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Transcription:

社 外 取 締 役 の 導 入 は 外 国 人 投 資 家 を 引 きつけるのか 政 府 の 主 張 の 検 証 目 次 1. はじめに 2. 研 究 の 背 景 3. 社 外 取 締 役 の 導 入 その 独 立 性 の 強 化 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 3.1. 社 外 取 締 役 の 導 入 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 3.2. 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 4. 重 回 帰 分 析 による 検 証 4.1. 分 析 の 方 法 4.2. 社 外 取 締 役 の 導 入 の 効 果 4.3. 独 立 性 の 強 化 の 効 果 4.4. 外 国 人 投 資 家 を 呼 び 込 む 要 因 5. 終 わりに 補 論 注 参 考 文 献 参 考 サイト 亀 山 翔 平 河 本 絵 梨 子 北 原 成 憲 杉 浦 智 史 近 岡 知 美 1

要 旨 近 年 政 府 は 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 へ 参 入 させるため グローバルスタンダー ドのコーポレート ガバナンス 体 制 の 確 立 に 注 力 している 政 府 はそのための 具 体 的 な 手 段 として 社 外 取 締 役 の 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 に 関 する 施 策 を 検 討 している しか し 社 外 取 締 役 を 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 によって 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 本 当 に 参 入 させることができるのだろうか そのことを 実 証 的 に 分 析 した 研 究 は ほと んど 存 在 していない すなわち 政 府 が 検 討 している 施 策 にはその 効 果 を 裏 付 ける 根 拠 が 欠 落 しているのが 現 状 である そこで 我 々は 社 外 取 締 役 の 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 が 日 本 の 資 本 市 場 に 参 入 する 外 国 人 投 資 家 を 増 加 させるかどうかを 実 証 的 に 考 察 する 分 析 においては 外 国 人 投 資 家 の 増 加 を 計 る 指 標 として 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 用 いる また 独 立 取 締 役 の 導 入 を 独 立 性 の 強 化 とみなす そして 東 証 一 部 上 場 企 業 を 対 象 に 社 外 取 締 役 導 入 後 に 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 するのか また 独 立 取 締 役 導 入 後 に 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 するのかを 実 証 的 に 考 察 する その 結 果 社 外 取 締 役 の 導 入 独 立 取 締 役 の 導 入 には 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 効 果 はないことが 明 らかにな った そして 日 本 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 要 因 は 企 業 規 模 や 収 益 性 健 全 性 であり 政 府 が 期 待 を 寄 せている 社 外 取 締 役 の 導 入 やその 独 立 性 の 強 化 ではないこと が 判 明 した 2

1. はじめに 近 年 政 府 は 日 本 における 上 場 企 業 のコーポレート ガバナンスの 改 革 に 注 力 している なお 本 稿 での 政 府 とは コーポレート ガバナンスについて 議 論 を 行 っている 経 済 (1) 産 業 省 法 務 省 金 融 庁 とする 政 府 がコーポレート ガバナンスの 改 革 に 注 力 する 理 由 は 金 融 庁 の 我 が 国 金 融 資 本 市 場 の 国 際 化 に 関 するスタディグループ 報 告 書 (2009) に 以 下 のように 述 べられている 我 が 国 上 場 会 社 等 のコーポレート ガバナンスについては 内 外 の 投 資 者 等 から 強 い 懸 念 が 示 されており このことが 日 本 株 全 体 に 対 する 市 場 評 価 を 低 下 させ る 大 きな 要 因 となっているとの 指 摘 がある 我 が 国 市 場 の 国 際 的 な 地 位 の 低 下 が 叫 ばれる 中 その 地 位 の 回 復 を 図 っていくために 残 された 時 間 は 限 られたもので あることを 忘 れてはならない ( 中 略 ) 同 時 に 我 が 国 市 場 が 国 際 化 している 今 日 内 外 の 投 資 者 等 の 十 分 な 理 解 を 得 て 国 際 的 なレベルでの 信 認 を 確 保 できるも のであることが 強 く 求 められる 我 が 国 市 場 に 対 する 市 場 参 加 者 の 信 頼 が 損 なわ れることとなれば 我 が 国 の 経 済 全 体 の 成 長 や 国 民 の 豊 かさの 実 現 に 極 めて 重 大 な 悪 影 響 を 及 ぼすこととなりかねない (1-2 頁 ) 以 上 の 報 告 書 より 金 融 庁 は 日 本 の 資 本 市 場 低 迷 の 原 因 がコーポレート ガバナンスの 弱 さにあると 捉 えている そして コーポレート ガバナンスを 改 善 することで 国 際 的 な 信 認 を 獲 得 し 外 国 人 投 資 家 を 今 以 上 に 日 本 の 資 本 市 場 に 参 加 させることができると 考 えて いる つまり 政 府 が 考 える 改 革 すべき 課 題 とは 内 外 の 投 資 家 から 理 解 が 得 られるコー ポレート ガバナンス つまりグローバルスタンダードのコーポレート ガバナンスを 確 立 することだと 言 える また 経 済 産 業 省 の 企 業 統 治 研 究 会 報 告 書 (2009)には グローバルスタンダードのコ ーポレート ガバナンスについて 以 下 のように 述 べられている 世 界 がグローバル 化 している 中 で より 世 界 の 投 資 家 が 理 解 納 得 しやすい 制 度 を 考 えることは 大 切 である 日 本 企 業 の 多 くがグローバルに 展 開 しており また 日 本 の 株 式 市 場 も 外 国 人 比 率 が 非 常 に 高 くなっている このような 中 社 外 取 締 役 社 外 監 査 役 の 独 立 性 の 強 化 や 社 外 取 締 役 の 導 入 促 進 など 我 が 国 の 企 業 統 治 に 関 するルールの 在 り 方 について 海 外 からも 提 言 が 寄 せられている いたずらに 欧 米 の 形 式 に 倣 う 必 要 はないが 株 式 市 場 に 国 境 がない 以 上 国 際 的 な 納 得 可 能 性 は 大 切 である (3 頁 ) つまり 企 業 統 治 研 究 会 報 告 書 によると 経 済 産 業 省 は 社 外 取 締 役 の 導 入 やその 独 立 性 の 強 化 は グローバルスタンダードを 達 成 し 国 際 的 な 納 得 可 能 性 を 高 める 上 で 重 要 であ ると 考 えている しかし 一 般 社 団 法 人 日 本 取 締 役 協 会 の 上 場 企 業 のコーポレート ガバナンス 調 査 3

2010 (2010)によると 東 証 一 部 における 社 外 取 締 役 選 任 企 業 は 全 体 の 半 分 弱 (48%)で あり 1 社 当 たりの 社 外 取 締 役 の 平 均 人 数 は 2 人 にすぎない さらに 日 本 の 社 外 取 締 役 の 多 くは 親 会 社 や 関 係 会 社 出 身 者 メインバンクからの 派 遣 者 親 族 などであり 独 立 性 が 不 十 分 である その 一 方 で コーポレート ガバナンスの 先 駆 者 である 米 国 では 100%の 上 場 企 業 が 社 外 取 締 役 を 起 用 している また 上 場 規 制 により 取 締 役 会 に 占 める 社 外 取 締 役 の 過 半 数 は 独 立 性 の 強 い 社 外 取 締 役 でなくてはならないとされている すなわち 米 国 の 社 外 取 締 役 の 選 任 状 況 と 日 本 の 社 外 取 締 役 の 選 任 状 況 を 比 較 すると 両 者 には 大 きな 差 が 見 られる このことから 日 本 のコーポレート ガバナンスの 状 況 はグローバルスタン ダードと 大 きくかけ 離 れていることがわかる なお 社 外 監 査 役 については 社 外 監 査 役 は 社 外 取 締 役 とは 異 なり ガバナンス 機 能 を 十 分 に 持 っておらず 国 際 的 にグローバル スタンダードのコーポレート ガバナンスとして 認 識 が 薄 い ( 2) ため 本 稿 の 本 論 では 触 れず 本 稿 の 補 論 にて 言 及 する そして 実 際 に 政 府 はこの 状 況 を 解 決 するために 社 外 取 締 役 の 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 に 関 する 施 策 の 実 施 を 検 討 している その 意 欲 の 強 さは 2009 年 12 月 に 東 京 証 券 取 (3) 引 所 において 上 場 会 社 に 1 名 以 上 独 立 役 員 の 確 保 を 義 務 づける 独 立 役 員 制 度 が 成 立 したことに 反 映 されたとみられる また 法 務 省 の 会 社 法 制 部 会 参 考 資 料 (2010)におい ても 一 般 株 主 に 代 わって 経 営 陣 を 監 督 する 独 立 社 外 取 締 役 の 設 置 の 義 務 化 あるい は 設 置 を 誘 導 する 法 規 定 の 創 設 を 検 討 すべきではないか (17 頁 ) と 述 べられている しかし 社 外 取 締 役 と 外 国 人 投 資 家 との 関 係 に 関 する 研 究 は 進 んでおらず 新 田 (2009) と 三 輪 (2010)の 研 究 に 限 られる さらに 社 外 取 締 役 の 導 入 やその 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 投 資 家 の 投 資 行 動 に 影 響 を 与 えることを 立 証 した 実 証 分 析 はまだなされていない つ まり 政 府 は 社 外 取 締 役 による 日 本 企 業 のガバナンス 強 化 に 強 い 意 欲 を 持 っているが 現 状 では 政 府 の 期 待 する 効 果 が 存 在 するのかどうかは 不 確 実 である そこで 本 稿 では 社 外 取 締 役 の 導 入 また 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 参 入 させる 効 果 を 持 つのかどうかを 実 証 的 に 分 析 し 政 府 の 施 策 の 正 当 性 を 検 証 する 本 稿 では 日 本 の 資 本 市 場 における 外 国 人 投 資 家 の 増 加 を 計 る 指 標 として 日 本 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 に 注 目 する また 独 立 取 締 役 の 導 入 を 独 立 性 の 強 化 とみなす そして 東 証 一 部 上 場 企 業 を 対 象 に 社 外 取 締 役 の 導 入 後 または 独 立 取 締 役 の 導 入 後 に 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 上 昇 傾 向 はあるのかを 実 証 的 に 分 析 する 分 析 の 結 果 社 外 取 締 役 独 立 取 締 役 の 導 入 ともに 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 効 果 は 無 く 政 府 の 主 張 は 正 当 な ものではないことが 明 らかになった 本 稿 の 構 成 は 以 下 の 通 りである まず 第 2 節 で 本 研 究 の 背 景 について 述 べる 次 に 第 3 節 では 我 々の 用 いた 企 業 のデータを 紹 介 し 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 に 有 意 な 差 があるのか 実 証 的 に 分 析 を 行 う また 第 4 節 では 社 外 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 増 加 させる 効 果 があるのかを 実 証 的 に 分 析 するととも に 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 変 化 を 与 える 要 因 は 何 か 考 察 する そして 最 後 に 第 5 節 で 我 々 4

の 分 析 結 果 を 考 察 し まとめとする 2. 研 究 の 背 景 社 外 取 締 役 の 導 入 や その 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 投 資 家 の 日 本 市 場 への 参 入 に 繋 がると 考 えられる 理 由 として 次 の 2 点 が 考 えられる 1 点 目 は コーポレート ガバナンスを 強 化 することによる 企 業 パフォーマンスの 向 上 である 一 般 的 に 投 資 家 は 高 い 企 業 パフォ ーマンスを 実 現 している 企 業 に 投 資 を 行 うと 考 えられる したがって 企 業 パフォーマン スが 世 界 的 に 高 い 水 準 まで 向 上 するのであれば 外 国 人 投 資 家 は 日 本 市 場 へ 参 入 してくる と 考 えられる また 2 点 目 は 前 節 で 述 べたグローバルスタンダードのコーポレート ガ バナンスを 達 成 することによる 国 際 的 信 認 の 獲 得 である 1 点 目 のコーポレート ガバナンスと 企 業 パフォーマンスの 関 係 については これまで 様 々な 研 究 がなされてきており 社 外 取 締 役 と 企 業 パフォーマンスの 関 係 についても 数 多 くの 研 究 がある Bhagat and Black(2002)は 企 業 パフォーマンスを 測 る 指 標 に 資 産 に 対 する 営 業 利 益 率 資 産 に 対 する 売 上 比 率 トービンの Q などを 挙 げ 取 締 役 会 の 独 立 性 と 企 業 パフォーマンスとの 関 係 性 について 調 べている その 結 果 取 締 役 会 の 独 立 性 が 高 い 企 業 ほど 企 業 パフォーマンスがかえって 低 いことを 示 している また Hermalin and Weisbach(1991)は 取 締 役 会 に 占 める 社 外 取 締 役 比 率 を 40% 以 下 40%から 60% 60% 以 上 の 3 通 りに 分 けて トービンの Q との 相 関 関 係 について 調 べている そして 取 締 役 会 に 占 める 社 外 取 締 役 比 率 とトービンの Q の 間 には 有 意 な 相 関 関 係 が 見 ら れないことを 報 告 している 他 にも Yermack(1996)の 実 証 分 析 においては 取 締 役 会 内 部 の 独 立 的 な 取 締 役 の 比 率 の 高 さとトービンの Q には 有 意 な 相 関 関 係 が 見 られないことが 示 されている (4) 日 本 国 内 の 研 究 では 宮 島 新 田 (2006)が 社 外 取 締 役 比 率 と 業 績 変 化 の 間 には 正 の 相 関 関 係 があることを 見 出 している しかし 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 (2003)は 社 外 取 締 役 の 導 入 が 直 接 的 にはパフォーマンスの 向 上 につながらないと 主 張 している また 宮 島 原 村 稲 垣 (2003)も 社 外 取 締 役 と 企 業 パフォーマンスの 間 には 有 意 な 相 関 関 係 はないと 述 べている つまり 現 状 では 社 外 取 締 役 並 びに 独 立 取 締 役 と 企 業 パフォーマンスとの 関 係 につい て 決 定 的 な 答 えは 見 つかっていない したがって 政 府 が 社 外 取 締 役 の 導 入 やその 独 立 性 の 強 化 に 期 待 する 効 果 は 日 本 市 場 の 国 際 的 信 認 の 獲 得 のみであると 考 えられる しかし その 政 府 の 考 えを 裏 付 ける 研 究 は 非 常 に 尐 ない 我 々が 調 査 した 結 果 社 外 取 締 役 と 外 国 人 投 資 家 との 関 係 に 関 する 研 究 は 前 節 で 述 べたように 新 田 (2009)と 三 輪 (2010)の 研 究 に 限 られる 新 田 (2009)は 社 外 取 締 役 と 外 国 人 投 資 家 との 関 係 について 独 立 性 の 高 い 社 外 取 締 役 を 有 する 企 業 は 独 立 性 の 低 い 社 外 取 締 役 を 有 する 企 業 に 比 べ 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 高 い ことを 示 している この 結 果 から 新 田 (2009)は 外 国 人 投 資 家 は 投 資 の 意 思 決 定 にお 5

いて 社 外 取 締 役 の 独 立 性 を 考 慮 している 可 能 性 が 高 い と 指 摘 している しかし この 分 析 からは 独 立 取 締 役 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 因 果 関 係 は 分 かっておらず 独 立 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 高 めているのか 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 高 い 企 業 が 独 立 取 締 役 を 導 入 しているのかを 特 定 することができない また 三 輪 (2010)は 社 外 取 締 役 比 率 独 立 取 締 役 比 率 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 関 係 を 検 討 し 社 外 取 締 役 比 率 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 増 加 確 率 には 有 意 な 関 係 はないこと また 独 立 取 締 役 比 率 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 増 加 確 率 には 負 の 関 係 があることを 示 している しかしこの 研 究 は 社 外 ( 独 立 ) 取 締 役 比 率 の 水 準 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 増 加 確 率 に 与 える 影 響 を 分 析 するものであり 社 外 取 締 役 独 立 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 へ 与 える 影 響 を 直 接 検 証 するものではない そこで 我 々は 社 外 取 締 役 の 導 入 並 びに 独 立 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 与 える 効 果 を 実 証 的 に 分 析 する それによって 政 府 の 主 張 が 正 当 なものかどうかを 検 証 す る 3. 社 外 取 締 役 の 導 入 その 独 立 性 の 強 化 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 我 々は 日 本 企 業 が 社 外 取 締 役 を 導 入 し またその 独 立 性 を 強 化 することによって 実 際 に 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 呼 び 込 むことができるのかを 実 証 的 に 分 析 する 以 下 にその 分 析 方 法 を 述 べる まず 日 本 の 資 本 市 場 における 外 国 人 投 資 家 の 増 加 を 計 る 指 標 として 日 本 企 業 におけ る 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 に 注 目 する また 日 本 を 代 表 する 企 業 を 分 析 の 対 象 とするこ とが 最 も 相 応 しいと 考 え 東 証 一 部 上 場 企 業 をサンプルとした そして 社 外 ( 独 立 ) 取 締 役 を 新 たに 導 入 した 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 社 外 取 締 役 を 導 入 していない 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 よりも 上 昇 していたとすれば 社 外 ( 独 立 ) 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 投 資 家 を 引 きつける 効 果 が 立 証 できると 考 えた なお 本 稿 の 分 析 で 用 いる 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は 日 経 NEEDS-FAME のデータ をもとに 算 出 した 3.1. 社 外 取 締 役 の 導 入 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 まず 社 外 取 締 役 の 導 入 後 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 非 導 入 企 業 より も 上 昇 するのかどうかを 平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 って 検 証 する 2002 年 から 2008 年 までの 各 年 を 基 準 年 (t 年 )とし t 年 以 降 の 年 を t+1 年 t+2 年 t +3 年 と 表 記 する 基 準 年 を 2002 年 からとした 理 由 は 2001 年 以 前 に 社 外 取 締 役 を 導 入 し ている 企 業 が 極 端 に 尐 なく 十 分 な 分 析 が 行 えないと 判 断 したためである また 基 準 年 を 2008 年 までとした 理 由 は 2010 年 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 発 表 されていない 企 業 があり 2008 年 から 2009 にかけての 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 が 算 出 可 能 な 直 近 のデータであっ たためである まず 各 年 の 基 準 年 (t 年 )より 前 に 一 度 も 社 外 取 締 役 を 導 入 したことがない 企 業 をそ 6

の 基 準 年 のサンプルとして 抽 出 する そして 基 準 年 (t 年 )に 各 企 業 が 社 外 取 締 役 を 導 入 したのかどうかを 調 べ 導 入 した 企 業 を 社 外 取 締 役 導 入 企 業 導 入 しなかった 企 業 を 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 とする なお 社 外 取 締 役 の 有 無 は 各 企 業 の 有 価 証 券 報 告 書 から 判 断 し サンプルにはデータ 取 得 可 能 な 東 証 一 部 上 場 企 業 1344 社 を 用 いた そして 次 に 基 準 年 (t 年 )から t+1 年 t+2 年 t+3 年 までに 外 国 人 持 ち 株 比 率 がどれ だけ 変 化 しているか 調 べる つまり t+1 年 t+2 年 t+3 年 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 から t 年 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 引 いた 値 を それぞれ 1 年 間 2 年 間 3 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 とする そして 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 の 間 で これらの 変 化 幅 の 平 均 値 に 有 意 な 差 があるかどうかを 検 証 する また 外 国 人 持 ち 株 比 率 のデータが 2009 年 まで 得 られることから 1 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 (( t+1 年 )-t 年 )を 分 析 する 際 の 基 準 年 は 2002 年 から 2008 年 までの 7 通 り 2 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 (( t+2 年 )- t 年 )を 分 析 する 際 の 基 準 年 は 2002 年 から 2007 年 までの 6 通 り 3 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 (( t+3 年 )-t 年 )を 分 析 する 際 の 基 準 年 は 2002 年 から 2006 年 までの 5 通 りと する なお 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 1 年 間 から 3 年 間 の 3 通 りの 期 間 に 分 けて 分 析 を 行 う 理 由 は 社 外 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 影 響 を 及 ぼすのに 時 間 がかかる 可 能 性 を 考 慮 したためである ただ 社 外 取 締 役 を 導 入 してから 4 年 以 上 経 過 すると 社 外 取 締 役 の 導 入 は 外 国 人 持 ち 株 比 率 にほとんど 影 響 を 与 えないと 考 え 社 外 取 締 役 を 導 入 してか ら 4 年 以 降 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 は 分 析 の 対 象 から 除 外 した 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 平 均 値 は 図 表 1 図 表 2 図 表 3 の 通 りである 7

図 表 1 社 外 取 締 役 の 導 入 と 1 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 外 国 人 持 ち 株 比 率 の1 年 間 の 変 化 幅 (t+1 年 )-t 年 t 年 社 外 取 締 役 導 入 企 業 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 平 均 値 の 差 ( 導 入 - 非 導 入 ) 2002-0.002 0.000 [64] [1256] -0.003(0.459) 2003 0.034 0.027 [141] [1115] 0.007(0.193) 2004 0.016 0.019 [173] [942] -0.003(0.335) 2005 0.014 0.024 [75] [867] -0.001(0.031) ** 2006 0.013 0.007 [61] [805] 0.007(0.175) 2007 0.003 0.007 [48] [758] -0.004(0.457) 2008-0.036-0.021 [42] [716] -0.015(0.030) ** ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 [ ] 内 はサンプル 数 を 示 す 図 表 2 社 外 取 締 役 の 導 入 と 2 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 外 国 人 持 ち 株 比 率 の2 年 間 の 変 化 幅 (t+2 年 )-t 年 t 年 社 外 取 締 役 導 入 企 業 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 平 均 値 の 差 ( 導 入 - 非 導 入 ) 2002 0.044 0.027 [65] [1115] 0.017(0.012) ** 2003 0.055 0.046 [141] [942] 0.009(0.167) 2004 0.035 0.043 [173] [867] -0.008(0.071) * 2005 0.015 0.031 [75] [806] -0.016(0.012) ** 2006 0.009 0.002 [61] [758] 0.007(0.461) 2007-0.043-0.027 [48] [716] -0.016(0.100) ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 [ ] 内 はサンプル 数 を 示 す 8

図 表 3 社 外 取 締 役 の 導 入 と 3 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 外 国 人 持 ち 株 比 率 の3 年 間 の 変 化 幅 (t+3 年 )-t 年 t 年 社 外 取 締 役 導 入 企 業 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 平 均 値 の 差 ( 導 入 - 非 導 入 ) 2002 0.061 0.047 [65] [942] 0.014(0.170) 2003 0.078 0.070 [141] [867] 0.008(0.289) 2004 0.038 0.049 [173] [806] -0.011(0.035) ** 2005 0.010 0.025 [75] [758] -0.016(0.012) ** 2006-0.026-0.020 [61] [716] -0.006(0.434) ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 [ ] 内 はサンプル 数 を 示 す まず 図 表 1 で 社 外 取 締 役 導 入 後 1 年 間 での 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 で 比 較 する 図 表 1 の 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 における 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 平 均 値 の 差 は 2003 年 2006 年 の 2 年 はどちらも 0.007 とな り 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 方 が 非 導 入 企 業 に 比 べてより 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 している しかし この 差 はいずれも 統 計 的 に 有 意 ではなかった 一 方 2002 年 2004 年 2005 年 2007 年 2008 年 の 5 年 はそれぞれ-0.003-0.003-0.001-0.004-0.015 となり むしろ 非 導 入 企 業 の 方 が 導 入 企 業 に 比 べてより 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は 大 きい そし て これら 5 年 の 中 で 2005 年 と 2008 年 はその 差 が 5% 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であった 次 に 図 表 2 で 2 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 が 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 とで 異 なるかどうかを 見 る 図 表 2 では 両 者 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 平 均 値 の 差 は 2002 年 2003 年 2006 年 の 3 年 はそれぞれ 0.017 0.009 0.007 となり 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 方 が 非 導 入 企 業 に 比 べて 大 きい しかし これらの 中 で その 差 が 有 意 であっ たのは 2002 年 だけであり より 直 近 の 2003 年 2006 年 においては 統 計 的 に 有 意 ではない 一 方 2004 年 2005 年 2007 年 の 3 年 はそれぞれ-0.008-0.016-0.016 となり 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 の 方 が 導 入 企 業 に 比 べて 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 している( 又 は 減 尐 幅 が 小 さくなっている) これらの 中 で 2004 年 にはその 差 が 1% 水 準 で 2005 年 には 5% 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であった しかし 2007 年 における 差 は 統 計 的 に 有 意 ではなかった 最 後 に 図 表 3 で 社 外 取 締 役 導 入 後 3 年 間 での 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 非 導 入 企 業 と 比 較 して 上 昇 したかを 見 る 図 表 3 を 見 ると 社 外 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 における 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 平 均 値 の 差 は 2002 年 と 2003 年 の 2 年 は それぞれ 0.014 0.008 となり 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 方 が 非 導 入 企 業 に 比 べてより 外 国 人 9

持 ち 株 比 率 が 上 昇 している しかし この 2 年 においてその 差 は 統 計 的 に 有 意 ではなかっ た 一 方 2004 年 2005 年 2006 年 の 3 年 はそれぞれ-0.011-0.016-0.006 となり 社 外 取 締 役 非 導 入 企 業 の 方 が 導 入 企 業 に 比 べてより 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 している( 或 いは 減 尐 幅 が 小 さくなっている) これらの 中 で その 差 は 2004 年 と 2005 年 は 5% 水 準 で 統 計 的 に 有 意 であり 2006 年 は 統 計 的 に 有 意 ではなかった 以 上 の 図 表 1 から 図 表 3 の 結 果 をまとめると 社 外 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 方 が 非 導 入 企 業 よりも 大 きい 年 がある 一 方 で むしろ 非 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 方 が 導 入 企 業 よりも 大 きい 年 もあった このことからすると 社 外 取 締 役 の 導 入 が 必 ずしも 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 伸 ばすとは 言 えないことになる この 結 果 は 政 府 の 主 張 ( 社 外 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 投 資 家 を 引 きつける)が 実 証 的 な 根 拠 を 持 たない ことを 示 している 3.2. 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 3.1.から 社 外 取 締 役 を 導 入 することが 必 ずしも 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 引 き 上 げるとは 限 らないことがわかった しかし 企 業 統 治 研 究 会 報 告 書 (2009)にあるように 政 府 は 外 国 人 投 資 家 は 社 外 取 締 役 の 独 立 性 にも 注 目 している と 主 張 する そこで 以 下 では 独 立 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 非 導 入 企 業 よりも 上 昇 するのかを 実 証 的 に 分 析 す る 本 稿 では 全 サンプルを 独 立 取 締 役 導 入 企 業 と 独 立 取 締 役 非 導 入 企 業 に 分 けるにあたっ て 有 価 証 券 報 告 書 に 加 えて 各 企 業 が 毎 年 東 京 証 券 取 引 所 に 提 出 している コーポレー ト ガバナンスに 関 する 報 告 書 を 用 いた コーポレート ガバナンスに 関 する 報 告 書 は 2006 年 から 提 出 が 義 務 化 されたものであるため 2005 年 以 前 の 独 立 取 締 役 の 導 入 状 況 は 分 からない したがって 2006 年 以 前 は 初 めて 独 立 取 締 役 を 導 入 した 企 業 かどうかが 特 定 で きないため 2007 年 と 2008 年 のみを 基 準 年 (t 年 )として 分 析 を 行 う まず データ 取 得 可 能 な 東 証 一 部 上 場 企 業 1376 社 のうち t 年 までに 一 度 も 独 立 取 締 役 を 導 入 したことがない 企 業 を 抽 出 する そして 抽 出 した 企 業 のうち t 年 に 独 立 取 締 役 を 導 入 した 企 業 を 独 立 取 締 役 導 入 企 業 t 年 に 依 然 として 独 立 取 締 役 を 導 入 していない 企 業 を 独 立 取 締 役 非 導 入 企 業 とする 我 々は 各 企 業 の 取 締 役 を 独 立 取 締 役 であると 判 断 する 基 準 として 社 外 取 締 役 のうち 以 (5) 下 に 示 す 条 件 のいずれにも 該 当 しない 者 を 独 立 取 締 役 と 定 めた a. 親 会 社 出 身 b. 他 の 関 係 会 社 出 身 c. 当 該 会 社 の 大 株 主 d. 当 該 会 社 又 は 当 該 会 社 の 特 定 関 係 事 業 者 の 業 務 執 行 取 締 役 執 行 役 等 の 配 偶 者 三 親 等 以 内 の 親 族 その 他 これに 準 ずる 者 e. 当 該 会 社 の 親 会 社 又 は 当 該 親 会 社 の 子 会 社 から 役 員 としての 報 酬 等 その 他 の 財 産 10

上 の 利 益 を 受 けている 者 そして 独 立 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 で 1 年 間 (t 年 から t+1 年 まで)の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 を 比 較 する 2007 年 と 2008 年 に 関 してそれぞれのグループの 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 の 平 均 値 を 求 め そこに 統 計 的 に 有 意 な 差 があるかどうかを 見 る ちなみに 基 準 年 が 2007 年 と 2008 年 のみであったため 基 準 年 から 2 年 後 3 年 後 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は 検 証 しなかった 独 立 取 締 役 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は 図 表 4 にまとめられて いる 図 表 4 独 立 取 締 役 の 導 入 と 1 年 間 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 外 国 人 持 ち 株 比 率 の1 年 間 の 変 化 幅 (t+1 年 )-t 年 t 年 独 立 取 締 役 導 入 企 業 独 立 取 締 役 非 導 入 企 業 平 均 値 の 差 ( 導 入 - 非 導 入 ) 2007-0.012-0.005 [58] [615] -0.007(0.204) 2008-0.035-0.022 [34] [577] -0.013(0.075) * ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 [ ] 内 はサンプル 数 を 示 す 図 表 4 を 見 ると 2007 年 は 独 立 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は-0.012 で あり 非 導 入 企 業 の 変 化 幅 は-0.005 なので 導 入 企 業 の 方 が 非 導 入 企 業 よりも 外 国 人 持 ち 株 比 率 は 減 尐 していた また 2008 年 も 独 立 取 締 役 導 入 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 は-0.035 と 非 導 入 企 業 の 変 化 幅 よりも 小 さく その 差 は 有 意 となっている ゆえに 独 立 取 締 役 を 導 入 したことが 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させるとは 言 えない 以 上 の 結 果 から 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 呼 び 込 むという 政 府 の 主 張 は 実 証 的 に 否 定 された 4. 重 回 帰 分 析 による 検 証 3 節 では 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 社 外 取 締 役 または 独 立 取 締 役 の 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 で 比 較 した その 結 果 前 者 が 後 者 より 大 きくなるとは 限 らず 政 府 の 主 張 に 根 拠 が 無 いことを 示 した 次 に 社 外 取 締 役 独 立 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 にどのような 影 響 を 与 えるのか 重 回 帰 分 析 を 用 いてより 正 確 に 検 証 する 4.1. 分 析 の 方 法 重 回 帰 分 析 では それぞれ 導 入 状 況 を 表 すダミー 変 数 を 用 いて 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 被 説 明 変 数 におき 社 外 取 締 役 の 導 入 または 独 立 取 締 役 の 導 入 の 効 果 を 見 る 重 回 帰 11

分 析 を 行 う 理 由 は 2 つ 挙 げられる 第 一 に 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 に 影 響 を 与 えると 予 想 されるコントロール 変 数 を 用 いることで 社 外 取 締 役 の 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 の 影 響 を より 正 確 に 実 証 するためである 第 二 に 社 外 取 締 役 の 導 入 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 影 響 を 与 えないとすれば 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 要 因 は 一 体 何 であるかを 検 討 するためである 重 回 帰 分 析 のモデルは 以 下 の 通 りである ( 6) 推 計 式 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 ((t+1 年 )-(t 年 ))=a +bx 1 ( 社 外 取 締 役 導 入 ダミー( 又 は 独 立 取 締 役 導 入 ダミー)) +cx 2 (PBR) +dx 3 (ROE) +ex 4 ( 負 債 比 率 ) +fx 5 (DOE) +gx 6 (log 総 資 産 ) +hx 7 ( 外 国 人 持 ち 株 比 率 ) +ix 8 (ストックオプション 導 入 ダミー) +jx 9 (log 海 外 売 上 高 ) +kx 10 (PBR の 変 化 幅 ) +lx 11 (ROE の 変 化 幅 ) +mx 12 ( 負 債 比 率 の 変 化 幅 ) +nx 13 (DOE の 変 化 幅 ) +u ここで u は 攪 乱 項 を 示 している そして 上 の 式 の 被 説 明 変 数 と 説 明 変 数 の 定 義 は 以 下 の 通 りである 被 説 明 変 数 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 ((t+1 年 )-(t 年 ))( 単 位 :ポイント) 被 説 明 変 数 は 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 用 いる 変 化 幅 は t+1 年 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 から t 年 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 引 いたものである 説 明 変 数 1. 社 外 取 締 役 導 入 ダミー 基 準 年 よりも 前 に 社 外 取 締 役 を 一 度 も 導 入 していない 企 業 のうち 基 準 年 に 社 外 取 締 役 12

を 導 入 した 企 業 は 1 導 入 しなかった 企 業 は 0 となるダミー 変 数 である 政 府 は 外 国 人 投 資 家 は 社 外 取 締 役 を 導 入 した 企 業 を 評 価 し それによって 社 外 取 締 役 を 導 入 した 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 すると 考 えている したがって 政 府 の 主 張 が 正 しいのであ れば このダミー 変 数 の 係 数 は 正 になると 推 測 される 2. 独 立 取 締 役 導 入 ダミー 基 準 年 よりも 前 に 独 立 取 締 役 を 一 度 も 導 入 していない 企 業 のうち 基 準 年 に 独 立 取 締 役 を 導 入 した 企 業 は 1 導 入 しなかった 企 業 は 0 となるダミー 変 数 である 政 府 は 外 国 人 投 資 家 が 独 立 取 締 役 を 導 入 した 企 業 を 評 価 することで 独 立 取 締 役 を 導 入 した 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 すると 考 えている したがって 政 府 の 主 張 が 正 しいのであれば このダミー 変 数 の 係 数 は 正 になると 推 測 される なお 社 外 取 締 役 導 入 ダミーは 社 外 取 締 役 導 入 に 関 する 分 析 にのみ 用 い 独 立 取 締 役 導 入 ダミーは 独 立 取 締 役 導 入 に 関 する 分 析 にのみ 用 いる そして 以 下 は 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 に 影 響 を 与 えうる 要 因 として 推 計 式 に 追 加 されるコントロール 変 数 である 3. PBR とその 変 化 幅 ( 単 位 : 倍 ) PBR は 株 価 / 一 株 当 たり 純 資 産 で 表 される PBR は 株 式 市 場 において 株 価 が 割 安 か 割 高 かを 相 対 的 に 示 す 指 標 である PBR が 高 い 時 外 国 人 投 資 家 がそれを 割 高 な 株 式 と 判 断 すれば 投 資 には 踏 み 切 らないと 考 えられる しかし 一 方 で 外 国 人 投 資 家 がそれを 人 気 の 高 い 株 式 と 判 断 するなら その 株 式 を 購 入 する 可 能 性 もある よって PBR とその 変 化 幅 が 正 負 どちらの 係 数 を 持 つかは 明 らかではない 4. ROE とその 変 化 幅 ( 単 位 :%) ROE は 当 期 純 利 益 / 株 主 資 本 で 表 される 一 般 的 に ROE が 高 ければ 効 率 的 な 経 営 を 行 っている 企 業 と 判 断 できる 欧 米 では 企 業 は 株 主 のもの であるという 意 識 が 強 いため 外 国 人 投 資 家 は 株 主 資 本 の 効 率 性 を 表 す ROE の 値 に 敏 感 に 反 応 すると 推 測 される それゆ え ROE とその 変 化 幅 の 係 数 は 正 となると 推 測 される 5. 負 債 比 率 とその 変 化 幅 ( 単 位 :%) 負 債 比 率 は 負 債 総 額 / 自 己 資 本 で 表 される バブル 崩 壊 以 前 の 日 本 企 業 は メインバン クによるガバナンスが 行 われていたと 言 われる 外 国 人 投 資 家 はこのメインバンクの 規 律 付 けを 期 待 し 負 債 比 率 が 高 い 企 業 に 対 して 外 国 人 投 資 家 はより 投 資 を 行 うとも 考 えられ る しかし 一 方 で 三 輪 (2010)は 外 国 人 株 主 が 負 債 比 率 の 高 い 企 業 にあまり 投 資 して いない と 主 張 しており そのことからすると 負 債 比 率 の 係 数 が 負 になる 可 能 性 もある 13

ゆえに 正 負 どちらの 係 数 となるかは 明 らかでない 6. DOE とその 変 化 幅 ( 単 位 :%) DOE は 年 間 配 当 金 / 株 主 資 本 である つまり これは 株 主 資 本 に 対 して 企 業 がどれだけ の 利 益 を 配 分 しているかを 表 す 指 標 である 一 般 的 に 外 国 人 は 配 当 による 株 主 還 元 を 好 むと 考 えられるため DOE とその 変 化 幅 の 係 数 は 正 になると 予 想 される 7. log 総 資 産 ( 単 位 : 百 万 円 ) 総 資 産 は 一 般 に 企 業 規 模 を 表 すものである 企 業 規 模 が 大 きな 企 業 はより 多 くの 外 国 人 投 資 家 にその 存 在 が 認 識 されていると 考 えられるため log 総 資 産 は 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 正 の 影 響 を 及 ぼすと 考 えられる 8. 外 国 人 持 ち 株 比 率 (t 年 の 値 )( 単 位 :%) 外 国 人 投 資 家 が 日 本 企 業 に 投 資 する 際 他 の 外 国 人 投 資 家 の 動 向 を 投 資 判 断 の 参 考 にす る 可 能 性 がある もしそうだとすると 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 値 はその 変 化 にプラスの 影 響 を 与 えるだろう その 一 方 で 既 に 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 高 い 企 業 は その 持 ち 株 比 率 の 増 加 の 余 地 が 尐 なくなるとも 考 えられるため 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 係 数 は 負 になる 可 能 性 も ある ゆえに 正 負 どちらの 係 数 になるかは 明 らかでない 9. ストックオプション 導 入 ダミー 基 準 年 にストックオプションを 導 入 している 企 業 は 1 導 入 していない 企 業 は 0 と なるダミー 変 数 である ストックオプションを 導 入 することで 経 営 者 に 株 主 重 視 の 経 営 を 行 うインセンティブが 生 まれると 期 待 できる したがって 企 業 は 株 主 のもの である という 意 識 が 強 い 外 国 人 投 資 家 は ストックオプション 導 入 企 業 を 好 むと 考 えられる 10. log 海 外 売 上 高 ( 単 位 : 百 万 円 ) 海 外 売 上 高 が 高 ければ 海 外 での 企 業 の 認 知 度 が 高 いと 考 えられる 海 外 での 認 知 度 が 高 い 企 業 はそうでない 企 業 よりも 外 国 人 投 資 家 に 選 ばれやすいため log 海 外 売 上 高 の 係 数 は 正 になると 予 想 される 説 明 変 数 のうち PBR ROE 負 債 比 率 DOE log 総 資 産 のデータは 日 経 Financial Quest より 取 得 した また 外 国 人 持 ち 株 比 率 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 のデータは 日 経 NEEDS-FAME より 得 た 説 明 変 数 の 記 述 統 計 量 は 図 表 5 の 通 りである 14

図 表 5 記 述 統 計 量 平 均 値 中 央 値 標 準 偏 差 最 小 値 最 大 値 標 本 数 社 外 取 締 役 導 入 ダミー 0.086 0.000 0.280 0.000 1.000 2450 独 立 取 締 役 導 入 ダミー 0.063 0.000 0.243 0.000 1.000 590 PBR 1.596 1.240 2.185 0.238 67.544 2450 ROE 4.284 4.700 12.004-202.270 86.220 2450 負 債 比 率 220.021 101.265 2580.927 1.000 115507.590 2450 DOE 1.921 1.750 1.327 0.000 16.290 2450 log 総 資 産 11.489 11.302 1.197 8.396 15.604 2450 外 国 人 持 ち 株 比 率 0.125 0.094 0.113 0.000 0.745 2450 ストックオプション 導 入 ダミー 0.166 0.000 0.372 0.000 1.000 2450 log 海 外 売 上 高 9.799 9.852 2.118 0.000 15.644 2450 PBRの 変 化 幅 -0.084 0.069 4.590-204.552 64.099 2450 ROEの 変 化 幅 1.178 0.555 15.614-252.400 213.700 2450 負 債 比 率 の 変 化 幅 -21.170-2.695 3554.107-114762.900 112183.270 2450 DOEの 変 化 幅 0.209 0.040 0.738-10.460 15.110 2450 4.2. 社 外 取 締 役 の 導 入 の 効 果 まず 最 初 に 社 外 取 締 役 を 導 入 した 企 業 は 外 国 人 投 資 家 の 投 資 を 呼 び 込 めるのかを 検 証 する 推 計 にあたってはクロスセクションデータ パネルデータの 2 種 類 を 使 用 した 重 回 帰 分 析 による 推 計 結 果 は 図 表 6 にまとめられている 15

2003 2004 2005 2006 2007 2008 パネル 切 片 社 外 取 締 役 導 入 ダミー PBR ROE 負 債 比 率 DOE log 総 資 産 外 国 人 持 ち 株 比 率 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 PBRの 変 化 幅 ROEの 変 化 幅 負 債 比 率 の 変 化 幅 DOEの 変 化 幅 -0.058-0.050-0.102-0.038-0.086-0.039-0.040 (0.009) *** (0.009) *** (0.000) *** (0.084) * (0.000) *** (0.086) * (0.000) *** 0.011-0.003-0.007 0.016-0.010-0.019 0.001 (0.129) (0.564) (0.484) (0.036) ** (0.215) (0.064) * (0.530) 0.005 0.004 0.001 0.002 0.004 0.008 0.002 (0.172) (0.013) ** (0.708) (0.305) (0.190) (0.027) ** (0.000) *** 0.000 0.000 0.000 0.001 0.000-0.000 0.000 (0.939) (0.957) (0.320) (0.057) * (0.485) (0.927) (0.160) 0.000 0.000 0.000-0.000-0.000-0.000-0.000 (0.372) (0.007) *** (0.002) *** (0.921) (0.471) (0.133) (0.000) *** 0.001 0.002-0.002-0.003-0.001-0.001-0.001 (0.829) (0.226) (0.394) (0.111) (0.763) (0.613) (0.144) 0.005 0.005 0.011 0.003 0.008 0.005 0.006 (0.043) ** (0.005) *** (0.000) *** (0.181) (0.001) *** (0.041) * (0.000) *** -0.034-0.057-0.129-0.052-0.118-0.149-0.086 (0.274) (0.009) *** (0.000) *** (0.032) ** (0.000) *** (0.000) *** (0.000) *** 0.007-0.005-0.004-0.002 0.004 0.001 0.001 (0.271) (0.314) (0.470) (0.679) (0.415) (0.828) (0.053) * 0.003 0.001 0.003 0.002 0.000-0.002 0.002 (0.008) *** (0.229) (0.020) ** (0.082) (0.817) * (0.209) (0.001) *** -0.003 0.001 0.001 0.004 0.001 0.017 0.001 (0.462) (0.001) *** (0.396) (0.087) * (0.366) (0.001) *** (0.001) ** 0.000 0.000 0.000-0.001 0.001 0.000-0.000 (0.649) (0.823) (0.577) (0.005) *** (0.038) ** (0.360) (0.541) 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 (0.493) (0.099) * (0.103) (0.886) (0.023) ** (0.004) *** (0.062) * 0.003 0.002 0.000 0.001-0.002 0.001 0.001 (0.511) (0.531) (0.958) (0.853) (0.665) (0.884) (0.563) 補 正 R2 0.057 0.062 0.078 0.048 0.093 0.223 0.229 サンプル 数 518 469 394 379 354 336 2450 ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 図 表 6 社 外 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 与 える 影 響 : 重 回 帰 分 析 16

まずクロスセクションデータを 用 いた 各 年 の 推 定 結 果 を 考 察 する 図 表 6 では 社 外 取 締 役 導 入 ダミーの 係 数 は 2003 年 と 2006 年 の 2 年 においてそれぞれ 0.011 0.016 と 正 であ り そのうち 2006 年 の 係 数 は 5% 水 準 で 有 意 であった しかし 2004 年 2005 年 2007 年 2008 年 においては ダミー 変 数 の 係 数 はそれぞれ-0.003-0.007-0.01-0.019 となった このうち 2008 年 の 係 数 は 10% 水 準 で 有 意 であった 次 にパネル 分 析 の 推 定 結 果 においては 社 外 取 締 役 導 入 ダミーの 係 数 は 0.001 とほとんどゼロに 近 く 統 計 的 にも 有 意 でなかった これらの 推 定 結 果 からすると 社 外 取 締 役 の 導 入 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させるとは 言 えない つまり 社 外 取 締 役 の 導 入 には 政 府 の 期 待 する 効 果 に 実 証 的 な 根 拠 は 持 たないことが 明 らかになった 4.3. 独 立 性 の 強 化 の 効 果 次 に 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 によって 外 国 人 投 資 家 を 獲 得 できるのかを 検 証 する 推 計 にあたってはクロスセクションデータ パネルデータの 2 種 類 を 使 用 した 4.1.で 示 し た 推 計 式 を 用 いた 重 回 帰 分 析 による 推 計 結 果 は 図 表 7 の 通 りである 17

図 表 7 独 立 取 締 役 の 導 入 に 関 する 重 回 帰 分 析 推 計 結 果 2007 2008 パネル 切 片 独 立 取 締 役 導 入 ダミー PBR ROE 負 債 比 率 DOE log 総 資 産 外 国 人 持 ち 株 比 率 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 PBRの 変 化 幅 ROEの 変 化 幅 負 債 比 率 の 変 化 幅 DOEの 変 化 幅 -0.078-0.018-0.044 (0.001) *** (0.418) (0.009) *** -0.007-0.015-0.008 (0.334) (0.147) (0.216) 0.004 0.003 0.006 (0.199) (0.307) (0.004) *** -0.000 0.000-0.001 (0.848) (0.382) (0.066) * -0.000-0.000-0.000 (0.430) (0.018) ** (0.022) ** -0.002 0.003 0.000 (0.471) (0.116) (0.724) 0.008 0.003 0.006 (0.004) *** (0.193) (0.001) *** -0.104-0.133-0.122 (0.000) *** (0.000) *** (0.000) *** 0.000-0.007-0.003 (0.970) (0.170) (0.370) 0.000-0.002-0.001 (0.805) (0.294) (0.322) 0.001 0.017 0.001 (0.266) (0.000) *** (0.080) * 0.001 0.000 0.001 (0.097) * (0.882) (0.012) ** 0.000 0.000-0.000 (0.920) (0.067) * (0.568) 0.000-0.004-0.001 (0.897) (0.347) (0.563) 補 正 R2 0.065 0.237 0.180 サンプル 数 305 285 590 ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 まずクロスセクションデータを 用 いた 各 年 の 推 定 結 果 を 参 照 してほしい 独 立 取 締 役 導 入 ダミーの 係 数 は 2007 年 と 2008 年 の 2 年 においてそれぞれ-0.007-0.015 と 負 であり 18

統 計 的 に 有 意 でなかった 次 に パネル 分 析 の 推 定 結 果 においても 独 立 取 締 役 導 入 ダミ ーの 係 数 は-0.008 と 負 であり 統 計 的 にも 有 意 でなかった これらの 推 定 結 果 から 独 立 取 締 役 を 導 入 することに 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 効 果 はないことがわかる つまり 政 府 が 独 立 性 の 強 化 に 期 待 する 効 果 はないことが 実 証 的 に 明 らかとなった 4.4. 外 国 人 投 資 家 を 呼 び 込 む 要 因 これまで 社 外 取 締 役 の 導 入 と 独 立 性 の 強 化 によって 東 証 一 部 上 場 企 業 の 外 国 人 持 ち 株 比 率 は 上 昇 するのかを 検 証 した そして これらのガバナンスの 要 因 によっては 外 国 人 持 ち 株 比 率 は 上 昇 しないことが 明 らかになった それでは 外 国 人 投 資 家 を 引 きつける 要 因 は 一 体 何 であろうか 図 表 6 のパネルデータを 用 いた 重 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 見 ると PBR とその 変 化 幅 負 債 比 率 とその 変 化 幅 log 総 資 産 外 国 人 持 ち 株 比 率 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 が 有 意 であった そのうち 係 数 が 正 のものは PBR とその 変 化 幅 log 総 資 産 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 負 債 比 率 の 変 化 幅 であり 係 数 が 負 のも のは 負 債 比 率 外 国 人 持 ち 株 比 率 である ゆえに これらの 要 因 は 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 に 影 響 をもたらすと 考 えられる また 図 表 7 のパネルデータを 用 いた 重 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 を 見 ると PBR とその 変 化 幅 ROE とその 変 化 幅 負 債 比 率 log 総 資 産 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 有 意 であった そのう ち 係 数 が 正 の 値 のものは PBR とその 変 化 幅 log 総 資 産 ROE 変 化 幅 であり 係 数 が 負 のものは ROE 負 債 比 率 外 国 人 持 ち 株 比 率 である ゆえに これらの 要 因 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 に 影 響 をもたらすと 考 えられる 2 つの 重 回 帰 分 析 において PBR とその 変 化 幅 log 総 資 産 は 共 通 して 係 数 が 正 で 統 計 的 に 有 意 となった つまりこれらは 日 本 企 業 において 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 要 因 であると 考 えられる 一 方 で 負 債 比 率 外 国 人 持 ち 株 比 率 は 2 つの 重 回 帰 分 析 において 共 通 して 係 数 が 負 となり 統 計 的 に 有 意 であった 係 数 が 負 であるということは これら の 比 率 を 減 尐 させれば 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させることができると 言 える PBR は 株 価 に 依 存 する 指 標 である そして 株 価 は 一 般 的 に 企 業 の 収 益 によって 変 化 することから PBR は 収 益 性 を 表 すと 言 える また 規 模 の 大 きな 企 業 は 一 般 的 に 総 資 産 も 大 きいことか ら 総 資 産 は 企 業 の 規 模 を 表 している そして 負 債 比 率 は 企 業 財 務 の 健 全 性 を 見 る 指 標 の 1 つであり これが 小 さいことは 財 務 の 健 全 性 が 大 きいことを 示 している したがっ て 外 国 人 投 資 家 を 呼 び 込 む 要 因 は 政 府 が 期 待 を 寄 せている 社 外 取 締 役 の 導 入 やその 独 立 性 の 強 化 といったグローバルスタンダードのコーポレート ガバナンスの 達 成 ではなく 収 益 性 企 業 規 模 健 全 性 であることが 判 明 した 5. 終 わりに 近 年 政 府 は 日 本 の 資 本 市 場 に 対 する 国 際 的 な 信 認 を 獲 得 し 日 本 の 資 本 市 場 に 外 国 人 19

投 資 家 を 呼 び 込 もうとしている また そのための 手 段 として グローバルスタンダード なコーポレート ガバナンス 体 制 の 確 立 に 努 めている そして 本 稿 では 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 呼 び 込 むための 具 体 的 な 施 策 である 社 外 取 締 役 の 導 入 またその 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 投 資 家 を 引 きつけるかどうかを 実 証 的 に 分 析 し 政 府 の 主 張 が 正 当 なも のかどうかを 検 証 した まず 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 対 する 社 外 取 締 役 の 導 入 の 効 果 に 関 して 述 べる 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 社 外 取 締 役 の 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 で 比 較 したところ 前 者 が 後 者 より も 大 きい 年 もあればそうでもない 年 もあり その 差 に 一 貫 した 傾 向 はなかった そして クロスセクションデータを 用 いた 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 関 する 重 回 帰 分 析 では 社 外 取 締 役 導 入 ダミーの 係 数 に 正 負 の 両 方 の 傾 向 があり パネルデータを 用 いた 重 回 帰 分 析 では その 係 数 は 統 計 的 に 有 意 ではなかった ゆえに 重 回 帰 分 析 の 結 果 からも 社 外 取 締 役 を 導 入 することに 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 効 果 はないことが 明 らかになった 次 に 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 が 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 与 える 影 響 について 述 べる 外 国 人 持 ち 株 比 率 の 変 化 幅 を 独 立 取 締 役 の 導 入 企 業 と 非 導 入 企 業 で 比 較 したところ 前 者 が 後 者 より 大 きくなる 年 は 無 かった そして クロスセクションデータを 用 いた 独 立 取 締 役 と 外 国 人 持 ち 株 比 率 に 関 する 重 回 帰 分 析 では 独 立 取 締 役 導 入 ダミーの 係 数 は 正 の 値 とな らず パネルデータを 用 いた 重 回 帰 分 析 では その 係 数 は 統 計 的 に 有 意 でなかった ゆえ に 重 回 帰 分 析 の 結 果 からも 社 外 取 締 役 の 独 立 性 を 強 化 することに 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 効 果 はないことが 明 らかになった また パネルデータを 用 いた 重 回 帰 分 析 の 推 計 結 果 からすると 日 本 企 業 における 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させる 要 因 は 企 業 規 模 や 収 益 性 健 全 性 であり これらは 政 府 が 期 待 を 寄 せている 社 外 取 締 役 の 導 入 や 社 外 取 締 役 の 独 立 性 の 強 化 といったグローバルスタンダードのコーポレート ガバナンスの 達 成 では ない 政 府 の 主 張 に 基 づくならば グローバルスタンダードのコーポレート ガバナンスを 達 成 することで 日 本 の 資 本 市 場 は 国 内 のみならず 海 外 の 投 資 家 の 信 頼 を 得 て 外 国 人 投 資 家 の 日 本 の 資 本 市 場 への 参 加 を 促 すはずである しかし 我 々の 分 析 によると 社 外 取 締 役 の 導 入 その 独 立 性 の 強 化 によっては 外 国 人 投 資 家 の 日 本 の 資 本 市 場 への 参 入 は 引 き 起 こすことができないと 考 えられる すなわち 我 々は 政 府 の 主 張 に 根 拠 がないことを 実 証 的 に 明 らかにしたと 言 える 今 後 この 実 証 結 果 を 踏 まえて 日 本 の 資 本 市 場 を 発 展 させるために 政 府 間 でより 建 設 的 な 議 論 が 行 われ より 良 い 施 策 が 実 行 されることが 望 まれる 補 論 これまでにも 上 場 企 業 への 社 外 取 締 役 の 導 入 義 務 化 また その 独 立 性 の 強 化 を 巡 っては 政 府 間 で 盛 んに 議 論 がなされ 2009 年 12 月 に 東 京 証 券 取 引 所 において 独 立 役 員 制 度 が 成 立 した 20

そこで 我 々は 独 立 役 員 の 導 入 についても 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 参 入 さ せる 効 果 があるのかどうかを 検 証 した ここでは 独 立 役 員 を 企 業 が 導 入 することによっ て 外 国 人 持 ち 株 比 率 が 上 昇 するのかどうかを 重 回 帰 分 析 によって 実 証 する データ 取 得 が 可 能 であった 東 証 一 部 上 場 企 業 1376 社 のうち 基 準 年 (t 年 )までに 一 度 も 独 立 役 員 を 導 入 していない 企 業 を 抽 出 する それらの 企 業 のうち 基 準 年 (t 年 )に 独 立 役 員 を 導 入 した 企 業 を 独 立 役 員 導 入 企 業 導 入 しなかった 企 業 を 独 立 役 員 非 導 入 企 業 とする 社 外 取 締 役 社 外 監 査 役 を 独 立 役 員 であると 判 断 する 基 準 として 社 外 取 締 役 又 (5) は 社 外 監 査 役 のうち 以 下 に 示 す 条 件 のいずれにも 該 当 しない 者 を 独 立 役 員 と 定 めた a. 親 会 社 出 身 b. 他 の 関 係 会 社 出 身 c. 当 該 会 社 の 大 株 主 d. 当 該 会 社 又 は 当 該 会 社 の 特 定 関 係 事 業 者 の 業 務 執 行 取 締 役 執 行 役 等 の 配 偶 者 三 親 等 以 内 の 親 族 その 他 これに 準 ずる 者 e. 当 該 会 社 の 親 会 社 又 は 当 該 親 会 社 の 子 会 社 から 役 員 としての 報 酬 等 その 他 の 財 産 上 の 利 益 を 受 けている 者 そして 上 記 の 判 断 基 準 に 基 づいて サンプルとなった 企 業 に 独 立 役 員 導 入 ダミーを 採 用 し た それを 4.1. 節 の 推 計 式 の 社 外 取 締 役 導 入 ダミー( 独 立 取 締 役 導 入 ダミー)の 代 わりに 説 明 変 数 として 推 計 式 に 入 れ 重 回 帰 分 析 を 行 った 独 立 役 員 を 導 入 することで 外 国 人 投 資 家 を 呼 び 込 むことができるのかどうか 検 証 す る 推 計 にあたってはクロスセクションデータ パネルデータの 2 種 類 を 使 用 した 重 回 帰 分 析 による 推 計 結 果 は 図 表 8 の 通 りである 21

図 表 8 独 立 役 員 の 導 入 に 関 する 重 回 帰 分 析 推 計 結 果 2007 2008 パネル 切 片 独 立 役 員 導 入 ダミー PBR ROE 負 債 比 率 DOE log 総 資 産 外 国 人 持 ち 株 比 率 ストックオプション 導 入 ダミー log 海 外 売 上 高 PBRの 変 化 幅 ROEの 変 化 幅 負 債 比 率 の 変 化 幅 DOEの 変 化 幅 補 正 R2-0.081-0.025-0.045 (0.000) *** (0.252) (0.005) *** -0.007-0.012-0.007 (0.355) (0.217) (0.271) 0.003 0.002 0.005 (0.228) (0.408) (0.016) ** 0.000 0.001-0.000 (0.608) (0.094) * (0.922) -0.000-0.000-0.000 (0.435) (0.030) ** (0.034) ** -0.001 0.001-0.001 (0.507) (0.427) (0.312) 0.007 0.003 0.005 (0.004) *** (0.217) (0.002) *** -0.110-0.133-0.124 (0.000) *** (0.000) *** (0.000) *** 0.000-0.008-0.005 (0.965) (0.090) * (0.155) 0.001-0.001 0.000 (0.278) (0.616) (0.912) 0.001 0.020 0.001 (0.329) (0.000) *** (0.070) * 0.000-0.001 0.000 (0.158) (0.025) ** (0.617) 0.000 0.000-0.000 (0.683) (0.088) * (0.960) 0.001-0.002-0.000 (0.816) (0.622) (0.970) 0.072 0.206 0.164 サンプル 数 305 348 698 ***,**,*はそれぞれ1% 5% 10% 水 準 で 有 意 であることを 示 す ( ) 内 はP 値 ( 両 側 検 定 )である 数 値 はすべて 小 数 点 以 下 第 四 位 を 四 捨 五 入 まずクロスセクションデータを 用 いた 各 年 の 推 定 結 果 を 見 る 2007 年 と 2008 年 の 独 立 役 員 導 入 ダミーの 係 数 はそれぞれ-0.007-0.012 と 負 であり 統 計 的 に 有 意 ではなかった 22

パネル 分 析 の 推 定 結 果 においても 独 立 役 員 導 入 ダミーの 係 数 は-0.007 と 負 であり 統 計 的 に 有 意 ではなかった ゆえに 独 立 役 員 を 導 入 することに 外 国 人 持 ち 株 比 率 を 上 昇 させ る 効 果 はない 独 立 役 員 制 度 は 国 際 的 な 信 認 の 獲 得 を 期 待 して 金 融 庁 経 済 産 業 省 によって 十 分 に 議 論 し 尽 くされた 結 果 既 に 施 行 されたものである しかし 推 計 結 果 から 独 立 性 が 十 分 な 社 外 取 締 役 社 外 監 査 役 を 導 入 したとしても 外 国 人 投 資 家 を 日 本 の 資 本 市 場 に 参 入 させることにはつながらないことが 実 証 的 に 明 らかになった 注 (1) 金 融 庁 の 金 融 審 議 会 において 2007 年 1 月 30 日 より わが 国 金 融 資 本 市 場 の 国 際 化 に 関 するスタディグループ が 開 催 された また 経 済 産 業 省 の 経 済 産 業 政 策 局 におい て 2008 年 12 月 2 日 より 企 業 統 治 研 究 会 が 開 催 され 法 務 省 の 法 制 審 議 会 におい ては 2010 年 4 月 28 日 より 会 社 法 制 部 会 が 開 催 された (2) 社 外 監 査 役 に 関 して 金 融 審 議 会 (2009)の わが 国 金 融 資 本 市 場 の 国 際 化 に 関 する スタディグループ 報 告 書 によると 監 査 役 は 取 締 役 会 に 出 席 するものの 役 員 の 選 任 なども 含 め 取 締 役 会 における 議 決 権 を 有 しないことや 監 査 役 の 監 査 が 原 則 として 適 法 性 の 監 査 にとどまることから その 権 限 の 限 界 についての 指 摘 がある と 述 べら れている (3) 有 価 証 券 上 場 規 定 第 436 条 の2 上 場 内 国 株 券 の 発 行 者 は 一 般 株 主 保 護 のため 独 立 役 員 ( 一 般 株 主 と 利 益 相 反 が 生 じるおそれのない 社 外 取 締 役 ( 会 社 法 第 2 条 第 15 号 に 規 定 する 社 外 取 締 役 であって 会 社 法 施 行 規 則 ( 平 成 18 年 法 務 省 令 第 12 号 ) 第 2 条 第 3 項 第 5 号 に 規 定 する 社 外 役 員 に 該 当 する 者 をいう ) 又 は 社 外 監 査 役 ( 会 社 法 第 2 条 第 16 号 に 規 定 する 社 外 監 査 役 であって 会 社 法 施 行 規 則 第 2 条 第 3 項 第 5 号 に 規 定 する 社 外 役 員 に 該 当 する 者 をいう ) をいう 以 下 同 じ ) を1 名 以 上 確 保 しなければならない (4) 取 締 役 のうち 銀 行 と 大 株 主 出 身 の 者 を 除 く 社 外 出 身 者 と 定 義 会 社 法 上 の 社 外 取 締 役 とは 異 なる (5) 上 場 企 業 が 東 京 証 券 取 引 所 に 提 出 している コーポレート ガバナンスに 関 する 報 告 書 を 参 照 して 独 立 取 締 役 の 条 件 を 定 めた (6) 今 回 のパネル 分 析 では 固 定 効 果 モデルは 用 いずに 通 常 の 重 回 帰 分 析 を 用 いる その 理 由 は パネルデータを 用 いた 場 合 サンプル 期 間 中 に 社 外 取 締 役 あるいは 独 立 取 締 役 を 導 入 しなかった 企 業 の 導 入 ダミー 変 数 はずっとゼロとなるため 固 定 効 果 モデルは 社 外 取 締 役 (あるいは 独 立 取 締 役 )の 非 導 入 の 効 果 を 固 定 効 果 が 吸 収 してしまう 可 能 性 があるからである 23

参 考 文 献 Bhagat, S.and B. Black(1999), The uncertain Relationship between board composition and firm performance, Business Lawyer,vol.54, pp.921-963. Hermalin, B and Weisbach, M(1991), The Effects of Board Composition and Direct Incentives on Firm Performance Financial Management, vol. 20, No. 4, Winter, pp.101-112. Yermack, D(1996), Higher Market Valuation of Companies with a Smaller Board of Directors, Journal of Financial Economics 40, pp.185-211. 宮 島 英 昭 新 田 敬 祐 (2007), 日 本 型 取 締 役 会 の 多 元 的 進 化 その 決 定 要 因 とパフォーマ ンス 効 果 神 田 秀 樹 財 務 総 合 政 策 研 究 所 編 企 業 統 治 の 多 様 性 と 展 望 金 融 財 政 事 情 研 究 会 宮 島 英 昭 原 村 健 二 稲 垣 健 一 (2003), 進 展 するコーポレート ガバナンス 改 革 をいか に 理 解 するか CGS(コーポレート ガバナンス スコア)による 分 析 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 フィナンシャル レビュー 2003 年 12 月 号,156-193 頁 三 輪 晋 也 (2010), 日 本 企 業 における 取 締 役 会 の 構 成 と 外 国 人 株 主 の 株 式 所 有 国 士 舘 大 学 政 経 学 会 國 士 舘 大 學 政 經 論 叢 第 152 号,105-127 頁 参 考 サイト 一 般 社 団 法 人 日 本 取 締 役 協 会 (2010) 上 場 企 業 のコーポレート ガバナンス 調 査 2010 (http://www.jacd.jp/news/odid/100826_01report.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 企 業 統 治 研 究 会 (2009) 企 業 統 治 研 究 会 報 告 書 経 済 産 業 省 (http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g90617b01j.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 企 業 年 金 連 合 会 (2010) 年 金 運 用 から 見 た 会 社 法 の 課 題 法 制 審 議 会 報 告 資 料 法 務 省 ( http://www.moj.go.jp/content/000047602.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 金 融 審 議 会 (2009 我 が 国 金 融 資 本 市 場 の 国 際 化 に 関 するスタディグループ 報 告 - 上 場 会 社 等 のコーポレート ガバナンスの 強 化 に 向 けて- 金 融 庁 (http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20090617-1/01.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 経 済 産 業 省 産 業 組 織 課 (2008) 我 が 国 のコーポレート ガバナンスの 在 り 方 を 検 討 するた めの 基 礎 資 料 経 済 産 業 省 (http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g81202a07j.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 東 京 証 券 取 引 所 平 成 21 年 度 株 式 分 布 状 況 調 査 の 調 査 結 果 について (http://www.tse.or.jp/market/data/examination/distribute/b7gje6000000508d-att/bunpu200 9.pdf) アクセス 日 時 :2010 年 11 月 28 日 24

新 田 啓 祐 (2009) 独 立 取 締 役 の 導 入 は 海 外 投 資 家 の 市 場 参 加 を 促 すのか 経 済 産 業 研 究 所 (http://www.rieti.go.jp/jp/projects/cgp/14.html) アクセス 日 時 :2010 年 12 月 23 日 25