佐賀大学事件・訴状案(最終)公開版1



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Transcription:

訴 状 2013 年 ( 平 成 25 年 )11 月 7 日 佐 賀 地 方 裁 判 所 御 中 原 告 ら 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 東 島 浩 幸 同 桑 原 健 同 梶 原 恒 夫 同 八 木 大 和 当 事 者 の 表 示 別 紙 当 事 者 目 録 記 載 の 通 り 退 職 金 請 求 事 件 訴 訟 物 の 価 額 金 364 万 0745 円 貼 用 印 紙 額 金 2 万 4000 円 1

請 求 の 趣 旨 1 被 告 は 原 告 豊 島 耕 一 に 対 し 金 191 万 4789 円 及 びこれに 対 する 平 成 25 年 4 月 1 日 から 支 払 い 済 みに 至 るまで 年 5 パーセントの 割 合 による 金 員 を 支 払 え 2 被 告 は 原 告 山 本 千 洋 に 対 し 金 172 万 5956 円 及 びこれに 対 する 平 成 25 年 4 月 1 日 から 支 払 い 済 みに 至 るまで 年 5 パーセントの 割 合 による 金 員 を 支 払 え 3 訴 訟 費 用 は 被 告 の 負 担 とする との 判 決 及 び 1 項 乃 至 2 項 について 仮 執 行 宣 言 を 求 める 請 求 の 原 因 はじめに 本 訴 訟 は 直 接 的 には 被 告 国 立 大 学 佐 賀 大 学 が 一 方 的 強 行 的 に 断 行 し ある いは 今 後 も 断 行 し 続 けようとしている 退 職 金 切 り 下 げの 是 非 を 問 うものである し かし より 本 質 的 には 本 訴 訟 においては 独 立 行 政 法 人 化 された 国 立 大 学 におけ る 教 職 員 の 労 働 契 約 上 の 権 利 の 本 来 の 在 り 方 ( 国 立 大 学 法 人 における 職 員 の 労 働 条 件 は 本 来 対 等 な 労 使 間 の 合 意 により 決 定 されるものであり そのなかで 退 職 金 を 一 方 的 に 切 り 下 げることの 是 非 )が 問 われているのであり さらには 独 立 行 政 法 人 化 された 国 立 大 学 における 大 学 の 自 治 と 国 の 文 部 行 政 の 本 来 の 在 り 方 が 問 われている のである したがって 原 告 らとしては 本 訴 訟 においては 本 訴 訟 に 深 く 内 在 しているこ れらの 本 質 的 問 題 点 について 十 分 に 留 意 された 厳 正 な 審 理 がなされるべきであると 考 えるものである 第 1 当 事 者 1 原 告 原 告 豊 島 耕 一 ( 以 下 原 告 豊 島 という ) 及 び 原 告 山 本 千 洋 ( 以 下 原 告 山 本 という また 必 要 に 応 じて 両 原 告 を 原 告 ら ということがある ) 2

は いずれも 被 告 国 立 大 学 法 人 佐 賀 大 学 の 教 員 としてその 職 務 に 精 励 してきた 原 告 らは 平 成 25 年 3 月 31 日 に 退 職 しており 同 被 告 に 対 して 退 職 金 請 求 権 を 有 している 2 被 告 被 告 国 立 大 学 法 人 佐 賀 大 学 ( 以 下 被 告 佐 賀 大 学 という )は 文 化 教 育 学 部 教 育 研 究 科 経 済 学 部 経 済 学 研 究 科 医 学 部 医 学 系 研 究 科 理 工 学 部 工 学 系 研 究 科 農 学 部 農 学 研 究 科 鹿 児 島 大 学 大 学 院 連 合 農 学 研 究 科 の5 学 部 大 学 院 6 研 究 科 を 擁 する 総 合 大 学 である 2012 年 ( 平 成 24 年 )5 月 1 日 時 点 での 学 生 数 は 7213 名 ( 学 部 生 6 184 名 大 学 院 生 991 名 であり 役 職 員 数 は 2,520 名 ( 役 員 8 名 教 員 768 名 職 員 1,157 名 非 常 勤 教 職 員 587 名 )であった( 甲 第 1 号 証 ) また 2011 年 度 ( 平 成 23 年 度 )の 被 告 佐 賀 大 学 の 収 入 総 額 は 約 331 億 5400 万 円 とされる ( 甲 第 1 号 証 ) 第 2 被 告 佐 賀 大 学 の 退 職 手 当 規 程 の 改 正 による 退 職 金 の 一 方 的 な 切 り 下 げ 1 退 職 手 当 規 程 の 改 正 被 告 佐 賀 大 学 は 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 について 2012 年 ( 平 成 24 年 )11 月 16 日 に 国 家 公 務 員 の 退 職 給 付 の 水 準 の 見 直 し 等 のための 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 24 年 法 律 第 96 号 以 下 改 正 退 職 手 当 法 という )が 成 立 したことを 受 けて(なお 同 法 の 問 題 点 については 後 述 する) 同 年 12 月 26 日 に 開 催 された 被 告 佐 賀 大 学 の 役 員 会 において 国 立 大 学 法 人 佐 賀 大 学 職 員 退 職 手 当 規 程 (2004 年 ( 平 成 16 年 )4 月 1 日 制 定 )を 改 正 した( 以 下 今 回 の 改 正 前 の 同 規 程 を 改 正 前 退 職 手 当 規 程 改 正 後 の 同 規 程 を 改 正 後 退 職 手 当 規 程 という) ( 甲 第 2 号 証 ) 2 改 正 の 内 容 この 改 正 の 内 容 は 退 職 手 当 支 給 率 の 調 整 (いわゆる 調 整 率 )を 下 記 の 3

通 りに 変 更 するというものである( 改 正 後 退 職 手 当 規 程 第 8 条 及 び 附 則 ( 平 成 24 年 12 月 26 日 改 正 )2 条 参 照 ) 記 2012 年 ( 平 成 24 年 )12 月 31 日 まで 百 分 の 104( 従 前 どおり) 2013 年 ( 平 成 25 年 )1 月 1 日 から 百 分 の 98 2013 年 ( 平 成 25 年 )10 月 1 日 から 百 分 の 92 2014 年 ( 平 成 26 年 )7 月 1 日 以 降 百 分 の 87 後 述 する 通 り この 調 整 率 の 変 更 により 原 告 らは その 本 来 受 けるべき 退 職 金 額 を 相 当 に 下 回 る 金 額 しか 受 領 することができなかった 第 3 退 職 金 の 一 方 的 切 り 下 げの 背 景 1 改 正 退 職 手 当 法 の 成 立 日 本 国 政 府 は 2012 年 ( 平 成 24 年 )8 月 7 日 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 を 平 均 402.6 万 円 引 き 下 げること および 独 立 行 政 法 人 や 地 方 公 務 員 に 対 しても 同 様 な 措 置 を 要 請 することを 内 容 とする 閣 議 決 定 ( 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 の 支 給 水 準 引 き 下 げ 等 について )をなした( 甲 第 3 号 証 ) その 後 国 家 公 務 員 の 退 職 給 付 の 給 付 水 準 の 見 直 し 等 のための 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 案 が 同 年 11 月 2 日 に 閣 議 決 定 の 上 国 会 に 提 出 され 衆 議 院 解 散 日 の 同 年 11 月 16 日 に 審 議 が 開 始 され 同 日 に 採 決 に 付 されて 可 決 成 立 した これは 国 家 公 務 員 の 給 与 減 額 削 減 に 関 して 同 年 2 月 29 日 に 成 立 し た 国 家 公 務 員 の 給 与 の 改 定 及 び 臨 時 特 例 に 関 する 法 律 ( 以 下 国 家 公 務 員 給 与 臨 時 特 例 法 という )の 場 合 と 同 様 国 会 の 末 期 に 充 分 な 審 議 が 行 われ ないままに 極 めて 短 時 間 に 採 決 されたものであり その 成 立 手 続 の 面 でも 極 め て 問 題 の 大 きい 法 律 と 言 わざるを 得 ないものである 4

2 国 家 公 務 員 退 職 手 当 の 引 き 下 げに 至 る 経 緯 2012 年 ( 平 成 24 年 )3 月 人 事 院 が 総 務 大 臣 財 務 大 臣 の 要 請 により 下 記 のような 退 職 手 当 の 調 査 報 告 を 行 った それは 企 業 規 模 50 人 以 上 の 民 間 企 業 3614 社 を 集 計 した 結 果 退 職 給 付 水 準 の 官 民 較 差 として 年 金 ( 使 用 者 拠 出 分 ) 退 職 一 時 金 を 合 わせた 退 職 給 付 総 額 での 官 民 比 較 民 間 25,477 千 円 公 務 29,503 千 円 (4,026 千 円 (13.65%) 公 務 が 上 回 る) とし 官 民 均 衡 の 観 点 から 民 間 との 較 差 を 埋 める 措 置 が 必 要 という 見 解 を 示 したものである( 甲 第 4 号 証 ) その 報 告 を 踏 まえ 政 府 は 国 家 公 務 員 制 度 改 革 推 進 本 部 に 共 済 年 金 職 域 部 分 と 退 職 給 付 に 関 する 有 識 者 会 議 を 設 置 し 同 年 7 月 5 日 にこ の 有 識 者 会 議 の 報 告 がなされた そこでは 人 事 院 調 査 結 果 にもとづき 官 民 較 差 を 是 正 すべきとの 結 論 に 至 った とし 較 差 全 額 を 退 職 手 当 の 支 給 水 準 引 き 下 げにより 行 うことが 適 当 と 結 論 づけられた( 甲 第 5 号 証 ) そし て この 報 告 を 受 けて 政 府 は 前 項 記 載 の 通 り 同 年 8 月 7 日 に 退 職 手 当 切 り 下 げの 閣 議 決 定 を 行 い その 後 改 正 退 職 手 当 法 が 成 立 したものである 3 政 府 による 独 立 行 政 法 人 への 人 件 費 引 き 下 げの 圧 力 (1) 国 家 公 務 員 給 与 臨 時 特 例 法 の 成 立 2012 年 ( 平 成 24 年 )2 月 29 日 国 の 財 政 状 況 及 び 東 日 本 大 震 災 に 対 処 する 必 要 性 にかんがみ 一 層 の 歳 出 削 減 が 不 可 欠 であるため 国 家 公 務 員 の 人 件 費 を 削 減 する 必 要 があるとの 名 目 で 国 家 公 務 員 の 給 与 の 改 定 及 び 臨 時 特 例 に 関 する 法 律 ( 以 下 国 家 公 務 員 給 与 臨 時 特 例 法 という )が 成 立 した (2) 度 重 なる 閣 議 決 定 による 圧 力 同 法 成 立 前 から 政 府 は 国 立 大 学 を 含 む 独 立 行 政 法 人 に 対 し 人 件 費 引 き 下 げの 圧 力 を 強 めてきていた すなわち 2011 年 ( 平 成 23 年 )6 月 3 日 の 閣 議 決 定 国 家 公 務 員 の 給 与 減 額 支 給 措 置 について の 中 において 独 立 行 政 法 人 の 役 職 員 の 給 与 については 法 人 の 業 務 や 運 営 のあり 方 等 その 性 5

格 に 鑑 み 法 人 の 自 律 的 自 主 的 な 労 使 関 係 の 中 で 国 家 公 務 員 の 給 与 見 直 しの 動 向 を 見 つつ 必 要 な 措 置 を 講 ずるよう 要 請 する としていた( 甲 第 6 号 証 ) また 同 年 10 月 28 日 閣 議 決 定 公 務 員 の 給 与 改 定 に 関 する 取 扱 い について においては 独 立 行 政 法 人 の 役 職 員 の 給 与 については 国 家 公 務 員 の 給 与 減 額 支 給 措 置 について に 沿 って 法 人 の 業 務 や 運 営 のあり 方 等 その 性 格 に 鑑 み 法 人 の 自 律 的 自 主 的 な 労 使 関 係 の 中 で 国 家 公 務 員 の 給 与 見 直 しの 動 向 を 見 つつ 必 要 な 措 置 を 講 ずるよう 要 請 する と 重 ねて 要 請 している( 甲 第 7 号 証 ) (3) 総 務 省 管 理 局 長 の 通 知 その 後 国 家 公 務 員 給 与 臨 時 特 例 法 制 定 後 の 2012 年 ( 平 成 24 年 )3 月 6 日 総 務 省 行 政 管 理 局 長 は 各 府 省 管 下 の 独 立 行 政 法 人 に 対 し 上 記 2 つの 閣 議 決 定 の 趣 旨 に 沿 って 各 独 立 行 政 法 人 の 役 職 員 の 給 与 について 必 要 な 措 置 を 講 ずることを 要 請 する 旨 の 独 立 行 政 法 人 における 役 職 員 の 給 与 の 見 直 しについて という 通 知 を 各 府 省 官 房 長 宛 に 発 している( 甲 第 8 号 証 ) (4) 文 科 省 大 臣 官 房 長 の 国 立 大 学 法 人 学 長 宛 の 事 務 連 絡 2012 年 ( 平 成 24 年 )3 月 8 日 上 記 通 知 を 受 け 文 科 省 大 臣 官 房 長 は 各 国 立 大 学 法 人 学 長 宛 に 法 人 の 自 律 的 自 主 的 な 労 使 関 係 の 中 で 国 家 公 務 員 の 給 与 見 直 しの 動 向 を 見 つつ 貴 法 人 の 役 職 員 の 給 与 について 必 要 な 措 置 を 講 ずるよう 要 請 いたします という 内 容 の 事 務 連 絡 を 発 している( 甲 第 9 号 証 ) (5) 退 職 手 当 減 額 を 要 請 する 閣 議 決 定 そして 本 訴 訟 の 直 接 の 対 象 である 退 職 金 に 関 しては 前 記 した 2012 年 ( 平 成 24 年 )8 月 7 日 閣 議 決 定 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 の 支 給 水 準 引 き 下 げ 等 について において 独 立 行 政 法 人 の 役 職 員 の 退 職 手 当 については 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 の 見 直 しの 動 向 に 応 じて 通 則 法 等 の 趣 旨 を 踏 まえつつ 今 般 の 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 制 度 の 改 正 に 準 じて 必 要 な 措 置 を 講 じるよう 6

要 請 を 行 う とされている( 甲 第 3 号 証 ) (6) 内 閣 官 房 行 政 改 革 推 進 室 長 及 び 総 務 省 行 政 管 理 局 長 による 要 請 その 後 前 述 したとおり 2012 年 ( 平 成 24 年 )11 月 16 日 改 正 退 職 手 当 法 が 成 立 し 同 月 30 日 内 閣 官 房 行 政 改 革 推 進 室 長 及 び 総 務 省 行 政 管 理 局 長 は 各 府 省 官 房 長 宛 で 独 立 行 政 法 人 及 び 特 殊 法 人 等 における 役 職 員 の 退 職 手 当 について を 発 した その 内 容 は 特 定 独 立 行 政 法 人 以 外 の 独 立 行 政 法 人 及 び 特 殊 法 人 等 の 職 員 の 退 職 手 当 について 各 府 省 におかれては 貴 管 下 の 法 人 に 対 して 平 成 24 年 閣 議 決 定 に 基 づき 必 要 な 措 置 を 講 ずるよ う 要 請 するよう 求 めるものである( 甲 第 10 号 証 ) (7) 文 科 省 大 臣 官 房 長 から 各 国 立 大 学 法 人 学 長 宛 の 要 請 そしてさらに 2012 年 ( 平 成 24 年 )12 月 5 日 文 科 省 大 臣 官 房 長 から 各 国 立 大 学 法 人 学 長 宛 に 独 立 行 政 法 人 及 び 特 殊 法 人 等 における 役 職 員 の 退 職 手 当 について が 発 せられた その 内 容 は 民 間 における 退 職 給 付 の 実 情 に 鑑 み 退 職 手 当 の 引 き 下 げを 行 うことを 内 容 とする 今 般 の 国 家 公 務 員 の 退 職 手 当 制 度 の 改 正 に 準 じて 貴 法 人 の 役 職 員 の 退 職 手 当 について 必 要 な 措 置 を 講 ずるよう 要 請 するというものである( 甲 第 11 号 証 ) 4 政 府 による 圧 力 の 不 当 性 (1) 国 立 大 学 法 人 における 職 員 の 労 働 条 件 は 本 来 対 等 な 労 使 間 の 合 意 により 決 定 されるべきであること 2003 年 ( 平 成 15 年 )10 月 1 日 国 立 大 学 法 人 法 が 施 行 され 被 告 佐 賀 大 学 を 含 めて 従 来 の 国 立 大 学 はすべて 2004 年 ( 平 成 16 年 )4 月 1 日 から 国 立 大 学 法 人 となった この 国 立 大 学 法 人 法 により 国 立 大 学 法 人 の 役 員 及 び 職 員 は 国 家 公 務 員 ではなくなり( 国 立 大 学 法 人 法 35 条 は 特 定 独 立 行 政 法 人 の 役 員 及 び 職 員 は 国 家 公 務 員 であるとする 独 立 行 政 法 人 通 則 法 51 条 を 準 用 していない) その 結 果 国 立 大 学 法 人 と 職 員 との 間 の 関 係 とりわけその 労 働 条 件 に 関 しては 一 般 職 の 公 務 員 の 給 与 に 関 する 法 律 や 国 家 公 務 7

員 退 職 手 当 法 など 勤 務 条 件 法 定 主 義 を 前 提 として 国 家 公 務 員 に 適 用 される 法 律 の 適 用 はなくなり あくまでも 他 の 民 間 労 働 者 と 同 様 に 労 働 基 準 法 や 労 働 契 約 法 などの 労 働 関 連 法 令 が 適 用 されることになった したがって 国 立 大 学 法 人 の 職 員 の 労 働 条 件 は 本 来 労 働 者 である 職 員 と 使 用 者 である 国 立 大 学 法 人 が 対 等 の 立 場 における 合 意 に 基 づいて 締 結 し 又 は 変 更 すべきものである( 労 働 契 約 法 3 条 1 項 及 び 労 働 基 準 法 2 条 1 項 参 照 ) それ 故 本 来 国 立 大 学 法 人 の 職 員 の 給 与 や 退 職 金 の 減 額 をなすよう 国 政 府 が 圧 力 をかけあるいは 介 入 するなどということはおよそ 許 されるこ とではないのである (2) 国 立 大 学 法 人 の 自 主 性 自 律 性 の 確 保 のための 特 段 の 配 慮 を 求 めた 衆 参 両 議 院 における 附 帯 決 議 の 存 在 また 国 立 大 学 法 人 法 の 制 定 に 際 しては 衆 参 両 院 において 国 立 大 学 の 自 主 的 自 律 的 な 運 営 の 確 保 の 重 要 性 を 指 摘 する 附 帯 決 議 がなされた すなわ ち まず 衆 議 院 においては 政 府 及 び 関 係 者 は 本 法 の 施 行 に 当 たっては 次 の 事 項 について 特 段 の 配 慮 をすべきである として 1 一 国 立 大 学 の 法 人 化 に 当 たっては 憲 法 で 保 障 されている 学 問 の 自 由 や 大 学 の 自 治 の 理 念 を 踏 まえ 国 立 大 学 の 教 育 研 究 の 特 性 に 十 分 配 慮 するとともに その 活 性 化 が 図 られるよう 自 主 的 自 律 的 な 運 営 の 確 保 に 努 めること 2 国 立 大 学 の 運 営 に 当 たっては 学 長 役 員 会 経 営 協 議 会 教 育 研 究 評 議 会 等 が それぞれの 役 割 機 能 を 十 分 に 果 たすとともに 相 互 に 連 携 を 密 にすること により 自 主 的 自 律 的 な 意 思 決 定 がなされるよう 努 めること また 教 授 会 の 役 割 についても 十 分 配 慮 すること 等 の 内 容 の 附 帯 決 議 がなされた ま た 参 議 院 においても 政 府 及 び 関 係 者 は 国 立 大 学 等 の 法 人 化 が 我 が 国 の 高 等 教 育 の 在 り 方 に 与 える 影 響 の 大 きさにかんがみ 本 法 の 施 行 に 当 た っては 次 の 事 項 について 特 段 の 配 慮 をすべきである とされ 1 国 立 大 学 の 法 人 化 に 当 たっては 憲 法 で 保 障 されている 学 問 の 自 由 や 大 学 の 自 治 8

の 理 念 を 踏 まえ 国 立 大 学 の 教 育 研 究 の 特 性 に 十 分 配 慮 するとともに その 活 性 化 が 図 られるよう 自 主 的 自 律 的 な 運 営 を 確 保 すること 2 国 立 大 学 法 人 の 運 営 に 当 たっては 学 長 役 員 会 経 営 協 議 会 教 育 研 究 評 議 会 等 がそれぞれの 役 割 機 能 を 十 分 に 果 たすとともに 全 学 的 な 検 討 事 項 に ついては 各 組 織 での 議 論 を 踏 まえた 合 意 形 成 に 努 めること また 教 授 会 の 役 割 の 重 要 性 に 十 分 配 慮 すること 等 を 内 容 とする 衆 議 院 の 附 帯 決 議 とほぼ 同 旨 の 附 帯 決 議 がなされたのである( 甲 第 12 号 証 ) この 衆 参 両 議 院 の 附 帯 決 議 に 示 された 最 大 の 趣 旨 の 一 つは 憲 法 23 条 が 保 障 している 学 問 の 自 由 及 びそのコロラリーとしての 大 学 の 自 治 の 理 念 の 下 国 立 大 学 法 人 の 自 主 的 自 律 的 な 運 営 の 確 保 のために 国 政 府 は 特 段 の 配 慮 をすべきであるということである したがって これら 附 帯 決 議 は 国 立 大 学 法 人 に 対 する 国 政 府 による 不 当 な 介 入 や 圧 力 はあってはならないと いうことを 当 然 に 含 意 していると 解 されるところである (3) 政 府 が 国 立 大 学 法 人 に 人 件 費 の 削 減 を 要 請 することは 著 しく 不 当 な 圧 力 介 入 である このように 国 立 大 学 法 人 の 職 員 の 労 働 条 件 は 本 来 対 等 な 労 使 間 の 合 意 に よって 決 定 されるべきであり また 国 政 府 は 国 立 大 学 法 人 の 自 主 性 自 律 性 に 特 段 の 配 慮 をなすべき 立 場 にある しかるに 前 項 で 見 た 通 り 政 府 はこの 間 国 立 大 学 法 人 に 対 して 人 件 費 を 削 減 するよう 執 拗 に 圧 力 をかけ 続 けてきたのであり 本 件 で 問 題 となっている 被 告 佐 賀 大 学 による 退 職 金 の 削 減 の 強 行 もこの 不 当 な 圧 力 ないし 介 入 がその 最 大 の 背 景 となっていること はいうまでもない 政 府 は 形 としては 要 請 という 表 現 を 用 いながら 実 際 には 補 助 金 交 付 などの 権 限 を 背 景 に 実 質 的 には 国 立 大 学 法 人 の 運 営 に 強 力 に 介 入 しているのである このような 国 立 大 学 法 人 の 自 主 性 自 律 性 を 著 しく 侵 害 する 政 府 の 圧 力 介 入 によってなされた 退 職 金 削 減 はおよそ 放 置 されることがあってはなら 9

ないし また 今 後 予 定 されているその 不 当 な 削 減 も 到 底 許 容 されてはならな いというべきである 第 4 本 件 における 退 職 手 当 規 程 の 不 利 益 変 更 は 無 効 であること 1 被 告 佐 賀 大 学 と 原 告 らとの 労 働 関 係 に 適 用 されるべき 法 令 前 述 したとおり 2003 年 ( 平 成 15 年 )7 月 に 国 立 大 学 法 人 法 が 成 立 し 国 立 大 学 法 人 の 職 員 は 国 家 公 務 員 ではなくなった そして 国 立 大 学 法 人 の 職 員 に は 労 働 契 約 法 や 労 働 基 準 法 など 民 間 労 働 者 に 適 用 される 法 令 が 適 用 されるこ ととなったのであり 国 立 大 学 法 人 の 職 員 の 労 働 条 件 は 本 来 対 等 な 労 使 間 の 合 意 により 定 められ 或 は 変 更 されるべきものとなったのである 2 就 業 規 則 の 一 方 的 な 不 利 益 変 更 は 原 則 として 許 されないこと 労 働 契 約 法 9 条 本 文 は 使 用 者 は 労 働 者 と 合 意 することなく 就 業 規 則 を 変 更 することにより 労 働 者 の 不 利 益 に 労 働 契 約 の 内 容 である 労 働 条 件 を 変 更 することはできないと 規 定 しており 使 用 者 が 就 業 規 則 を 一 方 的 に 不 利 益 に 変 更 することは 認 められない 被 告 佐 賀 大 学 は 前 述 したとおり 2012 年 ( 平 成 24 年 )12 月 26 日 に 開 催 された 被 告 佐 賀 大 学 の 役 員 会 において 国 立 大 学 法 人 佐 賀 大 学 職 員 退 職 手 当 規 程 (2004 年 ( 平 成 16 年 )4 月 1 日 制 定 )を 改 正 したが これは 明 ら かに 合 意 によらない 就 業 規 則 の 一 方 的 な 不 利 益 変 更 であるから 無 効 であって 原 告 らを 含 む 職 員 に 対 しては 何 らの 効 力 を 有 しないものである 3 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 は 労 働 契 約 法 10 条 に 規 定 する 要 件 も 充 足 しな いものであること 労 働 契 約 法 10 条 は 労 働 条 件 の 変 更 の 必 要 性 や 変 更 後 の 就 業 規 則 の 内 容 の 相 当 性 など 一 定 の 要 件 を 満 たす 場 合 には 例 外 的 に 合 意 によらない 就 業 規 則 の 不 利 益 変 更 の 効 力 を 認 めている しかしながら 本 件 の 改 正 後 退 職 手 当 規 程 は 労 働 契 約 法 10 条 の 定 める 各 要 件 も 何 ら 充 足 していないのであり この 点 10

からも 改 正 後 退 職 手 当 規 程 の 効 力 は 認 められない 以 下 項 を 改 めて 各 要 件 の 充 足 性 が 認 められないことについて 論 じる 4 原 告 らの 不 利 益 の 重 大 性 原 告 豊 島 は 平 成 25 年 3 月 末 日 に 退 職 し 被 告 佐 賀 大 学 より 退 職 手 当 3127 万 4903 円 の 支 給 を 受 けた( 甲 第 13 号 証 ) しかし 本 来 原 告 豊 島 が 受 け 取 るべき 退 職 手 当 は 3318 万 9692 円 (3127 万 4903 円 1.04/0.98)であった 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 により 減 額 された 退 職 手 当 の 額 は 191 万 4789 円 であ り 削 減 率 は 約 5.77%に 上 る 原 告 山 本 は 平 成 25 年 3 月 末 日 に 退 職 し 被 告 佐 賀 大 学 より 退 職 手 当 2819 万 0617 円 の 支 給 を 受 けた( 甲 第 14 号 証 甲 第 15 号 証 ) しかし 本 来 原 告 山 本 が 受 け 取 るべき 退 職 手 当 は 2991 万 6573 円 (2819 万 0617 円 1.04/ 0.98)で あ っ た 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 により 減 額 された 退 職 手 当 の 額 は 172 万 5956 円 であり 削 減 率 は 約 5.77%に 上 る 退 職 金 は 賃 金 の 後 払 いとしての 性 格 を 有 する 重 要 な 労 働 条 件 であるところ 約 5.77%もの 減 額 は 原 告 らにとって 重 大 な 不 利 益 を 及 ぼすものである 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 によれば 今 後 段 階 的 に 削 減 率 は 増 し 平 成 26 年 7 月 1 日 以 降 の 退 職 者 については 約 16.34%もの 減 額 が 予 定 されている 労 働 者 ( 教 職 員 )に 対 する 不 利 益 の 程 度 は 甚 大 である 5 退 職 金 減 額 の 必 要 性 が 認 められないこと (1) 被 告 佐 賀 大 学 の 財 政 状 況 は 退 職 金 減 額 を 不 可 避 なものとするものではない こと 被 告 佐 賀 大 学 においては 平 成 23 年 度 は 約 23 億 6990 万 円 の 純 利 益 が 計 上 されており( 甲 第 16 号 証 3 頁 ) コストを 削 減 が 必 要 な 状 況 ではない また 被 告 佐 賀 大 学 の 平 成 23 年 度 における 収 入 は 約 330 億 8834 万 円 で あるのに 対 し( 甲 第 16 号 証 3 頁 ) 退 職 手 当 支 給 額 は 約 11 億 2336 万 円 にすぎず( 甲 第 16 号 証 12 頁 ) これが 約 5.77%~ 約 16.34% 削 減 された 11

ところで 被 告 佐 賀 大 学 の 経 営 に 対 する 影 響 は 極 めて 軽 微 である (2) 運 営 交 付 金 の 減 額 分 の 補 てんは 十 分 可 能 であること 被 告 佐 賀 大 学 によれば 本 件 の 退 職 期 規 程 の 不 利 益 変 更 の 理 由 の 一 つとし て 国 立 大 学 法 人 が 承 継 職 員 に 支 給 する 退 職 手 当 の 財 源 は そのために 措 置 される 運 営 交 付 金 により 賄 われており この 運 営 交 付 金 の 額 は 国 の 給 与 制 度 国 の 退 職 手 当 制 度 により 算 定 された 範 囲 内 しか 措 置 されず したがって 運 営 交 付 金 の 減 額 分 の 補 填 ができないことを 挙 げるようである しかしながら 一 般 運 営 費 交 付 金 やその 他 の 収 入 から 退 職 引 当 金 を 積 み 立 てることは 法 令 上 何 ら 禁 止 されていないのであり 被 告 佐 賀 大 学 としては 退 職 手 当 のための 運 営 交 付 金 が 減 額 された 分 を 他 から 補 填 することは 十 分 可 能 なのである すなわち 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 等 検 討 会 議 国 立 大 学 法 人 会 計 基 準 第 86 退 職 給 付 に 係 る 会 計 処 理 は 退 職 給 付 債 務 のうち 運 営 交 付 金 に 基 づく 収 益 以 外 の 収 益 によってその 支 払 財 源 が 手 当 されることが 予 定 されて いる 部 分 については 第 35 退 職 給 付 引 当 金 の 計 上 方 法 により 退 職 給 付 引 当 金 を 計 上 する としているところである したがって 退 職 金 のために 措 置 された 運 営 費 交 付 金 以 外 の 財 源 から 退 職 金 を 支 払 うことは 可 能 なので ある( 甲 第 17 号 証 の1 甲 第 17 号 証 の2) 6 代 償 措 置 の 不 存 在 改 正 後 退 職 手 当 規 程 の 相 当 性 は 認 められないこと 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 は 全 ての 退 職 者 の 退 職 手 当 を 引 き 下 げるものであ り 代 わりに 別 の 労 働 条 件 が 改 善 されるといった 事 情 はなく 単 に 労 働 者 ( 教 職 員 )に 不 利 益 のみを 及 ぼす 内 容 となっている また 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 に 際 し 被 告 佐 賀 大 学 は 教 職 員 に 対 し 何 らの 代 償 措 置 を 執 っていない 以 上 の 点 に 照 らすと 改 正 後 退 職 手 当 規 程 は 一 方 的 に 労 働 者 の 不 利 益 を 強 い る 内 容 になっているのであって 相 当 性 がないことは 明 らかである 12

7 十 分 な 協 議 の 不 存 在 被 告 佐 賀 大 学 は 平 成 24 年 9 月 と 11 月 に 退 職 予 定 者 に 個 別 の 通 知 を 送 付 す るのみで( 甲 第 18 号 証 ) 教 職 員 全 体 に 対 し 退 職 手 当 規 程 の 改 正 について 何 らの 説 明 を 行 っていない 就 業 規 則 変 更 時 に 必 要 な 過 半 数 代 表 者 の 意 見 聴 取 義 務 は 尽 くされていない( 労 働 契 約 法 11 条 労 働 基 準 法 90 条 ) 被 告 佐 賀 大 学 は 平 成 24 年 12 月 25 日 佐 賀 大 学 教 職 員 組 合 ( 全 教 職 員 の 約 1~2 割 が 加 入 )と 退 職 手 当 についての 団 体 交 渉 を 行 ったが 退 職 手 当 減 額 の 必 要 性 について 十 分 な 説 明 を 行 わないばかりか 平 成 25 年 1 月 1 日 の 実 施 は 動 かさない との 強 硬 な 態 度 に 終 始 した( 甲 第 19 号 証 ) 被 告 佐 賀 大 学 は 同 組 合 が 労 使 間 の 合 意 が 必 要 であるとの 意 見 を 無 視 し 翌 26 日 役 員 会 にお いて 退 職 手 当 改 正 を 決 定 し その 5 日 後 の 平 成 25 年 1 月 1 日 に 退 職 手 当 の 減 額 を 強 行 した( 甲 第 20 号 証 甲 第 21 号 証 ) すなわち 被 告 佐 賀 大 学 は 教 職 員 との 合 意 が 無 いばかりか 十 分 な 協 議 を 行 わず 説 明 すらほとんどしない 中 で 退 職 手 当 の 減 額 を 強 行 したのである 8 小 括 改 正 後 退 職 手 当 規 程 は 無 効 である 本 件 退 職 手 当 規 程 の 改 正 は 就 業 規 則 の 不 利 益 変 更 であるところ 前 記 のとお り 労 働 契 約 法 10 条 の 要 件 をいずれも 満 たしていない したがって 改 正 後 退 職 手 当 規 程 は 無 効 である 第 5 原 告 らに 対 する 未 払 退 職 金 の 額 改 正 後 退 職 手 当 規 程 は 無 効 であるから 原 告 らは 被 告 に 対 し 改 正 前 退 職 手 当 規 程 に 基 づく 退 職 手 当 と 実 際 に 支 払 われた 退 職 手 当 の 差 額 について 退 職 金 請 求 権 を 有 する 前 記 第 4 4 によれば 原 告 豊 島 の 未 払 退 職 金 は 191 万 4789 円 原 告 山 本 の 未 払 退 職 金 は 172 万 5956 円 である 第 6 結 論 以 上 の 次 第 により 請 求 の 趣 旨 記 載 の 判 決 を 求 めるものである 13

証 拠 方 法 別 紙 証 拠 説 明 書 記 載 のとおり 添 付 書 類 1 甲 各 号 証 各 1 通 2 資 格 証 明 書 1 通 3 訴 訟 委 任 状 各 1 通 以 上 14