Microsoft PowerPoint - 森恵子_第8回がんフォーラム21.pptx



Similar documents
17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

診療行為コード

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

Taro-iryouhoken

<4D F736F F D20836E E819592E88C5E B F944E82548C8E89FC90B3816A5F6A D28F57>

Microsoft Word - 目次.doc

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

Microsoft Word - 保育園管理規程(決定案)

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

スライド 1

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

 

( 医 療 機 器 の 性 能 及 び 機 能 ) 第 3 条 医 療 機 器 は 製 造 販 売 業 者 等 の 意 図 する 性 能 を 発 揮 できなければならず 医 療 機 器 としての 機 能 を 発 揮 できるよう 設 計 製 造 及 び 包 装 されなければならない 要 求 項 目 を

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等


<819A B8B975E8CF6955C2E786C73>

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

栄養管理手順について

2 ペインクリニック ペインクリニック 科 に 関 しては 先 ずは 様 々な 痛 みの 症 例 を 正 確 に 診 断 できる 能 力 の 養 成 を 最 大 の 目 標 にします その 過 程 で 薬 物 療 法 神 経 ブロック( 超 音 波 透 視 下 を 含 む) Intervention

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Transcription:

第 8 回 がん 看 護 フォーラム21 2015/1/17 がんサバイバーへの 支 援 を 考 える ~ 回 復 的 がんリハビリテーションに 焦 点 を 当 てて~ 浜 松 医 科 大 学 医 学 部 看 護 学 科 森 恵 子 1 がん 患 者 がたどるプロセス 治 癒 や 延 命 を 指 したがんに 対 する 治 療 から 緩 和 ケア 中 の 医 療 ケアへの 転 換 がんと 診 断 初 期 治 療 手 術 放 射 線 治 療 化 学 療 法 再 発 転 移 追 加 治 療 補 助 治 療 ギアチェンジ 死 亡 治 癒 緩 和 医 療 医 療 ケアを 受 ける 場 所 は 変 わっても 切 れ 目 のないケアが 行 われることが 重 要!! 2

がんサバイバー Survivor: 生 存 者 生 き 残 った 人 (NCCS;National Coalition for Cancer Survivorship; 国 立 がんサバイバーシップ 連 合 ) がんと 診 断 されてから 死 の 瞬 間 まで 生 存 者 で あり 続 けるという 意 味 *がんの 手 術 後 で 現 在 は 治 癒 している 人 * 長 期 生 存 後 に 合 併 症 に 苦 しむ 人 * 治 療 後 に 再 発 した 人 * 進 行 がんの 人 * 終 末 期 にある 人 生 存 率 にとらわれる 生 き 方 から がんとともに 今 を 生 きる 人 として 立 つこ とを 意 味 する 3 がんリハビリテーションの 必 要 性 がん 罹 患 率 がんの 死 亡 率 早 期 診 断 早 期 治 療 治 療 技 術 の 進 歩 等 により がん 患 者 の 半 数 以 上 が 治 るようになってきた がんの 治 療 を 終 えた あるいは 治 療 を 受 けつつあるが ん 生 存 者 (がんサバイバー)は 2015 年 には533 万 人 に 達 するという 予 測 不 治 の 病 がんと 共 存 する 時 代 がんという 疾 患 そのものに 対 する 不 安 がんの 直 接 的 影 響 ( 症 状 )や 手 術 化 学 療 法 放 射 線 治 療 に 伴 う 身 体 障 害 に 対 する 不 安 を 抱 えながらの 生 活 4

がん 自 体 に 対 する 治 療 だけでなく 症 状 緩 和 や 身 体 面 心 理 面 のケアから 療 養 支 援 復 職 などの 社 会 的 側 面 にも 関 心 が 向 けられ 始 める がんと 共 存 する 時 代 の 新 しい 医 療 の 在 り 方 がんリハビリテーション 5 がんの 進 行 治 療 に 伴 い 認 知 障 害 嚥 下 障 害 発 声 障 害 運 動 麻 痺 筋 力 低 下 拘 縮 しびれ 神 経 因 性 疼 痛 上 肢 下 肢 の 浮 腫 に 伴 う 機 能 障 害 放 置 すると リハビリテーション 二 次 障 害 の 予 防 機 能 や 生 活 能 力 の 維 持 改 善 移 動 移 乗 や 歩 行 セルフケアをはじめとする 日 常 生 活 動 作 の 制 限 (ADLの 障 害 ) QOLの 低 下 6

がんの 直 接 的 影 響 手 術 化 学 療 法 放 射 線 治 療 など がんの 治 療 に 伴 う 身 体 的 障 害 症 状 障 害 の 軽 減 運 動 機 能 低 下 や 生 活 機 能 低 下 の 予 防 や 改 善 介 護 予 防 がんに 伴 う 身 体 的 障 害 ( 疾 患 および 治 療 に 伴 う 症 状 )はリ ハビリテーション 医 学 の 主 要 な 治 療 対 象!! 7 医 療 福 祉 行 政 面 のがんリハビリ テーションに 対 する 動 向 末 期 がんが 介 護 保 険 の 特 定 疾 患 として 承 認 リンパ 浮 腫 に 対 する 圧 迫 衣 類 の 保 険 適 応 浮 腫 予 防 に 対 する 診 療 報 酬 加 算 2010 年 の 診 療 報 酬 改 定 : がん 患 者 リハビリテーション 料 が 新 規 で 算 定 可 能 と なった 2014 年 の 診 療 報 酬 改 定 *1 単 位 200 点 205 点 8

がん 患 者 リハビリテーション 料 別 に 厚 生 労 働 大 臣 が 定 める 施 設 基 準 に 適 合 しているもの として 地 方 厚 生 局 長 等 に 届 け 出 た 保 険 医 療 機 関 において 別 に 厚 生 労 働 大 臣 が 定 める 患 者 であって がんの 治 療 の ために 入 院 しているものに 対 して 個 別 療 法 であるリハビリ テーションを 行 った 場 合 に 患 者 1 人 につき1 日 6 単 位 まで 算 定 対 象 となる 患 者 に 対 して 医 師 の 指 導 監 督 の 下 がん 患 者 リハビリテーションに 関 する 適 切 な 研 修 を 修 了 した 理 学 療 法 士 作 業 療 法 士 又 は 言 語 聴 覚 士 が 個 別 に20 分 以 上 のリ ハビリテーションを 行 った 場 合 を1 単 位 とする 専 任 の 医 師 が 直 接 訓 練 を 実 施 した 場 合 にあっても 理 学 療 法 士 作 業 療 法 士 又 は 言 語 聴 覚 士 が 実 施 した 場 合 と 同 様 に 算 定 できる 9 がんリハビリテーションと 歴 史 米 国 においては がん 治 療 において 医 学 的 リハビリ テーションの 体 系 化 が 系 統 的 に 進 められたのは1970 年 代 になってから 米 国 NCI(National Cancer Institute)により がん を 専 門 的 に 扱 うための 理 学 療 法 士 や 作 業 療 法 士 言 語 聴 覚 士 の 養 成 乳 がん 術 後 や 喉 頭 摘 出 術 後 などのような 特 定 の 機 能 障 害 に 対 応 したリハビリテーションプログラムの 設 置 10

リハビリテーションに 関 する 患 者 教 育 リハビリテー ションを 必 要 とする 患 者 のスクリーニング 体 制 がん 治 療 チームへのリハビリテーション 医 の 介 入 アメリカ:がんリハビリテーションは がん 治 療 の 重 要 な 一 部 として 確 立 されている 日 本 : 欧 米 と 比 較 して がんのリハビリテーションの 普 及 啓 発 教 育 研 究 体 制 がん 専 門 医 療 機 関 におけ る 実 際 の 臨 床 現 場 での 役 割 等 に 関 して その 対 応 が 遅 れている 外 傷 や 脳 卒 中 のリハビリテーションなどに 比 べて が ん 治 療 におけるリハビリテーションは 社 会 に 十 分 に 浸 透 していない 11 がんのリハビリテーション: 従 来 から 重 視 されてきた 機 能 回 復 を 含 み さらに 患 者 本 人 が 新 しい 自 分 らしさと 生 き 方 を 獲 得 すること 米 国 がん 看 護 学 会 (ONS;Oncology Nursing Society)の 定 義 (1989 年 ) それぞれの 環 境 の 中 に 生 きる 個 々 人 が がんによっ て 課 せられた 限 界 の 中 で 最 高 の 機 能 を 成 し 遂 げられ るよう 援 助 するプロセス 患 者 ががんに 罹 患 する 以 前 の 生 活 に 戻 ることを 援 助 するのではなく がんの 体 験 を 得 てさらに 新 しい 人 生 の 局 面 に 向 かっていくことを 支 援 すること 12

リハビリテーションの 対 象 となる 障 害 の 種 類 1. がんそのものによるもの 1)がんの 直 接 的 影 響 * 骨 転 移 * 脳 腫 瘍 ( 脳 転 移 )に 伴 う 片 麻 痺 失 語 症 など * 脊 髄 脊 椎 腫 瘍 ( 脊 髄 脊 椎 転 移 )に 伴 う 四 肢 麻 痺 対 麻 痺 など * 腫 瘍 の 直 接 侵 潤 による 神 経 障 害 * 疼 痛 13 2)がんの 間 接 的 影 響 *がん 性 末 梢 神 経 炎 ( 運 動 性 感 覚 性 多 発 性 末 梢 神 経 炎 ) * 悪 性 腫 瘍 随 伴 症 候 群 ( 小 脳 性 運 動 失 調 筋 炎 に 伴 う 筋 力 低 下 など) 14

2. 主 に 治 療 の 過 程 においてもたらされる 障 害 1) 全 身 性 の 機 能 低 下 廃 用 症 候 群 * 化 学 療 法 放 射 線 療 法 造 血 幹 細 胞 移 植 後 2) 手 術 * 骨 軟 部 腫 瘍 術 後 ( 患 肢 温 存 術 後 四 肢 切 断 後 ) * 乳 がん 術 後 の 肩 関 節 拘 縮 * 乳 がん 子 宮 がん 手 術 ( 腋 窩 骨 盤 内 リンパ 節 郭 清 ) 後 のリンパ 浮 腫 * 頭 頸 部 がん 術 後 の 嚥 下 構 音 障 害 発 声 障 害 嚥 下 障 害 15 * 頸 部 リンパ 節 郭 清 後 の 肩 甲 周 囲 の 運 動 障 害 * 開 胸 開 腹 術 後 の 呼 吸 器 合 併 症 嚥 下 障 害 など * 尿 路 系 悪 性 腫 瘍 に 対 する 排 泄 経 路 変 更 *ボディ イメージの 変 化 など 3) 化 学 療 法 * 末 梢 神 経 障 害 など 4) 放 射 線 療 法 * 腕 神 経 叢 麻 痺 * 食 道 狭 窄 16

がんのリハビリテーションとは ただ 単 に 手 足 の 機 能 をよくすることではなく 人 の 人 格 をもった 人 間 として 一 人 の 家 庭 人 一 市 民 として の 存 在 を 回 復 すること 進 行 度 がどの 段 階 にあろうとも 精 神 面 を 含 めた 適 切 なリハビリを 受 けることで 治 療 後 の 回 復 力 や QOLが 高 まり 早 期 の 社 会 復 帰 が 可 能 になる 17 外 傷 や 脳 卒 中 のリハビリテーションなどに 比 べて が ん 治 療 におけるリハビリテーションは 社 会 に 十 分 に 浸 透 していないのが 現 状 がん 医 療 は 著 しく 進 歩 するとともに 極 めて 多 様 化 して おり 様 々な 状 況 に 応 じたリハビリテーションの 重 要 性 が 高 まってきている がん 治 療 中 後 の 体 力 や 活 動 性 の 低 下 廃 用 症 候 群 といったがんの 種 類 によらない 一 般 的 な 問 題 に 対 す るリハビリテーションも 大 きな 目 的 単 に 余 命 の 限 られたがん 患 者 の 機 能 の 維 持 緩 和 の みだけではなく 予 防 や 機 能 回 復 も 大 きな 役 割 18

がんのリハビリテーションの 対 象 となる 障 害 :がんその ものによるものと その 治 療 過 程 において 生 じた 障 害 とに 大 別 移 行 (transition)を 支 える 看 護 であり 成 長 を 支 える 看 護 である 患 者 ががんを 持 つ 以 前 の 元 の 生 活 に 戻 ることを 援 助 するのではなく がんの 体 験 を 得 てさらに 新 しい 人 生 の 局 面 に 向 かっていくことを 支 援 すること がん 患 者 のリハビリテーション: 予 防 的 回 復 的 維 持 的 緩 和 的 の4つに 大 きく 分 けられる(Diezの 分 類 ) 19 がんリハビリテーションの 分 類 予 防 的 ( preventive )リハビリテーション 回 復 的 ( restorative )リハビリテーション 維 持 的 ( supportive )リハビリテーション 緩 和 的 ( palliative )リハビリテーション (Diezの 分 類 ) 20

がんリハビリテーションの 病 期 別 目 的 (1) 予 防 的 ( preventive )リハビリテーション: がんと 診 断 された 後 早 期 に 開 始 手 術 放 射 線 化 学 療 法 の 前 もしくは 後 すぐに 施 行 機 能 障 害 はまだな く その 予 防 を 目 的 とする (2) 回 復 的 ( restorative )リハビリテーション: 治 療 されたが 残 存 する 機 能 や 能 力 をもった 患 者 に 対 し て 最 大 限 の 機 能 回 復 を 目 指 した 包 括 的 訓 練 機 能 障 害 能 力 低 下 の 存 在 する 患 者 に 対 して 最 大 限 の 機 能 回 復 を 図 る 21 (3) 維 持 的 ( supportive )リハビリテーション: がんが 増 大 しつつあり 機 能 障 害 能 力 低 下 が 進 行 し つつある 患 者 に 対 して 迅 速 に 効 果 的 な 手 段 ( 自 助 具 やセルフケアやコツの 指 導 など)により セルフケア の 能 力 や 移 動 能 力 を 増 加 させる (4) 緩 和 的 ( palliative )リハビリテーション: 終 末 期 がん 患 者 に 対 し その 要 望 を 尊 重 しながら 身 体 的 精 神 的 社 会 的 にQOLの 高 い 生 活 が 送 れるよう にする 22

治 療 や 療 養 の 時 期 における がんのリハビリーション がん 発 見 治 療 開 始 再 発 / 転 移 積 極 的 治 療 が 受 けられな くなったとき 予 防 的 回 復 的 維 持 的 緩 和 的 周 術 期 に われるリハビリは 予 防 的 + 回 復 的 リハビリテーション となる http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000145.html 23 治 療 や 療 養 の 時 期 における がんのリハビリーション がん 発 見 治 療 開 始 再 発 / 転 移 積 極 的 治 療 が 受 けられな くなったとき 予 防 的 回 復 的 維 持 的 緩 和 的 化 学 療 法 や 放 射 線 治 療 が われている 時 期 のリハビ リは 回 復 的 リハビリテーション これらの 治 療 が 終 わった 時 期 のリハビリは 維 持 的 リハビリテー ション となる http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000145.html 24

抗 がん 剤 や 放 射 線 による 治 療 中 もしくは 治 療 後 のリ ハビリ がん 治 療 の 中 でリハビリの 対 応 が 最 も 遅 れ ている 分 野 抗 がん 剤 や 放 射 線 治 療 中 疲 労 感 や 運 動 能 力 の 低 下 治 療 終 了 後 の 体 力 や 持 久 力 の 低 下 の 実 感 がん 関 連 倦 怠 感 は リハビリが 積 極 的 に 対 応 すべき 症 状 運 動 療 法 の 効 果 が 明 らかにされつつある * 身 体 機 能 の 向 上 * 疲 れにくくなる * 気 分 爽 快 * 精 神 的 苦 痛 の 軽 減 QOLの 向 上 25 分 類 1. 予 防 的 リハビリテーション 2. 回 復 的 リハビリテーション 3. 維 持 的 リハビリテーション 4. 緩 和 的 リハビリテーション 例 * 呼 吸 器 合 併 症 の 予 防 を 目 的 とする 呼 吸 練 習 * 廃 用 性 症 候 群 の 予 防 を 目 的 とする 筋 力 トレーニング * 松 葉 杖 使 用 による 術 前 の 歩 行 練 習 * 廃 用 性 症 候 群 の 改 善 を 目 的 とする 筋 力 トレーニング や 歩 行 練 習 * 下 肢 切 断 術 後 や 人 工 関 節 置 換 術 後 の 歩 行 練 習 * 乳 がんや 頭 頸 部 領 域 がん 術 後 の 上 肢 運 動 障 害 の 改 善 を 目 的 とする 運 動 * 喉 頭 全 摘 出 後 の 代 用 音 声 の 獲 得 * 杖 や 歩 行 器 などの 歩 行 補 助 具 の 提 供 * 立 ち 上 がり 動 作 を 容 易 にするための ベッドや 椅 子 等 の 環 境 設 定 * 拘 縮 筋 萎 縮 筋 力 低 下 褥 創 のような 廃 用 を 予 防 す ることも 含 まれる * 疼 痛 や 浮 腫 の 軽 減 を 目 的 としたマッサージ * 安 楽 な 体 位 の 提 供 や 呼 吸 介 助 褥 創 拘 縮 予 防 * 温 熱 低 周 波 治 療 ポジショニング 呼 吸 介 助 リラク 26 セーション 補 装 具 の 使 用

リハビリテーションを 行 う 上 での リスク 管 理 がんリハビリテーションは がん 自 体 による 局 所 全 身 の 影 響 治 療 の 副 作 用 臥 床 や 悪 液 質 に 伴 う 身 体 障 害 に 大 きく 左 右 される がん 専 門 病 院 ではリハビリテーションに 平 行 してがん に 対 する 治 療 が 行 われることがほとんど 精 神 的 問 題 がん 告 知 の 問 題 27 治 療 に 伴 う 副 作 用 症 状 の 出 現 増 強 * 骨 髄 抑 制 出 血 傾 向 * 血 栓 塞 栓 症 * 胸 水 腹 水 の 貯 留 転 移 再 発 28

予 防 的 回 復 的 リハビリテーション 術 後 患 者 へのリハビリテーション * 胸 部 手 術 後 * 乳 房 切 除 術 後 * 婦 人 科 がん 術 後 化 学 療 法 を 受 ける 患 者 へのリハビリテ-ション * 感 染 症 発 症 のリスク ボディ イメージの 障 害 を 抱 える 患 者 へのリハビリテー ション 放 射 線 療 法 を 受 ける 患 者 に 対 するリハビリテ-ション 29 胸 部 手 術 後 の リハビリテ-ションの 視 点 肺 がんなど 肺 の 切 除 術 を 実 施 することで 肺 の 容 積 が 縮 小 し 肺 機 能 が 低 下 手 術 前 から 無 気 肺 を 予 防 するために 腹 式 深 呼 吸 の 練 習 や 呼 吸 機 能 回 復 訓 練 器 を 用 いた 吸 気 訓 練 を 行 う 手 術 後 は 疼 痛 をコントロ-ルし 痰 喀 出 が 効 率 的 に 行 え 術 後 呼 吸 器 合 併 症 が 予 防 できるようなリハビリを 行 う 早 期 にADLが 拡 大 できるよう 計 画 的 なリハビリを 行 う ( 早 期 離 床 など) 30

乳 房 切 除 術 後 の リハビリテ-ションの 視 点 乳 房 は 女 性 を 象 徴 する 器 官 であり がんの 告 知 乳 房 喪 失 がん 再 発 の 不 安 など 身 体 の 機 能 のみならず 精 神 心 理 面 での 障 害 が 生 じる 乳 がんの 診 断 時 から 心 理 面 に 対 するサポートを 行 う 術 後 は 術 式 により 差 があるが 患 側 上 肢 の 運 動 障 害 や 上 腕 の 浮 腫 (リンパ 浮 腫 )などに 対 して 運 動 リハビ リを 行 う ( 予 防 的 リハビリテーション) 退 院 後 も 治 療 や 再 発 の 不 安 に 対 してサポ-トが 必 要 31 婦 人 科 がん 術 後 の リハビリテ-ションの 視 点 子 宮 頸 がん 子 宮 体 がん 卵 巣 がん 外 陰 がん 卵 管 がん 膣 がんなど 手 術 部 位 により 異 なるが 卵 巣 ホルモンの 減 少 月 経 の 消 失 分 娩 機 能 の 消 失 膣 分 泌 物 の 減 少 乳 がんと 同 様 に 女 性 生 殖 器 のがんは 機 能 面 のみな らず 女 性 生 殖 器 喪 失 による 不 安 や 苦 痛 などを 伴 うこと が 多 いので 手 術 後 のリハビリと 共 に 精 神 的 支 援 が 必 要 セクシャリティに 関 する 問 題 32

化 学 療 法 を 受 ける 患 者 の リハビリテ-ションの 視 点 抗 がん 剤 の 種 類 によって 生 じる 末 梢 神 経 炎 の 種 類 は 多 彩 感 覚 障 害 や 運 動 障 害 を 生 じる 抗 がん 剤 投 与 に 伴 う 副 作 用 の 予 防 及 び 症 状 の 軽 減 に 向 けた 援 助 ( 症 状 マネジメント) * 血 管 外 漏 出 * 嘔 気 嘔 吐 * 下 痢 便 秘 * 味 覚 障 害 食 欲 不 振 * 口 内 炎 * 倦 怠 感 * 脱 毛 * 末 梢 神 経 障 害 * 骨 髄 抑 制 ( 白 血 球 減 少 貧 血 血 小 板 減 少 ) * 皮 膚 障 害 * 爪 の 変 化 * 性 機 能 障 害 など 33 副 作 用 の 出 現 は 抗 がん 剤 の 種 類 によりそれぞれ 異 な り また 個 人 差 があるので 個 々 人 に 沿 って 対 応 し 自 立 の 支 援 (セルフマネジメント 能 力 向 上 に 向 けた 指 導 援 助 )を 行 う 化 学 療 法 を 受 ける 患 者 には 自 己 決 定 の 支 援 治 療 計 画 と 副 作 用 に 関 する 十 分 な 説 明 を 行 う( 予 期 的 指 導 ) 治 療 を 長 期 にわたって 継 続 していく 過 程 すべてにおい て その 時 その 時 に 自 己 の 持 つ 力 を 強 め それを 発 揮 できるようなリハビリを 行 う 34

ボディ イメージの 障 害 脱 毛 ウィッグの 準 備 色 素 沈 着 爪 の 変 化 体 重 減 少 がんの 進 行 に 伴 う 体 型 の 変 化 35 放 射 線 療 法 後 の リハビリテ-ションの 視 点 放 射 線 治 療 は 一 般 に6 週 間 短 いものでも2~3 週 間 の 期 間 にわたって 治 療 が 繰 り 返 される 治 療 の 進 行 中 周 辺 の 正 常 組 織 に 発 赤 色 素 沈 着 びらんなどの 皮 膚 障 害 がおこることがある 放 射 線 治 療 部 位 周 辺 の 皮 膚 の 保 護 に 努 め 感 染 を 予 防 する ( 副 作 用 症 状 に 対 する 援 助 ( 症 状 マネジメント 患 者 のセルフマネジメント 能 力 向 上 に 向 けた 指 導 援 助 ) 晩 期 反 応 として 神 経 系 皮 膚 骨 など 様 々な 臓 器 に 不 可 逆 性 の 障 害 を 生 じる 36

放 射 線 治 療 に 関 しては 過 剰 に 危 険 視 される 傾 向 も あるので 十 分 な 説 明 を 行 う 放 射 線 治 療 は 緩 和 医 療 を 目 的 に 行 われることもあり 身 体 的 精 神 的 な 苦 痛 を 伴 うことも 多 いので 支 持 的 サポ-トを 行 う 37 術 後 の 予 期 的 心 配 と 予 期 的 指 導 予 期 的 心 配 : 先 のことを 予 想 して 心 配 し 悩 むこと 実 際 に 患 者 が 感 じたり 見 たり 聞 いたりするであろうことに ついて 真 実 のみを 告 げ 患 者 がその 情 報 によってあら かじめ 心 配 し 悩 むことができるようにすること 例 ) 術 後 の 痛 み 術 後 のドレーン 挿 入 ボディ イメージ の 変 化 など 予 期 的 指 導 : 予 期 的 心 配 に 対 処 する 方 法 を 具 体 的 に 示 す 事 予 期 的 心 配 が 現 実 のものとなった 時 うまく 処 理 する 力 あるいは 耐 える 力 になり 現 実 に 立 ち 向 かう 力 となる 38

維 持 的 リハビリテ-ション 治 療 の 効 果 が 期 待 できず がんが 増 大 しつつあり 様 々な 機 能 障 害 能 力 低 下 が 予 測 される 進 行 がんに 対 しても セルフケア 能 力 維 持 のためにリハビリを 行 う 拘 縮 筋 萎 縮 筋 力 低 下 を 予 防 し 潜 在 能 力 を 生 かす 工 夫 をする ADL( 日 常 生 活 動 作 )や 歩 行 が 自 力 でできることが QOLの 維 持 に 結 びつき 今 できることを 最 大 限 支 援 す ることに 努 める ( 機 能 評 価 ) 39 緩 和 的 リハビリテ-ション 緩 和 ケアにおけるリハビリテーションの 役 割 は 日 常 生 活 動 作 を 維 持 改 善 することにより できる 限 り 可 能 な 最 高 のQOLを 目 指 すこと 生 命 予 後 も 考 慮 する 必 要 がある 生 命 予 後 が 月 単 位 の 場 合 には 杖 や 装 具 福 祉 機 器 を 利 用 しながら 残 存 機 能 でできる 範 囲 の 日 常 生 活 動 作 の 拡 大 を 図 る 生 命 予 後 が 週 日 単 位 の 場 合 には 疼 痛 しびれ 呼 吸 苦 浮 腫 などの 症 状 緩 和 や 精 神 心 理 面 のサポート にリハビリテーションの 内 容 を 変 更 し 患 者 やその 介 護 者 が 希 望 する 限 り 介 入 を 継 続 する 40

終 末 期 にある 患 者 や 家 族 に 対 して できるだけ 心 身 の 安 静 を 維 持 し 自 立 を 助 けるためにリハビリテーション を 行 う 痛 みや 呼 吸 困 難 などの 不 快 な 症 状 があってもベッドか らの 移 動 や 入 浴 排 泄, 車 椅 子 の 使 用 など 細 かな 日 常 生 活 行 動 に 対 して 効 率 的 な 動 作 や 方 法 を 体 得 す ることは エネルギーの 消 耗 を 最 小 にする 家 族 関 係 の 調 整 ライフスタイル( 仕 事 や 家 庭 内 での 役 割 )の 変 化 への 対 応 医 療 費 や 生 活 費 に 関 する 相 談 法 的 な 問 題 への 対 処 などさまざまな 関 わりが 必 要 になる 41 がんリハビリテーション 領 域 で 主 に 取 り 上 げられる 症 状 マネジメント リンパ 浮 腫 がんに 関 連 した 倦 怠 感 がん 性 疼 痛 呼 吸 困 難 精 神 的 健 康 の 維 持 42

がんリハビリテーションの 効 果 運 動 機 能 の 改 善 Barthel Index PSの 評 価 により 有 意 な 改 善 が 認 め られた 認 知 機 能 の 改 善 ( 頭 蓋 内 腫 瘍 と 緩 和 リハビリテーション 目 的 以 外 の 患 者 ) ADLの 拡 大 抗 がん 剤 治 療 中 や 治 療 後 の 体 力 の 低 下 や 副 作 用 の 軽 減 に 対 する 有 酸 素 運 動 の 効 果 乳 がん 術 後 の 肩 拳 上 障 害 に 対 するリハビリテーション の 効 果 肺 がん 食 道 がんの 周 術 期 呼 吸 リハビリテーションの 呼 吸 合 併 症 予 防 の 効 果 43 頭 頸 部 がん 術 後 のリハビリテーション 口 腔 ケアの 術 後 合 併 症 予 防 経 口 摂 取 率 入 院 期 間 に 対 する 効 果 脳 腫 瘍 脊 髄 腫 瘍 脊 椎 転 移 患 者 の 身 体 障 害 に 対 す る 入 院 リハビリテーションの 効 果 乳 がん 婦 人 科 がんのリンパ 節 廓 清 術 後 の 上 肢 や 下 肢 リンパ 浮 腫 の 予 防 や 軽 減 に 対 する 圧 迫 療 法 リンパ ドレナージの 効 果 などが 研 究 により 明 らかになってきている 44

参 考 文 献 1. 辻 哲 也 ( 編 集 ):がんリハビリテーションマニュアル 周 術 期 から 緩 和 ケアまで. 医 学 書 院 2011. 2. 辻 哲 也 里 宇 明 元 木 村 彰 男 ( 編 集 ): 癌 のリハビリテーション. 金 原 出 版 2006. 3. 辻 哲 也 ( 編 著 ): 実 践!がんのリハビリテーション.メヂカルフレンド 社 2007. 4. 鈴 木 志 津 枝 内 布 敦 子 ( 編 集 ) 緩 和 ターミナルケア 看 護 論 第 2 版 ヌーベル ヒロカワ 2012 5. 近 藤 まゆみ 嶺 岸 秀 子 ( 編 著 ):がんサバイバーシップ がんととも に 生 きる 人 びとへの 看 護 ケア. 医 歯 薬 出 版 株 式 会 社 2006. 6. 嶺 岸 秀 子 千 崎 美 登 子 近 藤 まゆみ( 編 著 ): 放 射 線 治 療 を 受 け るがんサバイバーへの 看 護 ケア. 医 歯 薬 出 版 株 式 会 社 2009. 45