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B. 医 療 関 係 者 の 皆 様 へ 医 薬 品 によって 起 こる 骨 粗 鬆 症 の 原 因 として 最 も 頻 度 が 高 いのは 副 腎 皮 質 ステロイド 薬 ( 以 下 経 口 ステロイド 薬 )である 他 の 医 薬 品 として は 抗 てんかん 薬 メトトレキサート ヘパリン 製 剤 ワルファリン 性 腺 刺 激 ホルモン(GnRH) 作 動 薬 タモキシフェン アロマターゼ 阻 害 薬 リチウム 製 剤 などがある 以 下 は 主 として 経 口 ステロイド 薬 について 記 載 する 1. 早 期 発 見 と 早 期 対 応 のポイント (1) 副 作 用 の 好 発 時 期 経 口 ステロイド 薬 服 用 開 始 後 数 カ 月 で 約 10%の 骨 量 減 少 を 生 じる 骨 量 減 少 だけで 自 覚 症 状 はないが 骨 折 ( 多 くは 椎 体 骨 折 )を 生 じた 場 合 は 重 度 の 腰 背 部 痛 を 自 覚 する 椎 体 骨 折 リスクは 服 用 開 始 後 3~6 カ 月 で 最 大 となり 以 後 プラトーとなる 1) プレドニゾロン 換 算 で 2.5mg/ 日 未 満 の 服 用 でも 椎 体 骨 折 リスクは 1.55 倍 となり 7.5mg/ 日 以 上 では 5 倍 以 上 になる 2) (2) 患 者 側 のリスク 基 礎 疾 患 として 糖 尿 病 重 症 肝 疾 患 胃 切 除 関 節 リウマチ 両 側 卵 巣 摘 除 閉 経 などの 既 往 がある 場 合 には 医 薬 品 による 骨 粗 鬆 症 の 程 度 がより 悪 化 する 可 能 性 がある 世 界 保 健 機 関 (WHO)は 骨 折 のリスク 因 子 として 高 齢 低 骨 密 度 小 さな 体 格 ステロイド 薬 使 用 両 親 の 大 腿 骨 頸 部 骨 折 の 既 往 骨 粗 鬆 症 性 骨 折 の 既 往 喫 煙 過 剰 なアルコール 摂 取 関 節 リウマチをあげており 3) このような 因 子 をもつ 場 合 には 注 意 が 必 要 である 経 口 ステロイド 薬 による 椎 体 骨 折 リスクを 上 記 に 記 載 した が 他 の 因 子 の 骨 折 リスクを 表 1に 示 す 4) 表 1. 骨 折 のリスク 因 子 リスク 因 子 相 対 リスク 低 骨 密 度 既 存 骨 折 喫 煙 飲 酒 ステロイド 薬 使 用 骨 折 家 族 歴 骨 密 度 1SD 低 下 で 1.5 倍 既 存 椎 体 骨 折 がある 場 合 椎 体 骨 折 の 相 対 リスクは 4 倍 1.25 倍 * 注 1 日 2 単 位 以 上 で 1.23 倍 骨 粗 鬆 症 性 骨 折 2.63-1.71 倍 親 の 大 腿 骨 頸 部 骨 折 : 大 腿 骨 頸 部 骨 折 2.3 倍 骨 粗 鬆 症 の 予 防 と 治 療 ガイドライン 2006 年 度 版 より 改 変 * 注 :アルコール1 単 位 は 日 本 酒 1 合 相 当 8 4)

(3) 患 者 もしくは 家 族 が 早 期 に 認 識 しうる 症 状 椎 体 骨 折 を 起 こした 場 合 腰 背 部 痛 を 自 覚 する 椎 体 骨 折 を 生 じても 自 覚 症 状 がない 場 合 もある. 激 しい 咳 嗽 により 肋 骨 骨 折 を 生 じることも あるが 誘 因 なく 肋 骨 骨 折 を 生 じることもある 大 腿 骨 近 位 部 や 骨 盤 ( 恥 骨 など)の 骨 折 の 場 合 は 鼠 径 部 痛 や 臀 部 痛 を 訴 える. 身 長 の 短 縮 は 椎 体 骨 折 の 指 標 となる 5)6) (4) 早 期 発 見 に 必 要 な 検 査 と 実 施 時 期 ステロイド 薬 服 用 開 始 前 あるいは 開 始 後 早 期 に 胸 椎 腰 椎 X 線 写 真 撮 影 と 骨 密 度 測 定 を 行 っておくことが 必 要 である(ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 管 理 と 治 療 については 図 3を 参 照 ) 胸 椎 腰 椎 X 線 撮 影 と 骨 密 度 測 定 は6ヵ 月 から 1 年 ごとに 行 うことが 必 要 である 骨 代 謝 マーカーの 測 定 は 骨 代 謝 回 転 を 把 握 する 上 で 有 用 である 7) 2. 副 作 用 の 概 要 ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 とは 経 口 ステロイド 薬 による 骨 代 謝 系 への 直 接 または 間 接 作 用 により 骨 粗 鬆 症 が 生 じ 骨 折 が 生 じやすくなる 状 態 であ る 骨 折 が 生 じる 部 位 により 関 連 した 部 位 に 疼 痛 神 経 麻 痺 症 状 など 多 彩 な 症 状 を 呈 する 1 自 覚 的 症 状 原 則 的 に 骨 折 が 生 じなければ 自 覚 症 状 はない 骨 粗 鬆 症 性 の 骨 折 は 一 般 的 に 軽 微 な 外 傷 により 生 じるが 骨 の 脆 弱 性 が 特 に 著 しい 場 合 には 外 傷 がなくとも 骨 折 を 生 じる 場 合 がある( 体 幹 荷 重 や 通 常 歩 行 のみによ る 慢 性 的 な 負 荷 がかかった 場 合 や 筋 の 強 力 な 緊 張 がかかった 場 合 など) 骨 折 部 の 疼 痛 は 安 静 時 よりも 運 動 時 に 強 い 骨 粗 鬆 症 による 骨 折 は 海 綿 骨 が 豊 富 な 部 位 に 生 じやすいため 脊 椎 椎 体 と 四 肢 長 管 骨 の 骨 幹 端 部 が 好 発 部 位 である また 骨 折 は 肋 骨 にも 好 発 する 骨 折 が 治 癒 しても 変 形 を 残 す 場 合 には 持 続 的 な 疼 痛 などの 症 状 が 生 じることがある 脊 椎 椎 体 骨 折 による 症 状 : 腰 背 部 痛 ( 骨 折 による 急 性 の 疼 痛 と 骨 折 後 に 残 存 する 椎 体 変 形 に 由 来 する 脊 柱 変 形 により 生 じる 慢 性 の 疼 痛 )の ほか 骨 折 椎 体 高 位 の 神 経 支 配 域 の 放 散 痛 ( 体 側 部 痛 )や 殿 部 痛 を 伴 う 場 合 がある 脊 柱 管 内 への 骨 片 の 突 出 が 大 きければ 下 肢 の 筋 力 低 下 や 知 覚 障 害 膀 胱 直 腸 障 害 などの 神 経 麻 痺 症 状 を 生 じる 骨 折 が 治 癒 せずに 偽 関 節 を 生 じると 不 安 定 性 による 遅 発 性 の 脊 髄 麻 痺 を 生 じることがあ る また 椎 体 骨 折 や 脊 柱 変 形 に 伴 い 身 長 が 低 下 する 50 歳 以 後 で 2cm 以 上 若 い 頃 から 4cm 以 上 身 長 が 低 下 した 場 合 には 椎 体 骨 折 が 生 じてい る 可 能 性 がある 6)8) 9

四 肢 の 骨 折 による 症 状 : 骨 折 部 の 疼 痛 腫 脹 変 形 などが 生 じる 下 肢 骨 骨 折 の 場 合 は 歩 行 困 難 または 不 能 となる 2 他 覚 的 症 状 脊 椎 椎 体 骨 折 による 所 見 : 骨 折 椎 体 棘 突 起 の 圧 痛 叩 打 痛 や 傍 脊 柱 筋 の 圧 痛 が 生 じる 骨 折 椎 体 を 中 心 とした 脊 柱 後 弯 の 増 強 ( 脊 柱 後 弯 変 形 ) が 観 察 される 脊 柱 の 前 後 屈 運 動 により 骨 折 部 に 疼 痛 が 誘 発 される 麻 痺 が 生 じていれば 下 肢 の 筋 力 低 下 や 知 覚 鈍 麻 膀 胱 直 腸 障 害 下 肢 深 部 腱 反 射 の 異 常 ( 脊 髄 レベルでは 亢 進 脊 髄 円 錐 レベルでは 亢 進 または 低 下 馬 尾 レベルでは 低 下 )がみられる 四 肢 の 骨 折 による 所 見 : 骨 折 部 の 圧 痛 腫 脹 変 形 などがみられる( 長 管 骨 の 骨 幹 端 部 に 多 い) 3 臨 床 検 査 値 血 清 カルシウム 値 リン 値 は 正 常 範 囲 内 である 血 清 アルカリフォス ファターゼは 正 常 または 軽 度 高 値 ( 基 準 値 の 1.5 倍 程 度 以 内 )である 骨 形 成 マーカーとして 血 清 骨 型 アルカリフォスファターゼ(bone alkaline phosphatase: BAP)や 血 清 オステオカルシン(osteocalcin: OC) が 経 口 ステロイド 薬 の 投 与 後 比 較 的 早 期 より 低 下 する OC は BAP よりも 経 口 ステロイド 薬 に 対 し 鋭 敏 であり BAP が 反 応 しないステロイド 薬 の 用 量 であっても 低 下 する 7) (ただし OC は 骨 粗 鬆 症 に 対 する 保 険 適 応 はな い) 骨 吸 収 マーカーとして 血 清 ならびに 尿 中 の I 型 コラーゲン 架 橋 N- テロペプチド(NTX)などが 経 口 ステロイド 薬 の 投 与 一 定 期 間 の 後 上 昇 する ただし 骨 吸 収 マーカーの 上 昇 はみられない 場 合 もある 4 画 像 検 査 所 見 疼 痛 を 有 する 部 位 の 単 純 X 線 写 真 によって 骨 折 が 確 認 できる ただし 初 診 時 には 骨 折 による 変 形 が 明 らかでないため 骨 折 と 判 定 できない 場 合 もある 経 過 とともに 骨 折 が 判 明 する 場 合 もあるため 症 状 が 続 く 場 合 には 再 度 の X 線 撮 影 が 必 要 である( 特 に 椎 体 骨 折 の 場 合 ) MRI は 椎 体 の 変 形 がなくとも 髄 内 の 輝 度 変 化 (T1 低 輝 度 T2 高 輝 度 )から 早 期 に 新 鮮 椎 体 骨 折 の 有 無 を 判 定 でき 有 用 である 5 病 理 検 査 所 見 ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 では 海 綿 骨 組 織 中 の 骨 芽 細 胞 数 の 減 少 に 伴 い 骨 梁 の 幅 が 徐 々に 減 少 する 初 期 には 骨 梁 構 造 は 比 較 的 保 たれているが 進 行 すると 骨 梁 構 造 の 破 綻 が 生 じる 骨 組 織 の 動 態 を 観 察 するために 行 う 骨 形 態 計 測 では 骨 形 成 のパラメターである 類 骨 幅 骨 石 灰 化 速 度 10

骨 形 成 率 などが 低 下 し 破 骨 細 胞 による 骨 吸 収 が 行 われた 跡 を 示 す 骨 吸 収 面 が 増 加 する 5) (ただし 通 常 はステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 診 断 のためだ けの 理 由 で 骨 組 織 生 検 をおこなうことはない) 6 発 生 機 序 ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 発 症 機 序 には 骨 芽 細 胞 などの 骨 形 成 系 細 胞 への 抑 制 を 主 体 とする 骨 代 謝 系 への 直 接 作 用 と 内 分 泌 系 などを 介 した 間 接 作 用 がある( 図 1) 骨 代 謝 系 への 直 接 作 用 : 経 口 ステロイド 薬 の 骨 代 謝 系 への 直 接 作 用 の 主 因 は 間 葉 系 幹 細 胞 か ら 骨 形 成 系 細 胞 ( 骨 芽 細 胞 前 駆 細 胞 など)への 分 化 を 抑 制 し さらに 骨 芽 細 胞 と 骨 細 胞 のアポトーシスを 促 進 することである 9)10) また 経 口 ステロイド 薬 は 破 骨 細 胞 のアポトーシスを 抑 制 し 破 骨 細 胞 の 寿 命 を 延 長 させる 11) 結 果 として 骨 組 織 において 骨 形 成 は 著 しく 抑 制 されると ともに 骨 吸 収 は 促 進 されるため 骨 量 は 次 第 に 減 少 し 骨 粗 鬆 症 を 発 症 する 内 分 泌 系 などを 介 した 間 接 作 用 : 経 口 ステロイド 薬 は 性 腺 刺 激 ホルモン 放 出 ホルモン(GnRH)の 産 生 を 抑 制 し それに 伴 い 黄 体 形 成 ホルモン(LH)と 卵 胞 刺 激 ホルモン(FSH) を 減 少 させる その 結 果 性 ホルモン(エストロゲンやテストステロン など)の 分 泌 抑 制 を 引 き 起 こし 骨 粗 鬆 症 を 誘 発 する 12) また 下 垂 体 での 成 長 ホルモン(GH)の 産 生 を 抑 制 することにより 全 身 性 および 局 所 のインスリン 様 成 長 因 子 (IGF-I)の 産 生 を 減 少 させる さらに 腸 管 か らのカルシウムの 吸 収 の 低 下 と 腎 尿 細 管 からのカルシウム 再 吸 収 の 抑 制 に 起 因 する 二 次 性 の 上 皮 小 体 機 能 亢 進 症 を 誘 発 する 11

経 口 ステロイド 薬 骨 代 謝 系 への 直 接 作 用 内 分 泌 系 などを 介 した 間 接 作 用 骨 形 成 系 細 胞 の 分 化 骨 芽 細 胞 骨 細 胞 アポトーシス 破 骨 細 胞 アポトーシス GnRH GH 腸 管 Ca 吸 収 腎 Ca 吸 収 LH FSH 骨 形 成 骨 吸 収 性 ホルモン IGF-I PTH 分 泌 骨 量 減 少 図 1.ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 発 生 機 序 7 副 作 用 発 現 頻 度 ( 副 作 用 報 告 数 ) 米 国 では 2000 万 人 の 骨 粗 鬆 症 患 者 のうち 20%がステロイド 性 で ステ ロイド 薬 長 期 使 用 患 者 の 約 半 数 に 骨 折 を 生 じると 推 定 されている 英 国 では 全 人 口 の 0.5%が 経 口 ステロイド 薬 による 治 療 を 受 けているが その うち 14%しか 骨 粗 鬆 症 の 予 防 または 治 療 を 受 けていなかったという 報 告 がある 13)14) 3. 副 作 用 の 判 別 基 準 ( 判 別 方 法 ) ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 は 骨 脆 弱 性 により 骨 折 のリスクが 増 大 する 経 口 ステロイド 薬 の 副 作 用 である 無 症 状 であっても 骨 折 のリスクが 高 い 症 例 や 骨 密 度 が 正 常 であっても 骨 折 を 来 す 症 例 も 多 いため 現 時 点 で 明 確 な 診 断 基 準 はない 治 療 対 象 は 3ヵ 月 以 上 経 口 ステロイド 薬 を 使 用 中 あるいは 使 用 予 定 の 患 者 で 既 存 脆 弱 性 骨 折 を 有 する 例 骨 密 度 が YAM(young adult mean 若 年 成 人 平 均 値 )80% 未 満 の 例 プレドニゾロン 換 算 1 日 5mg 以 上 投 与 例 とされており 少 なくともX 線 検 査 や 骨 密 度 測 定 は 副 作 用 判 別 に 必 要 な 検 査 である 15) 脆 弱 性 骨 折 の 定 義 は 原 発 性 骨 粗 鬆 症 の 診 断 基 準 (1996 2000 年 日 本 骨 代 謝 学 会 )のそれと 同 様 である すなわち 非 外 傷 骨 折 であり 脊 椎 椎 体 大 腿 骨 頚 部 上 腕 骨 近 位 橈 骨 遠 位 などが 好 発 部 位 であるが ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 においては 特 に 脊 椎 椎 体 骨 折 の 頻 度 が 高 く 多 椎 体 に 及 ぶことが 多 い 他 にも 肋 骨 骨 折 足 部 足 関 節 骨 折 が 多 いこと が 知 られている 12

4. 判 別 が 必 要 な 疾 患 と 判 別 方 法 ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 は 続 発 性 骨 粗 鬆 症 の 一 種 であり 骨 脆 弱 性 を 来 すという 観 点 では 原 発 性 骨 粗 鬆 症 をはじめ 他 のあらゆる 続 発 性 骨 粗 鬆 症 をきたす 疾 患 ( 図 2)との 判 別 のみならず 骨 粗 鬆 症 に 類 似 する 臨 床 症 状 を 呈 する 疾 患 ( 表 2)の 判 別 が 必 要 となる また 原 発 性 骨 粗 鬆 症 は 加 齢 変 化 に 伴 い 進 行 するものであることから 高 齢 者 の 続 発 性 骨 粗 鬆 症 では 原 発 性 骨 粗 鬆 症 の 要 素 が 加 味 されている 場 合 も 多 い したがって ステロイド 骨 粗 鬆 症 の 診 断 を 進 める 場 合 には 常 にこれら の 疾 患 を 念 頭 に 置 く 必 要 がある また 骨 の 評 価 のほかに 鑑 別 診 断 の ために 血 液 尿 検 査 が 必 須 である( 表 3) 図 2 低 骨 量 を 呈 する 疾 患 ( 骨 粗 鬆 症 の 予 防 と 治 療 ガイドライン 2006 年 版 :p.29 図 13を 改 変 ) 4) 13

椎 体 由 来 の 腰 背 部 痛 をきたす 疾 患 腰 痛 症 変 形 性 脊 椎 症 椎 間 板 ヘルニア 脊 椎 分 離 すべり 症 脊 柱 管 狭 窄 化 膿 性 脊 椎 炎 脊 椎 カリエス 強 直 性 脊 椎 炎 馬 尾 神 経 腫 瘍 腫 瘍 の 骨 転 移 潜 在 二 分 脊 椎 椎 体 以 外 に 由 来 する 腰 背 部 痛 膵 炎 胆 石 胃 潰 瘍 虚 血 性 心 疾 患 後 腹 膜 腔 臓 器 疾 患 尿 路 結 石 月 経 困 難 症 その 他 椎 体 の 変 形 や 円 背 をきたす 疾 患 原 発 性 骨 粗 鬆 症 他 の 続 発 性 骨 粗 鬆 症 代 謝 性 骨 疾 患 ( 骨 軟 化 症 原 発 性 または 二 次 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 ) Sheuermann 病 脊 椎 異 常 などの 骨 系 統 疾 患 椎 体 椎 間 板 の 変 性 疾 患 悪 性 腫 瘍 の 骨 転 位 や 脊 椎 血 管 腫 などの 腫 瘍 性 疾 患 脊 椎 カリエスや 化 膿 性 脊 椎 炎 などの 炎 症 性 疾 患 外 傷 による 骨 折 表 2 骨 粗 鬆 症 に 類 似 する 臨 床 症 状 を 呈 する 疾 患 ( 骨 粗 鬆 症 の 予 防 と 治 療 ガイドラ イン 2006 年 版 :p.29 表 18を 改 変 ) 4) 14

白 血 球 増 多 高 カルシウム 血 症 低 カルシウム 血 症 低 リン 血 症 アルカリフォスファターゼ 高 値 グロブリン 高 値 高 カルシウム 尿 症 Cushing 症 候 群 ステロイド 薬 内 服 原 発 性 あるいは 続 発 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 多 発 性 骨 髄 腫 悪 性 腫 瘍 吸 収 不 良 症 候 群 Fanconi 症 候 群 ビタミンD 作 用 不 全 腎 不 全 骨 軟 化 症 骨 Paget 病 骨 軟 化 症 原 発 性 あるいは 続 発 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 甲 状 腺 中 毒 症 悪 性 腫 瘍 多 発 性 骨 髄 腫 原 発 性 あるいは 続 発 性 副 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 多 発 性 骨 髄 腫 悪 性 腫 瘍 Cushing 症 候 群 腎 性 特 発 性 高 カルシウム 尿 症 表 3 骨 粗 鬆 症 の 鑑 別 診 断 において 注 目 すべき 検 査 所 見 ( 骨 粗 鬆 症 の 予 防 と 治 療 ガイ ドライン 2006 年 版 :p.30 表 20を 改 変 ) 4) 5. 治 療 方 法 我 が 国 のステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 管 理 と 治 療 ガイドライン 2004 年 度 版 ( 図 3) 15) が 日 本 骨 代 謝 学 会 によって 策 定 されている 本 ガイドラインは 18 歳 以 上 の 男 女 を 対 象 としており ステロイド 薬 も 経 口 ステロイド 薬 に 限 っている. 小 児 例 や 注 射 ステロイド 薬 などについ てはエビデンスがないため 対 象 外 とされている 治 療 の 開 始 基 準 は 経 口 ステロイド 薬 を3ヵ 月 以 上 使 用 中 または 使 用 予 定 で 脆 弱 性 骨 折 ありの 例 YAM80% 未 満 の 例 プレドニゾロン 換 算 5mg/ 日 以 上 の 使 用 例 のいず れかの 場 合 は 治 療 を 開 始 する 治 療 法 として 第 一 選 択 薬 はビスホスホネート 製 剤 とされる 本 剤 は 海 16~20) 21)~23) 外 や 国 内 の 無 作 為 化 比 較 対 照 試 験 において ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 による 骨 折 を 有 意 に 予 防 するエビデンスが 報 告 されているから である 一 方 ビスホスホネート 製 剤 は 骨 に 蓄 積 し 将 来 の 母 児 への 影 響 が 不 明 であり 妊 婦 あるいは 妊 娠 可 能 な 女 性 への 投 与 については 慎 重 を 期 す 必 要 がある また 近 年 ビスホスホネート 製 剤 と 顎 骨 壊 死 との 関 連 15

が 報 告 されており 別 途 重 篤 副 作 用 疾 患 別 対 応 マニュアル ビスホスホ ネート 系 薬 剤 による 顎 骨 壊 死 が 作 成 されている 活 性 型 ビタミン D3 製 剤 はメタ 解 析 でビスホスホネート 製 剤 には 劣 るが 椎 体 骨 折 予 防 効 果 があ 24) ることが 報 告 されており ビタミン K2 製 剤 は 国 内 の 縦 断 研 究 の 結 果 から 骨 折 予 防 効 果 が 示 された 25) ことから これらの 薬 剤 を 第 二 選 択 薬 と している また ステロイド 性 骨 粗 鬆 症 においても 原 発 性 骨 粗 鬆 症 と 同 様 に 生 活 指 導 栄 養 指 導 運 動 療 法 が 必 要 であり 原 発 性 骨 粗 鬆 症 に 準 じて 指 導 する 4) 治 療 対 象 以 外 は 経 過 観 察 を 行 うが ステロイド 薬 投 与 例 は 非 投 与 例 に 比 べて 骨 折 リスクは 高 いため 6ヵ 月 から 1 年 ごとの 骨 密 度 測 定 と 胸 椎 X 線 および 腰 椎 X 線 撮 影 による 経 過 観 察 が 必 要 である 15) 16

図 3 我 が 国 のステロイド 性 骨 粗 鬆 症 の 管 理 と 治 療 のガイドライン (2004 年 度 版 ) 15) 17

6. 典 型 的 症 例 概 要 1) 症 例 1 症 例 の 説 明 左 : 胸 椎 右 : 腰 椎 側 面 像 : 多 発 性 の 脊 椎 椎 体 骨 折 を 認 める 10 歳 代 女 性 脊 柱 後 彎 変 形 腰 痛 を 伴 う 約 2 年 前 より SLE の 診 断 にてステロイド 服 用 約 1 年 前 ころから 腰 痛 が みられた 18

2) 症 例 2 症 例 の 説 明 60 歳 代 女 性 153cm 43kg 閉 経 43 歳 関 節 リウマチの Stage II class 2 55 歳 発 症 の 関 節 リウマチ 例 で 約 4 年 前 からプレドニゾロン 5mg/ 日 メ トトレキサートを 内 服 中 ビスホスホネートの 内 服 はなし X 線 撮 影 ( 左 )で 脊 椎 骨 折 なし 骨 密 度 (DXA) L2-4 YAM( 若 年 成 人 平 均 値 )の 80% そのまま 経 過 を 見 て いた 64 歳 時 の 腰 椎 X 線 撮 影 ( 右 )で 第 3 腰 椎 の 骨 折 を 認 めた その 間 明 らかな 外 傷 なく 時 々 腰 痛 があるのみであった 19

7.その 他 早 期 発 見 早 期 対 応 に 必 要 な 事 項 骨 粗 鬆 症 をきたす 可 能 性 のある 薬 剤 はステロイド 薬 など 複 数 あり 種 々の 疾 患 の 治 療 薬 として 使 われている したがって このような 薬 剤 の 処 方 にあたり 必 要 に 応 じ 骨 粗 鬆 症 をきたしうる 可 能 性 についても 説 明 することが 望 ましい 骨 粗 鬆 症 をきたす 可 能 性 のある 薬 剤 を 処 方 する 診 療 科 は 内 科 神 経 内 科 脳 外 科 外 科 小 児 科 産 科 婦 人 科 眼 科 耳 鼻 科 麻 酔 科 精 神 科 などあらゆる 診 療 科 に 及 んでおり 各 科 と 綿 密 に 連 絡 をとりつつ 診 療 にあたることが 必 要 である 26)~29) 20