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は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

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Transcription:

連 載 会 計 プロフェッションをめぐる 国 際 動 向 8 ミャンマーの 会 計 監 査 制 度 と 今 後 の 人 材 育 成 要 請 本 連 載 では 近 年 ますますそのビジネスを 多 角 化 させ 多 様 な 会 員 を 世 界 中 から 取 り 込 み 国 際 化 することで 競 争 優 位 を 保 とうと 試 みる 職 業 会 計 専 門 家 団 体 の 動 きや それを 実 現 させるための 新 しい 資 格 の 創 設 あるいは 資 格 の 相 互 承 認 の 促 進 といった 会 計 プロフェッションをめぐる 様 々な 国 際 的 動 向 のうち 主 要 と 思 われるものにつ いて 紹 介 している 連 載 第 8 回 目 は 本 誌 70~72 頁 ミャンマー 資 本 市 場 整 備 支 援 とミャンマー 公 認 会 計 士 協 会 支 援 で 紹 介 された ミャンマーについて その 会 計 監 査 制 度 等 をさらに 紹 介 し 日 本 公 認 会 計 士 協 会 で 実 施 されたミャンマー 公 認 会 計 士 に 対 する 研 修 の 様 子 をお 伝 えする なお 職 業 会 計 専 門 家 資 格 や 職 業 会 計 専 門 家 団 体 については その 発 展 の 過 程 などから 多 様 な 制 度 が 存 在 し 日 本 の 公 認 会 計 士 制 度 とは 異 なる 様 相 を 呈 するものが 多 数 存 在 していることに 留 意 が 必 要 である 1 はじめに ミャンマーは 1886 年 から1948 年 の 約 60 年 にわたり 英 国 による 植 民 地 支 配 を 受 け また その 間 の1886 年 から1937 年 までは 英 国 の 植 民 地 支 配 下 にあるインド 属 州 としてインドに 帰 属 していたため ミャンマーの 法 令 や 諸 制 度 は かつてインド 政 府 に よって 公 布 された 法 令 英 国 の 諸 制 度 や 基 準 に 大 きな 影 響 を 受 けていた とされる 1 会 計 監 査 制 度 につい ても 当 初 はインドや 英 国 による 影 響 を 大 きく 受 けた 制 度 が 維 持 されて いたが 1948 年 の 独 立 以 後 は 英 国 植 民 地 支 配 下 で 導 入 されていた 制 度 を もとに 独 自 の 制 度 の 導 入 が 進 めら れている 2 ミャンマー 会 計 制 度 の 概 要 と 会 計 基 準 ミャンマーの 会 計 制 度 は 1962 年 から1988 年 にかけて 続 いた 社 会 主 義 政 権 下 において1972 年 に 制 定 された ビルマ(ミャンマー) 会 計 評 議 会 法 (Burma Accountancy CouncilAct 1972)を 契 機 に 近 代 化 が 進 められ さらに 軍 事 政 権 下 の1994 年 に 同 法 の 改 正 法 として 成 立 したミャンマー 会 計 評 議 会 法 (MACLaw:Myanmar AccountingCouncilLaw1994 2001 年 に 一 部 改 正 ) 2 によって ミャンマー 会 計 評 議 会 (MAC:MyanmarAccountingCouncil)に 会 計 監 査 基 準 等 の 設 定 及 び 職 業 専 門 家 への 資 格 の 付 与 や 監 督 に 係 る 権 限 が 付 与 され その 基 盤 が 出 来 上 がったとされる 3 1 ミャンマーの 会 計 基 準 等 設 定 主 体 MACは 政 府 から 独 立 した 機 関 として 監 査 局 長 官 (AuditorGeneral)のほか 会 計 プロフェッショ ン(10 名 以 下 ) 一 般 市 民 (4 名 以 下 ) 及 びその 他 MAC 会 長 が 任 命 す る 者 から 構 成 されることと 規 定 され ており 次 頁 の 図 表 1に 記 載 の 権 限 を 付 与 されている MACは 会 計 基 準 の 設 定 主 体 であるとともに 職 業 会 計 専 門 家 への 資 格 付 与 や 監 督 を 行 っ ており ASEAN 会 計 士 連 盟 (AFA) 4 の 正 会 員 でもある 2 ミャンマーの 会 計 基 準 会 計 基 準 については 当 初 は 英 国 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014 73

図 表 1 MACの 職 務 権 限 MACの 職 務 権 限 (MACLaw 第 4 章 第 7 条 ) 会 計 5 に 関 連 する 事 項 について 助 言 が 求 められた 場 合 に 政 府 機 関 に 対 して 助 言 を 与 えること 会 計 資 格 及 びその 他 の 証 明 の 授 与 のための 会 計 分 野 における 研 修 の 実 施 管 理 及 び 指 揮 監 督 会 計 に 関 連 する 実 務 経 験 の 実 施 に 関 して 補 助 業 務 期 間 の 設 定 及 び 指 導 教 官 となり 得 る 職 業 会 計 専 門 家 の 承 認 外 国 の 会 計 資 格 及 び 学 位 の 精 査 及 び 承 認 及 びそれらの 資 格 又 は 学 位 を 有 する 市 民 の 登 録 に 必 要 な 規 則 の 作 成 登 録 官 (Registrar)の 任 命 及 びその 職 務 権 限 の 規 定 会 計 の 発 展 促 進 のための 国 際 会 計 機 関 との 通 信 及 び 協 働 評 議 員 及 びその 他 の 適 当 な 者 をもって 補 助 業 務 及 び 研 修 監 督 委 員 会 を 組 織 すること 会 計 訓 練 を 供 給 できる 者 の 政 府 機 関 のリスト 及 び 補 助 業 務 及 び 研 修 監 督 委 員 会 の 権 限 を 定 めかつ( 又 は) 変 更 すること 本 法 に 基 づき 提 供 される 会 計 士 養 成 コースが 特 定 の 基 準 に 照 らして 適 切 で あるかどうかについて 必 要 に 応 じて 検 討 すること 必 要 な 委 員 会 及 び 執 行 部 を 組 織 し 及 びそれらの 職 務 を 定 めること 会 計 プロフェッションの 発 展 のための 職 業 専 門 家 団 体 の 設 立 に 係 る 精 査 及 び 許 可 及 びこれらの 団 体 に 対 して 指 針 の 供 与 及 び 監 督 開 業 会 計 士 (PracticingAccountants)のうち 専 門 家 としての 義 務 を 怠 り 職 業 倫 理 規 程 に 違 反 する 者 に 対 する 処 分 の 実 施 その 他 本 法 の 遂 行 維 持 のための 方 策 の 遂 行 ( 出 所 :MACLawより 筆 者 作 成 ) の 基 準 に 近 い 会 計 基 準 が 採 用 されて いたが 2003 年 から2004 年 にかけて MACが 当 時 適 用 されていた 国 際 会 計 基 準 (IAS:InternationalAccountingStandards)をもとに 30 項 目 か らなるミャンマー 会 計 基 準 (MAS: MyanmarAccountingStandards)を 公 表 した 6 その 後 2010 年 には これらの 基 準 を29 項 目 からなる 新 し いMASに 置 き 換 え さらにIFRSsに 準 拠 したミャンマー 財 務 報 告 基 準 (MFRSs: MyanmarFinancialReportingStandards) 第 1 号 から 第 8 号 が 採 用 されたことで 上 場 企 業 及 び 外 資 企 業 ( 支 店 及 び 駐 在 員 事 務 所 を 含 む)は IFRSに 準 拠 した 基 準 の 適 用 が 可 能 になっている 7 これ らの 基 準 は 2011 年 1 月 から 適 用 が 開 始 された 現 在 MACは 2011 年 以 降 に 公 表 されたIFRSsをMFRSs に 反 映 させるための 作 業 を 行 ってい る 公 的 な 説 明 責 任 のない 中 小 企 業 には 中 小 企 業 向 けIFRS(IFRSfor SMEs)に 準 拠 した 中 小 企 業 向 けミャ ンマー 財 務 報 告 基 準 (MFRSfor SMEs)を 採 用 することも 認 められ ている ただし これらの 適 用 については 法 的 拘 束 力 はないため 任 意 で 他 の 基 準 の 採 用 が 可 能 となっており 実 際 にミャンマーでMFRSsや MFRS forsmesを 適 用 している 国 内 企 業 は 実 態 としては 少 なく 証 券 市 場 の 設 立 を 見 据 えた 企 業 が 徐 々に MFRSsの 適 用 を 開 始 しているよう な 状 況 である 8 3 ミャンマー 監 査 制 度 の 概 要 と 監 査 基 準 ミャンマー 会 社 法 (TheMyanmar CompaniesAct1914)に 従 い すべ ての 会 社 は 年 次 報 告 書 を 作 成 する 義 務 を 負 い 1 名 以 上 の 会 計 監 査 人 を 定 時 株 主 総 会 において 選 任 しなけれ ばならず さらに 会 計 監 査 人 に 就 任 できる 者 は ミャンマー 政 府 によっ て 公 認 会 計 士 資 格 を 付 与 されている 者 に 限 定 されている 9 会 計 監 査 人 の 義 務 及 び 権 限 は 会 社 法 第 145 条 に 規 定 されており 監 査 手 続 の 過 程 で 帳 簿 計 算 書 類 などを 入 手 する 権 限 や 取 締 役 及 び 役 員 に 対 して 必 要 な 範 囲 の 情 報 と 説 明 を 求 める 権 限 を 保 持 し 株 主 に 対 して 会 計 に 関 す る 報 告 を 行 う 義 務 が 課 されている 10 監 査 基 準 については 国 際 監 査 基 準 (ISA: InternationalStandardson Auditing)に 準 拠 したミャンマー 監 査 基 準 (MSA:MyanmarStandards onauditing)が2009 年 4 月 1 日 以 降 に 開 始 する 事 業 年 度 以 降 の 財 務 諸 表 監 査 に 適 用 されている 11 また ミャ ンマー 監 査 実 務 指 針 (Myanmar AuditingPracticeStatements) ミャ ンマーレビュー 業 務 基 準 (Myanmar StandardsonReviewEngagements) 及 びミャンマー 保 証 業 務 基 準 (MyanmarStandardsonAssurance Engagements)が2010 年 10 月 に 公 表 されている ミャンマーには 現 在 約 100の 公 開 会 社 (PublicCompany)と 約 3 万 4,000の 非 公 開 会 社 (PrivateCompany) 12 があるとされているが こ のすべてに 監 査 が 求 められている 後 述 のとおり これに 対 して 会 計 監 査 人 となり 得 る 公 認 会 計 士 の 数 は 圧 倒 的 に 不 足 している 状 態 が 続 いてお り 監 査 業 務 の 実 施 においても 相 当 程 度 の 公 認 会 計 士 数 の 確 保 とその 能 力 の 担 保 が 課 題 になっていると 考 えられる 74 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014

4 ミャンマー 公 認 会 計 士 制 度 1 ミャンマー 公 認 会 計 士 資 格 制 度 ミャンマーの 職 業 会 計 専 門 家 資 格 制 度 については 1962 年 から1988 年 にかけて 続 いた 社 会 主 義 政 権 下 にお いて 社 会 主 義 経 済 の 要 請 に 応 える ための 新 しい 会 計 人 材 の 育 成 が 求 め られたことから 1956 年 に 制 定 され ていたビルマ(ミャンマー) 監 査 人 資 格 付 与 規 則 (BurmaAuditors'CertificateRules1956) 13 を 廃 止 するビル マ (ミャンマー) 会 計 評 議 会 法 (Burma Accountancy CouncilAct 1972)が1972 年 に 成 立 したことで 現 在 のミャンマー 公 認 会 計 士 制 度 に もつながる 制 度 の 基 盤 が 作 られたと される 14 1994 年 には 1972 年 のビ ルマ(ミャンマー) 会 計 評 議 会 法 を 改 正 する 新 しいMACLawが 制 定 さ れ MACにより 幅 広 い 責 任 と 権 限 が 与 えられるとともに 旧 制 度 の 下 で 登 録 会 計 士 (RegisteredAccountant)として 資 格 を 付 与 されていた 者 に 対 して 追 加 的 な 試 験 を 課 すこと なく 公 認 会 計 士 としての 登 録 を 認 め 制 度 上 の 統 一 化 が 図 られた 15 ミャンマー 公 認 会 計 士 資 格 の 付 与 及 びミャンマー 公 認 会 計 士 に 対 する 監 督 は 先 に 述 べたとおり MAC Lawに 従 いMACにその 権 限 がある ミャンマー 公 認 会 計 士 資 格 保 持 者 の うち 監 査 業 務 に 従 事 する 者 はMAC に 開 業 会 計 士 (PracticingAccountant)としての 登 録 をしなければな らず 登 録 後 はMACLawに 定 める 16 職 務 や 倫 理 規 定 が 適 用 される な お ミャンマー 公 認 会 計 士 になるた めには ミャンマー 市 民 であること 所 定 の 実 務 経 験 を 積 むこと 及 び MACが 実 施 する 所 定 の 養 成 コース を 修 了 し その 過 程 で 実 施 される 試 験 に 合 格 することが 求 められる ミャ ンマー 公 認 会 計 士 資 格 取 得 までの 流 れは 次 頁 の 図 表 2のとおりである 2 ミャンマー 公 認 会 計 士 協 会 ミャンマー 公 認 会 計 士 協 会 (MICPA:MyanmarInstituteofCertifiedPublicAccountants)は 2003 年 にMACの 監 督 下 にある 職 業 会 計 専 門 家 団 体 として 設 立 された その 活 動 は 会 員 に 対 する 指 導 監 督 会 員 である 公 認 会 計 士 の 能 力 向 上 及 び MACとともに 専 門 活 動 に 参 加 する ことである 例 えば 現 在 検 討 が 進 められているとされるMACLawの 見 直 し 作 業 への 関 与 のほか 会 社 法 や 所 得 税 法 の 改 正 などにも 参 加 して いるとのことである 17 公 認 会 計 士 のMICPAへの 加 入 は 現 在 のところ 任 意 である 現 時 点 で のMICPAの 会 員 数 は 約 900 名 ( 開 業 会 計 士 約 460 名 非 開 業 会 計 士 約 350 名 学 生 会 員 約 100 名 )であるとさ れるが MICPAへの 加 入 自 体 が 強 制 ではないため この 数 はMACに 資 格 を 付 与 されたミャンマー 公 認 会 計 士 の 全 体 数 を 反 映 しているわけで はないと 解 される 監 査 業 務 を 行 え る 公 認 会 計 士 は 開 業 会 計 士 である 約 460 名 であり これは 監 査 対 象 企 業 数 に 比 して 圧 倒 的 に 少 ないといえ る 公 認 会 計 士 数 については 1972 年 以 降 MACの 会 計 士 養 成 コース 2 年 目 の 試 験 の 合 格 者 数 が 毎 年 多 くて80 名 少 ない 場 合 は30 名 程 度 であったことのほか 軍 事 政 権 下 で 多 くの 公 認 会 計 士 がシンガポール 等 の 海 外 に 移 ってしまったこと 大 学 で 学 士 号 を 取 得 し MACの 会 計 士 養 成 コースに 入 学 することができる 者 の 数 が 減 少 したこと 等 により そ の 不 足 が 深 刻 であるとともに 高 齢 化 も 進 んでおり 若 い 人 材 の 育 成 が 急 務 となっている 18 なお MICPAの 関 係 者 によると ミャンマー 国 内 では 英 国 の 勅 許 公 認 会 計 士 協 会 (ACCA)や 勅 許 管 理 会 計 士 協 会 (CIMA)が 各 種 資 格 の 提 供 を 行 っており 国 内 法 によって MACの 付 与 する 公 認 会 計 士 資 格 保 持 者 に 限 定 されている 業 務 ( 監 査 業 務 )を 除 く 業 務 については これら の 資 格 を 持 って 会 計 業 務 を 行 ってい る 者 もいるが この 資 格 を 持 って MACにより 公 認 会 計 士 として 登 録 を 認 められた 者 はおらず また MICPAの 会 員 となる 資 格 も 認 めら れていないとのことである ただし 2014 年 後 半 にも 行 われる 予 定 の MACLawの 改 正 では 公 認 会 計 士 のMICPAへの 強 制 加 入 や 国 際 的 に 認 知 されている 団 体 等 による 公 認 会 計 士 教 育 の 提 供 これらの 団 体 等 の 付 与 する 資 格 を 保 持 している 個 人 のMICPAへの 加 入 許 可 などが 検 討 されているとのことである 現 在 MICPAが 直 面 する 課 題 に は 主 として 会 員 の 能 力 向 上 と MICPAによる 品 質 管 理 レビューの 強 化 による 会 員 のサービスの 品 質 向 上 などがあるが この 分 野 における MICPAの 機 能 強 化 と 支 援 の 拡 充 を 目 指 して 本 誌 70~72 頁 の ミャン マー 資 本 市 場 整 備 支 援 とミャンマー 公 認 会 計 士 協 会 支 援 で 紹 介 のあっ たACCAやCIMAのほか イングラ ンド ウェールズ 勅 許 会 計 士 協 会 (ICAEW)も 企 業 統 治 職 業 倫 理 CPE 品 質 管 理 IFRS 及 びISA 並 び に 監 査 事 務 所 のガバナンス 等 の 分 野 における 専 門 能 力 向 上 や 基 盤 強 化 な どへの 協 力 を 開 始 している ミャン マー 公 認 会 計 士 の 能 力 向 上 に 関 して は 本 誌 で 紹 介 のあった 大 和 証 券 グ 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014 75

図 表 2:ミャンマー 公 認 会 計 士 資 格 取 得 までの 流 れ MICPA 登 録 ( 任 意 ) 学 士 号 取 得 商 学 又 は 会 計 学 MACへ 応 募 選 抜 MAC 会 計 士 養 成 コース 入 学 (2 年 ) <1 年 目 > 授 業 + 筆 記 試 験 <2 年 目 > 授 業 + 筆 記 試 験 実 務 経 験 (2 年 以 上 ) 監 査 会 計 業 務 修 了 証 明 書 の 発 行 MACへ 公 認 会 計 士 登 録 MACへ 開 業 会 計 士 登 録 第 1 段 階 第 2 段 階 第 3 段 階 第 4 段 階 段 階 内 容 備 考 第 1 段 階 商 学 又 は 会 計 学 学 士 号 取 得 従 前 は ヤンゴン 経 済 大 学 (YangonInstituteofEconomics)において 学 士 号 を 取 得 した 者 に 限 定 されていた が 現 在 は 学 士 号 を 提 供 できる 国 内 の 教 育 機 関 がこのほかに2つあるとのことである なお 外 国 の 大 学 で 取 得 した 学 士 号 については MACの 承 認 が 必 要 となる 第 2 段 階 MACへ 応 募 選 抜 学 士 号 取 得 後 最 終 成 績 書 を 添 付 の 上 MACの 会 計 士 養 成 コースへ 応 募 する MACは 応 募 者 の 中 からトップ クラスの 学 生 を 選 抜 する 従 前 は 毎 年 100 名 程 度 の 学 生 が 選 抜 されていたとのことであるが 2013 年 は 公 認 会 計 士 の 不 足 状 態 に 鑑 み 800 名 の 学 生 が 選 抜 されたとのことである 当 該 年 度 の 公 認 会 計 士 育 成 数 について は 毎 年 新 聞 でMACが 公 表 する なお MACへの 応 募 に 年 齢 制 限 はないが 原 則 として 大 学 卒 業 後 た だちに 応 募 しないと 養 成 コースへの 応 募 資 格 を 失 う 第 3 段 階 MAC 会 計 士 養 成 コー ス 入 学 (2 年 ) MAC 会 計 士 養 成 コースに 入 学 が 認 められた 者 は 月 曜 日 から 金 曜 日 の 早 朝 ( 会 計 事 務 所 勤 務 前 の2 時 間 (7: 00~9:00)) 及 び 土 曜 日 5 時 間 (7:00~12:00)に 養 成 コースで 提 供 される 授 業 に 出 席 する 養 成 コー ス 参 加 に 係 る 費 用 はすべてMACが 負 担 する 学 生 は フルタイムで 会 計 事 務 所 等 で 勤 務 しながら 会 計 士 養 成 コースへ2 年 間 通 う 養 成 1 年 目 に6 科 目 ( 上 級 会 計 1 原 価 計 算 管 理 会 計 1 監 査 実 務 1 金 融 及 び 金 融 サービス 規 制 ビジ ネス 法 ビジネス 分 析 ) 養 成 2 年 目 に6 科 目 ( 上 級 会 計 2 原 価 計 算 管 理 会 計 2 監 査 実 務 2 ビジネス 分 析 税 務 金 融 知 識 及 び 経 済 )の 授 業 が 行 われ これらについて 筆 記 試 験 を 受 ける 今 後 は この 授 業 及 び 試 験 科 目 に 企 業 統 治 資 本 市 場 及 び 環 境 会 計 企 業 の 社 会 的 責 任 などが 組 み 込 まれる 予 定 とのことである 第 4 段 階 公 認 会 計 士 登 録 2 年 の 養 成 コースを 修 了 し 実 務 経 験 を 経 て 養 成 2 年 目 の 試 験 に 合 格 した 者 には 修 了 証 明 書 (CPACertificate)が 発 行 され MACへ 公 認 会 計 士 として 登 録 することができる 公 認 会 計 士 の 業 務 分 野 は MACLaw 第 1 条 2 項 に 規 定 する 帳 簿 作 成 調 製 会 計 監 査 財 務 管 理 及 びITシステム 管 理 である 公 認 会 計 士 の 登 録 は 毎 年 更 新 が 必 要 である なお 第 1 条 2 項 規 定 の 業 務 は 公 認 会 計 士 にのみ 認 められた 業 務 であり 監 査 については さらに 後 述 の 開 業 会 計 士 (PracticingAccountant) 登 録 が 必 要 とされる また 公 認 会 計 士 には 3 年 で72 単 位 の 継 続 的 専 門 教 育 (CPE:ContinuingProfessionalEducation)の 取 得 が 義 務 づけられている 開 業 会 計 士 (PracticingAccountant) 登 録 ( 出 所 :MICPAプレゼンテーション 資 料 より 筆 者 作 成 ) 監 査 業 務 を 行 おうとする 公 認 会 計 士 は さらに2 年 間 の 監 査 業 務 についての 実 務 経 験 を 積 んだ 上 で 開 業 会 計 士 (PracticingAccountant)としてMACに 登 録 する 必 要 がある(MACへの 登 録 は 毎 年 更 新 が 必 要 ) 開 業 会 計 士 については MACがその 職 務 倫 理 及 び 権 利 について 定 めており 登 録 の 一 時 停 止 や 取 消 し 等 の 処 分 権 限 も 有 する 開 業 会 計 士 には 3 年 で120 単 位 のCPEの 取 得 が 義 務 づけられている ( 特 別 措 置 ) ミャンマー 会 計 審 議 会 法 第 12 条 において 外 国 の 会 計 士 証 明 又 は 学 位 を 所 持 し 評 議 会 に 承 認 された 者 も 公 認 会 計 士 としての 登 録 を 申 請 することができるとあるが 現 在 のところ このようなミャンマー 市 民 が MACの 承 認 を 受 けて 公 認 会 計 士 として 登 録 されたとの 事 例 はないとのことである ( 出 所 :MICPAプレゼンテーション 資 料 MICPA 担 当 者 及 びミャンマーの 諸 制 度 に 精 通 している 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 員 からの 聞 取 り 調 査 等 に より 筆 者 作 成 ) 76 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014

ループによって 設 立 された 大 和 日 緬 19 基 金 による 人 材 育 成 支 援 もある 日 本 公 認 会 計 士 協 会 (JICPA)によるミャンマー 5 公 認 会 計 士 に 対 する 研 修 の 実 施 2014 年 6 月 12 日 当 協 会 にて 大 和 日 緬 基 金 による 人 材 育 成 支 援 事 業 に より 選 抜 され 来 日 した3 名 のミャ ンマー 公 認 会 計 士 に 対 して 日 本 の 公 認 会 計 士 制 度 や 当 会 の 品 質 管 理 レ ビュー 制 度 などの 紹 介 を 中 心 とした 研 修 を 実 施 した 協 会 の 概 要 説 明 に おいて 参 加 者 は 特 に 若 い 人 材 の 獲 得 を 目 的 としてJICPAが 作 成 し たアニメやアプリなどへの 興 味 を 示 されたほか 品 質 管 理 レビュー 制 度 に 関 しては 上 場 監 査 事 務 所 登 録 制 度 を 通 じた 証 券 取 引 所 との 連 携 など 日 本 の 資 本 市 場 を 支 える 基 盤 として の 公 認 会 計 士 やJICPAの 役 割 などに 耳 を 傾 けていた また 本 研 修 では 特 に ミャンマーと 日 本 の 制 度 上 の 違 いや ミャンマーの 公 認 会 計 士 の 現 状 等 についての 意 見 交 換 が 行 われ 相 互 理 解 が 促 進 された 今 回 来 日 した3 名 のミャンマー 公 認 会 計 士 は いずれもすでに 公 認 会 計 士 としてのキャリアを 一 定 程 度 積 まれた 方 々で 会 計 事 務 所 での 業 務 のみならず 非 政 府 機 関 で 長 年 財 務 部 門 を 担 当 されてこられた 方 がいる など 非 常 に 多 彩 な 顔 ぶれであった この 研 修 のほか 今 回 のミャンマー 公 認 会 計 士 の 来 会 が 当 協 会 と MICPAの 交 流 の 最 初 の 契 機 となる ことから これら3 名 のミャンマー 公 認 会 計 士 による 森 公 高 会 長 への 表 敬 訪 問 も 行 われ 引 き 続 き 交 流 を 強 化 していくことが 確 認 された 6 おわりに 民 主 化 以 降 豊 富 な 資 源 や 多 数 の 若 年 層 が 支 える 労 働 市 場 また 地 理 的 優 位 性 から 多 数 の 日 本 企 業 がミャ ンマーに 関 心 を 寄 せている 今 後 引 き 続 き 経 済 発 展 が 見 込 まれるミャ ンマーにおいて その 経 済 を 支 える 会 計 監 査 制 度 のさらなる 機 能 強 化 は 不 可 欠 であり 今 回 のミャンマー 公 認 会 計 士 の 会 計 人 材 の 育 成 に 対 す る 協 会 の 協 力 を 機 に 継 続 的 な 支 援 が 求 められているところである 今 後 JICPAがアジア 及 び 他 の 主 要 国 の 会 計 士 団 体 とのさらなる 関 係 強 化 に 向 けて 取 り 組 むにあたり このよ うな 人 材 育 成 や 制 度 構 築 支 援 などを 通 じた 協 力 は 重 要 な 要 素 となると 考 えられ さらなる 検 討 を 行 っている ところである ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 事 務 局 渡 場 友 絵 ) 注 1 株 式 会 社 国 際 協 力 銀 行 [2013] ミャンマーの 投 資 環 境 (htp:// www.jbic.go.jp/wp-content/upload s/inv-report_ja/2013/11/14477/2 0131101myanmar.pdf) ミャンマー 監 査 基 準 前 文 (PREFACETOTHE MYANMAR STANDARDS ON QUALITY CONTROL, AUDIT- ING,REVIEW,OTHER ASSUR- ANCE AND RELATED SERV- ICES) 参 照 2 ミャンマー 会 計 評 議 会 法 (htp: //www.burmalibrary.org/docs15/ 1994-SLORC_Law1994-01-Myanm ar_accountancy_council_law-en.p df) 3 UMyintThein[1999] AccountingEducationandProfessionin Burma(Myanmar), ABACJournalVol.19,No.2,pp33 46 4 AFA 会 長 にAFAの 概 要 や 最 近 の 活 動 等 についてインタビューを 実 施 している 内 容 については 会 計 監 査 ジャーナル 2014 年 9 月 号 117~124 頁 参 照 5 ここでいう 会 計 (Accountancy) は 帳 簿 作 成 会 計 監 査 決 算 業 務 財 務 管 理 情 報 システム 管 理 のほか その 他 MACが 指 定 する 会 計 関 連 業 務 を 含 む と 定 義 されている(MACLaw 第 1 章 第 2 条 ) 6 IFRSFoundation IFRSApplicationAroundtheWorldJurisdictionalProfile:Myanmar (www.ifr s.org/use.the./myanmar-ifrs- Profile.pdf) 7 MICPAウェブサイト(htp://m yanmar-icpa.org/index.php?option =com_content&view=article&id=4 9&Itemid=56) 及 び 株 式 会 社 国 際 協 力 銀 行 [2013] 等 参 照 8 土 畠 真 嗣 2014 年 1 月 21 日 ミャ ンマービジネスセミナー 2.ミャ ンマー 決 算 の 実 務 9 ミャンマー 会 社 法 第 144 条 (ht p://www.dica.gov.mm/includes/t he%20burma%20companies%20ac t.pdf) ミャンマー 会 社 法 の 日 本 語 訳 は 日 本 アセアンセンターが 提 供 している(htp://www.asean. 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014 77

or.jp/ja/asean/know/country/mya nmar/invest/pdf/reference05.pdf/ at_download/file) 10 ミャンマー 会 社 法 及 び 株 式 会 社 国 際 協 力 銀 行 [2013] 等 参 照 11 MICPAウェブサイト 参 照 (htp ://myanmar-icpa.org/index.php?o ption=com_content&view=article& id=49&itemid=56) 12 非 公 開 会 社 とは ミャンマー 会 社 法 第 2 条 項 同 条 項 に 従 い 1 株 式 の 譲 渡 に 制 限 が 付 されてい ること 2 株 主 数 が50 名 以 下 (た だし 会 社 に 雇 用 されている 者 を 除 く )であること 及 び3 会 社 の 株 式 又 は 社 債 の 公 衆 に 対 する 募 集 を 禁 じていることの 要 件 をすべ て 満 たす 会 社 で これ 以 外 の 会 社 は 公 開 会 社 に 分 類 される 13 ビルマ(ミャンマー) 監 査 人 資 格 付 与 規 則 では 原 則 として ビ ルマ(ミャンマー) 会 計 審 議 会 の 実 施 する 試 験 に 合 格 した 者 で 一 定 の 実 務 経 験 を 積 んだ 者 に 対 して 登 録 会 計 士 資 格 が 付 与 されていた が 試 験 については 政 府 発 行 の 会 計 ディプロマ 取 得 者 英 国 の 職 業 会 計 専 門 家 資 格 保 持 者 及 びイン ド 勅 許 会 計 士 協 会 の 会 員 に 試 験 の 免 除 が 認 められていた 14 UMyintThein[1999] AccountingEducationandProfessionin Burma(Myanmar), ABACJournalVol.19,No.2,pp33 46 15 AmaraTirasriwatandU Myint Thein[2000] A Comparative StudyofThailandandMyanmar (Burma)ProfessionalAccountant AdmissionRequirements, ABAC Journal,Vol.20,No.1,pp87 101 16 開 業 会 計 士 の 職 務 倫 理 及 び 権 利 は MACLaw 第 8 章 第 18 条 及 び 第 19 条 に 定 められている 特 に 開 業 会 計 士 が 守 るべき 倫 理 が10 項 目 にわたり 第 19 条 に 定 められてい る 17 MICPAウェブサイト 及 びMICPA プレゼンテーション 資 料 18 AmaraTirasriwatandU Myint Thein[2000] A Comparative StudyofThailandandMyanmar (Burma)ProfessionalAccountant AdmissionRequirements, ABAC Journal,Vol.20,No.1,pp87 101 土 畠 真 嗣 2014 年 1 月 21 日 ミャ ンマービジネスセミナー 2.ミャ ンマー 決 算 の 実 務 19 本 誌 70~72 頁 ミャンマー 資 本 市 場 整 備 支 援 とミャンマー 公 認 会 計 士 協 会 支 援 参 照 78 会 計 監 査 ジャーナル No.711 OCT. 2014