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Transcription:

平 22. 都 土 木 技 術 支 援 人 材 育 成 センター 年 報 Annual Report C.E.S.T. C., TMG2010 ISSN1884-040X 17. 東 京 の 河 川 に 係 わる 管 理 体 制 と 改 修 計 画 の 経 緯 General Details Maintenance concerning and Management the of Rivers in 技 術 支 援 課 石 原 成 幸 1. はじめに 昨 年 の 年 報 報 告 編 では 東 京 の 中 小 河 川 の 都 市 計 画 に 関 する 歴 史 的 経 緯 と 題 して 明 治 期 から 現 在 まで 東 京 の 中 小 河 川 が 都 市 施 設 として 整 備 されてきた 経 緯 を 概 説 した 本 報 では 引 き 続 き 東 京 都 知 事 の 管 理 する 河 川 の 管 理 体 制 ならびに 改 修 計 画 等 の 変 遷 を 概 説 するとともに そ れらに 関 する 総 合 的 なとりまとめを 試 みたものである 2. 調 査 対 象 本 報 における 調 査 期 間 は 比 較 的 資 料 の 少 ない 昭 和 10 年 代 より 昭 和 40 年 代 までを 主 な 対 象 とし その 前 後 を 加 えた これは 公 文 書 館 や 都 立 図 書 館 等 に 保 存 されてい る 建 設 事 業 に 関 する 資 料 が 第 二 次 大 戦 後 は 戦 前 に 比 べ ても 特 に 少 ないという 事 実 に 基 づくものである 建 設 局 における 各 種 事 業 に 関 する 資 料 は 比 較 的 多 く 発 行 されているが 特 に 河 川 分 野 の 管 理 面 の 資 料 に 関 し ては それらの 図 書 において 概 括 的 な 記 載 があるだけで あり 現 時 点 でその 詳 細 を 知 るためには 非 常 な 労 力 と 時 間 を 要 することとなる このため 本 報 では できるだけ 現 在 および 将 来 の 河 川 行 政 の 政 策 立 案 に 資 するよう 当 時 と 現 在 の 河 川 管 理 状 況 と 比 較 できる 形 で 各 種 資 料 の 整 理 を 試 みたものである なお 紙 面 の 関 係 上 本 報 における 河 川 改 修 の 状 況 等 については 概 括 的 に 記 載 するに 止 める 東 京 府 市 および 都 における 河 川 管 理 改 修 の 変 遷 に ついては おおよそ 次 のとおりである (1) 明 治 期 1) 初 期 明 治 10 年 には 初 の 東 京 府 会 が 開 催 された 東 京 府 は この 府 会 に 対 し 地 方 単 独 予 算 として 河 川 関 係 費 ( 堤 防 費 水 防 費 )を 計 上 し ここに 府 下 の 河 川 関 係 費 用 の 地 方 費 による 支 出 が 原 則 化 された 明 治 16 年 には 区 部 における 新 川 開 鑿 ( 以 下 開 削 と 表 示 する )に 区 部 共 有 金 を 充 てることも 決 定 された その 後 区 部 共 有 金 による 河 川 開 削 や 浚 渫 は 同 26 年 まで 続 き 地 方 税 の 充 当 も 行 われている 1) 2) 中 期 明 治 21 年 の 市 区 改 正 条 例 の 公 布 に 伴 い 翌 年 5 月 に 市 区 改 正 設 計 として 8 河 川 の 新 川 開 削 と 外 濠 8 条 ( 以 下 濠 と 表 示 する )の 改 修 埋 立 が 決 定 された 3. 河 川 管 理 ならびに 改 修 の 沿 革 概 要 -169- 図 -1 東 京 府 公 報 明 治 22 年 5 月 20 日 所 蔵 : 都 立 中 央 図 書 館 ( 一 部 加 工 )

その 概 要 は 次 のとおりである ( 図 -1) 新 川 開 削 として 現 在 で 言 うところの 東 部 低 地 帯 神 田 川 並 びに 隅 田 川 などへ 通 じる 幅 17 間 (9.4 m)から8 間 (4.4m) の 河 川 ( 水 路 )を 設 けることとしたほか 同 様 に 隅 田 川 や 神 田 川 を 中 心 とした 低 地 または 高 潮 区 間 の 河 川 の 幅 員 を 広 げる 改 修 を 行 っている こう ち また 外 濠 については 当 時 湟 池 (=ほり) との 表 現 により 虎 の 門 や 日 比 谷 付 近 を 中 心 に 一 部 は 堤 を 除 去 して 埋 立 たほか 舟 運 区 間 は 河 岸 の 設 置 や 線 形 を 改 良 して 運 河 機 能 を 持 たせる 事 業 が 行 われている 一 方 従 来 は 東 京 府 が 実 施 してきた 東 京 市 内 の 土 木 事 業 は 区 部 地 方 税 により 東 京 市 で 実 施 することが 決 定 さ れ 当 該 事 業 が 東 京 府 から 市 へ 引 き 継 がれた 当 時 の 東 京 市 は 同 年 4 月 に 施 行 された 市 制 町 村 制 に 伴 う 区 部 15 区 で 構 成 されていたが 同 年 5 月 1 日 の 市 制 特 例 によ って 市 長 を 府 知 事 が 兼 任 する 変 則 的 な 形 態 であった 同 21 年 は 大 日 本 帝 国 憲 法 の 発 布 により 中 央 集 権 体 制 も 整 いだした 年 でもある 2) さらに 明 治 26 年 には 東 京 府 の 管 轄 区 域 として 神 奈 川 県 から 三 多 摩 が 編 入 されたため 府 における 事 業 規 模 は 再 び 増 加 した 1) ここで 当 該 期 は 明 治 29 年 の 河 川 法 ( 以 下 旧 法 という )を 皮 切 りに 翌 年 に 砂 防 法 が 公 布 されるなど 治 水 対 策 の 法 体 系 の 整 備 が 図 られた 時 期 でもある 旧 法 の 特 徴 としては 特 定 河 川 における 国 の 直 轄 工 事 を 明 示 した 点 である 従 来 河 川 管 理 は 国 の 機 関 として 地 方 長 官 ( 行 政 庁 )が 担 当 することになっていたが 費 用 が 道 府 県 の 負 担 を 原 則 としたことから 事 業 はほとん ど 行 われていなかった 2) つまり 積 極 的 に 事 業 を 行 うほど 地 方 単 独 費 の 充 当 により 道 府 県 の 財 政 を 逼 迫 させる 結 果 となるため 地 方 行 政 体 として 対 策 事 業 の 必 要 性 を 認 識 しても 財 政 面 から 避 ける または 着 手 できない 状 況 にあった 3) 後 期 明 治 36 年 東 京 市 は 市 区 改 正 新 設 計 として 市 区 改 正 設 計 の 計 画 を 縮 小 した3 河 川 の 新 川 開 削 1 河 川 の 改 修 3つの 濠 の 浚 渫 埋 立 を 告 示 している その 概 要 は 次 のとおりである 新 川 の 開 削 は 神 田 川 をはじめとする 主 要 河 川 間 を 連 絡 する 河 川 と 河 岸 道 路 の 設 置 を 行 っている 河 川 改 修 としては 隅 田 川 の 最 狭 小 部 であった 吾 妻 橋 上 流 から 永 代 橋 にかけての 区 間 で 幅 員 を100 間 (55m) に 広 げる 改 修 工 事 を 進 めた また 外 濠 に 関 しては 数 寄 屋 橋 付 近 における 舟 運 の 便 の 確 保 対 策 のほか 行 き 止 まりの 水 路 を 埋 立 ている 市 区 改 正 新 設 計 のうち 第 1 次 速 成 事 業 は 明 治 43 年 に 完 成 し 続 いて 第 2 次 事 業 が 施 行 されて 大 正 7 年 に 至 り 概 成 をみた このように 東 京 においては 河 川 ( 運 河 ) 改 修 とともに 舟 運 の 便 との 関 係 から 堤 防 の 除 去 や 河 川 の 埋 立 が 明 治 期 から 都 市 計 画 事 業 として 進 められてい たことが 判 る 次 に 明 治 40 年 の 水 害 を 契 機 とした 本 格 改 修 事 業 とし ては 荒 川 と 中 川 を 繋 ぐ 河 川 の 開 削 などある 同 43 44 年 には 荒 川 隅 田 川 や 多 摩 川 のほか 多 くの 中 小 河 川 で 洪 水 が 発 生 した 同 年 の 全 国 的 な 水 害 に 対 応 して 政 府 は 臨 時 治 水 調 査 会 を 設 けて 第 一 期 治 水 計 画 を 策 定 し 財 源 の 確 保 を 図 ったうえ 改 修 工 事 に 着 手 している 2) 明 治 44 年 内 務 省 の 直 轄 事 業 として 荒 川 放 水 路 の 開 削 が 実 施 されたほか 江 戸 川 中 川 でも 一 部 費 用 を 府 県 が 負 担 する 形 で 工 事 が 実 施 された 3) (2) 大 正 期 大 正 6 年 10 月 台 風 による 暴 風 雨 と 高 潮 が 発 生 したこ とを 契 機 に 同 7 年 には 国 庫 補 助 を 受 けた 東 京 府 による 多 摩 川 の 改 修 事 業 を 旧 法 の 規 定 に 基 づき 内 務 大 臣 が 代 行 して 同 15 年 まで 実 施 したが その 際 にも 東 京 府 では 負 担 金 を 支 出 している 大 正 10 年 街 路 築 造 河 川 濠 渠 改 修 計 画 が 告 示 された これは 前 年 に 施 行 された 都 市 計 画 法 に 基 づく 最 初 の 街 路 網 計 画 と 河 川 計 画 であり 新 川 開 削 1 本 改 修 4 河 川 並 びに2 濠 3 河 川 の 埋 立 計 画 を 決 定 したものである 同 10 年 5 月 13 日 には 東 京 都 市 計 画 事 業 の 河 川 運 河 に 関 する 等 級 と 幅 員 の 標 準 が 表 1のとおり 告 示 された 新 川 開 削 は 大 島 川 であり 改 修 には 小 名 木 川 東 堀 留 川 や 外 濠 が 対 象 となったほか 明 石 の 鉄 砲 洲 川 などの 埋 立 が 行 われている 同 年 は 公 有 水 面 埋 立 法 が 公 布 された 年 でもある 関 東 大 震 災 後 の 同 13 年 3 月 東 京 都 市 計 画 である 震 災 -170-

復 興 計 画 として 運 河 改 修 11 新 川 開 削 1のほか 4 河 川 の 計 画 変 更 が 告 示 された 復 興 計 画 の 主 な 内 容 は 同 10 年 に 決 定 した 計 画 の 再 検 討 を 行 ったものであり おお よそ 次 のとおりである かえで 新 たに 築 地 川 楓 川 連 絡 ( 運 河 )を 計 画 したほか 小 名 木 川 横 十 間 川 大 島 川 神 田 川 日 本 橋 川 などの 改 修 事 業 並 びに 大 島 川 の 一 部 が 埋 立 られた 表 1 標 準 設 計 ( 加 工 ) 規 定 第 1 第 2 区 分 等 級 幅 員 深 度 零 点 下 1 1 等 60 間 以 上 15 尺 以 上 2 2 等 30 間 以 上 7 尺 以 上 3 第 1 類 26 間 以 上 3 等 第 2 類 22 間 以 上 4 第 1 類 18 間 以 上 4 等 第 2 類 14 間 以 上 6 尺 以 上 4 尺 以 上 第 3 類 10 間 以 上 3 尺 以 上 5 等 外 10 間 未 満 2 尺 以 上 第 3 橋 梁 を 架 設 する 場 合 には 水 面 より 橋 桁 最 下 端 迄 の 高 及 有 効 径 間 は 左 ( 下 記 ) の 標 準 に 依 る 1. 高 零 点 上 14 尺 以 上 1. 径 間 27 尺 以 上 第 4 本 設 計 の 零 点 とは 霊 岸 島 水 位 基 標 零 尺 を 謂 う 第 5 特 別 の 事 由 ある 場 合 に 於 ては 都 市 計 画 東 京 地 方 委 員 会 の 議 を 経 て 前 各 項 の 規 定 に 依 らさることを 得 木 会 議 に 改 組 され 第 三 期 治 水 計 画 では 中 小 河 川 の 治 水 対 策 を 目 的 とする 補 助 事 業 が 設 けられた 昭 和 10 年 4 月 東 京 都 市 計 画 の 高 潮 防 禦 施 設 として 38 河 川 の 護 岸 37 水 門 の 築 造 および2 河 川 の 埋 立 が 告 示 されている この 埋 立 対 象 河 川 は 護 岸 築 造 の 対 象 でも あることから 舟 運 の 便 の 有 無 により 利 用 計 画 が 策 定 さ れたと 考 えられる 昭 和 11 年 から 翌 年 に 掛 けては 目 黒 川 上 流 高 潮 防 禦 施 設 としての 河 岸 堤 防 等 の 改 修 計 画 が 告 示 された 昭 和 16 年 12 月 日 本 は 第 二 次 世 界 大 戦 の 戦 時 体 制 とな る 昭 和 17 年 4 月 には 俗 に 保 健 防 火 道 路 と 称 され る 河 川 沿 いの 遊 歩 道 馬 車 道 が 都 市 計 画 道 路 として 決 定 告 示 されている ( 図 -2) 当 該 施 設 は 道 路 と 称 されているが 実 際 には 現 況 地 形 を 活 かしつつ 沿 川 風 致 の 保 全 を 目 的 とするものであり 現 在 でも 石 神 井 川 緑 地 としてその 名 残 を 留 め 留 めている 同 13 年 5 月 には 都 市 計 画 運 河 埋 立 並 びに 改 修 事 業 の 内 務 大 臣 による 事 業 執 行 が 告 示 され 西 堀 留 川 の 埋 立 と 東 堀 留 川 の 改 修 ( 幅 員 と 深 度 の 拡 大 )が 実 施 された (3) 昭 和 初 期 から 第 二 次 世 界 大 戦 前 まで 昭 和 2 年 3 月 には 渋 谷 川 目 黒 川 の 改 修 計 画 が 内 務 省 から 告 示 され また 同 4 年 6 月 外 濠 の 改 修 計 画 が 告 図 2 保 健 防 火 道 路 告 示 ( 部 分 ) 示 された 所 蔵 : 都 立 中 央 図 書 館 震 災 復 興 事 業 は 昭 和 5 年 3 月 開 催 の 帝 都 復 興 完 成 同 18 年 東 京 都 計 画 局 では 治 水 事 業 計 画 概 要 を 発 記 念 式 典 を 以 って 概 成 し 復 興 局 が 廃 止 された この 表 した 当 該 図 書 には 概 要 として 河 川 改 修 と 運 河 新 設 時 期 日 本 最 初 の 臨 川 公 園 である 隅 田 公 園 が 開 園 した を 記 し 対 象 河 川 に 神 田 川 石 神 井 川 など14 河 川 を 列 挙 同 年 から 翌 年 には 立 会 川 神 田 上 水 谷 端 川 呑 川 している 4) 宇 田 川 谷 田 川 江 戸 川 の 改 修 計 画 が 告 示 されている (4) 第 二 次 世 界 大 戦 時 から 昭 和 30 年 代 昭 和 7 年 3 月 の 復 興 事 務 局 の 廃 止 に 至 り 震 災 復 興 事 戦 時 中 は 河 川 や 運 河 の 維 持 管 理 が 疎 かとなったため 業 は 全 て 完 成 をみることとなった 河 床 への 土 砂 堆 積 や 簡 易 造 の 護 岸 が 崩 壊 するなど 荒 廃 同 年 10 月 には 横 十 間 川 運 河 と 同 支 線 (= 同 支 川 )の が 進 んでいた また 戦 後 直 後 には カスリーン 台 風 な 運 河 新 設 と 蛇 崩 川 妙 正 寺 川 の 改 修 計 画 が 告 示 された ど 相 次 ぐ 台 風 の 襲 来 により 都 内 低 地 部 を 中 心 に 大 規 模 昭 和 8 年 には 治 水 調 査 会 が 恒 久 設 置 機 関 としての 土 な 損 害 を 被 った -171-

このため 昭 和 22 年 11 月 に 東 京 特 別 都 市 計 画 ( 戦 災 復 興 計 画 )として 運 河 河 川 河 川 埋 立 および 高 潮 防 禦 施 設 が 決 定 告 示 された 運 河 河 川 の 改 修 は 内 川 古 川 等 の 舟 運 河 川 の 拡 幅 や 渋 谷 川 古 川 神 田 川 等 の 中 小 河 川 を 中 心 とした 改 修 が 計 画 された また 河 川 埋 立 は 5 河 川 2 濠 の 埋 立 を 完 了 している 昭 和 33 年 狩 野 川 台 風 を 含 む3つの 台 風 が 襲 来 し 低 地 帯 のほか 武 蔵 野 台 地 の 中 小 河 川 の 氾 濫 や 護 岸 崩 壊 に より 河 川 沿 川 を 中 心 に 広 範 囲 で 浸 水 被 害 が 発 生 した 5) このため 同 年 12 月 には 俗 に 東 京 都 河 川 白 書 と 呼 ばれ る 東 京 都 の 河 川 の 現 況 とその 将 来 を 発 表 し 既 定 計 画 の 再 検 討 増 補 と 今 後 の 対 処 方 針 を 明 らかにした 6) 同 様 に 昭 和 33 年 から38 年 までの 被 害 の 多 さに 鑑 み 特 に 山 の 手 台 地 を 中 心 とした 地 域 において 中 小 河 川 の 未 改 修 部 分 を 対 象 とした 緊 急 3ヶ 年 整 備 計 画 を 策 定 し 事 業 に 着 手 している 一 方 政 府 では 内 務 省 の 解 体 により 河 川 行 政 は 建 設 省 の 所 管 となった 昭 和 34 年 には 伊 勢 湾 台 風 による 関 西 地 方 での 大 規 模 な 被 害 があり これを 契 機 として 同 35 年 には 治 山 治 水 緊 急 措 置 法 や 治 水 特 別 会 計 法 が 制 定 さ れ 長 期 的 な 治 水 事 業 の 仕 組 みが 完 成 した 昭 和 39 年 には 利 水 の 需 要 増 や 戦 後 の 法 制 度 社 会 シ ステム 等 の 変 更 に 合 わせて 新 たな 河 川 法 が 成 立 した また 同 年 は 東 京 オリンピックが 開 催 され 戦 後 の 復 興 期 から 経 済 発 展 への 礎 が 築 かれた 時 代 でもあるが 都 内 では 道 路 交 通 需 要 の 増 大 やゴミの 不 法 投 棄 等 に 伴 って 数 多 くの 河 川 や 水 路 が 機 能 廃 止 暗 渠 化 され または 河 川 上 空 を 高 速 道 路 等 に 占 用 される 契 機 となった (5) 昭 和 40 年 代 から 昭 和 50 年 代 前 半 昭 和 40 年 には 台 風 6 号 により 区 部 山 の 手 地 域 の 中 小 河 川 を 中 心 に 浸 水 被 害 が 生 じ 翌 年 も 山 の 手 や 多 摩 部 の 中 小 河 川 など 未 改 修 部 で 氾 濫 が 続 発 した この 被 害 に 鑑 み 従 来 の 区 部 に 加 えて 急 激 に 市 街 化 が 進 んだ 市 部 を 含 む 河 川 改 修 計 画 の 立 案 が 急 務 とされ 同 42 年 に 東 京 都 中 小 河 川 緊 急 整 備 計 画 が 策 定 された これ 以 降 都 では シビル ミニマム の 設 定 また 中 期 計 画 が 策 定 されたことに 伴 い 河 川 整 備 計 画 は 当 該 計 画 に 包 含 されて 実 施 することとなった 当 該 計 画 の 整 備 規 模 としては 30mm /hr 対 応 の 河 道 改 修 を 中 心 に 昭 和 47 年 からは 一 部 河 川 において50mm/ hr 改 修 に 着 手 している 昭 和 51 年 には 台 風 17 号 による 浸 水 被 害 が 山 の 手 およ び 多 摩 部 の 河 川 を 中 心 に 発 生 した このため 本 格 的 な 改 修 計 画 (50mm /hr) を 前 提 としつつ 未 改 修 部 を 対 象 に 暫 定 改 修 計 画 (30 mm/hr)を 策 定 し 事 業 の 進 捗 を 図 ることと し 行 財 政 3ヵ 年 計 画 に 位 置 づけられた 上 記 に 示 した 中 小 河 川 改 修 における 目 標 水 準 の 変 遷 は 表 -2のとおりである なお 明 治 期 以 降 の 管 理 河 川 の 変 遷 については 昨 年 の 資 料 編 において 中 小 河 川 改 修 と 関 連 する 社 会 情 勢 法 体 系 を 年 表 7) として 記 しているので 参 照 願 いたい 4. 法 定 管 理 河 川 の 変 遷 都 内 河 川 の 河 川 法 に 基 づく 管 理 体 系 の 変 遷 としては おおよそ 次 のとおりである (1) 旧 河 川 法 ( 明 治 29 年 ~ 昭 和 39 年 ) 旧 法 の 規 定 では 河 川 法 を 適 用 する 河 川 準 用 する 河 川 及 び 法 適 用 外 の 普 通 河 川 に 類 別 しており 概 要 は 下 記 のとおりとである 1) 適 用 河 川 : 1 第 1 条 2 第 4 条 1 建 設 大 臣 が 認 定 した 河 川 ; 幹 川 区 間 主 義 2 都 道 府 県 知 事 が 認 定 した 支 川 および 派 川 運 用 面 では 幹 川 の 認 定 は 直 轄 工 事 施 行 の 必 要 性 の 有 無 が 重 要 な 要 素 であった 2) 準 用 河 川 : 第 5 条 1 適 用 河 川 に 流 入 若 しくは 分 岐 する 水 流 等 2 適 用 河 川 以 外 の 都 道 府 県 知 事 が 認 定 したもの 3 建 設 大 臣 の 事 前 認 可 を 要 する ( 行 政 監 督 令 ) 準 用 に 関 する 規 定 は 河 川 使 用 の 規 制 等 は 必 置 事 項 直 轄 管 理 および 工 事 並 びに 同 負 担 に 関 する 規 定 は 当 該 規 定 の 準 用 禁 止 その 他 の 任 意 事 項 から 構 成 された 準 用 河 川 の 選 定 にあたっては 河 川 法 準 用 河 川 の 選 択 基 準 に 関 する 件 (S3.7.3 各 地 方 長 官 宛 土 木 局 長 通 牒 )の 一 つに 該 当 するとことされた 8) 実 際 の 河 川 改 修 は 前 述 のとおり 全 国 的 には 財 政 上 の 理 由 から 準 用 認 定 を 控 える 傾 向 があったが 都 では 地 方 費 を 充 当 して 事 業 の 進 捗 が 図 られていた -172-

3) 普 通 河 川 : 上 記 以 外 の 河 川 法 の 適 用 とならないもの 行 政 管 理 に 属 する 事 項 は 国 の 事 務 ( 地 方 行 政 庁 たる 都 道 府 県 知 事 )として 事 実 管 理 は 市 町 村 が 主 体 として 施 行 された 昭 和 16 年 当 時 の 法 定 河 川 は 表 -3( 末 尾 )のとおり であり 同 22 年 頃 の 河 川 管 理 図 を 図 -5に 示 す 次 に 旧 法 時 代 の 資 料 9) には 現 在 の 資 料 に 見 受 けられ ない 在 来 下 水 道 や 水 路 改 修 という 表 現 が 頻 繁 に 記 載 され ているので これに 若 干 の 説 明 を 加 える 10) 4) 在 来 下 水 ( 改 良 区 域 ) 在 来 下 水 ( 道 )とは 区 部 の 大 部 分 で 計 画 されていた 改 良 下 水 道 の 施 行 対 象 外 の 区 部 区 域 において 既 存 の 下 水 道 の 改 良 を 図 ることから 名 付 けられたものである 当 該 改 良 計 画 は 改 良 下 水 道 が 敷 設 されるまでの 間 に 当 該 区 域 での 雨 水 や 家 庭 排 水 を 排 除 することを 目 的 とし て 雨 汚 水 の 停 滞 または 氾 濫 が 著 しい 区 域 での 在 来 下 水 の 改 良 を 実 施 するものであり 河 川 管 理 者 が 執 行 した 施 行 法 としては 次 の2 種 類 である 1 コンクリート 柵 渠 : 将 来 的 に 改 良 下 水 道 の 施 行 に 際 し 構 築 物 を 撤 去 し て 他 の 水 路 改 良 工 事 に 転 用 する 前 提 で 設 ける 施 設 2 暗 渠 : 1 以 外 の 箇 所 における 施 行 を 前 提 とした 施 設 全 体 としては 昭 和 27 年 の 時 点 において18 区 で 延 長 約 31Km の 整 備 が 計 画 されていた 5) 水 路 改 修 ( 事 業 ) この 当 時 における 水 路 とは 改 良 下 水 道 施 行 区 域 の 品 川 ほか16 区 内 の 都 が 管 理 する 普 通 河 川 のことであり 水 路 を 改 修 し 氾 濫 による 浸 水 被 害 の 防 止 環 境 衛 生 の 向 上 並 びに 都 民 の 社 会 生 活 の 安 定 を 図 ることを 目 的 とした 事 業 である 昭 和 27 年 時 点 における 全 体 計 画 は 17 区 にお いて 延 長 約 284km であった (2) 新 河 川 法 ( 昭 和 40 年 ~ 平 成 8 年 ) 旧 法 ( 施 行 令 を 含 む)の 一 部 規 定 に 関 しては 日 本 国 憲 法 施 行 の 際 現 に 効 力 を 有 する 命 令 の 規 定 の 効 力 等 に 関 する 法 律 (S22 年 法 律 第 72 号 )の 規 定 により 昭 和 22 年 12 月 末 日 を 以 って 失 効 した また 昭 和 30 年 代 に 入 ると 社 会 経 済 の 高 度 成 長 に 伴 う 電 力 需 要 等 の 増 大 に 対 応 するため 昭 和 27 年 の 電 源 開 発 促 進 法 同 32 年 の 特 定 多 目 的 ダム 法 続 いて 水 道 法 下 水 道 法 などの 関 連 法 の 整 備 が 進 んだ これらに 対 応 して 旧 法 を 全 面 改 正 した 新 河 川 法 が 昭 和 39 年 に 成 立 し 同 40 年 4 月 1 日 に 施 行 された 新 河 川 法 ( 以 下 新 法 という )の 特 徴 は 次 の とおりである 1 区 間 管 理 ( 地 方 行 政 庁 )に 替 えて 水 系 一 貫 主 義 ( 機 関 委 任 事 務 )を 採 用 2 利 水 関 係 規 定 の 拡 充 ダム 防 災 関 連 規 定 の 整 備 3 河 川 管 理 ;1 級 河 川 : 国 2 級 河 川 : 都 道 府 県 負 担 工 事 に 要 する 費 用 の 補 助 規 程 を 定 める 新 法 の 法 適 用 河 川 と 旧 法 の 適 用 準 用 河 川 の 相 関 は 概 念 的 であるが おおよそ 次 のようなに 関 係 にある 1)1 級 河 川 : 旧 法 第 1 条 適 用 河 川 2)1 級 河 川 : 同 第 4 条 2 適 用 河 川 ( 指 定 区 間 ) 同 第 5 条 1 準 用 河 川 3)2 級 河 川 : 同 第 5 条 2 準 用 河 川 準 用 河 川 : または 普 通 河 川 (3) 改 正 河 川 法 ( 平 成 9 年 ~ 現 行 ) 平 成 9 年 には 新 法 が 改 正 され 同 法 の 目 的 に 治 水 利 水 と 並 んで 河 川 環 境 の 整 備 と 保 全 が 位 置 づけられ たほか 地 域 の 意 向 を 反 映 した 河 川 整 備 計 画 の 制 度 導 入 などがなされている 同 11 年 地 方 分 権 の 推 進 を 図 るための 関 係 法 令 の 整 備 等 に 関 する 法 律 により 機 関 委 任 事 務 制 度 が 廃 止 となっ たため これが 法 定 受 託 事 務 に 代 わった ここで 旧 法 から 新 法 時 代 における 管 理 河 川 の 変 遷 一 覧 を 表 -4に 関 連 部 所 の 組 織 沿 革 を 表 -5に 新 法 制 定 当 時 と 現 行 河 川 の 管 理 諸 元 は 表 -6のとおりである なお 表 -4は 代 表 的 な 年 次 における 河 川 管 理 の 状 況 を 数 値 的 に 示 したものであり 一 部 の 年 次 については 記 録 が 不 明 確 なため 空 欄 として 扱 った 昭 和 30 年 と 同 55 年 には 普 通 河 川 の 扱 いが 見 直 されているので 表 - 4の 数 値 の 取 扱 いに 際 して 留 意 する 必 要 がある 5. 都 市 計 画 河 川 の 概 況 11) 都 市 計 画 河 川 の 詳 細 は 昨 年 の 年 報 報 告 編 による ものとし 本 報 では 現 行 計 画 を 概 説 するものとする -173-

東 京 都 管 理 の 中 小 河 川 のうち 現 在 都 市 計 画 決 定 を 取 得 している 河 川 の 一 覧 は 表 -7のとおりである また 河 川 法 に 基 づく 河 川 予 定 地 指 定 を 表 -8に 示 す 東 京 都 では 河 川 法 に 基 づき 改 修 計 画 決 定 しているが 著 しい 市 街 化 に 対 応 する 必 要 と 過 去 からの 経 緯 もあり 主 要 な 中 小 河 川 において 都 市 計 画 決 定 を 行 っている このため 河 川 の 延 長 といった 場 合 には 自 然 公 物 と しての 河 川 延 長 河 川 法 に 定 める 法 定 河 川 延 長 ( 管 理 延 長 ) 並 びに 都 市 計 画 決 定 された 計 画 延 長 が 並 存 している ので いずれの 延 長 かを 確 認 することが 重 要 となる 次 に 都 市 計 画 河 川 に 係 る 都 市 計 画 下 水 道 の 決 定 とし ては 昭 和 25 年 の8 河 川 の 告 示 のほか 同 37 年 の2 河 川 並 びに 同 53 56 年 には3 河 川 の 追 加 告 示 がなされている なお 都 市 計 画 河 川 の 場 合 平 成 9 年 以 前 の 機 関 委 任 事 務 の 時 代 にあっては 東 京 都 知 事 が 国 の 機 関 として 都 市 計 画 事 業 を 執 行 する 位 置 づけ( 事 業 承 認 )であった 現 在 は 改 正 河 川 法 に 基 づく 法 定 受 託 事 務 として 都 市 計 画 法 上 の 事 業 認 可 を 取 得 して 事 業 を 進 めている 6. 戦 災 復 興 計 画 における 河 川 埋 立 の 背 景 現 在 では 日 本 橋 川 上 空 の 占 用 や 過 去 における 河 川 埋 立 を 批 判 する 意 見 を 聞 くことがある しかしながら 前 出 のとおり 過 去 においては 河 川 の 埋 立 が 比 較 的 容 易 に 実 施 されてきた 経 緯 がある このため 異 論 の 多 い 河 川 埋 立 について 戦 災 復 興 に 伴 う 河 川 埋 立 を 事 例 として 建 設 局 の 公 式 記 録 である 建 設 のあゆみ と 他 の 資 料 と を 比 較 検 討 することにより その 時 代 背 景 などについて 考 察 を 試 み 事 実 関 係 の 一 端 を 明 らかにするものとする (1) 建 設 のあゆみ 12) 本 書 は 昭 和 18 年 から 昭 和 25 年 までの 間 における 東 京 都 建 設 局 の 組 織 事 業 に 関 する 歴 史 を 公 式 にまとめた 図 書 である 概 要 編 にある 河 川 関 連 の 記 述 は 次 のとおりである 河 川 においては ( 中 略 ) 相 次 ぐ 災 害 は 河 川 のいか に 荒 廃 に 期 しているかいかに 復 旧 事 業 の 緊 急 を 要 するか を 天 与 の 教 訓 として 吾 々の 耳 朶 に 警 鐘 を 連 打 したもので ある ( 中 略 ) 心 血 を 注 いで 事 業 の 達 成 に 邁 進 してい る とあるが 続 く 文 中 には 戦 後 市 中 の 至 るところ かいじん に 残 焼 灰 燼 瓦 礫 が 累 々として 人 の 目 を 蔽 うものが 多 く 復 興 途 上 その 除 去 は 必 要 のみならず 民 心 の 安 定 を 得 るためにも 又 急 を 要 するものであった これがために 都 は 昭 和 20 年 から 整 地 事 業 を 急 いでいたのであるが 都 心 より 遠 隔 の 地 に 灰 燼 瓦 礫 を 運 搬 するためには 予 算 がこ れを 許 さずいろいろと 研 究 の 結 果 不 用 河 川 (= 不 要 の 意 味 )の 三 十 間 堀 川 東 堀 留 川 龍 閑 川 浜 町 川 六 間 堀 川 東 京 駅 前 外 濠 鍛 冶 橋 際 外 濠 真 田 濠 或 いは 海 岸 洲 崎 沖 等 の 都 心 に 最 も 近 い 地 を 選 びこれを 埋 立 てその 埋 立 地 処 分 の 経 費 を 以 て 事 業 費 に 充 当 することとした と 近 接 地 への 埋 立 を 財 政 上 の 措 置 から 適 切 であると 記 した 次 に 同 書 の 個 別 事 業 の 説 明 文 は 次 のとおりである 区 部 復 興 都 市 計 画 では 不 用 河 川 を 埋 立 衛 生 上 美 観 上 に 資 すると 共 に 埋 立 地 を 建 築 敷 地 に 利 用 しようとす るもので 17ヶ 所 延 長 約 9,850 米 である と 記 し 都 市 計 画 としての 過 去 五 ヵ 年 間 の 戦 災 灰 燼 処 理 の 経 緯 では 以 下 の 抜 粋 のような 記 載 となっている 3. 昭 和 22 年 度 現 地 処 理 の 欠 陥 により 灰 燼 は 原 則 として 低 湿 地 低 湿 道 路 の 盛 土 として 運 搬 処 理 されたが 都 心 部 の 膨 大 な 灰 燼 と 遠 距 離 の 低 湿 地 へ 運 搬 するには 多 くの 経 費 と 資 材 を 要 するので 勢 い 都 心 部 にそれを 必 要 と して 種 々 検 討 の 結 果 不 用 河 川 に 投 棄 して 埋 立 てるこ ととして 都 市 計 画 地 方 計 画 委 員 会 に 不 用 河 川 埋 立 事 業 計 画 の 決 定 方 を 要 請 した たまたま 運 輸 省 において 東 京 駅 前 八 重 洲 口 広 場 を 造 るために 外 濠 埋 立 の 計 画 がありこの 埋 立 の 委 託 を 受 け 河 川 埋 立 の 第 一 歩 を 印 した ( 以 下 略 ) 4. 昭 和 23 年 度 ( 前 略 ) 昭 和 22 年 度 において 実 施 した 東 京 駅 前 八 重 洲 口 の 外 濠 埋 立 事 業 が 灰 燼 処 理 上 極 めて 効 果 的 で あったので 比 較 的 利 用 価 値 の 低 かった 三 十 間 堀 川 東 堀 留 川 滝 閑 川 (= 龍 閑 川 ) 新 川 を 埋 立 て これ によって 造 成 された 埋 立 地 を 売 却 して 経 費 の 財 源 に 充 当 する 事 として 灰 燼 処 理 事 業 を 実 施 した 5. 昭 和 24 年 度 ( 前 略 )これがため 新 たに 浜 町 川 六 間 堀 川 真 田 濠 外 濠 ( 鍛 冶 橋 下 流 )の 埋 立 を 行 う 一 方 整 理 事 業 は -174-

失 業 対 策 事 業 として 適 当 であるので 多 数 の 失 業 者 を 吸 収 し 都 内 全 域 の 灰 燼 を 集 積 した このように 公 式 記 録 には 昭 和 23 年 度 の 三 十 間 堀 川 の 埋 立 に 関 して 事 業 費 に 充 当 するため とだけ 記 され ている 以 下 では 必 要 な 事 業 費 を 捻 出 するために 次 のとおり 対 象 河 川 と 区 域 を 拡 大 したことを 関 係 者 による 記 事 から 明 らかにする (2) 灰 燼 処 理 越 沢 明 の 東 京 の 都 市 計 画 13) の 中 には 灰 燼 処 理 と 河 川 の 埋 立 に 関 する 次 のような 記 載 が 見 受 けられる 都 知 事 安 井 誠 一 郎 には 社 会 資 本 整 備 に 対 する 長 期 ビ ジョン 都 市 計 画 に 対 する 思 想 と 見 識 が 欠 けていた それを 象 徴 する 出 来 事 が 焼 跡 のガラ( 灰 燼 )の 処 理 と 河 川 埋 立 そして 露 天 商 対 策 である ( 中 略 ) 昭 和 通 りのグリーンベルトはガラがうず 高 く 積 まれ てしまう 有 様 であった GHQは 交 通 上 衛 生 上 の 理 由 からその 始 末 を 何 度 も 督 促 した 安 井 誠 一 郎 は 費 用 をかけない 解 決 策 を 石 川 栄 耀 に 命 じた 石 川 栄 耀 のア イデアは 都 心 の 不 用 河 川 にガラを 運 搬 し 埋 立 て 造 成 後 埋 立 地 を 売 却 して 灰 燼 処 理 の 経 費 とするものであ った 助 かったという 気 持 ちで 一 杯 になり 石 川 君 の 手 を おしいただく 思 いで 堅 く 握 り 閉 めたものだった あれ 以 上 の 名 案 は 今 日 においても 私 には 思 いつけない ( 安 井 誠 一 郎 東 京 私 記 14 ) こうして 不 用 河 川 埋 立 事 業 計 画 という 前 代 未 聞 の 都 市 計 画 が 都 市 計 画 東 京 地 方 委 員 会 で 決 定 され 19 47 年 10 月 の 東 京 駅 前 の 外 濠 を 手 始 めに1950 年 にかけて 三 十 間 堀 川 を 埋 立 て 売 却 したのである この 結 果 江 戸 以 来 の 東 京 都 心 の 水 辺 空 間 は 失 われてしまった ( 以 下 略 ) では 当 時 局 長 であった 石 川 栄 耀 はどのようにして 当 該 計 画 を 立 案 したのか について 若 干 の 考 察 を 試 みる (3) 河 濠 整 理 計 画 15) 中 央 区 京 橋 図 書 館 の 地 域 資 料 室 には 昭 和 11 年 頃 発 行 と 推 定 されている 東 京 市 監 査 局 都 市 計 画 課 作 成 の 河 濠 整 理 計 画 が 保 存 されている ( 図 -3) 図 3 河 濠 整 理 計 画 平 面 図 ( 抜 粋 ) 当 該 図 書 の 中 から 埋 立 に 関 連 する 事 項 を 抜 粋 して 記 述 する 沿 革 概 要 においては 東 京 駅 前 の 外 濠 は 大 東 京 シ ビックセンター の 中 心 を 丁 度 南 北 に 貫 通 し 丸 ノ 内 一 帯 ビル 街 の 進 出 を 阻 もうとしている 様 である などの 記 載 が 見 受 けられる その 存 在 価 値 に 関 しては 道 路 の 発 達 と 自 動 車 の 普 及 は 運 河 の 効 果 著 しく 滅 殺 されたりと 見 て 支 障 なかる べし 外 濠 の 現 況 は 如 何 にも 不 潔 にして 悪 臭 が 甚 だしく ( 中 略 ) 衛 生 上 の 見 地 よりする 限 り 全 く 其 の 価 値 なきもの 史 跡 としての 価 値 は 非 常 に 薄 らぎた る ( 中 略 ) 美 観 上 より 見 たる 存 在 価 値 はほとんど 之 を 求 むるに 由 なく 東 京 駅 裏 のごときは 全 く 不 潔 其 のものに して 改 善 の 急 務 なるを 思 わしむ として 外 濠 の 価 値 を 否 定 した 記 載 が 続 き 埋 立 により 一 切 の 不 浄 なる 水 面 を 眼 界 より 除 去 し 之 に 代 ふる 清 鮮 なる 緑 地 と 快 適 なる 道 路 を 以 てせむるとす( 中 略 ) 時 期 は 鉄 道 増 設 東 京 駅 裏 口 改 良 工 事 と 併 行 して 施 行 するを 最 便 とすべし との 結 論 に 至 っている このように 戦 災 復 興 事 業 における 灰 燼 処 理 に 伴 う 河 川 埋 立 は 河 濠 整 理 計 画 で 示 された 東 京 駅 前 外 濠 埋 立 計 画 案 をほぼ 踏 襲 したうえ 灰 燼 の 膨 大 な 量 と 予 算 捻 出 に 対 応 して 対 象 河 川 を 増 やしたものであると 考 えら れる 次 に 当 該 計 画 に 石 川 局 長 がどのように 係 ったかであ るが 当 時 の 職 員 録 を 調 べたところ 昭 和 8 年 に 東 京 へ 転 勤 都 市 計 画 東 京 地 方 委 員 会 の 所 属 となり 昭 和 18 年 -175-

には 東 京 都 技 官 を 兼 任 している この 間 関 東 国 土 計 画 の 試 案 作 成 に 係 るなどしている ことから 当 該 計 画 を 十 分 に 知 る 立 場 にあったと 思 料 で きる 16) (4) 新 都 市 続 いて ( 財 ) 都 市 計 画 協 会 の 機 関 誌 である 新 都 市 から 検 討 を 試 みる 第 2 巻 第 8 号 ( 昭 和 23 年 8 月 )に 掲 載 された 記 事 東 京 都 三 十 間 堀 川 他 三 河 川 の 埋 立 事 業 について の 記 述 は 以 下 のとおりである この 記 事 のはじまりは 東 京 都 戦 災 跡 地 清 掃 ( 灰 燼 処 理 )の 経 過 並 に 現 況 という 書 き 出 しであり 復 興 院 の 指 導 と 支 援 と 得 て 本 事 業 を 促 進 する 為 めに 終 戦 の 年 10 月 25 日 に 整 地 工 事 課 を 新 設 し( 以 下 略 ) とある 第 2 章 では 今 後 に 於 ける 戦 災 跡 地 の 清 掃 として 都 に 於 いて 今 回 三 十 間 堀 川 外 三 河 川 を 灰 燼 を 以 って 埋 立 後 此 の 土 地 を 売 却 し 清 掃 事 業 費 の 財 源 を 捻 出 して 本 事 業 を 推 進 することになった < 原 文 のママ>とある また 第 3 章 は 不 用 河 川 の 埋 立 については 戦 災 跡 清 掃 の 当 初 から 調 査 並 に 考 慮 せられて 居 た 所 であるが ( 中 略 ) 最 近 に 至 っては 捨 場 もなくなり 且 つ 財 源 にも 窮 して 来 たので 万 難 を 排 して 都 内 千 代 田 区 中 央 区 内 に 存 在 し 余 り 利 用 せられて 居 らない 三 十 間 堀 川 龍 閑 川 東 堀 留 川 新 川 を 埋 立 てることとなった 次 第 である ( 龍 閑 川 などの 三 河 川 は 既 に 埋 立 を 都 市 計 画 決 定 済 みであるが) 埋 立 後 の 土 地 の 価 値 が 低 く 工 事 費 を 土 地 売 却 代 金 でカバーすると 云 う 方 法 が 採 れないので 右 三 河 川 に 三 十 間 堀 川 を 加 えて 埋 立 ることとなったものであ る と 明 確 にその 理 由 を 示 している 当 時 の 職 員 録 から 筆 者 の 小 島 一 三 氏 は 第 一 復 興 区 画 整 理 所 長 であることが 判 明 した ( 下 線 および( ) 内 記 述 : 筆 者 による) 17) (5) 東 京 都 区 画 整 理 設 計 標 準 センターが 保 有 する 資 料 には 昭 和 25 年 3 月 発 行 の 標 記 の 図 書 がある 当 該 図 書 における 計 画 設 計 要 領 の 規 定 ( 抜 粋 )は 次 のとおりである 構 想 計 画 方 針 について Ⅱ. 構 想 計 画 方 針 の 決 定 構 想 計 画 の 基 本 的 問 題 につき 全 体 計 画 その 他 の 実 施 計 画 を 考 慮 して( 既 定 の 案 がない 場 合 は 独 自 の 見 解 に よって) 夫 々 立 案 の 方 針 を 定 め 計 画 の 骨 組 みに 関 する. 粗 案 ( 又 は 腹 案 )を 概 定 する 1. 都 市 計 画 決 定 施 設 街 路 広 場 河 川 運 河 公 園 緑 地 等 について 区 画 整 理 で 決 定 どおり 実 施 できるか 変 更 乃 至 縮 小 を 要 するか 検 討 を 加 えて 都 市 計 画 課 に 協 議 する Ⅵ. 計 画 設 計 に 伴 う 責 任 処 理 事 項 3. 従 前 の 河 川 公 園 の 変 更 廃 止 については 一 応 河 川 課 公 園 緑 地 課 と 連 絡 する ( 図 4) ( 傍 点 下 線 : 筆 者 による) 図 4 東 京 都 区 画 整 理 設 計 標 準 ( 抜 粋 ) このように まちづくりの 視 点 から 土 地 利 用 の 便 を 優 先 した 諸 施 設 の 計 画 を 規 定 していることが 読 み 取 れる 次 に 河 川 の 廃 止 等 についても 河 川 主 管 課 に 対 する 協 議 ではなく 一 応 の 連 絡 による とあり 同 一 図 書 ( 公 文 書 )の 中 において 協 議 と 連 絡 という 用 語 が 明 確 に 使 い 分 けられている 点 も 注 目 される 事 実 である 7.まとめ 現 在 事 業 概 要 等 の 資 料 としては 第 二 次 世 界 大 戦 後 のものが 事 業 部 局 や 図 書 館 等 に 保 管 されているが 戦 前 戦 後 期 の 管 理 河 川 数 などは 総 括 表 のみが 示 されてい るだけであり 当 時 対 象 となっていない 河 川 名 や その 区 間 延 長 等 の 詳 細 を 知 ることは 容 易 でない 本 報 では 管 理 制 度 と 改 修 計 画 の 変 遷 を 経 年 的 に 示 すとともに 主 -176-

な 変 更 点 等 を 明 示 することにより これに 配 慮 した 調 査 の 結 果 からは 管 理 制 度 が 改 修 計 画 へ 及 ぼす 影 響 改 修 地 域 の 変 遷 ならびに 社 会 経 済 を 映 した 対 象 河 川 の 移 り 変 わりなどを 確 認 することができた 主 な 事 項 を 列 記 すれば 次 のとおりである 1 旧 法 時 代 の 都 管 理 の 準 用 河 川 は 江 戸 期 からの 舟 運 中 心 の 街 づくりの 影 響 を 色 濃 く 反 映 した 低 地 河 川 ( 運 河 )に 加 え 多 摩 部 の 砂 防 河 川 を 含 む 比 較 的 多 くの 河 川 が 指 定 され かつ 改 修 対 象 となっていたこと 2 財 政 的 な 制 約 にも 係 らず 旧 法 の 準 用 河 川 の 改 修 が 比 較 的 多 く 実 施 できたのは 明 治 初 期 から 地 方 単 独 費 や 江 戸 期 の 七 歩 積 金 (= 町 会 所 の 積 立 金 )である 区 部 共 有 金 などの 独 自 予 算 を 充 当 できたことにある その 背 景 にあるのは 江 戸 期 における 市 中 川 々 浚 (= 水 路 浚 渫 )など 繁 栄 を 生 む 地 域 経 済 の 基 盤 として 河 川 機 能 の 維 持 を 図 ってきた 経 緯 が 考 えられること 3 旧 法 は 新 法 のような 明 確 に 機 関 委 任 事 務 を 規 定 し ていないが 事 実 上 太 政 (( 大 臣 )= 中 央 )に 対 す る 小 政 (= 地 方 ( 長 官 ))という 管 理 予 算 制 度 を 前 提 とした 法 体 系 であると 云 えること 4 事 業 費 の 捻 出 手 段 や 衛 生 上 の 対 策 と 称 して 都 市 計 画 事 業 の 一 環 による 河 川 の 埋 立 を 既 に 明 治 期 には 実 施 していること 5 舟 運 や 排 水 処 理 のため 河 川 の 新 川 開 削 や 埋 立 など が 比 較 的 容 易 に 計 画 されていたこと 6 戦 災 復 興 期 には 画 整 理 事 業 または 清 掃 事 業 の 費 用 を 捻 出 する 目 的 を 以 って 都 が 事 業 計 画 の 側 面 から 河 川 の 埋 立 を 都 市 計 画 決 定 していたこと 7 当 時 は 都 市 計 画 の 企 画 立 案 部 門 と 事 業 管 理 部 門 とは 別 の 組 織 であり 管 理 者 が 自 ら 計 画 の 意 思 決 定 を 行 う 組 織 形 態 となっていなかったこと なお 上 記 の4~7の 事 項 について 現 在 では 企 画 部 門 と 事 業 管 理 部 門 の 緊 密 な 連 携 の 基 に 実 施 されており 同 様 な 計 画 立 案 を 行 うようなことは 考 えられない 加 え て 昭 和 63 年 には 東 京 都 として 今 後 原 則 として 新 た な 中 小 河 川 の 埋 立 は 行 わない 旨 を 建 設 省 ( 現 国 土 交 通 省 )に 表 明 していることを 付 記 する 18) 従 来 においては 建 設 局 河 川 部 計 画 課 で 保 存 されてい 図 -5 河 川 管 理 図 ( 昭 和 22 年 頃 ) 所 蔵 : 建 設 局 江 東 治 水 事 務 所 ( 図 の 一 部 のみ) -177-

る 資 料 を 中 心 に 検 討 を 加 えてきた 今 回 は 新 たに 得 ら れた 資 料 等 をとりまとめることにより 戦 前 における 管 理 河 川 の 状 況 について より 具 体 的 な 事 項 を 提 示 するこ とができたと 考 える これらの 中 には 主 管 部 所 においても 現 有 していない 資 料 が 数 多 く 存 在 している しかしながら 未 だに 不 明 な 点 が 多 いことも 事 実 であり 引 き 続 き 資 料 調 査 を 進 める とともに 新 たな 知 見 を 得 られるよう 努 めて 参 りたい 表 -2 中 小 河 川 改 修 計 画 の 目 標 水 準 の 変 遷 出 典 : 各 種 長 期 計 画 総 合 実 施 計 画 河 川 部 資 料 その 他 による -178-

表 -3-1 旧 河 川 法 適 用 準 用 河 川 一 覧 179

表 -3-2 旧 河 川 法 適 用 準 用 河 川 一 覧 180

表 -4 法 定 管 理 河 川 の 変 遷 一 覧 181 表 -5 関 連 部 局 組 織 沿 革 一 覧

表 -6 管 理 河 川 諸 元 比 較 一 覧 182

表 -7 都 市 計 画 決 定 河 川 調 書 183 表 -8 河 川 予 定 地 の 指 定 を 有 する 河 川 -183-

謝 辞 本 報 の 作 成 にあたっては 河 川 部 関 係 者 並 びに 都 立 中 央 図 書 館 の 政 策 立 案 支 援 制 度 を 活 用 して 都 市 東 京 情 報 係 より 多 くの 情 報 および 資 料 提 供 を 頂 いた ここに 記 して 謝 意 を 表 します 参 考 文 献 1) 東 京 府 (1936 ): 東 京 府 史 行 政 編 第 4 巻 東 京 府 293-296 2) 国 土 交 通 省 河 川 局 治 水 課 河 川 環 境 課 監 修 (2006 ): 河 川 事 業 関 係 例 規 集 平 成 17 年 度 版 ( 社 ) 日 本 河 川 協 会 2333-2336 3) 1) -304 298 4) 東 京 都 計 画 局 (1943 ): 治 水 事 業 計 画 概 要 東 京 都 計 画 局 25-26 5) 東 京 都 建 設 局 河 川 部 計 画 課 (1975 ): 東 京 都 水 害 資 料 ( 明 治 35 年 ~ 昭 和 48 年 ) 東 京 都 建 設 局 河 川 部 6) 東 京 都 建 設 局 河 川 部 (1958 ): 昭 和 33 年 12 月 東 京 の 河 川 の 現 況 とその 将 来 東 京 都 建 設 局 前 文 2-4 7) 石 原 成 幸 (2009 ): 東 京 の 中 小 河 川 改 修 と 関 連 分 野 の 年 表 平 成 21 年 東 京 都 土 木 技 術 支 援 人 材 育 成 センター 年 報 231-242 8) 建 設 省 河 川 研 究 会 編 (1957 ): 河 川 全 集 第 二 巻 河 川 法 港 出 出 版 合 作 社 32 9) 例 えば 東 京 都 建 設 局 (1954 ): 昭 和 29 年 版 建 設 局 事 業 概 要 東 京 都 建 設 局 79-85 10) 首 都 建 設 問 題 の 経 過 概 要 資 料 編 ( 首 都 建 設 資 料 )(1952): 下 水 道 の 建 設 計 画 概 要 都 民 室 首 都 建 設 部 295-306 11) 石 原 成 幸 (2009): 東 京 の 中 小 河 川 の 都 市 計 画 に 関 する 歴 史 的 経 緯 平 成 21 年 東 京 都 土 木 技 術 支 援 人 材 育 成 セン ター 年 報 179-190 12) 東 京 都 建 設 局 (1953 ): 建 設 のあゆみ 東 京 都 建 設 局 205-212ほか 13) 越 沢 明 (1991 ): 東 京 の 都 市 計 画 岩 波 書 店 234-235ほか 14) 安 井 誠 一 郎 (1960 ): 東 京 私 記 都 政 人 協 会 45-53 15) 東 京 市 監 査 局 都 市 計 画 課 (1936 ): 河 濠 整 理 計 画 東 京 市 監 査 局 9-33 16) 小 島 一 三 (1948 ): 東 京 都 三 十 間 堀 川 他 三 河 川 の 埋 立 事 業 について 新 都 市 第 2 巻 第 8 号 25-27 17) 東 京 都 区 画 整 理 課 (1950 ): 東 京 都 区 画 整 理 設 計 標 準 東 京 都 建 設 局 18) 東 京 都 建 設 局 河 川 部 (1988 ): 東 京 都 建 設 局 長 発 建 設 省 河 川 局 長 宛 公 文 ) 文 中 に 出 典 を 明 示 したもの 並 びに 都 立 中 央 図 書 館 所 蔵 の 東 京 都 公 報 等 は その 記 載 を 省 略 している -184-