土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 各 府 県 の 人 増 減 が コンクリート 需 要 に 及 ぼす 影 響 工 科 学 内 雅 博 * By Masahiro OUCHI コンクリート 構 造 物 や 建 築 物 のストックが 量 的 に 充 足 した 段 階 においては, 人 増 加 率 の 小 がコンクリートの 規 需 要 の 差 異 を 決 定 する 主 要 因 であるとの 仮 説 を 立 てた.この 仮 説 を,わが の 府 県 におけるセメント 需 要 を 用 いて 検 証 した. 当 該 地 域 の 当 該 年 度 におけるセメント 消 費 量 の, 前 年 度 いっぱいまでの 累 積 セメント 消 費 量 に 対 する 比 率 をコ ンクリート 増 加 率 と 定 義 し,コンクリート 需 要 の 指 標 とした. 府 県 の 人 増 加 率 と コンクリート 増 加 率 との 関 係 に 着 目 した. 一 のコンクリート 増 加 率 と 人 増 加 率 と の 差 を 人 当 たりのコンクリート 増 加 率 と 定 義 し, 各 年 における の 人 当 たりコン クリート 増 加 率 と 各 府 県 の 人 増 加 率 との をコンクリート 増 加 率 の 理 論 値 として, 統 計 から 得 られた 各 府 県 の 人 当 たりコンクリート 増 加 率 を 実 測 値 として 比 較 して 誤 差 率 を 求 めた.98 年 ごろから99 年 ごろまで 人 増 加 率 の 影 響 が 徐 々に きくなり,そ れ 以 降 年 までの 間, 誤 差 率 はほぼ 割 強 で 推 移 した. キーワード セメント 消 費 量,コンクリート 増 加 率, 地 域 差, 人 増 加 率. はじめに その 中 で, 最 も 要 な 建 設 材 料 であるコンクリー () 建 設 需 要 を 研 究 対 象 とする 意 義 と 建 設 材 料 の 需 要 トの 使 用 量 はセメント 消 費 量 から 容 易 に 推 定 可 能 で を 指 標 とすることの 意 義 ある.セメントはコンクリートに 必 須 の 構 成 材 料 で 建 設 需 要 が 減 少 を 続 ける 中,その 将 来 の 見 通 しを あり,かつ 単 位 含 有 量 がほぼ 一 定 と 見 なして い 持 って 中 期 の 経 営 計 画 を 立 案 することは, 当 事 者 (コンクリート m 当 たりのセメント 量 = 単 位 セメ たる 企 業 の 経 営 安 定 のみならずインフラの 恩 恵 にあ ント 量 kg)からである. ずかる 民 にとっても 必 要 不 可 欠 であると 思 われる. また,セメント 消 費 量 についての 統 計 は, 各 しかしながら, 中 期 的 な 建 設 需 要 の 予 測 に 関 す の が 世 紀 初 頭 より,またわが の 各 府 県 る 研 究 はこれまで 皆 無 であった. が 第 二 次 戦 後 より 整 備 されている 点 も 有 利 であ 従 来 から, 建 設 需 要 に 関 する 議 論 は 建 設 投 資 額 な る. ど 金 額 を 指 標 として 行 われてきたが, 金 額 は 時 代 と () わが におけるセメント 消 費 量 の 地 域 差 場 所 ( )によって 異 なるものであり,これらを 超 え わが において 建 設 投 資 は 期 低 下 傾 向 にある. た 比 較 が 不 可 能 である 可 能 性 も い. これを 人 当 たりセメント 消 費 量 を 指 標 として 観 察 著 者 は 時 代 や による 物 価 水 準 の 差 異 に 関 係 の 無 してみる( 図 -). 第 二 次 戦 後 に 統 計 の 復 活 し い, 建 設 した( 建 設 する) 構 造 物 ( 以 下, 建 築 物 を 含 た 9 年 ( 昭 年 ) 度 から, 最 の 統 計 のある む)の 量 を 指 標 とすることの 有 用 性 を 認 識 し, 最 も 9 年 度 までの 値 の 推 移 である ). 要 な 建 設 材 料 であるコンクリートの 需 要 動 向 に 関 この 期 間 中 何 度 かのピークが 認 められるが,99 して 研 究 を 行 ってきた. 年 度 から 9 年 度 に 至 るまで,わが における 人 当 たりセメント 消 費 量 は 明 らかな 減 少 傾 向 にある. * 工 学 部 社 会 システム 工 学 科 ピークは 9 年 度 の kg で, 以 後 増 減 を 繰 り 返 88--;ouchi.masahiro@kochi-tech.ac.jp I_9
し,99 年 度 の 98 kg から 年 近 く 減 少 傾 向 にあ り,9 年 度 は 9 kg であった. 図 - わが における 人 当 たりセメント 消 費 量 の 推 移 9~9 年 度 わが 体 としての 減 少 傾 向 の 一 方 で, 減 少 傾 向 には 地 域 差 も 認 められる. 最 の 統 計 のある 9 年 度 ( 図 -),およびそ れから 年 間 ごとに 年 間 さかのぼって 999 年 度 と 989 年 度 の 各 府 県 の 人 当 たりセメント 消 費 量 を 示 す( 図 -, ).いずれの 年 度 において も, 消 費 量 自 体 に 明 らかな 地 域 差 が 認 められた. なお, 各 府 県 のセメント 消 費 量 は, 以 下 の 方 法 により 求 めた:セメント 販 売 店 所 在 地 の 府 県 ごとの 統 計 である 府 県 別 需 要 部 門 別 セメント 販 売 (セメント 協 会 ) ) を 基 とし,コンクリート 打 設 地 の 府 県 ごとの 統 計 である 生 コンクリ ート 工 業 組 合 連 合 会 の ) 統 計 および 聞 き り 調 査 結 果 をもとに, 県 の 生 コンクリート 用 セメン ト 販 売 のうち %を に 振 り 向 け, 県 の 生 コンクリート 用 セメント 販 売 のうち 8%を に 振 り 向 けた ).そして, と 県 向 けの セメント 製 品 ( 工 場 製 品 ) 用 セメ ント 販 売 を 除 いた 府 県 向 けの 他 用 途 セメン ト 販 売 を 合 計 し, 他 用 途 の 販 売 の 比 率 に 応 じて 按 した.いずれも,コンクリートの 製 造 と 建 設 場 所 とが 一 致 していない の 調 整 である. 以 下, 研 究 を 通 じて, 各 府 県 におけるセメ ント 消 費 量 はこの 方 法 により 求 めたものである. さらに,989 年 度 および 999 年 度 の 値 を 基 準 と して,9 年 度 の 消 費 量 との 比 を 求 めた.この 年 間 及 び 年 間 の 各 府 県 における 人 当 たり セメント 消 費 量 の 減 少 率 ( から 減 少 率 を 引 いた 値 )に 相 当 する 値 である( 図 -, ).ほとんどの 府 県 において 減 少 が 見 られたが, 特 に 999 年 度 から 9 年 にかけての 減 少 度 合 いの 地 域 差 が 認 められた. 市 圏 における 減 少 度 が 小 さいよう に 見 受 けられた. 図 - 各 府 県 における 人 当 たりセメント 消 費 量 9 年 度 図 - 各 府 県 における 人 当 たりセメント 消 費 量 999 年 度 図 - 各 府 県 における 人 当 たりセメント 消 費 量 989 年 度 9 9 9 98 99 年 一 人 当 たりセメント 消 費 量 (kg) 人 当 たりセメント 消 費 量 (kg) 人 当 たりセメント 消 費 量 (kg) 人 当 たりセメント 消 費 量 (kg) I_ 土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,.
図 - 各 府 県 における 人 当 たりセメント 消 費 量 の 比 9 年 度 対 989 年 度 図 - 各 府 県 における 人 当 たりセメント 消 費 量 の 比 9 年 度 対 999 年 度 建 設 業 が 地 域 に 密 着 した 産 業 であることに 鑑 みる と,わが 体 の 建 設 需 要 の 推 移 のみならず, 地 域 差 も 考 慮 した 需 要 の 見 通 しを 持 つことが 必 要 である. () セメントの 累 積 消 費 量 に 対 する 比 率 を 需 要 の 指 標 とする 意 義 と 既 往 の 研 究 建 設 投 資 の 地 域 差 を 論 じる 際, 各 地 域 の 建 設 に 対 する 潜 在 需 要 の 違 いを 考 慮 した 建 設 需 要 に 関 する 指 標 が 必 要 であるとの 認 識 から, 筆 者 はこれまで 研 究 を 行 ってきた. 筆 者 は 既 に, 場 所 によるセメント コンクリート 材 料 の 潜 在 需 要 の 違 いに 対 応 する 共 通 指 標 として コンクリート 増 加 率 を 定 義 した ). 当 該 年 度 の コンクリート 需 要 の,その 前 年 度 末 までのコンクリ ート 使 用 の 累 積 量 に 対 する 比 率 をその 年 度 における コンクリート 増 加 率 と 定 義 した( 式 ()).すな わち, 規 の 建 設 需 要 の, 現 存 する 構 造 物 の 量 (ス トック 量 )に 対 する 比 率 である. (コンクリート 増 加 率 )=( 当 該 年 のセメント 消 費 量 ) ( 前 年 末 までの 累 積 セメント 消 費 量 ) () わが の 府 県 における,9 年 度 から 8 年 度 末 までの 人 当 たり 累 積 セメント 消 費 量 と 9 年 度 の 年 間 消 費 量 との 関 係 を 図 示 した( 図 - ). 累 積 の 累 積 消 費 量 が 多 い 県 ほど 年 間 の 消 費 量 が 多 いという まかな 傾 向 を 示 している. 図 - 各 府 県 における 9 年 度 から 8 年 度 末 までの 人 当 たり 累 積 セメント 消 費 量 と 9 年 度 の 年 間 消 費 量 との 関 係 一 次 式 による 近 似 の R =. しかしながら, 各 府 県 のコンクリート 増 加 率 を 求 めると, 地 域 差 が 存 在 している( 図 -8). 9 年 度 における, 府 県 のコンクリート 増 加 率 の 最 値 と 最 小 値 との 間 には. 倍 の 開 きがあ った. 図 -8 各 府 県 のコンクリート 増 加 率 9 年 度.. 人 当 たりセメント 消 費 量 :9/989.. 人 当 たりセメント 消 費 量 :9/999 8 年 度 末 までの 累 積 セメント 消 費 量 (トン/ 人 ) 8 9 年 度 のセメント 消 費 量 (kg/ 人 ) I_ 土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,.
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 参 考 までに,9 年 度 から 9 年 度 までの, を 一 とした 場 合 のコンクリート 増 加 率 の 推 移 を 示 す( 図 -9).9 年 度 における 値 は.%であ った. 9 9 9 98 99 年 図 -9 わが におけるコンクリート 増 加 率 の 推 移 縦 軸 は 対 数 目 盛 り;9~9 年 度 JP 人 増 加 率 の い 府 県 においてコンクリート 増 加 率 が い 傾 向 を 見 出 すことが 出 来 た. 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 の 相 関 係 数. 98 99 年 度 図 - 一 次 式 により 近 似 した 場 合 の 人 増 加 率 とコ ンクリート 増 加 率 との 相 関 係 数 の 推 移 98~9 年 度 () 研 究 の 目 的 研 究 の 目 的 は, 近 年 のわが における 府 県 間 のセメント 需 要 の 地 域 差 を 生 じさせている 原 因 を 明 らかにする.その 原 因 を 人 増 加 率 に 求 め,その 程 度 を 明 らかにするものである. そのための 段 ( 指 標 )として, 前 節 で 述 べた コンクリート 増 加 率 を 用 いる.. 仮 説 の 設 定 () 各 府 県 におけるコンクリート 増 加 率 の 観 察 コンクリート 増 加 率 が 値 よりも かった のは,, 県, 県,, 県, 県, 県, 県, 県, 県, 県, 県, 県 と 県 であった( 図 -8). 圏,, と が 含 まれていることから,コ ンクリート 増 加 率 は 人 増 加 率 に 影 響 されていると 想 定 した. そこで,98~9 年 の 各 年 度 における 各 府 県 の 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 との 関 係 を 一 次 式 で 近 似 し,その 推 移 を 示 した( 図 -). 一 例 として,8 年 度 および 9 年 度 における 各 府 県 の 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 との 関 係 を 示 す( 図 -, ). 年 による 変 動 はあるが, 概 ね,998 年 度 以 降, 図 - 各 府 県 における 人 増 加 率 とコンクリー -. - -.. ト 増 加 率 との 関 係 8 年 度 ;R = 8% -. - -.. 図 - 各 府 県 における 人 増 加 率 とコンクリー ト 増 加 率 との 関 係 9 年 度 ;R = % () 観 察 結 果 に 対 する 定 性 的 説 明 前 節 での 観 察 結 果 を, 定 性 的 には,コンクリート I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 構 造 物 なり 建 築 物 が 量 的 に 充 足 した 段 階 では,その 規 需 要 の 地 域 間 の 差 異 は 人 増 加 または 減 少 量 に よってもたらされるということであると 解 釈 した. このことは,98 年 度 から 9 年 度 に 至 るまで, 一 次 式 で 回 帰 した 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 の 相 関 係 数 が 基 的 に 増 加 傾 向 にあったことからも 言 えると 思 われる( 図 -). 年 を 経 るにしたがっ てインフラや 建 築 物 の 充 足 度 が まり,その 規 投 資 に 差 異 が 生 じるとすれば 人 増 加 率 がその 主 要 な 支 配 要 因 になり 得 ると 考 えられるからである. () 仮 説 の 設 定 と 定 式 化 以 上 の 観 察 結 果 から, 研 究 では,コンクリート 構 造 物 や 建 築 物 が 量 的 には 十 に 行 き 渡 っていると の 前 提 の 上 で, 人 増 加 率 がわが の 各 府 県 間 のコンクリート 増 加 率 の 差 異 をもたらしているとの 仮 説 を 立 てた. ここで, 人 増 加 率 をa, 人 当 たりのコンクリ ート 増 加 率 をbとし, 第 n 年 度 末 における 累 積 セメ ント 消 費 量 S n とすると, 第 n+ 年 度 末 における 累 積 セメント 消 費 量 S n+ は, S n+ = (+a)(+b) S n = (+a+b+ab) S n (+a+b) S n () となる. 式 ()の 末 尾 は,aもbも 値 はたかだか 数 % であり, 乗 ずることにより 無 視 できる 項 となること から 近 似 したものである.したがって,a+b,す なわち 人 増 加 率 と 人 当 たりのコンクリート 増 加 率 の 合 計 をコンクリート 増 加 率 とした.. 仮 説 の 検 証 98 年 度 から 9 年 度 までの, 各 府 県 の 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 の 関 係 を 求 めて 図 示 した( 付 録 ).グラフ 中 の 線 は 理 論 値 である. 理 論 式 における 人 増 加 率 aは 各 府 県 におけ る 当 該 年 度 の 人 増 加 率 を 採 用 した. 一 人 当 たりコ ンクリート 増 加 率 bは 府 県 共 通 の 値 として, のコンクリート 増 加 率 から の 人 増 加 率 を 引 いた 値 を 用 いた( 図 -). 人 当 たり 図 - コンクリート 増 加 率 と 人 増 加 率 との 差 と して 求 めた 人 当 たりコンクリート 増 加 率 βの 推 移 98~9 年 度 統 計 から 得 られた 各 府 県 の 人 増 加 率 aおよ びセメント 消 費 量 統 計 から 得 られたコンクリート 増 加 率 (S n+ /S n -)を 式 ()に 当 てはめて 求 めた 各 府 県 の 人 当 たりコンクリート 増 加 率 bと, を 一 とした 場 合 の 人 当 たり のコンクリート 増 加 率 b(これを 理 論 値 とする)との 差 の, 府 県 間 の 値 である 誤 差 の 推 移 を 求 めた( 図 -).この 誤 差 は, 各 府 県 の 値 と 値 ( 理 論 値 )との 差 を 乗 して 府 県 を 合 計 し,それを で 割 った 値 の 方 である. 仮 説 が 成 立 するとすれば, 人 当 たりコンクリー ト 増 加 率 が 府 県 間 で 等 しく 理 論 値 とな り, 誤 差 がゼロとなるはずである. 理 論 値 との 誤 差 (%) 98 99 年 度 98 99 年 度 図 - 各 府 県 のコンクリート 増 加 率 の 理 論 値 との 誤 差 の 値 の 推 移 98~9 年 度 その 結 果,この 年 間 では 誤 差 が I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 年 度 まで 低 下 傾 向 にあり, 最 近 年 間 ではほぼ およそ.% 以 下 ( 理 論 値 に 対 する 比 率 ではなく, 理 論 値 ( 単 位 は%)に 対 する 差 )で 推 移 していた. なお,99 年 度 における 誤 差 の 値 が きか ったのは 淡 路 震 災 の 被 害 からの 県 の 復 旧 復 興 需 要 が 極 めて きかったからであると 思 われる( 付 録 ). また, 年 度 において 誤 差 が 比 較 的 きかったのは 勢 調 査 年 度 であり, 使 用 した 人 統 計 ) が の 倍 数 年 毎 の 勢 調 査 結 果 をもとに して 推 計 しているため,その 前 年 度 とのデータ の 連 続 性 がやや 低 かったためであると 思 われる. 次 に, 誤 差 と 理 論 値 に 対 する 比 率 ( 誤 差 率 )の 推 移 を 求 めた( 図 -).99 年 度 までは 割 以 上 で 推 移 していた.それ 以 降 年 度 ま で 基 的 には 割 強 の 誤 差 率 で 推 移 していたが, 年 度 から 割 から 割 の 間 まで 増 加 した. 以 上 から,99 年 度 から 年 度 までは 誤 差 割 合 が 割 程 度 であったことから,それ 以 前 と 比 較 すると 人 増 加 率 の 差 がコンクリート 増 加 率 の 地 域 差 を 説 明 する 主 要 因 となってきたと 見 なしてよいと 思 われる. 一 方, 近 年 の 誤 差 率 の 増 加 の 理 由 については 別 途 考 察 する 必 要 がある. コンクリート 増 加 率 に 対 する 誤 差 割 合... 98 99 年 度 図 - コンクリート 増 加 率 に 対 する 各 府 県 のコ ンクリート 増 加 率 の 理 論 値 との 誤 差 の 値 の 比 率 の 占 める 割 合 の 推 移 98~9 年 度. 結 論 () 研 究 のまとめ コンクリート 構 造 物 や 建 築 物 のストックが 量 的 に 充 足 した 段 階 においては, 人 増 加 率 の 小 がコン クリートの 規 需 要 の 差 異 を 決 定 する 主 要 因 である との 仮 説 を 立 てた. 当 該 地 域 の 当 該 年 度 におけるセ メント 消 費 量 の, 前 年 度 いっぱいまでの 累 積 セメン ト 消 費 量 に 対 する 比 率 をコンクリート 増 加 率 と 定 義 し,コンクリート 需 要 の 指 標 とした. セメント 消 費 量 統 計 から 得 られたコンクリート 増 加 率 と 統 計 から 得 られた 各 府 県 の 人 増 加 率 の 差 を 各 府 県 の 人 当 たりコンクリート 増 加 率 の 実 測 値 として 求 め, を 一 とした 場 合 の 人 当 たり のコンクリート 増 加 率 を 理 論 値 として 求 め た. 実 測 値 と 理 論 値 の 間 の 誤 差 の 府 県 間 の 値 である 誤 差 の 推 移 を 求 めた. その 結 果, 誤 差 と 理 論 値 に 対 する 比 率 ( 誤 差 率 )は,98 年 度 から 99 年 度 までは 割 以 上 で 推 移 していた.それ 以 降 年 度 まで 基 的 には 割 強 の 誤 差 率 まで 減 少 して 推 移 してい たが, 年 度 から 割 を 超 えて 割 に 増 加 し た. 以 上 から,99 年 度 から 年 度 までは 誤 差 割 合 が 割 強 程 度 であったことから,それ 以 前 と 比 較 すると 人 増 加 率 の 差 がコンクリート 増 加 率 の 地 域 差 を 説 明 する 主 要 因 となってきたと 見 なしてよい と 思 われる. () 今 後 の 課 題 一 方, 年 度 以 降 に 誤 差 率 が 割 以 上 に 増 加 していることの 原 因 を 明 らかにする 必 要 がある.こ の 直 接 の 原 因 は, の 人 当 たりコンクリー ト 増 加 率 の 下 落 であり, 誤 差 の 値 自 体 はほとん ど 変 化 していない 的 な 建 設 需 要 の 減 少 と 需 要 の 地 域 差 との 関 係 についてさらに 研 究 が 必 要 である と 思 われる もちろん, 人 増 減 以 外 の 要 因 の 影 響 が 増 加 して いる 可 能 性 を 追 求 することや, 人 増 減 の 指 標 をよ り 適 当 なものに 改 める 必 要 があると 思 われ, 今 後 の 課 題 である. なお, 研 究 はコンクリート 需 要 自 体 の 発 生 メカ ニズムを 単 一 のものとして り 扱 ったが, 実 際 の 需 要 は 民 需 が 需 要 追 従 型 である 一 方, 官 公 需 は 先 行 投 資 型 の 要 素 を 含 んでいるものと 思 われる.この 点 を 区 した 考 察 が 必 要 であり, 現 在 り 組 んでいると ころであることを 申 し 添 える. I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 謝 辞 研 究 に 使 用 したセメント 消 費 量 のデータの 一 部 は 社 団 法 人 セメント 協 会 および セメント 聞 社 よ り 頂 戴 したものです. 心 よりお 礼 申 し 上 げます. 参 考 文 献 ) セメント 協 会 : 府 県 別 需 要 部 門 別 セメン ト 販 売,9~9 年 度 ) 生 コンクリート 工 業 組 合 連 合 会 : 生 コン クリート 出 荷 実 績 ) 内 雅 博 : 会 視 か 地 方 視 か?- 土 と 建 築 の 違 い, 当 たらずといえども 遠 から ず 第 8 回, 土 学 会 誌,Vol. 9, No., pp.8-8, 年 月 ) 内 雅 博 :セメントの 累 積 消 費 量 に 対 する 増 加 率 を 指 標 とした 先 進 諸 の 建 設 需 要, 土 学 会 論 文 集,F,Vol., No., pp.9-, 年 ) 総 務 省 統 計 局 : 人 推 計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/ ) CEMBURO( ヨーロッパセメント 協 会 ) : Cement Consumption( 各 のセメント 消 費 量 統 計 ) ) 経 済 産 業 省 ( 通 商 産 業 省 ): 生 コンクリート 統 計 年 報,9~9 年 参 考 年 毎 ではなく 年 毎 の 人 増 加 率 とコ ンクリート 増 加 率 との 関 係 からの 考 察 これまで 毎 年 の 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 の 関 係 に 着 目 してきた.しかしながら, 毎 年 の 建 設 需 要 や 人 増 減 にはバラツキが 生 じ 得 る.また, 勢 調 査 による 人 調 査 は 年 ごとに 行 われること から 他 の 年 間 と 比 べて 信 頼 度 が 比 較 的 い. そこで, 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 につい て 年 間 を 一 区 切 りとして,それぞれ 年 の 値 を 求 めて 関 係 および 府 県 間 のバラツキを 求 めた. 98~98 年 度,98~989 年 度,99~9 年 度, 99~99 年 度,~ 年 度,そして ~9 年 度 の 期 間 を 対 象 として, 人 増 加 率 とコンクリー ト 増 加 率 との 間 を 一 次 式 で 近 似 した 場 合 の 相 関 係 数 ( 図 -)を 求 めた.その 結 果, 相 関 係 数 は 一 年 ご とに 求 めた 値 ( 図 -)とほとんど 差 が 無 いことが かった さらに,および 各 期 間 における 誤 差 を 求 めた ( 図 -).その 結 果, 誤 差 の 値 は, 基 的 に は 毎 年 のバラツキを 求 めるのと 差 ない 結 果 となっ た. 以 上 から,コンクリート 増 加 率 等 を 求 める 単 位 期 間 を 年 間 から 年 間 に くしても,ばらつきに 影 響 がほとんど 生 じないことが かった 相 関 係 数 図 - 各 府 県 の 各 年 間 の 人 増 加 率 とコン クリート 増 加 率 の 関 係 を 一 次 式 で 近 似 した 場 合 の 相 年 の 誤 差 (%)...... 98-8 98-89 99-9 99-99 - -9 期 間 ( 年 度 ) 関 係 数 の 推 移 98-8 98-89 99-9 99-99 - -9 期 間 ( 年 度 ) 図 - 理 論 値 に 対 する 年 の 誤 差 の 推 移 I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. Impact of Increase or Decrease in Population on Demand for Concrete in terms of Consumption of Cement in Each Prefecture in Japan By Masahiro OUCHI The purpose of this study is to clarify an impact of increase or decrease in population on demand for concrete in terms of consumption of cement in each prefecture in Japan during recent ten years. The amount of consumption of cement was employed as the index for the demand for construction. The increasing rate of concrete was employed as the index for the demand for construction this study, in which the ratio of the consumption of cement in a year to the accumulation up to the previous year. A hypothesis was set up in which the increasing rate of concrete is equal to the sum of the increasing rate of concrete per person and the increasing rate of population on condition that the amount of concrete structures has become enough. The error of the real increasing rate of concrete in each prefecture to the theoretical value was obtained for each year in 98 to 9 and each prefecture. The average error was almost to % of the theoretical value and around % in 99 to. That can lead to that the population increasing rate should have been becoming a main factor for a regional difference in the demand for construction until. I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. 付 録 各 府 県 における 人 増 加 率 とコンクリート 増 加 率 との 関 係 - - - 99 年 度 b =.% - - - 99 年 度 b =.% - - - 99 年 度 b =.% - - - 99 年 度 b =.9% - - - 99 年 度 b =.% - - - 99 年 度 b =.% - - - - - - 99 年 度 b =. % - - - 998 年 度 b =.% 99 年 度 b =.9% - - - 999 年 度 b =.% I_
土 学 会 論 文 集 F( 建 設 マネジメント), Vol., No., I_9-I_8,. - - - 年 度 b =.% - - - 年 度 b =.% - - - 年 度 b =.9% - - - 年 度 b =.% - - - 年 度 b =.9% - - - 年 度 b =.9% - - - 年 度 b =.8% - - - 8 年 度 b =.% - - - 年 度 b =.8% - - - 9 年 度 b =.% I_8