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(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

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いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

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2 条 ) ア 育 児 休 業 の 対 象 とならない 職 員 ( 法 第 2 条 及 び 条 例 第 2 条 関 係 ) (ア) 臨 時 的 に 任 用 される 職 員 (イ) 育 児 休 業 に 係 る 期 間 を 任 期 と 定 めて 採 用 された 職 員 (ウ) 勤 務 延 長 職 員 (

Transcription:

デーブリーンの 大 地 の 歌 ハムレットあるいは 長 き 夜 が 終 わる における 新 しい 人 生 時 田 郁 子 1 新 しい 人 間 の 探 究 新 しい 人 間 (der neue Mensch) は もともとキリスト 教 信 仰 にお ける 救 世 主 を 次 いでキリスト 者 を 指 し 1910 20 年 代 のドイツ 語 圏 で は ニーチェの 超 人 (Übermensch) のイメージと 相 まって 既 存 の 諸 価 値 を 破 壊 して 新 たな 世 界 を 創 造 する 人 物 を 意 味 するようになっ た 1) それは 文 学 芸 術 の 領 域 のみならず 社 会 主 義 国 家 建 設 のスロー ガン 2) 3) やドイツ 青 年 運 動 の 目 標 にもなったため この 時 期 の 未 来 構 想 を 読 み 解 く 鍵 と 目 される 4) 事 実 この 時 期 の 芸 術 家 たちは しばしば 新 しい 人 間 という 語 を 用 いて 時 代 を 切 り 開 く 人 間 を 描 いている アルフレート デーブリーン(1878 1957)も 新 しい 人 間 を 探 究 し た 芸 術 家 の 一 人 に 数 えられる デーブリーンは 表 現 主 義 運 動 の 一 員 として 文 学 活 動 を 開 始 し 第 一 次 世 界 大 戦 に 従 軍 医 として 参 加 した その 後 の 1920 年 代 の 創 作 活 動 は 新 しい 人 間 というキーワードで 読 み 解 くことができる 彼 は 長 編 小 説 海 と 山 と 巨 人 (1924)では 科 学 技 術 が 高 度 に 発 達 した 未 来 に おける 人 体 改 造 の 実 験 を 取 り 上 げ その 結 果 として 動 物 植 物 鉱 物 と 合 体 したハイブリッドな 人 間 つまり 巨 人 が 誕 生 する 様 を 描 いた こ れに 続 く 長 編 小 説 マナス (1927)では 英 雄 マナスが 死 の 国 から 帰 還 して 半 神 と 化 す 身 体 を 拡 大 した 巨 大 な 人 間 や 生 と 死 の 世 界 をまたぐ 半 ば 神 のような 人 間 には 通 常 の 人 間 の 能 力 を 超 えるという 点 で 明 ら かに 超 人 的 性 質 が 認 められる それに 対 し デーブリーンが 長 編 小 説 ベルリン アレキサンダー 広 場 フランツ ビーバーコップフの 物 (53) 46

語 (1929)において 大 都 市 に 住 む 名 も 無 き 一 市 民 を 新 しい 人 間 と 呼 ぶとき 疑 念 が 生 じる それというのも この 作 品 では 刑 務 所 帰 りの 主 人 公 が 片 腕 と 恋 人 を 失 い 精 神 錯 乱 を 克 服 した 後 社 会 の 一 員 とし て 迎 えられるだけであり 新 しい 人 間 には 超 人 的 性 質 がないよ うに 見 えるからである しかし この 新 しい 人 間 はかえって デー ブリーンが 1920 年 代 に 構 想 した 自 然 哲 学 すなわち 人 間 存 在 を 宇 宙 との 関 係 の 中 で 理 解 しようとする 思 想 を 指 し 示 す 標 になっている デー ブリーンは ユダヤ 人 であったため 1933 年 にナチスが 政 権 を 取 ると いち 早 く 出 国 し それ 以 降 フランスやアメリカで 亡 命 生 活 を 送 り 第 二 次 世 界 大 戦 後 にドイツに 帰 国 するが もはや 以 前 のようにドイツ 国 内 に 定 住 することはなかった 彼 は 流 浪 の 日 々の 中 で 新 しい 人 間 の 実 現 の 難 しさを 理 解 したであろうと 思 われるが それにもかかわらず 新 しい 人 間 の 探 究 を 続 けた 最 後 の 作 品 ハムレットあるいは 長 き 夜 が 終 わる (1956) 5) はその 証 である 彼 は 1945 年 8 月 にこの 作 品 の 執 筆 を 始 め 1946 年 に 完 成 させたものの 出 版 社 探 しに 難 航 し 1956 年 に 編 集 者 の 意 向 を 汲 み 結 末 部 に 変 更 を 加 えて 出 版 した 以 下 では ハ ムレットあるいは 長 き 夜 が 終 わる といういささか 風 変 わりな 題 名 を 持 つこの 作 品 を デーブリーンに 倣 って ハムレット 小 説 と 呼 ぶ ハムレット 小 説 は 彼 は 連 れ 戻 された 彼 にはアジア 大 陸 に 足 を 踏 み 入 れることは 叶 わなかった (S.9)という 短 い 段 落 と 共 に 幕 を 開 け 新 しい 人 生 が 始 まった (S.573)という 短 い 一 文 で 幕 を 下 ろし 失 意 の 帰 還 者 が 新 しい 人 生 を 手 に 入 れるまでが 描 かれる 作 品 の 舞 台 は 第 二 次 世 界 大 戦 後 のイギリス ロンドン 郊 外 の 作 家 アリソンの 邸 宅 で この 家 の 二 十 歳 の 息 子 エドワードが 日 本 の 特 攻 隊 の 攻 撃 を 受 け 片 足 を 失 って 帰 国 したところから 物 語 は 始 まり 自 宅 療 養 中 の 彼 を 慰 めるため 家 族 が 集 って 物 語 をする ここで 語 られる 物 語 の 数 々は 分 量 の 多 さゆ えに 6) 作 品 内 で 大 きな 位 置 を 占 めるだけでなく すべての 物 語 が 語 ら れた 後 に エドワードが 戦 争 のトラウマを 克 服 する 一 方 で 一 家 が 離 散 することから これらの 物 語 はエドワードと 家 族 をめぐる 筋 に 大 きな 影 響 を 及 ぼしていると 判 明 する そのため 先 行 研 究 では 主 に ハム レット 小 説 を 千 一 夜 物 語 や 十 日 物 語 等 の 枠 物 語 の 系 譜 に 連 ね つつ デーブリーンの 語 りの 独 自 性 を 考 察 してきた 例 えば 語 られる 7) 物 語 を 主 筋 の 人 物 たちにとっての 現 実 として 読 み 解 く 研 究 語 られる 45 (54)

物 語 内 の 人 物 とアリソン 家 の 人 々との 平 行 関 係 の 意 味 を 考 察 する 研 究 8) セ ラ ピ ー 9) 治 療 法 として 語 る 行 為 を 考 察 する 研 究 語 る 行 為 を 通 して 登 場 人 物 た 10) ちが 自 己 認 識 に 至 る 過 程 を 分 析 する 研 究 等 が 挙 げられる 本 論 は デーブリーンがエッセイ エピローグ (1948) 11) の 中 で 物 語 の 数 々 を 作 った 後 に これらを 聴 かせる 人 物 を 作 ったと 作 品 成 立 の 経 緯 を 記 す ことを 踏 まえて これらの 物 語 の 最 大 の 聴 き 手 であるエドワードに 着 目 し 物 語 を 聴 くだけの 受 け 身 の 人 物 が 手 に 入 れるという 新 しい 人 生 の 解 明 を 目 指 して エドワードの 言 動 を 分 析 し 彼 が 思 索 を 深 める 過 程 を 追 う 2 片 足 のハムレット エドワード アリスンは 一 兵 卒 として 第 二 次 世 界 大 戦 に 参 加 し ア ジアに 赴 いた しかし 彼 は 奇 跡 に 満 ちたアジアの 待 望 の 土 地 (S.13)に 足 を 下 ろす 直 前 に 爆 撃 に 遭 い 片 足 を 失 って 故 郷 へ 送 還 さ れる その 後 彼 は 戦 争 のトラウマに 苦 しみ 爆 撃 の 記 憶 が 蘇 る 度 に 発 作 を 起 こし 最 初 は 病 院 で 次 いで 自 宅 で 療 養 する 彼 は 入 院 中 担 当 医 のキングに 戦 争 体 験 について 次 のように 話 している エドワード 僕 は 去 ろうとした 去 ろうと すると 奴 [ 戦 争 ]が 中 国 と 一 緒 にやってきた あんたたちのヨーロッパで 僕 を 邪 魔 し ないでくれ ヨーロッパがあなたに 何 をしたのですか? あなたはイギリス 人 でしょう? 忌 まわしいヨーロッパ 最 初 に 破 壊 されればいいのに 間 医 師 あなたはひどい 経 験 をしたのですね? 僕 はもうヨーロッパはたくさんだ (S.23) アジアは 死 の 恐 怖 を 味 わった 場 イギリスは 安 全 な 場 と 捉 えるなら エ ドワードの 苦 悩 は 理 解 されない 二 十 歳 の 青 年 は あんたたちのヨー ロッパ つまり 大 人 の 世 界 から 去 って 憧 れの 地 アジアを 目 指 した のだった もちろん アジアを 奇 跡 に 満 ちた 土 地 というのは 希 望 に (55) 44

すぎず 特 攻 隊 の 攻 撃 は イギリス 軍 の 戦 法 ひいてはヨーロッパの 論 理 では 予 測 できないものであり(S.22) 彼 は 異 文 化 に 出 会 うやいなや 打 ちのめされた 帰 還 後 の 彼 は 意 外 にもアジアではなくヨーロッパへの 嫌 悪 を 募 らせる 彼 にとって アジアはヨーロッパと 彼 自 身 を 映 し 出 す 鏡 であり 彼 はアジアという 鏡 の 前 に 立 った 後 今 度 は 故 郷 でヨーロッ パと 自 分 を 見 つめ 直 すことになる エドワードは 病 状 が 落 ち 着 くと 進 んで 大 人 たちと 対 話 を 交 わし 大 人 たちはそれぞれの 流 儀 で 対 応 する 作 家 である 父 が 仕 事 部 屋 に 籠 もっ て 息 子 の 訪 問 を 受 けるだけなのに 対 し 母 は 甲 斐 甲 斐 しく 彼 の 相 手 をす る それには 夫 婦 間 の 対 立 に 息 子 を 引 き 込 み 自 分 の 側 に 付 けようと いう 母 の 思 惑 が 関 わり エドワードは 母 の 意 向 に 与 するようにも 見 える が その 間 も 父 との 距 離 を 模 索 する 事 実 彼 は 他 の 人 たちが 同 席 す る 場 で 父 を 厳 しく 批 判 するかと 思 えば 次 に 挙 げるように 父 の 仕 事 部 屋 を 訪 れて 二 人 きりになる 今 彼 の 木 の 杖 が 廊 下 や 階 段 を 動 き 音 を 立 てた 彼 の 義 肢 はド タドタギシギシ 軋 んだ 遍 歴 のエドワードは 不 穏 な 精 神 の 持 ち 主 は 探 し 調 べ 尋 ね 聴 く 彼 は 父 のところに 侵 入 した 彼 は 自 室 から 階 段 を 上 がり 廊 下 を 横 切 ると ノックしないで あたかも 自 室 であるように 扉 を 開 け た 彼 は 軽 く 会 釈 すると どこかに 腰 を 下 ろす 彼 は 会 話 を 始 めな い 父 が 何 か 用 かいと 尋 ねると いいえと 言 う 時 には 頭 を 横 に 振 るだけで ただ 腰 を 下 ろし そこにいるだけである 彼 が 何 を 欲 し ているのかは 不 明 だ (S.289) エドワードが 移 動 するときの 木 の 杖 と 義 肢 の 音 は 訪 問 の 前 触 れ となる 彼 は 扉 をノックせず 室 内 に 入 ると 無 言 で 居 座 り しばらくす ると 部 屋 を 後 にする ゴードンは エドワードは 戦 争 と 自 分 の 不 幸 に テーゼ は 特 定 の 人 たちに 責 任 があるという 命 題 を 持 っている (S.33)と 考 え ており 息 子 の 気 力 体 力 の 回 復 と 思 索 を 見 守 ろうとする 立 場 から 礼 儀 作 法 を 無 視 した 訪 問 さえ 歓 迎 する ここで この 異 様 な 訪 問 者 が 片 足 であると 強 調 される 点 に 着 目 しよう 片 足 の 不 在 は エドワードの 場 合 爆 撃 によるものであり 戦 争 が 若 い 世 代 に 残 した 爪 あとを 周 囲 の 大 人 た 43 (56)

ちに 突 きつけるが ヨーロッパの 伝 統 において それは 悪 魔 を 連 想 させ る 種 村 季 弘 氏 によれば ゲルマンやケルトの 伝 説 において 魔 術 師 たち は 奇 跡 的 能 力 を 獲 得 するため 身 体 変 工 を 蒙 らなくてはならず 男 性 の 英 雄 にあっては 片 足 が 失 われる 場 合 が 多 く ユングの 性 的 象 徴 としての 足 の 定 義 を 踏 まえるならば 跛 者 は 性 的 能 力 を 犠 牲 にして 魔 術 的 能 力 を 獲 得 した 人 物 となる 12) この 議 論 を 手 掛 かりにエドワードを 観 察 すると 二 十 歳 の 青 年 がおもちゃ 遊 びに 興 じ 子 供 のように 振 る 舞 い 病 院 でも 家 でも 異 性 への 関 心 を 示 さないことが 目 に 付 く 子 供 の 状 態 への 退 化 は 性 的 能 力 を 持 たない 魔 術 的 跛 者 の 特 徴 の 変 奏 であることから エ ドワードを 一 種 の 魔 術 的 跛 者 と 見 なすことができるだろう では エドワードが 片 足 を 犠 牲 にして 獲 得 する 魔 術 的 能 力 とは 何 なの か この 問 いを 考 える 糸 口 として 三 歳 年 下 の 妹 を 持 つ 独 身 者 の 兄 とい う 共 通 点 からエドワードの 未 来 を 彷 彿 させ 彼 のよき 理 解 者 である 伯 父 のジェームズの 見 解 を 参 照 しよう おかしなことだ 若 い 人 間 が 世 界 史 の 恐 ろしい 出 来 事 に 参 加 し 侵 略 に 加 担 し ドイツ 戦 線 の 崩 壊 を 見 て 死 と 全 滅 に 取 り 巻 かれて 最 終 的 には 日 本 と 衝 突 し 爆 撃 に 持 ちこたえた それから 意 外 にも 帰 郷 するや 家 族 の 生 活 に 飛 び 込 み 部 外 者 にはいささか 滑 稽 に 見 るほど 家 族 への 関 心 を 示 すよりも 急 を 要 することを 考 えな かった いずれにせよ 彼 は 以 前 よりはるかに 家 族 への 関 心 を 見 せ ている それというのも ジェームズ マッケンジーが 知 る 限 りで は 彼 は 以 前 わきに 離 れていた 家 族 の 中 の 子 供 はキャスリーンで あり 彼 でなかった 今 彼 はその 地 位 を 遅 ればせに 妹 との 競 争 を 挽 回 しようとしているようだ (S.201f.) 伯 父 は 戦 争 という 世 界 史 の 恐 ろしい 出 来 事 に 参 加 してきた 甥 が 今 となって 家 族 内 での 子 供 の 地 位 を 狙 っている 様 子 を おかしなこ と と 表 現 する 以 前 のエドワードは わきに 離 れて 家 族 の 中 の 子 供 である 妹 を 軸 に 家 族 の 均 衡 が 保 たれるのを 眺 めていた 出 兵 は 家 庭 内 でのそのような 立 場 からの 脱 出 を 意 味 するはずだった 粂 田 文 氏 によ れば エドワードの 出 兵 は 家 族 という 共 同 体 の 外 を 体 験 することに 他 な らず 帰 還 後 の 彼 は 共 同 体 の 安 寧 を 脅 かす 存 在 となり 家 族 という 共 (57) 42

同 体 の 中 心 にある 子 供 の 地 位 に 就 こうとする 13) 彼 が 家 族 の 中 の 子 供 の 地 位 を 奪 還 しようと 努 めるとき 彼 は ヨーロッパ から 家 族 へと 戦 いの 舞 台 を 替 えて 自 分 探 しをしている 生 と 死 の 境 界 から 帰 還 したエドワードが 戦 火 から 遠 く 離 れた 場 所 にいた 小 さな 共 同 体 に とってアウトサイダーとなり 僕 は 家 の 平 和 を 壊 してやる (S.295) と 考 えて 表 面 上 は 穏 やかな 家 族 の 生 活 の 綻 びを 拡 げてゆく 過 程 に は 世 界 戦 争 の 家 庭 内 闘 争 への 転 換 を 読 み 取 ることができるだろう 14) この 転 換 において 重 要 なのは エドワードが 片 足 を 失 ったことであり ヘンリケ ヴァルターが 身 体 を 経 験 と 表 現 と 認 識 の 形 式 15) と 見 なす ように 彼 の 身 体 の 改 変 は 経 験 と 表 現 と 認 識 の 形 式 を 抜 本 的 に 変 え る 彼 は 世 界 を 以 前 とは 違 う 眼 差 しで 眺 め 始 め 16) アイデンティティを 確 立 する 必 要 に 迫 られる こうした 状 況 下 で 彼 が 獲 得 する 魔 術 的 能 力 とは 新 たな 経 験 と 表 現 と 認 識 方 法 を 編 み 出 すことであり 彼 が 子 供 さながら 周 囲 にそれを 強 制 し 自 らもそれを 用 いて 世 界 を 検 分 するとき 彼 の 周 囲 に 混 乱 が 生 じる エドワードが ハムレット と 呼 ばれる 理 由 もこの 点 に 関 わり デー ブリーンはエッセイ エピローグ の 中 で 次 のように 説 明 する 彼 [エドワード]は 一 人 の ハムレット に まわりの 人 たちを 問 いただす 者 になる 彼 は 裁 くつもりはない 彼 は 何 か 真 剣 なもの 緊 急 なものを 欲 する つまり 彼 は 自 分 とすべての 人 を 病 気 や 悪 し き 状 態 にしたのは 何 か 認 識 したいのだ (SLW. S.318.) 作 品 内 に 生 きるべきか 生 かざるべきか という 有 名 な 台 詞 は 引 用 され ないが シェークスピアのハムレットは 生 と 死 をめぐる 問 いを 抱 えてお り この 問 題 を 追 求 する 過 程 で 周 囲 の 人 々が 犠 牲 を 払 うことになる エ ドワード= 片 足 のハムレットもまた 何 か 真 剣 なもの 緊 急 なもの 彼 にとっての 真 理 を 求 めて 周 囲 の 人 間 たちを 混 乱 の 渦 に 巻 き 込 んでゆ く 3 誠 実 さ 片 足 のハムレット=エドワードは 自 分 が 片 足 を 失 った 理 由 を 求 め 41 (58)

そもそも 戦 争 が 始 まった 原 因 がどこにあるのかと 大 人 たちに 問 いただ す このとき 彼 はアイデンティティの 危 機 に 陥 っており ひとまず 自 分 の 根 源 17) である 両 親 を 理 解 しようとして 彼 らの 物 語 の 考 察 に 取 り 組 む エドワードは 両 親 の 物 語 を 考 察 する 際 に 誠 実 さ というキルケ ゴールの 思 想 に 拠 り 所 を 求 める キルケゴールは キリスト 教 的 な 寛 大 さ(Milde) や 厳 格 さ(Strenge) と 比 較 して 人 間 的 誠 実 さ (menschliche Redlichkeit) を 重 視 する エドワードは 皆 が 集 う 夕 べ に キルケゴールの 本 の 一 節 を 読 み 上 げ 既 存 の 価 値 観 に 縛 られず 自 ら 判 断 を 下 して 世 界 に 対 峙 する 態 度 が 誠 実 さ であると 考 える グリ ムの 辞 典 を 繙 くと 誠 実 さ(Redlichkeit) という 語 には 五 つの 意 味 1) 秩 序 規 則 性 合 法 性 2) 理 性 的 合 理 的 なこと 3) 適 当 であること 4) 人 間 の 倫 理 的 特 性 5) 話 す 語 る 能 力 が あり 一 般 に 四 番 目 の 意 味 で 用 いられることが 多 い エドワードもまた キルケゴールの 誠 実 さ を 四 番 目 の 人 間 の 倫 理 的 特 性 の 意 味 で 理 解 する それに 対 し キルケゴールは 認 識 と 誠 実 さを 求 める そして 彼 は 行 動 するために 認 識 しようとする 話 すことも 行 動 の 一 部 である 彼 は 現 存 在 を 知 り 少 なくとも 自 分 自 身 に 関 しては 行 動 でもって 現 存 在 に 介 入 しようとし 運 命 を 認 めない なぜならば 彼 は 自 分 の 良 心 によってそう 駆 り 立 てられていると 感 じるからだ (S.177) エドワードのキルケゴール 理 解 において 現 存 在 (Dasein) がキー ワードになる そこに 存 在 する(dasein) のは 世 界 であり 個 々の 人 間 であり 人 間 は 自 分 の 外 部 に 広 がる 世 界 と 自 分 自 身 を 認 識 し 認 識 した 事 柄 を 話 し 世 界 と 自 分 に 対 して 適 切 に 行 動 する そ の 際 自 分 の 現 存 在 が 運 命 に 左 右 されるとの 言 い 訳 を 許 さない この 態 度 が 誠 実 さ なのである エドワードは 誠 実 さ に 依 拠 して 両 親 の 現 実 逃 避 を 非 難 するが 彼 もこの 段 階 では 自 分 の 外 に 責 任 の 在 処 を 見 つけようとするだけである 18) しかしながら 彼 は 自 分 を 駆 り 立 てるのは 真 理 への 衝 動 (Wahrheitsdrang) ( S.282)であると 肯 定 的 に 考 え ファンタジー 溢 れ (59) 40

る 父 の 物 語 を 次 のように 批 判 する あの 物 語 には 愛 が 存 在 します それどころか ほとんど 愛 だけが 語 られます けれどもどのように 愛 の 宮 廷 がありました トルバ ドゥールは 職 業 的 に 愛 に 取 り 組 みました ただそこには 何 かが 欠 け ている 何 が 欠 けているのだい? と ロード クレンショーは 尋 ねた まさに 愛 です あなたはそれでも 愛 があると 言 うでしょう けれ ども 灰 色 の 騎 士 と 彼 の 厳 格 な 奥 方 の 物 語 には それから 灰 色 の 騎 士 の 言 葉 には そしてジャフィーと 小 さなレイの 物 語 にはまさに 愛 が 取 り 除 けられています 実 際 ここで 勝 利 するのは 慣 習 だ けです だが 彼 が 父 を 刺 激 し 挑 発 しようとして 質 問 した 瞬 間 に 次 の 問 い が 自 分 自 身 に 跳 ね 返 り 彼 は 刺 すような 痛 みを 感 じた では 僕 自 身 はどうなっている? 僕 のどこに 愛 がある? と そして 彼 は 知 っ ていた 僕 には 愛 がないと 彼 は 突 然 初 めてこのことを 知 った 彼 は 後 方 にもたれた 彼 は 今 ぼんやりと 父 の 返 事 を 聞 いていた それ ほどこの 発 見 は 恐 ろしいものだった (S.357f.) ロード クレンショーとは もともとゴードンの 作 品 の 主 人 公 の 名 前 で あり 友 人 たちがゴードンをこの 名 で 呼 んだため 現 在 では 彼 の 別 名 に なっており この 名 前 にも 現 実 と 虚 構 を 織 り 交 ぜるゴードンの 世 界 観 が 現 れている さて ゴードンの 物 語 では 吟 遊 詩 人 のジャフィーが 灰 色 の 騎 士 夫 妻 のもとに 誕 生 し 噂 に 聞 くトリポリの 王 女 に 憧 れて 男 装 の 少 女 レイを 連 れて 遍 歴 し 魔 女 と 化 した 王 女 から 命 からがら 逃 げ 出 して 最 終 的 にレイと 結 婚 する エドワードは 灰 色 の 騎 士 夫 妻 の 冷 え トルバドゥール 切 った 関 係 はもとより 職 業 として 愛 に 取 り 組 んだ だけの 吟 遊 詩 人 ミンネ の 恋 愛 も レイの 詩 人 への 献 身 にも 愛 がないと 指 摘 する それでは 婚 姻 関 係 にも ミンネという 美 的 活 動 にも 本 能 的 献 身 にも 欠 けている 愛 とは 何 なのか エドワードはゴードンの 語 る 愛 が 偽 物 だと 非 難 するつもりだったが そのとき 彼 はとりもなおさず 自 分 にも 愛 が ないと 悟 り この 発 見 を 恐 ろしい と 思 う それは 彼 が 自 分 も 父 同 様 に 愛 を 重 視 しており それにもかかわらず それまで 愛 とは 39 (60)

何 かを 考 えておらず 自 分 が 愛 をイメージすることさえできないと 気 付 いたためである そこで 愛 のイメージを 形 成 することがエド ワードの 次 の 課 題 となる エドワードが 愛 について 考 えをまとめるにあたり やはり 父 の 物 語 が 手 掛 かりになる 父 ゴードンは 皆 が 集 う 夕 べに 二 十 年 前 に 購 入 して 紛 失 し 最 近 になって 再 発 見 した 本 を 読 み 上 げる それは 新 プラトン 主 義 的 な 愛 を 歌 ったミケランジェロの 詩 であり エドワードの 妹 のキャ サリーンは これは 愛 の 歌 ではないと 異 議 を 唱 える それに 対 し ゴードンは ミケランジェロが 歌 うのは 男 女 二 つの 魂 の 一 致 互 いを 見 出 した 喜 び (S.364)としての 成 就 した 幸 せな 愛 ではなく キル ケゴールが 信 仰 (Glauben) と 言 い 表 したのと 同 じく 到 達 しえな いにせよ 愛 について 知 ること(Wissen um die Liebe) なのだと 説 明 する 新 プラトン 主 義 の 思 想 の 基 本 は 一 者 から ヌース( 魂 ) が 光 のように 流 出 し 世 界 を 作 り 人 間 は 一 者 への 愛 を 持 って 一 者 に 帰 還 することができる というものであり ミケラン ジェロは 被 造 物 として 創 作 活 動 に 献 身 してもなお 存 在 の 根 源 に 到 達 し えない 苦 しさを 歌 った そしてミケランジェロの 詩 を 読 み 上 げるゴード ンはこの 思 想 に 共 鳴 する 人 物 なのである ゴードンと 新 プラトン 主 義 の 連 関 は 彼 の 太 った 身 体 を 描 写 する (S.43f./51) 際 に 示 されていた プラトンは 人 間 の 魂 が 肉 体 すなわち 牢 獄 に 住 むと 教 え 人 間 の 魂 がこう 無 力 化 した 様 々な 理 由 を 挙 げる 事 情 はどうあれ クレン ショー アリスンの 場 合 幽 閉 が 劫 罰 が 見 られる 何 のためか 誰 による 劫 罰 か そう 滑 稽 な 脂 肪 が 彼 を 圧 倒 し まるでレプラが ぎこちなく 顔 をゆがめ こわばらせ 華 奢 で 陽 気 で 嘆 く 魂 の 持 ち 主 たちを 恐 ろしいライオンのファサードの 後 ろに 埋 めるような 作 用 を 彼 に 加 える (S.44) 語 り 手 は 宇 宙 霊 魂 が 分 派 して 森 羅 万 象 の 肉 体 に 宿 るというプラトンの 魂 論 を 簡 潔 に 紹 介 し ゴードンの 魂 が 脂 肪 と 肉 と 皮 膚 から 成 る 生 きた 山 ( S.43)に 囚 われていると 述 べる 伝 統 的 にレプラが 人 間 の 心 理 と 表 情 の 連 動 を 阻 害 し 病 気 にかかった 人 たちを ライオンのファサー (61) 38

ド のある 施 設 に 隔 離 したように ゴードンが 地 位 と 名 誉 を 手 に 入 れて も 満 たされないことは 不 健 康 に 太 った 身 体 に 現 れている 彼 がミケラン ジェロの 詩 を 二 十 年 前 つまりエドワードの 誕 生 と 同 時 に 入 手 してそ の 後 紛 失 したという 事 実 は 彼 の 魂 が 一 者 ないし 宇 宙 霊 魂 の 存 在 をその 間 失 念 していたことを 意 味 する そしてエドワードの 帰 還 と 共 に 長 年 探 していた 本 を 再 発 見 し 人 生 の 晩 節 に 脂 肪 を 脱 ぎ 捨 て 痩 せ た 姿 で 失 踪 した 妻 を 捜 し 出 す 経 緯 は ゴードンの 魂 が 忘 却 を 経 て 一 者 を 想 起 し 帰 還 する 過 程 と 重 なる それはプラトンや 新 プラトン 主 義 における 愛 を 男 女 二 つの 魂 の 一 致 互 いを 見 出 し た 喜 び として 実 現 することに 他 ならない エドワードは 父 の 愛 を 踏 まえ 自 らの 安 全 を 確 保 しつつ 遠 くか ら 戦 争 を 眺 めた 大 人 たちとは 異 なり 死 の 淵 から 生 還 した 人 物 として 生 と 死 を 念 頭 に 置 いた 愛 のイメージを 形 成 する これに 寄 与 するの は 母 アリスがプロセルピーナの 略 奪 を 主 題 にした 絵 画 を 見 ながら 語 る 物 語 である この 神 話 によると 冥 府 の 王 プルートがデメテルの 娘 プロ セルピーナに 一 目 惚 れし 拉 致 して 冥 界 の 女 王 にするが 母 デメテルの 願 いにより プロセルピーナは 一 年 の 半 分 を 地 上 で 過 ごすことになった 母 アリスは 自 分 をプロセルピーナに ゴードンをプルート/ハデスに 見 立 てて 自 らの 不 幸 な 結 婚 生 活 を 暗 示 しつつ 次 のように 語 る 彼 女 は 彼 のようになった ハデスが 彼 女 に 影 響 を 与 えた この 世 の 友 人 たちや 母 もまた 彼 女 が 帰 ってくると それに 気 づいた 彼 女 は 地 下 で 初 めて 我 に 返 ったとき 手 にザクロの 実 を 持 ってい た その 実 は 彼 女 が 手 を 伸 ばして 取 ったもので 彼 女 の 不 幸 を 意 味 していた 彼 女 は 手 の 中 の 実 を 王 冠 にとどめ 今 やそれを 女 王 としての 尊 厳 の 標 とした プルートはそれを 黙 認 し 喜 んだ 彼 は 彼 女 が 屈 服 して 自 分 の 運 命 を 肯 定 したと 考 えた だが 彼 女 がザク ロを 付 けたのは 非 難 するためであり 自 分 自 身 が 知 ってか 知 ら ずか 罪 を 犯 したことを 覚 えておくためだった 自 分 が 摘 んだあの ザクロに 手 を 伸 ばしたのは 自 分 のせいなのだから ゼウスが 嘲 笑 して 判 決 を 言 いわたしたのではなく 自 分 自 身 なのだ 彼 女 の 考 えはそう 変 わった (S.335f.) 37 (62)

豊 穣 の 女 神 プロセルピーナが 冠 に 付 けるザクロの 実 は 多 産 性 と 再 生 を 象 徴 する 彼 女 は 冥 界 の 食 物 を 口 にしたのは 自 分 のせいなのだか ら と 認 め 冥 界 の 女 王 として ヘカテ と 名 乗 る 一 方 で 冥 界 と 地 上 を 往 復 し 地 上 の 自 然 界 に 変 化 をもたらす 冥 界 と 地 上 の 両 方 に 居 場 所 を 持 つ 両 義 的 な 存 在 であるプロセルピーナが 現 状 に はい(Ja) と 言 い 責 任 を 負 う 姿 は エドワードの 見 本 になる プロセルピーナの 物 語 を 聴 く 時 点 での 彼 は 両 親 の 庇 護 下 にいて 大 人 たちを 責 め 立 てているが 彼 がいずれ 親 元 を 離 れた 後 いかなる 状 況 にあっても 現 状 を はい (Ja) と 肯 定 するときに 新 しい 人 生 が 始 まると 予 想 されるのである 4 新 しい 人 生 すべての 物 語 が 語 られた 後 父 は 友 人 の 家 に 避 難 し 母 はパリへ 出 奔 し 妹 は 婚 約 者 のところへ 行 き エドワードは 戦 死 した 友 人 ジョニーの 実 家 を 訪 問 する この 経 緯 は 数 々の 噓 の 長 き 夜 は 過 ぎた (S.428)と 記 されており アリソン 一 家 の 離 散 は 悲 壮 感 の 漂 うものではなく 各 人 が 誠 実 に 行 動 した 結 果 であるように 描 かれる エドワードはジョニーの 両 親 に 温 かく 迎 えられ 皆 でジョニーの 思 い 出 話 をする 彼 らが 涙 を 流 し 嘆 くことはますます 稀 になった 新 しい ジョニーが 彼 らの 部 屋 の 中 で 育 った 彼 らはやさしく 彼 を 世 話 した (S.486)とあり エドワードは 亡 き 友 の 思 い 出 を 語 る(reden) うち に ジョニーの 両 親 と 共 に 新 しいジョニー を 作 り 上 げ 言 説 を 通 し てジョニーを 蘇 らせる 19) それは 誠 実 さ の 五 番 目 の 意 味 語 る 能 力 に 相 当 し エドワードは 生 き 残 った 者 として 死 者 を 哀 悼 する 責 任 を 果 たし 意 図 せず 誠 実 さ を 実 行 することになった では エドワード がもともと 想 定 していた 誠 実 さ は アリソン 一 家 が 別 々の 道 を 歩 む ときに 携 えたあの 誠 実 さ は 何 だったのかという 新 たな 問 いが 芽 生 え てきて エドワードは 次 のように 考 える 何 かが 僕 らの 内 に あるいは 僕 らの 背 後 に 隠 れていて それが 僕 ら に 考 えさせ 僕 らを 指 揮 する この 古 い 驚 愕 が 僕 がもう 長 らく 記 憶 していないときから こんな 風 に 僕 の 内 に 潜 んでいて 僕 を 駆 り 立 てたのだ では 僕 はそこに 存 在 したのか? もちろん 責 任 はあ (63) 36

るのか? 僕 は 罪 があるのか? 僕 は 舞 台 上 の 俳 優 のように 自 分 では 知 らない 台 本 に 従 って 動 いたけれど 台 詞 と 動 きを 小 声 で 教 え てもらっていた ( 略 ) そして 母 さんもこんな 風 に 駆 り 立 てられたに 違 いない 彼 女 の 場 合 にも 暗 い 下 位 理 性 にして 超 理 性 が 父 さんの 場 合 も すべてが 反 発 しながら 進 んだ 母 は 父 に 対 抗 し 父 は 僕 に 対 抗 して それは 何 なのか なんという 暗 い 理 性 なのだろう? 理 性? いや それは 何 か 別 のものだ 僕 にはまだそれが 何 かわからない (S.487) エドワードは 自 分 が 誠 実 に 振 る 舞 っていると 思 っていたとき 実 は 自 らの 意 志 に 基 づいて 行 動 したのではなく 何 か に 指 示 されて 上 手 に 演 じていたに 過 ぎなかったと 気 づき ここでその 何 か をひと まず 理 性 (Vernunft) と 呼 ぶ 理 性 とは 聞 くこと(vernehmen) と 関 係 し エドワードは 自 分 が 何 か の 指 示 を 受 けて ハムレット の 役 を 演 じていたと 考 える 彼 は この 場 面 に 先 立 ち 僕 は 自 分 がハ ムレットであり 恐 ろしい 犯 罪 を 暴 き 犯 罪 者 を 罰 する 義 務 があると 思 い 込 んでいた (S.484)と 述 懐 するが ここで 言 う 犯 罪 も 犯 罪 者 もみな 何 か によってお 膳 立 てされたものであり 彼 が 周 囲 の 大 人 たちを 犯 罪 者 と 見 做 し 彼 らを 責 め 立 てた 間 もやはり 彼 は 何 か の 指 示 に 従 っていたのだった 上 記 引 用 箇 所 で 何 か は 下 位 理 性 (Untervernunft) や 超 理 性 (Übervernunft) とも 表 現 され 一 般 に 理 性 として 想 定 される 範 囲 の 上 下 に 広 がるものにして 人 間 の 内 部 にあり 人 間 を 行 動 へ 突 き 動 かす 原 動 力 とされる この 時 点 でエドワー ドは 僕 にはまだそれが 何 かわからない と 言 っているが 次 に 彼 が 登 場 するとき すなわち 彼 が 両 親 の 死 を 知 った 後 彼 は 思 想 上 の 混 乱 を 収 束 させ 未 来 を 見 据 えていることから 両 親 が 再 会 し 相 次 いで 死 ぬまで の 過 程 で 何 か は 輪 郭 づけられると 予 想 される ゴードンとアリス 夫 妻 の 晩 年 が 語 られる 数 章 において とりわけゴー ドンが 行 方 不 明 のアリスを 捜 し 出 そうと 決 意 を 固 めた 後 から ある 一 節 が 度 々 挿 入 されるのが 目 に 付 く それは 次 のようなものである 35 (64)

大 地 は 死 者 を 引 き 取 る 大 地 は 忠 実 だ それは 我 々を 待 ち 望 む 我 々はそれに 身 を 委 ねることができる それは 忠 実 で 我 々に 好 意 的 だ 大 地 があるのはなんてよいことか それはひとの 持 つ 物 を 微 笑 み 泣 くこと 踊 り 戦 争 闘 争 痙 攣 色 を 引 き 取 る すべてをぬぐ い 去 り 引 き 寄 せる 私 は 行 進 のリズムを 拍 を 太 鼓 の 連 打 を 聴 く それらは 互 いに 似 ている だが これらの 上 を ゆっくりと 荘 重 に 残 忍 に 長 く 長 く 引 き 延 ば された 旋 律 が 人 間 を 殺 し 飲 み 込 む 旋 律 が 張 り 巡 らされる その 旋 律 は 脳 に 刻 み 込 まれる それは 魂 を 抜 き 取 る それは 意 識 を 奪 う 噴 火 口 が 開 く それはわれわれを 飲 み 込 む 拍 連 打 行 進 (S.549) ここでは 人 間 の 様 々な 日 常 の 行 為 が 行 進 や 拍 や 太 鼓 の 連 打 として 描 かれる これら 別 々の 音 はすべて 似 通 っており さらにそれらを 統 括 す る 旋 律 があるという その 旋 律 は 大 地 の 働 きの 謂 いであり 大 地 は 人 間 を 生 みだし 人 間 のさまざまな 生 産 活 動 を 可 能 にして 時 期 を 経 ると 死 者 もろともすべてを 引 き 取 る 森 羅 万 象 は 各 々が 自 律 的 な 行 動 を 取 っ ていると 思 うときでも 大 地 の 旋 律 に 合 わせて 音 を 出 しており あるい は 一 見 するとバラバラな 音 がすべて 大 地 の 旋 律 に 吸 収 されており 気 付 かぬうちに 大 地 の 交 響 に 参 加 している この 大 地 の 歌 が 人 間 を 駆 り 立 てる 原 動 力 としての 何 か なのである ここで 他 のデーブリーン 作 品 における 類 似 例 を 参 照 して 大 地 の 歌 の 特 徴 を 浮 かび 上 がらせよう それは ベルリン アレキサンダー 広 場 における 刈 り 手 死 神 20) (Schnitter Tod) の 歌 であり デーブリーンはこちらの 作 品 に 生 と 21) 死 のコントラストを 歌 うバイエルン 地 方 の 伝 統 的 な 歌 をたびたび 断 片 的 に 引 用 し 死 の 絶 対 性 を 強 調 した それに 対 し ハムレット 小 説 における 大 地 の 歌 は 人 間 の 立 場 から 死 を 理 解 しようとするのではなく 生 と 死 を 大 地 を 軸 にして 上 下 で 繰 り 広 げられる 運 動 の 一 部 として 捉 え 大 地 の 旋 律 に 森 羅 万 象 が 音 を 乗 せ 全 体 として 壮 大 な 交 響 を 奏 でており デーブリーンの 死 生 観 および 宇 宙 観 を 表 現 するものになっている このように 何 か は 作 品 が 終 盤 に 近 づくにつれ 大 地 の 歌 として 表 舞 (65) 34

台 に 出 てくるが ハムレット 小 説 が 複 数 の 物 語 を 包 括 する 枠 構 造 で あることを 鑑 みると それは 本 論 で 取 り 上 げたいくつかの 物 語 にも 現 れ ていたと 判 明 する すなわち ゴードンの 思 想 において 魂 が 存 在 の 根 源 を 想 起 すること アリスの 物 語 ではプロセルピーナの 彼 岸 と 此 岸 の 往 復 運 動 被 造 物 の 立 場 から 見 れば 生 と 死 の 交 替 がそれに 相 当 する エドワードは 本 性 / 自 然 (Natur)が 僕 にハムレットを 演 じるよう 強 いた (S.443)と 言 ったとき 期 せずして 何 か を 自 然 すなわち 大 地 であると 言 い 当 てていたのである そして 彼 は 最 終 章 でコガネム シの 生 態 に 即 してこの 自 然 観 を 披 露 し 自 らを まだ 話 すことを 学 んで いない 胎 児 (S.572)にたとえて 今 後 の 展 望 を 話 す デーブリーンが 出 版 に 際 して 結 末 部 分 に 変 更 を 加 えたのがまさにこの 箇 所 であり 初 稿 では エドワードは 修 道 院 に 入 り いわゆる 観 想 的 生 活 (vita contemplativa) を 送 ることを 決 意 するが 完 成 稿 では 親 の 遺 産 を 放 棄 して 世 間 へ 入 り 自 立 した 生 活 をしようと 考 える 僕 は 天 を 称 える 僕 がまだたくさん 経 験 できることを この 途 方 もない 人 生 このたくさんのものが 僕 に 人 間 に 人 間 内 部 に 結 び ついている ついに 僕 はこれらに 気 づき その 一 部 として 加 わるん だ 教 師 が 言 った 君 は 自 分 の 故 郷 を 見 つけたのだね (S.573) 初 稿 における 観 想 的 生 活 と 比 べると 完 成 稿 でのエドワードの 決 意 は 活 動 的 生 活 (vita activa) の 選 択 と 言 える この 直 前 の 章 で 亡 く なった 母 からエドワードに 宛 てた 手 紙 が 披 露 されており 母 はそこで テオドラ の 物 語 (S.382 396)の 続 き(S.565 568)として 主 人 公 のテ オドラが 修 道 院 に 入 るという 結 末 を 語 っていた これを 踏 まえると エ ドワードが 活 動 的 生 活 を 選 んだことの 意 味 がより 明 らかになる も しも 彼 が 観 想 的 生 活 を 選 ぶのならば それはテオドラが 修 道 院 に 入 るのと 同 じことであり 彼 は 母 の 庇 護 の 下 に 留 まったままである だが 彼 は 母 が 遺 言 のように 息 子 に 指 し 示 した 道 を 拒 絶 し 片 足 を 失 った 障 碍 者 として 一 人 で 生 きてゆく 際 に 必 要 となるであろう 両 親 の 遺 産 さえ 放 棄 する 彼 が 選 ぶ 活 動 的 生 活 は 自 立 すること 子 供 の 状 態 を 卒 業 し 自 ら 編 み 出 した 経 験 と 表 現 と 認 識 の 形 式 を 通 して 経 験 33 (66)

を 積 むことなのである 教 師 である 伯 父 はそれを 故 郷 を 見 つけた と 表 現 する 片 足 のハムレット=エドワードが 未 成 年 の 状 態 を 脱 して 話 す 力 としての 誠 実 さ を 実 行 し 自 分 を 動 かす 力 が 大 地 である と 認 識 して この 自 然 の 運 動 に 参 加 しようと 決 意 し 自 分 と 世 界 に 対 し て 責 任 を 持 つとき 彼 は ヨーロッパという 限 定 から 解 き 放 たれて コスモス 宇 宙 に 故 郷 を 持 つ コスモポリタン になる そうしてはじめて 新 しい 人 生 が 始 まる (S.573) 注 1 ) Vgl. Gottfried Küenzlen: Der Neue Mensch. Eine Untersuchung zur säkularen Religionsgeschichte der Moderne. Frankfurt am Main. 1997, S.51 62. 2 ) Vgl. Küenzlen: a.a.o., S.139 152. 3 ) Vgl. Küenzlen: a.a.o., S.153 174. 4 ) Vgl. Alexandra Gerstner, Barbara Könczöl und Janina Nentwig (Hrsg.): Der Neue Mensch. Utopien, Leitbilder und Reformkonzepte zwischen den Weltkriegen. Frankfurt am Main. 2006, Eine Einleitung. S.VII. 5 ) Alfred Döblin: Hamlet oder Die lange Nacht nimmt ein Ende. München. 2000. 以 下 本 書 からの 引 用 はページ 数 のみを 記 す 6 ) ハムレット 小 説 は 全 五 巻 総 564 頁 から 成 り ここに トリポリ の 王 女 (S.45 113) モンマルトルの 母 (S.117 129) 指 輪 を 失 った 若 者 の 物 語 (S.144 152) ナウムブルクのドームにて (S.178 198) リ ア 王 の 物 語 (S.215 273) プルートとプロセルピーナ (S.312 337) ミ ケランジェロと 愛 (S.359 368) テオドラ (S.382 396/S.565 568)の 物 語 が 語 られ テオドラ の 後 半 部 を 除 いて すべて 一 三 巻 までに 収 められている 7 ) Vgl. Horst Steinmetz: Hamlet oder die lange Nacht der Intertextualität. In: Internationales Alfred-Döblin-Kolloquium: Leiden 1995. (Hrsg.) Gabriele Sander. Bern. 1997. S.237 246. 8 ) Vgl. Otto Keller: Diskurskritik in Alfred Döblins Roman Hamlet oder Die lange Nacht nimmt ein Ende oder das Problem der Montage. In: Internatonale Alfred-Döblin-Kolloquien: Marbach a. N. 1984. Berlin 1985. (Hrsg.) Werner Stauffacher. Bern. 1988. S.93f. 9 ) Vgl. Wolfgang Düsing: Döblins Hamlet oder die lange Nacht nimmt ein Ende und der Novellenroman der Moderne. In: Internationale Alfred- Döblin-Kolloquien: Münster 1989. Marbach a. N. 1991. (Hrsg.) Werner Stauffacher. Bern. 1993. S.271 282. (67) 32

10) 長 谷 川 純 : 語 りの 多 声 性 デーブリーンの 小 説 ハムレット をめぐっ て 鳥 影 社 2013 年 参 照 11) Alfred Döblin: Schriften zu Leben und Werk. Olten. 1986. S.318. 以 下 本 書 からの 引 用 は SLW と 記 す 12) 種 村 季 弘 : 畸 形 の 神 あるいは 魔 術 的 跛 者 青 土 社 2004 年 S.324. 参 照 13) 粂 田 文 : 世 界 史 に 憑 依 する 錯 乱 A デーブリン ハムレット あるい は 長 き 夜 は 終 わりて にみられる 主 体 化 のプロセスとヨーロッパ Lingua 16 2005 S.52f. 参 照 14) Vgl. Eva Horn: Versuchsanordnung Roman. Erzählung und Wissen vom Menschen in Alfred Döblins Berlin Alexanderplatz und Hamlet oder Die lange Nacht nimmt ein Ende. In: Internationales Alfred-Döblin-Kolloquium: Leipzig 1997. (Hrsg.) Gabriele Sander und Ira Lorf. Bern. 1999. S.128. エド ワードの 両 親 の 諍 いも 母 アリスは 夫 が 家 を 出 た 後 で 私 は 戦 いに 勝 った (S.426)と 二 度 考 えるように 戦 争 に 喩 えられる 15) Henrike Walter: Bewusstseins (ge-) schichten. Zur Bedeutung und Funktion der Erzählungen in Döblins Roman Hamlet oder Die lange Nacht nimmt ein Ende. In: Internationales Alfred-Döblin-Kolloquim: Emmendingen 2007. (Hrsg.) Sabina Becker und Robert Krause. Bern. 2008. S.103. 16) Vgl. Werner Stauffacher: Hamlet oder Die lange Nacht nimmt ein Ende. In: Zu Alfred Döblin. (Hrsg.) Ingrid Schuster. Stuttgart. 1980. S.179. 17) Horn: a.a.o., S.129. 18) エドワードが 自 己 反 省 に 至 らないことに 関 して 長 谷 川 : 前 掲 書 S.56. 参 照 19) ジョニーへの 哀 悼 に 関 して 以 下 に 詳 しい Helmut Kiesel: Literarische Trauerarbeit. Das Exil-und Spätwerk Alfred Döblins. Tübingen. 1986. S.489 505. 20) 死 と 名 乗 るは 刈 り 手 偉 大 な 神 の 力 を 持 つ 今 日 彼 は 刃 を 研 ぎ 刃 は ずっとよく 切 れるようになる まもなく 彼 は 刈 り 取 るだろう 我 々は 刃 を 受 けなければならない Vgl. Alfred Döblin: Berlin Alexanderplatz. Die Geschichte vom Franz Biberkopf. München. 2003. S.184. この 歌 は 頻 出 する (S.185/S.227f. /S.241/S.270/S.345/S.352/S.371/S.383/S.429/S.445/S.452) 21) Vgl. Berndt Tilp: Schnitter Tod: das Regensburger Volkslied Es ist ein Schnitter, der heißt Tod und seine Rezeption bei Clemens Brentano, Georg Büchner, Joseph von Eichendorff und Alfred Döblin. In: Literatur in Bayern: Vierteljahresschrift für Literatur, Literaturkritik und Literaturwissenschaft. 49. München 1997, S.12 29. Besonders S.23 25. 31 (68)