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Transcription:

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 61( 人 社 )223 236 2015 強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 竹 澤 大 史 * 幸 順 子 Fixed-term Intervention Services for Children with Severe Behavior Disorders at Residential Facilities for Children with Intellectual Disabilities Taishi TAKEZAWA and Junko YUKI 問 題 強 度 行 動 障 害 は 直 接 的 他 害 ( 噛 みつき 頭 突 きなど)や 間 接 的 他 害 ( 睡 眠 の 乱 れ 同 一 性 の 保 持 ) 自 傷 行 為 などが 通 常 考 えられない 頻 度 と 形 式 で 出 現 し その 養 育 環 境 では 著 し く 処 遇 の 困 難 なものをいい 行 動 的 に 定 義 される 群 とされる 概 念 である 1) 強 度 行 動 障 害 は 自 閉 症 スペクトラム 障 害 と 知 的 障 害 の 程 度 と 関 連 があるため 2)3) その 支 援 は 主 に 知 的 障 害 児 者 の 入 所 施 設 において 行 われてきた 4) しかし 一 旦 施 設 に 入 所 すると 支 援 が 長 期 化 し 利 用 者 が 家 庭 や 地 域 に 戻 りにくくなるという 問 題 が 指 摘 されている また 児 童 期 の 支 援 において は 家 族 へのサポートが 不 可 欠 であるが 現 状 では 家 族 支 援 の 実 践 に 関 する 報 告 は 少 なく 家 族 支 援 の 方 法 と 効 果 を 検 証 した 研 究 は 少 ない A 県 内 の 知 的 障 害 児 入 所 施 設 ( 以 下 B 施 設 )では 地 域 の 施 設 等 では 受 け 入 れることが 困 難 な 児 童 に 有 期 限 の 支 援 を 実 施 している 平 成 21 年 度 に ケースの 選 定 や 具 体 的 な 支 援 方 法 に ついて 検 討 し 平 成 22 年 度 には 自 閉 症 及 び 知 的 障 害 のある 児 童 を 対 象 に 短 期 集 中 的 に 療 育 支 援 を 実 施 し 地 域 生 活 の 安 定 を 図 ることとし 選 定 されたケースについて 支 援 を 実 施 した 本 稿 では 自 閉 症 スペクトラム 障 害 と 知 的 障 害 があり 強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 とその 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 入 所 施 設 における 有 期 限 の 支 援 とその 効 果 について 検 証 する 方 法 研 究 参 加 者 表 1に 参 加 者 ( 以 下 C 児 )の 情 報 を 示 す 性 別 年 齢 診 断 名 表 1. 参 加 者 の 情 報 男 療 育 手 帳 A 判 定 12 歳 4ヶ 月 家 族 父 母 妹 自 閉 性 障 害 知 的 障 害 入 所 期 間 平 成 22 年 3 月 から12 月 まで * 愛 知 県 心 身 障 害 者 コロニー 発 達 障 害 研 究 所 本 学 非 常 勤 講 師 223

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 期 間 平 成 22 年 3 月 から 平 成 23 年 3 月 まで 場 所 A 県 内 の 知 的 障 害 児 入 所 施 設 (B 施 設 ) 手 続 き 1. 総 合 アセスメント (1)C 児 に 関 する 評 価 1) 聞 き 取 り 平 成 20 年 5 月 から 平 成 21 年 12 月 までの 期 間 B 施 設 において 短 期 入 所 サービスを 計 4 回 利 用 した C 児 の 支 援 に 継 続 的 に 関 わってきた 地 域 の 児 童 相 談 センターからB 施 設 へ 相 談 があり 入 所 サービスの 利 用 に 至 った 気 になる 行 動 の 調 査 票 5) 日 課 記 録 用 紙 6) 生 活 史 アセスメント 7) を 用 いて 家 族 から 聞 き 取 りを 行 ったところ C 児 は 幼 少 期 から 頻 繁 に 問 題 行 動 を 示 し 小 学 高 学 年 以 降 は 他 害 やパニッ クが 激 しくなったこと 特 に 下 校 時 や 家 族 が 運 転 する 車 でのパニックが 激 しく 家 族 特 に 母 親 が 疲 弊 している 状 況 が 明 らかになった 表 2に Aの 自 宅 での 様 子 と 支 援 の 状 況 を 示 す 表 2. 自 宅 での 様 子 と 支 援 の 状 況 自 宅 での 様 子 支 援 の 状 況 パニックを 起 こすことが 多 く 壁 を 叩 いて 穴 を 開 けたり パニック 時 には 家 族 が 馬 乗 りになって 抑 え 拘 束 着 を 着 ガラス 窓 を 叩 いて 割 る 等 危 険 な 行 動 の 抑 制 が 困 難 な 状 況 せて 落 ち 着 くのを 待 つ(15 分 ほど) 父 親 は 帰 宅 時 間 が 遅 く である 他 にも 物 を 投 げたり 家 族 に 対 する 他 害 行 動 ( 叩 く 土 日 は 祖 母 の 世 話 のため 家 にいないことが 多 く 母 親 は 毎 蹴 る かみつく 等 )がみられる パニック 時 の 自 傷 行 動 と 日 の 子 育 てに 疲 れている また 母 親 がAの 他 害 行 動 の 標 的 して 自 分 の 顔 を 叩 く 手 指 のささくれをめくる 等 の 行 動 になっていることもあり 気 持 ちの 落 ち 込 みが 激 しい がみられる 前 年 度 まで 在 籍 していた 特 別 支 援 学 校 で 作 成 された 指 導 計 画 及 び 支 援 計 画 を 参 考 に C 児 の 学 校 での 様 子 特 に 得 意 な 面 と 苦 手 な 面 を 記 述 した( 表 3) 表 3.C 児 の 得 意 な 面 と 苦 手 な 面 得 意 苦 手 興 味 のある 絵 ( 乗 り 物 食 べ 物 )や 写 真 カード 簡 単 な サインを 使 って 自 分 の 要 求 を 伝 えようとすることができ る 乗 り 物 の 絵 本 を 読 むことや 散 歩 をすること 繰 り 返 して 経 験 してきた 活 動 に 対 しては 言 葉 掛 けの 指 示 で 理 解 し て 意 欲 的 に 活 動 をすることができる 新 しい 環 境 での 不 安 から 起 こると 考 えられる 自 傷 や 他 害 自 分 のやりたいことを 制 止 されると 情 緒 不 安 定 になる 苦 手 な 活 動 が 続 くと 情 緒 不 安 定 になる 物 を 投 げる 人 を 叩 く 突 然 教 室 を 飛 び 出 すなどして 教 師 の 注 意 を 引 こうとする 2) 教 育 診 断 検 査 (Psycho Educational Profile-Revised:PEP-R 8) PEP-Rは 従 来 の 発 達 検 査 や 知 能 検 査 とは 異 なり 合 格 不 合 格 の 判 定 の 他 に 芽 生 え の 反 応 を 観 察 することにより 臨 床 上 の 手 掛 かりを 得 ることができる 検 査 である 微 細 運 動 (2 歳 6カ 月 )や 粗 大 運 動 (2 歳 3カ 月 ) 目 と 手 の 協 応 (2 歳 0カ 月 )などに 比 べ 模 倣 (0 歳 8ヶ 月 ) や 言 語 理 解 (0 歳 9カ 月 ) 言 語 表 出 (0 歳 8カ 月 )などの 領 域 における 苦 手 さが 顕 著 であっ た( 表 4) 224

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 表 4.PEP-Rの 結 果 領 域 合 格 芽 生 え 発 達 年 齢 内 容 例 総 合 36/130 18/130 1 歳 6カ 月 模 倣 1/16 3/16 0 歳 8カ 月 ことば 動 作 ( 物 を 介 すと ) 知 覚 7/13 3/13 1 歳 5カ 月 聴 覚 反 応 追 視 注 視 微 細 運 動 10/16 2/16 2 歳 6カ 月 手 先 の 作 業 粗 大 運 動 13/18 1/18 2 歳 3カ 月 足 でのボールのやり 取 り 目 と 手 の 協 応 4/15 2/15 2 歳 0カ 月 複 雑 型 はめ 4 片 パズル 言 語 理 解 1/26 6/26 0 歳 9カ 月 簡 単 な 指 示 絵 と 実 物 のマッチング 言 語 表 出 0/26 1/26 0 歳 8カ 月 発 語 クレーン 物 渡 し 合 格 芽 生 え 不 合 格 3)コミュニケーション 発 達 アセスメント(Assessment Scale of Communication:ASC) 9) ASCは 発 達 障 害 のある 子 どものコミュニケーションの 発 達 の 程 度 を 調 べるための 検 査 で あり 要 求 伝 達 系 相 互 伝 達 系 音 声 言 語 理 解 得 音 声 言 語 表 出 の 下 位 領 域 からなる 表 5に 利 用 者 のASC 得 点 と 対 応 する 発 達 年 齢 を 示 す 要 求 伝 達 は0 歳 10カ 月 音 声 言 語 表 出 は0 歳 7カ 月 で 主 な 表 出 の 手 段 は 物 渡 し クレーン 写 真 カード サインなどであった 相 互 伝 達 は0 歳 9カ 月 音 声 言 語 理 解 は1 歳 1カ 月 で 単 語 や 短 文 指 差 しなどのジェスチャー 写 真 カードによる 指 示 の 理 解 は 良 好 であった 表 5.ASCの 結 果 領 域 得 点 発 達 年 齢 要 求 伝 達 系 11 0 歳 10カ 月 相 互 伝 達 系 12.5 0 歳 9カ 月 音 声 言 語 理 解 20 1 歳 1カ 月 音 声 言 語 表 出 3.5 0 歳 7カ 月 10) 4) 動 機 測 定 尺 度 (MAS) 評 価 表 MASを 用 いてC 児 の 問 題 行 動 の 機 能 を 分 析 した 感 覚 が4 点 逃 避 が16 点 注 目 が9 点 要 求 が16 点 であり 逃 避 及 び 要 求 機 能 の 順 位 が 高 く 苦 手 な 場 面 から 逃 れるため また 自 らの 要 求 を 通 すために 問 題 行 動 を 示 している 可 能 性 が 示 唆 された 5) 強 度 行 動 障 害 得 点 強 度 行 動 障 害 特 別 処 遇 事 業 で 用 いられた 判 定 基 準 11) に 照 らし 利 用 者 の 行 動 を 評 価 した( 表 6) 利 用 者 の 強 度 行 動 障 害 得 点 は21 点 で 特 別 処 遇 の 対 象 となる 条 件 を 満 たしていた (2) 家 族 に 関 する 評 価 1) 育 児 ストレスインデックス(PSI) 12) PSIは 臨 床 において 母 親 のストレスの 特 徴 をとらえ 支 援 に 結 びつけることを 目 的 に 作 成 された 尺 度 であり 78 項 目 の 質 問 に 対 し5 段 階 で 回 答 し 得 点 が 高 いほど 育 児 ストレスが 高 い ことを 示 す 図 1に C 児 の 母 親 のPSI 得 点 を 示 す 総 点 が277 下 位 尺 度 である 子 どもの 側 面 が140 同 じく 下 位 尺 度 である 親 の 側 面 が137で パーセンタイル 値 はそれぞれ99 99 95と 高 い 値 を 示 した 225

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 表 6. 強 度 行 動 障 害 得 点 項 目 頻 度 強 度 得 点 具 体 的 な 行 動 内 容 ひどい 自 傷 週 に1 2 回 1 自 分 の 顔 や 胸 を 叩 く 指 のささくれをめくる 強 い 他 傷 1 日 に1 2 回 3.5 平 手 打 ち 蹴 り 人 を 追 いかけて 叩 く 激 しいこだわり あれば( 年 に 数 回 ) 0 なし 激 しいもの 壊 し 月 に1 2 回 1 壁 を 蹴 って 穴 をあける 物 を 投 げて 壊 す 睡 眠 の 大 きな 乱 れ あれば( 年 に 数 回 ) 0 学 園 では 乱 れなし 食 事 関 係 の 強 い 障 害 1 日 に1 2 回 3.5 テーブルごとひっくり 返 す 食 器 を 投 げる 排 泄 関 係 の 強 い 障 害 月 に1 2 回 1 夜 間 布 団 内 での 失 禁 便 失 禁 も 見 られる 著 しい 多 動 月 に1 2 回 1 高 い 場 所 に 上 り 物 を 落 とす 著 しい 騒 がしさ あれば( 年 に 数 回 ) 0 なし パニックがひどく 指 導 困 難 ほぼ 毎 日 5 他 者 を 叩 く 蹴 る 物 を 投 げる 粗 暴 で 恐 怖 感 を 与 え 指 導 困 難 ほぼ 毎 日 5 要 求 が 伝 わらないと 激 しい 行 動 を 示 す 図 1.PSI 得 点 図 2.BDI-Ⅱ 得 点 2)ベック 抑 うつ 質 問 票 (BDI-Ⅱ) 13) BDI-Ⅱは DSM-Ⅳの 診 断 基 準 に 沿 って 作 成 された 抑 うつの 程 度 を 客 観 的 に 測 る 自 己 評 価 法 である 21 項 目 の 質 問 に 対 し4 段 階 で 回 答 するものである 得 点 が 高 いほど 抑 うつ 度 が 高 いこ とを 示 す 図 2にC 児 の 母 親 のBDI-Ⅱ 得 点 を 示 す 総 点 下 位 尺 度 ともに 同 年 代 の 平 均 値 を 大 きく 上 回 っていた 3)ソーシャルサポートスケール(SSS) 12) SSSは 母 親 が 重 要 な 他 者 によって 援 助 されていると 感 じる 程 度 を 測 定 することを 目 的 に 開 発 された 自 己 記 入 式 の 尺 度 である 重 要 な 他 者 を 夫 両 親 親 戚 友 人 近 所 の 人 に 分 け こ れらを 下 位 尺 度 としている 得 点 が 高 いほど 他 者 によって 援 助 されていると 感 じる 程 度 が 高 いことを 示 す 図 3にC 児 の 母 親 のSSS 得 点 を 示 す 友 人 以 外 の3つの 下 位 尺 度 で 同 年 代 の 得 点 平 均 よりも 低 く 特 に 近 所 の 人 における 得 点 が 低 かった 図 3.SSS 得 点 226

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- (3) 総 合 アセスメントのまとめ 1)C 児 の 支 援 ニーズ 視 覚 からの 情 報 が 入 りやすく 活 動 の 順 序 や 時 間 の 流 れの 理 解 が 難 しいといった 認 知 の 特 徴 が 明 らかになった またC 児 が 示 す 問 題 行 動 の 背 景 には 見 通 しの 持 ちにくさや コミュニケー ションの 表 出 面 の 苦 手 さ 感 覚 運 動 のニーズなどがあると 考 えられる 2) 家 族 の 支 援 ニーズ C 児 の 問 題 行 動 特 にパニック 時 の 激 しい 行 動 への 対 処 に 苦 慮 していることが 分 かった ま た 育 児 における 母 親 の 負 担 が 大 きく 育 児 ストレスや 抑 うつ 感 が 高 いことが 分 かった 家 族 に 対 する 地 域 での 支 援 体 制 を 確 立 する 必 要 があることが 確 認 された 2. 個 別 支 援 計 画 の 策 定 総 合 アセスメントの 結 果 をもとに 家 庭 地 域 社 会 健 康 日 常 生 活 自 立 コミュニケーショ ン 余 暇 学 習 作 業 行 動 障 害 その 他 の9 領 域 における 支 援 の 目 標 を 記 述 した( 表 7) 表 7. 個 別 支 援 計 画 表 項 目 目 標 A 家 庭 1. 家 庭 訪 問 を 行 う 2. 面 会 時 情 報 提 供 すると 共 に 支 援 方 法 について 話 し 合 う 3. 夏 休 みに 帰 省 できるよう 支 援 をする 4. 退 所 に 向 けて 自 宅 での 支 援 方 法 について 家 族 と 共 に 検 討 する B 地 域 社 会 1. 支 援 会 議 を 開 く C 健 康 1. 健 康 に 配 慮 する 2. 服 薬 状 況 を 把 握 し 日 常 の 様 子 を 担 当 医 師 に 報 告 する D 日 常 生 活 自 立 1. 規 則 正 しい 生 活 をするための 支 援 をする 2. 身 辺 自 立 のための 支 援 をする E コミュニケーション 1. 適 切 な 表 現 方 法 を 獲 得 するための 支 援 をする 2. 習 得 した 表 現 方 法 を 日 常 生 活 に 使 えるよう 支 援 をする F 余 暇 1. 職 員 と 楽 しく 過 ごしたり 散 歩 する 時 間 を 設 ける 2. 一 人 で 好 きな 車 の 本 や 車 のカタログを 見 る 時 間 を 設 ける G 学 習 作 業 1. 作 業 療 法 や 心 理 職 員 による 支 援 をおこなう 2. 自 立 課 題 に 取 り 組 めるよう 支 援 をする H 行 動 障 害 1. 自 傷 他 害 破 壊 行 動 の 原 因 を 探 る 2. 代 替 行 動 を 探 す 3.パニック 時 の 対 応 を 統 一 する I その 他 1. 支 援 方 法 を 自 宅 学 校 と 統 一 する 3. 効 果 測 定 プログラムの 効 果 を 検 証 するため 開 始 時 に 実 施 した 教 育 診 断 検 査 (PEP-R) コミュニケーショ ン 発 達 評 価 (ASC) 育 児 ストレスインデックス(PSI) ベック 抑 うつ 質 問 票 (BDI-Ⅱ) ソー シャルサポートスケール(SSS)を 終 了 時 に 再 度 実 施 し 測 定 結 果 における 事 前 事 後 の 変 化 を 比 較 検 討 した なお PSI BDI-Ⅱ SSSについては プログラム 開 始 から 約 3か 月 後 の 中 間 期 においても 測 定 した 227

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) プログラムの 内 容 1.C 児 への 支 援 (1) 日 課 活 動 の 順 番 の 理 解 を 促 す 支 援 C 児 の 日 課 活 動 の 順 番 についての 理 解 を 促 し 見 通 しを 持 ちやすくするため 職 員 が 写 真 カー ドとスケジュール 表 を 用 いた 支 援 を 以 下 の 手 順 で 実 施 した 1) 職 員 がC 児 の 部 屋 のスケジュー ル 表 に 活 動 の 内 容 を 示 す 写 真 カードを 順 番 に 掲 示 する 2) 各 活 動 の 直 前 にC 児 が 写 真 カード を 取 る 3)C 児 が 活 動 する 場 所 に 移 動 し 職 員 が 写 真 カードを 回 収 する 平 日 は 起 床 時 と 下 校 時 に 活 動 の 順 序 を 写 真 カードで 提 示 した 起 床 時 には 食 事 歯 磨 き 着 替 え 学 校 の4 種 類 下 校 後 には 着 替 え おやつ 心 理 療 法 又 は 理 学 療 法 部 屋 食 事 歯 磨 き 入 浴 寝 る の8 種 類 のカードを 掲 示 した 休 日 の 起 床 時 には 着 替 え 食 事 歯 磨 き 部 屋 食 事 歯 磨 き の6 種 類 の 絵 カードを 午 後 の 日 課 開 始 時 には 部 屋 散 歩 おやつ 部 屋 食 事 歯 磨 き 入 浴 寝 る の8 種 類 の 写 真 カードを それぞれ 提 示 した ボードから 写 真 カードを 取 る 動 作 については 身 体 介 助 から 始 め 徐 々に 支 援 を 減 らしていった C 児 が 自 発 的 に 写 真 カードを 取 るまで 待 つよう 心 掛 け 動 き 始 めるまでに 時 間 がかかる 時 や 誤 った 写 真 カードを 取 った 時 などには 声 かけ ジェスチャー 手 本 を 見 せる 身 体 ガイドの4 種 類 の 方 法 で 支 援 した (2) 食 事 場 面 での 要 求 手 段 獲 得 の 支 援 食 事 場 面 における 具 体 的 な 要 求 手 段 の 獲 得 を 目 指 し C 児 が 欲 しい 物 を 写 真 カードを 使 って 職 員 に 要 求 するよう 以 下 の 手 順 で 支 援 した 1) 職 員 が 予 めトレーの 上 に ご 飯 のおかわり カードを2 枚 ふりかけ を3 枚 味 噌 汁 スープのおかわり を1 枚 しょうゆ を1 枚 ソース を1 枚 置 く 2)C 児 は 食 事 中 席 に 座 ったまま 写 真 カードを1 枚 取 り 職 員 に 手 渡 す 3) 職 員 は 絵 カードが 示 す 物 をC 児 に 手 渡 す (3) 食 事 場 面 における 問 題 行 動 の 機 能 分 析 ストラテジーシート 14) を 使 用 して 食 事 場 面 におけるC 児 の 問 題 行 動 の 機 能 分 析 を 行 った 機 能 的 分 析 とは 問 題 となる 行 動 の 直 前 のきっかけと 直 後 の 対 応 を 工 夫 することによって そ の 行 動 の 生 起 頻 度 を 低 減 させるためのアプローチである 支 援 開 始 前 の 食 堂 での 行 動 観 察 から C 児 が 手 を 洗 った 後 トレーを 配 膳 机 に 置 いた 時 に 床 に 寝 転 ぶことが 多 いことが 分 かった そこ で 予 めご 飯 味 噌 汁 箸 等 をトレーに 準 備 して 食 席 に 設 置 し 利 用 者 が 手 を 洗 った 後 すぐ 着 席 する 流 れを 作 った 2. 家 族 への 支 援 (1) 支 援 方 法 の 伝 達 職 員 が 面 会 時 や 電 話 で B 施 設 におけるC 児 の 様 子 や 支 援 の 進 捗 を 両 親 に 報 告 した またビ デオの 映 像 やロールプレイを 通 して 自 宅 で 実 践 が 可 能 な 支 援 方 法 を 両 親 に 伝 え 帰 省 時 に 試 行 してもらい 記 録 を 取 ってもらった (2) 自 宅 訪 問 職 員 がC 児 の 自 宅 を 訪 問 し C 児 の 様 子 や 家 族 の 状 態 について 聞 き 取 りを 行 うとともに 環 境 調 整 やスケジュールの 使 い 方 など 自 宅 での 支 援 方 法 について 助 言 を 行 った また 退 所 後 の 228

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 支 援 として 再 び 職 員 が 自 宅 を 訪 れ 聞 き 取 りを 行 った 3. 支 援 会 議 の 実 施 C 児 及 び 家 族 への 支 援 を 円 滑 に 進 めるため B 施 設 内 外 の 専 門 家 及 び 地 域 の 機 関 との 連 絡 や 情 報 交 換 を 目 的 とした 支 援 会 議 を 月 1 回 のペースで 実 施 した 結 果 C 児 への 支 援 の 成 果 1. 日 課 活 動 の 順 番 の 理 解 を 促 す 支 援 表 8に 支 援 記 録 の 抜 粋 を 示 す 6 月 13 日 7 月 12 日 8 月 1 日 9 月 8 日 10 月 17 日 11 月 28 日 12 月 12 日 表 8. 支 援 記 録 の 抜 粋 カードを 上 から 順 番 に 取 ることは 概 ね 理 解 できている 落 ち 着 いているときは するよ と 声 をかけるとほぼ 自 分 でカードを 取 ることができる 絵 と 内 容 もマッチングしている 様 子 スケジュールについては 概 ね 理 解 できている 作 業 療 法 など 楽 しみな 活 動 があると 下 校 もスムーズで ある 午 後 のカードを 持 って 行 くと 職 員 の 持 っているカードを 覗 き 込 むようにして 見 る 確 認 しながら 一 枚 ず つ 提 示 し 家 族 車 家 を 提 示 した 時 には 笑 って 職 員 の 顔 に 自 分 の 顔 をつけ 抱 きつく 7 月 21 日 から 夏 休 みになり 日 課 が 変 わったが 混 乱 はなく 落 ち 着 いて 過 ごす 夏 休 み 中 の 日 課 の 中 に 個 別 の 課 題 を 取 り 入 れた カードの 意 味 は 理 解 できた 様 子 10 月 16 日 午 後 のスケジュールを 提 示 するとすぐ 散 歩 カードを 取 る 少 し 待 ってもらってから 散 歩 に 出 かけるが 特 に 問 題 なし 午 後 のスケジュールを 散 歩 余 暇 家 へ 帰 る の 順 で 提 示 ベッドからさっと 起 きて 家 へ 帰 る カー ドを 取 る 午 後 のスケジュールを 職 員 と 確 認 して 家 へ 帰 る カードはボードに 戻 す 午 後 のスケジュールを 提 示 後 速 やかに 散 歩 に 出 かける 落 ち 着 いて 出 かけられる 帰 棟 後 本 を 見 た 後 おやつ カードを 自 発 的 に 取 り おやつを 食 べる C 児 が 自 発 的 にカードを 取 った 回 数 職 員 が 援 助 した 回 数 利 用 者 がカードを 取 ることを 拒 否 した 回 数 をそれぞれ 記 録 し その 割 合 の 変 化 を 示 した( 図 4) 図 4.スケジュール 提 示 時 の 行 動 と 職 員 による 援 助 の 割 合 支 援 開 始 直 後 の2 週 間 でC 児 利 用 者 が 自 発 的 に 写 真 カードを 取 った 行 動 の 割 合 は 約 35% 自 発 的 にカードを 取 らなかった 場 合 に 職 員 が 援 助 した 割 合 が 約 62% カードを 取 ることを 拒 否 し た 割 合 は 約 3%だった その 後 自 発 的 に 写 真 カードを 取 った 行 動 の 割 合 は 徐 々に 増 大 し 相 対 的 に 職 員 の 援 助 行 動 の 割 合 が 減 少 した 職 員 の 援 助 行 動 の 中 で 指 さしなどのジェスチャー 229

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 行 動 の 割 合 が 減 少 したが その 他 の 行 動 の 割 合 には 大 きな 変 化 がみられなかった 2. 食 事 場 面 での 要 求 手 段 獲 得 の 支 援 表 9に 支 援 記 録 の 抜 粋 を 示 す 表 9. 支 援 記 録 の 抜 粋 5 月 11 日 支 援 開 始 5 月 16 日 カードを 使 用 しておかわりを 要 求 する 仕 組 みは 理 解 出 来 ている 様 子 座 っている 場 所 で 職 員 に 手 渡 すこ とは 出 来 るが 自 発 的 に 職 員 のところへは 持 ってこない 6 月 13 日 落 ち 着 いている 時 は 概 ねカードの 使 用 が 出 来 る 時 々 ふりかけ と ごはん のカードを 間 違 える ことがあるが 声 かけもしくはジェスチャーで 修 正 できる 7 月 12 日 食 事 場 面 でお 茶 カードを 追 加 したが カードの 使 用 は 出 来 ている 様 子 C 児 が 自 発 的 にカードを 職 員 に 渡 した 回 数 職 員 が 援 助 した 回 数 利 用 者 がカードを 取 るこ とを 拒 否 した 回 数 をそれぞれ 記 録 し 約 2 週 間 ごとにまとめ その 割 合 の 変 化 を 示 した( 図 5) 自 発 的 に 写 真 カードを 用 いて 要 求 する 行 動 の 割 合 は 支 援 開 始 直 後 から 大 きく その 後 更 に 増 え 相 対 的 に 職 員 の 援 助 行 動 の 割 合 が 減 少 した 職 員 の 援 助 行 動 は 支 援 開 始 直 後 は 声 かけや ジェスチャーの 割 合 が 高 かったが 徐 々に 減 少 した 図 5. 食 事 場 面 におけるカードを 用 いた 要 求 行 動 と 職 員 の 援 助 の 割 合 3. 食 事 場 面 における 問 題 行 動 の 機 能 分 析 図 6に C 児 が 食 事 場 面 で 床 に 寝 転 んだ 行 動 の1カ 月 間 の 平 均 生 起 率 を 示 す 図 6. 食 事 場 面 で 床 に 寝 転 ぶ 行 動 の1カ 月 間 の 平 均 生 起 率 支 援 開 始 前 の1カ 月 間 の 生 起 率 は 朝 食 場 面 で11.8% 夕 食 場 面 で17.1%であった 支 援 開 始 後 の 生 起 率 は 朝 食 場 面 で8.8% 夕 食 場 面 では0%で 開 始 前 と 比 べて 減 少 する 傾 向 がみ られた 230

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 家 族 への 支 援 の 成 果 1. 支 援 方 法 の 伝 達 表 10に 職 員 が 実 施 した 面 談 相 談 の 件 数 と 時 間 を 示 す 表 10. 面 談 相 談 の 件 数 と 時 間 ( 分 ) 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 計 面 会 帰 省 時 1(15) 7(120) 8(165) 7(105) 6(90) 6(90) 4(75) 7(105) 46(765) 電 話 0(0) 1(30) 1(30) 2(90) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 4(150) 帰 省 は7 月 に2 回 8 月 に1 回 9 月 に2 回 10 月 からは 毎 週 実 施 された 当 初 の 計 画 では 夏 休 み 中 に1 回 帰 省 する 予 定 だったが 夏 休 み 前 から 実 施 し 始 め 夏 休 み 以 降 も 継 続 して 実 施 した 帰 省 時 の 記 録 によって 家 庭 での 利 用 者 や 支 援 の 様 子 が 分 かり 施 設 や 家 庭 での 支 援 の 方 法 を 考 える 上 で 参 考 になった 2. 自 宅 訪 問 家 庭 訪 問 は 5 月 10 日 9 月 7 日 9 月 18 日 の 計 3 回 実 施 した 家 具 の 配 置 や 余 分 な 刺 激 の コントロール 飲 食 料 の 管 理 など 具 体 的 な 支 援 方 法 を 伝 達 した 退 所 後 平 成 23 年 1 月 14 日 3 月 17 日 に アフターフォローとして 自 宅 訪 問 を 実 施 した 表 11に 1 月 14 日 の 記 録 の 抜 粋 を 示 す 表 11. 訪 問 時 記 録 の 抜 粋 居 間 にこたつが 設 置 されていたため 動 ける 空 間 が 減 っていた 室 内 の 様 子 居 間 の 壁 とキッチンの 冷 蔵 庫 の 横 の 壁 にスケジュールと 要 求 ボードが 貼 ってある 当 日 バス 下 車 後 から 自 宅 までの 下 校 に 付 き 添 った 自 宅 到 着 するとすぐ 冷 蔵 庫 を 開 けアイス 本 人 の 様 子 を 出 していた おやつを 食 べている 途 中 でさよならをする パニックが 落 ち 着 くと 長 い 時 間 指 示 が 通 るようになった 自 傷 は 気 にならなくなった 支 援 の 状 況 トイレ 排 尿 時 自 分 でトイレに 行 き 帰 ってくるようになったことは 嬉 しい トイレの 壁 を 叩 く ことがなくなった 事 業 所 は 火 水 の 週 2 日 下 校 支 援 で1 時 間 と 土 曜 日 に 散 歩 支 援 で1 時 間 半 利 用 している 他 に 月 2 回 木 曜 日 にタイムケア( 学 校 まで 迎 えにきて18 時 まで 預 かってもらえ 自 宅 まで 送 っ 地 域 の 資 源 の 利 用 状 況 てくれるサービス)を 利 用 している 学 園 は1 月 4 日 5 日 10 日 11 日 その 他 日 帰 りで2 回 利 用 2 月 からは 月 2 回 日 月 で 利 用 予 定 服 薬 時 の 対 応 やパニック 時 の 対 応 や 生 活 記 録 の 記 入 などはアドバイス 通 り 実 践 されていた 母 親 は 穏 やかな 様 子 で 緊 迫 感 は 感 じられず 前 向 きに 頑 張 ろうとする 姿 勢 が 伺 えた 職 員 からの 感 想 助 言 スケジュールカードはボードに 貼 って 生 活 に 見 通 しが 持 てるようにする 母 親 が 頑 張 り 過 ぎることのないよう 地 域 のサービスを 利 用 していく 検 査 行 動 評 定 結 果 の 変 化 1.C 児 に 関 する 評 価 1)PEP-Rの 結 果 支 援 の 終 了 時 に PER-Rを 再 び 実 施 した 表 12に 開 始 時 と 終 了 時 のPER-Rの 発 達 得 点 を 示 す 開 始 時 と 終 了 時 の 得 点 を 比 較 すると 総 合 得 点 は36で 変 化 がなかった 知 覚 及 び 言 語 理 解 の 領 域 で 得 点 が 増 加 し 模 倣 及 び 微 細 運 動 の 領 域 で 得 点 が 低 下 した 粗 大 運 動 目 と 手 の 協 応 言 語 表 出 では 得 点 に 変 化 がみられなかった 231

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 表 12.PER-R 得 点 の 変 化 総 合 模 倣 知 覚 微 細 運 動 粗 大 運 動 目 と 手 の 協 応 言 語 理 解 言 語 表 出 開 始 時 36(18) 1(3) 7(3) 10(2) 13(1) 4(2) 1(6) 0(1) 終 了 時 36(10) 0(3) 9(1) 7(1) 13(0) 4(2) 3(3) 0(0) 表 の 数 字 は 発 達 得 点 = 合 格 ( 芽 生 え)の 数 図 7.PEP-R 発 達 月 齢 の 変 化 図 7に PEP-Rの 発 達 得 点 から 換 算 した 発 達 月 齢 の 変 化 を 示 した 総 合 発 達 年 齢 粗 大 運 動 目 と 手 の 協 応 言 語 表 出 における 発 達 年 齢 に 変 化 はみられなかった 知 覚 の 領 域 における 発 達 年 齢 が1 歳 5カ 月 から2 歳 1カ 月 へ 言 語 理 解 が9カ 月 から1 歳 2カ 月 へと 上 昇 した 一 方 模 倣 と 微 細 運 動 の 発 達 年 齢 が それぞれ7ヵ 月 から4カ 月 2 歳 6カ 月 から1 歳 10カ 月 へと 低 下 した 2)ASCの 結 果 表 13 及 び 図 8 9にASC 得 点 と 発 達 年 齢 の 変 化 を 示 した 要 求 伝 達 系 相 互 伝 達 系 音 声 言 語 理 解 の 領 域 において 得 点 が 増 加 し 対 応 する 発 達 年 齢 も 上 昇 した 表 13.ASC 得 点 と 発 達 年 齢 の 変 化 領 域 開 始 時 (4 月 6 日 ) 終 了 時 (12 月 24 日 ) 発 達 得 点 発 達 年 齢 発 達 得 点 発 達 年 齢 要 求 伝 達 系 11 0 歳 10カ 月 14 1 歳 1ヶ 月 相 互 伝 達 系 12.5 0 歳 9カ 月 14.5 0 歳 10カ 月 音 声 言 語 理 解 20 1 歳 1カ 月 22 1 歳 3カ 月 音 声 言 語 表 出 3.5 0 歳 7カ 月 3.5 0 歳 7ヵ 月 図 8.ASC 得 点 の 変 化 図 図 9.ASC 発 達 年 齢 の 変 化 232

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 2. 家 族 に 関 する 評 価 1)PSIの 結 果 図 10に PSI 得 点 の 変 化 を 示 す 開 始 時 から 約 5カ 月 後 に6 点 減 少 し 7ヵ 月 後 の 終 了 時 に は 更 に4 点 減 少 した 子 どもの 側 面 については 開 始 時 から 約 5カ 月 後 に12 点 増 加 し 終 了 時 には5 点 減 少 した 親 の 側 面 では 約 5カ 月 後 に18 点 減 少 し 終 了 時 には1 点 増 加 した 図 10.PSI 得 点 の 変 化 図 11.BDI-Ⅱ 得 点 の 変 化 2)BDI-Ⅱの 結 果 図 11にBDI-Ⅱ 得 点 の 変 化 を 示 す 開 始 時 に24 点 だった 総 点 は 徐 々に 減 少 し 終 了 時 には8 点 になった 身 体 感 情 面 及 び 認 知 面 の 得 点 も 終 了 時 に 向 けて 減 少 する 傾 向 がみられた 3)SSSの 結 果 図 12にSSS 得 点 の 変 化 を 示 す 夫 の 得 点 が 開 始 時 から 終 了 時 に 増 加 する 傾 向 が 見 られ 終 了 時 には 同 年 代 の 平 均 を 大 きく 上 回 っていた 両 親 親 戚 及 び 友 人 の 得 点 には 大 き な 変 化 はなく 同 年 代 の 平 均 とほぼ 同 じ 得 点 であった 近 所 の 得 点 は 一 旦 上 昇 したが 終 了 時 には 再 び 低 下 した 図 12.SSS 得 点 の 変 化 3. 支 援 会 議 の 実 施 表 14に 実 施 された 支 援 会 議 のテーマを 示 す 支 援 会 議 には 職 員 に 加 え 家 族 や 地 域 の 支 援 相 談 教 育 機 関 も 出 席 し B 施 設 における 支 援 の 内 容 や 進 捗 退 所 後 の 支 援 体 制 などにつ いて 話 し 合 った 233

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 5 回 第 6 回 第 7 回 第 8 回 第 9 回 第 10 回 第 11 回 第 12 回 第 13 回 表 14. 支 援 会 議 の 日 時 とテーマ 関 係 機 関 顔 合 わせ 今 後 の 確 認 予 定 支 援 目 標 の 設 定 と 供 に 支 援 方 法 記 録 方 法 を 決 める 支 援 目 標 提 示 支 援 計 画 と 関 係 機 関 の 役 割 確 認 支 援 状 況 の 経 過 報 告 家 族 支 援 について 地 域 との 調 整 連 絡 現 在 の 支 援 と 本 人 の 状 況 帰 省 について 課 題 の 整 理 帰 省 時 の 支 援 現 在 までの 支 援 と 本 人 家 族 の 状 況 帰 省 時 の 支 援 地 域 関 係 機 関 との 会 議 に 向 けて 退 所 後 の 支 援 地 域 生 活 での 支 援 に 向 けて 支 援 の 実 施 状 況 の 整 理 と 退 所 支 援 に 向 けて 支 援 の 報 告 と 地 域 関 係 者 との 意 見 交 換 退 所 後 の 支 援 について 退 所 後 の 支 援 について 退 所 後 の 支 援 を 含 めた 今 後 の 課 題 について 考 察 C 児 への 支 援 スケジュール 表 を 用 いた 支 援 を 実 施 したところ 職 員 がスケジュールを 提 示 した 後 C 児 が 写 真 カードを 自 発 的 に 操 作 する 行 動 が 増 加 する 傾 向 がみられた C 児 が 活 動 の 順 序 を 理 解 し 1 日 の 見 通 しをもって 安 心 して 活 動 に 参 加 する 様 子 が 伺 えた また 食 事 場 面 において 写 真 カー ドを 用 いた 要 求 手 段 の 獲 得 支 援 や 行 動 問 題 の 機 能 分 析 を 実 施 したところ 利 用 者 の 自 発 的 な 要 求 行 動 の 頻 度 が 増 加 する 一 方 食 堂 での 問 題 行 動 の 頻 度 が 低 下 する 傾 向 がみられた C 児 が 写 真 カードという 具 体 的 な 要 求 手 段 を 用 いて 職 員 とのコミュニケーションにおける 成 功 体 験 の 積 み 重 ねが C 児 の 表 現 の 一 種 であった 問 題 行 動 の 軽 減 につながったと 考 えられる 上 記 の 方 法 は C 児 が 穏 やかに 生 活 できる 環 境 を 保 障 するためには 不 可 欠 であり 今 後 も 支 援 の 継 続 が 望 まれる また 他 の 強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 者 への 支 援 においても 有 効 なアプロー チであると 考 えられるため 他 の 入 所 施 設 や 特 別 支 援 学 校 での 応 用 が 期 待 される 家 族 への 支 援 面 会 時 や 帰 省 時 に 家 族 と 面 談 し 支 援 の 内 容 と 進 捗 を 報 告 するとともに ビデオの 映 像 やロー ルプレイなどを 通 して 具 体 的 な 支 援 の 方 法 を 家 族 に 伝 えた また 自 宅 訪 問 を 実 施 し 環 境 調 整 やスケジュール 表 の 使 い 方 など 自 宅 での 支 援 方 法 について 助 言 を 行 った 退 所 後 のフォロー として 再 び 自 宅 を 訪 問 し C 児 や 家 族 の 様 子 地 域 での 支 援 の 状 況 について 家 族 から 聞 き 取 りを 行 った 退 所 時 の 測 定 の 結 果 入 所 時 と 比 較 して 母 親 の 抑 うつ 感 が 軽 減 される 傾 向 がみら れたことから 一 連 の 支 援 が 母 親 の 不 安 や 悩 みの 軽 減 に 寄 与 した 可 能 性 が 示 唆 される 今 後 の 課 題 本 ケースでは 入 所 から 退 所 まで 約 9カ 月 という 従 来 の 施 設 支 援 と 比 べると 短 い 期 間 でC 児 及 び 家 族 への 支 援 を 行 い 一 定 の 成 果 を 示 すことができた 限 られた 条 件 の 中 で 施 設 の 職 員 がそれぞれの 専 門 性 を 活 かしつつ 協 力 し 合 いながら 一 つのチームとして 取 り 組 んだこと が 今 回 の 成 果 につながったと 考 えられる 各 施 設 各 職 員 の 役 割 分 担 を 明 確 にし 情 報 の 共 234

強 度 行 動 障 害 を 示 す 児 童 と 家 族 を 対 象 とした 知 的 障 害 児 施 設 における 有 期 限 の 入 所 支 援 -モデルケースの 実 践 を 通 して- 有 交 換 をしっかり 行 うことによって チーム アプローチがうまく 機 能 したと 考 えられる その 結 果 として 総 合 アセスメントから 支 援 計 画 の 策 定 支 援 の 実 施 効 果 検 証 までのプロセ スを 効 率 よく 進 めることができたと 考 えられる 入 所 施 設 におけるC 児 への 生 活 支 援 に 加 え 母 親 を 中 心 とした 家 族 への 支 援 に 取 り 組 んだこ とも 本 ケースにおける 大 きな 成 果 の 一 つである 母 親 との 信 頼 関 係 をもとに ロールプレイ を 実 施 したり スケジュール 表 を 用 いた 支 援 を 帰 省 時 に 家 庭 で 試 行 してもらうなど 具 体 的 な 支 援 方 法 の 伝 達 に 努 めた また 自 宅 訪 問 を 通 して 家 庭 における 支 援 環 境 方 法 について 助 言 をするなど アウトリーチ サービスも 実 施 した C 児 の 家 庭 地 域 への 帰 還 を 前 提 とした 本 ケースにおいて 家 族 支 援 に 関 わる 新 たな 取 り 組 みを 実 施 した 意 義 は 大 きい 上 記 のチーム アプローチや 家 族 支 援 は 職 員 にとって 新 たな 試 みであり 今 後 支 援 を 進 め ていく 上 で 通 常 の 想 定 を 超 える 業 務 の 増 大 が 予 想 される 研 修 等 を 通 して 職 員 の 人 材 育 成 を 図 るとともに 医 師 や 作 業 療 法 士 心 理 士 などの 専 門 家 が 専 属 的 に 事 業 に 関 わることのできる 体 制 を 整 える 必 要 がある 地 域 の 関 係 機 関 との 連 携 については 支 援 会 議 等 を 通 してC 児 と 家 族 の 情 報 を 共 有 し 退 所 後 の 支 援 について 協 力 体 制 を 確 認 できた 意 義 は 大 きい 今 後 は 地 域 の 各 機 関 の 役 割 や 支 援 資 源 について 確 認 しながら 早 い 段 階 から 退 所 後 の 支 援 計 画 の 策 定 や 支 援 体 制 の 確 立 に 向 けた 話 し 合 いを 進 めていく 必 要 がある また 退 所 後 のフォローについて 施 設 がどこまで 関 わるべきか 地 域 の 機 関 との 役 割 分 担 についても 検 討 する 必 要 がある 支 援 の 評 価 に 関 する 課 題 として プログラムに 対 するC 児 や 家 族 の 満 足 度 の 測 定 や 退 所 後 の 再 測 定 を 実 施 するなど プログラムを 包 括 的 に 評 価 する 方 法 を 検 討 する 必 要 がある その 他 アセスメント 項 目 の 精 査 やアセスメントチームメンバーの 選 定 なども 今 後 の 課 題 である Abstract The purpose of this study was to examine the effectiveness of intervention services for a 12-year-old boy with Autism Spectrum Disorders and intellectual disabilities and for his family. Staff members conducted comprehensive assessment at the beginning of intervention, made an individual service plan for the participant, and provided intervention services such as functional analysis of his challenging behavior. They also provided his family information on intervention services and techniques which could be used at home. The results revealed a drop in the rate of challenging behavior as he attained his ways of communication such as giving a photo-card to show his demands to the staff. We also found improvement of his mother's depression condition at the end of the program. We concluded that residential intervention services with outreach services for the family members could be effective for improving the challenging behavior of children with severe behavior disorders. 235

名 古 屋 女 子 大 学 紀 要 第 61 号 ( 人 文 社 会 編 ) 文 献 1. 行 動 障 害 児 ( 者 ) 研 究 会. 強 度 行 動 障 害 児 ( 者 )の 行 動 改 善 および 処 遇 のあり 方 に 関 する 研 究. 財 団 法 人 キリン 記 念 財 団 女 性 研 究 報 告 書,1989. 2. 井 上 雅 彦, 岡 田 涼, 野 村 和 代, 安 達 潤, 辻 井 正 次, 大 塚 晃, 市 川 宏 伸. 強 度 行 動 障 害 における 自 閉 性 障 害 との 関 連 性. 精 神 医 学,54,473-481,2012. 3. 三 島 卓 穂, 川 崎 葉 子, 飯 田 雅 子, 他. 強 度 行 動 障 害 の 臨 床 的 研 究. 発 達 障 害 研 究,21, 202-213, 1999. 4. 佐 藤 暁, 中 村 洋 子, 田 之 畑 保 夫. 強 度 行 動 障 害 特 別 処 遇 事 業 終 了 後 の 施 設 一 般 棟 における 療 育 の 展 開. 特 殊 教 育 学 研 究,38,71-78,2001. 5. 岩 嶋 利 恵. 知 的 障 害 児 の 家 族 のライフスタイルに 適 合 した 協 働 的 な 取 り 組 み. 発 達 障 害 研 究,30,p322-327, 2008. 6. 長 畑 正 道 小 林 重 雄 野 口 幸 弘 園 山 繁 樹. 行 動 障 害 の 理 解 と 援 助.コレール 社,2008. 7. 園 山 繁 樹. 発 達 障 害 の 心 理 的 アプローチ.Monthly Book Medical Rehabilitation, 103, 43-49, 2009. 8. E.ショプラー, 茨 木 俊 夫. 新 訂 自 閉 児 発 達 障 害 児 教 育 診 断 検 査 - 心 理 教 育 プロフィール(PEP-R)の 実 際. 川 島 書 店,1995. 9. 長 崎 勤, 小 野 里 美 帆.コミュニケーションの 発 達 と 指 導 プログラム 発 達 に 遅 れをもつ 乳 幼 児 のために. 日 本 文 化 科 学 社,1996. 10. Durand, Mark, and Daniel B. Crimmins. The Motivation Assessment Scale Administration Guide. Topeka, KS: Monaco & Associates, 1992. 11. 厚 生 省. 厚 生 省 通 達 強 度 行 動 障 害 特 別 処 遇 事 業 の 取 り 扱 いについて.1993. 12. 兼 松 百 合 子, 荒 木 暁 子, 奈 良 間 美 保, 白 畑 範 子, 丸 光 恵, 荒 屋 敷 亮 子. 育 児 ストレスインデックス. 雇 用 問 題 研 究 会,2006. 13.Beck, A. T., Steer, R. A., & Brown, G. K. 日 本 版 BDI-Ⅱ-ベック 抑 うつ 質 問 票 -. 日 本 文 化 科 学 社,2006. 14. 岸 本 友 宏, 井 上 雅 彦. 行 動 上 の 問 題 のある 子 どもの 指 導 にあたる 教 師 支 援 の 試 み- 研 修 会 方 式 による 支 援 効 果 の 検 討 -. 日 本 LD 学 会 第 13 回 大 会 発 表 論 文 集, 180-181,2004. 236