介 助 犬 とは 肢 体 不 自 由 者 に 落 としたものを 拾 って 渡 す, 手 が 届 かないものを 持 って 来 る 等 の 動 作 を 行 なうよう 訓 練 され 自 立 と 社 会 参 加 促 進 をする 生 きた 補 装 具 である. 将 来 介 助 犬 使 用 者 になり 得 る 生 徒 がいる 特 別 支 援 学 校 の 教 師 に 介 助 犬 についての 理 解 度 を 調 査 した.120 名 の 教 員 の 50 名 から 回 答 を 得 た.54%が 盲 導 犬 と 混 同 しており 有 効 な 点 は 精 神 的 な 面 で 機 能 的 な 有 効 性 は 知 られていなかった.また, 授 業 等 で 情 報 提 供 をしたことがあるのは 4%のみで,より 詳 しく 知 りたいが 68%であったが, 授 業 で 取 り 上 げたいと 思 わないが 46%であった. 将 来 的 な 自 立 手 段 として 教 員 への 正 しい 理 解 を 深 めることが 必 要 と 考 えられた. 症 例 は 94 歳 の 女 性 で, 下 肢 異 常 感 覚 (しびれ 感 )に 対 し, 八 味 地 黄 丸 を 内 服 していた. 大 腿 骨 転 子 部 骨 折 の 手 術 後,リハビリテーション 継 続 目 的 で 当 院 に 入 院 した. 降 圧 剤 を 内 服 していたが, 八 味 地 黄 丸 の 中 止 後 に 降 圧 剤 を 終 了 でき, 入 院 時 からの 食 思 不 振 が 改 善 した. 下 肢 のしびれ 感 に 対 し 漢 方 薬 を 処 方 する 場 合, 高 齢 者 には 八 味 地 黄 丸 を 第 一 選 択 にすることがある. 附 子 を 含 むため, 血 圧 上 昇 食 思 不 振 があれば 継 続 の 可 否 を 検 討 するべきである.
頭 皮 上 から 微 弱 な 経 頭 蓋 的 直 流 電 気 刺 激 (transcranial DC stimulation: tdcs)を 与 えながら 課 題 を 遂 行 することで, 課 題 遂 行 機 能 が 改 善 することが 報 告 されている. 本 研 究 では, 健 常 高 齢 者,パーキ ンソン 病 患 者 に tdcs とミラーセラピーを 組 み 合 わせた 運 動 学 習 を 施 行 し, 運 動 学 習 効 果 と 大 脳 一 次 運 動 野 の 脳 可 塑 性 へ 与 える 影 響 を 検 討 する. COPD の 合 併 症 として 肺 癌 の 頻 度 は 高 く 約 3 割 に 及 ぶ. 肺 癌 の 治 療 として 肺 切 除 が 選 択 されるが,これ まで COPD 合 併 例 の 片 肺 全 摘 術 前 後 での 運 動 能 力 評 価 の 報 告 はない. 症 例 は 49 歳 男 性,7 年 前 に COPD と 診 断 され, 今 回 左 非 小 細 胞 癌 に 対 して 左 肺 全 摘 術, 術 後 化 学 療 法 施 行 された. 術 前 後 呼 吸 リハビリを 行 い 術 後 3 週 で 退 院 した.その 後 も 外 来 リハを 行 い 術 後 6 か 月 で 復 職 を 果 たした. 術 前 後 で 呼 気 ガス 分 析 装 置 を 用 いた 運 動 負 荷 試 験 を 行 った. 文 献 的 考 察 を 踏 まえ 報 告 する. 目 的 BNP 値 を 用 いて 回 復 期 リハ 病 棟 における 心 不 全 リスクを 検 証 した. 方 法 2014 年 2 月 から 10 月 までの 9 ヶ 月 間 に 当 院 回 復 期 リハ 病 棟 に 入 院 した 大 腿 骨 近 位 部 骨 折 と 脳 卒 中 患 者 の 入 院 時 の BNP 値 を 測 定 した. 結 果 大 腿 骨 近 位 部 骨 折 患 者 36 名, 脳 卒 中 患 者 67 名 の 合 計 103 名 が 対 象 となり,BNP 値 は 脳 卒 中 より 大 腿 骨 近 位 部 骨 折 で 高 く, 脳 出 血 より 脳 梗 塞 で 高 く, 脳 梗 塞 では 心 原 性 塞 栓 で 高 い 傾 向 が 認 められた.
平 成 25 年 4 月 1 日 から 平 成 26 年 3 月 31 日 までに, 当 院 へ 入 院 し, 入 院 時 と 退 院 時 に 身 体 組 成 分 析 装 置 MLT-50 で 評 価 できた 232 例 が 対 象 である. 今 回 は, 脳 血 管 障 害 80 例 と 大 腿 骨 頸 部 骨 折 78 例 にお いて,NST の 関 与 と 体 組 成 分 析 結 果 との 関 連 を 検 討 した.NST は, 全 症 例 の 36.2%に 関 与 した. 骨 格 筋 量 が 増 加 したのは,45.7%で,NST 関 与 の 有 無 では 差 がなかった. 脳 血 管 障 害 では, 骨 格 筋 が 増 加 した 群 では,NST 関 与 で, 有 意 に 除 脂 肪 重 量 と 水 分 量 が 改 善 した. 当 院 は 療 養 型 病 院 であり 平 均 入 院 日 数 589 日, 在 宅 復 帰 率 60%である. 当 院 入 院 患 者 の FIM を 計 測 し た. 対 象 は,2014 年 8 月 から 10 月 に 当 院 に 入 院 していた 患 者 57 名 ( 男 性 21 名, 女 性 36 名 ), 平 均 年 齢 は 男 性 79 歳, 女 性 82 歳 であった. 疾 患 の 内 訳 は 脳 血 管 疾 患 23 名, 運 動 器 疾 患 28 名,その 他 6 名 で あり,FIM は 脳 血 管 疾 患 37, 運 動 器 疾 患 85,その 他 67 であった. 脳 卒 中 後, 抑 うつ 症 状 を 呈 した 症 例 に 対 する 治 療 と 経 過 について 報 告 する. 症 例 は 76 歳 の 女 性. 左 放 線 冠 基 底 核 の 血 栓 性 脳 梗 塞 に 対 し, 保 存 的 に 加 療 後,リハビリテーション( 以 下 リハ) 目 的 に 当 院 に 転 院 した. 転 院 時 中 等 度 の 右 片 麻 痺 と 軽 度 の 失 語 症 を 認 めた. 屋 内 歩 行 が 監 視 で 可 能 となり 家 屋 訪 問 を 行 った 後 の 発 症 9 週 目 頃 より, 抑 うつ 症 状 と 動 悸, 意 欲 低 下, 体 重 減 少 が 出 現 した. 抗 うつ 薬 を 使 用 しながらリハを 継 続 し, 発 症 16 週 で 自 宅 退 院 した. 脳 卒 中 後 の 抑 うつ 症 状 に 対 しては, 適 切 な 薬 物 療 法 とリハの 併 用 が 必 要 であると 思 われた.
症 例 は 22 歳 男 性. 特 発 性 拡 張 型 心 筋 症 による 重 症 心 不 全 に 対 し LVAD( 補 助 人 工 心 臓 治 療 )が 行 われ た. 経 過 中 に 感 染 性 動 脈 瘤 が 原 因 と 思 われる 脳 出 血 を2 回 発 症 し, 高 次 脳 機 能 障 害 を 呈 した. 術 前 の 長 期 臥 床 による 著 しい 身 体 機 能 の 低 下 に 加 え, 自 己 管 理 が 必 要 となる 補 助 人 工 心 臓 治 療 において 注 意 障 害 構 成 障 害 前 頭 葉 機 能 低 下 などを 合 併 したことで 社 会 復 帰 に 難 渋 したが,リハビリ 開 始 後 350 日 で 自 宅 へ 退 院 となった. 症 例 は 49 歳 男 性, 管 理 職. 心 筋 梗 塞 にて 心 肺 停 止 となり, 約 30 分 後 に 心 拍 再 開. 冠 動 脈 形 成 術 を 施 行 され, 低 体 温 療 法 を 含 む 急 性 期 加 療 後, 発 症 42 日 目 にリハ 目 的 にて 当 院 へ 転 院. 初 診 時, 視 覚 失 認, 書 字 障 害, 失 行 症, 記 憶 障 害 などの 高 次 脳 機 能 障 害 を 呈 し,ADL 障 害 を 強 く 認 めた. 脳 血 流 SPECT では 両 側 大 脳 皮 質, 特 に 左 角 回 周 囲 の 血 流 低 下 を 認 めた. 上 記 患 者 に 対 してリハを 行 う 機 会 を 得 たため, 文 献 的 考 察 を 加 え 報 告 する. 症 例 は 51 歳, 男 性, 右 利 き, 高 卒. 外 出 時 に 右 上 下 肢 の 動 きが 悪 くなり, 救 急 病 院 に 搬 送 された. 頭 部 CT にて 左 視 床 出 血 脳 室 穿 破 と 診 断 され, 保 存 的 加 療 を 受 けた.2 週 後 にリハビリテーション 目 的 で 当 院 転 院 となった. 入 院 時 は 右 片 麻 痺, 感 覚 脱 失 に 加 え, 失 語 症 を 認 めた. 本 症 例 に 行 ったアプロー チと 視 床 出 血 で 生 じる 失 語 症 について 文 献 例 を 含 めて 報 告 する.
症 例 は 頚 髄 不 全 損 傷 でリハビリを 行 なった 78 歳 男 性. 入 院 時 評 価 で 嚥 下 障 害 を 認 めず, 常 食 を 摂 取 していたが, 誤 嚥 性 肺 炎 をくり 返 した.VE 検 査 で, 咽 頭 前 壁 喉 頭 蓋 の 口 側 に 腫 瘤 性 病 変 を 認 め, 食 物 が 腫 瘤 及 び 喉 頭 蓋 を 乗 り 越 えることが 誤 嚥 の 原 因 になっていた.リクライニング 60 度 で 30~45 度 の 半 側 臥 位 姿 勢 で 摂 食 を 行 ったところ, 食 物 は 咽 頭 前 側 壁 を 通 過 して 誤 嚥 が 生 じなくなった. 体 位 の 工 夫 が 誤 嚥 に 対 して 有 用 な 症 例 であった. 摂 食 嚥 下 障 害 患 者 に 嚥 下 造 影 検 査 (VF)を 施 行 して 最 適 な 摂 食 状 態 を 一 旦 決 定 し,その 後 に 嚥 下 内 視 鏡 検 査 (VE)で 安 全 性 を 確 認 しながら 食 形 態 などの 調 整 を 行 うことがある.2013 年 3 月 から 2014 年 9 月 までに, 当 科 で VF を 施 行 しその 後 に VE でフォローアップした 症 例 の,Dysphagia Severity Scale(DSS),Eating Status Scale (ESS), 食 形 態 などを 後 方 視 的 に 調 査 したので 報 告 する. 嚥 下 造 影 検 査 (VF)に 用 いられる 検 査 食 は 各 施 設 で 異 なり, 規 格 化 されていない. 今 回, 当 院 入 院 中 の 嚥 下 障 害 者 13 名 に 対 し, 非 加 熱 で 目 的 とする 物 性 のゼリーを 調 整 可 能 なソフティア TesCup(ニュー トリー, 三 重 )を 用 いて2 種 のバリウムゼリー( 嚥 下 ピラミッド L1 相 当, 嚥 下 困 難 者 用 食 品 許 可 基 準 Ⅲ 相 当 )を 作 成 し 嚥 下 動 態 を 評 価 した. 咀 嚼 回 数, 嚥 下 回 数, 口 腔 内 咽 頭 残 留 量, 誤 嚥 の 有 無 を, 当 院 で 従 来 用 いている 検 査 食 (エンゲリード, 粥,コンビーフ)と 比 較 した 結 果 を 報 告 する.
神 経 芽 細 胞 腫 は, 小 児 の 固 形 腫 瘍 では 脳 腫 瘍 に 次 いで 多 い.ダンベル 型 の 場 合 緊 急 減 圧 術 の 有 効 性 が 報 告 されているが,ゆっくりと 進 行 し 診 断 時 には 脊 髄 に 非 可 逆 的 な 障 害 を 残 す 例 も 知 られている. 当 院 で 経 験 した2 例 は, 対 麻 痺, 膀 胱 直 腸 障 害 を 呈 したが, 上 肢 機 能, 認 知 機 能 の 遅 れはなく, 神 経 芽 細 胞 腫 の 治 療 は 順 調 に 経 過 している.ライフステージに 沿 ったリハビリテーションが 必 要 である. 双 胎 出 生 は, 脳 性 麻 痺 ( 以 下 CP) 発 生 の 危 険 因 子 として 重 要 であるが,その 報 告 は 比 較 的 少 ない. 今 回 われわれは,1985 年 ~1992 年 ( 前 期 )および 2007 年 ~2012 年 ( 後 期 )に 診 療 した 双 胎 出 生 の CP 児 およびその 同 胞 児 について, 妊 娠 分 娩 時 の 状 況, 臨 床 症 状 などを 主 に 診 療 録 や 紹 介 元 医 療 機 関 の 情 報 提 供 書 をもとに 調 査 したので, 前 期 と 後 期 の 相 違 なども 含 め 若 干 の 文 献 的 考 察 を 加 えて 報 告 する. 平 成 24 年 から 肢 体 不 自 由 児 施 設 と 重 症 心 身 障 害 児 ( 以 下 重 心 児 ) 施 設 は 医 療 型 障 害 児 入 所 施 設 とな った. 給 付 費 は 施 設 毎 から 属 人 的 に 支 払 われるようになり, 肢 体 不 自 由 児 施 設 に 入 所 していた 重 心 児 の 給 付 費 は 増 額 し, 重 症 化 に 対 応 し 職 員 数 を 増 やすことができた.しかし 運 営 上, 重 心 児 の 入 所 が 優 先 さ れ, 給 付 費 の 低 い 肢 体 不 自 由 児 の 在 宅 生 活 を 支 援 するための 有 期 限 入 所 が 行 いにくくなり 課 題 も 多 い. 制 度 見 直 しに 向 けた 厚 労 省 の 障 害 児 支 援 の 在 り 方 に 関 する 検 討 会 の 動 向 も 合 わせて 報 告 する.