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一 被 害 者 又 はその 法 定 代 理 人 が 損 害 及 び 加 害 者 を 知 った 時 から3 年 間 行 使 しないとき 二 不 法 行 為 の 時 から20 年 間 行 使 しないとき ( 人 の 生 命 又 は 身 体 を 害 する 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 ) 第 724 条 の2 人 の 生 命 又 は 身 体 を 害 する 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 について の 前 条 第 1 号 の 規 定 の 適 用 については 同 号 中 3 年 間 とあるのは 5 年 間 とする 条 文 番 号 は 全 て 改 正 民 法 の 定 めによる 1 消 滅 時 効 制 度 改 正 の 意 義 まずは 消 滅 時 効 制 度 にかかわる 改 正 のうち 比 較 的 影 響 の 大 きいと 考 えられる 今 回 の 短 期 消 滅 時 効 制 度 の 廃 止 新 たな 消 滅 時 効 期 間 と 起 算 点 除 斥 期 間 の 廃 止 及 び 人 身 損 害 に 関 する 特 則 の 改 正 の 意 義 について 述 べる (1) 短 期 消 滅 時 効 制 度 の 廃 止 短 期 消 滅 時 効 を 細 分 化 して 定 める 合 理 性 に 乏 しく 実 務 的 にもどの 規 定 が 適 用 されるのか 不 明 確 というのが 改 正 の 趣 旨 である( 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 に 関 する 中 間 的 な 論 点 整 理 111 頁 等 を 参 照 ) 例 えば 物 の 売 買 で 発 生 する 売 掛 金 の 場 合 現 行 民 法 では 通 常 は 短 期 消 滅 時 効 制 度 により2 年 の 消 滅 時 効 にかかると 規 定 されているところ 改 正 法 施 行 後 は 時 効 期 間 とい う 点 でいえば 権 利 を 行 使 することができることを 知 った 時 ( 以 下 主 観 的 起 算 点 という ) から5 年 又 は 権 利 を 行 使 することができる 時 ( 以 下 客 観 的 起 算 点 という )から10 年 と 長 期 化 されることになる (2) 消 滅 時 効 期 間 と 起 算 点 の 見 直 し 改 正 民 法 の 消 滅 時 効 の 起 算 点 を 図 示 すると 以 下 のようになると 考 えられる 以 下 の 図 のCの 起 算 点 の 追 加 が 重 要 な 改 正 点 である 改 正 後 の 消 滅 時 効 の 起 算 点 のイメージ 図 A 債 権 の 発 生 B 債 権 を 行 使 す ることができる 時 C 債 権 を 行 使 する ことができるこ とを 知 った 時 10 年 5 年 本 改 正 の 背 景 として 以 下 の 点 が 指 摘 されている すなわち 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 を 廃 止 する 改 正 のみでは 現 行 法 の 下 でその 適 用 を 受 けている 債 権 については 権 利 を 行 使 すること ができる 時 から10 年 間 又 は5 年 間 の 時 効 期 間 が 適 用 されることとなり( 民 法 第 166 条 第 1 2

項 第 167 条 第 1 項 商 法 第 522 条 ) 時 効 期 間 が 著 しく 長 期 化 するという 懸 念 が 生 じるこ ととなった そこで 時 効 期 間 の 単 純 化 統 一 化 を 図 りつつ 長 期 化 への 懸 念 にも 対 応 するた めには 原 則 的 な 時 効 期 間 と 起 算 点 についてどのように 考 えるべきかが 課 題 となった( 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 に 関 する 中 間 試 案 の 補 足 説 明 68~69 頁 ) このような 課 題 について 検 討 した 結 果 上 記 のような 見 直 しとなった 理 由 としては 主 観 的 起 算 点 から5 年 とすることで 不 当 に 債 権 者 を 害 することもなく 極 端 に 時 効 期 間 が 長 期 化 す るという 弊 害 も 回 避 することができる 一 方 客 観 的 起 算 点 及 び10 年 とすることで いつまで も 消 滅 時 効 が 完 成 しないという 事 態 も 回 避 できる という 改 正 内 容 となったものである (3) 除 斥 期 間 の 廃 止 現 行 民 法 第 724 条 後 段 の 不 法 行 為 の 時 から20 年 という 期 間 制 限 に 関 して 中 断 や 停 止 の 認 められない 除 斥 期 間 であるとした 判 例 ( 最 判 平 成 元 年 12 月 21 日 民 集 43 巻 12 号 2209 頁 )とは 異 なり 同 条 後 段 も 同 条 前 段 と 同 様 に 時 効 期 間 についての 規 律 であることを 明 らかにす るものである 上 記 判 例 のような 立 場 に 対 して 被 害 者 救 済 の 観 点 から 問 題 があるとの 指 摘 があ り 停 止 に 関 する 規 定 の 法 意 を 援 用 して 被 害 者 の 救 済 を 図 った 判 例 ( 最 判 平 成 21 年 4 月 28 日 民 集 63 巻 4 号 853 頁 )も 現 れていることを 考 慮 したものである( 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 に 関 する 中 間 試 案 の 補 足 説 明 75~76 頁 ) (4) 人 身 損 害 の 特 則 改 正 民 法 724 条 の2をふまえて 不 法 行 為 と 債 務 不 履 行 の 特 則 の 消 滅 時 効 期 間 を 整 理 すると 以 下 のようになると 考 えられる これまで 不 法 行 為 と 債 務 不 履 行 の 相 違 点 の 一 つとして 債 務 不 履 行 の 消 滅 時 効 期 間 が 不 法 行 為 と 比 較 して 長 いという 点 が 挙 げられてきたが 今 後 は 当 該 相 違 点 は 非 人 身 損 害 のみに 限 られることになることに 留 意 が 必 要 である 改 正 民 法 の 消 滅 時 効 期 間 の 整 理 不 法 行 為 債 務 不 履 行 人 身 損 害 民 法 724 条 の2を 適 用 主 観 的 起 算 点 +5 年 客 観 的 起 算 点 +20 年 現 行 法 より 主 観 的 起 算 点 では 時 効 期 間 が 長 期 化 民 法 166 条 を 適 用 主 観 的 起 算 点 +5 年 客 観 的 起 算 点 +20 年 現 行 法 より 主 観 的 起 算 点 では 時 効 期 間 が 短 期 化 し 客 観 的 起 算 点 では 時 効 期 間 が 長 期 化 したといえる 非 人 身 損 害 民 法 724 条 を 適 用 主 観 的 起 算 点 +3 年 客 観 的 起 算 点 +20 年 民 法 166 条 を 適 用 主 観 的 起 算 点 +5 年 客 観 的 起 算 点 +10 年 3

現 行 法 より 主 観 的 起 算 点 では 時 効 期 間 が 短 期 化 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 について 被 害 者 を 特 に 保 護 する 必 要 性 が 高 いこと から 債 権 の 消 滅 時 効 における 原 則 的 な 時 効 期 間 よりも 長 期 の 時 効 期 間 を 設 けるとするもので ある( 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 に 関 する 中 間 試 案 の 補 足 説 明 76~78 頁 ) 2 消 滅 時 効 制 度 の 改 正 が 及 ぼす 影 響 次 に1で 述 べた 改 正 が 取 引 実 務 に 及 ぼす 影 響 について 検 討 する (1) 消 滅 時 効 期 間 及 び 起 算 点 の 改 正 のデメリット ア 消 滅 時 効 期 間 及 び 起 算 点 の 改 正 のデメリットとこれに 対 する 考 察 まず 消 滅 時 効 期 間 及 び 起 算 点 の 改 正 が 取 引 実 務 に 及 ぼす 影 響 を 考 察 する 上 で 法 制 審 議 会 における 消 滅 時 効 期 間 及 び 起 算 点 の 改 正 に 関 する 議 論 が 参 考 となるので 紹 介 する( 以 下 は 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 74 回 会 議 部 会 資 料 63 5 頁 の 引 用 である ) 1 主 観 的 起 算 点 の 導 入 により 起 算 点 をめぐる 紛 争 が 増 加 時 効 期 間 の 満 了 時 期 が 不 明 確 となり 時 効 の 管 理 が 困 難 となるなどの 懸 念 が 指 摘 されている また 2 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 が 適 用 されていない 債 権 のうち 契 約 に 基 づく 一 般 的 な 債 権 とは 異 なる 配 慮 を 要 する 不 当 利 得 返 還 請 求 権 や 安 全 配 慮 義 務 違 反 に 基 づく 損 害 賠 償 請 求 権 などの 債 権 について 実 質 的 に 時 効 期 間 が 短 期 化 し その 債 権 者 にとって 不 利 益 となることや 3 主 観 的 起 算 点 の 導 入 により 権 利 を 行 使 することができる 時 から という 起 算 点 の 解 釈 が 現 行 法 上 の 解 釈 よりも 客 観 化 し 柔 軟 な 解 釈 がされなくなるおそれがあることなどの 問 題 点 も 指 摘 されている もっとも 上 記 1のような 懸 念 は 一 般 的 に 妥 当 するのではなく 不 当 利 得 返 還 請 求 権 や 安 全 配 慮 義 務 違 反 に 基 づく 損 害 賠 償 請 求 権 など 債 権 の 発 生 に 際 して 債 権 者 が 債 権 発 生 の 原 因 及 び 債 務 者 を 認 識 していない 可 能 性 がある 債 権 に 限 られる 他 方 そうであるならば 全 ての 債 権 を 対 象 とする 原 則 的 な 規 律 として 主 観 的 起 算 点 を 導 入 することが 合 理 的 といえるのかについ ても 検 討 の 必 要 性 があるとも 考 えられる また 上 記 2の 指 摘 に 対 しては 短 期 の 時 効 期 間 については 債 権 者 が 債 権 発 生 の 原 因 及 び 債 務 者 を 知 った 時 という 債 権 者 の 認 識 を 考 慮 した 起 算 点 を 導 入 しており 債 権 者 が 債 権 の 存 在 を 認 識 していない 場 合 には 現 状 と 同 様 に 権 利 を 行 使 することができる 時 から10 年 間 の 時 効 期 間 が 適 用 されるのであるから 権 利 行 使 の 機 会 は 十 分 に 確 保 されているとの 反 論 が 考 えられる 上 記 3の 指 摘 に 対 しては 権 利 を 行 使 することができる 時 という 起 算 点 の 解 釈 につき 現 実 的 な 権 利 行 使 の 期 待 可 能 性 を 考 慮 する 判 例 の 事 案 はやや 特 殊 なものであることから 債 権 者 が 債 権 発 生 の 原 因 及 び 債 務 者 を 知 った 時 という 起 算 点 からの 時 効 期 間 を 併 用 したとしても 必 ずしも 権 利 を 行 使 することができる 時 の 解 釈 に 影 響 が 及 ぶわけではないとの 反 論 が 考 え 4

られる イ 取 引 実 務 に 及 ぼす 影 響 への 示 唆 このような 議 論 をふまえると 企 業 が 通 常 の 取 引 を 行 う 中 で 発 生 した 債 権 については 債 権 者 が 権 利 を 行 使 することができることを 知 った 時 が 債 権 者 にとっても 債 務 者 にとっても 明 ら かであるため 主 観 的 起 算 点 の 導 入 は 時 効 の 起 算 点 が 不 明 確 になるなどの 紛 争 を 引 き 起 こす 可 能 性 は 低 いということが 指 摘 できる (2) 人 損 と 物 損 で 時 効 期 間 が 異 なること 改 正 民 法 724 条 の2を 前 提 とすると 不 法 行 為 に 基 づいて 人 身 損 害 と 非 人 身 損 害 の 賠 償 を 請 求 した 場 合 消 滅 時 効 の 期 間 が 異 なることになる 点 に 留 意 が 必 要 である( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 79 回 会 議 議 事 録 20 頁 合 田 関 係 官 の 発 言 ) (3) 権 利 を 行 使 することができることを 知 った 時 の 意 義 ア 権 利 を 行 使 することができることを 知 った 時 の 一 般 論 権 利 を 行 使 することができることを 知 った 時 とは 具 体 的 に どのような 場 合 を 指 すか も 重 要 な 問 題 であるが この 点 は 民 法 724 条 前 段 の 損 害 及 び 加 害 者 を 知 った 時 の 解 釈 が 参 考 になると 考 えられ この 解 釈 もふまえると 債 権 者 が 当 該 債 権 の 発 生 と 履 行 期 の 到 来 を 現 実 に 認 識 した 時 をいうと 考 えられる( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 88 回 会 議 部 会 資 料 78A 6~11 頁 ) そこで 幾 つかの 例 で 消 滅 時 効 の 起 算 点 がどのようになるかを 考 察 することとしたい イ 確 定 期 限 の 定 めのある 債 権 企 業 取 引 で 発 生 する 売 掛 金 であれ 貸 付 金 であれ 通 常 は 弁 済 期 を 確 定 期 限 として 定 め ていることが 多 いと 思 われる そこで 確 定 期 限 の 定 めのある 債 権 について 検 討 すると 債 権 者 が 債 権 の 発 生 時 に 確 定 期 限 が 到 来 すれば 権 利 行 使 ができることを 認 識 しているのが 通 常 であり 確 定 期 限 の 到 来 によって 現 実 的 な 権 利 行 使 が 可 能 になることから 主 観 的 起 算 点 は 期 限 の 到 来 時 となり 客 観 的 起 算 点 と 一 致 することになると 考 えられる( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 88 回 会 議 部 会 資 料 78A 6~11 頁 ) ただし 期 限 の 利 益 喪 失 事 由 として 債 務 者 が 失 踪 した 時 債 務 者 が 事 業 譲 渡 をした 時 な ど 債 権 者 として 当 然 に 当 該 事 由 の 発 生 を 認 識 できるとは 限 らない 事 由 を 当 然 喪 失 事 由 とし て 定 めたような 場 合 には 客 観 的 に 権 利 行 使 が 可 能 となる 時 と 消 滅 時 効 の 起 算 点 が 異 なる 可 能 性 があることに 注 意 が 必 要 である ウ 契 約 に 基 づく 主 たる 債 務 の 不 履 行 による 損 害 賠 償 請 求 権 次 に 売 買 契 約 で 定 めた 買 主 による 目 的 物 の 引 き 渡 し 債 務 に 代 表 されるような 契 約 上 の 主 たる 債 務 の 履 行 不 能 履 行 遅 滞 を 理 由 とした 損 害 賠 償 請 求 権 に 関 する 主 観 的 起 算 点 は 本 来 の 債 務 の 履 行 を 請 求 することができることを 知 った 時 になると 考 えられる( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 88 回 会 議 部 会 資 料 78A 6~11 頁 ) 5

エ その 他 その 他 企 業 取 引 の 過 程 では 安 全 配 慮 義 務 違 反 等 の 契 約 上 付 随 的 とされる 義 務 の 違 反 や 不 法 行 為 等 に 基 づく 損 害 賠 償 責 任 が 問 題 となる 可 能 性 がある この 点 は 個 別 の 事 案 毎 の 慎 重 な 検 討 が 必 要 となるため 一 般 論 が 述 べづらいものの 単 に 損 害 の 発 生 という 事 実 を 知 った のみでは 一 般 人 にとって それが 安 全 配 慮 義 務 に 違 反 し 債 務 不 履 行 に 該 当 するかどう か 不 法 行 為 に 該 当 するかどうかの 判 断 が 困 難 な 場 合 もあり 得 ることから 主 観 的 起 算 点 は これらの 判 断 が 可 能 な 程 度 に 事 実 を 知 ったといえるか 当 該 事 案 における 債 権 者 の 具 体 的 な 権 利 行 使 の 可 能 性 を 考 慮 して 判 断 されるものと 考 えられる( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 88 回 会 議 部 会 資 料 78A 6~11 頁 ) (4) 人 身 損 害 の 特 則 について 債 務 不 履 行 の 場 合 時 効 期 間 が 現 状 よりも 短 期 化 することとなるが 権 利 を 行 使 することが できることを 知 った 時 について 現 実 的 な 権 利 行 使 の 可 能 性 を 考 慮 した 柔 軟 な 解 釈 がなされ る 場 合 には 被 害 者 の 保 護 には 反 しないこととなる いずれにしても 改 正 後 の 裁 判 所 の 解 釈 に 注 意 する 必 要 がある 3 改 正 後 の 消 滅 時 効 制 度 に 伴 って 検 討 が 必 要 な 事 項 1および2で 述 べた 消 滅 時 効 制 度 の 改 正 に 伴 って 検 討 が 必 要 となる 事 項 について 述 べること とする (1) 各 企 業 において 消 滅 時 効 を 管 理 するためのシステムやマニュアルを 作 成 している 場 合 に は 上 記 の 改 正 に 伴 って 見 直 しが 必 要 と 考 えられる 特 に 債 権 の 発 生 日 1 法 律 行 為 の 日 2 権 利 行 使 が 可 能 となった 日 3 及 び 権 利 行 使 が 可 能 となったことを 知 った 日 4 を 管 理 しておくことが 後 述 (5 項 )の 経 過 規 定 とも 相 俟 って 重 要 になると 考 えられる (2) 債 務 不 履 行 ( 安 全 配 慮 義 務 事 案 等 ) 不 法 行 為 類 型 等 では 主 観 的 起 算 点 がいつになるかが 争 いになる 可 能 性 があるため 当 事 者 でやり 取 りしたメール 打 合 せの 議 事 録 連 絡 文 書 など を 保 存 しておくことが 必 要 と 考 えられる 4 他 の 法 律 の 改 正 次 に 民 法 の 消 滅 時 効 の 改 正 が 民 法 以 外 の 法 律 についてどのような 影 響 を 及 ぼすのかについて 述 べる (1) 商 法 522 条 の 商 事 消 滅 時 効 は 廃 止 されることとなった これは 商 法 522 条 について もその 適 用 を 受 ける 債 権 と 受 けない 債 権 との 差 異 を 合 理 的 に 説 明 することが 困 難 な 事 案 が 生 じているためである( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 88 回 会 議 部 会 資 料 78A 12 頁 ) 1 債 権 の 発 生 日 が 施 行 日 前 であれば 時 効 に 関 し 改 正 前 民 法 が 適 用 される 2 債 権 発 生 の 原 因 である 法 律 行 為 の 日 が 施 行 日 前 であれば 時 効 に 関 し 改 正 前 民 法 が 適 用 される 3 改 正 前 民 法 における 時 効 の 起 算 点 改 正 民 法 における 時 効 の 客 観 的 起 算 点 ( 時 効 期 間 10 年 )となる 4 改 正 民 法 における 時 効 の 主 観 的 起 算 点 ( 時 効 期 間 5 年 )となる 6

(2)その 他 の 関 連 法 令 の 消 滅 時 効 の 起 算 点 について 主 観 的 起 算 点 の 導 入 は 見 送 りとなってい る (3) 他 の 法 律 で 時 効 期 間 に 関 する 実 質 的 な 改 正 がなされているものの 詳 細 は 整 備 法 を 参 照 す る 必 要 があるが 代 表 的 なものとして 製 造 物 責 任 法 を 紹 介 する 従 前 は 製 造 業 者 等 が 当 該 製 造 物 を 引 き 渡 した 時 から10 年 を 経 過 したときの 効 果 は 除 斥 期 間 と 解 されていたところ を 消 滅 時 効 とし 人 身 損 害 の 場 合 の 消 滅 時 効 の 期 間 を5 年 にそれぞれ 改 めるもので 民 法 の 消 滅 時 効 制 度 の 改 正 と 平 仄 を 合 わせるものである 製 造 物 責 任 法 ( 消 滅 時 効 ) 第 5 条 第 3 条 に 規 定 する 損 害 賠 償 の 請 求 権 は 次 に 掲 げる 場 合 には 時 効 によって 消 滅 する 一 被 害 者 又 はその 法 定 代 理 人 が 損 害 及 び 賠 償 義 務 者 を 知 った 時 から3 年 間 行 使 しないとき 二 その 製 造 業 者 等 が 当 該 製 造 物 を 引 き 渡 した 時 から10 年 を 経 過 したとき 2 人 の 生 命 又 は 身 体 を 侵 害 した 場 合 における 損 害 賠 償 の 請 求 権 の 消 滅 時 効 についての 前 項 第 1 号 の 規 定 の 適 用 については 同 号 中 3 年 間 とあるのは 5 年 間 とする 3 第 1 項 第 2 号 の 期 間 は 身 体 に 蓄 積 した 場 合 に 人 の 健 康 を 害 することとなる 物 質 による 損 害 又 は 一 定 の 潜 伏 期 間 が 経 過 した 後 に 症 状 が 現 れる 損 害 については その 損 害 が 生 じた 時 から 起 算 する 5 経 過 規 定 の 問 題 最 後 に 消 滅 時 効 の 経 過 規 定 の 定 めと それに 関 連 して 生 じる 問 題 について 検 討 する 改 正 民 法 附 則 の 内 容 以 下 は 民 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 の 附 則 である ( 時 効 に 関 する 経 過 措 置 ) 第 10 条 施 行 日 前 に 債 権 が 生 じた 場 合 ( 施 行 日 以 後 に 債 権 が 生 じた 場 合 であって その 原 因 である 法 律 行 為 が 施 行 日 前 にされたときを 含 む 以 下 同 じ )におけるその 債 権 の 消 滅 時 効 の 援 用 については 新 法 第 145 条 の 規 定 にかかわらず なお 従 前 の 例 による 2 施 行 日 前 に 旧 法 第 147 条 に 規 定 する 時 効 の 中 断 の 事 由 又 は 旧 法 第 158 条 から 第 161 条 までに 規 定 する 時 効 の 停 止 の 事 由 が 生 じた 場 合 におけるこれらの 事 由 の 効 力 については なお 従 前 の 例 による 3 新 法 第 151 条 の 規 定 は 施 行 日 前 に 権 利 についての 協 議 を 行 う 旨 の 合 意 が 書 面 でされた 場 合 (その 合 意 の 内 容 を 記 録 した 電 磁 的 記 録 ( 新 法 第 151 条 第 4 項 に 規 定 する 電 磁 的 記 録 をいう 附 則 第 33 条 第 2 項 において 同 じ )によってされた 場 合 を 含 む )におけるその 合 意 については 適 用 しない 4 施 行 日 前 に 債 権 が 生 じた 場 合 におけるその 債 権 の 消 滅 時 効 の 期 間 については なお 従 前 の 例 に 7

よる ( 不 法 行 為 等 に 関 する 経 過 措 置 ) 第 35 条 旧 法 第 724 条 後 段 ( 旧 法 第 934 条 第 3 項 ( 旧 法 第 936 条 第 3 項 第 947 条 第 3 項 第 950 条 第 2 項 及 び 第 957 条 第 2 項 において 準 用 する 場 合 を 含 む )において 準 用 する 場 合 を 含 む )に 規 定 する 期 間 がこの 法 律 の 施 行 の 際 既 に 経 過 していた 場 合 におけるその 期 間 の 制 限 につい ては なお 従 前 の 例 による 2 新 法 第 724 条 の2の 規 定 は 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 旧 法 第 724 条 前 段 に 規 定 す る 時 効 がこの 法 律 の 施 行 の 際 既 に 完 成 していた 場 合 については 適 用 しない (1) 消 滅 時 効 の 期 間 及 び 起 算 点 に 関 する 規 定 について ア 原 則 としての 債 権 の 発 生 と 施 行 日 の 比 較 改 正 民 法 の 時 効 に 関 する 規 定 のうち 消 滅 時 効 の 期 間 及 び 起 算 点 に 関 する 規 定 について は 基 本 的 には 施 行 日 以 後 に 債 権 が 生 じた 場 合 について 適 用 し 施 行 日 前 に 債 権 が 生 じ た 場 合 についてはなお 従 前 の 例 によることとしている 施 行 日 前 に 債 権 が 生 じた 場 合 について 改 正 民 法 の 規 定 を 適 用 すると 当 事 者 ( 債 権 者 及 び 債 務 者 )の 予 測 可 能 性 を 害 し 多 数 の 債 権 を 有 する 債 権 者 にとって 債 権 管 理 上 の 支 障 を 生 ずるおそれもあること 等 によるものである( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 97 回 会 議 部 会 資 料 85 1~2 頁 ) イ 例 外 としての 不 法 行 為 に 関 する 消 滅 時 効 もっとも 不 法 行 為 に 関 しては 施 行 日 前 に 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 が 生 じた 場 合 であっても 施 行 日 においてその 損 害 賠 償 請 求 権 に 関 する 現 行 民 法 第 724 条 後 段 の20 年 の 期 間 が 経 過 していないときは 改 正 民 法 の 規 定 (20 年 の 期 間 制 限 が 消 滅 時 効 である 旨 を 明 示 する 規 定 )を 適 用 することとしている また 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 に 関 しても 施 行 日 前 に 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 が 生 じた 場 合 であっても 施 行 日 においてその 損 害 賠 償 請 求 権 に 関 する 現 行 民 法 第 724 条 前 段 の3 年 の 期 間 が 経 過 していないときは 改 正 民 法 の 規 定 (3 年 の 期 間 を5 年 に 改 める 規 定 )を 適 用 することとしている これらの 経 過 措 置 は 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 が 契 約 関 係 にない 者 による 権 利 又 は 利 益 の 違 法 な 侵 害 によって 生 ずる 債 権 であるというその 債 権 の 特 殊 性 を 考 慮 したもので あり 不 法 行 為 の 加 害 者 としては 施 行 日 前 に 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 債 務 が 生 じた 場 合 についてはその 時 点 において 通 用 している 法 令 の 規 定 ( 現 行 民 法 第 724 条 )が 適 用 され ると 考 えるのが 通 常 であるが そのような 期 待 は 一 般 の 債 権 ほどに 保 護 の 必 要 性 が 高 いと はいえず 不 法 行 為 の 被 害 者 の 保 護 を 優 先 させる 必 要 があることを 根 拠 とする ただし 施 行 日 前 に 現 行 民 法 第 724 条 の 期 間 が 既 に 経 過 している 場 合 についてまで 改 正 民 法 の 規 定 を 適 用 すると 法 律 関 係 の 安 定 を 著 しく 害 する 結 果 となることから 施 行 日 において 現 8

行 民 法 第 724 条 の 期 間 が 経 過 していない 場 合 に 限 って 適 用 するのが 合 理 的 であると 考 え られること 等 によるものである( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 97 回 会 議 部 会 資 料 85 1~2 頁 ) 以 上 の 点 を 図 示 すると 以 下 のようになる 不 法 行 為 を 除 く 消 滅 時 効 の 適 用 に 関 するイメージ 図 債 権 の 発 生 ( ) = 現 行 法 の 消 滅 時 効 が 適 用 改 正 民 法 の 施 行 日 債 権 の 発 生 = 改 正 民 法 の 消 滅 時 効 が 適 用 施 行 日 以 後 に 債 権 が 生 じた 場 合 であって その 原 因 である 法 律 行 為 が 施 行 日 前 にされ たときを 含 む 不 法 行 為 に 関 する 消 滅 時 効 の 適 用 に 関 するイメージ 図 時 効 期 間 の 経 過 = 現 行 法 の 消 滅 時 効 が 適 用 改 正 民 法 の 施 行 日 時 効 期 間 の 経 過 未 了 = 改 正 民 法 の 消 滅 時 効 が 適 用 (2) 幾 つかの 事 例 を 前 提 にした 検 討 以 上 の 附 則 の 定 めを 前 提 として 幾 つかのケースについて 私 見 を 述 べることとしたい ア 基 本 契 約 と 個 別 契 約 が 別 々の 契 約 の 場 合 等 基 本 契 約 が 施 行 日 前 個 別 契 約 が 施 行 日 後 の 場 合 は 債 権 は 個 別 契 約 に 基 づいて 発 生 す るため 消 滅 時 効 は 新 法 が 適 用 されると 解 釈 されるのではないか 施 行 日 前 の 契 約 を 施 行 日 後 に 覚 書 等 で 修 正 した 場 合 でも 債 権 自 体 の 発 生 原 因 は 施 行 日 前 の 契 約 である 以 上 現 行 法 が 適 用 されると 解 釈 されるのではないか イ 施 行 日 前 の 停 止 条 件 付 き 法 律 行 為 の 場 合 施 行 日 前 の 停 止 条 件 付 き 法 律 行 為 に 基 づき 債 権 が 施 行 日 後 に 発 生 した 場 合 には 現 行 法 が 適 用 されると 解 釈 されるのではないか 9

ウ いわゆる 過 払 金 の 場 合 過 払 い 金 返 還 請 求 権 ( 不 当 利 得 返 還 請 求 権 )の 発 生 原 因 である 弁 済 5 が 施 行 日 前 にな されている 場 合 は 現 行 法 が 適 用 されると 解 釈 されるのではないか 弁 済 が 施 行 日 後 になされている 場 合 は 債 権 の 発 生 原 因 が 施 行 日 後 に 生 じている 以 上 改 正 民 法 を 適 用 するという 考 え 方 と 金 銭 消 費 貸 借 契 約 が 施 行 日 前 に 締 結 されている 場 合 には 原 因 である 法 律 行 為 ( 金 銭 消 費 貸 借 契 約 )が 施 行 日 前 になされたもの 又 はそれに 準 ずるものとして 現 行 法 を 適 用 するという 考 え 方 がありうる 前 者 の 場 合 には 施 行 日 後 の 弁 済 により 発 生 した 過 払 金 の 消 滅 時 効 は 現 行 法 より 時 効 期 間 が 短 縮 化 されることに 注 意 が 必 要 である エ 施 行 日 後 に 準 消 費 貸 借 契 約 を 締 結 した 場 合 施 行 日 前 の 契 約 に 基 づいて 発 生 した 債 権 について 準 消 費 貸 借 契 約 を 締 結 した 場 合 あ くまで 施 行 日 後 の 準 消 費 貸 借 契 約 に 基 づく 貸 付 金 が 発 生 すると 解 される 以 上 改 正 民 法 が 適 用 されると 解 釈 されるのではないか 5 最 一 小 判 平 成 21 年 1 月 22 日 民 集 63 巻 1 号 247 頁 は 過 払 金 充 当 合 意 を 履 行 期 に 関 する 合 意 又 は 権 利 行 使 の 停 止 条 件 的 なものと 捉 えており 過 払 金 自 体 は 弁 済 時 から 発 生 するという 理 解 を 前 提 にしていると 考 え られる 10

著 者 略 歴 弁 護 士 平 岡 弘 次 平 成 5 年 3 月 早 稲 田 大 学 法 学 部 卒 業 ( 奥 島 孝 康 ゼミ( 会 社 法 ) 所 属 ) 平 成 9 年 4 月 司 法 研 修 所 入 所 ( 司 法 修 習 期 :51 期 ) 平 成 11 年 4 月 若 林 法 律 事 務 所 入 所 ( 第 一 東 京 弁 護 士 会 入 会 ) 平 成 15 年 4 月 一 番 町 綜 合 法 律 事 務 所 入 所 平 成 17 年 12 月 日 本 債 権 回 収 株 式 会 社 入 社 平 成 21 年 4 月 弁 護 士 法 人 ほくと 総 合 法 律 事 務 所 にパートナーとして 参 画 主 要 取 扱 業 務 法 令 等 遵 守 (コンプライアンス) 関 連 業 務 商 取 引 法 務 契 約 法 務 債 権 保 全 及 び 回 収 その 他 企 業 法 務 全 般 市 民 法 務 全 般 弁 護 士 井 田 大 輔 平 成 17 年 3 月 立 教 大 学 法 学 部 卒 業 平 成 19 年 3 月 中 央 大 学 法 科 大 学 院 修 了 平 成 19 年 11 月 司 法 研 修 所 入 所 ( 司 法 修 習 期 : 新 61 期 ) 平 成 21 年 1 月 さいたま 地 方 裁 判 所 判 事 補 平 成 22 年 3 月 判 事 補 退 官 平 成 22 年 11 月 第 一 中 央 法 律 事 務 所 入 所 ( 第 二 東 京 弁 護 士 会 ) 平 成 26 年 11 月 弁 護 士 法 人 ほくと 総 合 法 律 事 務 所 入 所 主 要 取 扱 業 務 民 事 訴 訟 倒 産 事 業 再 生 分 野 企 業 法 務 全 般 市 民 法 務 全 般 掲 載 日 :2015 年 11 月 12 日 11