世界の不動産市場で存在感が増す中国資本



Similar documents

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし


情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関


平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

平成24年度 業務概況書

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

39_1


土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

PowerPoint プレゼンテーション

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

文化政策情報システムの運用等

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

スライド 1

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>


1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

公表表紙

定款  変更

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

第316回取締役会議案

1_2013BS(0414)

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

<4D F736F F D208C6F89638FEE95F182A082EA82B182EA C82542E646F6378>

6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

スライド 1

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

第 40 回 中 央 近 代 化 基 金 補 完 融 資 推 薦 申 込 み 公 募 要 綱 1 公 募 推 薦 総 枠 30 億 円 一 般 物 流 効 率 化 促 進 中 小 企 業 高 度 化 資 金 貸 付 対 象 事 業 の 合 計 枠 2 公 募 期 間 平 成 28 年 6 月 20

1 < 目 次 > 第 1 部 中 国 進 出 ( 進 出 方 式 の 選 定 現 地 法 人 駐 在 員 事 務 所 の 開 設 ) 4 Ⅰ. 中 国 進 出 に 際 しての 組 織 選 定 4 1. 進 出 形 態 ( 駐 在 員 事 務 所 現 地 法 人 支 店 ) 2. 各 種 形 態 の

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>


財政再計算結果_色変更.indd

Microsoft Word - H20中小会計指針新旧対照表 doc

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

平成29年2月期 第2四半期決算短信

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

第一部【証券情報】

Microsoft Word - プレスリリース(運用ガイドライン変更)_Final_cln_ doc

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

国 家 税 務 総 局 による 輸 出 貨 物 還 付 ( 免 ) 税 に 関 する 若 干 問 題 の 通 知 国 税 発 [2006]102 号 2006 年 7 月 12 日 国 家 税 務 総 局 各 省 自 治 区 直 轄 市 及 び 計 画 単 列 市 国 家 税 務 局 : 一 部 の

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

<4D F736F F D2090BC8BBB959491BA8F5A91EE8A C52E646F63>

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

Microsoft PowerPoint - 基金制度

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word - 【QA】外貨MMF受付停止.doc

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

<4D F736F F D E718CF68D C768E5A8F9197DE>

40 総 論 41 法 人 課 税 01 租 税 法 概 論 ( 4001 ) 02 税 制 の 動 向 ( 4002 ) 91 事 例 研 究 ( 4091 ) 99 その 他 ( 4099 ) 01 法 人 税 ( 4101 ) 3. 税 務 官 庁 の 組 織 4. 不 服 申 立 て 税 務

定款

Microsoft Word - ☆f.doc

ただし 区 分 は 同 一 の 譲 渡 所 得 であっても 不 動 産 の 譲 渡 損 益 は 不 動 産 の 譲 渡 損 益 どうしで また 株 式 等 の 譲 渡 損 益 は 株 式 等 の 譲 渡 損 益 どうしで それぞれ 通 算 を 行 うことになっています( 次 項 の 損 益 通 算

< F2D91E F18BDF91E389BB955C8E D8E9689EF2E>

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

 

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

第4回税制調査会 総4-1

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

第1章 財務諸表

添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について


2020年の住宅市場 ~人口・世帯数減少のインパクト~

兵庫県公立学校教職員等財産形成貯蓄事務取扱細則

<8BB388F58F5A91EE82A082E895FB8AEE967B95FB906A>

160530_日本株厳選_7コース両観_■丸八証券

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

は し が き

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

Taro-01 議案概要.jtd

Microsoft Word - H25年度の概要

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

平成16年度

12FBI特会vol1_01編.indd

Transcription:

海 外 不 動 産 レポート 世 界 の 不 動 産 市 場 で 存 在 感 が 増 す 中 国 資 本 Report 海 外 市 場 調 査 部 副 主 任 研 究 員 安 田 明 宏 < 要 約 概 要 > 中 国 資 本 が 海 外 不 動 産 市 場 で 存 在 感 を 増 してきている 海 外 投 資 に 関 する 制 度 的 改 革 人 民 元 高 外 貨 準 備 の 運 用 の 多 様 化 などが 進 んでいるほか 中 国 国 内 の 不 動 産 市 場 における 問 題 点 やリスクが 増 大 して いることが 背 景 にある 海 外 の 不 動 産 に 投 資 している 中 国 国 内 の 主 体 はデベロッパー SWF 保 険 会 社 である 投 資 対 象 となる 国 地 域 とアセットタイプは 多 様 化 している 中 国 は 圧 倒 的 な 資 金 力 と 行 動 力 スピードで 海 外 に 向 かっている グローバルな 不 動 産 市 場 に 中 国 勢 が 加 わることで 今 後 国 際 的 な 競 争 にも 拍 車 がかかるとみられる 1. 中 国 企 業 が 海 外 の 不 動 産 市 場 に 向 かう 背 景 最 初 に 中 国 資 本 が 中 国 大 陸 以 外 の 不 動 産 市 場 に 向 かうようになった 背 景 を 確 認 する ここでは 主 な 背 景 を 中 国 の 全 般 的 なものと 不 動 産 市 場 に 関 係 があるものに 分 けて 整 理 する (1) 中 国 全 体 における 背 景 1 走 出 去 概 念 の 浸 透 中 国 政 府 は 改 革 開 放 路 線 にかじを 切 ったあと 少 しずつ 対 外 取 引 を 認 める 体 制 に 移 った もっとも 対 外 取 引 は 外 資 の 導 入 に 主 眼 が 置 かれていたため 対 外 投 資 に 目 立 つ 動 きはほとんど 見 られなかった 1979 年 から 2 年 ま での 約 2 年 間 は 個 別 審 査 で 少 しずつ 海 外 投 資 が 広 がっていった 時 期 で ルールの 整 備 は 現 在 ほど 進 んでいなか った 第 1 次 五 カ 年 計 画 (21 年 ~2 年 )で 海 外 に 進 出 する 意 味 の 走 出 去 が 重 点 分 野 となり 対 外 投 資 のルー ルが 整 備 されはじめた 23 年 からは 対 外 直 接 投 資 の 統 計 も 発 表 されるようになった 外 資 の 導 入 と 並 行 して 海 外 投 資 が 本 格 化 し 2 年 代 後 半 からは 加 速 傾 向 が 強 まっている 第 11 次 五 カ 年 計 画 (26 年 ~21 年 )から 輸 出 産 業 の 振 興 に 対 する 見 直 しがはじまり 第 12 次 五 カ 年 計 画 (211 年 ~21 年 )では 投 資 と 輸 出 による 成 長 から 消 費 と 内 需 がけん 引 する 経 済 発 展 が 強 調 された 213 年 11 月 に 開 催 された 第 18 期 中 央 委 員 会 第 3 回 総 会 ( 三 中 総 会 )では 企 業 の 登 記 や 投 資 に 関 する 行 政 手 続 きの 簡 略 化 が 方 針 として 示 された その 後 中 国 企 業 の 海 外 投 資 に 関 して 従 来 の 認 可 制 から 届 出 制 に 移 行 することも 発 表 されている 1 1 新 華 網 発 改 委 副 主 任 : 一 般 性 境 外 投 資 項 目 将 由 核 准 制 逐 歩 改 為 備 案 制 (213 年 12 月 3 日 付 ) http://news.xinhuanet.com/fortune/213-12/3/c_11843472.htm(214 年 1 月 7 日 確 認 ) 1

2 世 界 貿 易 機 関 (WTO) 加 盟 21 年 の WTO 加 盟 により 中 国 は 国 際 的 なルールにしたがった 政 策 や 法 整 備 を 進 めることになった このころま でに 中 国 は 世 界 の 工 場 としての 地 位 を 確 立 し 中 国 国 内 企 業 は 国 際 的 な 取 引 が 飛 躍 的 に 増 加 していたが 今 後 は さらなる 世 界 規 模 での 競 争 に 参 加 することになるとの 認 識 を 広 める 契 機 となった 3 人 民 元 の 切 り 上 げと 国 際 化 2 年 7 月 人 民 元 が 管 理 フロート 制 に 移 行 し 切 り 上 げがはじまった 切 り 上 げを 発 表 した 時 点 で 1 米 ド ル=8.11 人 民 元 だったのが 213 年 9 月 末 時 点 で 6.1 人 民 元 となり この 間 に 31.9% 上 昇 した 人 民 元 高 は 海 外 の 資 産 に 対 する 割 安 感 を 与 えている これに 加 え 人 民 元 の 国 際 化 も 加 速 している 香 港 では 24 年 から 人 民 元 預 金 の 取 り 扱 いがはじまり 27 年 には 人 民 元 建 ての 債 券 の 発 行 も 認 められてい る 29 年 には 中 国 都 市 で 人 民 元 による 貿 易 決 済 が 試 験 的 にはじまり このあとも 国 際 化 の 進 展 が 続 いて いる 213 年 9 月 に 発 表 された 上 海 自 由 貿 易 試 験 区 の 設 置 により これまで 厳 しい 規 制 が 敷 かれていた 人 民 元 による 資 本 取 引 が 緩 和 される 見 込 みである 図 表 1 人 民 元 レート( 対 米 ドル) ( 人 民 元 ) 8. 8. 7. 7. 6. 6.. 為 替 レート( 左 軸 ) 上 昇 率 ( 右 軸 ). 6 7 8 9 1 11 12 13 (%) 3 3 2 2 1 1 4 外 貨 準 備 高 の 増 加 世 界 銀 行 によると 212 年 末 時 点 の 中 国 の 外 貨 準 備 高 は 3.39 兆 米 ドルで 2 位 の 日 本 の 1.27 兆 米 ドル を 大 幅 に 上 回 って 世 界 一 の 水 準 となっている 2 年 7 月 以 降 急 速 な 人 民 元 の 切 り 上 げを 回 避 するために 人 民 元 売 り 米 ドル 買 いを 続 け 緩 やかな 上 昇 となるよう に 誘 導 している これは 中 国 国 内 の 資 産 価 値 の 急 上 昇 を 招 く 理 由 にもなっている また 外 貨 準 備 の 多 くが 米 国 債 として 保 有 されているといわれており 人 民 元 高 による 為 替 差 損 が 生 じる 危 惧 がある 積 み 上 がった 外 貨 準 備 と 人 民 元 の 運 用 を 多 様 化 す る 必 要 があることから 海 外 市 場 を 利 用 する 動 きが 広 が っている 出 所 ) 中 国 人 民 銀 行 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 図 表 2 中 国 における 外 貨 準 備 高 (1 億 米 ドル) 4, 中 国 日 本 3, 3, 2, 2, 1, 1, (2) 不 動 産 市 場 における 背 景 1 キャピタルゲイン 偏 重 の 是 正 近 年 中 国 国 内 の 不 動 産 価 格 は 一 時 的 な 調 整 を 9 92 94 96 98 2 4 6 8 1 12 出 所 ) 世 界 銀 行 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 2

経 ながらも 上 昇 基 調 が 続 いてきた 中 国 国 内 の 不 動 産 市 場 における 利 益 の 源 泉 はキャピタルゲインだった 2 過 去 高 い 水 準 の 経 済 成 長 と 都 市 部 への 人 口 流 入 が 続 き 実 需 が 堅 調 に 推 移 してきたことから デベロッパーは 開 発 すれば 売 れる 状 況 を 享 受 できた 中 国 人 の 不 動 産 保 有 に 対 するセンチメントが 強 かったことも 大 きな 助 けとな った 機 関 投 資 家 にとっても 不 動 産 はキャピタルゲインを 狙 う 市 場 であり 市 場 での 価 格 動 向 を 見 ながら 売 却 のタイミ ングを 見 計 らってきた 海 外 投 資 家 にとっては 人 民 元 の 切 り 上 げ 動 向 による 為 替 差 益 も 注 目 すべき 点 だった 不 動 産 価 格 の 上 昇 が 続 いた 結 果 過 去 のキャピタルゲイン 中 心 の 投 資 に 限 界 が 来 ているとの 認 識 が 広 がってきて いる 過 去 の 二 ケタ 成 長 時 代 から 中 成 長 時 代 にシフトする 中 で 投 資 家 はキャピタルゲインを 利 益 の 源 泉 とする 投 資 に 対 して 慎 重 になってきた 2 低 イールド な 市 場 中 国 の 不 動 産 市 場 は キャピタルゲインを 得 る 市 場 と して 位 置 づけられてきた そのため まず 住 宅 につい ては 賃 貸 市 場 が 発 達 していない 中 国 では 住 宅 は 借 りるものではなく 購 入 するもの という 認 識 が 強 い 賃 貸 住 宅 市 場 でのニーズは 一 時 的 な 居 住 先 を 求 める 中 国 人 や 外 国 人 駐 在 員 が 中 心 である 市 場 規 模 が 小 さい ことから 大 幅 な 賃 料 上 昇 が 見 られない そのため 住 宅 価 格 の 上 昇 に 合 わせてイールドが 漸 次 下 落 する 構 造 になっている 長 期 にわたる 継 続 的 な 賃 貸 ニーズを 確 保 するのが 難 しく 安 定 的 なインカムゲインを 得 る 投 資 としては 向 いていない 市 場 である オペレーション 能 力 の 高 いサービスアパートやホテルが 投 資 対 象 になる 程 度 である オフィスや 商 業 施 設 については 一 定 水 準 のイール ドは 確 保 されている DTZ によると 213 年 第 3 四 半 期 の 上 海 におけるオフィス( 全 体 )のイールドは.77% 図 表 3 オフィスイールド( 上 海 )と 各 種 金 利 (%) 9 8 7 6 4 3 2 オフィスイールド( 上 海 ) 貸 出 基 準 金 利 (1 年 ) 1 貸 出 基 準 金 利 ( 年 ) 定 期 預 金 金 利 (1 年 ) 定 期 預 金 金 利 ( 年 ) 国 債 利 回 り(1 年 ) Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 27 28 29 21 211 212 213 出 所 )DTZ Research 中 国 人 民 銀 行 全 国 銀 行 間 同 業 拆 借 中 心 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 商 業 施 設 ( 南 京 西 路 )は 4.33%である もっとも 貸 出 基 準 金 利 ( 年 以 上 )は 213 年 7 月 以 降 6.%で 推 移 して おり 借 入 を 利 用 した 投 資 の 場 合 必 ずしも 有 利 になるとは 限 らない また 国 債 利 回 りや 定 期 預 金 金 利 とのギャップ も 大 きいとはいえず 無 理 に 賃 貸 収 入 を 狙 う 投 資 をする 必 要 性 がない 二 ケタ 成 長 に 支 えられた 市 場 は 過 去 のものとなり 今 後 は 安 定 した 利 益 を 生 み 出 す 投 資 が 必 要 との 認 識 が 広 が ってきている 3 将 来 的 な 人 口 減 少 これまで 不 動 産 需 要 を 支 えてきた 人 口 の 構 造 的 変 化 が 問 題 になってきた 国 家 統 計 局 によると 212 年 に 中 国 の 生 産 年 齢 人 口 (1 歳 から 9 歳 )が 初 めて 減 少 に 転 じている 人 口 ボーナスの 終 了 が 明 確 になってきており 将 来 的 な 不 動 産 需 要 に 影 響 が 出 る 可 能 性 が 高 まっている さらに 一 人 っ 子 政 策 の 影 響 から 近 い 将 来 全 体 的 な 人 口 減 少 も 起 きると 予 測 されている 将 来 的 な 需 要 の 先 細 りが 見 える 中 需 要 が 確 保 されるのは 人 口 流 入 が 続 く 一 級 二 級 都 市 やその 近 郊 のみで そ 2 中 国 では 市 場 で 流 通 する 不 動 産 として 分 譲 住 宅 のほか 分 譲 オフィスや 分 譲 商 業 施 設 も 一 般 的 に 見 られる 3

れ 以 外 では 開 発 しても 売 れない 可 能 性 がある 実 際 に 三 級 四 級 都 市 の 中 には 需 要 の 見 通 しが 立 たな 図 表 4 中 国 における 人 口 と 生 産 年 齢 人 口 (1 万 人 ) (%) い 中 で 開 発 だけが 先 行 している 都 市 が 出 てきており 在 庫 の 積 み 上 がりが 大 きな 問 題 となっている 企 業 間 1,4 1,3 人 口 ( 左 軸 ) 前 年 比 ( 右 軸 ) 1.6 1.4 の 過 当 競 争 も 進 むとみられ 中 国 国 内 のみに 投 資 する リスクを 考 えるようになってきている 1,3 1.2 1,2 1. 4 政 策 変 動 リスクと 融 資 環 境 住 宅 市 場 では 過 熱 抑 制 策 とテコ 入 れ 策 が 繰 り 返 し 1,2.8 施 行 されてきた 過 去 多 くのデベロッパーが 手 がけた 1,1.6 開 発 の 中 心 は 住 宅 であり 住 宅 市 場 は 常 に 政 策 変 動 リ スクにさらされてきた 住 宅 価 格 のボラティリティが 高 まり 開 発 すれば 売 れる 住 宅 に 偏 った 展 開 から 多 様 化 さ 1,1 1, 212 ~14 歳 1 歳 ~9 歳 6 歳 ~.4.2 せる 必 要 性 が 出 ている 不 動 産 開 発 に 対 する 融 資 の 監 視 体 制 も 強 化 されてき 1, % 2% 4% 6% 8% 1% 9 92 94 96 98 2 4 6 8 1 12. ている 213 年 中 ごろから 注 目 が 集 まったシャドーバン キングは 中 国 国 内 における 融 資 環 境 のひずみを 露 呈 するものになり 不 動 産 開 発 における 資 金 調 達 に 対 す 出 所 ) 国 家 統 計 局 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 図 表 中 国 における 不 動 産 開 発 投 資 る 懸 念 が 広 がった 最 近 は 海 外 での 資 金 調 達 も 見 ら れはじめており 海 外 に 目 を 向 ける 契 機 にもなってい る (1 億 元 ) 8, 7, 不 動 産 開 発 投 資 ( 左 軸 ) 前 年 比 ( 右 軸 ) 対 名 目 GDP 割 合 ( 右 軸 ) 実 質 GDP 成 長 率 ( 右 軸 ) (%) 4 3 6, 3 2. 海 外 に 向 かうデベロッパー 機 関 投 資 家, 2 実 際 に 海 外 不 動 産 に 投 資 する 中 国 国 内 の 主 体 は 4, 2 デベロッパー 政 府 系 ファンド(SWF) 保 険 会 社 である 3, 1 3 ここでは 前 述 の 背 景 から それぞれが 置 かれた 状 2, 1 況 について 概 説 したい 1, (1)デベロッパー 1 2 3 4 6 7 8 9 1 11 12 中 国 における 不 動 産 開 発 投 資 は 増 加 の 一 途 をたど 出 所 ) 国 家 統 計 局 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 っている これまで 不 動 産 開 発 は 中 国 の 高 い 経 済 成 長 を 支 える 一 翼 を 担 ってきた 212 年 の 不 動 産 開 発 投 資 額 は 7 兆 1,84 億 元 で 名 目 GDP の 13.8%を 占 めた 不 動 産 開 発 投 資 の 増 加 率 は 経 済 成 長 率 より 高 い 水 準 で 推 移 している 中 国 国 内 のデベロッパーは 国 内 外 の 強 い 投 資 購 入 意 欲 に 支 えられながら 不 動 産 開 発 規 模 を 拡 大 してきた とり 3 中 国 国 内 の 銀 行 については 自 社 使 用 目 的 の 不 動 産 のみ 購 入 可 能 で 投 資 目 的 での 不 動 産 取 得 は 認 められていない 年 金 基 金 につい ては 不 動 産 投 資 は 認 められていない 今 後 緩 和 される 可 能 性 は 十 分 に 考 えられる また 個 人 投 資 家 については 稿 を 改 めたい 4

わけ 住 宅 開 発 においては 厚 い 実 需 を 形 成 する 一 次 取 得 者 に 支 えられている 地 方 政 府 にとって 土 地 から 得 られ る 収 入 は 重 要 な 財 源 であり 4 不 動 産 開 発 が 積 極 的 に 進 められてきた 銀 行 や 信 託 会 社 なども 積 極 的 に 融 資 し 長 期 にわたって 開 発 すれば 売 れる 状 況 が 続 いた 高 水 準 の 経 済 成 長 や 所 得 の 向 上 などを 背 景 に ビジネスを 支 えるオ フィスや 商 業 施 設 の 開 発 も 進 んでいった 過 熱 傾 向 が 強 まるたびに 中 央 政 府 を 中 心 にさまざまな 不 動 産 関 連 の 政 策 が 発 表 されてきた 結 果 開 発 や 販 売 のタイミングがずれると 売 れ 行 きと 利 益 に 大 きな 影 響 が 出 るようになってきた デベロッパーとしては 中 国 国 内 での 政 策 変 動 リスクを 本 格 的 に 考 えざるをえなくなっている また 一 級 二 級 都 市 の 中 心 部 では 開 発 余 地 が 少 なくなってきており 土 地 使 用 権 の 譲 渡 額 が 高 騰 しているため 資 金 力 のあるデベロッパーのみが 参 加 できる 市 場 になってきている 老 朽 化 が 進 んだ 不 動 産 における 立 ち 退 きは 権 利 関 係 の 複 雑 さやコストの 増 大 などからなかなか 進 まない 場 合 もある 開 発 のチャンスは 将 来 性 が 懸 念 される 郊 外 あ るいは 三 級 四 級 都 市 に 移 っており 好 条 件 を 求 めるデベロッパーは 海 外 での 開 発 を 視 野 に 入 れるようになってきて いる (2) 政 府 系 ファンド(SWF) 現 在 中 国 の 政 府 系 ファンド(SWF)は 4 つ 存 在 する Sovereign Wealth Fund Institute によると 213 年 12 月 時 点 の 受 託 資 産 残 高 は 27 年 設 立 の 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC)が,72 億 米 ドル 2 年 設 立 の 国 家 社 会 保 障 基 金 (NSSF)が 1,66 億 米 ドル 1997 年 設 立 の 中 国 国 家 外 為 管 理 局 (SAFE)が,679 億 米 ドル( 推 定 ) 27 年 設 立 の 中 非 発 展 基 金 有 限 公 司 が 億 米 ドルとなっている 合 計 1 兆 3,87 億 米 ドルで 中 国 の SWF は 世 界 最 大 規 模 となっている SWF の 設 立 の 背 景 には 中 国 が 世 界 の 工 場 としての 地 位 を 得 た 結 果 世 界 最 大 規 模 まで 成 長 した 外 貨 準 備 の 為 替 リスクが 増 大 したことや 主 要 国 ( 特 に 米 国 )の 国 債 購 入 だけでは 投 資 効 率 が 低 く 外 貨 準 備 の 投 資 効 率 を 高 め るために 投 資 を 多 様 化 させる 必 要 性 が 出 てきたことなどがあげられる 27 年 の CIC 設 立 は 大 きな 話 題 となった 中 国 政 府 がこれまでの 外 資 導 入 路 線 に 加 えて 対 外 投 資 に 本 腰 を 入 れていくというアピールとなった これ 以 降 CIC と SAFE は 本 格 的 に 対 外 投 資 を 開 始 し 海 外 不 動 産 の 取 得 に 動 きはじめている (3) 保 険 会 社 近 年 保 険 市 場 の 拡 大 により 保 険 料 収 入 の 増 加 が 続 いている 保 険 は 中 国 国 内 で 暮 らす 人 びとに 対 して 生 活 の 安 定 をもたらすものであり 保 険 市 場 の 信 用 失 墜 は 社 会 不 安 につながる 中 国 政 府 は 保 険 会 社 の 運 用 利 回 りの 確 保 は 重 要 な 課 題 として 認 識 している 過 去 中 国 の 保 険 会 社 に 対 して 投 資 制 限 が 敷 かれていたが 少 しずつ 緩 和 の 方 向 に 動 いている 23 年 以 降 中 国 国 内 の 保 険 会 社 が 香 港 で 上 場 し 外 貨 での 運 用 ニーズが 高 まった 27 年 中 国 国 内 の 保 険 会 社 は 総 資 産 の 1%までを 海 外 投 資 に 振 りわけることができるようになった 21 年 8 月 不 動 産 への 投 資 が 解 禁 され 212 年 1 月 には 合 計 4 カ 国 への 投 資 が 認 められるようになった 執 筆 時 点 では 総 資 産 比 で 最 大 1%まで 海 外 不 動 産 へ 4 中 国 においては すべての 土 地 は 国 有 地 あるいは 農 民 集 団 所 有 地 である 所 有 権 の 売 買 はできないため 土 地 使 用 権 の 売 買 で 流 動 化 させる( 農 民 集 団 所 有 地 では 土 地 使 用 権 の 譲 渡 が 認 められてないため 収 用 して 国 有 地 に 変 更 する 必 要 がある) NSSF については 海 外 投 資 は 可 能 であるが 不 動 産 への 直 接 投 資 は 認 められていない 今 後 緩 和 される 可 能 性 は 十 分 に 考 えられ る

投 資 できるようになっている CBRE によると 212 年 の 中 国 国 内 における 保 険 会 社 の 総 資 産 は 1.2 兆 米 ド ルで このうち 144 億 米 ドルが 海 外 の 不 動 産 に 向 かう 可 能 性 があるとしている 6 図 表 6 中 国 からの 対 外 直 接 投 資 (1 億 米 ドル) 9 ストック( 左 軸 ) フロー( 右 軸 ) 8 (1 億 米 ドル) 9 8 7 7 3. 中 国 からの 対 外 直 接 投 資 の 動 向 (1) 全 般 の 動 向 6 4 6 4 中 国 からの 対 外 直 接 投 資 は 2 年 代 後 半 から 加 速 度 的 に 増 大 している 国 連 貿 易 開 発 会 議 (UNCTAD)によると 212 年 までの 中 国 からの 対 外 直 接 投 資 (ストック)は,9 億 米 ドル 世 界 第 13 位 と なっている 米 国 の 1 分 の 1 程 度 日 本 の 半 分 程 度 の 水 準 で ストックベースで 見 ると 規 模 的 に 大 きくなった 3 3 2 2 1 1 9 92 94 96 98 2 4 6 8 1 12 出 所 )UNCTAD の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 とはいえない しかし フローベースで 見 ると 212 年 は 中 国 は 第 3 位 で 842 億 米 ドル 米 国 の 4 分 の 1 の 水 準 ま で 拡 大 している 中 国 商 務 部 国 家 統 計 局 および 国 家 外 貨 管 理 局 によると 中 国 からの 対 外 直 接 投 資 は 全 体 の 68.%がアジア にストックされている 近 年 は アジア 以 外 での 投 資 も 少 しずつ 増 えており 29 年 をピーク(7.%)に アジア 向 け の 投 資 の 割 合 は 漸 減 している 図 表 7 世 界 の 対 外 直 接 投 資 ストック フロー 順 位 国 / 地 域 198~212 年 順 位 国 / 地 域 212 年 1 米 国,191.1 1 米 国 328.9 2 英 国 1,88.2 2 日 本 122.6 3 ドイツ 1,47.2 3 中 国 84.2 4 フランス 1,496.8 4 香 港 84. 香 港 1,39.8 英 国 71.4 6 スイス 1,129.4 6 ドイツ 66.9 7 日 本 1,4.9 7 カナダ 3.9 8 ベルギー 1,37.8 8 ロシア 1.1 9 オランダ 97.6 9 スイス 44.3 1 カナダ 71.1 1 英 領 バージン 諸 島 42.4 11 スペイン 627.2 11 フランス 37.2 12 イタリア 6.1 12 スウェーデン 33.4 13 中 国 9. 13 韓 国 33. 14 英 領 バージン 諸 島 433.6 14 イタリア 3.4 1 オーストラリア 424. 1 メキシコ 2.6 16 ロシア 413.2 16 シンガポール 23.1 17 スウェーデン 46.9 17 チリ 21.1 18 シンガポール 41.4 18 ノルウェー 2.8 19 アイルランド 37.6 19 アイルランド 19. 2 ブラジル 232.8 2 ルクセンブルグ 17.3 単 位 :1 億 米 ドル 出 所 ) UNCTAD の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 6 CBRE, An Expanding Horizon: Chinese Capital Tapping into Overseas Real Estate Markets, 213 6

国 地 域 別 に 見 ると 香 港 への 投 資 が 圧 倒 的 に 多 い アジアにおける 対 外 投 資 の 大 部 分 は 香 港 にストックされてい る 統 計 が 発 表 されている 23 年 以 降 タックスヘイブンを 中 心 とする 対 外 直 接 投 資 が 目 立 ち 香 港 ケイマン 諸 島 および 英 領 バージン 諸 島 が 上 位 3 位 を 占 めてきた タックスヘイブンへの 直 接 投 資 については 中 国 の 外 資 優 遇 制 度 を 狙 って 中 国 国 内 に 迂 回 (うかい) 投 資 として 戻 ってきている 場 合 もあるといわれている 投 資 分 野 別 に 見 ると リース ビジネスサービス 分 野 への 投 資 がもっとも 多 い 212 年 単 年 では リース ビジネスサ ービス 分 野 7 で 267.4 億 米 ドル 全 体 の 3.%を 占 めている 続 いて 採 鉱 分 野 で 13.4 億 米 ドル 卸 売 小 売 で 13. 億 米 ドルとなっている ストックベースでもリース ビジネスサービス 分 野 がもっとも 多 く 全 体 の 33.%を 占 めて いる 不 動 産 分 野 は 212 年 単 年 の 対 外 直 接 投 資 は 2.2 億 米 ドルで 前 年 比 2.2% 増 だった ストックベースの 対 外 不 動 産 直 接 投 資 は 9.8 億 米 ドル 同 6.6% 増 だった 近 年 安 定 的 に 海 外 への 投 資 が 続 いている 図 表 8 中 国 からの 国 地 域 別 対 外 直 接 投 資 (フロー) 順 位 21 年 211 年 212 年 1 香 港 38,.2 香 港 3,64.8 香 港 1,238.4 2 英 領 バージン 諸 島 6,119.8 英 領 バージン 諸 島 6,28.3 米 国 4,47.9 3 ケイマン 諸 島 3,496.1 ケイマン 諸 島 4,936. カザフスタン 2,996. 4 ルクセンブルグ 3,27.2 フランス 3,482.3 英 国 2,774.7 オーストラリア 1,71.7 シンガポール 3,269. 英 領 バージン 諸 島 2,239.3 6 スウェーデン 1,367.2 オーストラリア 3,16.3 オーストラリア 2,173. 7 米 国 1,38.3 米 国 1,811.4 ベネズエラ 1,41.8 8 カナダ 1,142.3 英 国 1,419.7 シンガポール 1,18.8 9 シンガポール 1,118. ルクセンブルグ 1,26. インドネシア 1,361.3 1 ミャンマー 87.6 スーダン 911.9 ルクセンブルグ 1,133. 単 位 :1 万 米 ドル 出 所 ) 中 国 商 務 部 国 家 統 計 局 国 家 外 貨 管 理 局 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 図 表 9 中 国 からの 大 陸 別 対 外 直 接 投 資 (ストック) 図 表 1 中 国 からの 不 動 産 分 野 の 対 外 直 接 投 資 アジア アフリカ ヨーロッパ 中 南 米 北 米 大 洋 州 23 24 2 26 27 28 29 21 211 212 % 2% 4% 6% 8% 1% (1 億 米 ドル) 1 ストック( 左 軸 ) フロー( 左 軸 ) 9 総 ストックに 占 める 不 動 産 分 野 の 割 合 ( 右 軸 ) 8 7 6 4 3 2 1 24 2 26 27 28 29 21 211 212 (%). 4. 4. 3. 3. 2. 2. 1. 1... 出 所 ) 中 国 商 務 部 国 家 統 計 局 国 家 外 貨 管 理 局 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 出 所 ) 中 国 商 務 部 国 家 統 計 局 国 家 外 貨 管 理 局 の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 7 リース ビジネスサービス 分 野 の 内 訳 は 発 表 されていないが 統 計 の 定 義 では 主 として 株 式 購 入 のための 投 資 とされる 7

(2)デベロッパー 機 関 投 資 家 による 対 外 直 接 投 資 の 動 向 中 国 商 務 部 などは 対 外 直 接 投 資 の 不 動 産 分 野 に つき どの 国 や 地 域 に 投 資 しているかを 発 表 していな い また タックスヘイブン 経 由 の 再 投 資 がどの 国 や 地 域 に 向 かっているのか 海 外 の 不 動 産 開 発 企 業 の 株 式 取 得 や 不 動 産 に 投 資 するファンドへの 投 資 などは 統 計 のどの 分 野 に 入 るのか 不 明 である そのため 実 際 の 取 引 ベースの 数 字 を 見 る 必 要 がある ここでは 中 国 の デベロッパーと 機 関 投 資 家 の 投 資 対 象 都 市 とアセットタ イプについて 概 観 したい 図 表 11 中 国 拠 点 の 投 資 家 による 9 都 市 へのクロスボーダー 取 引 (1 億 米 ドル) 6 ニューヨーク ロサンゼルス ロンドン パリ フランクフルト シドニー 香 港 シンガポール 東 京 4 3 1 投 資 対 象 国 地 域 とアセットタイプ Real Capital Analytics のデータから 算 出 したとこ ろ 中 国 拠 点 の 投 資 家 による 9 都 市 (ニューヨーク ロサ ンゼルス ロンドン パリ フランクフルト シドニー 香 港 シンガポール 東 京 )へのクロスボーダー 投 資 額 は 世 界 的 な 金 融 危 機 の 影 響 を 受 けた 28 年 をのぞいて 増 加 傾 向 にある 213 年 第 1 四 半 期 から 第 3 四 半 期 の 投 資 額 は 1.1 億 米 ドルだった(1 件 あたり 1, 万 米 ドル 以 上 の 取 引 以 下 同 じ) 27 年 はフランクフルト 香 港 およびシンガポール へのクロスボーダー 投 資 が 見 られた 29 年 はロンド ンとロサンゼルスへの 投 資 に 広 がり 21 年 はニューヨ ーク シドニー 211 年 は 東 京 へさらに 投 資 範 囲 が 拡 大 している クロスボーダー 投 資 総 額 も 年 々 増 加 傾 向 が 続 いており 213 年 第 1 四 半 期 から 第 3 四 半 期 は 欧 州 拠 点 の 投 資 家 に 匹 敵 する 規 模 まで 成 長 している 213 年 第 1 四 半 期 から 第 3 四 半 期 までの 欧 州 拠 点 の 投 資 家 による 11 都 市 ( 上 記 9 都 市 に 加 えて 上 海 北 京 )へのクロスボーダー 取 引 額 は 3.8 億 米 ドルである が 欧 州 に 匹 敵 する 規 模 まで 成 長 している 中 国 拠 点 の 投 資 家 による 9 都 市 へのクロスボーダー 投 資 の 総 額 (27 年 から 213 年 第 3 四 半 期 まで)は シンガポールがもっとも 多 い 33.4 億 米 ドルとなっている 続 いて ニューヨークが 2.3 億 米 ドル 香 港 が 24.6 億 米 ドル ロンドンが 23. 億 米 ドルで 拮 抗 している また アセットタイプ 別 に 見 ると 同 期 のオフィスへのクロスボ ーダー 取 引 が 全 体 の.7%を 占 めているが 開 発 用 2 1 7 8 9 1 11 12 13Q1-Q3 出 所 ) Real Capital Analytics の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 図 表 12 北 米 欧 州 中 国 拠 点 の 投 資 家 によるクロスボーダー 取 引 (1 億 米 ドル) 2 1 11 12 13Q1-Q3 18 16 14 12 1 8 6 4 2 北 米 欧 州 中 国 注 : 北 米 および 欧 州 はニューヨーク ロサンゼルス ロンドン パリ フラ ンクフルト シドニー 香 港 シンガポール 上 海 北 京 東 京 の 11 都 市 中 国 は 上 海 北 京 をのぞいた 9 都 市 出 所 ) Real Capital Analytics の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 8

地 (17.2%)やホテル(11.%)も 堅 調 に 積 み 上 がっている 2 積 極 的 なデベロッパー 機 関 投 資 家 実 際 の 投 資 事 例 を 見 ると 212 年 以 降 中 国 企 業 による 海 外 進 出 が 急 速 に 増 えている(11 ページ) この 中 で もっとも 目 立 つのは 緑 地 集 団 と 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC)である 前 者 が 不 動 産 デベロッパーを 後 者 が 機 関 投 資 家 をそれぞれ 代 表 しているといえるだ ろう 8 緑 地 集 団 は 1992 年 に 設 立 された 国 有 の 不 動 産 開 発 企 業 である 中 国 各 地 でさまざまなアセットタイプの 開 発 実 績 があり 212 年 の 売 上 高 は 2,4 億 人 民 元 総 資 産 は 2,3 億 人 民 元 となっている 9 近 年 同 社 は 中 国 国 内 での 開 発 に 加 え 急 速 に 海 外 に 目 を 向 けるようになった 211 年 末 の 韓 国 での 健 康 医 療 都 市 事 業 212 年 末 のドイツでのホテル 事 業 213 年 以 降 は 米 国 オーストラリア タイに 進 出 先 が 広 がっている 投 資 対 象 のエリアやアセットタイプの 選 好 に 偏 りはなく 成 熟 国 から 新 興 国 開 発 からリノベーショ ンまで 幅 広 い 213 年 の 途 中 同 社 は 中 国 国 外 への 投 資 額 を 当 図 表 13 中 国 拠 点 の 投 資 家 による 9 都 市 へのクロスボーダー 取 引 (ア セットタイプ 別 ) (1 億 米 ドル) 6 開 発 用 地 ホテル 物 流 産 業 施 設 住 宅 商 業 施 設 オフィス 4 3 2 1 7 8 9 1 11 12 13Q1-Q3 出 所 )Real Capital Analytics の 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 初 予 定 の 1 億 人 民 元 から 2 億 人 民 元 まで 引 き 上 げる 見 通 しを 表 明 した 1 積 極 的 に 海 外 での 投 資 開 発 の 機 会 を 見 つけて 中 国 国 外 でのプレゼンスを 獲 得 しようとする 姿 勢 がうかがえる 政 府 系 ファンドの CIC は 設 立 当 初 は 株 式 や 債 券 などの 伝 統 的 なアセットクラスでの 運 用 が 中 心 だったが 徐 々に 投 資 範 囲 を 拡 大 している CIC は 海 外 投 資 をはじめた 古 株 にあたり 中 国 企 業 が 中 国 国 外 の 不 動 産 に 投 資 する 呼 び 水 になっている CIC の 不 動 産 分 野 における 主 な 投 資 は 29 年 のオーストラリアのグッドマン グループ( 不 動 産 投 資 信 託 大 手 ) への 出 資 211 年 の 日 本 の 物 流 不 動 産 への 投 資 213 年 のオーストラリアおよび 英 国 のオフィス 購 入 である 成 熟 国 での 安 定 的 な 投 資 対 象 が 選 ばれている 緑 地 集 団 および CIC 以 外 では 広 東 省 の 不 動 産 デベロッパーである 万 科 企 業 や 富 力 地 産 碧 桂 園 がシンガポー ルやマレーシアで 住 宅 を 中 心 とする 開 発 を 進 めているほか SOHO 中 国 や 復 星 国 際 は 米 国 のオフィスに 投 資 してい る 近 年 海 外 不 動 産 への 投 資 が 可 能 になった 保 険 会 社 では 中 国 平 安 保 険 が 英 国 のオフィスに 投 資 している さら に 政 府 系 ファンドでは 中 国 国 家 外 為 管 理 局 (SAFE)による 米 国 の 不 動 産 ファンドや 英 国 のオフィスへの 投 資 が 見 られる 8 緑 地 集 団 は 国 有 の 企 業 であり CIC は 政 府 系 ファンドである 点 に 注 目 すると 海 外 での 不 動 産 開 発 や 投 資 については 中 国 政 府 の 意 向 が 反 映 されていると 解 すこともできる すなわち 中 国 政 府 として 経 済 的 紐 帯 を 強 化 したい 国 や 地 域 に 投 資 を 向 かわせていると 考 え ることができるだろう 9 新 華 網 緑 地 香 港 助 力 全 球 化 218 年 目 標 銷 售 額 超 億 (213 年 8 月 31 日 付 ) http://news.xinhuanet.com/house/hz/213-8-31/c_11716982.htm(214 年 1 月 7 日 確 認 ) 1 第 一 財 経 緑 地 集 団 : 年 内 新 増 海 外 投 資 1 億 元 (213 年 7 月 4 日 付 ) http://www.yicai.com/news/213/7/283312.html(214 年 1 月 7 日 確 認 ) 9

中 国 資 本 による 海 外 不 動 産 への 投 資 は 欧 米 や 日 本 香 港 やシンガポールなどに 比 べて 歴 史 が 浅 い しかし そ の 投 資 判 断 スピードと 資 金 規 模 で チャイナマネー の 存 在 感 は 着 実 に 強 まっている 今 後 中 国 資 本 は 圧 倒 的 な 資 金 力 をもってグローバルな 競 争 に 本 格 参 入 すると 予 測 される 中 国 では 資 本 取 引 に 厳 しい 制 限 が 敷 かれているが この 自 由 化 が 進 むと 世 界 の 不 動 産 市 場 におけるマネーフローに 大 きな 影 響 を 与 えることになる 本 稿 で 取 り 上 げたようなメジャープレーヤー 以 外 が 本 格 的 に 海 外 不 動 産 への 投 資 を 検 討 するように なれば 投 資 する 国 地 域 やアセットタイプにもさらなる 多 様 性 が 出 てくるだろう 1

図 表 14 中 国 資 本 による 主 なクロスボーダー 取 引 事 例 発 表 時 期 国 地 域 都 市 /エリア 買 主 アセットタイプ プロジェクト 名 投 資 額 29 年 6 月 オーストラリア - 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC) 株 式 グッドマン グループ ( 不 動 産 投 資 信 託 大 手 ) の 株 式 取 得 17.8% 分 211 年 12 月 韓 国 済 州 島 緑 地 集 団 総 合 都 市 開 発 健 康 医 療 都 市 事 業 1 兆 ウォン 211 年 12 月 日 本 各 地 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC) 物 流 物 流 施 設 1 件 1,226 億 円 212 年 3 月 香 港 - 中 国 建 設 銀 行 オフィス 東 匯 18 号 2 億 1, 万 香 港 ドル 212 年 4 月 香 港 - 中 国 路 橋 集 団 オフィス 香 港 コンベンション& エキシビションセンター(28 階 ) 3 億 7, 万 香 港 ドル 212 年 月 香 港 - 中 国 農 業 銀 行 オフィス 干 諾 道 中 号 48 億 8 万 香 港 ドル 212 年 月 香 港 - 中 国 建 設 銀 行 ホテル 212 年 月 香 港 - 中 国 移 動 通 信 オフィス 香 港 帝 盛 酒 店 (ドーセット リージェンシー ホテル) 九 龍 貿 易 中 心 (KCC)(4フロア) 8 億 香 港 ドル 1 億 香 港 ドル 212 年 6 月 ナイジェリア ラゴス 中 国 鉄 建 住 宅 - - 212 年 7 月 - - 国 家 外 為 管 理 局 (SAFE) ファンド Blackstone Real Estate Partners VII 億 米 ドル 212 年 1 月 米 国 ニューヨーク 鑫 苑 置 業 開 発 用 地 ( 住 宅 ) -,42 万 米 ドル 212 年 11 月 英 国 ロンドン 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC) 212 年 12 月 ドイツ フランクフルト 緑 地 集 団 ホテル オフィス ウィンチェスター ハウス 2.4 億 ポンド 鉑 躧 酒 店 (ザ キューブ ホテル) 天 津 市 山 東 省 済 南 市 にある ホテル 経 営 権 との 相 互 譲 渡 契 約 212 年 12 月 マレーシア ジョホール 州 碧 桂 園 住 宅 カントリーガーデン ダンガベイ 9 億 リンギット 213 年 1 月 香 港 - 万 科 企 業 開 発 用 地 ( 住 宅 ) TW6プロジェクト 34 億 3,42 万 香 港 ドル ( 落 札 額 ) 213 年 2 月 米 国 サンフランシスコ 万 科 企 業 住 宅 - 1.7 億 米 ドル( 出 資 ) 213 年 3 月 英 国 ロンドン 国 家 外 為 管 理 局 (SAFE)など オフィス Ropemaker Place 7.16 億 米 ドル 213 年 3 月 オーストラリア シドニー 緑 地 集 団 オフィス 歴 史 的 建 造 物 - 4.8 億 豪 ドル 213 年 4 月 シンガポール - 万 科 企 業 マンション - 1.36 億 シンガポールドル ( 権 益 3% 分 ) 213 年 月 シンガポール - 青 建 集 団 マンション アンカーベール ホライズン 2.46 億 シンガポールドル 213 年 月 シンガポール - 青 建 集 団 マンション ウッドランズ アベニュー 2.16 億 シンガポールドル 213 年 6 月 UAE ドバイ 中 国 建 築 工 程 総 公 司 リゾート パーム アイランド 1 億 米 ドル 213 年 6 月 英 国 ロンドン 万 達 集 団 複 合 施 設 (ホテル 住 宅 ) 213 年 6 月 米 国 ニューヨーク SOHO 中 国 など オフィス 213 年 7 月 イタリア ミラノ Prime Acquisition Corp ( 石 家 荘 の 投 資 家 ) 倫 敦 万 達 酒 店 (ロンドン ワンダ ホテル) ゼネラル モーターズ (GM)ビル 7 億 ポンド 株 式 4% 複 数 不 動 産 のポートフォリオ - 24 万 ユーロ 213 年 7 月 英 国 ロンドン 中 国 平 安 保 険 オフィス ロイズ オブ ロンドン 本 社 ビル 2.6 億 ポンド 213 年 7 月 韓 国 済 州 島 緑 地 集 団 リゾート ハルラ ビレッジ( 移 民 家 ) - 213 年 7 月 米 国 ロサンゼルス 緑 地 集 団 複 合 施 設 (ホテル オフィス SA 住 宅 ) - 1 億 米 ドル 213 年 8 月 シンガポール - 華 彬 集 団 マンション レインウッド ハミルトン スコッツ 4 億 7 万 シンガポールドル 213 年 8 月 タイ バンコク パタヤ 緑 地 集 団 複 合 施 設 (マンション 商 業 施 設 SA) - 12 億 人 民 元 213 年 1 月 米 国 ニューヨーク 緑 地 集 団 住 宅 - 権 益 7% 分 213 年 1 月 米 国 ニューヨーク 復 星 国 際 オフィス ワン チェース マンハッタン プラザ 7.2 億 米 ドル 複 合 施 設 213 年 1 月 米 国 カリフォルニア 州 オークランド 北 京 沢 信 控 股 集 団 ( 住 宅 商 業 施 設 - 1 億 米 ドル ト バ ) 213 年 1 月 マレーシア クアラルンプール(カジャン) 碧 桂 園 住 宅 - - 213 年 11 月 英 国 ロンドン 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC) 213 年 11 月 韓 国 済 州 島 緑 地 集 団 オフィス 複 合 施 設 (SA 高 級 ホテル 娯 楽 施 設 ) チズウィック パーク 交 渉 中 (~8 億 ポンド) - 6 億 人 民 元 213 年 11 月 ニュージーランド カリカリペニンシュラ 上 海 中 房 置 業 リゾート ペッパーズ キャリントン リゾート - 213 年 11 月 マレーシア ジョホール 州 富 力 地 産 213 年 11 月 南 アフリカ ヨハネスブルグ 上 海 証 大 房 地 産 213 年 12 月 オーストラリア シドニー 中 国 投 資 有 限 責 任 公 司 (CIC) 214 年 1 月 英 国 ロンドン 緑 地 集 団 開 発 用 地 ( 住 宅 オフィス ホテル 商 業 施 設 ) 複 合 施 設 ( 住 宅 商 業 施 設 ) - 4 億 リンギット - 1.6 億 南 アランド オフィス センテニアル プラザ 3. 億 豪 ドル 複 合 施 設 ( 住 宅 商 業 施 設 ) Ram Brewery 再 開 発 214 年 1 月 英 国 ロンドン 緑 地 集 団 住 宅 カナリーワーフ 開 発 6 億 ポンド 214 年 1 月 韓 国 済 州 島 新 華 聯 不 動 産 リゾート - 3 億 ウォン 214 年 1 月 マレーシア ジョホール 州 新 華 聯 不 動 産 リゾート( 住 宅 商 業 施 設 ) - 1. 億 リンギット 注 :SA=サービスアパート 出 所 ) 各 種 公 表 報 道 資 料 をもとに 三 井 住 友 トラスト 基 礎 研 究 所 作 成 6 億 ポンド 11

本 レポートに 関 するお 問 い 合 わせ 海 外 市 場 調 査 部 https://www.smtri.jp/contact/form-investment/investment.html 1-1 東 京 都 港 区 虎 ノ 門 4-3-13 ヒューリック 神 谷 町 ビル 3F http://www.smtri.jp/ 1. この 書 類 を 含 め 当 社 が 提 供 する 資 料 類 は 情 報 の 提 供 を 唯 一 の 目 的 としたものであり 不 動 産 及 び 金 融 商 品 を 含 む 商 品 サービス 又 は 権 利 の 販 売 その 他 の 取 引 の 申 込 み 勧 誘 あっ 旋 媒 介 等 を 目 的 としたもので はありません 銘 柄 等 の 選 択 投 資 判 断 の 最 終 決 定 又 はこの 書 類 のご 利 用 に 際 しては お 客 さまご 自 身 で ご 判 断 くださいますようお 願 いいたします 2. この 書 類 を 含 め 当 社 が 提 供 する 資 料 類 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 に 基 づいて 作 成 していますが 当 社 はその 正 確 性 及 び 完 全 性 に 関 して 責 任 を 負 うものではありません また 本 資 料 は 作 成 時 点 又 は 調 査 時 点 に おいて 入 手 可 能 な 情 報 等 に 基 づいて 作 成 されたものであり ここに 示 したすべての 内 容 は 作 成 日 における 判 断 を 示 したものです また 今 後 の 見 通 し 予 測 推 計 等 は 将 来 を 保 証 するものではありません 本 資 料 の 内 容 は 予 告 なく 変 更 される 場 合 があります 3. この 資 料 の 権 利 は 当 社 に 帰 属 しております 当 社 の 事 前 の 了 承 なく その 目 的 や 方 法 の 如 何 を 問 わず 本 資 料 の 全 部 又 は 一 部 を 複 製 転 載 改 変 等 してご 使 用 されないようお 願 いいたします 4. 当 社 は 不 動 産 鑑 定 業 者 ではなく 不 動 産 等 について 鑑 定 評 価 書 を 作 成 交 付 することはありません 当 社 は 不 動 産 投 資 顧 問 業 者 又 は 金 融 商 品 取 引 業 者 として 投 資 対 象 商 品 の 価 値 又 は 価 値 の 分 析 に 基 づく 投 資 判 断 に 関 する 助 言 業 務 を 行 います 当 社 は 助 言 業 務 を 遂 行 する 過 程 で 不 動 産 等 について 資 産 価 値 を 算 出 する 場 合 があります しかし この 資 産 価 値 の 算 出 は 当 社 の 助 言 業 務 遂 行 上 の 必 要 に 応 じて 行 うものであ り ひとつの 金 額 表 示 は 行 わず 複 数 幅 分 布 等 により 表 示 いたします 12