「日本の地方債制度についての考察」



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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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●電力自由化推進法案

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続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

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1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

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Transcription:

日 本 の 地 方 債 制 度 についての 考 察 執 筆 : 魏 加 寧 王 彤 地 方 債 務 をテーマとする 訪 日 視 察 団 団 長 : 魏 加 寧 団 員 : 王 全 斌 李 建 偉 王 彤

中 国 国 務 院 発 展 研 究 中 心 宏 観 経 済 研 究 部 ( 中 国 国 務 院 発 展 研 究 中 心 マクロ 経 済 研 究 部 )と 日 本 財 務 省 財 務 総 合 政 策 研 究 所 による 地 方 債 務 問 題 共 同 研 究 プロジェクトの 中 国 側 テ ーマチームメンバーは 2003 年 11 月 3 日 から 12 日 まで 日 本 に 赴 き 財 務 省 総 務 省 等 の 政 府 関 係 部 門 を 訪 れるとともに R&I 日 本 格 付 投 資 情 報 センター 及 び 学 習 院 大 学 などの 著 名 な 専 門 家 学 者 との 懇 談 会 を 行 った このほかにも 東 京 沖 縄 京 都 府 丹 波 町 を 視 察 し 日 本 における 地 方 債 の 発 行 債 務 管 理 存 在 する 問 題 点 及 び 改 革 の 方 向 性 等 につい ての 全 面 的 な 考 察 を 行 った 以 下 に 今 回 の 考 察 結 果 を 総 括 する 1. 日 本 における 地 方 債 に 関 する 歴 史 日 本 では 地 方 財 政 の 資 金 不 足 を 補 うために 第 二 次 世 界 大 戦 前 から 地 方 行 政 機 関 に 地 方 債 の 発 行 を 許 可 し 始 めている しかしながら それぞれの 時 期 における 国 の 財 政 が 引 締 めと 緩 和 を 繰 り 返 すという 政 策 的 な 影 響 により 起 債 の 規 模 にも 変 動 が 生 じた しかし 国 債 の 規 模 と 比 べれば 地 方 債 の 全 体 的 規 模 は 小 さかった 銀 行 の 保 有 量 という 点 からは 地 方 銀 行 都 市 銀 行 の 別 を 問 わず 地 方 債 の 保 有 量 は 国 債 保 有 量 のごくわずかな 部 分 に あたるものでしかなかった 図 表 1. 日 本 の 銀 行 が 戦 前 に 保 有 していた 国 債 と 地 方 債 が 銀 行 預 貯 金 高 に 占 める 割 合 (%) 年 度 1932 1933 1934 1935 1936 1937 1938 1939 1940 地 方 国 債 13.0 14.9 18.1 20.1 24.2 21.2 23.2 22.9 25.5 銀 行 地 方 債 3.2 2.6 2.3 2.1 2.6 2.2 2.0 1.8 1.3 都 市 国 債 16.7 20.2 24.2 23.9 22.4 19.1 24.6 23.3 22.9 銀 行 地 方 債 3.6 3.7 4.1 4.7 4.3 3.0 2.4 1.7 1.2 資 料 出 所 : 日 本 地 方 財 政 会 編 財 政 危 機 と 地 方 債 制 度 ( 日 本 ) 勁 草 書 房 2002 年 第 二 次 大 戦 以 降 日 本 における 地 方 債 の 発 行 規 模 は 大 幅 に 増 加 し 始 め これまでに 計 4 回 急 増 期 があり かつこれらの 急 激 な 増 加 は いずれも 当 時 の 地 方 財 政 危 機 または 国 の 財 政 危 機 に 密 接 な 関 わりを 持 っていた 1950 年 代 の 中 期 には 地 方 の 財 政 支 出 が 急 激 に 増 加 し 中 央 政 府 は 緊 縮 政 策 を 実 施 し た このため 日 本 の 地 方 財 政 は 戦 後 初 めての 危 機 に 直 面 した これを 契 機 として 地 方 債 の 発 行 額 は 一 気 に 大 幅 に 増 加 し 発 行 規 模 は 1955 年 の 967 億 円 から 1956 年 には 1,134 億 円 となって 増 加 率 は 17.2%に 達 し 地 方 債 への 依 存 度 は 一 時 9.1%に 達 した 以 降 の 一 時 期 地 方 債 の 発 行 額 の 増 加 率 は 大 きく 変 動 し 高 い 時 で 27%(1959 年 ) 低 い 時 には-

42.3%(1957 年 )にまで 落 ち 込 んだが 地 方 債 への 依 存 度 は 基 本 的 に 4~5%の 水 準 を 保 ち この 傾 向 は 60 年 代 中 期 まで 継 続 した 1960 年 代 中 期 には 高 度 成 長 時 代 における 地 域 開 発 政 策 が 逐 次 広 がりを 見 せたことを 背 景 として 日 本 の 地 方 行 政 機 関 の 財 政 赤 字 が 急 速 に 拡 大 し その 結 果 日 本 は 戦 後 2 番 目 の 地 方 財 政 危 機 に 陥 った この 状 況 のもとで 社 会 資 本 の 充 実 を 図 るために 日 本 の 地 方 債 の 発 行 は 再 び 急 激 に 成 長 し 総 発 行 規 模 は 1964 年 の 2,104 億 円 から 1965 年 には 一 気 に 3,139 億 円 に 増 加 し 増 加 率 は 50% 近 くに 達 した(49.2%) 地 方 債 への 依 存 度 は 1963 年 には 4.66% 1964 年 には 5.38%となり 1965 年 には 7.01% 1966 年 には 7.86% にまで 急 激 に 増 加 した 1970 年 代 に 入 ると 2 回 の 世 界 的 石 油 危 機 の 勃 発 により 日 本 と 西 側 の 先 進 諸 国 には 一 様 に 深 刻 なスタグフレーションが 発 生 した 中 央 財 政 は 危 機 に 陥 り 地 方 交 付 税 制 度 を 通 じて 地 方 財 源 体 制 を 保 障 するという 財 政 運 営 メカニズムが 正 常 に 機 能 しなくなった そこ で 対 策 の 1 つとして 地 方 債 を 再 度 増 発 するという 手 段 が 採 られ その 結 果 地 方 債 の 発 行 規 模 は 1973 年 は 1 兆 4,375 億 円 1974 年 は 1 兆 9,254 億 円 1975 年 には 3 兆 1,799 億 円 となり その 増 加 率 は 未 曾 有 の 65.2%にまで 達 した 地 方 債 への 依 存 度 も 1974 年 の 8.20%から 1975 年 は 12.21%へと 急 速 に 増 加 し 1978 年 には 12.72%の 最 高 値 を 記 録 して いる 1980 年 代 に 入 ってからは 日 本 の 地 方 債 の 増 加 は 低 迷 を 続 けて 伸 び 率 は 最 高 でも 17% 足 らずとなり(1986 年 ) さらにはマイナス 成 長 という 事 態 もたびたび 発 生 した 地 方 債 への 依 存 度 も 下 降 しており 80 年 代 は 基 本 的 に 7%~10%という 低 めの 水 準 を 保 持 した しかし 90 年 代 に 入 ると バブル 経 済 の 崩 壊 に 伴 って 日 本 経 済 は 長 期 にわたる 停 滞 に 陥 った このため 経 済 を 刺 激 する 手 段 として 90 年 代 の 初 めには 再 び 大 規 模 な 地 方 債 の 増 発 が 実 施 され 1990 年 に 6 兆 2,579 億 円 であったものが 1992 年 には 10 兆 1,007 億 円 にまで 急 拡 大 し 年 間 成 長 率 は 再 び 40% 以 上 (1992 年 40.5%)に 達 したこともあ った とりわけ 注 目 に 値 することとしては 1992 年 以 降 地 方 債 への 依 存 度 が 再 び 大 幅 な 上 昇 に 転 じて 現 在 まで 11%~17%を 保 持 していることであり 1995 年 のピーク 時 には 戦 後 の 最 高 水 準 である 16.8%を 達 成 している 2001 年 に 日 本 の 地 方 債 残 高 は 131 兆 円 にも 達 した これは 1970 年 時 の 44 倍 にあた り 同 期 の 国 債 の 3 分 の 1 にあたる( 同 期 の 普 通 国 債 の 残 高 は 392.4 兆 円 ) 2002 年 度 の 地 方 債 予 定 発 行 額 は 12 兆 6,493 億 円 で この 年 の 地 方 財 政 収 入 の 14.4%に あたる また 2003 年 度 の 地 方 財 政 計 画 においては 地 方 債 の 発 行 額 は 15 兆 718 億 円 で 地 方 財 政 収 入 の 17.5%となっており 依 存 度 は 史 上 最 高 となる 見 込 みである

図 表 2. 日 本 の 地 方 債 の 変 遷 (A) 日 本 の 地 方 債 発 行 残 高 の 変 化 ( 単 位 : 兆 円 ) 兆 円 140 120 100 80 60 40 20 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 (B) 日 本 の 地 方 債 ( 発 行 額 )の 増 加 率 ( 単 位 :%) 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 0.0 1956 1961 1966 1971 1976 1981 1986 1991 1996 2001-20.0-40.0-60.0

(C) 日 本 の 地 方 債 に 対 する 依 存 度 の 変 化 ( 単 位 :%) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 注 : 地 方 債 に 対 する 依 存 度 = 地 方 債 の 発 行 額 が 地 方 財 政 収 入 に 占 めるパーセンテージ 資 料 出 所 : 地 方 財 政 白 書 2. 地 方 債 の 定 義 と 役 割 日 本 の 地 方 自 治 法 第 230 条 で 普 通 地 方 公 共 団 体 は 予 算 の 定 めるところにより 地 方 債 を 起 こすことができる と 定 めている さらに 同 法 の 第 283 条 292 条 及 び 314 条 2 項 により 特 別 地 方 公 共 団 体 の 起 債 許 可 についても 相 応 の 定 めを 置 いている 1 しかし 地 方 債 に 関 する 定 義 については 日 本 の 法 律 には 明 確 な 定 めが 存 在 しない こ のため 地 方 債 の 性 質 に 基 づいて 関 係 の 学 者 は 次 のように 定 義 している 2 (1) 地 方 債 とは 地 方 自 治 体 が 資 金 調 達 により 形 成 した 債 務 である この 種 の 債 務 は 通 常 資 金 の 流 動 を 伴 う(ただし 交 付 公 債 は 例 外 である) (2) 地 方 債 は 主 に 証 書 借 入 または 証 券 発 行 の 2 種 類 の 形 式 による 資 金 供 給 者 とは 地 方 債 の 引 き 受 け 者 でもあって これを 流 通 転 売 しようとする 時 は 通 常 証 券 の 形 式 を 選 択 する (3) 地 方 債 とは 地 方 自 治 体 の 課 税 権 を 実 質 的 な 担 保 とする 債 務 である さらに 独 立 採 算 を 原 則 とする 地 方 の 公 営 企 業 が 発 行 する 地 方 債 ( 公 営 企 業 会 計 債 )は 表 面 上 は 当 該 企 業 の 収 入 によって 元 本 と 利 息 を 償 還 するもので 当 該 企 業 の 収 益 能 力 を 1 参 考 文 献 : 地 方 債 マニュアル 地 方 債 制 度 研 究 会 編 ( 日 本 ) 地 方 財 務 協 会 発 行 2002 年 2 参 考 文 献 : 新 版 地 方 財 政 論 片 桐 昭 泰 兼 村 高 文 星 野 泉 編 著 ( 日 本 ) 税 務 経 理 協 会 2002 年 新 版 第 1 刷 p.63

担 保 とするものであるが 実 際 のところは このような 企 業 債 も その 経 営 母 体 で ある 地 方 自 治 体 の 課 税 権 を 実 質 的 な 担 保 とするものである (4) 地 方 債 とは その 債 務 履 行 が 通 常 一 会 計 年 度 を 超 えて 行 われるものをいい 当 年 度 内 での 不 足 資 金 を 臨 時 に 補 てんするための 一 時 借 入 金 は 除 外 する 日 本 の 学 者 の 見 解 によれば 地 方 債 の 発 行 は 地 方 行 政 機 関 中 央 政 府 のいずれにとっ ても 非 常 に 重 要 なものであり 少 なくとも 次 に 述 べる 重 要 な 役 割 を 果 たすものとされてい る 第 一 には 社 会 基 盤 の 建 設 と 地 域 経 済 の 発 展 を 促 進 するということである 一 般 財 源 は 主 に 一 般 行 政 と 公 共 サービスに 用 いられ 地 方 債 と 国 庫 支 出 金 は 社 会 基 盤 建 設 のた めの 重 要 な 財 源 となる 地 方 債 発 行 は 限 りある 財 源 の 役 割 を 拡 張 する 効 果 があり これ により 社 会 資 本 の 増 加 を 促 進 することができる 地 方 債 発 行 は 地 方 税 収 の 増 加 を 促 進 させ ることにより 地 方 債 の 償 還 を 可 能 とするものである 第 二 には 現 地 住 民 の 世 代 間 負 担 の 公 平 化 を 促 進 するということである 多 くの 公 共 公 益 施 設 は 建 設 期 間 が 非 常 に 長 く 使 用 するのは 現 時 点 の 住 民 または 前 の 世 代 からの 資 金 であることが 多 いが 完 成 後 にこれを 使 用 し その 恩 恵 にあずかれるのは 往 々にして その 次 の 世 代 か さらに 数 世 代 先 である さらに このような 施 設 は 耐 用 年 数 も 比 較 的 長 いため 住 民 には 世 代 間 で 何 がしかの 不 公 平 が 生 じるが 地 方 債 を 発 行 することでこのよ うな 問 題 を 解 決 することが 可 能 である 現 在 の 住 民 からの 借 入 金 で 建 設 した 公 共 公 益 施 設 は これを 使 用 し 利 益 を 享 受 する 次 の 世 代 またはその 数 世 代 先 の 世 代 で 償 還 すること になり そのときの 経 営 収 入 または 税 収 で 償 還 することで 各 世 代 間 の 負 担 と 利 便 の 分 配 がより 一 層 公 平 なものとなるのである 第 三 には 地 方 財 政 支 出 と 地 方 財 政 収 入 の 年 度 間 での 調 整 が 可 能 となるということで ある 公 共 公 益 施 設 の 建 設 防 災 災 害 救 助 等 のプロジェクトは 一 年 度 内 の 財 源 では 資 金 調 達 が 困 難 のため 地 方 債 を 発 行 することで これらプロジェクトを 順 調 に 実 施 すること が 可 能 となる これと 同 時 に 元 本 利 払 いの 形 式 を 採 用 することにより 財 政 負 担 を 以 降 の 各 年 度 で 均 等 化 することが 実 現 でき 財 政 運 営 を 計 画 的 に 実 施 するための 有 効 な 手 段 と することができる 第 四 には 財 政 管 理 と 政 策 的 な 主 導 に 有 利 に 働 くということである 中 央 政 府 は 地 方 債 の 審 査 許 可 制 度 を 実 施 することにより 展 開 規 模 起 債 充 当 率 ( 地 方 行 政 機 関 の 負 担 部 分 のうち 地 方 債 が 占 める 比 率 ) 起 債 対 象 の 操 作 国 庫 支 出 金 と 地 方 交 付 税 3 による 付 帯 措 置 等 に 対 して 財 政 管 理 と 政 策 による 主 導 の 効 果 を 発 揮 し これにより 地 方 の 建 設 事 業 は 国 の 優 遇 政 策 が 指 導 する 方 向 にしたがって 優 良 なものを 選 択 実 施 することが 可 3 特 殊 な 移 転 支 出 と 一 般 的 な 移 転 支 出 をいう

能 となる このほかにも 一 部 の 単 独 事 業 については 地 方 債 の 審 査 許 可 が 重 要 な 制 御 手 段 を 構 成 している 第 五 には マクロ 的 な 景 気 調 整 に 役 立 つということである 現 代 の 経 済 においては 公 共 公 益 施 設 の 建 設 は 通 常 経 済 成 長 を 刺 激 し 景 気 サイクルを 調 整 するための 重 要 な 手 段 として 用 いられているが 公 共 公 益 施 設 事 業 は 通 常 地 方 行 政 機 関 が 具 体 的 な 実 施 において 責 を 負 うのである このため 公 共 公 益 施 設 建 設 経 費 の 重 要 な 財 源 としての 地 方 債 の 発 行 規 模 を 増 加 または 減 少 することで 建 設 プロジェクトの 作 業 量 を 直 接 調 整 するこ とができ これにより 景 気 調 整 の 目 的 を 達 成 することが 可 能 となるのである 第 六 には 災 害 応 急 時 の 補 充 のための 重 要 な 財 源 となるということである 1975 年 の 日 本 の 財 政 危 機 以 降 地 方 債 の 発 行 が 急 速 に 増 加 したが これ 以 降 も 地 方 債 はたびたび 応 急 財 源 の 補 充 措 置 とされてきた その 結 果 地 方 税 臨 時 減 収 填 補 債 財 政 対 策 債 等 の 赤 字 的 地 方 債 が 登 場 し さらに 財 源 対 策 債 調 整 債 等 の 1 回 限 りの 建 設 地 方 債 も 登 場 した これらの 臨 時 措 置 の 登 場 は 地 方 財 政 の 逼 迫 状 況 を 緩 和 するとともに 国 家 財 政 の 全 体 運 営 計 画 に 支 障 をきたさないことを 保 証 するところとなっている 以 上 に 述 べた 諸 機 能 のなかでは 最 初 の 3 項 目 が 主 に 地 方 公 共 団 体 または 現 地 住 民 の 需 要 に 応 じたもので 後 の 3 項 目 が 中 央 政 府 の 需 要 によるものである このほかにも 正 規 の 起 債 という 形 式 を 採 ることによって 地 方 債 務 を 形 あるものとし 地 方 自 治 体 が 負 う 債 務 を 目 に 見 えるものとし 計 算 できるものとし 制 御 可 能 なものとする ことに 役 立 って いる これは 地 方 行 政 機 関 中 央 政 府 のいずれにとってもきわめて 重 要 なことであり これと 同 時 に 第 三 者 機 関 すなわち 各 種 の 金 融 機 関 にとっても 大 変 重 要 である なぜなら ば 債 券 購 入 という 方 式 によって 地 方 行 政 機 関 及 び 公 営 企 業 に 対 して 融 資 することで 金 融 機 関 のリスクが 明 らかに 低 減 するためである 3. 地 方 債 の 適 債 性 と 使 途 制 限 地 方 自 治 体 が 単 一 年 度 の 財 政 収 支 バランスを 実 現 することのみを 目 的 として 任 意 に 地 方 債 を 起 債 することで 現 在 の 住 民 が 負 担 すべき 財 源 を 将 来 の 住 民 による 負 担 に 転 嫁 さ せるのを 防 ぐために 日 本 の 地 方 財 政 法 第 5 条 では 地 方 自 治 体 の 財 政 支 出 は 地 方 債 以 外 の 収 入 により 賄 うことが 定 められている(ある 意 味 においては これは 赤 字 地 方 債 の 発 行 を 原 則 的 に 禁 止 している) このほかにも 地 方 債 の 発 行 に 際 しては 次 に 掲 げる 3 つの 原 則 を 遵 守 する 必 要 がある (1) 地 方 公 共 団 体 については 資 本 の 役 割 が 明 確 であること (2) 災 害 応 急 災 害 復 旧 等 の やむを 得 ない 状 況 にあること (3) 以 降 の 各 年 度 で 住 民 負 担 の 均 等 化 を 図 るよう 鋭 意 努 力 すること である

住 民 の 世 代 間 での 公 平 を 維 持 することを 考 慮 に 入 れて 日 本 の 地 方 財 政 法 の 第 5 条 1 項 では 一 定 の 場 合 に 限 り 地 方 債 を 財 源 とすることを 認 めている これがいわゆる 適 債 事 業 であるが これは 事 実 上 地 方 債 の 使 途 に 対 する 一 種 の 制 限 である これらの 建 設 地 方 債 は 5 条 債 とも 呼 ばれている 同 法 では 具 体 的 に 次 に 掲 げる 5 項 を 適 債 事 業 として 定 めている (1) 交 通 ガス 水 道 病 院 地 下 鉄 等 の 地 方 公 共 団 体 の 行 う 企 業 ( 地 方 公 営 企 業 ) に 要 する 経 費 の 財 源 (2) 地 方 自 治 体 の 行 政 目 的 にしたがって 設 立 する 公 共 性 の 高 い 法 人 に 対 する 出 資 金 ま たは 貸 付 金 に 要 する 経 費 の 財 源 (3) 地 方 債 の 元 本 利 払 い( 借 換 え)に 要 する 経 費 の 財 源 (4) 災 害 応 急 事 業 費 災 害 復 旧 事 業 及 び 災 害 救 助 事 業 に 要 する 経 費 の 財 源 (5) 文 教 施 設 福 利 厚 生 施 設 公 園 等 の 公 共 施 設 またはオフィスビル 等 の 公 用 施 設 建 設 事 業 費 及 びこれら 施 設 の 用 地 取 得 に 要 する 経 費 の 財 源 ただし 以 上 の 適 債 事 業 が 地 方 債 の 発 行 によって 資 金 を 調 達 できるとしても 経 常 性 の 財 源 を 保 有 していることが 必 須 の 前 提 条 件 であり 地 方 債 とは つまるところは 一 種 の 補 助 的 な 財 源 に 過 ぎず その 規 模 はできる 限 り 圧 縮 すべきものである このほかにも その 他 の 政 策 に 鑑 みて 地 方 財 政 法 で 定 める 適 債 性 を 備 えていない 場 合 でも 特 別 立 法 に 基 づいて 特 例 としての 起 債 が 可 能 である 先 にも 述 べたとおり 1975 年 の 財 政 危 機 以 降 日 本 は たびたび 地 方 債 を 応 急 財 源 の 補 てん 措 置 としてきた 結 果 地 方 税 臨 時 減 収 填 補 債 財 政 対 策 債 等 の 赤 字 地 方 債 が 登 場 し さらには 財 源 対 策 債 調 整 債 等 の 1 回 限 りの 建 設 地 方 債 も 登 場 するに 至 っている 4. 日 本 の 地 方 債 の 種 類 以 上 に 述 べたとおり 建 設 地 方 債 の 発 行 のほかにも 日 本 では 実 際 のところ その 他 の 各 種 形 式 による 地 方 債 が 大 量 に 発 行 されており 種 類 も 多 く 名 目 も 煩 雑 なものとな っているが これは 先 進 国 でも 極 めてまれな 例 である その 種 類 は 法 令 会 計 別 引 受 機 関 発 行 形 態 等 に 応 じていくつかに 分 類 されている 法 令 を 根 拠 とするものについては 地 方 財 政 法 第 5 条 に 基 づいて 発 行 される 建 設 地 方 債 があるが 原 則 として 赤 字 債 の 発 行 は 禁 じられている しかしながら 実 際 のところは 特 例 法 により 一 定 量 の 地 方 赤 字 債 または 特 例 債 も 発 行 されている 会 計 別 では 地 方 行 政 機 関 の 財 政 部 門 が 一 般 会 計 制 度 にしたがって 発 行 する 普 通 会 計 債 と 水 道 事 業 交 通 事 業 等 の 地 方 公 営 企 業 が 発 行 する 公 営 企 業 債 がある

引 受 機 関 については シンジケート 団 が 引 き 受 けるシ 団 引 受 債 民 間 の 金 融 機 関 が 引 受 ける 私 募 債 及 び 公 営 金 融 機 関 が 引 き 受 ける 公 募 債 がある 発 行 形 態 については 通 常 は 証 書 借 入 または 証 券 発 行 の 2 種 類 の 形 式 となっているが 資 金 の 授 受 を 伴 わず 支 出 の 期 日 のみを 記 した 交 付 公 債 もある 実 際 の 運 用 結 果 から 見 ると 一 般 の 単 独 事 業 に 地 方 債 が 占 める 割 合 が 比 較 的 多 く ほ ぼ 40% 前 後 となっている これに 次 ぐのが 一 般 公 共 事 業 であり 近 年 では 既 に 18% 前 後 に 達 している 図 表 3. 項 目 分 類 別 の 地 方 債 構 成 (%) 年 度 地 方 債 総 額 兆 円 財 源 対 策 債 減 収 填 補 債 減 税 填 補 債 調 整 債 臨 時 財 政 特 例 債 そ の 他 事 福 業 利 債 厚 生 施 設 整 備 一 般 公 共 事 業 債 債 公 営 住 宅 建 設 事 業 事 義 業 務 債 教 育 施 設 整 備 一 般 単 独 事 業 債 1985 42.7 15.2-0.6 0.6 25.2 3.4 6.7 7.9 11.8 26.7 1990 52.2 7.7-1.8 3.4 6.9 22.7 3.2 6.6 7.2 10.5 30.0 1995 92.9 2.5 4.1 3.3 1.2 4.8 20.2 2.6 11.4 5.0 6.3 38.6 1996 103.3 2.4 3.6 4.6 1.0 4.0 19.1 2.4 12.9 4.7 5.6 39.7 1997 111.5 2.3 3.8 4.2 0.8 3.5 19.3 2.2 14.1 4.5 5.1 40.2 1998 120.1 2.3 4.3 4.7 0.6 3.0 18.4 2.1 15.6 4.3 4.6 40.1 1999 125.6 2.3 4.4 4.6 0.6 2.6 17.9 2.0 17.1 4.1 4.3 40.1 2000 128.1 2.3 4.2 4.7 0.5 2.3 17.3 1.7 18.5 4.0 4.1 40.4 資 料 出 所 : 林 健 久 編 地 方 財 政 読 本 ( 日 本 ) 東 洋 経 済 新 報 社 2003 年 引 用 元 : 日 本 総 務 省 編 地 方 財 政 白 書 2002 年 5. 地 方 債 に 対 する 審 査 許 可 と 規 制 地 方 自 治 体 にとっての 地 方 債 は 特 定 財 源 に 属 し 依 存 的 性 質 を 有 する 財 源 である したがって 日 本 政 府 の 関 係 当 局 は これまで 一 貫 して 地 方 自 治 体 が 地 方 議 会 の 決 議 に したがって 地 方 債 の 起 債 規 模 と 対 象 事 業 を 決 定 するのでは 不 十 分 であるとみなしてきた このため 現 在 に 至 るまで 地 方 債 の 発 行 に 際 して 日 本 には 一 連 の 法 律 による 制 約 と 行 政 指 導 があり さらに 厳 正 な 審 査 許 可 制 度 が 実 施 されている 地 方 債 の 起 債 に 審 査 許 可 制 度 を 実 施 する 目 的 としては 次 の 数 点 があげられる (1) 総 量 として 地 方 債 の 資 金 源 を 確 保 し 全 国 レベルでの 資 金 配 分 を 調 整 する (2) 地 方 財 政 計 画 及 び 地 方 交 付 税 ( 一 般 的 な 移 転 支 出 )の 制 度 により 債 務 償 還 資 金 を 財 源 の 面 から 保 障

する (3) 各 地 方 公 共 団 体 による 地 方 債 発 行 に 対 して 適 切 な 規 制 を 保 持 する (4) 審 査 許 可 制 度 の 実 施 を 通 じて 地 方 債 の 信 用 を 確 立 する (5) 富 めるものが 過 剰 に 富 み 貧 しい ものが 極 端 に 貧 しい という 事 態 の 発 生 を 防 止 する 地 方 債 発 行 に 対 する 日 本 の 審 査 許 可 体 制 は 内 容 の 上 から 次 の 3 つのレベルに 大 きく 分 けることができる 第 一 レベルは 地 方 自 治 法 の 関 係 規 定 または 特 例 法 の 関 係 規 定 及 び 資 金 運 用 に 対 す る 規 定 に 基 づいて 実 施 される 厳 格 な 制 限 である これは 適 債 事 業 にあたるもので さ らに 当 年 の 国 の 政 策 関 連 規 定 による 優 先 順 序 事 業 の 経 費 状 況 及 び 起 債 充 当 率 等 について の 行 政 方 針 に 基 づいて 選 定 されるものである 第 二 レベルは 関 係 法 令 起 債 審 査 許 可 の 方 針 を 基 礎 とし 地 方 自 治 体 の 財 政 状 況 に 基 づいて 地 方 の 起 債 行 為 に 管 理 制 限 を 加 えるものである これは 主 に 赤 字 比 率 が 比 較 的 高 い 地 方 地 自 体 による 起 債 に 制 限 を 加 えることと 起 債 制 限 比 率 が 比 較 的 高 い 地 方 自 治 体 による 起 債 に 制 限 を 加 えるものである まず 赤 字 比 率 (= 実 質 的 収 支 の 赤 字 額 / 標 準 財 政 規 模 4 100%)が 一 定 率 ( 都 道 府 県 15% 市 町 村 20%)を 超 えている 地 方 自 治 体 は 国 が 承 認 した 財 政 再 建 計 画 にしたがっ て 財 政 再 建 を 行 う 場 合 でなければ 公 共 公 用 施 設 建 設 のための 地 方 債 発 行 申 請 を 中 央 政 府 が 許 可 しないというものである 次 いで 地 方 債 の 元 本 利 払 い 負 担 が 非 常 に 重 く 起 債 制 限 比 率 5 の 過 去 3 年 間 の 平 均 が 20~30%にある 地 方 自 治 体 が 一 般 単 独 事 業 債 福 利 厚 生 施 設 整 備 事 業 債 を 発 行 しようと する 場 合 及 び 起 債 制 限 率 が 30% 以 上 の 地 方 自 治 体 が 一 般 事 業 債 を 発 行 しようとする 場 合 は 原 則 としてこれを 許 可 しないとされている さらに 赤 字 額 が 比 較 的 大 きい または 費 用 徴 収 もしくは 収 入 の 面 での 努 力 が 不 足 している または 給 与 等 の 経 費 支 出 の 面 で 明 らかに 妥 当 性 を 欠 いており 経 営 を 健 全 化 す るための 努 力 を 怠 っている 公 営 企 業 に 対 しては 実 情 に 応 じて 地 方 債 の 発 行 限 度 額 に 制 限 を 加 えている 最 後 は 普 通 税 の 税 率 が 基 準 に 達 していない 場 合 である 具 体 的 には 一 昨 々 年 の 決 算 または 一 昨 年 の 決 算 ( 予 測 )における 地 方 税 の 徴 収 率 が 90% 未 満 の 場 合 前 年 度 の 決 算 ( 予 測 )において 競 馬 競 輪 等 の 公 営 競 技 による 収 益 が 著 しい 地 方 自 治 体 公 務 員 の 給 与 と 他 の 財 政 支 出 の 状 況 が 明 らかに 妥 当 性 を 欠 いており かつこれを 是 正 するための 4 標 準 財 政 規 模 = 普 通 交 付 税 + 地 方 譲 渡 税 等 +( 基 準 財 政 収 入 額 - 地 方 譲 渡 税 等 ) (1- 留 保 財 源 率 ) このうち 留 保 財 源 率 は 都 道 府 県 20% 市 町 村 25%である 5 起 債 制 限 比 率 =[A-(B+C+E)]/[D-(C+E)]*100 このうち A= 当 該 年 度 の 元 利 償 還 金 ( 繰 上 げ 償 還 分 を 除 く) B= 元 利 償 還 金 に 充 当 する 特 定 財 源 C= 災 害 復 旧 事 業 費 等 として 基 準 財 政 需 要 額 に 計 上 する 公 債 費 D= 当 該 年 度 の 標 準 財 政 規 模 E= 事 業 費 の 修 正 により 基 準 財 政 需 要 額 に 計 上 する 公 債 費

必 要 な 努 力 を 欠 いている 地 方 自 治 体 については 状 況 に 応 じて 一 般 事 業 債 の 限 度 額 に 制 限 を 加 えている このほかにも これまでに 地 方 債 の 元 本 利 払 いの 大 幅 な 遅 延 があった 場 合 及 び 過 去 に 明 らかな 虚 偽 の 申 告 記 録 があった 地 方 自 治 体 については 通 常 は 許 可 を 与 えないものと している 第 三 レベルは いわゆる 起 債 許 可 制 で これは ( 旧 ) 地 方 自 治 法 第 250 条 の 地 方 自 治 体 類 別 規 制 に 関 わる 規 定 に 基 づくもので 普 通 地 方 公 共 団 体 が 起 債 をするに 際 しては 当 分 の 間 政 令 の 定 めるところにより 自 治 大 臣 ( 戦 前 は 内 務 大 臣 現 在 は 総 務 大 臣 ) 及 び 都 道 府 県 知 事 の 許 可 を 得 なければならない とされている 実 際 の 運 用 にあたっては 地 方 債 計 画 と 地 方 債 許 可 方 針 を 基 礎 として 毎 年 地 方 自 治 事 務 を 司 る 総 務 大 臣 ( 旧 自 治 大 臣 )と 財 政 事 務 を 司 る 財 務 大 臣 ( 旧 大 蔵 大 臣 )がこれを 検 討 する 都 道 府 県 政 令 指 定 都 市 及 び 特 別 区 は それぞれ 直 接 審 査 を 受 け 市 町 村 は 所 在 都 道 府 県 が 事 業 業 分 類 にしたがって 配 分 した 限 度 額 に 基 づいて 都 道 府 県 知 事 と 財 務 局 が 協 議 したうえで 許 可 を 与 えることになっている 当 初 の ( 旧 ) 地 方 自 治 法 では この 規 定 は 暫 定 規 定 とされていたが その 後 も 現 在 に 至 るまで 適 用 されている 地 方 自 治 体 が 地 方 債 を 発 行 するに 際 しては まず 自 治 体 の 首 長 が 地 方 議 会 に 予 算 書 と 起 債 計 画 書 を 提 出 し 地 方 議 会 での 採 択 を 経 た 後 に 下 図 ( 図 4)のフローにしたがって 許 可 を 申 請 する 地 方 公 共 団 体 が 地 方 債 を 発 行 しようとする 時 または 債 券 の 発 行 方 法 金 利 もしくは 償 還 方 法 を 変 更 しようとする 時 は 必 ず 次 に 掲 げる 分 類 にしたがって 許 可 を 取 得 しなけ ればならない (1) 総 務 大 臣 の 審 査 許 可 を 必 要 とする 範 囲 1 都 道 府 県 政 令 指 定 都 市 2 都 道 府 県 等 が 加 入 している 地 方 公 共 団 体 組 合 地 方 開 発 事 業 団 で 都 道 府 県 等 にあ るか または 都 道 府 県 等 で 市 町 村 とともに 設 立 した 機 構 (2) 都 道 府 県 知 事 の 審 査 許 可 を 必 要 とする 範 囲 1 市 町 村 2 市 町 村 が 加 入 している 地 方 公 共 団 体 組 合 地 方 開 発 事 業 団 が 市 町 村 で 設 立 した 機 構 市 町 村 による 地 方 債 起 債 を 審 査 するに 際 しては 総 務 大 臣 との 協 議 が 必 要 である す なわち (1)2 項 の 審 査 にあたっては 都 道 府 県 知 事 は 総 務 大 臣 と 当 該 審 査 内 容 に 関 わる 地 方 債 の 限 度 額 と 資 金 等 についての 事 前 協 議 を 行 って その 承 認 を 得 なければなら ない 地 方 自 治 体 は 煩 雑 な 審 査 手 続 きを 経 て 起 債 許 可 を 得 て 始 めて 地 方 債 を 発 行 するこ とができる 起 債 の 方 法 は 主 に 借 入 証 書 と 証 券 発 行 の 2 種 類 であるが 資 金 の 授 受 を 伴 わない 支 出 の 期 日 のみを 記 した 交 付 公 債 もある 一 般 的 には 借 入 証 書 による 方 法

が 占 める 割 合 が 比 較 的 大 きく とりわけ 購 入 資 金 を 政 府 資 金 及 び 公 営 企 業 の 金 融 公 庫 資 金 とする 場 合 には 借 入 証 書 による 方 式 が 採 られている 説 明 を 要 するのは 一 連 の 審 査 許 可 手 続 きは 非 常 に 煩 雑 で 審 査 の 過 程 では 極 めて 長 い 時 間 が 必 要 とされているため 地 方 自 治 体 は 建 設 プロジェクトの 工 期 に 遅 れをきたさな いために たびたび 関 連 金 融 機 関 に 対 して 一 時 借 入 金 を 申 請 しているということである これは 期 限 を 1 年 間 としており 地 方 債 の 起 債 が 許 可 されれば 地 方 自 治 体 は 地 方 債 の 発 行 によって 調 達 した 資 金 により 速 やかに 償 還 を 行 うものである

図 表 4. 地 方 債 起 債 の 審 査 許 可 フロー 一 般 市 町 村 による 起 債 の 審 査 許 可 フロー ( 全 額 民 間 資 金 債 と 個 人 補 助 債 による) 5 審 査 ( 枠 組 み 配 分 ) 協 議 総 務 大 臣 財 務 大 臣 3 枠 組 み 配 分 要 求 6 計 画 許 可 額 の 枠 組 み 配 分 9 協 議 ( 従 来 の 用 途 報 告 ) 11 承 認 通 知 4 状 況 報 告 の 要 請 7 枠 組 み 配 分 の 決 定 10 使 途 報 告 都 道 府 県 ( 市 町 村 担 当 課 ) 1 債 券 発 行 計 画 の 提 出 9 計 画 審 査 許 可 額 の 通 知 12 申 請 審 査 13 審 査 許 可 ( 事 前 調 整 ) ( 事 前 調 整 ) 8 配 分 案 意 見 書 の 送 付 政 府 資 金 と 公 庫 資 金 の 資 金 の 資 金 使 途 ( 個 人 補 助 債 )の 調 整 ) 2 債 券 発 行 申 請 書 の 送 付 地 方 財 務 局 4 状 況 報 告 の 要 請 7 枠 組 み 配 分 の 決 定 10 使 途 報 告 市 町 村 ( 財 政 担 当 課 ) ( 債 券 発 行 申 請 ( 副 本 )) 財 務 事 務 所 ( 諮 問 資 料 要 求 等 ) 廃 止 された 手 続 き 廃 止 された 手 続 きに 代 わる 行 為

6. 地 方 債 の 資 金 源 日 本 の 地 方 債 は 資 金 構 成 が 多 種 多 彩 で 資 金 源 も 様 々な 組 織 にあり そのルートも 非 常 に 複 雑 である このなかには 政 府 資 金 公 営 企 業 金 融 公 庫 資 金 もあれば 一 定 数 の 民 間 資 金 と 少 数 の 特 定 資 金 もある( 広 義 の 政 府 資 金 は 特 定 資 金 を 含 む) 政 府 資 金 には 主 なものとして 財 政 融 資 資 金 郵 便 貯 金 簡 易 生 命 保 険 等 がある 公 営 企 業 金 融 公 庫 資 金 とは 公 営 の 金 融 機 関 証 券 会 社 等 を 通 じて 民 間 から 間 接 的 に 調 達 する 資 金 をいう 民 間 資 金 とは 主 に 市 場 での 公 募 資 金 と 関 係 資 金 (いわゆる 縁 故 資 金 のこと で 事 業 の 受 益 者 に 関 わる 資 金 であり 銀 行 関 係 資 金 と 共 済 関 係 資 金 に 分 けられる)が 含 まれる 地 方 債 ( 年 初 )の 起 債 計 画 を 見 ると 資 金 構 成 比 の 変 化 が 明 らかである 戦 後 初 期 の 地 方 債 は 100%が 政 府 の 資 金 で 賄 われていたが その 後 政 府 資 金 の 占 める 割 合 は 徐 々 に 下 降 を 続 け 20 世 紀 の 60 年 代 中 期 には 60% 前 後 70 年 代 中 期 には 30%~40%にまで 減 少 した 80 年 代 初 期 には 一 度 は 44%まで 落 ち 込 んだものの その 後 は 増 加 に 転 じ 80 年 代 後 半 には 再 び 60% 近 くにまで 増 加 し 2003 年 には 再 び 41%にまで 減 少 している 公 営 企 業 金 融 公 庫 資 金 の 占 める 割 合 は 1957 年 に 導 入 されてから 一 貫 して 10% 前 後 を 維 持 しており 最 低 で 6% 最 高 で 17% 未 満 となっている ただし 公 営 企 業 の 公 庫 はし ばしば 地 方 自 治 体 と 共 同 で 地 方 債 の 共 同 起 債 機 関 としての 役 割 を 果 たしている 民 間 資 金 の 占 める 割 合 には 変 動 が 見 られるものの 近 年 は 増 加 の 傾 向 にある 2003 年 には 49%と 既 に 半 数 近 くを 占 めるに 至 っており 初 めて 政 府 資 金 の 比 率 を 超 えた ただ し ここで 注 意 すべきなのは 2001 年 からは 国 外 資 金 ( 政 府 が 担 保 する 外 債 )が 民 間 資 金 に 計 上 されるようになったということである

図 表 5. 地 方 債 計 画 ( 年 初 )における 資 金 類 別 の 変 化 ( 単 位 : 億 円 ) 計 画 総 額 政 府 資 金 公 庫 資 金 民 間 資 金 年 度 金 額 比 率 金 額 比 率 金 額 比 率 金 額 比 率 1947 87 100.0 87 100.0 - - - - 1950 400 100.0 400 100.0 - - - - 1955 1,294 100.0 914 70.6 - - 380 29.4 1960 1,614 100.0 1,274 78.9 135 8.4 205 12.7 1965 5,464 100.0 3,380 61.9 500 10.1 1,534 28.0 1970 9,262 100.0 5,566 60.1 1,030 11.1 2,666 28.8 1975 42,162 100.0 20,800 49.4 2,715 6.4 18,647 44.2 1980 70,676 100.0 31,164 44.1 11,430 16.2 28,072 39.7 1985 66,345 100.0 37,980 57.3 11,220 16.9 17,154 25.8 1990 89,735 100.0 53,978 *60.1 10,280 11.5 25,478 28.4 1995 210,650 100.0 98,300 46.7 22,200 10.5 90,150 42.8 2000 173,197 100.0 81,800 47.2 20,650 11.9 70,747 40.8 2002 165,239 100.0 76,000 46.0 19,000 11.5 70,239 42.5 2003 184,845 100.0 76,900 41.0 17,800 10.0 90,145 49.0 注 1:1990 年 の 政 府 資 金 には 特 定 資 金 1 兆 788 億 円 が 含 まれ 12%の 比 率 を 占 めている 注 2:2002 年 は 年 初 の 計 画 数 値 である 注 3:1967 年 ~2000 年 には 外 貨 資 金 を 含 まず 資 料 出 所 :( 日 本 ) 地 方 債 協 会 編 地 方 債 統 計 年 報 及 び 最 新 データを 整 理 して 作 成 6 銀 行 資 産 という 角 度 から 見 ると 銀 行 が 保 有 している 地 方 債 は 保 有 する 有 価 証 券 に 占 める 割 合 が 高 く 戦 後 初 期 にはわずか 0.67%であったのが 以 降 は 徐 々に 上 昇 し 60 年 末 からは 2 桁 台 に 達 している( 最 高 値 は 1974 年 で 19% 近 くまで 上 昇 した) また 70 年 代 中 期 からは 徐 々に 下 降 し 始 め 80 年 代 中 期 に 1 桁 台 まで 回 復 したが ここ 数 年 は 5~6% 前 後 にまで 減 少 している 6 参 考 文 献 : 林 健 久 編 地 方 財 政 読 本 ( 日 本 ) 東 洋 経 済 新 報 社 2003 年 表 7~3

20.00 18.00 16.00 14.00 12.00 10.00 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 図 表 6. 全 国 の 銀 行 資 産 の 地 方 債 に 有 価 証 券 が 占 める 割 合 ( 単 位 : 億 円 %) 1950 1968 1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003 注 :2003 年 は 1~10 月 のデータである 資 料 出 所 : 日 本 銀 行 経 済 統 計 年 報 1993 年 日 本 銀 行 金 融 経 済 統 計 月 報 2003 年 12 月 7. 地 方 債 計 画 と 地 方 財 政 計 画 の 関 係 地 方 債 の 発 行 が 順 調 に 実 施 され かつ 管 理 可 能 であるために 日 本 政 府 で 地 方 事 務 を 司 る 自 治 省 ( 現 総 務 省 )は 毎 年 年 初 に 全 国 地 方 債 計 画 を 策 定 して 当 年 の 財 政 投 融 資 計 画 地 方 財 政 計 画 との 統 合 協 調 を 図 っている 地 方 債 計 画 は 地 方 債 運 用 の 基 準 と して 主 に 地 方 債 による 事 業 分 類 ごとの 予 定 額 と 資 金 配 分 の 基 本 的 な 枠 組 みを 表 わすため のものである ただし 実 際 の 運 用 の 過 程 においては ときに 起 債 許 可 計 画 外 の 事 態 も 発 生 している

図 表 7.2003 年 度 における 地 方 債 計 画 表 ( 単 位 : 億 円 %) 2003 年 計 画 額 (A) 2002 年 計 画 額 (B) 差 額 C= A-B 増 減 率 C/B 100 一 一 般 会 計 債 1 一 般 公 共 事 業 21,004 21,879-875 -4.0 2 公 営 住 宅 建 設 事 業 2,509 2,652-143 -5.4 3 災 害 復 旧 事 業 303 327-24 -7.3 4 義 務 教 育 施 設 建 設 事 業 2,237 2,358-121 -5.1 5 社 会 福 祉 施 設 建 設 事 業 565 595-30 -5.0 6 一 般 廃 棄 物 処 理 事 業 4,505 4,909-404 -8.2 7 一 般 独 事 業 47,082 49,677-2,595-5.2 (1) 一 般 事 業 16,135 16,891-756 -4.5 (2) 地 域 活 性 化 事 業 4,317 4,317 0 0.0 (3) 合 併 特 例 事 業 2,000 1,835 165 9.0 (4) 防 災 対 策 事 業 1,095 1,095 0 0.0 (5) 自 然 災 害 防 御 事 業 670 710-40 -5.6 (6) 臨 時 地 方 道 路 建 設 事 業 13,537 14,473-936 -6.5 (7) 臨 時 河 川 等 建 設 事 業 1,191 1,260-69 -5.5 (8) 臨 時 高 等 学 校 建 設 事 業 860 913-53 -5.8 (9) 地 域 総 合 建 設 資 金 借 入 金 事 600 700-100 必 要 業 (10) 旧 地 域 総 合 建 設 事 業 ( 継 続 6,677 7,483-806 事 業 部 分 ) 8 僻 地 および 人 口 過 疎 対 策 3,750 3,900-150 (1) 僻 地 対 策 事 業 620 650-30 (2) 人 口 過 疎 対 策 事 業 3,130 3,250-120 -3.7 9 首 都 圏 等 建 設 事 業 257 274-17 -6.2 10 公 共 用 地 先 行 取 得 等 事 業 700 700 0 0.0 11 調 整 ( 団 体 非 交 付 分 ) 35 65-30 -46.2 小 計 82,947 87,336-4,389-5.0 二 公 営 企 業 債 1 水 道 配 管 事 業 5,364 5,794-430 -7.4 2 工 業 用 水 配 管 事 業 259 323-64 -19.8 3 都 市 企 業 鉄 道 事 業 3,592 3,274 318 9.7 (1) 一 般 部 分 3,213 2,888 325 11.3 (2) 特 部 分 379 386-7 -1.8 4 一 般 交 通 事 業 191 208-17 -8.2 5 電 力 事 業 ガス 事 業 129 262-133 -50.8 6 簡 易 水 道 事 業 649 744-95 -12.8 7 港 湾 建 設 事 業 734 832-98 -11.8 8 病 院 事 業 3,731 4,260-529 -12.4 9 介 護 サービス 施 設 建 設 事 業 190 203-13 -6.4 10 市 場 事 業 および 養 殖 場 事 業 244 261-17 -6.5 11 地 域 開 発 事 業 3,716 4,960-1,244-25.1 12 下 水 道 事 業 16,046 18,215-2,169-11.9

(1) 一 般 部 分 15,976 18,089-2,113-11.7 (2) 特 部 分 70 126-56 -44.4 13 有 料 道 路 事 業 駐 車 場 建 設 事 61 84-23 -27.4 業 14 観 光 およびその 他 事 業 240 245-5 -2.0 15 公 有 林 建 設 事 業 草 地 開 発 事 (229) (268) (-39) (-14.6) 業 小 計 35,146 39,665-4,519-11.4 合 計 118,093 127,001-8,908-7.0 三 公 有 企 業 借 換 え 債 700 700 0 0.0 四 特 別 転 貸 債 412 422-10 -2.4 五 減 税 填 補 債 6,944 4,855 2,089 43.0 六 臨 時 財 政 対 策 債 58,696 32,261 26,435 81.9 総 計 (229) 184,845 (268) 165,239 (-39) 19,606 (-14.6) 11.9 明 普 通 会 計 部 分 150,718 126,493 24,225 19.2 細 公 有 企 業 会 計 等 部 分 34,127 38,746-4,619-11.9 ( 資 金 類 別 ) 政 府 資 金 76,900 76,000 900 1.2 財 政 融 資 資 金 50,700 50,300 400 0.8 郵 政 公 社 資 金 26,200 郵 便 貯 金 資 金 10,000 9,800 200 2.0 簡 易 生 命 保 険 資 金 16,200 15,900 300 1.9 公 営 公 庫 資 金 17,800 19,000-1,200-6.3 民 間 等 資 金 90,145 70,239 19,906 28.3 市 場 公 募 24,000 19,400 4,600 23.7 銀 行 等 による 引 受 け 66,145 50,839 15,306 30.1 資 料 出 所 : 地 方 債 の 概 要 と 近 況 P7 地 方 債 計 画 が 果 たす 役 割 の 1 つは 地 方 債 審 査 の 基 本 方 針 を 確 定 し 地 方 自 治 体 が 事 業 分 類 のなかで その 実 施 を 最 も 希 望 する 重 点 事 業 の 種 類 を 明 らかにすることである さらに 地 方 債 計 画 のもう1つの 役 割 としては 地 方 債 の 審 査 対 象 となる 事 業 の 資 金 保 証 方 法 を 明 確 にすることである 資 金 調 達 の 源 は 結 局 は 政 府 資 金 特 定 資 金 であり さ らに 公 営 企 業 の 金 融 公 庫 資 金 または 民 間 資 金 などがある 地 方 債 計 画 を 地 方 財 政 計 画 財 政 投 融 資 計 画 と 併 せて 検 討 するのは 主 に 地 方 債 は 地 方 自 治 体 の 重 要 な 財 源 であることから 十 分 な 政 府 資 金 を 地 方 債 に 振 り 向 けるために 財 政 投 融 資 を 地 方 自 治 体 に 配 分 する 必 要 があるからだ 7 これに 伴 って 地 方 債 計 画 は 一 方 で 財 政 投 融 資 計 画 における 地 方 公 共 団 体 関 連 の 部 分 を 拡 充 し 他 方 で 地 方 自 治 体 に 政 府 資 金 の 調 達 を 確 保 することから 中 央 政 府 と 地 方 自 治 体 の 関 係 は 極 めて 密 接 なものとなり さらに 地 方 債 の 発 行 により 中 央 と 地 方 の 関 7 参 考 文 献 : 地 方 資 金 研 究 会 体 系 地 方 債 大 蔵 省 財 務 協 会 1988 年

係 が 強 化 され 財 政 と 金 融 の 関 係 も 強 化 されることになり 関 連 する 計 画 間 で 合 意 が 得 ら れるようにする 注 目 すべきは 近 年 日 本 の 財 政 投 融 資 においては 地 方 の 占 める 割 合 が 徐 々に 下 降 していることである 50 年 代 中 期 には 30%であったが 60 年 代 中 期 以 降 には 10%~20% にまで 減 少 しており 同 時 に 民 間 資 金 の 調 達 もますます 容 易 になってきている また 地 方 債 計 画 は 地 方 財 政 計 画 とは 異 なり 法 令 で 規 定 されるような 計 画 ではない ため 近 年 地 方 債 計 画 の 政 策 意 図 をより 突 出 したものにするためにも 地 方 債 計 画 法 制 化 の 実 施 が 論 議 されている

財 政 投 融 資 計 画 機 関 名 図 表 8. 地 方 債 計 画 と 地 方 財 政 計 画 財 政 投 融 資 計 画 の 関 係 財 政 融 資 合 計 財 政 融 資 郵 便 貯 金 簡 易 生 命 産 業 投 資 政 府 担 保 合 計 資 金 資 金 保 険 資 金 単 位 : 億 円 参 考 自 己 資 金 等 地 方 財 政 計 画 * 年 間 収 入 公 営 公 庫 (2,200) 区 分 計 画 額 15,32015,320 4,209 19,529 地 方 税 342,563 地 方 自 治 体 再 合 計 76,000 50,300 9,800 15,900 76,000 89,239 165,329 地 方 譲 渡 税 6,239 9,036 地 方 特 例 交 付 税 地 方 債 計 画 地 方 交 付 税 195,449 政 府 資 金 民 間 資 金 等 国 庫 支 出 金 127,213 合 計 地 方 債 126,493 項 目 計 画 額 財 政 融 資 郵 便 貯 金 簡 易 生 命 公 営 公 庫 資 金 資 金 保 険 資 金 資 金 合 計 市 場 公 募 使 用 料 および 手 地 方 債 計 画 総 額 165,239 76,000 50,300 9,800 15,900 19,000 70,239 19,400 50,839 数 料 16,178 うち 普 通 会 計 部 分 126,493 58,140 37,475 9,500 11,165 5,10463,249 17,226 46,023 雑 収 入 52,495 公 営 企 業 会 計 38,746 17,860 12,825 300 4,735 13,8966,990 2,174 4,816 年 間 収 入 合 計 875,666 政 府 担 保 外 債 関 係 資 金 注 : 1) 数 値 法 2002 年 年 初 計 画 による 2) () 内 は 財 政 投 資 機 構 債 である 3) 地 方 債 計 画 においては 普 通 会 計 の 部 分 は 地 方 財 政 計 画 の 年 度 歳 入 に 盛 り 込 まれている 資 料 出 所 : 総 務 省 編 2002 年 度 地 方 財 政 計 画 財 務 省 編 2002 年 度 予 算 および 財 政 投 融 資 計 画 についての 説 明 等 資 料 により 作 成 資 料 出 所 : 林 健 久 編 地 方 財 政 読 本 ( 日 本 ) 東 洋 経 済 新 報 社 2003 年 表 7 4

9. 地 方 債 における 債 務 の 管 理 と 償 還 地 方 債 の 債 務 管 理 に 関 する 業 務 には 主 に 次 のようなものがある (1) 適 切 な 地 方 債 の 発 行 数 量 と 種 類 発 行 条 件 償 還 条 件 発 行 時 期 を 決 定 すること (2) 地 方 債 の 償 還 を 計 画 的 に 実 施 する ための 財 源 を 確 保 すること (3) 地 方 債 償 還 の 財 源 を 有 効 に 運 用 すること である 日 本 の 専 門 家 は 国 債 管 理 の 面 では 長 年 にわたって 各 種 の 政 策 手 段 を 総 合 的 に 運 用 しており 管 理 水 準 も 相 対 的 に 高 いが これに 比 べて 地 方 債 の 管 理 に 関 する 政 策 手 段 は 明 らかに 不 足 し 管 理 水 準 も 相 対 的 に 低 いと 見 ている 公 社 債 の 市 場 取 引 額 に 占 める 地 方 債 の 割 合 から 見 ても 国 債 の 占 める 割 合 はきわめて 大 きく 地 方 債 は 相 対 的 に 少 なくなっている 各 地 方 自 治 体 による 地 方 債 の 発 行 残 高 が 膨 らみ 続 け 規 模 が 拡 大 しつつあるなかにあって 地 方 債 の 管 理 業 務 の 強 化 はいまや 日 本 政 府 が 直 面 している 重 要 な 課 題 となっている 地 方 債 の 償 還 方 法 発 行 規 模 額 面 価 値 等 は ともに 地 方 債 の 発 行 条 件 を 構 成 する 要 素 である 実 際 の 状 況 からは 分 かりにくいが 日 本 では 地 方 債 の 発 行 条 件 と 公 共 債 の 発 行 条 件 には 大 きな 差 異 が 存 在 している 償 還 の 方 法 は 一 般 的 に 満 期 一 括 償 還 元 利 均 等 償 還 及 び 元 本 均 等 償 還 の 3 種 類 がある 8 日 本 の 公 共 債 償 還 制 度 全 体 から 見 ると どの 種 類 の 国 債 も 満 期 一 括 償 還 の 方 法 がとられている 政 府 の 担 保 債 は 過 去 に 定 期 償 還 方 式 を 採 用 していたが 1987 年 4 月 以 降 は 満 期 一 括 償 還 の 方 式 に 改 めら れている また 公 募 地 方 債 は かつては 償 還 期 限 を 10 年 (うち 定 期 3 年 ) 半 期 ( 年 )ごとに 3%とする 定 期 償 還 ( 抽 選 方 式 )としていたが 1992 年 からは 満 期 一 括 償 還 の 方 式 に 改 められた 関 係 地 方 債 ( 縁 故 地 方 債 )は これまでの 公 募 地 方 債 と 同 様 の 方 法 にしたがっているが ただし 事 業 の 性 質 よっては 例 外 もあり 地 域 開 発 事 業 の 地 方 債 には 満 期 一 括 償 還 の 方 式 が 導 入 さ れているものもある 2000 年 からは 市 場 公 募 債 には 10 年 を 期 限 とするもの 以 外 に 5 年 を 期 限 とするものが 導 入 され ているが 市 場 における 償 還 期 限 の 多 様 化 というニーズに 応 えるためには まだ 一 定 の 距 離 が 存 在 している 2002 年 試 験 的 に 一 部 の 地 域 に 限 定 した 住 民 参 加 型 ミニ 市 場 公 募 債 ( 規 模 が 200 億 円 である もの) 発 行 が 始 まった またこれ 以 前 にも 群 馬 県 では 2001 年 に 既 に 愛 県 債 が 発 行 されてい る 注 目 に 値 するのは このような 資 金 調 達 の 多 様 化 に 応 じた 試 みと 住 民 自 治 の 強 化 の 間 には あ る 程 度 における 相 互 影 響 力 がほぼ 介 在 しているということである 8 満 期 一 括 償 還 とは 期 日 に 元 本 と 利 息 をすべて 償 還 する 方 式 で これは 主 に 市 場 公 募 資 金 等 に 用 い られている 元 利 金 等 償 還 とは 各 期 に 償 還 される 元 本 に 利 息 を 加 えた 金 額 が 同 一 であるものをいう この 方 式 は 主 に 政 府 資 金 と 一 部 の 公 庫 資 金 に 用 いられている 元 本 均 等 償 還 とは 各 期 に 償 還 される 元 本 の 金 額 が 同 一 であるものをいう この 方 式 は 主 に 縁 故 資 金 と 一 部 の 公 庫 資 金 に 用 いられている 元 利 金 等 償 還 と 元 本 均 等 償 還 を 合 わせて 定 時 償 還 という このほかに 年 一 回 または 半 年 に 一 回 償 還 する 方 式 は 年 賦 半 年 賦 と 呼 ばれている

償 還 方 式 の 変 化 のほかにも 近 年 日 本 では 2つ 以 上 の 地 方 自 治 体 が 共 同 で 起 債 することを 促 進 しており これに 関 する 法 律 も 改 正 されている 以 上 をまとめると 民 間 資 金 をよりフレキシブルに 運 用 し 地 方 債 の 発 行 条 件 を 改 善 して 地 方 債 の 流 動 性 を 高 め 減 債 基 金 を 拡 充 して 弾 力 的 に 運 用 し 資 金 の 調 達 と 運 用 の 過 程 での 資 金 の 総 合 管 理 を 強 化 することなどのすべてが 今 の 日 本 政 府 にとって 日 々 重 要 さを 増 しつつあるといえる 日 本 は 金 融 自 由 化 の 途 上 にあると 同 時 に 地 方 債 発 行 業 務 の 自 由 化 を 大 々 的 に 進 めている 最 中 にあ るともいえる 10. 日 本 の 地 方 債 管 理 に 存 在 する 主 な 問 題 とその 改 革 の 方 向 日 本 では 地 方 債 制 度 が 実 施 されてから 既 に 数 十 年 が 経 過 している この 間 には 一 定 の 改 善 が 行 われているものの 全 体 的 な 変 化 としてはさほど 大 きくはないといえる 事 実 に 即 して 述 べれば 日 本 が 長 年 にわたって 実 施 してきた 地 方 債 制 度 は いささか 硬 直 的 すぎ る 嫌 いがある ここに 存 在 する 主 な 問 題 は 中 央 政 府 による 過 度 の 干 渉 であり これは 地 方 債 の 起 債 審 査 制 度 地 方 債 の 資 金 源 及 び 地 方 債 の 金 利 決 定 制 度 などの 面 に 表 れている 近 年 の 日 本 経 済 の 長 期 低 迷 に 伴 って 地 方 債 の 規 模 は 日 に 日 に 膨 らんでおり 日 本 の 各 界 からは 現 行 の 地 方 債 制 度 の 改 革 を 求 める 声 が 日 増 しに 強 まりを 見 せる 一 方 であり これに 関 わる 議 論 も 日 に 日 に 活 発 化 しており 一 部 では 初 歩 段 階 での 改 革 措 置 が 徐 々に 展 開 されつつあるのが 現 状 である なかでも 最 も 注 目 すべき 問 題 としては 日 本 はこれまで 地 方 債 の 発 行 に 対 する 拘 束 体 制 にお ける 地 方 議 会 中 央 政 府 主 管 部 門 格 付 け 機 関 及 び 投 資 家 の 4つの 段 階 のうち 中 央 政 府 主 管 部 門 による 管 理 を 中 心 に 据 えてきたが ここでの 機 能 が 強 すぎるために 他 の 3つの 段 階 を 弱 体 化 させ ているということがあった 現 在 日 本 では 他 の 3 者 すなわち 地 方 議 会 格 付 け 機 関 及 び 投 資 家 による 拘 束 力 を 強 化 しようと 試 みており このテーマを 巡 る 議 論 といくつかの 改 革 措 置 の 登 場 は 我 々としても 大 いに 参 考 とすべきところである 10.1. 許 可 制 から 協 議 制 への 転 換 長 期 間 にわたって 日 本 が 実 施 してきた 地 方 債 制 度 は そのかなりの 部 分 が 第 二 次 世 界 大 戦 前 の 制 度 を 踏 襲 したものであった 戦 後 の 初 期 には 外 圧 が 高 まる 中 で 地 方 公 共 団 体 による 起 債 の 自 主 権 を 保 証 する という 内 容 が 1947 年 に 改 正 された 地 方 自 治 法 ( 第 230 条 1 項 )に 盛 り 込 まれたが これと 同 時 に 審 査 許 可 制 度 についての 内 容 が 同 法 第 250 条 に 盛 り 込 まれた 同 条 項 では これは 当 分 の 間 の 措 置 であると 明 確 な 説 明 を 加 えているものの 既 に 半 世 紀 余 りが 経 過 した 今 もこの 条 項 は 依 然 適 用 されている

先 にも 述 べたとおり これまで 実 行 されてきた 審 査 許 可 制 度 は 手 続 きが 余 りにも 煩 雑 で 制 度 も 硬 直 化 しているが その 最 大 の 欠 点 は やはり 中 央 政 府 による 厳 格 な 審 査 の 実 施 により 地 方 自 治 体 は 起 債 に 際 してほとんどと 言 ってよいほどリスクを 負 わないことになり 一 切 のリスクは 中 央 政 府 に 集 中 しているということにある 年 月 の 経 過 とともに 地 方 債 の 起 債 規 模 は 有 効 に 制 御 され なくなったばかりか むしろ 地 方 自 治 体 による 起 債 の 積 極 性 を 刺 激 することになり 結 果 として 地 方 債 に 対 する 地 方 自 治 体 財 政 の 依 存 度 が 過 大 となって 地 方 債 の 全 体 規 模 が 過 剰 に 膨 れ 上 がること になっているのである 近 年 では 地 方 分 権 ( 一 括 ) 法 の 登 場 により 現 行 の 地 方 債 の 許 可 制 は 2005 年 に 廃 止 され 2006 年 からは これに 代 わって 協 議 制 が 実 施 されることになっている 協 議 制 は 地 方 債 の 起 債 手 続 きを 大 幅 に 簡 略 化 して 起 債 の 柔 軟 性 を 強 化 しているが 最 も 重 要 な 変 化 は やはり 地 方 自 治 体 による 地 方 債 発 行 に 自 主 性 を 際 立 たせ 地 方 議 会 による 拘 束 力 を 強 化 したことにある 新 しい 協 議 制 度 によれば 正 常 な 地 方 自 治 体 が 地 方 債 を 発 行 するに 際 しては 総 務 大 臣 及 び 都 道 府 県 知 事 と 事 前 協 議 するだけでよく 主 な 協 議 内 容 は 起 債 の 目 的 限 度 額 起 債 方 式 資 金 金 利 償 還 方 式 などとなっている 上 級 主 管 部 門 の 承 認 ( 許 可 ではない)を 得 た 後 は 地 方 自 治 体 は 直 ちに 地 方 債 を 発 行 することが でき 総 務 大 臣 と 都 道 府 県 知 事 の 承 認 を 得 られなかった 場 合 も 地 方 議 会 への 報 告 に 基 づいて 起 債 を 継 続 させることも 可 能 である ただし 財 政 赤 字 を 抱 える 地 方 自 治 体 と 起 債 制 限 比 率 を 超 えて いる 地 方 自 治 体 については 特 例 として 総 務 大 臣 と 都 道 府 県 知 事 による 許 可 が 必 要 とされている

図 表 9 地 方 債 協 議 制 の 基 本 フロー 例 外 原 則 協 議 制 (2006 年 以 降 ) 起 債 制 限 比 率 を 超 えている 地 方 自 治 体 1 2 許 可 総 務 大 臣 都 道 府 県 知 事 1 協 議 地 方 公 共 団 体 2 総 務 大 臣 総 務 大 臣 の 承 認 を の 承 認 を 得 ていな 3 得 た 場 合 い 場 合 3 地 方 債 発 行 許 可 の 取 得 承 認 ( 許 可 )を 得 た 地 方 債 公 共 資 金 填 補 承 認 を 得 た 地 方 債 の 発 行 地 方 議 会 に 報 告 元 利 償 還 金 とし て 地 方 財 政 計 画 4 承 認 を 得 て いない 地 方 債 の 発 行 新 しい 協 議 制 にしたがって 総 務 大 臣 等 の 承 認 を 得 て 発 行 された 地 方 債 は 公 共 資 金 の 注 入 のほか にも 地 方 財 政 計 画 地 方 交 付 税 などの 手 段 を 持 っており 償 還 財 源 の 保 障 とされる したがって 専 門 家 のなかには これは 実 質 上 許 可 制 に 替 わって 以 下 の 重 要 な 役 割 を 担 うことになると 見 ている ものもいる つまり(1) 地 方 債 に 信 用 保 証 の 役 割 を 与 える (2) 地 方 財 政 計 画 地 方 交 付 税 とと もに 地 方 財 源 を 保 障 する 役 割 をはたす( 地 方 債 の 総 額 と 公 債 の 費 用 のマクロ 管 理 )(3) 公 共 投 資 に 必 要 な 資 金 の 配 分 調 整 機 能 (4) 融 資 等 の 統 一 調 整 機 能 ( 政 府 資 金 の 統 一 総 合 調 整 と 運 用 ) である

10.2. 活 発 化 する 格 付 け 評 価 地 方 債 の 発 行 に 対 する 拘 束 体 制 のうちの 段 階 の 一 つとして 欧 米 諸 国 では 通 常 格 付 けが 地 方 債 市 場 において 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果 たしている いわゆる 格 付 け とは 債 券 の 元 本 と 利 息 を 当 初 の 計 画 にしたがって 期 日 どおりに 償 還 でき る 相 対 的 な 可 能 性 を 簡 単 な 記 号 または 文 章 により 投 資 家 に 告 知 すること とされている 9 格 付 けは 通 常 地 方 行 政 機 関 が 発 行 した 地 方 債 に 対 して ある 種 の 信 用 を 補 充 する 役 割 を 果 たすもので ある 格 付 けが 主 に 注 目 しているポイントは 次 のとおりである (1) 税 収 の 増 減 に 影 響 を 与 える ことが 可 能 な 地 域 経 済 の 強 さとその 趨 勢 (2) 起 債 主 体 の 債 務 規 模 と 債 務 償 還 資 金 間 のバランス (3) 地 方 行 政 機 関 の 財 政 状 況 と 収 支 構 造 ( 移 転 支 出 を 含 む)(4) 地 方 行 政 機 関 の 財 政 運 営 能 力 と 債 務 償 還 意 思 である 一 方 日 本 では 地 方 債 の 発 行 には 長 い 歴 史 があり 規 模 も 巨 大 であるものの かなり 長 い 間 地 方 債 に 対 する 格 付 け 作 業 は 遅 々として 進 まなかった その 原 因 としては 次 の 3 つが 挙 げられる 1 つ 目 は 古 い 審 査 許 可 制 度 によりリスクを 中 央 政 府 に 過 度 に 集 中 させてしまった 結 果 地 方 債 の 発 行 主 体 と 投 資 主 体 の 双 方 に 格 付 けに 対 するニーズが 欠 如 してしまったこと 2 つ 目 は 過 度 の 移 転 支 出 が 各 地 方 財 政 の 債 務 償 還 能 力 を 平 均 化 してしまい 地 域 格 差 が 非 常 に 少 なくなったために 地 域 の 相 対 的 な 差 異 に 基 づく 格 付 けが 不 可 能 となっていること 3 つ 目 は 1950 年 代 の 地 方 財 政 危 機 から 現 在 に 至 るまで 日 本 には 地 方 債 償 還 に 対 する 違 約 という 事 態 が 発 生 していないために 地 方 債 格 付 けの 必 要 がさらに 少 なくなっていることである このような 格 付 けの 欠 如 は 地 方 債 の 市 場 拘 束 作 用 を 正 常 に 機 能 させなくなっている 経 済 の 長 期 的 な 低 迷 により 各 レベルでの 財 政 状 況 は 著 しく 悪 化 しており 日 本 の 地 方 債 発 行 が 許 可 制 から 協 議 制 に 変 更 され 融 資 資 金 は 政 府 資 金 中 心 から 民 間 資 金 中 心 へと 転 換 し 財 政 投 融 資 制 度 と 地 方 交 付 税 制 度 改 革 が 徐 々に 推 進 されつつあるのに 伴 って 日 本 の 地 方 債 の 市 場 環 境 には 大 きな 変 化 が 生 じている 各 地 方 政 府 での 債 務 償 還 能 力 の 格 差 も 急 激 に 拡 大 しつつある このため 地 方 債 に 対 する 格 付 けの 市 場 需 要 も 急 速 な 高 まりを 見 せている こうした 状 況 変 化 に 対 応 するため に 日 本 の 有 名 な 格 付 け 機 関 である R&I 日 本 格 付 投 資 情 報 センター は 1999 年 から 地 方 債 を 公 募 発 行 している 28 の 地 方 自 治 体 についての 格 付 けを 試 験 的 に 開 始 しており 現 在 までに 3 回 の 修 正 が 行 われている 各 地 方 自 治 体 では 既 に 財 政 状 況 の 格 差 がかなり 拡 大 しているが 国 の 正 規 の 制 度 と 非 正 規 の 制 度 ( 伝 統 習 慣 ) 等 の 多 くの 面 を 考 慮 したうえで R&I 日 本 格 付 投 資 情 報 センターは 現 時 点 で 各 地 の 格 付 けを AA 級 以 内 での 狭 い 範 囲 で 変 動 させている 注 目 に 値 するのは この 格 付 け 機 関 では 地 方 自 治 体 自 体 を 格 付 けする 以 外 に 地 方 自 治 体 の 外 郭 団 体 主 に 住 宅 供 給 公 社 土 地 開 発 公 社 地 方 道 路 公 社 (いわゆる 地 方 3 公 社 ) 等 の 地 9 黒 田 義 孝 債 券 格 付 けの 実 際 ( 日 本 東 洋 経 済 新 報 社 1987 年 )

方 公 営 企 業 が 発 行 している 債 券 にも 格 付 けを 行 っていることである 最 近 では 北 海 道 住 宅 供 給 公 社 の 破 綻 が 地 方 の 公 営 企 業 特 に 住 宅 供 給 公 社 の 債 務 償 還 能 力 に 対 する 市 場 投 資 家 の 懸 念 を 拡 大 させており さらには 関 係 する 地 方 自 治 体 の 債 務 償 還 能 力 または 責 任 担 保 能 力 の 有 無 につい ても 論 議 を 呼 ぶところとなっている これらのすべての 要 因 により 地 方 債 の 格 付 けを 重 視 すると いう 意 識 がより 一 層 強 まっているのである 図 表 10. 日 本 で 公 募 地 方 債 を 発 行 している 自 治 体 の 格 付 け 結 果 (2003 年 8 月 4 日 ) 地 方 自 治 体 格 付 け 地 方 自 治 体 格 付 け ( 都 道 府 県 ) ( 市 ) 北 海 道 AA-op 札 幌 市 AA+ op AA op 宮 城 県 AA op 仙 台 市 AA+ op 茨 城 県 AA op 千 葉 市 AA+ op 琦 玉 県 AA+ op 横 浜 市 AA op 千 葉 県 AA+ op 川 崎 市 AA op 東 京 都 AA+ op 名 古 屋 市 AA op 神 奈 川 県 AA op 京 都 市 AA-op 新 潟 県 AA+ op AA op 大 阪 市 AA-op 長 野 県 AA op 神 戸 市 AA-op 静 岡 県 AA+ op 広 島 市 AA op 愛 知 県 AA op 北 九 州 市 AA+ op AA op 京 都 府 AA+ op 福 岡 市 AA-op 大 阪 府 AA-op 兵 庫 県 AA-op 広 島 県 AA+ op AA op 福 岡 県 AA op 注 : 矢 印 の 右 側 は 変 更 後 の 格 付 け 記 号 である 矢 印 のない 自 治 体 は 現 状 の 格 付 けを 維 持 している ことを 表 わしている op は 格 付 けによらず 公 開 情 報 を 主 体 としていることを 表 わしているが これは 完 全 な 公 開 情 報 ではなく インタビュー 調 査 等 の 内 容 も 含 まれている 資 料 出 所 :R&I 日 本 格 付 投 資 情 報 センターの 提 供 資 料 10.3 資 金 源 の 多 様 化 地 方 債 の 発 行 を 拘 束 する 役 割 における 最 終 段 階 は 投 資 家 である 投 資 家 が 購 入 するか 否 か ど の 種 類 の 債 券 を 購 入 するか どのような 条 件 でどのぐらい 購 入 するのかといった 内 容 は すべてが 地 方 債 の 発 行 に 対 して 重 要 な 拘 束 機 能 と 主 導 的 な 役 割 を 果 たしているのである 先 にも 述 べたとおり 日 本 の 地 方 債 の 資 金 源 においては 長 年 にわたって 政 府 資 金 がほぼ 半 数 を 占 めてきたが これに 政 府 をバックとする 公 営 企 業 金 融 公 庫 を 加 えれば 政 府 資 金 と 準 政 府 資 金 ( 合 わせて 通 称 公 共 資 金 )は 60%~70%に 達 することもあり 民 間 資 金 は 30%~40%にも

満 たない また 民 間 資 金 においては 大 部 分 が 縁 故 型 の 資 金 にあたり このため 真 に 市 場 から 公 募 により 取 得 した 部 分 は 10%にも 満 たない 場 合 が 多 い したがって ある 意 味 においては 日 本 の 地 方 債 は 事 実 上 中 央 政 府 資 金 配 分 の 重 要 な 方 式 となって 一 種 の 姿 を 変 えた 移 転 支 出 と なっており これと 同 時 に 地 方 自 治 体 の 重 要 な 財 源 となっているといえる 公 共 資 金 は とりわけ 政 府 資 金 の 割 合 が 過 大 となっており これは 資 金 の 配 分 効 率 に 影 響 を 与 え るのみならず 資 金 の 使 用 効 率 にも 影 響 を 与 える 可 能 性 があり さらには 予 算 の 拘 束 力 の 弱 体 化 と 腐 敗 等 の 問 題 を 招 来 しやすくなる 近 年 財 政 投 融 資 体 制 の 改 革 に 伴 って 日 本 の 郵 便 貯 金 資 金 は 既 に( 大 蔵 省 の) 資 金 運 用 部 を 経 由 せずに 独 立 して 自 主 的 に 運 用 されており これにより 地 方 自 治 体 に 対 する 直 接 的 な 融 資 が 実 施 されている また かつては 地 方 債 資 金 の1つであった 年 金 資 金 ( 養 老 保 険 資 金 )も もはや 存 在 しない ただし 変 化 が 最 も 大 きくなると 思 われるのは やはり 民 間 資 金 の 増 加 であり と りわけ 市 場 公 募 による 民 間 資 金 が 増 加 の 一 途 をたどり 比 率 も 着 実 に 上 昇 することが 見 込 まれる 図 表 11. 民 間 資 金 構 成 の 変 化 ( 億 円 %) 民 間 資 金 年 度 市 場 公 募 縁 故 資 金 金 額 比 率 金 額 比 率 金 額 比 率 1955 380 29.4 --- --- --- --- 1960 205 12.7 165 10.2 40 2.5 1965 1534 28.0 *570 10.4 964 17.6 1970 2666 28.8 620 6.7 2046 22.1 1975 18647 44.2 2600 6.2 16047 38.0 1980 28072 39.7 7250 10.3 28832 29.4 1985 17154 25.8 6600 9.9 10554 15.9 1990 25478 28.4 7000 7.8 18478 20.6 1995 90150 42.8 14880 7.0 75270 35.7 2000 70747 40.8 17000 9.8 53747 31.0 2002 **70239 42.5 19400 11.7 50839 30.8 2003 90145 48.8 24000 13.0 66145 35.8 * 注 : 外 貨 資 金 100 億 円 を 含 む 比 率 は 1.8% ** 注 : 外 貨 資 金 を 民 間 資 金 に 計 上 するようになった 資 料 出 所 : 林 健 久 編 地 方 財 政 読 本 ( 日 本 ) 東 洋 経 済 新 報 社 2003 年 表 7 3 10.4. 金 利 決 定 の 市 場 化 起 債 主 体 にとっての 政 府 資 金 の 最 大 のメリットは 条 件 が 優 遇 されていることにある 償 還 期 限 が 十 分 に 優 遇 されているのみでなく 金 利 も 非 常 に 低 く 設 定 されている これに 次 ぐのが 公 営 公 庫 資 金 であるが これは 実 態 上 準 政 府 資 金 にあたるものである 最 後 は 民 間 資 金 であるが その 金 利 は 起 債 主 体 ( 地 方 自 治 体 )と 引 受 け 主 体 ( 金 融 機 関 )との 協 議 により 決 定 される ただし これも 完 全 に 市 場 公 開 された 価 格 設 定 とはいえない

引 受 け 主 体 についていえば 長 い 間 地 方 債 の 元 利 償 還 は 日 本 政 府 が 最 終 的 な 責 任 を 負 うものと 認 識 されており 地 方 債 の 信 用 度 は 国 債 の 信 用 度 によって 決 まるとされてきた このため 地 方 債 と 国 債 は 同 様 に 安 全 であった これに 対 して このため 商 業 銀 行 の 自 己 資 本 比 率 におけるリス ク 量 は かつては 国 債 と 政 府 担 保 債 が 0% 地 方 債 は 10%とされており この 規 定 は 日 本 の 地 方 債 発 行 条 件 の 改 善 にとっては 大 きな 障 壁 であった これは 日 本 における 地 方 債 の 実 際 との 間 に 存 在 している 矛 盾 であろう 以 前 は 地 方 財 政 計 画 及 び 地 方 債 の 財 源 保 障 制 度 が 存 在 し かつ 元 利 償 還 は 最 終 的 に 課 税 権 があることで 実 質 的 な 担 保 となっていることから 地 方 自 治 体 の 負 債 不 償 還 と いう 事 態 は 今 に 至 るもほとんど 発 生 する 可 能 性 はないといえよう こうしたことから 1994 年 3 月 からは BIS(バーゼル) 規 則 の 計 算 方 法 に 修 正 が 加 えられ( 銀 行 法 等 を 基 礎 として 大 蔵 省 が 公 告 を 発 布 ) 地 方 債 のリスク 量 は 0%に 引 き 下 げられて 国 債 と 同 じレベルになった これにより 金 融 機 関 による 地 方 債 保 有 量 の 増 加 によって 自 己 資 本 率 が 低 下 するという 事 態 は 当 面 存 在 しないことになった しかしながら 一 方 で 日 本 の 地 方 債 は 外 債 を 除 いて 事 実 上 中 央 政 府 の 担 保 がなく 法 律 のう えでも 国 に 地 方 債 の 元 利 を 償 還 する 義 務 があるということについては 明 文 の 定 めが 置 かれていない このため 地 方 債 と 政 府 担 保 債 との 間 にはまだ 一 定 の 隔 たりがある 道 理 のうえからは 新 規 に 発 行 された 地 方 債 が 直 ちに 流 通 市 場 に 持 ち 込 まれて 販 売 されれば 一 定 の 損 失 が 発 生 することにな るし 販 売 されないとしても 一 定 の 隠 れた 損 失 が 生 じる 可 能 性 をはらんでいるといえる 中 央 政 府 の 財 源 保 障 措 置 と 地 方 債 の 頻 繁 な 発 行 によって 新 しいものが 古 いものに 取 って 代 わっているた めに このような 隠 れた 損 失 は 今 に 至 るも 露 呈 されていないだけである また これは 現 在 の 地 方 債 の 表 面 利 率 と 販 売 価 格 には 事 実 上 一 定 のリスク 損 失 が 潜 んでいるともいえるであろう 政 府 資 金 の 減 少 に 伴 って 市 場 公 募 資 金 が 占 める 割 合 が 増 えつつあり 今 後 の 大 勢 としては 地 方 債 の 販 売 価 格 設 定 の 市 場 化 が 進 むということがある ただし 公 募 資 金 の 価 格 設 定 の 市 場 化 は 政 府 資 金 と 公 営 公 庫 資 金 の 価 格 設 定 ( 金 利 決 定 )にも 一 定 の 影 響 を 与 えることになるであろう このほかにも 地 方 債 の 償 還 期 限 が 多 様 化 するということも 注 目 に 値 する 傾 向 となるであろう さらには 新 たな 規 定 によって 地 方 自 治 体 は 必 要 に 応 じて 債 務 を 繰 上 げ 償 還 することも 可 能 とな り これは 市 場 に 大 きな 影 響 を 及 ぼすことは 間 違 いない 今 後 は 国 債 と 地 方 債 地 方 債 間 には 流 通 利 回 り 格 差 が 拡 大 することが 見 込 まれ これらすべての 要 因 が 地 方 債 の 販 売 価 格 設 定 の 市 場 化 を 推 し 進 めることになるであろう 以 上 に 述 べた 問 題 のほかにも 地 方 債 発 行 にいかにしてフレキシビリティを 持 たせるか 安 定 的 に 地 方 債 を 償 還 するためには 減 債 基 金 をいかに 運 用 するのか 関 係 する 地 方 債 の 計 画 と 配 分 政 策 の 決 定 に 地 方 自 治 体 をいかに 参 加 させるか 地 方 自 治 体 のために 信 用 強 化 の 役 割 を 果 たす 仲 介 組 織 ( 例 えば 地 方 団 体 金 融 公 庫 )を 設 立 し 会 計 監 査 制 度 を 外 部 から 導 入 する 必 要 があるのか など 議 論 すべき 問 題 は 広 範 囲 にわたっている

この 他 日 本 政 府 は 地 方 財 政 体 制 に 対 していわゆる 三 位 一 体 改 革 を 試 みようとしている そ の 主 な 内 容 は 国 家 から 地 方 財 政 への 補 助 金 削 減 地 方 交 付 税 ( 一 般 移 転 支 出 )の 調 整 及 び 税 源 譲 渡 ( 詳 細 は 図 12 参 照 )がある 熾 烈 な 討 論 を 経 て 2003 年 6 月 18 日 に 召 集 された 経 済 財 政 諮 問 会 議 で 小 泉 首 相 が 最 終 的 な 政 策 決 定 を 行 った 目 下 この 改 革 は 困 難 を 極 めながら 推 進 されつつ ある 項 目 改 革 時 期 地 方 税 税 源 譲 渡 補 助 金 地 方 交 付 税 地 方 財 政 計 画 図 表 12. 三 位 一 体 改 革 の 概 要 内 容 2006 年 までの 3 年 間 課 税 自 主 権 の 拡 大 国 から 地 方 へ 移 行 する 税 源 は 基 本 税 を 主 とする (ただし 所 得 税 消 費 税 など 具 体 的 な 税 目 は 未 定 ) 金 額 面 では 義 務 的 な 経 費 は 補 助 金 をほぼ 全 額 削 減 し その 他 の 経 費 は 80% 前 後 削 減 する 公 共 事 業 を 含 む 約 20 兆 円 の 地 方 向 けの 補 助 金 のうち 4 兆 円 前 後 相 当 にあたる 補 助 金 制 度 を 再 度 改 正 する 地 方 交 付 税 の 財 源 保 障 機 能 を 縮 小 する 地 方 交 付 税 の 不 交 付 団 体 の 比 率 を 拡 大 する 徹 底 して 支 出 を 抑 える 資 料 出 所 : 自 治 体 改 革 と 地 方 債 制 度 稲 生 信 男 ( 日 本 ) 学 陽 書 房 2003 年 主 要 な 参 考 文 献 1. 図 説 財 政 政 投 融 資 (1986) 石 坂 匡 身 吉 本 修 二 中 島 勝 巳 編 著 東 洋 経 済 新 報 社 1986 年 2. 図 説 日 本 の 公 社 債 坂 本 導 聡 編 ( 日 本 ) 財 経 詳 報 社 1988 年 改 訂 版 発 行 3. 現 代 日 本 の 地 方 自 治 と 地 方 財 政 鳴 海 正 泰 著 ( 日 本 ) 公 人 社 1998 年 第 三 版 4. 現 代 の 地 方 財 政 ( 新 版 ) 和 田 八 束 野 呂 昭 朗 星 野 泉 青 木 宗 明 比 編 ( 日 本 ) 有 斐 閣 1999 年 5. 地 方 債 格 付 け- 自 治 体 は 本 当 につぶれないのか 日 本 格 付 投 資 情 報 センター 編 日 本 経 済 新 聞 社 1999 年 発 行 6. 新 版 地 方 財 政 論 片 桐 昭 泰 兼 村 高 文 星 野 泉 編 著 ( 日 本 ) 税 務 経 理 協 会 2002 年 新 版 第 1 刷 7. 財 政 危 機 と 地 方 債 制 度 日 本 地 方 財 政 学 会 編 ( 日 本 ) 勁 草 書 房 2002 年 8. 地 方 財 政 読 本 林 健 久 編 ( 日 本 ) 東 洋 経 済 新 報 社 2003 年 9. 自 治 体 改 革 と 地 方 債 制 度 稲 生 信 男 ( 日 本 ) 学 陽 書 房 2003 年 10. 地 方 債 マニュアル 地 方 債 制 度 研 究 会 編 ( 日 本 ) 地 方 財 務 協 会 発 行 2002 年 11. 日 本 財 務 省 総 務 省 等 関 係 当 局 及 び 各 受 け 入 れ 団 体 から 提 供 された 関 係 参 考 資 料