漢 方 薬 を 服 用 する 為 の 基 礎 知 識 Q1. 近 頃 漢 方 薬 を 飲 んでいる 人 が 増 えましたがどのようなものですか? なんにでも 漢 方 薬 で 効 くのでしょうか? A1. 漢 方 薬 を 服 用 している 服 用 してみたい 方 はたくさんいます しかし そのような 方 の 中 には 漢 方 薬 の 本 質 を 知 らずに 間 違 って 使 われている 方 も 多 く 見 受 けられます 誤 った 知 識 や 服 用 では 漢 方 薬 の 力 を 十 分 に 発 揮 できないば かりか 場 合 によっては 体 に 害 を 及 ぼすこともあります 漢 方 薬 は 自 覚 症 状 が あればそれだけで 適 応 があります しかし 一 般 的 によい 適 応 ということになる と 漢 方 薬 を 優 先 して 使 ってよいということですね 大 きくわけると 5 個 に 分 けられると 思 います 1 つ 目 は 免 疫 的 な 異 常 (アレルギーとかです) 2つ 目 は 虚 弱 体 質 (かぜを 引 きやすいなどです) 3つ 目 は 心 身 症 傾 向 ( 落 ち 込 みやすい 等 です)のある 方 4つ 目 は 現 代 医 学 的 治 療 で 副 作 用 が 生 じやすい 方 (ご 高 齢 者 とかです) 5つ 目 は 現 代 医 学 的 治 療 が 無 効 だった 方 です 現 代 医 学 的 治 療 で 速 やかに 改 善 する 可 能 性 の 大 きい 方 や 悪 性 腫 瘍 などで 手 術 適 応 が 明 確 な 方 緊 急 度 が 高 い 方 などを 除 けはほぼ 適 応 があります Q2. 漢 方 薬 の 原 料 はなんですか? 中 国 で 行 われている 医 学 ですか? A2. 漢 方 薬 の 原 料 は 意 外 と 身 近 にあります 生 姜 シナモン ハッカ ナ ツメ ミカンの 皮 ベニバナなど 非 常 に 親 近 感 のある 植 物 が 数 多 く 漢 方 薬 の 原 料 として 用 いられています 漢 方 薬 は 何 種 類 を 混 ぜ 合 わせて 作 られています しかし ただ 単 に 何 でもかんでも 混 ぜているのではなく 厳 格 な 規 則 により 行 われています 漢 方 薬 というと 中 国 が 本 場 のような 気 がしますし 日 本 はそれ を 真 似 して 使 っていると 思 っている 人 がけっこういます しかし 実 は 漢 方 と いう 言 葉 は 明 治 に 日 本 で 作 られた 言 葉 で 中 国 では 漢 方 という 言 葉 は 用 いず 中 医 学 と 呼 んでいます つまり 漢 方 という 言 葉 を 簡 単 に 説 明 すれば 日 本 の 伝 統 医 学 と 言 うことになります 漢 方 薬 の 基 礎 は 今 から2000 年 ほど 前 の 中 国 漢 時 代 に 張 仲 景 という 人 によ り 完 成 されたと 言 われています その 人 の 書 いたと 言 われている 傷 寒 論 と いう 書 物 は 漢 方 研 究 家 にはバイブルのように 重 要 な 書 物 となっていますが 日 本 には 奈 良 時 代 以 前 に 遣 唐 使 遣 隋 使 により 教 典 や 薬 と 一 緒 に 日 本 に 持 ち 込 ま
れました 奈 良 の 正 倉 院 には 現 在 でも 当 時 の 貴 重 な 薬 が 保 管 されているのは 有 名 です その 後 鎌 倉 室 町 江 戸 と 中 国 からきた 医 学 は 日 本 の 国 民 性 と 風 土 に 合 うように 研 究 改 良 そして 発 展 しながら 現 代 に 至 っています 漢 方 は 古 代 中 国 医 学 を 起 源 とし その 流 れを 汲 む 新 しい 日 本 の 伝 統 医 学 のことです Q3.どのような 人 が 受 診 されているのですか? A3. 治 療 の 対 象 は, 主 に 西 洋 医 学 的 に 異 常 所 見 を 認 めない 不 定 愁 訴 群 の 方 が 多 いですね 当 院 ではすでに 多 くの 医 療 機 関 を 受 診 されていて 一 定 の 治 療 効 果 はみられるものの 患 者 さんに 充 足 感 がなく 自 覚 症 状 がなくならないとい う 例 が 他 科 から 紹 介 されます その 他 にも 何 年 も 続 いていた 症 状 が 消 えてし まったという 患 者 さんの 口 コミから 漢 方 治 療 を 希 望 される 方 も 少 なくありま せん 患 者 さんの 年 齢 は 赤 ちゃんから 高 齢 者 まで 幅 広 く 5 対 1 で 女 性 優 位 で な かでも 20 歳 代 と 40 歳 代 が 多 いと 思 います いわゆる 自 律 神 経 失 調 症 や 更 年 期 障 害 心 身 症 身 体 表 現 性 障 害 などで 高 齢 者 では 多 くの 診 療 科 を 受 診 され 多 剤 投 与 を 受 けている 人 もいます 最 近 では 投 薬 数 が 28 剤 という 例 もありました 十 全 大 補 湯 という 漢 方 薬 をお 出 ししたところ 現 在 5 剤 で 安 定 しているような 患 者 さまもいらっしゃいます また 現 代 の 社 会 状 況 を 反 映 して 自 律 神 経 失 調 症 と 診 断 されている 方 も 多 いようです 西 洋 医 学 では 安 定 剤 を 使 用 するのですが 若 い 人 にこのお 薬 を 使 用 するとどうしても 日 常 生 活 で 眠 気 が 問 題 となり 来 院 され る 方 も 多 いです このように 西 洋 医 学 では 先 に 進 めないという 状 況 を 打 破 す るには 漢 方 薬 は 非 常 に 有 用 だと 思 います Q4. 漢 方 薬 を 決 めるときはどうするのですか? A4. 漢 方 薬 を 服 用 するためには 漢 方 医 学 の 診 断 方 法 である 証 に 基 づい て 漢 方 薬 を 決 めなければなりませんが それをここで 書 くとチンプンカンプン になるのでやめておきます ただ 漢 方 薬 ならば 誰 が 飲 んでも どんな 病 気 に も 大 丈 夫 であるという 考 え 方 は 間 違 っています 漢 方 薬 は 人 間 の 経 験 が 蓄 積 さ れてできあがった 薬 です 新 薬 ならば 動 物 実 験 などを 行 って 有 効 性 や 安 全 性 を 確 かめるような 事 を 行 いますが 漢 方 薬 の 場 合 はいきなり 人 体 実 験 でした 科 学 が 発 展 していなかった 時 代 ですから 致 し 方 ないのですが 現 在 私 たちが 用
いている 漢 方 薬 もそのような 多 くの 人 体 実 験 を 繰 り 返 して 完 成 されたものです 十 分 な 薬 やまともな 医 療 の 無 かった 時 代 ですから たぶん 多 くの 方 の 犠 牲 の 上 に 今 の 漢 方 薬 が 作 られたのでしょう それだけに 漢 方 薬 の 用 い 方 には 慎 重 で 薬 は 毒 であり 偏 ったものである という 考 えを 基 本 に 有 効 な 作 用 だけで なく 有 害 な 作 用 にも 絶 えず 気 を 配 って 処 方 を 決 定 しています Q5. 漢 方 薬 を 決 めるときに 重 視 するものは?またデメリットは? A5. 先 ほど 漢 方 薬 は 漢 方 医 学 の 診 断 方 法 である 証 に 基 づいて 決 めると いいましたが つまり 人 間 の 五 感 に 頼 っています 血 圧 計 レントゲン 体 温 計 や 検 査 技 術 の 無 い 当 時 ではそれしか 方 法 がなかったわけです 検 査 技 術 が 発 展 した 現 代 でも 昔 とほとんど 変 わらない 診 断 方 法 により 漢 方 薬 を 決 定 します 漢 方 薬 を 決 めるには 病 名 を 決 めるよりも 病 人 の 訴 えや 自 覚 症 状 他 覚 症 状 を 総 合 的 にとらえて 判 断 しています ですから 診 断 能 力 そのもの 現 代 医 学 とは 比 べようもありません がんを 早 期 に 発 見 できるわけではないし 血 液 生 化 学 的 な 異 常 も 認 識 できない む しろ 漢 方 医 学 は 不 備 の 多 い 医 学 です 実 際 に 胃 がんの 人 の 腹 痛 に 漢 方 薬 を 使 うと 痛 みが 消 えてしまう これは 患 者 さんにとっては 大 変 なデメリットです このことをふまえた 上 で 私 たちは 西 洋 医 学 的 診 断 を 行 ったうえで 漢 方 医 学 的 な 診 断 を 行 います また 医 業 を 行 う 上 の 生 命 線 ともいえる 薬 をいかにうまく 使 ってあげられる かを 考 えて 西 洋 薬 漢 方 薬 あるいは 両 者 を 併 用 するなど 患 者 さまに 一 番 メリ ットのある 方 法 を 考 えています これにより 幅 広 く 患 者 さんの 訴 えに 対 応 でき るようになると 思 います Q6. 漢 方 診 療 を 行 うメリットは 何 ですか? A6. 患 者 さんとのコミュニケーションがよくなりますね 先 日 も 腹 痛 で 受 診 した 患 者 さんいました 2 年 前 より 続 いているとのこと すでにいくつもの 病 院 を 受 診 されていました よく 聞 いてみると 息 子 さんが 2 年 前 に 就 職 して 一 人 になってしまい 体 調 がよくないと 話 してくれました 通 常 行 っている 初 診 では なかなかそこまでは 話 してくれません ほかの 病 院 でお 話 されましたか 聞 いた ところ そんなこと 聞 かれないから 話 していなかったそうです 患 者 さんとの コミュニケーションがとてもよくなることが 漢 方 治 療 の 良 さかもしれません
自 分 のからだを 一 番 知 っているのは 患 者 さんご 本 人 です 訴 えをうまく 表 現 できない 人 からその 症 状 を 引 き 出 してあげるのが 医 師 の 働 きであり 的 確 に 症 状 の 変 化 を 読 み 取 れるのは 患 者 さん 自 身 だからです 話 したいことがあっても なかなか 話 しづらい 状 況 やご 本 人 自 身 が 関 係 ないことと 思 っていたことなどを 築 かせてあげることができる 等 がメリットではないでしょうか Q6. 基 幹 病 院 で 漢 方 外 来 を 行 う 理 由 について A6. 現 代 医 療 の 中 で 今 後 漢 方 医 学 と 西 洋 医 学 の 融 合 が 求 められると 思 います 社 会 の 急 激 な 変 化 人 口 の 高 齢 化 は さまざまな 成 人 病 の 増 加 をもたらしました これらの 疾 患 はつねに 慢 性 に 経 過 し 急 性 熱 性 の 感 染 症 には 大 きなカを 発 揮 した 西 洋 医 学 においても その 治 療 には 難 渋 し 概 して 有 効 適 切 な 治 療 法 を 欠 く 場 合 も 多 くなってきています また 7 割 以 上 の 医 師 が 日 常 の 診 療 に 漢 方 薬 を 用 いていますが 漢 方 医 学 の 考 え 方 に 基 づいて 処 方 されているとは 言 いがたい 状 態 です 漢 方 薬 は 漢 方 医 学 の 使 い 方 で 最 も 効 果 が 現 れます 医 療 経 済 の 面 でも 安 価 な 漢 方 薬 が 見 直 され 最 近 では 欧 米 諸 国 では 代 替 相 補 医 療 が 多 く 研 究 されています その 動 きの 中 で 個 別 的 な 対 応 に 優 れる 漢 方 医 学 に 関 心 が 寄 せられるようになってきました 幸 い 私 のいる 金 沢 医 科 大 学 病 院 は 西 洋 医 学 にたけた 先 生 方 が 後 ろについてい ます 西 洋 医 学 のすばらしい 診 察 治 療 方 法 に 多 くの 経 験 を 持 つ 漢 方 医 学 を 加 えることで 患 者 さんに 最 善 の 医 療 を 提 供 するためにも 基 幹 病 院 での 漢 方 外 来 が 必 要 になってきています Q7.ストレスと 漢 方 の 関 係 について? A7.まず ストレス という 言 葉 の 定 義 から 入 りましょう 1935 年 に ハンス セリエが 体 外 から 加 えられた 要 求 に 対 する 身 体 の 非 特 異 的 な 反 応 刺 激 に 対 して 反 応 し 歪 みを 起 こした 状 態 と 定 義 しています このストレスが 体 調 に 影 響 する 状 態 とは その 個 人 の 持 つ 適 応 能 力 をはるか に 越 えるような 状 態 が 長 く 続 くことで 過 度 の 緊 張 状 態 に 陥 らせ ついには 疲 弊 させてしまうことです このことは 現 在 だけでなく 昔 から 考 えられていまし た 漢 方 でのストレスの 考 え 方 は 中 国 の 古 代 思 想 を 理 解 しなければなりません しかしこれを 理 解 するのは 至 難 の 技 です
できるだけ 簡 単 にお 話 しします 古 代 の 人 達 は 自 然 界 のすべての 物 事 や 現 象 を 木 火 土 金 水 という 五 種 類 の 物 質 の 運 行 と 変 化 として 認 識 していま した 人 と 自 然 界 の 関 係 を 解 釈 する 手 段 としての 五 行 は 人 体 の 生 理 病 理 病 因 診 断 薬 物 治 療 面 で 多 大 の 影 響 を 与 えている 考 え 方 です 同 様 に 人 間 の 持 つ 感 情 も 大 きく5つに 分 けています 喜 怒 憂 悲 恐 の5 種 類 です 外 界 からのいろんな 精 神 的 刺 激 が 過 度 であったり 長 く 続 き 精 神 が 過 度 に 興 奮 したり 抑 制 されたりすると 人 体 のバランスが 失 調 して 発 病 すると 考 えました ストレスの 原 点 となる 考 え 方 をお 話 します 昔 から 断 腸 の 想 い とか は らわたが 煮 えくり 返 る などの 言 葉 があります これは 心 の 問 題 が 体 に 影 響 を 与 えるという 今 風 に 言 うと 心 身 症 に 相 当 すると 思 います このように 心 と 体 は 密 接 に 関 連 していると 言 うことがわかります 漢 方 の 考 え 方 に 心 身 一 如 とい う 考 え 方 が 当 てはまります この 心 身 一 如 と 心 身 症 の 決 定 的 な 違 いは 心 身 症 は 心 と 体 をあくまでも 意 識 的 に 結 びつけるのに 対 し 心 身 一 如 とははじめから ひとつと 扱 っているところです ですから 心 と 体 の 関 連 をあえて 意 識 していま せん たとえは 顏 が 真 っ 赤 にのぼせ 頭 痛 がし 不 眠 を 訴 える 人 を 漢 方 では 気 が 上 衡 していると 考 え 黄 連 解 毒 湯 などを 処 方 します つまり のぼせ 頭 痛 というからだの 問 題 と 不 眠 という 心 の 問 題 を 同 じ 次 元 で 取 り 扱 ってしまいます では ストレス 疾 患 とはなんでしょう?ストレス 疾 患 には 1) 身 体 に 現 れる 心 身 症 2) 心 の 不 調 として 表 れる 神 経 症 やうつ 病 3) 生 活 習 慣 の 乱 れによる 生 活 習 慣 病 などがあります それぞれに 応 じた 漢 方 薬 があります 近 代 医 学 は 病 気 の 原 因 を 究 明 し それを 取 り 除 くことに 主 眼 をおいてきま した その 結 果 多 くの 感 染 症 は 克 服 されたが 反 面 で 心 身 症 やアレルギー 疾 患 老 化 動 脈 硬 化 など 治 療 が 難 しい 病 態 が 新 たに 現 われてきました さらに 訴 えがあるのに 検 査 成 績 に 異 常 がないという 理 由 だけで 治 療 の 対 象 から 外 されてしまったりします そこに 患 者 の 自 覚 症 状 を 最 大 限 に 汲 み 上 げ 生 体 の 歪 みを 補 正 し 恒 常 性 の 維 持 をめざす 東 洋 医 学 の 視 点 が 生 かせるのが 漢 方 の 特 徴 です Q8.ストレスのタイプ 別 漢 方 処 方 < 具 体 的 実 践 的 なアドバイスを> A8. 漢 方 薬 はひとりひとりの 個 人 差 を 重 視 し 体 質 や 病 気 の 状 態 を 見 極 め ながら 最 適 な 漢 方 薬 を 使 い 分 けていきます 同 じ 病 名 でも 同 じ 薬 を 使 うとは 限
りません ストレス 疾 患 に 使 う 漢 方 薬 としては 半 夏 厚 朴 湯 柴 胡 桂 枝 乾 姜 湯 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 加 味 逍 遥 散 大 柴 胡 湯 四 逆 散 真 武 湯 などザーと 思 い 浮 かぶだけでも20 処 方 は 出 てきます 例 えば イライラを 感 じている 方 を 例 に とると 体 格 がよく 舌 に 黄 色 いコケがあります 肩 こり 頭 痛 を 認 めるような 人 には 大 柴 胡 湯 この 症 状 にのぼせるような 症 状 があれば 黄 連 解 毒 湯 イライラを 感 じているときにそれを 表 現 してしまい 同 僚 や 子 供 にあったってしまう 人 には 加 味 逍 遥 散 逆 に 溜 め 込 んでしまう 人 には 抑 肝 散 イライラしていることが 自 分 では 自 覚 できずに 下 痢 や 便 秘 として 症 状 が 出 てきてしまう 人 には 四 逆 散 イライラしていることで 落 ち 込 んでしまう 人 には 柴 胡 加 竜 骨 牡 蛎 湯 などを 使 っています 一 つの 症 状 をとってもいろいろな 漢 方 薬 で 治 療 していきます また 症 状 の 進 行 度 においても 処 方 を 変 えていきます 長 い 間 同 じ 薬 を 使 うこともあります が ほとんどの 場 合 症 状 が 変 われば 薬 を 変 えてしまうことが 多 いですね Q9. 冬 に 向 けての 漢 方 について 教 えて A9.1) 冷 え 症 の 漢 方 足 が 冷 えると 良 く 眠 れないとか 冷 房 に 当 たるとすぐに 体 調 を 壊 してしまう とか 手 足 は 冷 えているのに 顏 はのぼせるなどの 症 状 を 訴 える 人 が 特 に 女 性 で 多 くみられます このように 体 が 冷 えることを 冷 え 性 と 言 いますが 西 洋 医 学 的 にはこれを 病 気 ととらえていませんから 血 行 不 良 を 改 善 する 末 梢 循 環 改 善 剤 やビタミン 剤 を 処 方 します 漢 方 は 冷 え 性 を 病 気 ととらえているのでそれ ぞれの 症 状 に 応 じた 処 方 があります 漢 方 の 治 療 法 は 東 洋 医 学 では 冷 え 症 を 大 きく3つに 分 けて 治 療 しています 1 血 液 循 環 が 悪 く 手 先 や 足 先 が 冷 えるタイプ 2 体 内 の 水 分 代 謝 が 悪 くむくみを 伴 うタイプ 3 新 陳 代 謝 が 低 下 して 熱 がじゅうぶん 作 れなくなっているタイプ こうしたタイプを 基 本 に 頭 痛 や 肩 こり 腰 痛 下 痢 便 秘 などの 症 状 を 見 な がら 漢 方 薬 を 決 定 していきます 冷 え 症 の 治 療 に 用 いる 漢 方 薬 は 沢 山 あります 冷 え 症 とともに 現 れる 症 状 を 考 えて 処 方 しています たとえば 当 帰 四 逆 加 呉 茱 萸 生 姜 湯 や 当 帰 芍 薬 散 は 血 行 を 良 くします 加 味 逍 遙 散 桂 枝 茯 苓 丸 や 温 経 湯 などはうっ 血 をとりのぞく 効 果 があります
また 疲 れやすい 場 合 などに 用 いるのは 苓 姜 朮 甘 湯 や 補 中 益 気 湯 呉 茱 萸 湯 な どです 加 齢 による 腰 痛 や 夜 間 頻 尿 には 八 味 地 黄 丸 が さらに 尿 の 出 が 悪 い 時 には 牛 車 腎 気 丸 を 使 います まためまい 感 や 下 痢 を 伴 っていれば 真 武 湯 を 用 い ます しかし 本 当 に 適 切 な 治 療 を 行 うためには 漢 方 の 診 察 ができる 医 師 の 診 療 を 受 けることが 良 いのはいうまでもありません 2) 感 冒 気 温 も 下 がり 空 気 も 乾 燥 してくると 風 邪 をひく 人 が 増 えてきます 風 邪 と いうととても 単 純 な 病 気 のように 思 っている 人 が 多 いですが 同 じ 風 邪 でも 人 によって 症 状 も 経 過 も 千 差 万 別 で 個 々の 病 人 に 対 してそれぞれ 適 した 治 療 を 行 う 漢 方 の 最 も 力 を 発 揮 できる 病 気 の1つでもあります また 現 代 医 学 ではいまもって 適 切 な 風 邪 の 治 療 法 というものはありません 日 本 漢 方 の 原 典 であります 傷 寒 論 という 書 物 は 後 漢 の 時 代 に 編 纂 されたと されておりますが この 書 物 は 急 性 熱 性 疾 患 の 治 療 法 を 病 気 の 経 過 をおって 述 べたものであります 傷 寒 論 に 述 べてある 治 療 法 は 現 在 の 風 邪 にも 非 常 に 良 く 当 てはまり 漢 方 での 風 邪 の 治 療 とは ほとんどが 傷 寒 論 に 沿 った ものであります 有 名 な 漢 方 薬 に 葛 根 湯 という 薬 がありますが この 薬 も 傷 寒 論 に 記 載 されている 薬 です 風 邪 の 初 期 に 用 いる 漢 方 薬 の 代 表 的 なもの (1) 葛 根 湯 : 悪 寒 発 熱 があり 首 のうしろの 凝 りがあり 汗 が 出 にくい 時 に 用 いる ただし この 薬 には 麻 黄 という 生 薬 が 配 合 されており 麻 黄 という 生 薬 が 配 合 されている 薬 は 一 般 に 胃 腸 が 極 端 に 弱 い 人 が 飲 むと 食 欲 不 振 吐 き 気 など 胃 腸 障 害 を 起 こすことがあり また 狭 心 症 など 虚 血 性 心 疾 患 が ある 場 合 は 狭 心 症 を 誘 発 する 可 能 性 があるので 用 いない 方 がよい 前 立 腺 肥 大 がある 場 合 には 尿 閉 排 尿 困 難 などを 起 こすこともあります (2) 麻 黄 湯 : 葛 根 湯 を 用 いる 場 合 よりも 症 状 が 強 く 強 い 悪 寒 発 熱 があり 関 節 痛 腰 痛 などがある 場 合 に 用 います インフルエンザの 治 療 薬 としても 注 目 されています (3) 桂 枝 湯 : 葛 根 湯 などを 飲 むと 胃 腸 障 害 を 起 こすような 平 素 虚 弱 な 人 で 軽 い 悪 寒 発 熱 があり 自 然 に 汗 が 出 るような 場 合 に 用 います
(4) 香 蘇 散 : 平 素 虚 弱 な 人 や 高 齢 者 の 風 邪 の 初 期 によく 用 いる 薬 で 非 常 に 軽 く 飲 みやすい 薬 だが 風 邪 を 引 いたかなというくらいの 時 にすぐに 飲 むと 非 常 に 気 持 ちよく 効 く 薬 です (5) 麻 黄 細 辛 附 子 湯 : 風 邪 の 引 き 初 めから ぞくぞくと 寒 気 ばかりして 体 温 計 で 体 温 を 測 れば 熱 があるが 自 覚 的 には 熱 感 を 感 じないような 時 に 用 いま す 3) 暴 飲 暴 食 (2 日 酔 い) 一 に 養 生 二 に 薬 という 言 葉 がありますが 多 くの 人 々はそれを 守 らず 病 気 になったら 薬 にたよって 治 そうとします 私 達 の 健 康 は 日 常 の 食 事 に 大 き く 左 右 されます 極 端 にいえばすべての 病 気 は 食 事 のあやまりから 起 こってく るといってもいい 過 ぎではないでしょう 食 べ 物 はいろいろな 栄 養 素 がうまく そろって 調 和 し 始 めて 人 間 の 健 康 に 生 きてゆくのです 世 の 中 には 栄 養 不 良 でいるよりも 食 べ 過 ぎて 体 をこわしている 人 の 方 がずっと 多 いのです テレビ で 冬 に 宣 伝 する 漢 方 胃 腸 薬 は 安 中 散 と 芍 薬 カンゾウ 湯 を 合 わせたものです 腹 痛 には 良 いですね またビールを 飲 みすぎておなかを 冷 やし 下 痢 するような 場 合 には 真 武 湯 がいいと 思 います 同 じ 下 痢 をするのでも 精 神 的 に 緊 張 が 強 いら れていると 思 ったら 半 夏 瀉 心 湯 です あと 飲 みすぎの 二 日 酔 いには 五 苓 散 がいいと 思 います 飲 む 前 に 黄 蓮 解 毒 湯 を 飲 んでおくとあまり 悪 酔 いはしないみたいです 4) 皮 膚 の 乾 燥 空 気 が 乾 燥 する 冬 は 皮 膚 も 乾 燥 し 痒 みを 感 じる 人 が 多 くなります 温 度 が 下 がると 皮 膚 の 汗 腺 皮 脂 腺 ともに 分 泌 が 減 り 皮 膚 が 乾 燥 します 特 に 高 齢 者 の 方 は 皮 膚 が 乾 燥 しやすいため 痒 みを 感 じやすくなります 特 に 湿 疹 もなく 発 赤 もなく 皮 膚 が 乾 燥 し ただただ 痒 みがある こういう 場 合 はいわゆる 皮 膚 掻 痒 症 です こういった 痒 みは 全 身 に 出 ますが 特 に 下 腿 に 出 ることが 多 い ようです このような 症 状 が 出 た 場 合 は まず 加 湿 器 などで 空 気 の 乾 燥 を 防 ぎ スキンケアとしてスキンクリーム オイル 等 で 皮 膚 の 乾 燥 を 防 ぐことが 大 事 です 高 齢 者 の 掻 痒 症 では 当 帰 飲 子 (トウキインシ)という 処 方 を 用 いるこ とがよくあります この 処 方 を 用 いる 場 合 は 皮 膚 にあまり 所 見 が 無 く( 発 赤 湿 疹 などが 無 く) 皮 膚 が 枯 燥 していることが 特 徴 です 高 齢 者 でなくとも 皮 膚 の 痒 み 枯 燥 を 目 標 に 用 いることもありますが 処 方 の 中 に 地 黄 (ジオウ)と いう 生 薬 が 含 まれているため 胃 腸 の 極 端 に 弱 い 人 は 用 いない 方 が 良 いでしょ
う 地 黄 は 滋 養 強 壮 滋 潤 の 効 果 のある 重 要 な 生 薬 ですが 胃 腸 の 弱 い 人 が 服 用 すると 食 欲 が 無 くなったり 下 痢 をしたりという 胃 腸 障 害 を 起 こすことが あるので 注 意 が 必 要 です