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JICE REPORT 45

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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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避難開始基準の把握 1 水害時の避難開始基準 釧路川では 水位観測所を設けて リアルタイム水位を公表しています 水位観測所では 災害発生の危険度に応じた基準水位が設定されています ( 基準となる水位観測所 : 標茶水位観測所 ) レベル水位 水位の意味 5 4 ( 危険 ) 3 ( 警戒 ) 2 (

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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ダムの運用改善の対応状況 資料 5-1 近畿地方整備局 平成 24 年度の取り組み 風屋ダム 池原ダム 電源開発 ( 株 ) は 学識者及び河川管理者からなる ダム操作に関する技術検討会 を設置し ダム運用の改善策を検討 平成 9 年に設定した目安水位 ( 自主運用 ) の低下を図り ダムの空き容量

2011河川技術論文集

5. 被害の概要札幌市東区東 15 丁目 ( 屯田通り ) では約 3.0km にわたって道路陥没が発生し, 交通障害が生じた. 加えて, 札幌市北区の西 4 丁目北 34 条 ~37 条においても道路陥没が発生した. 札幌市清田区里塚 1 条では宅地造成地盤の液状化が生じ, 道路や家屋に著しい沈下

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DocuPrint C5450 ユーザーズガイド

近畿地方整備局 資料配付 配布日時 平成 23 年 9 月 8 日 17 時 30 分 件名土砂災害防止法に基づく土砂災害緊急情報について 概 要 土砂災害防止法に基づく 土砂災害緊急情報をお知らせします 本日 夕方から雨が予想されており 今後の降雨の状況により 河道閉塞部分での越流が始まり 土石流

6. 現況堤防の安全性に関する検討方法および条件 6.1 浸透問題に関する検討方法および条件 検討方法 現況堤防の安全性に関する検討は 河川堤防の構造検討の手引き( 平成 14 年 7 月 ): 財団法人国土技術研究センター に準拠して実施する 安全性の照査 1) 堤防のモデル化 (1)

熊本市耐震改修促進計画 骨子(案)

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2. 急流河川の現状と課題 2.1 急流河川の特徴 急流河川では 洪水時の流れが速く 転石や土砂を多く含んだ洪水流の強大なエネルギー により 平均年最大流量程度の中小洪水でも 河岸侵食や護岸の被災が生じる また 澪筋 の変化が激しく流路が固定していないため どの地点においても被災を受ける恐れがある

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平成 28 年度 第 3 回一宮川流域浸水対策協議会資料 平成 28 年 6 月 20 日 長生合同庁舎 4 階大会議室 一宮川流域浸水対策協議会

プレゼンテーションタイトル

既存構造物がある場合の基礎地盤の液状化対策案 国土交通省の 都市防災推進事業 ( 市街化液状化対策事業 ) と連動して住宅地域を囲む周辺道路 下水 ( ライフライン ) の液状化対策と協同して住宅地の液状化対策を実施する 対策工法 WG ( 加倉井 中井 秋葉 田村 畑中 ) 都市防災推進事業 (

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現行計画 ( 淀川水系河川整備計画 ): 川上ダム案 治水計画の概要 事業中の川上ダムを完成させて 戦後最大の洪水を 中下流部では ( 大臣管理区間 ) 島ヶ原地点の流量 3,000m 3 /s に対して 川上ダムで 200m 3 /s を調節し 調節後の 2,800m 3 /s を上野遊水地や河道

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目 次 桂川本川 桂川 ( 上 ) 雑水川 七谷川 犬飼川 法貴谷川 千々川 東所川 園部川 天神川 陣田川

5.2 浸 透 に 対 する 堤 防 強 化 工 法 堤 体 を 対 象 と し た 強 化 工 法 難 透 水 性 材 料 被 覆 材 料 ( 土 遮 水 シート 等 ) 堤 防 強 化 工 法 断 面 拡 大 工 法 ドレーン 工 法 表 のり 面 被 覆 工 法 透 水 性 材 料 ドレーン

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三郷市地震ハザードマップ

重ねるハザードマップ 大雨が降ったときに危険な場所を知る 浸水のおそれがある場所 土砂災害の危険がある場所 通行止めになるおそれがある道路 が 1 つの地図上で 分かります 土石流による道路寸断のイメージ 事前通行規制区間のイメージ 道路冠水想定箇所のイメージ 浸水のイメージ 洪水時に浸水のおそれが

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図 -3.1 試験湛水実績図 平成 28 年度に既設堤体と新設堤体が接合された抱土ゾーンにおいて調査ボーリングを実施し 接合面の調査を行った 図 -2.2に示すように 調査ボーリングのコア観察結果からは 新旧堤体接合面における 材料の分離 は認められなかった また 境界面を含む透水試験結果により得ら

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研究報告 新潟県中越地震による信濃川の河川堤防被害調査について 折敷秀雄 調査第一部 河川流域管理室長 防のうち 今回 再度被災した区間があったこと S39年新潟地震で被災して原型復旧し その後に緩 傾斜堤防とした区間が今回無被災であったこと 本稿では 上記被災堤防について調査 研究した以下 研究の背景と目的 の事項について記述している 本復旧工法の提案に関する事項 平成16年10月23日 日 17時56分頃 新潟県中越 被害発生直後に実施した現地調査 地方の深さ約10kmでマグニチュード M 6.8の地震が 主な被災要因の推定 発生し 新潟県の資料によると 以下のような被害が報 地盤改良を含む復旧工法の概略検討と提案 告されている 望ましい追加調査 解析の提案に関する事項 人的被害 死者48人 重軽傷者4,794人 本復旧工事に伴う被災堤防の開削調査 住家被害 120,371棟 129,018世帯 地震時に堤防が有していた諸特性と被災の関係 非住家被害 40,368棟 地震時に緩傾斜堤防が発揮した耐震効果の推定 鉄道被害 新幹線および在来線で多数の不通 河川被害 229箇所 道路被害 6,064箇所 1 震源地 地震の特徴と堤防被害の発生域 図 1に今回の震源地 1964年新潟地震の震源地 信 濃川の位置を示した 信濃川における堤防被害の発生域 は 1964年の地震では 信濃川の大河津よりも下流部 に 今回は大河津よりも上流部に集中していた 今回は 発災後の1日間に震度6以上の強い地震が4回 も発生し このことは国内の観測史上初であった 表 1は発災日における震度5以上の地震 表 1 図 1 最大震度5弱以上の地震一覧表1 震源 河川位置 この地震で 信濃川でも延長約19kmの堤防の亀裂 沈 下や堰 樋門 護岸などの河川管理施設に甚大な被害が発 生した 以下 国土交通省信濃川河川事務所の要請を受け 筆者らが実施した堤防被害調査の概要を報告する 信濃川の堤防被害の主な特徴は 以下のとおりであった 地震発生直前に小千谷で150mm程度の降雨があり 長岡で危険水位に達する出水があったこと 1日に震度6以上の地震が4回発生したこと S39年 1964 新潟地震で被災し原形復旧した堤 JICE REPORT vol.8/ 05.11 11

2 降雨 出水状況 雨量 堤防被害が発生した近傍の雨量観測所の累加雨量 小千谷145mm, 長岡129mm, 大河津81mm 水位 長岡 および大河津水位観測所の出水状況 最高水位 両観測所とも ほぼ2日前に危険水位 発災時水位 指定水位以下 堤体内に浸透した雨水 河川水は 地震時に平時より も高い堤体内水位として残存していた可能性があり 地 図 2 雨量 大河津観測所 河川水位経時変化と 震時に地盤のみならず堤体の一部も液状化して被害を受 被災堤防断面 信濃川右岸2.0km 2 に加筆 けた箇所もあったことが推測される 図 2に 大河津で 地震発生前の10月19日から21日にかけて 台風23 号の影響により発生した信濃川の降雨 出水の概要は の雨量 大河津の水位と与板の水位から内挿法によって求 めた信濃川右岸2.0kmの被災堤防断面との関係を示した 以下のとおりであった 表 2 12 JICE REPORT vol.8/ 05.11 堤防被害一覧 2)に加筆

3 4 JICE REPORT vol.8/ 05.11 13

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研究報告 4 今後の信濃川堤防の耐震対策の高度化に向けた 調査 検討について 上記3では 早期復旧を旨に極めて厳しい時間的制約 推進される予定であり 上記緩傾斜化工事が今回の地震 時に果たした効果の検証は 今後の同川の堤防整備上で 有益な技術的資料になると考えられる の下に 限られた調査データと概略検討によって復旧工 具体的には 既設の緩傾斜化工事の有無が堤防の耐震 法を提案した 被害軽微な区間には原形復旧を また被 性能向上に果たした効果を確認して 耐浸透性 耐震性 害深刻な3地区には 今回と同規模の外力では液状化が発 両面に効果的な対策工の整備に資することが望まれる 生しない程度の地盤改良を含む復旧工法を提案した 本 復旧の実施により 3地区における再度災害防止は可能と 考えられる 一方 同川では2度目の被災堤防 3地区にやや近似し た被災堤防 被害軽微でも3地区と類似の地形上にある堤 防もあった これらは わずかな条件変化で3地区と同様 な被害になることも考えられる 当地方では 一定期間 ごとに強い地震発生が予想されており 次の災害に備え て以下の調査 解析を行い 検討手法をさらに充実させ た上で3地区以外の堤防の耐震対策を進めておくことが望 まれる 望ましい追加調査 検討事項は 以下のとおりである 1 既設の緩傾斜堤防が今回の災害で発揮した耐震上の 効果 真野代地区 図 6に信濃川0 7k区間における1964年新潟地震 及び2004年新潟県中越地震の堤防被害箇所を示した 同図で右岸6.5kmの長呂地区 図中3' では上記の2つ 図 6 信濃川0 7k区間における被害箇所 2),4)に加筆 の地震によって同箇所で同様な被害が発生した また 今回 右岸2km付近の中条地区 図中1' でも深刻な被 害が発生した この2つの地区の下流に位置する真野代地区 図中1 では 1964年の地震で亀裂 沈下などの顕著な被害が 発生し 原形復旧工事が行われた その後 同地区では 平成2年度に耐浸透性強化を主な目的に法面勾配を緩く 大断面化し 堤体表層に遮水シートを挿入した 緩傾斜 化工事 が実施された そして 当区間は今回の地震で 無被害であった 図 7 一般に 耐浸透性に問題がある堤防と耐震性に問題が ある堤防は 類似の地形上に築堤されている事例が多い 信濃川においても 今後 耐浸透性強化対策工事が鋭意 図 7 真野代地区の堤防強化標準断面4),5)に加筆 JICE REPORT vol.8/ 05.11 15

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