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第 2 章 景 観 形 成 の 事 後 評 価 に 係 る 切 り 口 の 整 理 本 章 では 既 存 の 景 観 形 成 に 関 する 事 業 や 事 後 評 価 の 取 組 み 例 などを 参 照 して 景 観 形 成 の 事 後 評 価 に 関 する 切 り 口 の 整 理 を 行 った 2.1 これまでの 景 観 施 策 と 事 後 評 価 の 位 置 づけ (1) 景 観 施 策 の 全 体 像 と 本 調 査 の 位 置 づけ これまで 主 に 直 轄 公 共 事 業 に 関 連 して 国 土 交 通 省 が 主 体 となって 実 施 してきた 景 観 施 策 の 全 体 像 と 本 調 査 で 実 施 する 事 後 評 価 の 位 置 づけは 下 図 2-1 に 示 す 通 りである 景 観 法 の 制 定 以 降 の 地 域 での 景 観 に 対 する 意 識 の 高 まり( 景 観 行 政 団 体 による 景 観 計 画 の 策 定 や 事 業 の 実 施 等 )や 直 轄 公 共 事 業 が 地 域 に 与 える 影 響 の 大 きさ 等 を 踏 まえると 景 観 整 備 の 事 後 評 価 は 各 事 業 実 施 後 の 評 価 各 事 業 の 改 善 同 種 事 業 への 応 用 といった 意 義 のみならず 景 観 に 配 慮 した 事 業 実 施 の 意 義 ( 地 域 にもたらされる 多 様 な 波 及 的 な 効 果 )を 地 域 住 民 や 国 民 等 に 広 く 説 明 し 普 及 啓 発 を 図 り 事 業 者 としての 説 明 責 任 を 果 たす という 意 味 でも 事 後 評 価 の 必 要 性 は 高 い したがって 特 に 次 節 2-2 の 既 往 研 究 で 見 られるような 景 観 整 備 が 地 域 にもたらす 様 々 な 波 及 的 効 果 を 把 握 することは 現 在 の 重 要 な 課 題 であると 考 えられる 図 2-1 主 に 直 轄 事 業 に 関 連 した 景 観 施 策 の 全 体 像 と 事 後 評 価 ( 本 調 査 )の 位 置 づけ 2-1

(2) 基 本 方 針 ( 案 ) における 事 後 評 価 の 位 置 づけ 平 成 16 年 度 から 3 ヵ 年 の 試 行 期 間 を 経 て 平 成 19 年 度 から 本 格 運 用 されることとなっ た 景 観 アセスメントシステムの 運 用 の 流 れと 事 後 評 価 の 位 置 づけは 以 下 の 通 りである 国 土 交 通 省 所 管 公 共 事 業 における 景 観 検 討 の 基 本 方 針 ( 案 ) ( 以 下 基 本 方 針 ( 案 )) によれば 事 後 評 価 は 基 本 的 に 事 業 完 了 後 数 年 程 度 が 経 過 した 後 に 事 業 により 形 成 された 景 観 について 当 該 事 業 の 景 観 整 備 方 針 ( 重 点 検 討 事 業 版 ) に 照 らして 実 施 す るもの と 説 明 している ただし 事 後 評 価 の 方 法 等 の 詳 細 については 事 業 景 観 アドバイザーの 意 見 を 聞 き 参 考 とするもの としており 事 後 評 価 の 具 体 的 な 方 法 等 は 明 確 化 されていない 基 本 方 針 ( 案 )では その 目 的 ( 第 1 章 )として 景 観 に 配 慮 した 社 会 資 本 整 備 により 形 成 される 良 質 な 公 共 空 間 は 地 域 の 価 値 を 向 上 させ 地 域 住 民 に 精 神 的 な 豊 かさをもた らすとともに 構 成 における 資 産 となるべきもの であると 景 観 整 備 の 意 義 を 説 明 してい るが 次 節 2-2 の 既 往 研 究 で 見 られるような 景 観 整 備 が 波 及 的 に 地 域 にもたらす 様 々な 効 果 については 具 体 的 には 特 に 触 れられていない 基 本 方 針 ( 案 )における 事 後 評 価 の 位 置 づけは 次 頁 ( 図 2-2 参 照 )に 示 す 通 りである 2-2

国 土 交 通 省 所 管 公 共 事 業 における 景 観 検 討 の 基 本 方 針 ( 案 ) の 第 5 章 重 点 検 討 事 業 の 景 観 検 討 において 事 業 完 了 後 は 事 後 評 価 を 実 施 報 告 するものとされている ( 以 下 抜 粋 ) 第 5 章 (3) 事 業 完 了 後 の 事 後 評 価 a) 事 務 所 等 は 事 業 完 了 後 数 年 程 度 が 経 過 した 後 ( 景 観 整 備 方 針 ( 重 点 検 討 事 業 版 ) に 具 体 的 な 実 施 時 期 が 示 されている 場 合 にはこれに 従 う) 事 業 により 形 成 された 景 観 について 当 該 事 業 の 景 観 整 備 方 針 ( 重 点 検 討 事 業 版 ) に 照 らして 事 後 評 価 を 実 施 するものとする 当 該 評 価 結 果 を 踏 まえ 必 要 に 応 じて 当 該 事 業 における 改 善 措 置 を 検 討 するとともに 類 似 事 業 また は 景 観 検 討 手 法 に 適 切 に 反 映 していくことが 望 まれる b) 事 後 評 価 の 方 法 等 については 事 業 景 観 アドバイザーの 意 見 を 聞 き 参 考 とするものとする 図 2-2 基 本 方 針 ( 案 )に 基 づく 事 業 における 景 観 検 討 の 流 れと 事 後 評 価 の 位 置 付 け 事 後 評 価 を 含 む 景 観 評 価 の 景 観 検 討 への 位 置 づけにより 景 観 に 関 する PDCA サイクルを 確 立 ( 国 土 交 通 省 公 表 資 料 国 土 交 通 省 所 管 公 共 事 業 における 景 観 検 討 の 基 本 方 針 ( 案 ) 改 訂 のポイント ) 2-3

(3) 事 後 評 価 に 係 る 施 策 の 全 体 像 ( 本 調 査 の 位 置 づけ) これまでの 景 観 施 策 の 展 開 と 事 後 評 価 の 位 置 づけを 踏 まえ 且 つ 次 年 度 以 降 の 検 討 展 開 ( 案 )を 見 据 えた 上 で 本 調 査 の 背 景 ( 事 後 評 価 の 必 要 性 及 び 現 況 の 課 題 ) 目 的 は 以 下 に 示 す 通 りである( 図 2-3 参 照 ) 本 調 査 では 特 に 景 観 整 備 効 果 ( 景 観 形 成 の 波 及 効 果 )に 着 目 する 背 景 公 共 事 業 の 景 観 整 備 に 関 する 事 後 評 価 の 必 要 性 1 事 業 実 施 の 説 明 責 任 2 各 事 業 実 施 後 の 評 価 3 各 事 業 の 改 善 4 同 種 事 業 への 応 用 公 共 事 業 の 景 観 整 備 に 関 する 事 後 評 価 の 課 題 1 景 観 整 備 効 果 の 把 握 整 理 2 事 後 評 価 調 査 事 例 の 蓄 積 3 事 後 評 価 手 法 の 確 立 本 調 査 本 調 査 の 目 的 と 内 容 1 景 観 整 備 の 波 及 効 果 を 明 らかにする ( 項 目 だし) 調 査 対 象 選 定 の 考 え 方 本 調 査 で 把 握 する 効 果 1 調 査 対 象 すべてで 想 定 さ = 景 観 整 備 の 機 能 的 価 値 れる 景 観 整 備 効 果 を 網 羅 日 常 生 活 への 寄 与 的 に 把 握 可 能 な 事 例 コミュニティ 地 縁 的 作 用 2 景 観 整 備 効 果 と 事 業 効 果 地 域 の 景 観 形 成 の 基 軸 の 整 理 が 可 能 な 事 例 2 事 後 評 価 調 査 の 事 例 の 蓄 積 3 地 域 住 民 を 評 価 主 体 とし 3 事 後 調 査 手 法 の 立 案 と 試 行 て 想 定 できる 事 例 手 引 き( 案 )の 構 成 1 目 的 意 義 2 景 観 整 備 の 効 果 とし て 想 定 される 項 目 3 調 査 手 順 方 法 ( 例 ) 4とりまとめの 手 法 5 事 後 評 価 調 査 の 事 例 集 次 年 度 以 降 の 検 討 展 開 他 の 効 果 への 展 開 ( 例 ) 1. 評 価 内 容 1 造 形 的 価 値 2 貨 幣 的 価 値 2. 評 価 主 体 1 来 訪 者 観 光 客 2 専 門 家 3 事 業 者 事 後 評 価 手 法 の 確 立 手 引 き( 案 )の 活 用 1 事 後 評 価 を 行 う 際 の 手 法 の 参 考 2 当 該 整 備 の 改 善 時 の 参 考 3 同 種 事 業 への 応 用 4 国 土 交 通 省 職 員 の 人 材 育 成 の 教 材 図 2-3 景 観 整 備 の 事 後 調 査 に 係 る 施 策 の 全 体 像 ( 本 調 査 の 位 置 づけ) 2-4

2.2 既 往 研 究 の 整 理 (1) 景 観 整 備 の 効 果 に 係 る 既 往 研 究 1) 既 往 研 究 の 概 要 既 往 研 究 で 主 に 事 後 評 価 の 対 象 としてきたのは 利 用 者 の 利 用 実 態 である そして こ れを 景 観 整 備 による 効 果 として 捉 え 定 性 的 に 事 後 評 価 を 測 定 したものが 多 かった この ように 定 性 的 な 分 析 に 留 めてきたことには 景 観 整 備 そのものによる 効 果 というものを 単 純 には 取 り 出 しにくいことや 効 果 となる 現 象 を 定 量 的 に 計 ることが 極 めて 困 難 であると いう 特 徴 が 背 景 にあると 思 われる 景 観 整 備 事 業 の 効 果 の 事 後 評 価 に 関 する 既 往 研 究 として 参 考 とするものは 以 下 の 論 文 である Ⅰ. 川 島 和 彦 小 島 勝 衛 根 上 彰 生 宇 於 崎 勝 也 拠 点 的 景 観 整 備 事 業 を 契 機 とした 景 観 整 備 の 波 及 誘 導 効 果 に 関 する 研 究 - 長 野 県 小 布 施 町 を 事 例 として- 第 32 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集 1997 Ⅱ. 安 仁 屋 宗 太 福 井 恒 明 篠 原 修 景 観 整 備 に 関 する 事 業 の 事 後 評 価 についての 研 究 - 浦 安 境 川 をケーススタディとして- 景 観 デザイン 研 究 講 演 集 No1 2005 Ⅲ. 後 藤 祐 樹 篠 原 修 景 観 整 備 に 関 する 複 合 的 事 後 評 価 手 法 の 研 究 ~ 津 和 野 川 をケース スタディとして 景 観 デザイン 研 究 講 演 集 No2 2006 Ⅳ. 平 成 17 年 度 景 観 整 備 事 業 の 事 後 評 価 手 法 に 関 する 調 査 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 平 成 18 年 3 月 Ⅴ. 福 井 恒 明 安 藤 義 宗 兼 子 和 彦 利 用 者 のコメントに 基 づく 景 観 整 備 効 果 の 分 析 景 観 デザイン 研 究 講 演 集 No2 2006 Ⅵ. 平 成 18 年 度 景 観 整 備 事 業 の 事 後 評 価 手 法 に 関 する 調 査 国 土 交 通 省 国 土 技 術 政 策 総 合 研 究 所 平 成 19 年 3 月 Ⅶ. 福 井 恒 明 角 真 規 子 鈴 木 洋 兼 子 和 彦 景 観 整 備 の 効 果 と 評 価 手 法 に 関 する 研 究 ~ 横 浜 汽 車 道 をケーススタディとして~ 景 観 デザイン 研 究 講 演 集 No3 2007 Ⅰの 研 究 は 長 野 県 小 布 施 町 で 行 われた 拠 点 的 な 景 観 整 備 事 業 を 対 象 に 1ヒアリン グ 及 び 住 民 対 象 のアンケート 調 査 による 住 民 意 識 に 及 ぼした 影 響 の 把 握 2 現 地 調 査 及 びヒアリング 調 査 による 整 備 効 果 としての 具 体 の 整 備 内 容 の 把 握 を 実 施 し 認 識 と 空 間 変 容 の 関 係 を 対 照 しながら 整 備 効 果 について 研 究 したものである Ⅱの 研 究 は 千 葉 県 浦 安 市 の 境 川 の 水 辺 整 備 事 業 を 対 象 に 1 周 辺 住 民 へのアンケー ト 調 査 による 整 備 の 認 知 度 活 動 頻 度 の 変 化 2 利 用 団 体 へのヒアリング 調 査 によ る 団 体 活 動 を 把 握 し 整 備 効 果 を 把 握 するとともに 設 計 者 の 意 図 を 基 準 に 効 果 の 定 性 的 な 評 価 を 行 っている Ⅲの 研 究 は Ⅱの 研 究 で 提 案 された 評 価 手 法 を 引 き 継 いだものであり 島 根 県 津 和 野 町 の 津 和 野 川 の 水 辺 整 備 事 業 を 対 象 に 1 周 辺 住 民 へのアンケート 調 査 による 認 知 個 人 評 価 活 動 実 態 変 化 2 利 用 団 体 へのヒアリング 調 査 による 団 体 活 動 を 把 握 2-5

し 整 備 効 果 を 把 握 するとともに 設 計 者 の 意 図 と 対 照 し 達 成 度 を 定 性 的 定 量 的 に 把 握 し 評 価 を 行 っている ⅣおよびⅤの 研 究 は 景 観 整 備 事 業 の 効 果 に 関 する 考 え 方 を 整 理 するため 雑 誌 記 事 に 掲 載 された 景 観 整 備 事 業 の 利 用 者 及 び 周 辺 住 民 のコメントから その 効 果 を 1) 施 設 利 用 効 果 2) 活 動 誘 発 効 果 3) 周 辺 波 及 効 果 4)コミュニティ 効 果 に 分 類 するととも に 価 値 軸 の 提 案 を 行 い 評 価 主 体 や 時 期 による 評 価 の 安 定 性 に 関 する 考 察 を 行 ってい る ⅥおよびⅦの 研 究 は これまでの 研 究 成 果 を 踏 まえ 1 計 画 設 計 者 へのヒアリング 調 査 2 利 用 者 へのアンケート 調 査 3 利 用 団 体 へのヒアリング 調 査 を 行 い 設 計 者 の 意 図 を 基 準 にした 効 果 の 定 性 的 な 分 析 と 定 量 的 な 評 価 を 行 ったものである 既 往 研 究 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ 表 2-1 既 往 研 究 概 要 ( 景 観 整 備 の 効 果 に 関 するもの) 調 査 対 象 調 査 手 法 調 査 内 容 分 析 結 果 長 野 県 小 布 施 町 の 拠 点 的 な 景 観 整 備 事 業 千 葉 県 浦 安 市 の 境 川 の 水 辺 整 備 事 業 島 根 県 津 和 野 町 の 津 和 野 川 の 水 辺 整 備 事 業 横 浜 汽 車 道 の 景 観 整 備 事 業 1 住 民 対 象 のアンケー ト 調 査 2 現 地 調 査 及 びヒアリ ング 調 査 1 周 辺 住 民 へのアンケ ート 調 査 2 利 用 団 体 へのヒアリ ング 調 査 1 周 辺 住 民 へのアンケ ート 調 査 2 利 用 団 体 へのヒアリ ング 調 査 雑 誌 記 事 に 掲 載 された 景 観 整 備 事 業 の 利 用 者 及 び 周 辺 住 民 のコメン ト 整 理 1 計 画 設 計 者 へのヒ アリング 調 査 2 利 用 者 へのアンケー ト 調 査 3 利 用 団 体 等 へのヒア リング 調 査 1 住 民 意 識 に 及 ぼした 影 響 の 把 握 2 整 備 効 果 としての 物 理 的 実 態 の 把 握 利 用 者 の 活 動 に 関 する 整 備 効 果 の 把 握 1 整 備 認 知 度 活 動 頻 度 変 化 2 団 体 活 動 利 用 者 の 活 動 に 関 する 整 備 効 果 の 把 握 1 個 人 評 価 個 人 活 動 2 団 体 活 動 認 識 と 空 間 変 容 の 関 係 を 対 照 し 整 備 効 果 について 分 析 設 計 者 の 意 図 を 基 準 にした 利 用 者 の 活 動 に 関 する 効 果 の 定 性 的 な 評 価 分 析 設 計 者 の 意 図 と 利 用 者 の 活 動 を 対 照 し 達 成 度 を 定 性 的 定 量 的 に 把 握 分 析 し 評 価 効 果 を 1) 施 設 利 用 効 果 2) 活 動 誘 発 効 果 3) 周 辺 波 及 効 果 4)コミュニティ 効 果 に 分 類 価 値 軸 を 提 案 評 価 主 体 や 時 期 による 評 価 の 安 定 性 に 関 し 考 察 1 計 画 設 計 の 意 図 の 把 握 23 利 用 実 態 の 把 握 2 利 用 者 評 価 ( 総 合 評 価 個 別 評 価 )の 把 握 設 計 者 の 意 図 を 基 準 にした 効 果 の 定 性 的 な 分 析 と 定 量 的 な 評 価 ⅠからⅢでは それぞれ 景 観 整 備 による 活 動 の 変 化 周 辺 空 間 の 変 容 があるこ とを 確 認 しており この 結 果 から まず 景 観 整 備 の 効 果 として 認 識 の 変 化 活 動 の 変 化 空 間 の 変 化 の 段 階 があることを 提 示 している 一 方 ⅣおよびⅤは 先 行 研 究 の 景 観 整 備 効 果 の 発 現 プロセスを 踏 まえ この 内 容 をより 詳 細 に 論 じたものである この 効 果 発 現 プロセスの 考 え 方 は 本 調 査 の 事 後 評 価 手 法 の 検 討 において 踏 襲 するも のであり 以 下 に 把 握 された 効 果 とその 基 準 の 考 え 方 を 整 理 する 2-6

2) 既 往 調 査 で 提 案 された 整 備 実 施 から 効 果 発 現 までのプロセス 安 仁 屋 らの 景 観 整 備 に 関 する 事 業 の 事 後 評 価 についての 研 究 - 浦 安 境 川 をケーススタ ディとして- (2005)によると 事 業 が 実 施 されてから 人 々の 日 常 生 活 に 対 する 効 果 の 発 現 までには 次 のような 段 階 があると 指 摘 されている 以 下 に 安 仁 屋 らの 提 案 にある 段 階 を 記 す 1 なんらかの 整 備 が 行 われると 整 備 によって 生 み 出 された 構 造 物 とその 周 辺 空 間 を 含 む 場 が 形 成 され その 場 に 訪 れることやメディア 等 を 通 して 情 報 を 得 ることで 直 接 ある いは 間 接 的 にその 場 を 認 知 する 2 そして この 整 備 や 場 に 直 接 あるいは 間 接 的 に 触 れることで 場 に 対 して 何 らかの 意 識 の 変 化 が 生 まれる 例 えば 居 心 地 がいい 歩 きやすい 見 晴 らしが 良 くな った など 印 象 を 評 価 することにより 起 こっていると 考 えられる 3 次 に 意 識 の 変 化 に 伴 い 場 を 利 用 する 際 に 何 らかの 活 動 の 変 化 が 生 まれる 例 えば 通 学 通 勤 散 歩 の 経 路 を 変 更 する 居 心 地 が 良 いので 休 憩 する などの 個 人 活 動 や 新 たなイベントの 開 催 などの 団 体 活 動 がこれを 表 していると 考 えられる 4 こうした 意 識 の 変 化 や 活 動 の 変 化 は 時 間 経 過 と 共 に 浸 透 し 周 辺 住 民 等 の 地 域 の 景 観 についての 認 識 を 深 め 結 果 的 に 周 辺 地 区 における 新 たな 整 備 に 際 して 場 の 雰 囲 気 に 合 わせて 建 物 や 街 路 等 がしつらえられ 空 間 の 変 化 につながっていくと 考 えられる ただし 234の 変 化 は 活 動 の 変 化 が 意 識 の 変 化 に 影 響 したり 空 間 の 変 化 が 意 識 や 活 動 の 変 化 に 影 響 したり 互 いにフィードバックし 合 う 関 係 にある 事 業 の 実 施 1 認 知 2 意 識 変 化 3 活 動 変 化 4 空 間 変 化 図 2-4 人 々の 日 常 生 活 に 対 する 効 果 の 発 現 段 階 表 2-2 景 観 整 備 効 果 の 各 段 階 の 評 価 指 標 例 段 階 評 価 指 標 2 意 識 変 化 印 象 活 動 3 活 動 変 化 個 人 活 動 - 徒 歩 休 憩 運 動 団 体 活 動 -イベント 清 掃 活 動 4 空 間 変 化 実 体 修 景 街 並 みの 変 化 2-7

3) 既 往 調 査 で 提 案 された 景 観 整 備 事 業 の 効 果 の 分 類 および 価 値 軸 福 井 らの 利 用 者 のコメントに 基 づく 景 観 整 備 効 果 の 分 析 (2006)では 景 観 整 備 事 業 の 効 果 を 大 きく4つに 分 類 し また 利 用 者 が 事 業 を 評 価 する 際 の 評 価 軸 として 大 きく5つ があることを 指 摘 している 以 下 に 福 井 らの 提 案 するそれぞれの 項 目 を 記 す < 景 観 整 備 事 業 の 効 果 > 1 施 設 の 個 人 的 利 用 に 与 える 効 果 ( 施 設 利 用 効 果 ) 2 施 設 を 活 かした 活 動 を 誘 発 する 効 果 ( 活 動 誘 発 効 果 ) 3 施 設 周 辺 の 空 間 に 与 える 効 果 ( 周 辺 波 及 効 果 ) 4 地 域 コミュニティに 与 える 効 果 (コミュニティ 効 果 ) このほか 利 用 者 や 住 民 が 景 観 整 備 を 認 識 することも 効 果 として 考 えられる これは 安 仁 屋 らの 言 う 利 用 者 の 意 識 変 化 に 相 当 するものであり 上 記 のような 効 果 の 前 段 階 として あるいは 上 記 の 効 果 の 結 果 として 見 出 されるものである < 評 価 軸 > 1 訪 れる 動 機 に 関 連 する 評 価 ( 誘 因 評 価 ) 2 行 為 を 担 保 する 施 設 の 機 能 やデザインに 関 する 評 価 ( 景 観 機 能 評 価 ) 3 地 域 性 に 基 づいた 施 設 デザイン 機 能 に 関 する 評 価 ( 地 域 性 評 価 ) 4 他 者 の 活 動 に 関 する 評 価 ( 他 者 評 価 ) 5 事 業 の 実 施 維 持 管 理 に 関 する 評 価 ( 事 業 認 識 評 価 ) ここに 示 す 評 価 軸 は 各 内 容 が 重 複 するものや 相 互 に 影 響 しあうものもあり 独 立 背 反 する 項 目 体 系 とはなっておらず さらなる 整 理 の 余 地 を 残 している 今 後 はこれらを 改 めて 精 査 し 評 価 軸 の 体 系 化 を 図 るとともに 対 象 によりどの 指 標 を 当 てはめることが 適 するかについてより 検 討 する 必 要 がある 2-8

(2) 基 本 方 針 ( 案 )に 基 づく 直 轄 公 共 事 業 の 事 後 評 価 に 係 る 既 往 研 究 ( 景 観 整 備 方 針 に 照 らした 事 後 評 価 ) 国 土 交 通 省 所 管 公 共 事 業 における 景 観 検 討 の 基 本 方 針 ( 案 ) ( 以 下 基 本 方 針 ( 案 )) によれば 事 後 評 価 は 基 本 的 に 事 業 完 了 後 数 年 程 度 が 経 過 した 後 に 事 業 により 形 成 された 景 観 について 当 該 事 業 の 景 観 整 備 方 針 ( 重 点 検 討 事 業 版 ) に 照 らして 実 施 す るもの と 説 明 している これを 踏 まえた 形 で 実 施 された 事 後 評 価 に 関 する 既 往 研 究 ( 報 告 )としては 以 下 の 論 文 が 挙 げられる Ⅷ. 平 井 節 生 菊 池 雅 彦 松 山 都 市 圏 の 幹 線 道 路 整 備 における 景 観 検 討 について 景 観 デザイン 研 究 講 演 集 No3 pp.151~162 2007 上 記 論 文 は 特 に 事 後 評 価 に 焦 点 を 当 てた 論 文 ではないが 景 観 検 討 の 一 環 として 実 施 した 事 後 評 価 について 簡 単 に 紹 介 している 同 事 業 は 景 観 アセスメント 試 行 対 象 事 業 であり 工 事 完 了 後 に 景 観 整 備 の 目 標 達 成 や 今 後 の 景 観 検 討 の 知 見 を 得 るために 第 1 期 線 完 了 時 と 全 線 完 了 時 の2 回 学 生 モニタ ーチームや 地 域 住 民 による 事 後 景 観 評 価 を 実 施 している その 結 果 高 架 橋 を 地 域 の 景 観 に 馴 染 ませるという 目 標 はおおむね 達 成 されていると 評 価 され また 事 後 景 観 評 価 にお いて 問 題 があると 指 摘 された 点 については その 後 施 工 される 小 坂 交 差 点 立 体 化 事 業 など の 際 に 実 際 に 改 善 を 試 みている 1)のⅠ~Ⅶまでの 論 文 が 主 に 景 観 整 備 の 効 果 ( 波 及 効 果 :アウトカム)を 扱 っている のに 対 して この 論 文 Ⅷ( 事 業 )で 扱 っている 事 後 評 価 は 景 観 アセスメント 試 行 時 に 作 成 した 景 観 整 備 方 針 に 照 らした 事 後 評 価 である つまり Ⅷの 論 文 が 扱 う 事 後 評 価 は 事 業 により 直 接 的 に 形 成 された 景 観 や 空 間 即 ち 景 観 整 備 方 針 に 基 づいて 実 施 された 整 備 の 直 接 的 結 果 (アウトプット)を 扱 っていると 考 えることができる 2-9

2.3 事 後 評 価 の 切 り 口 の 整 理 以 上 前 節 までの 事 後 評 価 の 位 置 づけ 及 び 既 往 研 究 レビューを 踏 まえ 事 後 評 価 の 切 り 口 を 以 下 の 通 り 整 理 した (1) 景 観 整 備 効 果 の 分 類 既 往 研 究 ⅠからⅦでは 景 観 整 備 の 効 果 ( 波 及 効 果 )について 主 として 住 民 意 識 ( 個 人 評 価 利 用 者 評 価 ) 利 用 者 の 活 動 ( 利 用 実 態 ) 物 理 的 実 態 に 着 目 して 調 査 研 究 を 行 っている 特 に 既 往 研 究 Ⅳ 及 びⅤでは 景 観 整 備 効 果 の 発 現 プロセスに 着 目 して 認 知 意 識 変 化 ( 個 人 評 価 利 用 者 評 価 ) 活 動 変 化 空 間 変 化 に 分 類 して 論 じてい る 意 識 変 化 とは 事 業 の 直 接 的 結 果 ( 整 備 内 容 )に 対 する 何 らかの 印 象 評 価 と 捉 えることが 可 能 である 発 現 プロセスを 踏 まえたこの 景 観 整 備 効 果 の 分 類 の 考 え 方 は 本 調 査 の 事 後 評 価 手 法 の 検 討 において 踏 襲 できるものであると 考 えられる 一 方 既 往 研 究 Ⅷは 景 観 アセスメント 試 行 事 業 を 対 象 に 計 画 設 計 意 図 ( 景 観 整 備 方 針 )に 照 らして 景 観 整 備 の 結 果 に 対 する 評 価 を 扱 ったものである( 既 往 研 究 Ⅰ~Ⅶの 一 部 でも 計 画 設 計 者 へのヒアリングにより 計 画 設 計 意 図 の 確 認 を 行 った 上 で それに 照 らした 評 価 を 行 っている 例 が 見 られる) したがって 基 本 方 針 ( 案 ) に 基 づく 国 土 交 通 省 所 管 公 共 事 業 における 事 後 評 価 の 考 え 方 として 参 考 にすることができると 考 えられる なお 既 往 研 究 Ⅷは 上 記 分 類 の 考 え 方 に 照 らせば 事 業 の 直 接 的 結 果 ( 整 備 内 容 )に 対 する 意 識 変 化 ( 印 象 評 価 )を 扱 った ものと 捉 えることができる (2) 景 観 整 備 効 果 の 把 握 手 法 及 び 評 価 軸 上 記 の 事 後 評 価 の 研 究 で 得 られた 景 観 整 備 効 果 を 景 観 整 備 効 果 の 把 握 手 法 の 側 面 から 見 て 整 理 すると 次 頁 表 ( 表 2-3 参 照 )の 通 り 捉 えることができる 2-10

表 2-3 景 観 整 備 効 果 の 分 類 と 効 果 の 把 握 手 法 の 関 係 ( 既 往 研 究 による) 景 観 整 備 効 果 の 分 類 観 察 によって 意 見 聴 取 (アンケート 等 ) 評 価 軸 把 握 する 効 果 によって 把 握 する 効 果 1 認 知 - 訪 れる 動 機 に 関 連 する 評 価 ( 誘 因 評 価 ) 行 為 を 担 保 する 施 設 の 機 能 やデザインに 関 する 評 価 ( 景 観 機 能 評 価 ) ( 効 果 の 発 現 プロセスを 仮 定 すれば 活 動 変 化 や 空 間 2 意 識 変 化 地 域 性 に 基 づいた 施 設 デザ 変 化 の 実 態 把 握 を 通 じて ( 印 象 評 価 ) イン 機 能 に 関 する 評 価 間 接 的 に 意 識 変 化 を 扱 う ( 地 域 性 評 価 ) 他 者 の 活 動 に 関 する 評 価 ( 他 者 評 価 ) ことは 可 能 だが 左 記 評 価 軸 に 照 らした 詳 細 な 評 価 は 観 察 では 把 握 不 可 ) 事 業 の 実 施 維 持 管 理 に 関 する 評 価 ( 事 業 認 識 評 価 ) 3 活 動 変 化 4 空 間 変 化 *どのような 変 化 又 どの 程 度 の 変 化 を 持 って 現 れた 効 果 を 評 価 するのか 評 価 軸 については 検 討 課 題 とし て 残 されている ( 本 調 査 では これらの 景 観 整 備 効 果 を 把 握 する 手 法 を 主 に 取 扱 っており その 評 価 軸 指 標 等 については 今 後 更 に 詳 細 な 調 査 研 究 が 必 要 である ) ( 活 動 実 態 を 観 察 により 捉 えられるが 変 化 を 捉 える ためには アンケート 等 が 必 要 ) ( 空 間 の 実 態 は 観 察 により 捉 えられるが 変 化 を 捉 え るためには 事 前 及 び 事 後 の 比 較 又 は アンケート 等 が 必 要 ) 本 調 査 では 3-1. 観 察 によって 把 握 できる 効 果 ( 人 の 活 動 や 周 辺 環 境 の 物 理 的 変 化 など)の 位 置 づけ 及 び 把 握 手 法 検 討 において 主 な 景 観 整 備 効 果 ( 波 及 効 果 )として3 活 動 変 化 及 び4 空 間 変 化 に 着 目 し 第 4 章 のケーススタディを 実 施 した ただし ケー ススタディの 実 施 においては 上 記 3 4の 効 果 を 意 見 聴 取 により 詳 細 に 把 握 することが 可 能 なため 1 認 知 及 び2 意 識 変 化 ( 印 象 評 価 )に 関 する 調 査 も 併 せて 実 施 した また 3-2. 意 見 聴 取 (アンケート 等 )によって 把 握 できる 効 果 ( 地 域 住 民 や 利 用 者 の 評 価 など)の 位 置 づけ 及 び 把 握 手 法 の 検 討 では 主 に 景 観 整 備 の 直 接 的 結 果 ( 整 備 内 容 )に 対 する 評 価 ( 景 観 整 備 方 針 に 照 らした 事 後 評 価 ) 2 意 識 変 化 ( 印 象 評 価 )を 扱 い プレ 調 査 を 実 施 し その 結 果 を 同 節 3-2.に 整 理 した (3) 景 観 整 備 の 結 果 (アウトプット)と 効 果 (アウトカム) 政 策 評 価 等 で 用 いられる 場 合 一 般 に アウトプット とは ある 政 策 施 策 事 業 等 による 直 接 的 物 理 的 な 結 果 のことを 言 う 景 観 整 備 事 業 においては 景 観 整 備 の 直 接 的 結 果 ( 整 備 内 容 )がこれに 相 当 する 一 方 アウトカム とは 上 記 アウトプットを 意 味 や 価 値 に 置 き 換 えて 捉 えた 成 果 のことを 言 う これに 照 らして 考 えると 既 往 研 究 Ⅰ~Ⅶにおける 事 後 評 価 は 主 としてアウトカム 評 価 としての 位 置 づけであり 既 往 研 究 Ⅷは アウトプット 評 価 と 位 置 づけることができる この 考 え 方 も 今 後 の 事 後 評 価 における 成 果 の 捉 え 方 として 参 考 にすることができると 考 えられる 2-11