職 務 発 明 制 度 とその 活 用 平 成 27 年 12 月 8 日 弁 理 士 弁 護 士 加 藤 光 宏 自 己 紹 介 略 歴 昭 和 63 年 3 月 京 都 大 学 工 学 部 航 空 工 学 科 卒 業 昭 和 63 年 4 月 川 崎 重 工 業 株 式 会 社 航 空 宇 宙 事 業 本 部 平 成 9 年 1 月 弁 理 士 登 録 平 成 16 年 4 月 名 古 屋 大 学 法 科 大 学 院 入 学 平 成 21 年 12 月 弁 護 士 登 録 弁 理 士 再 登 録 特 許 法 律 事 務 所 源 開 設 平 成 23 年 12 月 特 許 法 律 事 務 所 樹 樹 開 設 役 職 等 日 本 弁 理 士 会 東 海 支 部 知 的 財 産 制 度 推 進 委 員 会 委 員 長 (2014 年 ) 東 南 アジア 委 員 会 副 委 員 長 (2014 年 ) 知 的 財 産 支 援 委 員 会 副 委 員 長 (2015 年 ) 副 支 部 長 (2016 年 ) 愛 知 県 弁 護 士 会 情 報 問 題 対 策 委 員 会 副 委 員 長
職 務 発 明 制 度 の 概 要 発 明 について 使 用 者 と 従 業 者 の 利 害 関 係 を 調 整 ( 特 35 条 ) 会 社 の 投 資 で 生 まれた 発 明 は 会 社 のものだ 対 立 発 明 は 個 人 の 能 力 努 力 によって 成 し 遂 げられているのだから 私 のも のだ 使 用 者 無 償 の 通 常 実 施 権 調 整 特 許 を 受 ける 権 利 or 特 許 権 発 明 者 権 利 譲 渡 または 原 始 帰 属 相 当 の 利 益 職 務 発 明 会 社 の 業 務 範 囲 に 属 する 発 明 & 従 業 者 の 現 在 又 は 過 去 の 職 務 によってなされた 発 明 ( 特 35 条 1 項 ) 平 成 15 年 4 月 22 日 最 高 裁 判 決 事 件 の 概 要 オリンパス 事 件 従 業 員 CDの 光 ピックアップ 装 置 を 発 明 ( 職 務 発 明 ) 発 明 考 案 取 扱 規 定 に 基 づき 特 許 を 受 ける 権 利 を 譲 渡 会 社 (オリンパス) 出 願 補 償 3000 円 登 録 補 償 8000 円 収 入 時 補 償 20 万 円 不 足 分 の 支 払 を 請 求 特 許 権 取 得 他 社 からロイヤル ティ 収 入 あり 141 億 5900 万 判 決 従 業 員 に 対 して228 万 9000 円 の 支 払 いを 命 じた 勤 務 規 則 等 においては 対 価 の 額 支 払 時 期 等 を 定 めても 良 い しかし いまだ 職 務 発 明 がされておらず 承 継 されるべき 特 許 を 受 ける 権 利 等 の 内 容 や 価 値 が 具 体 化 する 前 に あらかじめ 対 価 の 額 を 確 定 的 に 定 めることができないことは 明 らか 従 って 定 められた 対 価 が 相 当 の 対 価 に 満 たないときは 不 足 分 の 支 払 いを 求 めることができる
青 色 LED 事 件 平 成 14 年 9 月 19 日 東 京 地 裁 判 決 会 社 に200 億 円 の 支 払 いを 命 じる 平 成 17 年 1 月 東 京 高 裁 6 億 0857 万 円 で 和 解 事 件 の 概 要 従 業 員 ( 中 村 修 二 氏 ) 不 足 分 の 支 払 を 請 求 青 色 LEDを 発 明 出 願 補 償 10000 円 登 録 補 償 10000 円 会 社 ( 日 亜 化 学 工 業 ) 争 点 および 判 決 会 社 は 原 告 に 青 色 LEDの 研 究 を 中 止 せよ という 業 務 命 令 を 出 していた から 原 告 の 発 明 は 職 務 ではない? < 結 論 > 職 務 発 明 である < 理 由 > 被 告 会 社 における 勤 務 時 間 中 に 被 告 会 社 の 施 設 内 において 被 告 会 社 の 設 備 を 用 い また 被 告 会 社 従 業 員 である 補 助 者 の 労 力 等 も 用 いて 本 件 発 明 をした 相 当 な 対 価 の 額 をどのように 算 定 するか? 独 占 の 利 益 ( 競 合 会 社 に 実 施 許 諾 した 場 合 の 実 施 料 収 入 など)および 発 明 者 の 貢 献 を 考 慮 して 相 当 の 対 価 を 求 める 特 許 権 取 得 ライセンスはせず 制 度 改 正 の 流 れ 昭 和 34 年 法 職 務 発 明 に 基 づく 特 許 を 受 ける 権 利 は 従 業 者 に 帰 属 使 用 者 ( 会 社 等 )が 権 利 を 承 継 した 場 合 は 従 業 者 に 相 当 の 対 価 を 支 払 う 相 当 の 対 価 は 使 用 者 等 が 受 けるべき 利 益 の 額 および 使 用 者 等 が 貢 献 した 程 度 を 考 慮 して 定 める 平 成 16 年 法 権 利 の 帰 属 は 踏 襲 オリンパス 事 件 青 色 LED 事 件 相 当 の 対 価 を 定 める 勤 務 規 則 等 は 不 合 理 であってはならない 勤 務 規 則 等 が 不 合 理 と 認 められる 場 合 の 相 当 の 対 価 ( 考 慮 すべ き 要 素 は 変 わらず) 平 成 27 年 法 使 用 者 に 原 始 的 に 権 利 が 帰 属 し 得 る 相 当 の 利 益 を 定 める 勤 務 規 則 等 は 不 合 理 であってはならない 考 え 方 は 踏 襲
改 正 法 の 概 要 ~ 権 利 の 帰 属 職 務 発 明 規 程 がない 場 合 ( 従 来 と 変 わらず) 従 業 者 使 用 者 特 許 を 受 ける 権 利 は 従 業 者 に 発 生 個 別 の 契 約 等 によって 使 用 者 に 権 利 を 移 転 させることは 可 能 使 用 者 に 権 利 を 移 転 させたときは 従 業 者 は 相 当 の 利 益 を 請 求 可 能 特 許 を 受 ける 権 利 承 継 利 益 職 務 発 明 規 程 がある 場 合 特 許 を 受 ける 権 利 等 を 使 用 者 に 取 得 させる 旨 が 定 められていなくてはならない ( 取 得 することがで きる という 規 程 ではダメ!) 従 業 者 特 許 を 受 ける 権 利 使 用 者 特 許 を 受 ける 権 利 は 使 用 者 に 発 生 従 業 者 が 発 明 者 であることに 変 わりは 無 い 従 業 者 は 相 当 の 利 益 を 請 求 可 能 利 益 改 正 法 の 概 要 ~ 相 当 の 利 益 特 許 を 受 ける 権 利 等 を 使 用 者 に 承 継 従 業 者 は 使 用 者 に 対 し 相 当 の 金 銭 その 他 の 経 済 上 の 利 益 を 受 ける 権 利 を 得 る 相 当 の 利 益 とは? 金 銭 には 限 られない 経 済 上 の 利 益 でなくてはならない ( 表 彰 状 などの 授 与 だけではダメ) 金 銭 以 外 の 利 益 の 付 与 例 使 用 者 負 担 による 留 学 の 機 会 の 付 与 ストックオプションの 付 与 金 銭 的 処 遇 の 向 上 を 伴 う 昇 進 又 は 昇 格 法 律 及 び 就 業 規 則 所 定 の 日 数 期 間 を 超 える 有 給 休 暇 の 付 与 職 務 発 明 に 係 る 特 許 権 について 専 用 実 施 権 / 通 常 実 施 権 の 許 諾
補 償 金 額 の 調 査 結 果 時 期 回 答 数 最 大 平 均 最 小 発 明 時 5 12,000 3,300 500 出 願 時 129 150,000 7,388 2,000 登 録 時 120 70,000 15,908 3,000 実 施 許 諾 時 0 譲 渡 時 2 20,000 13,000 6,000 実 績 補 償 時 4 300,000 97,000 18,000 ( 自 社 実 施 時 ) 外 国 出 願 時 22 24,000 7,409 3,000 その 他 4 10,000 8,000 2,000 一 般 社 団 法 人 発 明 推 進 協 会 による 平 成 9 年 の 調 査 結 果 平 成 7 年 度 の 特 許 出 願 公 開 上 位 800 社 からランダム 抽 出 された300 社 を 対 象 としたもの 上 表 は 一 律 定 額 の 補 償 金 額 の 結 果 を 示 したもの 改 正 法 の 概 要 ~ 職 務 発 明 規 程 の 設 定 手 続 職 務 発 明 規 程 は 不 合 理 なものであってはならない 不 合 理 には 内 容 だけでなく 策 定 までの 以 下 の 手 続 等 も 考 慮 される 使 用 者 等 と 従 業 者 等 との 間 で 行 われる 協 議 の 状 況 協 議 の 方 法 は 特 定 されてはいない( 書 面 や 電 子 メールのやりとりでも 可 ) 従 業 者 等 から 委 任 を 受 けた 代 表 者 との 協 議 であってもよい 基 準 の 開 示 の 状 況 開 示 とは 従 業 者 等 が 規 程 を 見 ようと 思 えば 見 られる 状 態 におくこと 開 示 の 方 法 は 特 定 されてはいない 相 当 の 利 益 の 内 容 決 定 にあたっての 従 業 者 等 からの 意 見 の 聴 取 の 状 況 意 見 聴 取 は 利 益 の 内 容 の 決 定 前 でも 決 定 後 でもよい 利 益 を 付 与 した 後 従 業 者 等 に 意 見 を 求 めるなどしてもよい
判 例 ~ 対 価 訴 訟 への 影 響 平 成 27 年 7 月 30 日 知 的 財 産 高 等 裁 判 所 判 決 事 件 の 概 要 証 券 取 引 所 に 対 する 電 子 注 文 の 際 の 伝 送 レイテ 従 業 員 ンシ( 遅 延 時 間 )を 縮 小 する 方 法 の 発 明 を 承 継 ( 米 国 出 願 されたが 権 利 取 得 には 至 らなかった) 会 社 ( 野 村 證 券 ) 対 価 として2 億 円 を 請 求 出 願 時 3 万 円 登 録 時 10 万 円 という 規 程 があったが 支 払 われていない 争 点 および 判 決 職 務 発 明 規 程 の 定 めにより 相 当 の 対 価 を 支 払 うことは 不 合 理 か? 結 論 不 合 理 である 理 由 (1) 発 明 規 程 を 確 認 することを 求 めただけでは 協 議 があったとは 言 えない (2) 職 務 発 明 の 取 扱 の 規 程 は 開 示 されていたが 報 奨 金 に 関 する 部 分 は 開 示 されてい たとは 言 えない 個 別 に 開 示 があったとも 認 められない (3) 規 程 には 意 見 聴 取 不 服 申 立 等 の 手 続 は 定 められておらず 個 別 に 聴 取 があった とも 言 えない 相 当 の 対 価 はいくらか? 本 件 発 明 は 被 告 のシステムにおいて 実 施 されていないから 独 占 的 利 益 は 生 じていない 改 正 法 の 概 要 ~ 規 程 有 無 の 比 較 項 目 職 務 発 明 規 程 ありの 場 合 職 務 発 明 規 程 無 しの 場 合 特 許 を 受 ける 権 利 等 の 取 得 原 始 的 に 使 用 者 に 帰 属 使 用 者 は 従 業 者 から 個 別 に 取 得 共 同 開 発 等 で 権 利 の 承 継 に ついて 問 題 が 起 きるおそれ 従 業 員 に 与 える 利 益 規 程 に 従 うので 予 測 性 あり ( 個 別 事 例 での 訴 訟 リスクが 完 全 に 排 除 される 訳 ではない) 個 別 対 応 なので 予 測 性 低 い 訴 訟 リスク 手 続 従 業 者 にとって 相 当 の 利 益 を 求 める 訴 訟 はハードルが 高 い 1) 規 程 が 不 合 理 であること 2) 相 当 の 利 益 が 不 当 であること の 双 方 を 争 う 必 要 がある 職 務 発 明 規 程 の 合 理 性 確 保 が 課 題 ( 協 議 開 示 不 服 申 立 な ど) 相 当 の 利 益 を 直 接 争 うことが できる 相 当 の 利 益 の 評 価 方 法 自 体 は 規 程 の 有 無 で 変 わらない 個 別 に 譲 渡 証 が 必 要
大 学 国 立 研 究 開 発 法 人 の 対 応 大 学 国 立 研 究 開 発 法 人 ( 医 学 研 究 に 取 組 む)15 機 関 を 対 象 とした 調 査 ( 参 考 : 産 業 構 造 審 議 会 資 料 ) 項 目 特 許 を 受 ける 権 利 の 帰 属 について 規 則 改 正 の 必 要 性 相 当 の 利 益 の 内 容 に ついて 協 議 等 について 意 見 等 改 正 する 必 要 がある(3 機 関 ) 研 究 者 による 職 務 発 明 の 個 人 出 願 等 を 防 止 できる 企 業 との 共 同 研 究 等 については 使 用 者 帰 属 としたい 改 正 する 必 要 なし(9 機 関 ) 大 学 の 発 明 は 教 職 員 の 自 由 な 発 想 から 生 まれることが 多 いので 原 始 的 に 個 人 帰 属 のままが 現 状 に 沿 っている 大 学 教 員 のインセンティブを 維 持 する 必 要 がある 大 学 が 出 願 しない 発 明 の 取 扱 が 煩 雑 になる 改 正 する 必 要 がある(6 機 関 ) 発 明 者 への 評 価 が 高 すぎる 算 定 基 準 も 不 明 確 改 正 する 必 要 なし(7 機 関 ) 発 明 者 へは 十 分 相 当 の 利 益 が 支 払 われている 金 銭 以 外 にの 利 益 はあまり 現 実 的 ではない 現 在 協 議 は 不 実 施 という 機 関 が 多 数 開 示 は 学 内 イントラネット HP メールでの 発 信 が 多 数 意 見 聴 取 も 行 っていない 機 関 が 多 数 発 明 提 案 制 度 の 構 築 発 明 提 案 制 度 としては 提 案 型 発 掘 型 が 考 えられる 発 掘 型 提 案 型 と 移 行 する 方 法 も 採 りうる 発 明 提 案 型 発 明 者 が 発 明 提 案 書 を 作 成 知 財 担 当 者 が 精 査 出 願 手 続 ( 事 務 所 への 依 頼 等 )へ 〇 発 明 者 が 提 案 する 分 知 財 担 当 者 の 負 担 は 軽 い 提 案 を 促 進 するためノルマを 課 すなどの 対 策 が 必 要 発 明 者 が 意 識 していないところ で 出 願 の 取 りこぼしが 生 じる 発 明 発 掘 型 発 明 者 知 財 担 当 者 弁 理 士 で 発 明 発 掘 のためのミーティングを 開 催 現 時 点 での 研 究 開 発 内 容 を 精 査 し て 発 明 を 発 掘 出 願 手 続 へ 〇 包 括 的 に 発 明 を 把 握 できるため 取 りこぼしが 生 じにくい 研 究 開 発 に 知 財 の 観 点 を 活 用 できる( 権 利 化 できる 研 究 他 者 の 侵 害 にならない 研 究 ) ミーティング 開 催 に 伴 う 知 財 担 当 者 の 負 担 が 大 きい
出 願 例 (1) 特 許 第 4566400 号 発 明 の 名 称 ソイルセメント 合 成 杭 の 造 成 方 法 及 びソイルセメント 合 成 杭 特 許 権 者 旭 化 成 建 材 株 式 会 社 株 式 会 社 テノックス 出 願 日 平 成 12 年 12 月 28 日 登 録 日 平 成 22 年 8 月 13 日 請 求 項 1 支 持 層 の 深 さが 一 定 でない 地 盤 において 掘 進 抵 抗 値 の 変 化 により 先 端 が 支 持 層 に 到 達 していることを 確 認 してソイルセメント 柱 を 構 築 した 後 少 なくとも 頭 部 付 近 先 端 部 付 近 及 び 中 間 部 に 翼 部 を 有 する 翼 付 きの 鋼 管 杭 を ソイルセメント 柱 中 に 挿 入 し 支 持 層 の 浅 い 場 所 ではソイルセメント 柱 と 鋼 管 杭 が 共 に 支 持 層 に 到 達 し 支 持 層 の 深 い 場 所 ではソイルセメント 柱 が 支 持 層 に 到 達 し 鋼 管 杭 は 支 持 層 に 到 達 していないソイルセメント 合 成 杭 を 造 成 する ソイルセメント 合 成 杭 の 造 成 方 法 出 願 例 (2) 0002 従 来 の 技 術 及 び 発 明 が 解 決 しようとする 課 題 例 えば 特 開 平 1-250523 号 のように 先 端 が 支 持 層 に 到 達 するソイルセメント 柱 中 に 鋼 管 杭 を 挿 入 してソイルセメント 合 成 杭 を 造 成 する 方 法 では ソイルセメント 柱 の 構 築 時 には 地 盤 調 査 で 得 られたN 値 から 支 持 層 の 深 さを 知 り その 深 さを 目 標 深 度 としてソイルセメント 柱 を 構 築 することによりソイルセメント 柱 の 先 端 が 支 持 層 に 到 達 したことにしている 0003 しかしながら 地 盤 調 査 は 施 工 対 象 とする 領 域 の 内 の 一 部 の 数 地 点 に 対 して 行 われることから 図 6に 示 すよ うに 支 持 層 の 深 度 が 施 工 領 域 の 全 面 において 一 定 でない 場 合 に 深 度 の 浅 い 地 点 におけるN 値 に 基 づい て 支 持 層 の 深 度 を 決 定 したときには 深 度 の 大 きい 地 点 でのソイルセメント 柱 の 先 端 を 支 持 層 に 到 達 させていない 可 能 性 がある 0004 ( 略 ) 0005 ( 略 ) 0006 ( 略 ) 0007 この 発 明 は 上 記 背 景 より ソイルセメント 柱 の 先 端 が 確 実 に 支 持 層 に 到 達 することを 確 認 でき また 必 ず しも 鋼 管 杭 の 先 端 を 支 持 層 に 到 達 させなく てもソイルセメント 合 成 杭 としての 鉛 直 支 持 力 と 地 表 面 付 近 における 水 平 抵 抗 力 を 高 めるソイルセメント 合 成 杭 の 造 成 方 法 及 びソ イルセメント 合 成 杭 を 提 案 するものである
出 願 例 (3) 0012 一 方 ソイルセメント 柱 中 に 翼 付 きの 鋼 管 杭 が 挿 入 されることで 鋼 管 杭 とソイルセメ ント 柱 との 一 体 性 が 強 まり 鉛 直 荷 重 に 対 して 鋼 管 杭 とソイルセメント 柱 が 一 体 として 挙 動 でき 鋼 管 杭 が 負 担 す る 鉛 直 荷 重 をソイルセメント 柱 に 確 実 に 伝 達 できるため 必 ずしも 鋼 管 杭 の 先 端 が 支 持 層 に 到 達 してい ない 場 合 でもソイルセメント 合 成 杭 としての 鉛 直 支 持 能 力 が 向 上 する 0013 また 頭 部 付 近 における 翼 部 によって 地 表 面 付 近 における 水 平 力 に 対 しても 鋼 管 杭 とソイルセメント 柱 の 一 体 性 が 維 持 されるため 地 表 面 付 近 における 水 平 抵 抗 も 向 上 する 0014 ( 略 ) 0015 ( 略 ) 0016 ( 略 ) 0017 ( 略 ) 0018 以 上 の 通 り ソイルセメント 柱 の 先 端 が 支 持 層 に 到 達 していれば 鋼 管 杭 の 少 なくとも3 箇 所 に 形 成 されている 翼 部 によってソイルセメント 合 成 杭 としては 十 分 に 高 い 鉛 直 支 持 力 を 発 揮 し 鋼 管 杭 の 頭 部 が 基 礎 杭 の 杭 頭 部 に 位 置 していれば 杭 頭 部 における 水 平 抵 抗 力 も 高 まることから 必 ず しも 鋼 管 杭 の 先 端 が 支 持 層 に 到 達 していることは 必 要 ではなくなる 0019 このため 支 持 層 の 深 度 が 一 定 であるか 否 かに 関 係 なく 翼 付 きの 全 鋼 管 杭 の 頭 部 のレベル を 揃 えることを 基 準 として 鋼 管 杭 を 一 定 深 さまでソイルセメント 柱 中 に 挿 入 すれば 一 定 長 さの 鋼 管 杭 を 使 用 することで 施 工 を 完 了 させることができ 施 工 が 単 純 化 される 0020 この 場 合 ソイルセメント 合 成 杭 としての 必 要 な 鉛 直 支 持 力 と 水 平 抵 抗 力 を 確 保 しながらも 支 持 層 の 深 度 が 一 定 でないことを 理 由 に 深 度 の 相 違 する 地 点 毎 に 異 なる 長 さの 鋼 管 杭 を 使 用 する 必 要 がないため 全 地 点 における 鋼 管 杭 の 長 さを 統 一 でき 使 用 される 鋼 管 杭 の 規 格 が 統 一 される この 結 果 鋼 管 杭 の 挿 入 位 置 毎 に 鋼 管 杭 頭 部 の 切 断 位 置 を 変 える 必 要 がなく 杭 頭 処 理 が 容 易 になる 出 願 例 (4) 0045 図 5-(a),(b) は 支 持 層 8の 深 度 がソイルセメント 合 成 杭 11の 造 成 領 域 全 面 において 一 定 でない 場 合 のソイルセメ ント 合 成 杭 11の 造 成 例 を 示 す この 場 合 ソイルセメント 柱 7の 構 築 地 点 毎 に 支 持 層 8までの 深 度 が 相 違 するため 全 ソイル セメント 柱 7の 全 長 は 同 一 ではないものの 全 ソイルセメント 柱 7 は 先 端 が 支 持 層 8に 到 達 するまで 構 築 される 全 鋼 管 杭 10の 全 長 は 同 一 であるが 挿 入 地 点 毎 に 支 持 層 8までの 深 度 が 相 違 することで 先 端 が 支 持 層 8に 到 達 している 鋼 管 杭 10と 到 達 してい ない 鋼 管 杭 10がある 0046 図 5-(a) はソイルセメント 柱 7の 全 長 に 亘 って 一 定 の 固 化 材 液 と 地 盤 土 との 混 合 割 合 で 構 築 した 場 合 (b) は 鋼 管 杭 10の 先 端 部 が 位 置 する 深 度 以 深 において 固 化 材 液 の 濃 度 を 高 くし 強 度 を 高 めた 根 固 め 部 7aを 構 築 し 鋼 管 杭 10の 先 端 部 を 根 固 め 部 7a 中 に 定 着 させた 場 合 を 示 す 0047 図 5-(b) は 特 に 先 端 が 支 持 層 8に 到 達 し ていない 鋼 管 杭 10も 先 端 部 がソイルセメント 柱 7の 根 固 め 部 7a 中 に 定 着 されることで 鋼 管 杭 10は 高 い 鉛 直 支 持 力 を 発 揮 する (a) の 場 合 でも 支 持 層 8の 深 度 に 関 係 なく 全 ソイルセメ ント 柱 7が 支 持 層 8に 到 達 しているため ソイル セメント 合 成 杭 11が 支 持 する 上 部 構 造 物 12を 不 同 沈 下 させることはない
出 願 例 (5) 0050 図 7は 図 1-(d) に 示 すように 支 持 層 8に 到 達 するソ イルセメント 柱 7 中 に 頭 部 10b 付 近 先 端 部 付 近 及 び 中 間 部 に 翼 部 9を 有 する 鋼 管 杭 10を 挿 入 して 形 成 される 本 発 明 のソイルセメント 合 成 杭 11の 水 平 荷 重 と 水 平 変 位 量 との 関 係 を 示 す 図 7 中 でプロット した 曲 線 が 本 発 明 の 場 合 を 示 す 0051 図 7では 比 較 のため 地 中 にソイルセメント 柱 7を 構 築 することもプレボーリングすることもなく 翼 部 9を 有 する 鋼 管 杭 10を 地 中 に 回 転 圧 入 した 鋼 管 杭 10 単 体 と ソイルセメント 柱 7 中 に 翼 部 9が 全 くない 鋼 管 杭 を 挿 入 して 形 成 したソイルセ メント 合 成 杭 の 水 平 荷 重 と 水 平 変 位 量 との 関 係 も 併 せて 示 し ている でプロットした 曲 線 が 鋼 管 杭 10 単 体 の 場 合 を 破 線 の 曲 線 が 翼 部 9を 持 たない 鋼 管 杭 を 使 用 したソイルセメント 合 成 杭 の 場 合 を 示 す 0052 図 7より 本 発 明 のソイルセメント 合 成 杭 11は 他 の 二 例 より 一 定 の 水 平 荷 重 に 対 す る 水 平 変 位 量 が 小 さく 高 い 水 平 剛 性 と 水 平 抵 抗 力 を 保 有 していることが 分 かる