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じめが 起 きやすいことも 挙 げられる よって 学 級 内 の 人 間 関 係 も 影 響 して いじめ 被 害 者 は 周 囲 の 大 人 へ 助 けを 求 められない 心 理 状 況 に 陥 りやすく ますます 見 えないものとなり 横 暴 化 して いく そういった 状 況 になってしまってからでは 教 師 の 介 入 は 難 しいものとなる そのような 状 況 になる 前 の 予 防 的 開 発 的 な 手 立 てが 絶 対 的 に 必 要 になる 3. 子 ども 間 にある 関 わりの 問 題 いじめ 問 題 に 向 き 合 う 教 師 にとって いじめのメカニズムと 主 たる 要 因 に 着 目 することは 非 常 (5) に 重 要 である 文 部 科 学 省 は 生 徒 の 問 題 行 動 に 関 する 報 告 書 の 中 で 小 中 学 校 高 校 の 生 徒 のいじめにおいて 要 因 として 最 も 多 いのがからかいや 冗 談 であると 報 告 している 葉 山 (6) 櫻 井 は からかいや 冗 談 を ある 個 人 が 他 者 におかしさを 感 じさせることを 意 図 して 表 出 す る 言 葉 と 定 義 している 学 校 現 場 では からかいは 他 者 に 向 けられた 問 題 行 動 ないし 攻 撃 行 動 と して 位 置 づけられ それは 親 しい 友 人 間 に 多 くみられ 友 人 との 関 わりにおいて 両 者 にとって 日 常 的 なリスクを 伴 うものである しかし からかいや 冗 談 が 言 語 やコミュニケーションにおいて 親 密 感 情 や 愛 情 笑 いや 微 笑 みの 交 換 機 能 があるともされている (7) つまりからかいや 冗 談 は 一 方 で 問 題 行 動 視 され 他 方 では 関 係 促 進 の 役 割 を 持 つ 向 社 会 的 なものとみなされており 指 導 の 際 は 両 者 の 言 い 分 や 感 情 状 況 を 把 握 しながら 介 入 しなければならない 学 校 現 場 ではこういったからかいや 冗 談 でのもめごとやけんかが 多 く 見 られるが そのからか いや 冗 談 にだけ 焦 点 を 当 てて 指 導 するのではなく 日 常 的 にどのような 関 わりを 行 っているかに 着 目 することが 有 効 であろう 4.いじめを 早 期 に 発 見 できる 学 級 アセスメントの 活 用 児 童 期 の 友 人 関 係 は 脆 弱 性 があり 友 人 間 も 結 びつきも 弱 い 傾 向 にある 学 級 児 童 の 友 人 関 係 への 満 足 感 の 把 握 としては 学 級 のアセスメントツールを 活 用 することは 重 要 である 学 級 を 客 観 的 に 捉 え 問 題 を 見 立 てることが 可 能 なアセスメントツールは 多 い (8)(9) そのどれもに 共 通 しているのが 児 童 生 徒 間 の 関 係 や 親 しさ または 対 人 関 係 における 安 心 感 を 問 題 因 子 として 取 り 入 れていることである つまり 学 級 において 学 級 担 任 が 把 握 し 難 いものは 子 どもの 間 の 関 係 であり 子 ども 達 が 抱 える 学 校 にまつわるさまざまな 問 題 に 友 人 関 係 が 絡 んでいることは 多 い のである 近 年 のアセスメントツールは 学 級 担 任 との 間 を 問 う 質 問 項 目 が 多 くなってきており (10) 友 人 関 係 の 構 築 において 教 師 のサポートが 重 要 であることは 栗 原 も 指 摘 している では 教 師 はどのようなサポートを 子 どもたちの 友 人 関 係 に 対 して 行 えばよいのだろうか 5. 教 師 が 子 どもをサポートする 重 要 性 栗 原 は (11) 教 師 のサポートは 児 童 の 学 習 適 応 友 人 サポート 向 社 会 的 スキル 生 活 満 足 感 に 影 響 すると 示 唆 している そしてこれらへの 影 響 を 受 けて 子 どもの 非 侵 害 感 ( 安 心 感 )を 支 援 で きるとも 示 している また 栗 原 はこれらを 踏 まえて いじめに 対 して 直 接 的 な 指 導 ( 叱 責 や 応 報 的 対 処 )では 効 果 が 表

れないことを 示 唆 し 教 師 及 び 学 校 全 体 での 予 防 開 発 的 な 視 点 を 持 った 指 導 への 転 換 を 進 めてい る (12) それには 担 任 教 師 によるいじめを 許 容 しない 空 間 の 形 成 と 傍 観 者 をつくらない 積 極 的 かつ 開 発 的 な 指 導 が 必 要 なのではないだろうか 6. 仲 裁 者 育 成 プログラムの 可 能 性 Kreidler,W.J. (13) は 人 との 関 係 のなかで 生 じる 対 立 問 題 を クリエイティブなものととら えて 対 処 していくことの 重 要 性 を 次 のように 述 べている 目 指 すべき 対 立 解 消 法 は 教 室 や 学 校 内 で 起 こる 対 立 を 除 去 しようとするものではなく 効 果 的 にかつ 建 設 的 に 対 応 できるように 援 助 することが 求 められる (14) 森 田 は 学 級 におけるいじめや 友 人 間 での 対 立 等 の 問 題 に 学 級 担 任 として 立 ち 向 かっていく 際 に 集 団 における 共 同 性 意 識 を 高 めていく 必 要 性 と 子 どもたちの 自 浄 能 力 を 生 み 出 していく (15) ことを 目 標 とした 学 級 における 対 応 策 及 び 予 防 策 を 検 討 する 必 要 性 を 指 摘 している 池 島 は 共 同 性 意 識 を 高 める 取 り 組 みとしてピア サポートプログラムの 有 用 性 を 示 しており 実 践 的 (16) 導 入 を 行 っている 池 島 はさらなる 集 団 の 結 束 を 強 めることが 可 能 な 教 師 が 持 つべき 指 導 ス キルとして 対 立 解 消 スキルの 重 要 性 を 見 出 しており そのスキルを 子 どもに 対 してトレーニン グし 活 動 として 行 うもめごと 解 決 を 通 した 人 間 関 係 トレーニング( 以 下 ピア メディエーショ ントレーニング)の 導 入 を 行 っている (17) ピア メディエーショントレーニングは Cohen,R. (18) により 15 の 利 点 が 示 されており 池 島 ら (16) はピア メディエーショントレーニングの 導 入 により 向 社 会 的 行 動 が 増 え 児 童 がエンパ ワメントすることを 示 している また 本 プログラムを 学 級 全 体 に 導 入 することにより 児 童 の 友 人 関 係 に 有 意 な 傾 向 が 得 られることも 示 唆 している (19) 筆 者 はピア メディエーショントレーニングを 用 いた 仲 裁 者 育 成 プログラム の 策 定 と 効 果 の 検 討 に 取 り 組 んでいる 本 プログラムでは 子 ども 同 士 の 会 話 にあるからかいや 冗 談 を 題 材 に 授 業 を 行 い もめごとや 対 立 の 起 因 となる 言 葉 (からかいや 冗 談 など)の 選 択 や 言 い 方 態 度 ま た 集 団 の 結 束 によるプレッシャーの 存 在 などを ロールプレイ 等 を 用 いて 明 らかにしていくもの である プログラムのねらいは 子 どものかかわりにおける 対 立 やもめごとといういじめに 起 因 する 可 能 性 のある 問 題 を 教 材 として 用 い 学 級 全 体 で 怒 りや 苛 立 ち などのネガティブな 感 情 を 共 有 することにより 友 人 間 のもめごと 場 面 での 話 し 合 いや 学 級 児 童 の 第 三 者 の 介 入 を 可 能 と することである 感 情 や 言 語 の 個 々の 捉 え 方 や 考 え 方 を 授 業 で 共 有 することにより より 密 な 相 互 理 解 が 可 能 となり 良 質 なコミュニケーションの 実 現 と 学 級 集 団 の 形 成 を 目 指 すことが 可 能 と なる 学 級 全 員 の 心 情 や 感 情 また 対 立 場 面 での 対 処 策 を 知 ることで 他 者 へのかかわりへの 障 壁 を 少 しでも 減 らし 傍 観 者 の 減 少 と 友 人 間 のもめごとや 対 立 の 際 の 介 入 を 実 現 できる 子 どもを 育 めればと 願 っている 大 人 が 造 ってしまったもう 一 つの 現 実 社 会 (SNS,インターネット 掲 示 板 等 )で 子 どもたちは 様 々なもめごとやいさかいに 巻 き 込 まれている (20) その 場 面 で 子 どもたちが 人 とのかかわりで 困 苦 に 陥 らないように 支 援 するために こういったプログラムの 策 定 と 学 校 教 育 への 導 入 は 急 務 だと 考 えている

引 用 参 考 文 献 参 考 URL (1) 文 部 科 学 省 生 徒 指 導 提 要 第 5 章 2010 年 pp.109 (2) 戸 田 有 一 学 級 集 団 づくりが 難 しいと 感 じるとき- 善 意 やる 気 がなぜ 裏 目 に 出 るのか 児 童 心 理 4 月 号 臨 時 増 刊 金 子 書 房 2007 年 pp.59-pp.66 (3) 淵 上 克 義 学 級 としての 集 団 日 本 文 化 科 学 社 2005 年 (4) 森 田 洋 司 いじめと 何 か 中 公 新 書 2010 年 (5) 文 部 科 学 省 いじめの 様 態 生 徒 指 導 上 の 諸 問 題 の 現 状 について 2006 年 (6) 葉 山 大 地 櫻 井 茂 男 過 激 な 冗 談 の 親 和 的 意 図 が 伝 わるという 期 待 の 形 成 プロセスの 検 討 教 育 心 理 学 研 究 日 本 教 育 心 理 学 会 2008 年 56 巻 4 号 pp.523-pp.533 (7) 遠 藤 由 美 役 割 と 社 会 的 スキルがからかい 認 知 に 及 ぼす 影 響 社 会 学 部 紀 要 関 西 大 学 2007 年 38 巻 3 号 pp.119-pp.131 (8) 河 村 茂 雄 楽 しい 学 校 生 活 を 送 るためのアンケート Q-U 実 施 解 釈 ハンドブック( 小 学 校 編 ) 図 書 文 化 社 1999 年 (9) 栗 原 慎 二 井 上 弥 アセスの 使 い 方 活 かし 方 ほんの 森 出 版 2010 年 (10) 栗 原 慎 二 いじめ 防 止 プログラム-いじめ 加 害 者 を 出 さない 指 導 - ほんの 森 出 版 2013 年 pp.92 (11) 栗 原 慎 二 いじめ 防 止 プログラム-いじめ 加 害 者 を 出 さない 指 導 - ほんの 森 出 版 2013 年 pp.91 (12) 学 力 向 上 効 果 行 きたくなる 学 校 づくり 読 売 新 聞 2013 年 5 月 14 日 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130514-oyt8t00430.htm (13) Kreidler, W. J. Creative Conflict Resolution Good Year Books 1990 年 pp.1-pp.5 (14) 森 田 洋 司 教 育 課 題 としてのいじめ-いじめ 問 題 を 通 じて 何 を 教 育 すべきか 教 育 展 望 ( 財 ) 教 育 調 査 研 究 所 2007 年 第 52 巻 第 2 号 pp.4-ll (15)Kreidler, W. J. Creative Conflict Resolution Good Year Books 1990 年 pp.1-pp.5 (16) 池 島 徳 大 集 団 の 共 同 性 意 識 の 再 構 築 とピア サポート 学 校 教 育 実 践 研 究 2 奈 良 教 育 大 学 教 職 大 学 院 2010 年 pp.31-pp.42 (17) 池 島 徳 大 やってみよう!ピア サポート-ひと 目 でポイントがわかるピア サポート 実 践 集 - ほんの 森 出 版 2011 年 pp.99-pp.100 (18)Cohen,R. Student Resolving Conflict. Good Year Books 1995 年 pp.27-51 (19) 池 島 徳 大 倉 持 祐 二 橋 本 宗 和 吉 村 ふくよ 松 岡 敬 興 人 間 関 係 形 成 能 力 を 高 める 対 立 解 消 プログラムの 学 級 への 導 入 とその 展 開 奈 良 教 育 大 学 教 育 実 践 総 合 センター 研 究 紀 要 14 奈 良 教 育 大 学 教 育 実 践 総 合 センター 2005 年 pp.133- pp.139 (20) LINEだけの 付 き 合 いで 事 件 に 加 担 広 島 遺 体 遺 棄 読 売 新 聞 2013 年 7 月 19 日 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130719-oyt8t00565.htm