで 達 しておらず 噴 砂 と 思 われる 砂 層 も 見 あたりません 砂 脈 先 端 部 は 浸 食 されているようにも 見 え 砂 脈 が 地 表 まで 到 達 したかどうかはわかりません 図 10-Aの 西 約 1m の 地 点 にも 類 似 の 砂 脈 が 見 られました 南 面 ( 図 10-B)には 地 表 下 140cm 付 近 で 上 部 が 膨 らんで 止 まっている 砂 脈 が 認 めら

8 この 砂 脈 でも 上 部 の 方 が 下 部 よりも 相 対 的 に 細 粒 です 断 面 最 下 部 の 青 灰 色 粘 土 層 は 江 戸 時 代 末 期 ~ 明 治 初 頭 の 層 位 に 対 比 され この 砂 脈 の 発 生 時 期 は 明 治 以 降 であり 大 正 関 東 地 震 によるものと 推 定 されます 11 藤 田 池 遺 跡 ( 旧 増 穂 町 字 青 柳 ) 調 査 は 1998 年 および 2002 年 の2 次 にわたり 1~3の3 区 に 分 け 実 施 され 江 戸 時 代 後 半 の 水 田 跡 畠 跡 杭 列 等 やそれらを 覆 うように 洪 水 の 痕 跡 が 検 出 されています 1 区 では 上 位 面 と 下 位 面 の 水 田 区 画 (1-2 号 区 画 )が 確 認 され これら 上 下 の 区 画 は 東 西 および 南 北 に 約 5m の 規 模 をその まま 踏 襲 しながら 厚 さ 20cm 程 の 砂 を 主 体 とした 間 層 が 入 り 近 接 した 時 期 が 認 められています 地 震 痕 跡 は 上 下 面 の 水 田 区 画 を 貫 く 形 で ほぼE-36 -N 方 向 に 地 割 れ 痕 が 検 出 された( 図 11) 割 れ 目 には 上 位 の 洪 水 層 と 思 われる 砂 が 認 められます 地 割 れの 時 期 は 明 治 以 降 ( 大 正 関 東 地 震 ) によるものと 思 われます 2) 甲 府 盆 地 南 縁 の 曽 根 丘 陵 における 地 震 痕 跡 ( 図 21) 12 上 の 平 遺 跡 ( 旧 中 道 町 字 下 向 山 ) 遺 跡 は 曽 根 丘 陵 の 中 央 に 位 置 する 東 山 の 最 高 位 面 と 下 位 面 間 の 北 傾 斜 斜 面 に 位 置 し 標 高 333m を 測 ります 調 査 は 1979~1998 年 の 間 に7 次 にわたり 行 われ 縄 文 時 代 の 集 落 跡 墓 地 弥 生 時 代 末 ~ 古 墳 時 代 初 頭 の 集 落 跡 墓 地 平 安 時 代 の 集 落 跡 などが 検 出 されています 第 4 5 7 次 調 査 において 堆 積 層 中 に 断 層 が 確 認 されました( 図 22) 第 7 次 調 査 の 断 層 ( 図 23)については N82 W 85~87 Nの 走 行 傾 斜 を 示 し 垂 直 変 位 量 は 北 側 の 地 層 が 約 105cm の 落 差 をもって 変 位 してい る 正 断 層 などが 認 められました トレンチの 断 面 ( 図 24)は 最 下 層 に 約 10(~8) 万 年 前 御 岳 第 一 軽 石 (On-Pm1)が その 上 位 に 硬 質 ローム 層 黒 褐 色 の 暗 色 帯 (AT 直 下 の 武 蔵 野 台 地 立 川 第 2 暗 色 帯 (BBⅡ)に 対 比 される) ソフトローム 層 が 重 なり さらに 縄 文 時 代 包 含 層 ( 縄 文 時 代 前 期 後 半 ~ 中 期 後 半 )がこれらを 覆 っています 断 層 の 活 動 時 期 は AT 堆 積 (2.5 万 年 前 ) 以 降 で 古 墳 時 代 初 期 に 築 造 された 方 形 周 溝 墓 には 断 層 による 変 位 が 認 められないことから 少 なくとも 古 墳 時 代 より 前 に 活 動 したことが 推 定 されます 13 米 倉 山 B 遺 跡 ( 旧 中 道 町 字 下 向 山 ) 遺 跡 は 上 の 平 遺 跡 から 南 西 約 1.3km 東 山 と 谷 を 挟 んだ 米 倉 山 の 南 東 斜 面 に 位 置 し 標 高 380m を 測 ります 調 査 は 1991~1995 年 にわたり 行 われ 弥 生 時 代 末 ~ 古 墳 時 代 および 江 戸 時 代 の 集 落 跡 と 墓 地 が 確 認 されています 断 層 は ほぼ 東 西 方 向 の 走 行 を 示 し 下 部 で 37 北 傾 斜 だが 地 表 に 近 い 部 分 では 41 ~53 北 傾 斜 とやや 立 ち 上 がる 正 断 層 で 垂 直 変 位 量 は 御 岳 第 一 軽 石 (On-Pm1) を 鍵 層 と 見 ると 約 2m です トレンチの 断 面 ( 図 25)では 最 下 層 に 原 礫 層 と 青 灰 色 粘 土 層 が そ の 上 位 にOn-Pm1(3 部 層 に 分 かれる) 硬 質 ローム 層 黒 褐 色 の 暗 色 帯 (AT 直 下 の 武 蔵 野 台 地 立 川 第 2 暗 色 帯 (BBⅡ)に 対 比 される) ソフトローム 層 が 重 なり 上 の 平 遺 跡 同 様 の 堆 積 層 順 と なります 断 層 の 活 動 時 期 は AT 堆 積 (2.5 万 年 前 ) 以 降 に 活 動 したことが 推 定 されます 7 地 震 痕 跡 を 発 生 させる 地 震 県 内 の 地 震 痕 跡 は 沖 積 低 地 の 液 状 化 と 台 地 の 断 層 の 大 きく2タイプに 分 けられ プレート 間 地 震 ( 関 東 地 震 東 海 地 震 )や 活 断 層 ( 甲 府 盆 地 西 縁 と 南 縁 )によって 発 生 していると 考 えられます 1) 液 状 化 を 発 生 させる 地 震

9 1プレート 間 地 震 文 献 史 料 等 に 見 られる 山 梨 県 の 主 な 地 震 は 表 3の 通 りである マグニチュード 8.0 級 の 巨 大 地 震 はいずれもプレート 間 地 震 であり 元 禄 関 東 地 震 ( 元 禄 16 年 11 月 23 日 : 西 暦 1703 年 12 月 31 日 ) 大 正 関 東 地 震 ( 大 正 12(1923) 年 9 月 1 日 )などは 相 模 トラフ 下 宝 永 地 震 ( 宝 永 4 年 10 月 4 日 : 西 暦 1707 年 10 月 28 日 ) 安 政 東 海 地 震 ( 嘉 永 7( 安 政 1) 年 11 月 4 日 : 西 暦 1854 年 12 月 23 日 ) などは 駿 河 トラフ~ 南 海 トラフ 東 部 下 でそれぞれ 発 生 しており 甲 府 盆 地 における 震 度 は 一 部 を 除 き Ⅵ 以 上 です これらの 中 で 元 禄 関 東 地 震 安 政 東 海 地 震 大 正 関 東 地 震 に 関 わる 史 料 には 液 状 化 現 象 と 思 われる 記 述 が 確 認 され( 表 3) これらの 地 震 に 伴 い 滝 沢 川 扇 状 地 扇 端 付 近 釜 無 川 ~ 荒 川 扇 状 地 扇 央 下 部 ~ 扇 端 部 笛 吹 川 周 辺 の 氾 濫 原 に 似 た 地 域 で 液 状 化 が 発 生 したと 推 定 されています したがって 甲 府 盆 地 における 発 掘 調 査 では 震 度 Ⅵ 以 上 のプレート 間 地 震 ( 関 東 地 震 東 海 地 震 ) による 液 状 化 跡 が 検 出 される 可 能 性 があります 一 方 駿 河 トラフ 北 部 の 活 動 が 認 められない 東 南 海 地 震 では 甲 府 盆 地 では 液 状 化 は 発 生 しない 可 能 性 が 高 いと 推 定 されています 2 活 断 層 山 梨 県 の 主 な 活 断 層 ( 群 )は 甲 府 盆 地 西 縁 の 赤 石 山 脈 東 縁 から 巨 摩 山 地 北 ~ 東 縁 ( 甲 府 盆 地 西 縁 ) に 至 る 諏 訪 - 甲 府 断 層 帯 ( 糸 魚 川 - 静 岡 構 造 線 活 断 層 系 )と 甲 府 盆 地 南 縁 の 甲 府 盆 地 南 縁 断 層 帯 ( 曽 根 丘 陵 活 断 層 群 )があり( 図 7) これらが 活 動 すると 甲 府 盆 地 では 震 度 Ⅵ 以 上 になると 推 定 されてい ます 元 禄 安 政 大 正 の 各 地 震 も 震 度 Ⅵ 以 上 であることから これらの 活 断 層 による 地 震 でも 液 状 化 が 発 生 する 可 能 性 が 高 いといえます 甲 府 盆 地 西 縁 の 活 断 層 ( 諏 訪 - 甲 府 断 層 帯 )は 北 西 端 ( 小 淵 沢 付 近 )では 左 横 ずれ 断 層 ですが ほとんどは 西 側 が 隆 起 する 底 角 の 逆 断 層 であり 上 下 平 均 変 位 速 度 は 地 域 によって 異 なりますが 1mm/ 年 前 後 ( 活 動 度 A~B 級 )の 地 域 が 多 いです トレンチ 調 査 によると 完 新 世 の 活 動 履 歴 が 明 らかになっており 図 7の loc.14 では 4,100~6,200 年 前 と 9,600 ~11,000 年 前 loc.15 では 750~1,300 年 前 と 3,500~6,000 年 前 の 活 動 が 推 定 されています 一 方 甲 府 盆 地 南 縁 断 層 帯 は 主 に 曽 根 丘 陵 の 前 縁 に 分 布 する 南 側 隆 起 の 底 角 な 逆 断 層 であり 上 下 平 均 変 位 速 度 は1mm/ 年 以 下 ( 活 動 度 B~C 級 )で 全 体 的 に 諏 訪 - 甲 府 断 層 帯 より 小 さな 値 となります ト レンチ 調 査 は 行 われておらす 詳 細 な 活 動 時 期 は 不 明 ですが 完 新 世 の 地 形 面 が 変 位 していることか ら 過 去 1 万 年 以 内 に 活 動 したことは 確 実 であり これらの 活 断 層 に 対 応 した 液 状 化 跡 が 存 在 する 可 能 性 がありますが 沖 積 低 地 での 発 掘 調 査 では 遺 跡 の 有 無 や 湧 水 の 関 係 から 縄 文 時 代 以 前 の 年 代 の 地 層 まで 掘 り 込 むことは 少 ないと 考 えられます したがって loc.15 において 750~1,300 年 前 と 推 定 される 地 震 など 弥 生 時 代 以 降 以 外 については 仮 に 液 状 化 が 残 っていても 検 出 される 可 能 性 は 低 く なると 推 定 されます 2) 断 層 を 発 生 させる 地 震 曽 根 丘 陵 の 澤 祥 氏 のⅠb 面 またはⅡ 面 上 に 位 置 する 上 の 平 遺 跡 や 米 倉 山 B 遺 跡 で 確 認 されている 断 層 は 甲 府 盆 地 南 縁 断 層 帯 との 関 わりが 示 唆 され また 佐 久 活 断 層 との 関 連 性 も 注 目 されています

10 1 油 田 遺 跡 図 7 甲 府 盆 地 における 地 震 痕 跡 発 見 遺 跡 写 真 1 平 田 宮 第 2 遺 跡 写 真 2 八 反 田 遺 跡 隣 接 地 写 真 3 上 町 天 神 遺 跡

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12 図 13 図 12 図 14 図 15

13 図 16 上 窪 遺 跡 第 2 次 調 査 区 南 壁 土 層 図 図 17 平 田 宮 第 2 遺 跡 第 1 次 1 号 住 居 跡 下 層 トレンチ 図 18 平 田 宮 第 2 遺 跡 第 1 次 破 壊 された 畑 図 19 平 田 宮 第 2 遺 跡 第 2 次 第 2 面 畑 跡 図 20 平 田 宮 第 2 遺 跡 第 3 次 第 3 面 畑 跡

14 図 21 図 23 図 22 図 24 図 25

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18 < 気 象 庁 震 度 階 級 > 山 梨 県 東 海 地 震 被 害 想 定 調 査 ( 平 成 17 年 山 梨 県 ) 甲 府 盆 地 中 央 部 の 甲 府 市 笛 吹 市 玉 穂 町 田 富 町 などの 他 山 梨 市 塩 山 市 勝 沼 町 富 士 吉 田 市 忍 野 村 山 中 湖 村 などで 液 状 化 が 発 生 する 可 能 性 が 高 いと 想 定 されています これらの 地 域 では 建 物 被 害 ライフライン 施 設 被 害 道 路 被 害 河 川 堤 防 被 害 等 が 発 生 する 可 能 性 があります 凡 例 液 状 化 発 生 の 可 能 性 : 大 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 及 び 想 定 震 源 域 ( 中 央 防 災 会 議 東 海 地 震 対 策 専 門 調 査 会 (2002 年 6 月 ) 資 料 に 加 筆 ) 液 状 化 発 生 の 可 能 性 : 中 液 状 化 発 生 の 可 能 性 : 小 液 状 化 発 生 の 可 能 性 : 極 小 液 状 化 判 定 対 象 外