目 次 Ⅰ. 目 的... 2 Ⅱ. 経 緯... 2 Ⅲ. 特 別 調 査 の 方 法 及 び 手 法... 2 Ⅳ. 特 別 調 査 の 結 果 三 菱 電 機 による 不 正 の 全 容 本 件 事 案 の 概 要 鎌 倉 製 作 所 におけ



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三 菱 電 機 株 式 会 社 による 過 大 請 求 事 案 調 査 報 告 書 平 成 24 年 12 月 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA)

目 次 Ⅰ. 目 的... 2 Ⅱ. 経 緯... 2 Ⅲ. 特 別 調 査 の 方 法 及 び 手 法... 2 Ⅳ. 特 別 調 査 の 結 果... 4 1. 三 菱 電 機 による 不 正 の 全 容... 4 1.1 本 件 事 案 の 概 要... 4 1.2 鎌 倉 製 作 所 における 不 正 の 実 態... 7 1.3 通 信 機 製 作 所... 14 1.4 動 機 背 景... 18 1.5 組 織 的 関 与... 19 1.6 内 部 統 制 上 の 問 題... 21 2. 過 払 い 額 等 の 算 定... 21 3. 総 括... 25 Ⅴ. 過 去 の 過 大 請 求 等 事 案 を 踏 まえた 再 発 防 止 策 の 検 証... 26 1.1998( 平 成 10) 年 の 過 大 請 求 事 案 への 対 応... 26 2.2004( 平 成 16) 年 の 通 報 への 対 応... 29 3. 確 定 契 約 における 過 大 見 積 もり... 30 Ⅵ. 再 発 防 止 策... 32 1. 三 菱 電 機 が 実 施 する 再 発 防 止 策... 32 2.JAXAが 実 施 する 再 発 防 止 策... 35 1

Ⅰ. 目 的 本 報 告 書 は 三 菱 電 機 株 式 会 社 ( 以 下 三 菱 電 機 という )に よる 独 立 行 政 法 人 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 ( 以 下 JAXA という ) に 対 する 過 大 請 求 事 案 ( 以 下 本 件 事 案 という )について 調 査 の 経 緯 内 容 今 後 の 対 応 等 をとりまとめたものである Ⅱ. 経 緯 1. JAXAは 2011( 平 成 23) 年 秋 に 外 部 から 得 ていた 三 菱 電 機 における 工 数 の 不 適 切 な 計 上 等 によるコストの 改 竄 を 指 摘 する 情 報 を 踏 まえ 翌 年 1 月 17 日 に 三 菱 電 機 に 対 して 自 身 の コンプライアンスの 観 点 から 社 内 調 査 を 行 うよう 申 し 入 れた 2. 同 月 27 日 に 三 菱 電 機 から JAXAとの 契 約 において 過 大 請 求 を 行 っていた 事 実 を 認 める 旨 の 報 告 があった 3. これを 踏 まえ JAXAは 即 日 三 菱 電 機 に 対 し 競 争 参 加 資 格 停 止 の 措 置 をとり 同 社 に 対 して 本 件 事 案 の 全 容 の 解 明 過 払 い 金 等 の 返 還 及 び 再 発 防 止 を 求 めるとともに 同 月 30 日 に 予 備 調 査 を 行 った 上 で 翌 31 日 から 特 別 調 査 1 を 開 始 した Ⅲ. 特 別 調 査 の 方 法 及 び 手 法 1. JAXAでは 2012( 平 成 24) 年 1 月 30 日 副 理 事 長 を 本 部 長 とする 過 大 請 求 問 題 対 策 本 部 を 設 置 し 三 菱 電 機 に 対 して 契 約 関 係 書 類 財 務 帳 簿 財 務 や 就 業 関 係 の 電 子 システム 三 菱 電 機 社 員 の 電 子 メール 作 成 資 料 等 の 物 的 資 料 の 確 認 や 聞 き 取 り 調 査 を 行 った 2. 本 調 査 は 本 件 事 案 の 全 容 解 明 や 過 払 い 額 の 算 定 等 をより 専 門 的 客 観 的 見 地 から 実 施 するため 弁 護 士 及 び 公 認 会 計 士 の 支 援 を 得 て 実 施 した 3. 調 査 に 当 たっては JAXAとの 契 約 に 基 づく 主 たる 業 務 実 施 場 所 である 三 菱 電 機 鎌 倉 製 作 所 に10 名 程 度 ( 公 認 会 計 士 含 む)を 常 時 派 遣 するとともに 本 社 及 び 通 信 機 製 作 所 についても 適 宜 実 2

地 調 査 を 行 った 4. また 三 菱 電 機 による 社 内 調 査 の 状 況 を 随 時 聴 取 し 資 料 の 確 認 や 関 係 社 員 への 直 接 の 聞 き 取 り 調 査 などによって 三 菱 電 機 によ る 社 内 調 査 結 果 の 確 認 を 行 った 3

Ⅳ. 特 別 調 査 の 結 果 1. 三 菱 電 機 による 不 正 の 全 容 JAXAは 三 菱 電 機 による 過 大 請 求 に 起 因 する 過 払 い 額 を 算 定 して 返 還 を 求 めること 及 び 同 様 な 不 正 の 防 止 策 を 施 すため 三 菱 電 機 による 不 正 の 全 容 を 明 らかにすべく 調 査 を 行 った 具 体 的 には 不 正 が 行 われた 期 間 費 目 対 象 となる 契 約 部 署 等 の 確 認 及 び 過 払 い 額 算 定 の 基 礎 となる 適 正 なデータの 残 存 確 認 等 を 行 うとともに 再 発 防 止 策 策 定 のベースとして 不 正 の 手 口 動 機 背 景 組 織 的 関 与 の 状 況 について 確 認 を 行 った これらの 調 査 に 当 たっては 鎌 倉 製 作 所 通 信 機 製 作 所 における 帳 票 類 の 確 認 電 子 メールデータや 会 議 資 料 作 業 管 理 に 係 るシス テムデータの 確 認 サーバーに 残 されたファイルデータの 検 索 等 を 行 うとともに 三 菱 電 機 による 社 内 調 査 状 況 も 確 認 しつつ JAX A 自 ら 三 菱 電 機 社 員 に 対 するアンケートや 聞 き 取 り 調 査 を 行 った 本 項 では これらの 調 査 の 結 果 明 らかになった 三 菱 電 機 の 不 正 の 全 容 を 示 す 1.1 本 件 事 案 の 概 要 (1) 宇 宙 事 業 における 損 益 管 理 の 考 え 方 (ア)JAXAと 三 菱 電 機 との 契 約 には 契 約 締 結 時 の 契 約 金 額 を 上 限 金 額 とし 実 際 の 製 造 原 価 の 額 をもとに 契 約 終 了 時 に 契 約 金 額 を 確 定 する 上 限 付 き 概 算 契 約 と 実 際 の 製 造 原 価 の 増 減 とは 無 関 係 に 契 約 締 結 段 階 で 契 約 額 が 確 定 している 確 定 契 約 がある (イ) 受 注 者 である 三 菱 電 機 から 見 た 場 合 上 限 付 き 概 算 契 約 で は 実 際 の 製 造 原 価 が 契 約 見 積 もり 上 の 製 造 原 価 と 一 致 する 場 合 に 最 大 の 利 益 が 確 保 できるが これを 上 回 るとその 分 利 益 が 圧 縮 され 下 回 った 場 合 には 受 け 取 り 済 みの 代 金 から 返 納 を 求 められることになる 4

(ウ) 宇 宙 事 業 を 担 当 する 電 子 システム 事 業 本 部 は このような 中 その 製 造 拠 点 である 鎌 倉 製 作 所 及 び 通 信 機 製 作 所 に 対 し て 達 成 すべき 利 益 目 標 を 指 示 していた (2) 目 標 工 数 による 損 益 管 理 (ア) 両 製 作 所 では 宇 宙 事 業 全 体 の 損 益 を 確 保 すべく 契 約 締 結 後 契 約 金 額 に 対 応 した 目 標 とすべき 製 造 原 価 を 算 定 していた このうち 加 工 費 等 に 対 応 する 工 数 2 が 当 該 契 約 に 係 る 作 業 時 間 の 目 標 ( 目 標 工 数 )として 作 業 を 担 う 各 課 に 配 分 されてい た (イ) 作 業 実 態 がこの 目 標 工 数 と 一 致 する 場 合 に 上 限 付 き 概 算 契 約 では 利 益 の 最 大 化 につながり 確 定 契 約 においても 赤 字 の 回 避 につながること 等 から 両 製 作 所 では 上 限 付 き 概 算 契 約 と 確 定 契 約 とを 問 わず 実 績 として 計 上 される 工 数 ( 以 下 実 績 工 数 という )と 目 標 工 数 との 合 致 を 求 めることで 損 益 管 理 を 行 っていた (3) 不 適 切 な 工 数 計 上 (ア) 目 標 工 数 を 配 分 された 各 課 においては 目 標 工 数 どおりに 実 績 工 数 を 計 上 すること 自 体 が 目 的 化 し 目 標 工 数 と 作 業 実 態 が 乖 離 していた 場 合 であっても 目 標 工 数 に 合 わせて 実 績 工 数 を 計 上 していた この 結 果 目 標 工 数 に 対 して 作 業 実 態 が 過 剰 になった 契 約 の 超 過 工 数 が 目 標 工 数 に 余 裕 のある 契 約 の 工 数 として 計 上 されるという 不 適 切 な 工 数 計 上 となって いた また 直 接 作 業 3 だけで 目 標 工 数 に 達 しない 場 合 は 間 接 作 業 4 が 直 接 工 数 として 不 適 切 に 計 上 される 場 合 もあった この 点 三 菱 電 機 の 調 査 では 工 数 の 付 替 え という 言 葉 が 使 われるが 作 業 実 態 とは 関 わりなく 目 標 工 数 通 りに 実 績 工 数 を 計 上 するケースが 見 られるた め 工 数 を 付 け 替 えるというよりは 結 果 的 に 付 け 替 えられた 状 況 になっていると 考 えるべきである (イ)また 鎌 倉 製 作 所 では 当 初 設 定 した 予 備 費 を 使 用 するこ となく 作 業 の 終 了 が 見 込 まれる 場 合 や 作 業 の 途 中 に 原 価 低 5

減 が 進 んだ 場 合 等 に 作 業 を 担 当 する 各 課 が 必 ずしも 追 加 の 工 数 を 必 要 としていないにもかかわらず 未 使 用 予 備 費 相 当 額 や 原 価 低 減 相 当 額 を 工 数 化 し 各 課 に 追 加 の 目 標 工 数 とし て 配 分 することがあった( 以 下 このような 場 合 の 追 加 の 目 標 工 数 を 対 策 工 数 という ) (ウ) 対 策 工 数 は 各 課 において 実 態 とは 異 なる 工 数 計 上 が 常 態 的 に 行 われていることを 前 提 に 配 分 した 工 数 が 他 の 契 約 作 業 で 計 上 されることを 意 図 して 配 分 されていた (エ)このように 不 適 切 な 工 数 計 上 は 各 課 における 目 標 工 数 と 実 績 工 数 を 合 致 させるための 操 作 及 びこれを 前 提 とした 目 標 工 数 そのものの 操 作 によって 行 われていた (オ)これらの 不 適 切 な 工 数 計 上 によって 三 菱 電 機 は 上 限 付 き 概 算 契 約 において 真 正 な 製 造 原 価 が 明 らかになっていれば 本 来 避 けられなかったはずの 契 約 金 額 の 減 額 を 免 れていた (4) 確 定 契 約 における 過 大 請 求 の 有 無 (ア) 確 定 契 約 では 契 約 締 結 段 階 で 契 約 額 が 確 定 しているため 実 際 の 製 造 原 価 の 不 適 切 な 計 上 は それ 自 体 でJAXAから の 支 払 い 金 額 の 増 減 をもたらすものではない しかしながら 人 工 衛 星 の 研 究 開 発 等 市 場 価 格 によって 予 定 価 格 を 算 定 し 難 い 場 合 には 原 価 計 算 方 式 5 を 用 いて 予 定 価 格 を 算 定 するが 過 去 の 契 約 における 虚 偽 の 製 造 原 価 実 績 を 用 いて 見 積 もり 等 が 作 成 された 場 合 は 見 積 もり 金 額 が 不 適 正 なものになりう るため この 点 についても 調 査 を 行 った (イ) 三 菱 電 機 は 見 積 もり 作 成 時 に 原 価 の 計 上 実 績 を 用 いていな いとしているため 三 菱 電 機 の 見 積 もり 方 法 を 確 認 するとと もに 具 体 的 な 契 約 案 件 についても サンプルを 用 いて 契 約 時 の 原 価 内 訳 と 実 際 の 原 価 との 差 異 とその 理 由 を 確 認 したが 問 題 と 思 われる 事 案 は 確 認 されなかった 6

見 積 もり 作 成 時 に 原 価 の 計 上 実 績 を 用 いていない 理 由 について 三 菱 電 機 は 人 工 衛 星 の 研 究 開 発 等 の 業 務 は 開 発 要 素 が 大 きく 工 期 も 長 いことから 見 積 もり 時 点 において 参 照 できる 計 上 実 績 が 必 ずしも 存 在 しないこと 過 去 に 同 種 の 機 種 ( 人 工 衛 星 の 種 類 等 )の 受 注 があった 場 合 でも 実 際 の 製 造 原 価 の 元 となる 工 数 計 上 が 見 積 もり 時 に 必 要 な 作 業 単 位 毎 に 把 握 できないこと 等 と している (5) 不 正 の 開 始 時 期 (3)に 述 べたような 不 適 切 な 工 数 計 上 がいつ 頃 から 行 われ ていたかは 三 菱 電 機 自 身 においても 明 確 ではないが JAX Aによる 調 査 の 結 果 鎌 倉 製 作 所 においては 遅 くとも 1992( 平 成 4) 年 には 通 信 機 製 作 所 においても 1990 年 代 後 半 には 行 わ れていたと 考 えられる 1.2 鎌 倉 製 作 所 における 不 正 の 実 態 調 査 の 結 果 鎌 倉 製 作 所 における 不 正 の 該 当 部 署 費 目 及 び 不 正 の 方 法 は 以 下 のとおりである (1) 損 益 及 び 工 数 の 管 理 方 法 (ア) 鎌 倉 製 作 所 の 毎 年 度 の 経 営 目 標 は 前 年 度 の 12 月 から 1 月 にかけて 取 りまとめる 年 度 計 画 で 設 定 され 当 該 年 度 の 6 月 から 7 月 にかけて 実 施 する 中 間 フォローにおいて 見 直 しを 行 って 再 設 定 される (イ) 年 度 計 画 及 び 中 間 フォロー 作 成 時 には 関 係 各 課 における 人 員 計 画 の 基 礎 となる 負 荷 工 数 計 画 が 作 成 される 負 荷 工 数 とは 向 こう 3 年 間 の 生 産 計 画 を 踏 まえて 機 種 ( 人 工 衛 星 の 種 類 等 ) 毎 に 各 課 が 必 要 とする 人 員 を 勘 案 して 見 積 もり プ ロジェクト 管 理 システム 設 計 等 を 担 当 する 宇 宙 システム 部 衛 星 情 報 システム 部 に 所 属 するプロジェクトマネージャーと の 間 で 調 整 され 決 定 される 工 数 である (ウ)これに 対 し 目 標 工 数 はプロジェクトマネージャーと 営 業 部 門 が 中 心 となって 当 該 契 約 の 負 荷 工 数 や 契 約 額 を 基 準 に 設 定 し プロジェクトマネージャーが 各 課 への 配 分 を 決 定 する 7

決 定 された 目 標 工 数 は 営 業 部 門 によって MC 表 ( 製 造 原 価 を 管 理 するための 表 )に 反 映 されるとともに 各 課 に 配 布 され る なお 作 業 途 中 で 発 生 する 不 具 合 等 に 備 え 予 備 費 を 確 保 する 運 用 が 行 われていた (エ) 各 課 が 計 上 する 工 数 は 実 績 対 比 表 によって 目 標 工 数 との 乖 離 を 毎 月 チェックする 方 法 で 管 理 されていた (オ)また 工 数 を 含 む 製 造 原 価 の 状 況 については 宇 宙 事 業 を 推 進 する 部 門 の 部 長 ( 宇 宙 システム 部 長 衛 星 情 報 システム 部 長 宇 宙 総 合 試 験 部 長 ) 及 び 経 理 部 営 業 部 の 宇 宙 担 当 課 長 が 出 席 する 原 価 会 議 において 機 種 の 損 益 に 責 任 を 持 つプ ロジェクトマネージャー 及 び 事 業 分 野 ( 官 需 商 用 衛 星 輸 出 等 )の 損 益 に 責 任 を 持 つ 分 野 総 括 から 毎 月 報 告 が 行 われ その 結 果 は 所 長 副 所 長 に 対 しても 報 告 されていた 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 では 事 業 分 野 ごとの 損 益 に 責 任 を 持 つ 分 野 総 括 につ いて 触 れられておらず 原 価 会 議 の 結 果 が 所 長 副 所 長 に 報 告 される 仕 組 み についても 言 及 がない (カ) 鎌 倉 製 作 所 における 就 業 時 間 と 計 上 工 数 とは 別 に 管 理 され ており 就 業 時 間 は 総 務 部 人 事 研 修 課 が 計 上 工 数 は 工 数 管 理 システム 6 により 経 理 部 が 集 計 していた 工 数 管 理 システム 上 各 人 の 作 業 時 間 は 就 業 時 間 の 範 囲 でしか 計 上 されないよ う 設 定 されており 就 業 時 間 を 超 えた 架 空 の 作 業 時 間 は 計 上 できない 設 計 となっていた (キ) 不 適 切 な 工 数 計 上 は 作 業 者 自 身 が 虚 偽 の 数 値 を 入 力 する 一 重 帳 簿 7 的 な 方 法 の 他 作 業 者 が 入 力 した 真 正 な 実 績 工 数 を 課 長 等 が 事 後 的 に 修 正 する 形 でも 行 われており 修 正 前 のデ ータが 保 存 されている 可 能 性 があったが 工 数 管 理 システム の 廃 止 時 に 全 データが 削 除 されていた また バックアップ データについては 設 計 部 門 のデータはJAXAが 2004( 平 成 16) 年 に 調 査 を 行 ったことを 契 機 に 経 理 部 の 指 示 により 同 年 以 前 のデータが 削 除 され それ 以 後 は 一 重 帳 簿 的 な 方 法 での 計 上 となったため 真 正 な 工 数 の 保 存 は 確 認 されていな 8

い 一 方 工 作 部 門 のデータについては 作 業 者 が 入 力 した 実 際 の 作 業 時 間 をほぼ 正 確 に 反 映 していると 思 われるデータ の 一 部 (2004( 平 成 16) 年 4 月 から 2009( 平 成 21) 年 9 月 ま で)が 保 管 されていた 三 菱 電 機 鎌 倉 製 作 所 組 織 図 取 締 役 会 監 査 部 情 報 保 全 監 理 部 (H24.1.27 現 在 ) 執 行 役 社 長 各 部 総 務 部 営 業 本 部 経 理 部 管 制 システム 部 生 産 システム 本 部 開 発 本 部 電 子 システム 業 務 部 営 業 部 資 材 部 郡 山 工 場 情 報 システム 部 各 事 業 本 部 電 子 システム 事 業 本 部 各 事 業 本 部 電 子 事 業 部 宇 宙 システム 事 業 部 ITソリューション 事 業 部 鎌 倉 製 作 所 生 産 技 術 部 品 質 保 証 部 製 造 部 MD 製 造 部 衛 星 情 報 システム 部 宇 宙 システム 部 宇 宙 総 合 試 験 部 通 信 機 製 作 所 技 術 部 相 模 工 場 太 枠 及 び 太 字 は 宇 宙 事 業 に 主 に 携 わっている 部 署 を 指 す 飛 しょう 体 システム 部 ITシステム 部 (2) 鎌 倉 製 作 所 における 不 適 切 な 工 数 計 上 等 の 態 様 (ア) 不 適 切 な 工 数 計 上 等 の 発 生 部 署 及 び 費 目 鎌 倉 製 作 所 においては JAXAとの 契 約 に 関 して 直 接 作 業 による 工 数 ( 直 接 工 数 )が 発 生 する 部 署 全 てで 不 適 切 な 工 数 計 上 が 行 われていた 具 体 的 には 製 造 部 MD 製 造 部 技 術 部 情 報 システム 部 の 一 部 衛 星 情 報 システム 部 宇 宙 システム 部 宇 宙 総 合 試 験 部 及 び 相 模 工 場 である 上 記 のとおり 不 適 切 な 工 数 計 上 の 結 果 として 工 数 が 別 の 契 約 に 付 け 替 えられた 場 合 も 各 課 が 実 際 に 所 掌 する 作 業 の 範 囲 内 で 工 数 は 計 上 されていたため 多 くの 場 合 は 各 分 野 内 ( 防 衛 関 係 宇 宙 関 係 等 )で 付 け 替 えられる 結 果 とな っていたが 一 部 の 課 においては 宇 宙 事 業 と 防 衛 事 業 と 9

の 間 宇 宙 事 業 と 民 需 事 業 との 間 で 付 け 替 えられる 結 果 と なっていた 費 目 については 工 数 に 関 連 した 加 工 費 等 と 直 接 経 費 のう ちの 複 合 費 ( 費 目 の 内 訳 の 一 部 として 加 工 費 や 設 計 試 験 費 を 含 むもの)である 自 家 製 品 費 技 術 試 験 費 専 用 治 工 具 費 仕 損 費 において 不 適 切 な 行 為 が 行 われていた また 設 計 外 注 費 においては 誤 計 上 が 認 められた 上 記 以 外 の 費 目 については 複 数 の 契 約 を 抽 出 し 当 該 費 目 について 原 始 伝 票 との 整 合 性 実 際 の 納 入 物 の 確 認 等 に よる 調 査 を 行 った 結 果 疑 義 が 生 じる 事 項 は 認 められなか った (イ) 各 費 目 における 不 正 の 方 法 1 設 計 試 験 費 設 計 試 験 費 として 工 数 が 計 上 される 部 門 は 技 術 部 情 報 システム 部 の 品 質 管 理 課 衛 星 情 報 システム 部 宇 宙 システム 部 宇 宙 総 合 試 験 部 MD 製 造 部 の 技 術 部 門 及 び 品 質 管 理 部 門 並 びに 相 模 工 場 の 技 術 部 門 及 び 品 質 管 理 部 門 である 設 計 試 験 費 を 計 上 する 部 門 においては 工 数 管 理 シス テムにおいて 課 長 が 工 数 の 修 正 を 行 うことのできる 専 用 端 末 (B 専 端 末 )が 設 置 されていた 当 該 端 末 は 宇 宙 事 業 部 門 ( 衛 星 情 報 システム 部 宇 宙 システム 部 宇 宙 総 合 試 験 部 ) 及 び 技 術 部 の 宇 宙 事 業 担 当 課 においては JAXAによる 鎌 倉 製 作 所 に 対 する 立 ち 入 り 調 査 を 契 機 に 2005( 平 成 17) 年 4 月 には 撤 去 された また 相 模 工 場 の 技 術 部 門 及 び 品 質 管 理 部 門 においては 2010( 平 成 22) 年 3 月 末 に MD 製 造 部 の 技 術 部 門 及 び 品 質 管 理 部 門 に おいては 同 年 8 月 にそれぞれB 専 端 末 が 撤 去 された B 専 端 末 使 用 停 止 以 前 は いずれの 部 署 においても 課 員 個 人 が 入 力 した 工 数 データが 集 計 された 作 業 報 告 データ について 経 理 部 門 のシステムに 報 告 される 前 に 課 長 が B 専 端 末 を 用 いて 目 標 工 数 に 合 わせるよう 修 正 を 行 って いた また 一 部 の 部 署 では この 時 点 においても 課 10

長 が 課 員 に 対 して 目 標 工 数 を 示 し これを 目 安 に 課 員 が 工 数 を 計 上 する 場 合 もあった B 専 端 末 使 用 停 止 以 降 は 事 後 的 な 修 正 ができなくなっ たことから 課 長 がチームリーダーを 経 由 して 或 いは 直 接 に 課 員 に 対 して 目 標 工 数 を 示 し 実 際 の 作 業 時 間 に かかわらず 目 標 工 数 に 合 わせて 工 数 を 計 上 したり ある 特 定 の 作 業 を 別 の 作 業 として 計 上 するよう 指 示 したりす るなどの 方 法 により 不 適 切 な 計 上 を 指 示 していた また 課 長 が 作 業 報 告 データを 承 認 する 前 に 課 員 に 指 示 して 既 に 入 力 されている 作 業 報 告 データの 変 更 を 行 わ せることもあった 2 加 工 費 加 工 費 として 工 数 が 計 上 される 部 門 は 製 造 部 MD 製 造 部 及 び 相 模 工 場 の 製 造 部 門 である 加 工 費 を 計 上 する 部 門 においては 2002( 平 成 14) 年 以 降 POP と 呼 ばれる 端 末 を 用 いて 作 業 者 が 作 業 指 示 伝 票 の バーコードを 読 み 取 って 作 業 報 告 を 行 っていたが この 作 業 報 告 データを 基 に 経 理 計 上 データを 生 成 する 工 作 予 算 管 理 システムには 当 該 作 業 報 告 データを 事 後 的 に 修 正 する 機 能 があった 当 該 システムは 2010( 平 成 22) 年 8 月 に 撤 去 された 工 作 予 算 管 理 システム 撤 去 以 前 は いずれの 部 門 でも 課 長 または 工 数 管 理 担 当 者 と 呼 ばれる 者 が 個 人 が 入 力 した 作 業 報 告 データを 目 標 工 数 に 合 わせて 修 正 していた 修 正 方 法 には 実 績 工 数 が 目 標 工 数 に 満 たない 場 合 に 実 際 には 間 接 作 業 を 行 っている 者 が 作 業 指 示 伝 票 のバー コードを 読 み 取 り 当 該 作 業 をしたように 記 録 する 場 合 もあった また 夜 間 作 業 者 が 不 在 中 に 自 動 機 8 が 稼 働 した 時 間 に ついて 翌 日 以 降 間 接 作 業 を 行 っている 者 が 自 動 機 の 作 業 指 示 伝 票 のバーコードを 読 み 取 り 当 該 作 業 をした ように 記 録 したり 直 接 作 業 の 作 業 時 間 が 目 標 工 数 を 超 過 する 作 業 について 目 標 工 数 に 合 わせて 当 該 作 業 の 実 績 11

計 上 を 止 め その 後 の 作 業 は 夜 間 作 業 者 が 不 在 中 に 稼 働 した 自 動 機 の 稼 働 時 間 として 計 上 するなどして 不 適 切 に 工 数 を 計 上 していた 工 作 予 算 管 理 システム 撤 去 後 は 作 業 報 告 データを 事 後 的 に 修 正 することができなくなったため 間 接 作 業 を 行 っている 者 が 作 業 指 示 伝 票 のバーコードを 読 み 取 り 当 該 作 業 をしたように 記 録 したり 数 名 で 共 同 作 業 を 行 う 際 に 実 際 は 作 業 をしていない 班 長 を 作 業 担 当 者 として 登 録 したりすることで 不 適 切 に 工 数 を 計 上 していた ま た 夜 間 の 自 動 機 の 稼 働 時 間 については システム 撤 去 前 と 同 様 の 不 適 切 な 工 数 計 上 を 行 っていた 3 複 合 費 複 合 費 である 自 家 製 品 費 専 用 治 工 具 費 仕 損 費 は 直 接 工 数 が 発 生 する 設 計 試 験 費 または 加 工 費 を 包 含 して いる 従 って これらの 費 目 については それぞれの 費 目 における 加 工 等 工 数 の 操 作 を 通 じて 原 価 が 水 増 しさ れていた 直 接 材 料 費 のうち 通 信 機 製 作 所 から 供 給 を 受 けた 製 品 等 については 鎌 倉 製 作 所 ではなく 通 信 機 製 作 所 にお いて 設 計 試 験 費 または 加 工 費 の 工 数 が 計 上 されている 後 述 のとおり 通 信 機 製 作 所 においても 工 数 の 不 適 切 な 計 上 は 行 われていたが JAXAとの 契 約 においては 鎌 倉 製 作 所 から 通 信 機 製 作 所 に 発 注 した 額 をもって 当 該 材 料 費 を 確 定 しており 通 信 機 製 作 所 での 作 業 工 数 の 多 寡 が 契 約 額 に 影 響 を 及 ぼさない 形 となっていた 4その 他 設 計 外 注 において 本 来 予 定 されていた 作 業 内 容 ( 発 注 内 容 )とは 異 なる 作 業 が 計 上 されているという 誤 計 上 が 認 められた この 他 特 別 調 査 を 通 じて 従 来 JAXAが 製 造 間 接 費 として 認 めていた 研 究 開 発 関 連 経 費 の 中 に 過 去 の 三 菱 電 機 側 の 説 明 またはJAXA 側 の 確 認 が 仮 に 十 分 尽 く 12

されていたならば 一 般 管 理 及 び 販 売 費 に 計 上 されてい たはずの 費 用 が 含 まれていたことが 判 明 した (ウ) 対 策 工 数 の 配 布 による 不 適 切 な 計 上 の 誘 導 鎌 倉 製 作 所 では 営 業 部 が 損 益 管 理 のために MC 表 を 作 成 し て 原 価 の 状 況 を 逐 次 把 握 しているが 上 限 付 き 概 算 契 約 に ついては JAXAに 対 して 返 納 が 生 じる 境 界 を 限 界 MC として 把 握 し 管 理 していた 当 初 予 測 よりも 大 幅 に 原 価 低 減 が 進 んだ 場 合 やリスクに 備 えて 持 っていた 予 備 費 を 使 わなかった 等 の 理 由 で 原 価 が 限 界 MC に 達 せず 返 納 が 発 生 し 得 る 場 合 には 当 該 契 約 の 損 益 責 任 を 持 つプロジェクトマネージャーが 主 導 し 営 業 部 門 経 理 部 門 宇 宙 システム 部 企 画 管 理 課 と 対 応 を 検 討 し 対 策 工 数 配 分 の 原 案 を 作 成 していた 当 該 対 策 工 数 配 分 は 原 価 会 議 において 検 討 され 決 定 されていた 対 策 工 数 の 配 布 先 及 び 分 量 等 は 各 課 の 直 作 率 9 を 把 握 して いる 宇 宙 システム 部 企 画 管 理 課 の 情 報 をもとにプロジェク トマネージャーが 決 定 する すなわち ある 課 の 当 該 契 約 作 業 に 追 加 の 工 数 を 要 さないが 同 課 内 の 他 の 契 約 作 業 で 作 業 実 態 が 目 標 工 数 を 超 え 超 過 分 を 計 上 できない 場 合 (こ のような 場 合 就 業 時 間 は 増 えるが 直 接 作 業 時 間 を 計 上 で きないため 直 作 率 は 低 下 する)には 対 策 工 数 を 配 布 する と 当 該 課 では 本 来 の 目 的 の 作 業 では 対 策 工 数 分 増 加 した 目 標 工 数 に 対 し 計 上 が 不 足 するため 他 の 契 約 作 業 の 超 過 分 を 計 上 することで 目 標 工 数 を 達 成 し かつ 直 作 率 を 上 げることができる 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 では 対 策 工 数 の 配 布 先 及 び 分 量 等 は 宇 宙 システム 部 の 企 画 管 理 課 が 決 定 していたとされている JAXA 調 査 においては 企 画 管 理 課 は 単 に 決 められた 工 数 を 配 布 するのみ で 目 標 工 数 の 決 定 権 を 持 つプロジェクトマネージャーが 配 布 先 等 を 決 めてい るとの 聞 きとり 結 果 が 複 数 あった JAXAの 調 査 の 結 果 原 価 会 議 での 報 告 において 特 定 のプロ ジェクトや 事 業 分 野 で 突 出 した 赤 字 が 発 生 することがわかった 場 合 に 原 価 低 減 状 況 の 良 いプロジェクトから 対 策 工 数 を 捻 出 13

させることもあったことがわかった この 場 合 は 原 価 会 議 のメン バーである 宇 宙 システム 部 長 等 から 分 野 総 括 やプロジェクトマ ネージャーに 対 して 対 策 工 数 の 拠 出 を 指 示 する 形 で 対 策 工 数 が 決 定 されていた この 点 について 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 結 果 には 言 及 がないが JAXA 調 査 に おける 具 体 的 な 聞 き 取 り 結 果 による また 調 査 の 結 果 返 納 防 止 を 意 図 した 対 策 工 数 が 上 限 付 き 概 算 契 約 に 限 られるのに 対 し 突 出 した 赤 字 を 防 ぐための 対 策 工 数 は 確 定 契 約 のプロジェクトからも 拠 出 させていたことがわか った これは 特 定 のプロジェクトにおいて 原 価 低 減 等 によって 確 保 した 利 益 を 最 大 化 するよりも 当 該 利 益 分 を 用 いて 事 業 分 野 や 宇 宙 事 業 全 体 で 突 出 する 赤 字 を 埋 め 合 わせ 事 業 の 継 続 を 図 ることを 優 先 する 経 営 方 針 があったためである この 点 についても 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 結 果 には 言 及 がないが JAXA 調 査 に おいて 複 数 の 聞 き 取 り 結 果 があった なお 配 布 される 対 策 工 数 は 目 標 工 数 の 一 部 となっており 各 課 においては 目 標 工 数 に 合 致 するように 工 数 を 計 上 しているた め 当 該 対 策 工 数 分 にどの 契 約 作 業 の 工 数 が 計 上 されたかを 識 別 することは 困 難 である 1.3 通 信 機 製 作 所 調 査 の 結 果 通 信 機 製 作 所 における 不 正 の 該 当 部 署 費 目 及 び 不 正 の 方 法 は 以 下 のとおりである (1) 損 益 及 び 工 数 の 管 理 の 方 法 (ア) 通 信 機 製 作 所 においても 毎 年 度 の 経 営 目 標 は 前 年 度 の 12 月 から 1 月 にかけて 取 りまとめる 年 度 計 画 で 設 定 され 当 該 年 度 の 6 月 から 7 月 にかけて 実 施 する 中 間 フォローにおい て 見 直 しを 行 って 再 設 定 される (イ) 通 信 機 製 作 所 の 宇 宙 事 業 では 受 注 を 受 けた 場 合 プロジ ェクト 部 門 の 取 りまとめ 課 (インフラ 情 報 システム 部 地 上 シ 14

ステム 課 及 び 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 デバイス 第 三 課 ) が 契 約 額 を 基 準 に 目 標 工 数 を 設 定 し 新 原 価 管 理 システムに PID(project input data)として 登 録 され 各 課 に 配 分 され る (ウ) 通 信 機 製 作 所 では 鎌 倉 製 作 所 の 原 価 会 議 に 相 当 する 宇 宙 分 野 全 体 の 原 価 や 損 益 を 管 理 する 会 議 体 はなく プロジェク ト 部 門 であるインフラ 情 報 システム 部 及 び 通 信 情 報 コンポー ネント 製 造 部 内 の 定 期 会 合 にて 状 況 確 認 を 行 い 所 長 副 所 長 に 結 果 を 報 告 していた (エ) 通 信 機 製 作 所 の 設 計 品 質 管 理 部 門 (インフラ 情 報 システ ム 部 情 報 技 術 部 技 術 部 及 び 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 の 各 部 の 製 造 課 を 除 いた 課 )では かつては 就 業 時 間 と 作 業 時 間 は 別 のシステムを 用 いて 入 力 され 毎 月 作 業 時 間 が 就 業 時 間 を 超 えないことを 確 認 した 上 で 経 理 システムに 伝 送 されていた (オ)2003( 平 成 15) 年 10 月 以 降 は 鎌 倉 製 作 所 のシステムを 導 入 し 就 業 時 間 と 作 業 時 間 の 計 上 が 一 体 化 された (カ) 経 理 部 原 価 課 には 2004( 平 成 16) 年 9 月 までの 間 工 数 を 修 正 できる 専 用 端 末 が 設 置 されていたが 宇 宙 事 業 に 関 し ては 当 該 専 用 端 末 による 工 数 の 修 正 は 確 認 されていない (キ) 製 造 部 門 のうち 工 作 部 では 実 施 にあたって 標 準 的 な 作 業 時 間 ( 熟 練 工 員 が 真 摯 に 作 業 に 従 事 した 場 合 に 必 要 な 作 業 時 間 に 一 定 の 余 裕 率 を 乗 じた 時 間 標 準 時 間 と 呼 ばれる) が 定 められている 作 業 については 標 準 時 間 を 作 業 時 間 として そのまま 計 上 し 標 準 時 間 が 定 められていないものについて は 定 められた 用 紙 に 作 業 員 が 日 々 記 入 し 班 長 が 端 末 から 入 力 していた また 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 製 造 課 で は 標 準 時 間 が 定 められていないため 各 課 員 の 作 業 完 了 後 に 計 上 管 理 者 が 作 業 伝 票 等 を 作 成 し 部 外 委 託 先 において 毎 月 末 ころにこれをまとめてパンチ 入 力 し 経 理 システムに 計 上 していた 15

(ク) 不 適 切 な 工 数 計 上 は 当 初 から 虚 偽 の 数 値 を 入 力 する 一 重 帳 簿 的 な 方 法 で 行 われており 真 正 な 工 数 は 記 録 保 存 され ていない 三 菱 電 機 通 信 機 製 作 所 組 織 図 取 締 役 会 監 査 部 情 報 保 全 監 理 部 (H24.1.27 現 在 ) 執 行 役 社 長 各 部 総 務 部 営 業 本 部 経 理 部 情 報 技 術 部 生 産 システム 本 部 開 発 本 部 各 事 業 本 部 電 子 システム 業 務 部 電 子 事 業 部 営 業 部 資 材 部 生 産 管 理 部 技 術 部 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 宇 宙 システム 事 業 部 品 質 保 証 部 電 子 システム 事 業 本 部 各 事 業 本 部 ITソリューション 事 業 部 鎌 倉 製 作 所 工 作 部 電 シ 情 報 システム 部 通 信 機 製 作 所 通 信 情 報 システム 部 太 枠 及 び 太 字 は 宇 宙 事 業 に 主 に 携 わっている 部 署 を 指 す インフラ 情 報 システム 部 (2) 通 信 機 製 作 所 における 不 適 切 な 工 数 計 上 の 態 様 (ア) 不 適 切 な 工 数 計 上 の 発 生 部 署 及 び 費 目 通 信 機 製 作 所 においては 設 計 を 担 当 する 部 門 及 び 一 部 の 製 造 部 門 で 不 適 切 な 工 数 計 上 が 行 われていた 具 体 的 には インフラ 情 報 システム 部 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 情 報 技 術 部 及 び 技 術 部 である 上 述 のとおり 不 適 切 な 工 数 計 上 の 結 果 として 工 数 が 別 の 契 約 に 付 け 替 えられた 場 合 も 各 課 が 実 際 に 所 掌 する 作 業 の 範 囲 内 で 工 数 は 計 上 されていたため 多 くの 場 合 は 各 分 野 内 ( 防 衛 関 係 宇 宙 関 係 等 )で 付 け 替 えられる 結 果 とな っていたが 過 去 においては 同 一 課 内 で 他 の 顧 客 との 契 約 作 業 を 行 っており JAXA 事 業 と 他 の 官 需 事 業 との 間 16

で 付 け 替 えられる 結 果 となっていた 可 能 性 がある 費 目 については 工 数 に 関 連 した 加 工 費 設 計 試 験 費 に おいて 不 適 切 な 計 上 が 行 われていた また 複 合 費 である 自 家 製 品 費 専 用 治 工 具 費 及 び 仕 損 費 についても 工 数 に 関 連 する 部 分 は 不 適 切 な 計 上 が 行 われていた 直 接 材 料 費 設 計 外 注 費 及 び 出 張 海 外 渡 航 費 においては 担 当 者 による 計 上 ミスが 認 められた 上 記 以 外 の 費 目 については 複 数 の 契 約 を 抽 出 し 当 該 費 目 について 原 始 伝 票 との 整 合 性 実 際 の 納 入 物 の 確 認 等 に よる 調 査 を 行 った 結 果 疑 義 が 生 じる 事 項 は 認 められなか った なお 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 によれば 通 信 機 製 作 所 の 宇 宙 事 業 は 確 定 契 約 や 鎌 倉 製 作 所 からの 確 定 金 額 による 社 内 発 注 がほとんどであるため 不 適 切 な 工 数 計 上 が 過 大 請 求 に 繋 がらないことが 心 理 的 抵 抗 を 希 薄 にしたとされて いる しかしながら JAXAの 調 査 の 結 果 JAXAとの 上 限 付 き 概 算 契 約 に 基 づく 作 業 の 工 数 計 上 方 法 が 確 定 契 約 等 のそれと 区 別 して 行 われていた 形 跡 は ない (イ) 各 費 目 における 不 正 の 方 法 1 加 工 費 加 工 費 については 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 製 造 課 において 工 数 管 理 担 当 者 が 実 際 の 作 業 内 容 作 業 時 間 とはかかわりなく 目 標 工 数 通 りに 工 数 を 計 上 して いた 2 設 計 試 験 費 設 計 試 験 費 については プロジェクト 課 から 各 課 に 割 り 当 てられた 目 標 工 数 をもとに 各 課 の 課 長 や 工 数 管 理 担 当 者 等 から 各 課 員 に 対 して 目 標 工 数 通 りに 計 上 する よう 指 示 していた 三 菱 電 機 によれば 実 態 と 乖 離 した 工 数 計 上 を 指 示 するケースとして 以 下 の ケースが 認 められた リスクの 観 点 からプロジェクトの 初 期 段 階 において 控 えていた 工 数 計 上 を 終 盤 に 指 示 する 場 合 発 令 前 に 行 った 作 業 を 計 上 するために 発 令 後 当 該 契 約 を 担 当 していない 課 員 に 計 上 指 示 する 場 合 目 標 工 数 が 不 足 している 課 員 に 対 し 実 際 には 担 当 していない 契 約 の 工 数 を 計 上 させる 場 合 設 計 の 工 数 が 不 足 している 課 員 に 対 し 余 裕 が 生 じた 試 験 費 の 名 目 で 工 数 を 計 上 させる 場 合 など 17

3その 他 の 不 適 切 な 計 上 出 張 旅 費 について 行 き 先 用 件 等 の 出 張 内 容 と 出 張 旅 費 を 計 上 した 契 約 件 名 とが 整 合 していないものがあった 直 接 材 料 費 請 負 による 外 注 費 について 本 来 計 上 すべ き 契 約 とは 異 なる 契 約 に 計 上 しているものがあった また 研 究 開 発 費 の 取 扱 いについて 鎌 倉 製 作 所 と 同 様 の 問 題 があったことが 判 明 した 1.4 動 機 背 景 工 数 の 不 適 切 な 計 上 等 の 不 正 がいつ 頃 から どのような 経 緯 で 行 われるようになったかは 三 菱 電 機 の 社 内 調 査 及 びJAXA の 調 査 においても 明 確 にならなかった 三 菱 電 機 によれば 鎌 倉 製 作 所 及 び 通 信 機 製 作 所 の 宇 宙 事 業 に おいては 個 々の 契 約 機 種 における 突 出 した 赤 字 を 避 けると ともに 宇 宙 事 業 全 体 の 利 益 を 確 保 し 事 業 の 継 続 を 図 ること を 目 指 した 損 益 管 理 を 行 っており このため 契 約 毎 に 原 価 の 目 標 を 定 め 目 標 との 乖 離 状 況 を 確 認 管 理 していた しかしながら 不 正 の 実 態 に 係 る 上 述 の 調 査 結 果 を 踏 まえれば 赤 字 の 回 避 や 利 益 の 確 保 事 業 の 継 続 を 優 先 するあまり 原 価 の 実 績 を 契 約 毎 に 正 しく 計 上 することを 怠 り 人 為 的 に 原 価 の 計 上 実 績 を 操 作 することが 容 易 な 加 工 費 等 の 工 数 を 事 業 分 野 や 宇 宙 事 業 全 体 の 計 上 枠 の 中 で 操 作 することを 是 としていたもの といわざるを 得 ない すなわち 上 限 付 き 概 算 契 約 では 実 際 の 製 造 原 価 が 契 約 金 額 の 内 訳 の 製 造 原 価 ( 見 積 もり 製 造 原 価 )と 同 額 になった 場 合 に 最 大 の 利 益 を 上 げることが 可 能 となること 確 定 契 約 においても 社 内 損 益 管 理 の 観 点 から 実 際 の 製 造 原 価 が 見 積 もり 製 造 原 価 を 超 えることは 事 業 継 続 に 支 障 が 出 かねないことから いずれの 契 約 においても 見 積 もり 製 造 原 価 に 近 づけるよう 加 工 費 等 の 工 数 計 上 を 操 作 していた もっとも このような 工 数 の 不 適 切 な 計 上 は 両 製 作 所 の 作 業 担 当 部 門 の 課 長 やその 指 示 を 受 けたチームリーダー 課 員 等 に よって 行 われていたが 実 際 には 課 長 ですら 契 約 の 種 類 ( 上 限 付 き 概 算 契 約 か 確 定 契 約 か)を 理 解 していない 者 が 多 く ま た 契 約 全 体 の 損 益 を 把 握 できる 立 場 ではなかったことが 明 ら かになっており これらの 者 が 上 述 の 動 機 に 基 づいて 不 適 切 な 18

計 上 を 行 っていたとは 認 めがたい 各 課 長 においては 目 標 工 数 と 工 数 計 上 実 績 が 乖 離 すると 説 明 を 求 められること 高 度 な 技 術 を 有 する 職 員 を 継 続 的 に 確 保 するためには 各 課 の 人 数 の 妥 当 性 を 測 る 指 標 である 直 作 率 を 維 持 することが 必 要 であること などから 目 標 工 数 どおりに 実 績 工 数 を 計 上 することが 目 的 化 しており これが 課 長 以 下 の 社 員 による 工 数 の 不 適 切 計 上 の 動 機 と 考 えられる また 鎌 倉 製 作 所 においては 原 価 会 議 における 損 益 状 況 確 認 結 果 を 踏 まえて 追 加 の 工 数 を 必 要 としていない 課 に 対 して 対 策 工 数 が 配 布 される 場 合 があり 対 策 工 数 配 布 の 決 定 には 宇 宙 事 業 担 当 部 長 プロジェクトマネージャー 経 理 部 担 当 課 長 営 業 部 担 当 課 長 が 関 与 していたことが 三 菱 電 機 JAXA 双 方 の 調 査 によって 明 らかとなっている 従 って これらの 者 は 個 人 によって 濃 淡 はあるにせよ 作 業 担 当 各 課 において 不 適 切 な 計 上 が 行 われることによって 赤 字 の 回 避 や 返 納 金 の 発 生 防 止 等 の 明 確 な 意 図 があったものといわざるを 得 ない 調 査 の 結 果 このような 工 数 の 不 適 切 計 上 の 背 景 に 作 業 実 態 と 資 金 配 分 契 約 時 期 のずれなど 不 適 切 な 工 数 計 上 に 対 する 心 理 的 抵 抗 を 薄 める 状 況 もあったことが 窺 われた また 上 限 付 き 概 算 契 約 では 実 際 の 製 造 原 価 が 見 積 もり 原 価 を 上 回 る 場 合 の 赤 字 リスクに 加 え 下 回 る 場 合 は 当 該 原 価 低 減 額 及 びこれに 見 合 う 利 益 分 を 発 注 者 に 返 納 する 契 約 条 件 になっていることも 工 数 を 不 適 切 に 計 上 する 要 因 になっているとの 意 見 もあった このような 契 約 上 の 条 件 等 は 契 約 当 事 者 として 三 菱 電 機 が 合 意 したものである 以 上 これを 理 由 に 不 正 が 正 当 化 されるもの では 決 してないが 同 様 な 不 正 の 根 本 的 要 因 を 排 除 する 意 味 で 今 後 に 向 けた 検 討 材 料 とすべきである 1.5 組 織 的 関 与 工 数 の 不 適 切 な 計 上 は 工 数 計 上 を 行 う 各 課 の 課 長 等 やその 指 示 のもとで 各 課 員 によって 行 われていた しかしながら 電 子 システム 本 部 長 をはじめとする 同 本 部 幹 部 や 鎌 倉 製 作 所 の 所 長 副 所 長 をはじめとする 製 作 所 の 幹 部 は 不 適 切 な 工 数 計 上 が 行 われていることを 認 識 しつつ これを 是 正 することなく 容 認 したまま 利 益 目 標 を 指 示 していた 特 に 鎌 倉 製 作 所 においては 宇 宙 事 業 を 担 当 する 部 長 プロ 19

ジェクトマネージャー 経 理 営 業 部 門 等 が 目 標 工 数 と 実 績 工 数 を 合 致 させる 方 法 によって 不 適 切 な 工 数 計 上 が 行 われる 状 況 を 理 解 しながら 赤 字 や 返 納 の 回 避 のため 不 適 切 な 目 標 工 数 配 布 を 指 示 していた 通 信 機 製 作 所 においても 課 長 として 自 ら 経 験 した 等 により 所 長 副 所 長 をはじめプロジェクト 部 門 の 部 長 等 も 不 適 切 な 工 数 計 上 が 行 われていることを 認 識 していたにもかかわらず こ れを 是 正 してこなかった 三 菱 電 機 は 通 信 機 製 作 所 における 宇 宙 事 業 の 工 事 の 大 半 が 確 定 金 額 での 受 注 であり 工 数 計 上 が 契 約 金 額 に 影 響 を 与 えないことから 所 長 副 所 長 経 理 部 長 営 業 部 長 が 工 数 計 上 の 実 態 について 問 題 意 識 がなかったとしてい る しかしながら 通 信 機 製 作 所 においてもJAXAとの 上 限 付 き 概 算 契 約 が 存 在 す ることを 踏 まえると 問 題 意 識 がなかったこと 自 体 に 問 題 があったと 評 価 せざる を 得 ない 一 方 JAXAは 工 数 操 作 が 行 われているとの 情 報 を 受 けて 2004( 平 成 16) 年 に 調 査 を 行 ったが 鎌 倉 製 作 所 長 をはじめと する 鎌 倉 製 作 所 幹 部 に 加 え 電 子 システム 事 業 本 部 の 幹 部 が 関 与 して 対 策 を 検 討 し 不 正 の 事 実 を 認 識 しながら B 専 端 末 の 存 在 を 説 明 しない 関 連 するデータやメールの 削 除 を 行 わせる JAXA 説 明 用 に 目 標 工 数 を 修 正 する 等 の 周 到 な 隠 蔽 工 作 を 行 って 発 覚 を 逃 れていた なお この 際 のデータやメールの 削 除 及 び 翌 年 度 のB 専 端 末 撤 去 に 伴 うデータ 削 除 によって 今 回 の 調 査 による 不 正 の 全 容 解 明 過 払 い 額 の 算 定 がより 困 難 となっ たといえる 同 業 他 社 の 不 正 事 案 を 契 機 に JAXAは 1999( 平 成 11) 年 以 降 鎌 倉 製 作 所 に4 回 通 信 機 製 作 所 に3 回 の 制 度 調 査 を 行 っ ているが いずれの 機 会 にも 不 審 をもたれる 可 能 性 のある 掲 示 物 を 外 すなどの 対 策 が 行 われていた 更 に 監 査 部 門 による 内 部 監 査 対 応 や 法 務 部 からの 工 数 の 不 適 切 な 計 上 に 関 する 照 会 への 回 答 等 本 社 コーポレート 部 門 に 対 して 事 実 を 伝 える 機 会 があったにもかかわらず これを 隠 蔽 し てきた また 鎌 倉 製 作 所 においては 2004( 平 成 16) 年 のJAXAに よる 調 査 等 を 契 機 に 所 長 以 下 が 正 常 化 に 向 けた 取 り 組 みを 行 っ たことがあった ただし 電 子 システム 事 業 本 部 の 全 体 の 取 り 組 みとならなかったこと 損 益 の 急 激 な 悪 化 や 客 先 への 説 明 を 20

避 けるなどのため 例 外 的 に 不 適 切 な 計 上 を 認 めていたこと 実 施 責 任 者 が 曖 昧 なまま 継 続 的 な 対 策 とならず 取 り 組 みの 結 果 についても 検 証 が 行 われていないなど 改 善 とは 言 い 難 いもの であった これらの 事 実 と 経 緯 を 踏 まえれば 鎌 倉 製 作 所 や 通 信 機 製 作 所 の 幹 部 に 留 まらず 電 子 システム 事 業 本 部 全 体 が 組 織 的 に 不 正 に 関 与 していたものというべきである 1.6 内 部 統 制 上 の 問 題 三 菱 電 機 は 20 年 以 上 にわたって 電 子 システム 事 業 本 部 全 体 で 組 織 的 に 不 正 を 行 ってきた 特 に 電 子 システム 事 業 本 部 のコンプライアンス 体 制 確 立 の 責 任 者 である 本 部 長 コンプライアンスマネージャーである 業 務 部 長 等 内 部 統 制 の 要 となる 者 が 不 正 を 知 りながら 是 正 を 図 ら ず あまつさえ 本 社 コーポレートに 対 して 事 実 を 隠 蔽 するなど 内 部 統 制 が 全 く 機 能 していなかったと 評 価 せざるを 得 ない また 鎌 倉 製 作 所 通 信 機 製 作 所 に 対 する 内 部 監 査 は 2 年 に 1 度 実 施 されているにもかかわらず 20 年 以 上 にわたる 不 正 を 発 見 できなかったものであり 内 部 監 査 の 実 施 方 法 等 にも 問 題 が あったというべきである 2. 過 払 い 額 等 の 算 定 (1) 基 本 的 考 え 方 JAXAは 契 約 相 手 方 が 虚 偽 の 資 料 を 提 出 する 等 の 不 正 な 行 為 によって 支 払 金 額 を 確 定 した 結 果 損 害 が 発 生 した 場 合 または 発 生 するおそれがある 場 合 において 過 大 請 求 があった と 認 める 考 え 方 をとっている 10 本 件 事 案 において 三 菱 電 機 は 前 述 したとおり 真 正 な 工 数 を 記 録 することなく 虚 偽 の 工 数 計 上 を 行 う 一 重 帳 簿 的 な 手 法 で 虚 偽 の 原 価 資 料 を 提 出 して 過 大 請 求 を 行 っていた この ため JAXAは 調 査 の 過 程 において 三 菱 電 機 に 残 された 資 料 及 び 情 報 のうち 真 正 な 工 数 に 相 当 する 適 正 な 工 数 に 基 づ いて 製 造 原 価 を 算 定 する 方 法 について 検 討 及 び 検 証 を 行 い 当 該 資 料 及 び 情 報 やJAXAに 残 存 する 会 計 に 関 する 書 類 等 の 保 存 状 況 等 に 応 じて 個 別 の 契 約 毎 に 適 正 な 契 約 価 格 の 推 定 を 行 うこととし 11 過 去 の 支 払 金 額 と 当 該 適 正 な 契 約 価 格 と 21

の 差 額 をもって 過 払 い 額 とすることとした (2) 調 査 の 対 象 範 囲 過 払 い 額 算 定 の 対 象 としては 三 菱 電 機 による 不 適 切 な 工 数 計 上 に 伴 い 実 際 に 過 払 いがあったことを 確 認 した 上 限 付 き 概 算 契 約 のうち JAXAにおける 会 計 に 関 する 書 類 等 の 保 存 期 限 である 7 年 を 基 本 に 算 定 対 象 に 含 めることとした 更 に 三 菱 電 機 がJAXAの 過 去 の 調 査 において 不 正 を 隠 蔽 し データの 削 除 等 を 行 っていたことに 鑑 み また 安 易 に 三 菱 電 機 の 返 納 を 免 れさせることによって 契 約 及 び 原 価 監 査 に 関 する 制 度 全 般 の 信 頼 性 が 損 なわれることがないよう 書 類 等 の 保 存 期 限 を 過 ぎたものであっても 算 定 可 能 な 書 類 等 が 残 存 している 場 合 には 可 能 な 限 り 過 去 に 遡 って 算 定 すべく 調 査 を 行 った その 結 果 過 払 いの 内 訳 や 不 適 切 な 工 数 計 上 を 報 告 したこと 等 を 確 認 することが 可 能 な 契 約 として 1994( 平 成 6) 年 9 月 30 日 以 降 に 締 結 した 44 件 約 3,600 億 円 を 特 定 した (3) 算 定 の 方 法 算 定 の 対 象 とした 上 限 付 き 概 算 契 約 において 各 費 目 毎 に 次 の 方 法 により 適 正 な 工 数 を 調 査 して 確 定 し 個 別 契 約 毎 に 過 払 い 額 の 算 定 を 行 った (ア) 加 工 費 1 鎌 倉 製 作 所 加 工 工 数 については 調 査 の 結 果 工 数 の 不 適 切 計 上 が 認 められた 当 該 事 実 認 定 を 踏 まえ 対 象 範 囲 のうち 経 費 や 工 数 を 管 理 集 計 するための 情 報 システムのバックア ップデータが 残 存 している 期 間 については 当 該 データ を 使 用 して 適 正 な 工 数 の 算 定 を 行 った その 際 自 動 機 の 稼 働 時 間 を 間 接 作 業 実 施 者 の 工 数 として 計 上 するなど の 不 適 切 なデータは 排 除 した また バックアップデータが 残 存 していない 期 間 につい ては バックアップデータの 残 存 部 分 における 不 適 正 な 工 数 と 適 正 な 工 数 との 比 率 を 用 いて 適 正 な 工 数 を 推 定 し た 22

2 通 信 機 製 作 所 通 信 機 製 作 所 についても 調 査 の 結 果 通 信 情 報 コンポ ーネント 製 造 部 の 製 造 部 門 において 工 数 の 不 適 切 計 上 が 認 められた 他 方 鎌 倉 製 作 所 とは 異 なり 適 正 な 工 数 とみなし 得 るデータが 存 在 しないことから 通 信 機 製 作 所 の 現 地 調 査 において 対 象 工 程 の 実 測 作 業 に 立 ち 会 い 実 測 値 の 正 確 性 について 検 証 した 上 で 標 準 時 間 12 に 準 じ た 作 業 時 間 を 設 定 し これを 適 正 な 工 数 として 取 り 扱 う こととした なお 工 作 部 については 工 数 の 不 適 切 計 上 が 認 められなかったことから 原 価 元 帳 の 数 値 を 採 用 した (イ) 設 計 及 び 試 験 費 1 鎌 倉 製 作 所 鎌 倉 製 作 所 の 設 計 及 び 試 験 工 数 については 適 正 な 工 数 と 認 められるデータが 存 在 しないため 負 荷 工 数 13 を 用 い て 適 正 な 工 数 の 算 定 を 行 った さらに 負 荷 工 数 が 残 存 していない 期 間 については 残 存 部 分 における 不 適 正 な 工 数 と 適 正 な 工 数 との 比 率 を 用 いて 適 正 な 工 数 を 推 定 した 2 通 信 機 製 作 所 通 信 機 製 作 所 インフラ 情 報 システム 部 情 報 技 術 部 及 び 通 信 情 報 コンポーネント 製 造 部 における 設 計 及 び 試 験 工 数 は 鎌 倉 製 作 所 の 設 計 及 び 試 験 部 門 とは 異 なり 負 荷 工 数 が 存 在 しないことから 現 地 調 査 において 対 象 工 程 の 実 測 作 業 に 立 ち 会 い 実 測 値 の 正 確 性 について 検 証 した 上 で 標 準 時 間 に 準 じた 作 業 時 間 を 設 定 する 方 法 並 びに 各 年 度 及 び 各 部 門 毎 に 求 めた 適 正 と 考 えられる 稼 働 率 と 勤 務 時 間 を 用 いて 各 契 約 における 工 数 を 算 定 する 方 法 に より 適 正 な 工 数 を 推 定 した (ウ) 複 合 費 直 接 材 料 費 のうち 自 家 製 品 費 及 び 直 接 経 費 のうちの 技 術 試 験 費 専 用 治 工 具 費 仕 損 費 等 は その 内 訳 として 加 工 工 数 または 設 計 及 び 試 験 工 数 を 含 んでいるため 当 該 部 分 に 23

ついて 前 記 (ア)~(イ)の 算 定 方 法 を 適 用 した (エ) 外 注 費 設 計 試 験 外 注 費 については 本 来 の 作 業 以 外 の 作 業 に 誤 計 上 されたものがあり これらを 修 正 して 算 定 した 加 工 外 注 費 については 過 大 請 求 につながる 行 為 や 誤 計 上 は 認 められなかったことから 原 価 元 帳 の 数 値 を 採 用 した (オ)その 他 費 用 1 自 家 製 品 費 以 外 の 直 接 材 料 費 三 菱 電 機 に 残 存 する 発 注 書 類 等 の 証 拠 を 確 認 し 不 適 切 な 計 上 がないか 確 認 したが 過 大 請 求 につながる 行 為 は 認 められなかったことから 原 価 元 帳 の 数 値 をそのまま 真 正 な 原 価 として 採 用 した 2 設 計 試 験 費 及 び 複 合 費 目 以 外 の 直 接 経 費 出 張 海 外 渡 航 費 の 一 部 について 誤 計 上 が 認 められたこ とから これらを 修 正 して 算 定 した 雑 費 については 過 大 請 求 につながる 行 為 や 誤 計 上 は 認 められなかったこと から 原 価 元 帳 の 数 値 を 採 用 した (カ) 各 種 積 算 用 単 価 ( 経 費 率 ) 過 去 三 菱 電 機 が 工 数 の 不 適 切 計 上 を 行 ったことに 伴 い JAXAが 算 定 している 三 菱 電 機 との 契 約 に 適 用 する 各 種 積 算 用 の 単 価 の 算 定 に 必 要 な 調 査 資 料 に 対 し 不 適 切 な 工 数 が 記 載 されJAXAに 提 出 されていることを 確 認 した そのため 各 種 積 算 用 の 単 価 についても 上 記 (ア)~(ウ) に 則 って 算 定 した 適 正 な 情 報 に 基 づき 再 算 定 を 実 施 し 各 契 約 に 反 映 することとした (4) 違 約 金 等 の 考 え 方 JAXAは 三 菱 電 機 に 対 し 契 約 上 違 約 金 を 課 しており 14 過 払 い 額 に 加 えて 相 応 の 違 約 金 を 請 求 する また 民 事 法 定 利 率 (5%)の 遅 延 損 害 金 JAXAの 調 査 費 用 等 の 損 害 賠 償 請 求 を 行 うこととしている 24

3. 総 括 前 項 における 過 払 い 額 等 の 算 定 方 法 に 基 づき 計 算 を 行 った 結 果 次 の 金 額 について 三 菱 電 機 に 請 求 することとした (1) 過 払 い 額 (ア) 情 報 収 集 衛 星 関 連 の 受 託 に 伴 う 三 菱 電 機 との 契 約 契 約 件 数 9 件 過 払 い 額 約 50 億 円 (イ) 上 記 以 外 の 三 菱 電 機 との 契 約 契 約 件 数 9 件 過 払 い 額 約 11 億 円 (ウ) 合 計 (ア+イ) 契 約 件 数 18 件 過 払 い 額 約 62 億 円 (2) 違 約 金 遅 延 損 害 金 その 他 損 害 賠 償 請 求 等 詳 細 は 引 続 き 速 やかに 算 定 作 業 を 行 う 25

Ⅴ. 過 去 の 過 大 請 求 等 事 案 を 踏 まえた 再 発 防 止 策 の 検 証 JAXAの 前 身 である 宇 宙 開 発 事 業 団 及 び 宇 宙 科 学 研 究 所 では それぞれ 1998( 平 成 10) 年 及 び 2003( 平 成 15) 年 に 計 4 社 の 過 大 請 求 等 事 案 が 発 覚 したため 以 下 のとおり 再 発 防 止 策 を 講 じてき た その 実 施 状 況 の 検 証 と 評 価 を 行 った 1.1998( 平 成 10) 年 の 過 大 請 求 事 案 への 対 応 1998( 平 成 10) 年 に 発 覚 した 日 本 電 気 株 式 会 社 日 本 航 空 電 子 工 業 株 式 会 社 及 び 東 洋 通 信 機 株 式 会 社 による 宇 宙 開 発 事 業 団 への 過 大 請 求 事 案 に 対 して 講 じてきた 再 発 防 止 策 に 関 する 検 証 評 価 は 以 下 のとおりである (1)システム 監 査 の 充 実 強 化 (ア) 再 発 防 止 策 工 場 の 原 価 計 算 システムが 本 社 経 理 システムと 適 正 につな がり 運 用 されていること 等 チェック 項 目 の 強 化 を 図 るとと もに システム 監 査 の 受 入 れ 及 び 協 力 を 企 業 へ 義 務 付 ける 等 監 査 の 徹 底 を 図 ることにより 二 重 帳 簿 の 早 期 発 見 と 抑 止 に 努 めることとした (イ) 実 施 状 況 システム 監 査 を 含 む 制 度 調 査 15 の 実 施 について 日 本 電 気 株 式 会 社 三 菱 電 機 を 含 む 35 法 人 ( 制 度 制 定 当 時 )との 間 で 契 約 条 件 に 反 映 した 三 菱 電 機 については 1999( 平 成 11) 年 以 降 鎌 倉 製 作 所 通 信 機 製 作 所 合 わせて7 回 の 制 度 調 査 を 実 施 したが 不 正 は 発 見 できなかった (ウ) 評 価 制 度 調 査 では 過 去 に 発 生 した 事 案 を 踏 まえ 二 重 帳 簿 によ る 不 正 な 原 価 計 上 を 防 ぐことを 念 頭 にチェック 項 目 を 定 め 随 時 改 訂 しつつ 実 施 しているが 今 般 の 事 案 のように 当 初 から 虚 偽 の 工 数 を 計 上 し 全 てのシステム 上 で 整 合 を 取 って いる 場 合 この 制 度 調 査 では 発 見 は 困 難 であった 今 後 の 対 応 として 真 の 情 報 の 記 録 とその 検 証 手 段 の 確 保 26

が 重 要 である そのために 抜 き 打 ち 監 査 の 実 施 監 査 項 目 の 拡 大 コンプライアンス 専 門 家 等 の 参 加 など より 対 策 を 強 化 することについて 検 討 することが 重 要 である (2) 期 中 原 価 監 査 の 実 施 (ア) 再 発 防 止 策 契 約 履 行 中 の 期 中 原 価 監 査 を 随 時 実 施 することにより 期 中 の 実 績 原 価 をその 都 度 押 さえて 過 大 請 求 の 防 止 に 努 め ることとした (イ) 実 施 状 況 実 績 原 価 報 告 書 等 の 提 出 を 受 けて 実 施 する 期 中 原 価 監 査 と 疑 義 等 がある 場 合 に 抜 き 打 ちで 実 施 可 能 な 特 別 調 査 に 分 け て 契 約 条 件 に 反 映 した 三 菱 電 機 については これまで 計 11 件 の 期 中 原 価 監 査 を 実 施 したが 特 別 調 査 は 実 施 していない (ウ) 評 価 過 払 い 事 案 につながる 疑 義 のある 場 合 に 抜 き 打 ちで 特 別 調 査 を 実 施 可 能 な 契 約 条 件 としていたが 抜 き 打 ちで 調 査 を 実 施 しなかったことに 鑑 みると 効 果 がなかったといわざ るを 得 ない 今 後 の 対 応 として 疑 義 のあるときに 限 定 せず 抜 き 打 ち 調 査 を 実 施 する 制 度 とすることが 必 要 である (3) 監 査 体 制 の 強 化 (ア) 再 発 防 止 策 企 業 監 査 を 専 門 に 担 当 する 部 署 を 設 置 するとともに 公 認 会 計 士 から 監 査 支 援 を 受 けること 等 により 監 査 体 制 の 充 実 強 化 を 図 ることとした (イ) 実 施 状 況 2000( 平 成 12) 年 度 に 制 度 調 査 期 中 最 終 原 価 監 査 を 一 元 的 に 担 当 する 専 門 部 署 として 契 約 調 査 課 を 新 設 し 公 認 27

会 計 士 複 数 名 によるチームの 支 援 を 得 て 監 査 等 を 実 施 した 2006( 平 成 18) 年 度 には 契 約 に 関 する 統 一 的 事 務 処 理 要 領 や 規 則 を 所 掌 する 契 約 管 理 課 と 契 約 調 査 課 を 統 合 し 契 約 推 進 課 に 再 編 した 契 約 金 額 の 適 正 性 確 保 及 び 契 約 に 係 る 専 門 的 蓄 積 継 承 を 効 果 的 に 行 うことを 目 指 したもので あった (ウ) 評 価 公 認 会 計 士 の 支 援 に 関 しては 原 価 計 算 システムの 運 用 の 解 釈 の 助 言 や 調 査 手 順 書 案 の 作 成 支 援 等 を 通 じて 監 査 体 制 の 強 化 につながった 一 方 これまでのシステム 監 査 や 制 度 調 査 の 手 法 では 今 回 のように 周 到 な 用 意 が 行 われた 事 案 に 対 しては 公 認 会 計 士 であっても 不 正 を 発 見 することは 困 難 であった 企 業 が 示 す 発 生 原 価 が 真 正 か 不 正 かを 見 抜 くためには 公 認 会 計 士 の 支 援 のみならず 技 術 部 門 との 連 携 を 図 るなど より 一 層 の 体 制 強 化 が 必 要 である (4) 関 係 資 料 の 保 存 義 務 当 該 資 料 の 信 頼 性 確 保 (ア) 再 発 防 止 策 正 規 の 工 数 等 を 記 した 伝 票 類 等 の 資 料 の 監 査 終 了 時 までの 保 存 を 企 業 側 に 契 約 上 義 務 付 けることで 工 数 の 修 正 操 作 の 抑 止 を 図 り これら 監 査 に 必 要 となる 書 類 の 作 成 保 存 義 務 における 違 反 不 適 切 な 資 料 提 出 に 対 して 違 約 金 等 の 契 約 上 の 制 裁 措 置 を 講 ずることとした (イ) 実 施 状 況 契 約 書 に 関 係 資 料 等 の 保 存 及 び 違 約 金 に 関 する 条 項 を 設 け 原 価 監 査 完 了 年 度 の 翌 1 年 間 保 存 させることとし 契 約 条 件 に 反 映 した 企 業 が 虚 偽 の 資 料 を 提 出 又 は 提 示 したことをJAXAが 確 認 したときには それにより 生 じた 損 害 に 対 して 同 額 の 違 約 金 を 課 すこととし 契 約 条 件 に 反 映 した 28

(ウ) 評 価 現 行 の 対 策 は 今 般 の 事 案 のように 当 初 から 虚 偽 の 工 数 を 計 上 し 全 てのシステム 上 で 整 合 を 取 っている 場 合 には 真 正 な 情 報 の 保 存 には 繋 がらず 資 料 の 信 頼 性 確 保 としては 機 能 しなかった 資 料 の 保 存 義 務 期 間 は 監 査 完 了 年 度 の 翌 1 年 間 としており 保 存 期 間 を 過 ぎた 契 約 は 過 払 い 額 算 定 が 困 難 であった 今 後 はJAXA 側 の 契 約 書 類 の 保 存 期 間 に 合 わせるなど 期 間 の 延 長 を 検 討 すべきである 2.2004( 平 成 16) 年 の 通 報 への 対 応 上 記 の 再 発 防 止 策 の 実 施 状 況 確 認 の 観 点 からの 2004( 平 成 16) 年 に 三 菱 電 機 において 不 正 計 上 が 行 われているという 通 報 に 対 する 対 応 状 況 に 関 する 検 証 評 価 は 以 下 のとおりである (1) 経 緯 2004( 平 成 16) 年 4 月 16 日 ( 金 )に 三 菱 電 機 において 工 数 の 不 正 計 上 が 行 われているとの 匿 名 電 話 による 通 報 があった JAXAは 同 月 19 日 ( 月 )に 三 菱 電 機 に 自 主 調 査 を 要 請 した 同 月 22 日 ( 木 )に 三 菱 電 機 から 不 正 はなかったとの 報 告 があっ たが JAXAは 同 社 による 自 主 調 査 結 果 を 実 地 に 確 認 する 必 要 があると 判 断 し 公 認 会 計 士 の 支 援 を 得 て 実 地 調 査 を 進 めることとした 通 報 が 匿 名 にとどまり 裏 付 け 証 拠 の 提 出 や 継 続 的 な 連 絡 の 要 請 は 拒 否 されたこと 具 体 的 な 内 容 は 提 示 されなかったこ とから 信 頼 に 足 る 通 報 であるか 否 かの 確 認 が 困 難 であった ため 特 別 調 査 としては 実 施 しなかった 実 地 調 査 の 結 果 不 正 行 為 が 行 われているという 証 拠 は 見 つ からなかった なお 今 回 の 調 査 で 三 菱 電 機 が 当 時 不 正 の 事 実 を 認 識 しながら 隠 蔽 工 作 を 行 い 発 覚 を 免 れていたことが 判 明 している 当 該 実 地 調 査 は 適 宜 経 営 層 文 部 科 学 省 受 託 契 約 の 発 注 者 に 報 告 相 談 しつつ 実 施 した また その 後 2005( 平 成 17) 年 2006( 平 成 18) 年 にフォローアップ 調 査 を 行 った 29

(2) 評 価 通 報 があったが 抜 き 打 ち 調 査 を 実 施 しなかったことは 既 述 の とおりであり このことにより 三 菱 電 機 に 隠 蔽 工 作 の 時 間 的 余 裕 を 与 えてしまった 今 後 の 対 応 として 実 地 調 査 を 抜 き 打 ち 的 に 実 施 できるよう 具 体 的 な 判 断 基 準 の 整 備 に 加 え 疑 義 のあるときに 限 定 せず に 抜 き 打 ち 調 査 を 実 施 できる 制 度 を 整 えていくことが 重 要 で ある 3. 確 定 契 約 における 過 大 見 積 もり 2003( 平 成 15) 年 に 発 覚 した 日 本 飛 行 機 株 式 会 社 による 宇 宙 科 学 研 究 所 への 過 大 請 求 事 案 は 過 去 の 実 績 原 価 が 判 明 していたにもか かわらず 見 積 もりに 反 映 せずに 過 大 な 見 積 もりを 提 出 していたもの であった (1) 注 意 喚 起 内 容 この 事 案 に 対 し 再 発 防 止 の 観 点 から 以 下 の 通 り 注 意 喚 起 を 行 った (ア) 発 議 段 階 契 約 担 当 者 と 発 議 元 とが 一 体 となり 見 積 もりの 前 提 とな る 要 求 仕 様 の 明 確 化 具 体 化 を 図 り その 範 囲 に 限 り 発 議 すること (イ) 商 議 段 階 反 復 継 続 的 に 発 注 する 契 約 は 過 去 の 実 績 を 契 約 相 手 方 に 開 示 させるよう 努 め これを 見 積 もりのチェックに 反 映 さ せるなど 見 積 もりの 精 度 向 上 を 図 ること (ウ) 契 約 履 行 段 階 納 期 後 の 作 業 が 見 込 まれる 場 合 は 変 更 契 約 等 とすること (エ)その 他 牽 制 措 置 等 契 約 相 手 方 の 見 積 もり 手 順 手 法 の 適 正 性 確 認 や 個 別 契 約 のサンプリングによる 過 去 の 見 積 もりの 適 正 性 検 証 のため 制 度 調 査 を 継 続 的 に 実 施 すること 30

調 達 マネジメントに 係 る 教 育 研 修 等 により 調 達 担 当 職 員 のスキルアップを 図 ること (2) 実 施 状 況 及 び 評 価 上 記 のうち (ア)(ウ)(エ)については 継 続 して 実 施 して いる (イ)については 過 去 の 実 績 の 開 示 に 代 えて コストの 把 握 蓄 積 に 取 り 組 み 始 めている 31

Ⅵ. 再 発 防 止 策 今 回 の 事 案 に 関 する 調 査 結 果 過 去 の 過 大 請 求 事 案 に 対 する 再 発 防 止 策 の 検 証 結 果 等 を 踏 まえ 同 様 な 過 大 請 求 事 案 の 発 生 を 防 ぎ また 万 一 発 生 した 場 合 でも 早 期 に 発 見 対 処 できるよう 再 発 防 止 策 を 策 定 し 実 施 していくこととした 再 発 防 止 策 の 策 定 に 当 たっては 2012( 平 成 24) 年 10 月 に 会 計 検 査 院 から 示 された 会 計 検 査 院 法 第 30 条 の 3 の 規 定 に 基 づく 報 告 書 及 び 表 示 された 意 見 も 踏 まえ 本 件 調 査 に 参 加 した 弁 護 士 公 認 会 計 士 の 協 力 を 得 て 検 討 を 行 った 再 発 防 止 策 については これを 具 体 的 な 施 策 として 着 実 かつ 継 続 的 に 実 施 することが 重 要 である このため 外 部 委 員 で 構 成 する 再 発 防 止 に 関 する 外 部 委 員 会 ( 仮 称 ) を 設 置 し 再 発 防 止 策 のより 具 体 的 な 内 容 や 実 施 状 況 等 について 意 見 を 求 めることで より 一 層 の 実 効 性 を 確 保 することとしている 1. 三 菱 電 機 が 実 施 する 再 発 防 止 策 三 菱 電 機 より 今 回 の 過 大 請 求 事 案 の 反 省 から 同 様 の 事 態 を 二 度 と 起 こさないことを 目 指 して 自 ら 行 う 再 発 防 止 策 ( 以 下 MELCO 再 発 防 止 策 という )についてJAXAに 報 告 があった 本 項 では MELCO 再 発 防 止 策 について 以 下 の 観 点 から 整 理 する (1) 不 正 の 動 機 の 排 除 (2) 不 正 の 背 景 となる 組 織 風 土 文 化 の 改 革 (3) 不 正 の 実 施 方 法 の 排 除 (4) 内 部 統 制 の 強 化 (1) 不 正 の 動 機 の 排 除 Ⅳ 章 の 特 別 調 査 の 結 果 に 示 したとおり 三 菱 電 機 は 原 価 の 実 績 を 契 約 毎 に 正 しく 計 上 して 実 態 の 損 益 を 把 握 改 善 する のではなく 赤 字 の 回 避 や 利 益 の 確 保 事 業 の 継 続 を 優 先 す るあまり 原 価 の 計 上 実 績 を 事 業 分 野 や 宇 宙 事 業 全 体 の 計 上 枠 の 中 で 人 為 的 に 操 作 していたものである 不 適 切 な 工 数 計 上 は このような 経 営 方 針 のもとで 行 われて いたのであり 今 後 同 様 の 不 正 を 二 度 と 起 こさないためには 真 正 な 工 数 計 上 を 大 前 提 とする 経 営 方 針 の 明 示 によって 不 正 32

の 動 機 を 排 除 することが 重 要 である この 点 について MELCO 再 発 防 止 策 では 事 業 全 体 での 損 益 管 理 から 個 別 機 種 別 損 益 管 理 による 経 営 管 理 手 法 に 改 めるとしている 具 体 的 には 個 別 契 約 単 位 で 適 正 な 原 価 計 上 実 績 を 把 握 の 上 徹 底 した 原 価 低 減 と 生 産 力 強 化 により 製 品 競 争 力 を 強 化 すること 工 数 付 替 えを 誘 引 する 損 益 の 厳 しい 工 事 の 受 注 時 損 益 管 理 の 強 化 等 により 損 益 改 善 を 図 るこ ととしている また 設 計 試 験 部 門 等 における 生 産 管 理 人 員 管 理 については 直 作 率 だけでなく 個 別 工 事 毎 の 作 業 工 程 計 画 に 対 する 進 捗 度 や 作 業 負 荷 見 込 みを 的 確 に 把 握 し 総 合 的 に 人 員 投 入 できるよう 経 営 管 理 の 仕 組 みを 見 直 すとし ている (2) 不 正 の 背 景 となる 組 織 風 土 文 化 の 改 革 三 菱 電 機 による 不 正 は JAXA 案 件 については 遅 くとも 1990 年 代 初 めには 始 まっていると 考 えられるが いつから どのように 始 まったかは 特 定 できず 明 確 な 指 示 がないまま に 多 くの 部 署 で 行 われていた このような 状 況 は 不 正 が 許 容 される 組 織 風 土 文 化 が 形 成 されていたことによるものと 考 えられる 長 期 間 培 われてきた 組 織 風 土 文 化 の 改 革 は 容 易 ではなく 抜 本 的 な 改 革 が 必 要 と 考 えられる この 点 について MELCO 再 発 防 止 策 では 事 業 の 専 門 性 を 重 視 するあまり 人 材 交 流 が 停 滞 し 仕 事 に 対 する 認 識 が 画 一 化 さ れたことを 問 題 点 として 認 識 したうえで 厳 格 な 社 内 処 分 を 実 施 し これまで 組 織 で 形 成 されてきた 常 識 や 慣 習 を 原 点 に 立 ち 返 って 見 直 し 倫 理 遵 法 を 最 優 先 する 透 明 性 の 高 い 組 織 に 変 革 すべく 既 に 電 子 システム 事 業 本 部 の 経 営 幹 部 を 一 新 しており 今 後 事 案 に 関 係 するその 他 経 営 幹 部 も 再 配 置 を 行 うとしている また 本 部 を 跨 る 経 営 幹 部 や 管 理 部 門 の 人 事 異 動 の 継 続 推 進 国 内 外 の 他 事 業 を 経 験 させ コンプライアンスを 含 めた 多 面 的 な 価 値 観 見 識 を 有 する 多 様 な 人 材 の 計 画 的 育 成 を 図 ると している また 契 約 内 容 の 理 解 促 進 やコンプライアンス 等 の 教 育 と 後 述 する 内 部 通 報 制 度 の 強 化 により 作 業 者 レベルから 不 正 を 防 止 するとしている 33

更 に 管 理 職 層 に 対 しては 経 営 管 理 手 法 の 見 直 しによる 意 識 徹 底 を 図 ることとしている (3) 不 正 の 実 施 方 法 の 排 除 三 菱 電 機 における 不 適 切 な 工 数 計 上 は 2つの 製 作 所 の 多 く の 部 署 で 行 われていたが 大 別 して システム 上 での 作 業 報 告 データの 修 正 作 業 実 態 と 合 致 しない 工 数 の 計 上 という 方 法 で 行 われていた この 点 について MELCO 再 発 防 止 策 は 社 内 第 三 者 によるシス テム 及 びデータ 健 全 性 確 認 を 徹 底 すること 作 業 内 容 と 作 業 時 間 の 記 録 保 管 とJAXAへの 開 示 直 接 作 業 間 接 作 業 の 区 分 明 確 化 作 業 時 間 計 上 に 対 する 監 査 の 実 施 により 不 正 を 防 ぐとしている また 外 注 費 については 発 注 内 容 と 異 なる 作 業 をさせたり 本 来 計 上 すべき 契 約 とは 異 なる 契 約 に 計 上 したりすることが あった MELCO 再 発 防 止 策 は これに 対 し 要 求 仕 様 書 と 成 果 物 に 工 事 番 号 を 記 載 して 整 合 性 の 確 認 をすること 発 注 部 門 と 検 収 部 門 を 分 離 して 成 果 物 の 検 査 を 行 うこと 抜 き 取 り 審 査 により 要 求 仕 様 と 成 果 物 の 整 合 を 確 認 することにより 再 発 を 防 ぐ としている (4) 内 部 統 制 の 強 化 三 菱 電 機 においては 内 部 通 報 制 度 の 構 築 内 部 監 査 の 実 施 遵 法 教 育 の 定 期 実 施 等 の 内 部 統 制 システムは 形 式 的 には 整 備 されているが 長 期 にわたって 不 正 を 行 ってきたこと 及 び コンプライアンスの 責 任 者 たる 本 部 長 等 が 不 正 を 隠 蔽 して いたことなどに 鑑 みれば 内 部 統 制 が 全 く 機 能 していなかっ たというべきである この 点 について MELCO 再 発 防 止 策 は コンプライアンス 方 針 の 再 徹 底 研 修 の 充 実 内 部 通 報 制 度 の 充 実 と 電 子 システム 事 業 本 部 内 への 努 力 義 務 化 早 期 発 見 力 強 化 のための 内 部 監 査 の 見 直 し コンプライアンス 施 策 推 進 体 制 の 強 化 契 約 制 度 原 価 計 算 規 程 の 理 解 促 進 に 向 けた 教 育 による 自 己 点 検 能 力 の 向 上 により 内 部 統 制 を 強 化 する としている 34

上 記 のとおり 今 後 三 菱 電 機 において MELCO 再 発 防 止 策 が 着 実 か つ 持 続 的 に 実 施 されるとともに 必 要 に 応 じて 適 宜 見 直 され 強 化 改 善 されていくことが 重 要 であり 当 面 の 間 は その 実 施 状 況 を 継 続 的 に 確 認 していくこととする 2.JAXAが 実 施 する 再 発 防 止 策 三 菱 電 機 による 過 大 請 求 事 案 のこれまでの 調 査 結 果 を 踏 まえ 同 様 の 不 正 をなくし また 早 期 に 発 見 することで 予 算 の 執 行 のより 一 層 の 適 正 化 を 図 るべく JAXAとしては 以 下 の 再 発 防 止 策 を 講 じ ていくこととする (1) 過 大 請 求 の 抑 止 と 早 期 発 見 するための 取 り 組 み (ア) 原 価 の 透 明 性 適 正 性 の 確 保 三 菱 電 機 の 不 適 切 な 工 数 計 上 は 工 数 管 理 システム 上 でデ ータの 修 正 を 行 ったり 不 適 切 な 工 数 のみを 記 載 したりす るなど 真 正 な 工 数 の 記 録 を 残 さない 一 重 帳 簿 的 な 方 法 で 実 態 とは 異 なる 工 数 を 計 上 するものであった JAXAは 資 料 の 信 頼 性 確 保 に 関 する 措 置 として 契 約 上 関 係 書 類 の 保 存 義 務 を 課 しているが 現 状 では 計 上 された 工 数 の 妥 当 性 を 確 認 できる 資 料 がなく また 保 存 義 務 期 間 が 短 い ことから 一 重 帳 簿 的 な 方 法 による 不 正 の 早 期 発 見 や 検 証 の 手 段 が 確 保 されていなかった 従 って このような 場 合 でも 原 価 の 適 正 性 を 確 保 するため 計 上 された 工 数 と 作 業 内 容 との 整 合 を 確 認 できるよう 作 業 内 容 の 記 録 保 管 と 保 存 期 間 の 延 長 及 びJAXAが 随 意 に 閲 覧 できることを 求 め 原 価 の 透 明 性 をより 一 層 高 め 事 後 的 な 改 竄 を 牽 制 す る また 原 価 計 上 の 不 正 に 対 する 牽 制 機 能 を 高 めるには J AXA 自 身 の 見 積 もり 能 力 やコスト 管 理 能 力 を 一 層 高 めて いくことも 重 要 である 人 工 衛 星 等 の 研 究 開 発 は 新 規 開 発 要 素 が 大 きいこと 等 から 従 来 JAXAでは 過 去 の 開 発 経 験 やノウハウ 等 を 蓄 積 し 新 規 開 発 においても 確 度 の 高 い 見 積 もりを 行 う 工 夫 をしてきたが 更 に 開 発 コストの 実 績 内 訳 を 把 握 蓄 積 して 活 用 することによってより 高 い 35

精 度 での 見 積 もりとコスト 管 理 を 目 指 す その 具 体 化 を 図 るため 実 績 コストの 把 握 蓄 積 方 法 や 将 来 プロジェクト への 反 映 方 法 などの 検 討 を 実 施 する (イ) 制 度 調 査 及 び 原 価 監 査 の 充 実 強 化 三 菱 電 機 は JAXAによる 制 度 調 査 時 には データ 修 正 が 可 能 な 端 末 を 隠 すなど 不 正 を 隠 蔽 していた JAXA は 過 去 の 過 大 請 求 事 案 の 再 発 防 止 策 として 契 約 上 で 抜 き 打 ちによる 調 査 を 実 施 可 能 としてきたが 疑 義 がある 場 合 に 行 うこととしていたため 結 果 的 に 抜 打 ち 調 査 を 実 施 してこなかった また これまでの 制 度 調 査 原 価 監 査 は 必 要 資 料 の 準 備 等 調 査 監 査 の 効 率 のために 事 前 に 通 知 した 上 で 調 査 監 査 を 実 施 してきており 隠 蔽 を 防 ぐこと ができなかった これらの 反 省 に 基 づき 疑 義 がある 場 合 の 調 査 ( 特 別 調 査 ) に 加 え 制 度 調 査 原 価 監 査 についても 必 要 に 応 じて 抜 き 打 ちで 実 施 することで 不 正 への 抑 止 効 果 を 高 め 早 期 発 見 を 図 る 抜 き 打 ちによる 制 度 調 査 原 価 監 査 について は 契 約 総 額 や 継 続 中 の 契 約 の 状 況 などを 勘 案 しつつ 一 定 の 頻 度 以 上 で 持 続 的 に 実 施 するなど 早 急 に 実 施 方 法 実 施 体 制 を 整 備 する 加 えて 制 度 調 査 や 原 価 監 査 の 実 施 内 容 の 見 直 しを 行 い システム 専 門 家 の 支 援 を 受 けたシス テム 監 査 の 充 実 フロアチェックの 充 実 強 化 等 を 行 う 更 に 制 度 調 査 等 に 企 業 のコンプライアンス 部 門 の 立 ち 会 いを 求 めるなど 企 業 内 の 牽 制 機 能 の 有 効 活 用 や 内 部 統 制 状 況 の 確 認 の 強 化 を 図 る また 原 価 監 査 については 前 述 のとおり 作 業 内 容 の 記 録 保 管 を 求 めるなどによって 原 価 の 透 明 性 を 高 めること 及 びプロジェクト 技 術 部 門 と 連 携 して 工 数 等 の 妥 当 性 確 認 を 行 うことにより より 一 層 の 原 価 の 適 正 化 を 図 ることと する (ウ) 組 織 体 制 の 強 化 前 記 の 再 発 防 止 策 を 実 施 するため 組 織 体 制 の 強 化 として 36

以 下 を 実 施 する プロジェクトのコスト 管 理 に 係 る 組 織 体 制 の 強 化 を 行 う 制 度 調 査 及 び 原 価 監 査 などの 企 業 監 査 の 実 施 体 制 として 監 査 を 専 門 に 担 当 する 契 約 調 査 部 門 を 独 立 させ 役 割 を 明 確 化 するとともに 監 査 担 当 者 を 増 員 することで 体 制 を 強 化 する また 原 価 監 査 については プロジェクト 技 術 者 等 と 連 携 した 監 査 及 び 原 価 計 上 状 況 の 確 認 体 制 を 構 築 する また 関 係 機 関 との 連 携 も 視 野 に 入 れつつ 実 践 教 育 の 機 会 を 設 けて 職 員 の 原 価 管 理 監 査 能 力 の 向 上 を 図 る (エ) 契 約 上 の 制 裁 措 置 の 強 化 過 大 請 求 その 他 の 不 正 を 行 った 場 合 の 契 約 上 の 制 裁 措 置 と して 違 約 金 の 増 額 ( 過 払 い 額 と 合 わせて3 倍 返 し)など を 行 う また 三 菱 電 機 が 過 去 何 度 か 正 常 化 を 図 りつつも 実 現 でき なかったことを 踏 まえ 企 業 が 自 発 的 に 不 正 を 申 告 し 中 止 することを 促 進 する 方 策 についても 今 後 の 検 討 課 題 と する (2) 契 約 制 度 の 見 直 し 等 JAXAでは 2008( 平 成 20) 年 に 策 定 した 随 意 契 約 見 直 し 計 画 に 基 づき 真 にやむを 得 ないものを 除 き 速 やかに 一 般 競 争 入 札 等 に 移 行 することとしている また 研 究 開 発 の 性 格 上 随 意 契 約 によらざるを 得 ない 契 約 においても 複 数 企 業 による 技 術 提 案 を 求 め 技 術 価 格 の 両 面 から 業 者 を 選 定 す る( 技 術 提 案 方 式 ) 等 競 争 性 を 高 める 努 力 をしており 継 続 してこれらの 施 策 に 取 り 組 んでいく 上 限 付 き 概 算 契 約 については 企 業 のコスト 削 減 に 対 するイ ンセンティブが 働 き 難 いなどの 課 題 があるが JAXAの 現 時 点 での 上 限 付 き 概 算 契 約 は 受 託 契 約 に 基 づく 支 出 契 約 のみ であり 受 託 元 においても 企 画 競 争 が 可 能 な 衛 星 開 発 等 にお いては 確 定 契 約 に 変 更 するとの 意 向 であるため JAXAに おいても 受 託 契 約 との 整 合 性 を 確 認 しつつ 確 定 契 約 への 変 更 を 進 める 37

また 今 後 に 向 けて 海 外 の 調 達 制 度 の 動 向 調 査 を 行 う 等 契 約 制 度 の 在 り 方 についての 継 続 的 検 討 を 行 う 加 えて 企 業 側 が 不 正 を 行 う 背 景 要 因 とならないよう 適 切 な 履 行 期 間 の 確 保 適 切 な 仕 様 要 求 適 宜 適 切 な 追 加 変 更 契 約 等 を 徹 底 する (3)MELCO 再 発 防 止 策 実 施 状 況 の 継 続 的 確 認 不 正 を 行 った 三 菱 電 機 については 三 菱 電 機 が 自 主 的 に 行 う 再 発 防 止 策 の 着 実 かつ 継 続 的 な 実 施 による 実 効 性 の 確 保 及 び JAXAが 実 施 する 再 発 防 止 策 への 誠 実 な 対 応 が 求 められる このため 当 面 の 間 三 菱 電 機 の 再 発 防 止 策 の 実 施 状 況 効 果 を 確 認 するための 特 別 監 査 ( 仮 称 )を 行 うこととする 以 上 38

1 契 約 上 見 積 書 等 及 び 経 費 率 調 査 資 料 の 真 偽 若 しくはその 実 際 原 価 を 確 認 する 必 要 がある 場 合 または 個 別 契 約 に 基 づいて 生 じた 損 害 賠 償 違 約 金 その 他 の 金 銭 債 権 の 保 全 若 しくはそ の 額 の 算 定 等 の 適 正 を 図 る 必 要 がある 場 合 の 調 査 協 力 の 義 務 を 根 拠 に 実 施 2 工 数 とは 作 業 に 投 入 された 人 数 と 時 間 の 積 によって 作 業 量 を 量 る 概 念 人 (man) 時 間 (hour)を 単 位 とする 3 契 約 の 目 的 たる 製 品 を 製 造 する 行 為 そのものを 構 成 する 設 計 作 業 や 加 工 作 業 等 をいう 直 接 作 業 に 従 事 した 時 間 を 直 接 作 業 時 間 直 接 作 業 に 要 した 工 数 を 直 接 工 数 という 4 直 接 作 業 以 外 の 作 業 の 全 て 製 品 の 製 造 に 対 する 補 助 的 な 作 業 や 他 の 製 品 の 製 造 等 と 共 通 的 に 行 われる 作 業 をいう 間 接 作 業 に 従 事 した 時 間 を 間 接 作 業 時 間 という 5 仕 様 書 基 準 となる 資 料 に 基 づき または 競 争 参 加 者 から 取 得 した 見 積 価 格 計 算 書 やその 説 明 資 料 等 を 査 定 の 上 原 価 要 素 別 に 積 上 げ 計 算 する 方 法 6 正 式 名 称 は 工 作 予 算 管 理 システム 及 び 設 計 予 算 管 理 システム 当 該 システムはこれま で 数 度 にわたり 変 更 されており その 変 遷 は 製 造 部 門 と 技 術 品 質 管 理 部 門 で 異 なる 製 造 部 門 においては 工 作 予 算 管 理 システムが 導 入 される 2002( 平 成 14) 年 3 月 までは 紙 の 作 業 伝 票 上 で 班 長 等 が 作 業 時 間 を 修 正 して 経 理 部 に 提 出 していたが 同 年 4 月 の POP(Point of Production バーコードを 利 用 したデータ 読 取 装 置 ) 端 末 が 設 置 され 工 数 修 正 専 用 端 末 で 内 容 修 正 が 可 能 となった その 後 2010( 平 成 22) 年 8 月 に 同 端 末 が 廃 止 され 現 在 に 至 って いる 技 術 品 質 管 理 部 門 においては 1990( 平 成 2) 年 の 設 計 予 算 管 理 システム 導 入 までは 紙 の 伝 票 上 で 課 長 が 作 業 時 間 を 修 正 して 経 理 部 に 提 出 していたが その 後 は 専 用 端 末 (B 専 端 末 )で 課 長 が 内 容 を 修 正 していた 2004( 平 成 16) 年 の JAXA による 調 査 を 契 機 に 専 用 端 末 は 2005( 平 成 17) 年 ( 相 模 工 場 は 2010( 平 成 22) 年 3 月 )に 廃 止 され 現 在 に 至 っている 7 虚 偽 の 原 価 元 帳 等 の 帳 簿 類 や 証 ひょう 類 とは 別 に 正 規 の 原 価 元 帳 等 が 存 在 する 二 重 帳 簿 に 対 し 不 適 切 計 上 後 の 虚 偽 の 原 価 元 帳 等 が 正 規 の 原 価 元 帳 として 取 り 扱 われるとともに こ れに 符 合 した 証 ひょう 類 が 整 備 されており 他 に 正 規 の 原 価 元 帳 等 が 存 在 しないケースのこと 8 予 めプログラムを 入 力 することで 無 人 で 製 造 作 業 を 行 う 自 動 工 作 機 械 作 業 員 が 監 視 する 必 要 はないが 当 該 機 械 の 稼 働 時 間 に 相 当 する 直 接 作 業 が 必 要 として 工 数 を 計 上 していた 9 直 接 作 業 率 就 業 時 間 に 対 する 直 接 作 業 の 割 合 であり 直 作 率 が 低 いと 経 営 的 に 非 効 率 な 状 態 であるなど 各 部 各 課 の 人 数 の 適 正 性 を 測 る 指 標 として 用 いられていた 10 契 約 事 務 実 施 要 領 ( 平 成 15 年 10 月 2 日 契 約 部 長 通 達 第 15-1 号 )( 以 下 本 要 領 という ) ( 定 義 ) 第 193 条 過 払 事 案 とは 見 積 書 等 が 原 価 計 算 方 式 に 基 づき 作 成 されている 場 合 に 過 払 行 為 ( 契 約 相 手 方 が 虚 偽 の 見 積 書 等 及 び 経 費 率 調 査 資 料 を 提 出 又 は 提 示 する 等 の 不 正 な 行 為 により 機 構 が 過 大 な 契 約 金 額 による 契 約 を 締 結 して その 契 約 代 金 の 支 払 いを 行 うこと 又 は 支 払 いを 予 定 することをいう )により 損 害 が 発 生 した 場 合 又 は 発 生 するおそれがある 場 合 において 損 害 賠 償 請 求 取 引 上 の 措 置 その 他 所 要 の 措 置 を 講 ずる 必 要 が 認 められるもの をいう 11 本 要 領 ( 過 払 い 額 の 算 定 ) 第 196 条 機 構 における 会 計 に 関 する 書 類 等 の 保 存 期 間 等 を 勘 案 した 過 払 い 額 の 算 定 期 間 を 決 定 し 過 払 い 額 の 算 定 を 行 うものとする 2 過 払 い 額 の 算 定 方 法 は 原 則 として 個 別 の 契 約 毎 に 行 うものとする ( 略 ) 12 通 信 機 製 作 所 において 熟 練 した 作 業 者 が 当 該 作 業 をするために 必 要 な 時 間 を 実 際 に 測 定 する 等 の 生 産 管 理 手 法 を 用 いて 設 定 したもの 13 Ⅳ 1.2 (イ) 参 照 39

14 本 要 領 ( 違 約 金 請 求 ) 第 199 条 特 別 調 査 の 結 果 過 払 額 があると 認 められた 契 約 相 手 方 に 対 し 違 約 金 を 請 求 する 場 合 の 請 求 額 は 第 196 条 ( 注 真 実 の 情 報 に 基 づき 計 算 される 金 額 と 契 約 金 額 との 差 額 )により 算 定 した 過 払 い 額 と 同 一 の 額 とする 15 名 称 は 制 度 調 査 とし IT システムのみでなく 原 価 計 算 システムの 適 正 性 を 確 認 する 調 査 であ ることを 明 確 にした 40