聖徳学園大学紀要(看護学).indd



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様 式 5 平 成 28 年 度 NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 事 前 アンケート * 申 込 をした 方 に を 付 けてください スタンダード 編 ステップアップ 編 氏 名 所 属 大 学 学 年 1. NOSAI 夏 期 臨 床 実 習 への 参 加 を 希 望 する 理 由 動 機

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第 3 節 結 果 1. 調 査 票 の 回 収 324 か 所 から 回 答 を 得 た ( 回 収 率 29.5%) 一 般 診 療 所 総 数 回 答 数 回 収 率 (%) 大 津 湖 南 甲 賀 東 近 江

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Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

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目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

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2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

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(3) 登 録 後 において 市 が 指 定 する 研 修 会 等 に 構 成 員 を 参 加 させる 意 思 があり 動 物 の 適 正 な 飼 養 及 び 愛 護 の 推 進 について 自 己 啓 発 に 努 める 団 体 (4) 手 術 の 費 用 負 担 等 の 責 任 を 自 ら 負 うこ

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預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

2.JADA 検 査 対 象 者 登 録 リストへの 登 録 除 外 引 退 復 帰 2.1 JADA 検 査 対 象 者 登 録 リストへの 登 録 及 び 除 外 は 原 則 として 以 下 に 示 す 対 応 によりおこな うものとする 登 録 国 内 競 技 連 盟 からの 登 録 申 請

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

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4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

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Transcription:

資 料 看 護 学 部 の 学 生 および 教 員 に 対 する 防 災 教 育 - 防 災 セミナーと 防 災 に 対 する 意 識 調 査 - 林 和 枝 菊 地 亜 矢 子 中 川 名 帆 子 西 村 淳 子 近 藤 裕 子 臼 田 成 之 谷 口 惠 美 子 Disaster Prevention Education for Nursing Students and Teachers - Implementation of the Survey and the Seminar for Disaster Prevention - Kazue HAYASHI,Ayako KIKUCHI,Nahoko NAKAGAWA Junko NISHIMURA,Yuko KONDO,Nariyuki USUDA Emiko TANIGUCHI キーワード: 防 災 意 識 防 災 教 育 看 護 学 生 看 護 教 員 Key Words: Awareness of Disaster Prevention, Disaster Prevention Education, Nursing Students,Nursing Teachers はじめに 1972 年 に 設 立 された 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 ( 以 下 本 学 とする)は 2015 年 4 月 に 羽 島 キャン パスに 看 護 学 部 を 開 設 し 初 年 次 の 学 生 を 迎 え た 看 護 学 部 は 新 設 の 建 物 に 設 置 され 新 任 教 員 の 着 任 により 災 害 時 における 大 学 内 や 看 護 学 部 建 物 ( 以 下 9 号 館 とする) 内 での 避 難 経 路 避 難 場 所 や 防 災 設 備 の 設 置 状 況 大 学 が 所 有 している 防 災 備 蓄 品 の 設 置 場 所 備 蓄 品 の 種 類 や 備 蓄 数 防 災 への 取 り 組 みや 災 害 発 生 時 の 学 生 教 職 員 への 対 応 などといった 災 害 に 関 す る 具 体 的 な 対 応 や 活 動 について 教 員 学 生 と もに 充 分 に 把 握 しているとはいいがたい 現 状 に ある 日 本 は 地 震 大 国 であり 過 去 にも 東 日 本 大 震 災 や 阪 神 大 震 災 など 大 きな 地 震 が 起 きている 本 学 が 位 置 する 中 部 地 方 においては 東 海 地 震 発 生 の 切 迫 性 が 指 摘 されている また 本 学 羽 島 キャンパスは 木 曽 川 と 長 良 川 に 挟 まれた 場 所 に 位 置 し 洪 水 による 水 害 が 多 い 地 域 である 教 員 は 大 学 での 活 動 において 学 生 の 安 全 を 確 保 する 責 任 がある その 責 務 をまっとうす るためには 第 一 に 教 員 自 身 が 本 学 における 災 害 時 の 取 り 組 みや 対 応 など 具 体 的 な 内 容 を 把 握 し 災 害 発 生 時 に 適 切 な 行 動 をとることが 求 め られる これらは 災 害 発 生 の 際 に 教 員 ならびに 学 生 が 自 分 の 命 と 身 を 守 り 安 全 に 避 難 する ために 必 要 不 可 欠 な 事 柄 である また 災 害 か ら 身 を 守 る 方 策 や 情 報 は 教 員 のみでなく 学 生 自 身 も 把 握 しておく 必 要 がある 災 害 発 生 時 に 本 学 に 所 属 している 学 生 教 員 一 人 ひとりが 適 切 な 対 処 行 動 を 取 ることにより 安 全 かつ 速 や かな 避 難 が 可 能 となるとともに 二 次 災 害 の 防 止 につながる 看 護 学 生 は 将 来 災 害 時 の 医 療 を 担 う 中 心 的 存 在 にもなり 得 る 災 害 時 に 傷 病 者 の 救 援 を 行 うためには 第 一 に 医 療 従 事 者 が 自 身 の 安 全 を 守 ることが 必 須 である 学 生 が 災 害 発 生 時 の 対 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 Gifu Shotoku Gakuen University - 50 -

看 護 学 部 の 学 生 および 教 員 に 対 する 防 災 教 育 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 看 護 学 研 究 誌 創 刊 号 2016 処 を 理 解 し 正 しい 行 動 がとれることに 加 え 専 門 職 者 としての 意 識 向 上 をもたらす 教 育 を 初 年 次 から 行 っていくことは 非 常 に 意 義 が 高 い ことであると 考 える 以 上 のことから 看 護 学 部 では 防 災 関 連 ワー キングを 立 ち 上 げ 活 動 のひとつとして 学 生 と 教 員 に 対 する 防 災 教 育 のあり 方 を 検 討 する こととなった 初 年 次 の 活 動 として 学 生 と 教 員 の 防 災 に 対 する 意 識 調 査 と 防 災 に 関 するセミ ナー( 以 下 防 災 セミナーとする)を 実 施 し その 教 育 効 果 を 検 討 したので 報 告 する Ⅰ. 方 法 1. 対 象 本 学 看 護 学 部 1 年 生 62 名 ( 男 性 5 名 女 性 57 名 ) および 看 護 学 部 教 員 25 名 ( 男 性 5 名 女 性 20 名 ) 2. 実 施 時 期 2015 年 7 月 3. 実 施 内 容 1 ) 防 災 セミナーの 実 施 (1) 目 的 災 害 に 備 え 学 内 防 災 施 設 設 備 と 災 害 時 の 自 己 の 行 動 について 理 解 できる (2) 目 標 学 内 における 災 害 発 生 時 の 行 動 を 理 解 でき る 在 校 時 の 避 難 経 路 避 難 場 所 を 知 ることが できる 学 内 の 防 災 施 設 設 備 の 位 置 を 確 認 するこ とができる (3) 実 施 内 容 と 時 間 配 分 第 1 部 :ショートレクチャー(15 分 ) 地 震 火 災 を 想 定 した 学 内 における 災 害 発 生 時 の 基 本 的 行 動 大 学 との 連 絡 の 取 り 方 ( 安 否 確 認 メールの 受 信 設 定 方 法 および 返 信 方 法 の 説 明 ) 家 族 との 連 絡 の 取 り 方 ( 災 害 時 掲 示 板 の 紹 介 )の 3 点 について パワーポイント を 用 いて 講 義 を 行 った 第 2 部 :ウォークラリー(55 分 ) ウォークラリーの 目 的 は 学 生 と 教 員 が 災 害 に 備 え 学 内 防 災 施 設 設 備 の 位 置 や 避 難 経 路 を 理 解 できることである そこで 学 内 の 防 災 設 備 や 避 難 経 路 などについて 学 生 と 教 員 の 記 憶 に 残 り 災 害 発 生 時 に 正 しい 行 動 がとれるよう 学 生 教 員 自 身 の 足 で 歩 き 目 で 見 て 手 で 触 って 確 認 するという 内 容 で 実 施 した 具 体 的 な 内 容 として 配 付 した 学 内 マップ に 9 号 館 内 の 防 災 施 設 設 備 ( 防 火 扉 消 火 器 消 火 栓 垂 直 式 救 助 袋 )および 避 難 経 路 ( 非 常 出 口 の 場 所 ) 学 内 の AED 設 置 場 所 (3 ヶ 所 ) 災 害 時 集 合 場 所 の 4 点 について 該 当 するシールを 貼 付 し 自 身 の 学 内 防 災 施 設 設 備 マップを 作 成 した また 防 火 扉 消 火 器 消 火 栓 については 扉 の 開 閉 方 法 の 確 認 を 削 除 垂 直 式 救 助 袋 については 窓 の 開 け 方 とキャビネット 内 の 確 認 を 行 うよう 指 示 した 学 内 の 混 雑 を 避 けるため 8 グループ( 学 生 8 名 教 員 2 ~ 3 名 )に 編 成 し 提 示 され た 順 路 で 学 内 のウォークラリーを 行 った 第 3 部 :まとめ 質 疑 応 答 (5 分 ) セミナー 全 体 に 関 する 質 疑 応 答 および 学 内 の 防 災 施 設 設 備 の 答 え 合 わせと 垂 直 式 救 助 袋 の 使 用 手 順 の 説 明 を 行 った その 他 (10 分 ) 学 生 および 教 員 の 防 災 に 対 する 意 識 と 効 果 的 な 防 災 教 育 を 検 討 するため アンケート 調 査 を 実 施 した 調 査 説 明 書 を 配 布 説 明 した 後 質 問 紙 を 配 付 し 調 査 を 実 施 した 2 ) 学 生 および 教 員 の 防 災 に 対 する 意 識 と 効 果 的 な 防 災 教 育 のための 調 査 (1) アンケート 作 成 過 程 防 災 意 識 に 関 する 質 問 項 目 は 内 閣 府 防 災 に 関 する 世 論 調 査 (2013)と 上 田 ら (2013)の 研 究 を 参 考 にし 独 自 のものを 作 成 した 防 災 セミナー 受 講 の 効 果 測 定 に 関 する 項 目 は 独 自 のものを 作 成 した (2) アンケート 項 目 - 51 -

林 和 枝 調 査 項 目 は 性 別 同 居 家 族 の 有 無 などフェ イスシートのほか 被 災 体 験 の 有 無 とその 内 容 防 災 に 対 する 知 識 災 害 時 の 対 応 や 通 信 方 法 の 知 識 の 有 無 など 災 害 防 災 に 関 連 した 項 目 を 調 査 した また 防 災 セミナーの 受 講 効 果 を 測 定 する 項 目 と 防 災 セミナー 受 講 の 感 想 意 見 など 自 由 に 記 述 する 欄 を 設 けた な お 調 査 は 無 記 名 式 質 問 紙 調 査 にて 実 施 した (3) アンケート 分 析 方 法 質 問 紙 の 各 項 目 の 回 答 を 数 値 化 し SPSS version 23.0 を 用 いて 単 純 集 計 を 行 った 防 災 セミナーに 対 する 感 想 意 見 などの 自 由 記 述 については 防 災 関 連 ワーキング 内 で 検 討 し カテゴリー 化 した (4) 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 防 災 セミナー 終 了 3 日 後 に 学 生 に 対 して 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 を 行 い 防 災 セ ミナーで 説 明 した 安 否 確 認 メールの 受 信 設 定 および 返 信 が 正 しく 行 えているかどうかを 確 認 した 4. 倫 理 的 配 慮 対 象 者 に 研 究 目 的 趣 旨 方 法 質 問 内 容 協 力 者 のプライバシーの 保 護 研 究 の 参 加 中 止 は 任 意 であること 答 えたくない 質 問 には 答 えなくてよいこと 不 参 加 により 不 利 益 を 被 ることがないこと 成 績 には 一 切 関 連 しないこ と 結 果 を 公 表 すること 回 答 に 10 分 程 度 要 することなどを 明 記 した 調 査 説 明 文 を 配 付 し 説 明 した その 後 質 問 紙 を 配 付 し 調 査 を 実 施 した 個 人 の 特 定 がされないよう 回 答 した 質 問 紙 は 対 象 者 自 身 が 封 筒 に 入 れ 設 置 した 回 収 箱 に 自 由 意 思 で 投 入 した 調 査 の 同 意 は 回 収 箱 に 投 函 したことによって 同 意 を 得 たものとし た なお 調 査 に 先 立 ち 所 属 大 学 の 倫 理 審 査 会 の 承 認 を 得 て 実 施 した( 承 認 番 号 :2015-6) Ⅱ. 結 果 防 災 セミナーには 学 生 61 名 ( 男 性 5 名 女 性 56 名 ) 教 員 17 名 ( 男 性 3 名 女 性 14 名 )が 参 加 した 参 加 率 は 学 生 98.4% 教 員 68.0% で あった 質 問 紙 回 収 者 数 は 学 生 61 名 ( 男 性 5 名 女 性 56 名 ) 教 員 10 名 ( 男 性 3 名 女 性 7 名 )であっ た 質 問 紙 回 収 率 は 学 生 100% 教 員 58.8%( 有 効 回 答 率 :100%)であった 同 居 家 族 の 有 無 に ついては 家 族 と 同 居 しているものが 学 生 51 名 教 員 10 名 一 人 暮 らしが 学 生 10 名 教 員 0 名 であった 1. 防 災 セミナーの 実 施 今 年 度 は 学 生 および 教 員 が 自 身 で 学 内 の 施 設 設 備 の 確 認 を 行 うことで 防 災 に 備 える ことができることを 目 的 とし ウォークラリー を 実 施 した 多 くの 学 生 は 興 味 関 心 を 持 って 積 極 的 にウォークラリーを 行 っていた しかし 防 災 セミナー 当 日 が 雨 天 であったため 9 号 館 外 である AED 設 置 場 所 (3 ヶ 所 )や 災 害 時 集 合 場 所 の 確 認 ができなかったグループがあり 第 3 部 のまとめの 時 間 に 説 明 を 行 った 個 々のグループで 教 員 や 学 生 間 で 質 問 するな ど 主 体 的 に 疑 問 を 解 決 しながら 学 内 防 災 施 設 設 備 マップを 作 成 している 学 生 もいた 参 加 者 全 員 が 情 報 を 共 有 するためにも 個 々のグ ループから 挙 がった 質 問 や 疑 問 などの 学 生 の 気 づきをフィードバックするような 時 間 を 設 け 周 知 することが 必 要 であると 考 える また 事 前 に 重 要 なポイントや 学 生 から 疑 問 が 起 こりう る 内 容 を 教 員 間 で 共 有 し ウォークラリー 時 に 実 際 の 施 設 設 備 の 説 明 あるいは 質 問 に 対 す る 回 答 を 行 うといった その 場 で 疑 問 を 解 決 し ていくという 方 法 をとることも 必 要 であると 考 える 今 年 度 は 看 護 学 部 の 建 物 を 看 護 学 部 1 年 生 が 中 心 として 使 用 しているため 実 際 の 設 備 な どを 学 生 や 教 員 自 身 が 歩 きながら 確 認 すると いった 方 法 をとることできた しかし 今 後 学 生 数 が 増 えることや 他 学 部 の 学 生 が 9 号 館 内 の 施 設 を 使 用 する 頻 度 が 増 えることを 鑑 みる と 今 回 と 同 様 の 方 法 をとることは 他 学 生 の 学 - 52 -

看 護 学 部 の 学 生 および 教 員 に 対 する 防 災 教 育 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 看 護 学 研 究 誌 創 刊 号 2016 習 や 授 業 の 妨 げになることが 考 えられる いつ の 時 期 に どのような 方 法 で より 効 果 的 に 防 災 教 育 を 行 っていくか 来 年 度 に 向 けて 検 討 が 必 要 である 2. 防 災 セミナーの 受 講 効 果 防 災 セミナーの 受 講 効 果 に 関 する 質 問 は 7 項 目 実 施 した 9 号 館 で 災 害 が 起 こった 際 の 避 難 場 所 の 理 解 に 関 する 設 問 では セミナー 前 か ら 知 っていたものは 学 生 3 名 (4.9%) 教 員 4 名 (40.0%) 防 災 セミナー 後 に 知 ったものは 学 生 44 名 (72.1%) 教 員 6 名 (60.0%) 今 でも わからないものは 学 生 11 名 (18.0%) 教 員 0 名 無 回 答 は 学 生 3 名 (4.9%)であった 防 災 セミナー 参 加 者 のほとんどが 防 災 セミナー 参 加 後 に 避 難 場 所 の 理 解 ができており 防 災 セミ ナーの 受 講 効 果 がうかがえる 結 果 となった 一 方 で 防 災 セミナー 受 講 後 でも 災 害 時 の 避 難 場 所 がわからない 学 生 がいたため 後 期 オリエン テーションの 際 に 再 度 避 難 場 所 を 具 体 的 に 教 授 し 周 知 徹 底 を 図 った 防 災 設 備 の 理 解 に 関 する 設 問 では 9 号 館 内 の 防 災 施 設 設 備 ( 防 火 扉 消 火 器 消 火 栓 垂 直 式 救 助 袋 )および 避 難 経 路 ( 非 常 出 口 の 場 所 ) 学 内 の AED 設 置 場 所 (3 ヶ 所 ) 災 害 時 集 合 場 所 について 防 災 セミナー 前 から 知 って いた 防 災 セミナー 後 に 知 った 今 でもわ からない の 3 つのうち あてはまるものを 回 答 させた( 表 1) 防 災 セミナー 参 加 者 のほとん どが 防 災 セミナー 参 加 後 に 防 災 設 備 等 の 場 所 の 理 解 ができており 防 災 セミナーの 受 講 効 果 が うかがえる 結 果 となった この 結 果 より 今 回 の 防 災 セミナーの 目 的 である 在 校 時 の 避 難 経 路 避 難 場 所 を 知 ることができる 学 内 の 防 災 施 設 設 備 の 位 置 を 確 認 することができる は 十 分 達 成 できたものと 考 える 講 義 中 に 地 震 や 火 災 が 起 きた 際 の 行 動 理 解 に 関 する 設 問 については 机 の 下 にもぐり 落 下 物 から 身 を 守 る 揺 れが 収 まるまで 慌 て ず 周 囲 の 状 況 を 確 かめる 閉 じ 込 められる ことを 防 止 するために 戸 や 窓 を 開 けて 道 を 作 る 避 難 時 は 押 さない 走 らない しゃべら ない の 4 点 について 自 身 がとるべき 行 動 を 複 数 回 答 可 として 回 答 を 得 た 学 生 教 員 と もに 閉 じ 込 められることを 防 止 するために 戸 や 窓 を 開 けて 道 を 作 る を 選 択 したものが 学 生 34 人 (55.7%) 教 員 7 人 (70.0%)と 最 も 低 い 結 果 であった これは 地 震 が 起 きた 際 にとっ さに 取 る 行 動 としては 優 先 順 位 が 低 いと 考 え る その 他 の 項 目 については 高 い 数 値 を 示 して おり 防 災 セミナーで 説 明 した 地 震 火 災 を 想 定 した 学 内 での 災 害 発 生 時 の 基 本 的 行 動 は 理 解 できたと 推 察 される 今 回 の 防 災 セミナーが 災 害 時 に 役 立 つと 思 うかどうかという 設 問 においては 役 に 立 つ から 役 に 立 たない の 5 段 階 評 価 で 尋 ねた( 表 2) 学 生 教 員 ともに 防 災 セミナーが 役 に 立 つ あるいは ある 程 度 役 に 立 つ と 回 答 した ものが 8 割 を 超 えており 災 害 が 起 きた 際 に 活 表 1. 防 災 設 備 の 設 置 場 所 の 理 解 n (% ) - 53 -

林 和 枝 用 可 能 な 内 容 であったと 考 える 今 回 の 防 災 セ ミナーの 目 的 のひとつである 学 内 における 災 害 発 生 時 の 行 動 を 理 解 できる は ほぼ 達 成 で きたものと 考 える 防 災 に 関 する 学 内 のガイドブックが 必 要 だ と 思 うかどうかという 設 問 に 対 して はい と 答 えたものが 学 生 59 名 (96.7%) 教 員 10 名 (100.0%) いいえ と 答 えたものが 学 生 2 名 (3.3%) 教 員 0 名 (0%)であった このように 災 害 時 に 活 用 できるガイドブックに 対 する 学 生 教 員 の 要 請 は 非 常 に 高 い 結 果 が 示 されたが 該 当 する 冊 子 が 存 在 しない そこで 現 在 防 災 関 連 ワーキングの 活 動 のひとつとして 学 生 が 活 用 できる 防 災 ガイドブック 製 作 に 取 り 組 んでい る 防 災 に 関 することで 知 りたい 内 容 に 関 する 自 由 記 述 では 学 生 12 名 教 員 1 名 の 記 述 があっ た 具 体 的 な 内 容 として 学 生 は どのように 逃 げるのか どこに 逃 げるのかなど 災 害 時 の 具 体 的 な 行 動 のとり 方 が 5 名 消 火 器 や 消 火 栓 の 使 い 方 など 防 災 設 備 などの 具 体 的 な 使 用 方 法 が 4 名 将 来 起 こりうる 災 害 に 対 する 不 安 が 2 名 看 護 と 関 連 させた 考 え 方 が 1 名 であった 教 員 の 記 述 内 容 は 本 学 の 備 蓄 品 という 学 内 設 備 に 関 することであった 防 災 セミナーの 感 想 意 見 に 関 する 自 由 記 述 では 学 生 10 名 教 員 2 名 の 記 述 があった 内 容 として 学 生 は 防 災 セミナー 実 施 の 意 義 に 関 することが 4 名 自 分 で 設 備 などを 確 認 することの 大 切 さを 書 いたも のが 6 名 防 災 セミナー 実 施 の 楽 しさを 記 載 し 表 2. 防 災 セミナー 受 講 後 の 実 用 性 n (% ) たものが 2 名 であり 教 員 は 自 分 で 設 備 など を 確 認 することの 大 切 さを 書 いたものが1 名 防 災 セミナー 企 画 者 へのねぎらいの 言 葉 が 1 名 であった 自 由 記 述 の 結 果 より 防 災 セミナーに 参 加 す ることで 災 害 時 の 具 体 的 な 行 動 のとり 方 や 防 災 設 備 の 具 体 的 な 使 用 方 法 や 防 災 設 備 の 状 況 を 知 りたいと 関 心 が 高 まっている 半 面 将 来 起 こりうる 災 害 に 対 する 不 安 も 感 じたと 考 えられ る しかし 将 来 起 こりうる 災 害 に 対 する 不 安 を 感 じることは 防 災 に 対 する 動 機 づけとな り 防 災 対 策 への 行 動 化 は 促 進 されると 思 われ る 今 回 の 防 災 セミナーの 実 施 は 防 災 セミナー を 受 講 することの 意 味 や 防 災 設 備 などを 自 分 で 確 認 することの 大 切 さを 確 認 する 機 会 となっ た 楽 しく 学 べたことは 防 災 に 対 する 意 識 や 関 心 の 向 上 にもつながったと 考 える 自 由 記 述 から 得 た 貴 重 な 意 見 の 数 々は 今 後 の 活 動 に 活 かしていきたい 3. 学 生 および 教 員 の 防 災 に 対 する 意 識 防 災 に 関 する 質 問 は 7 項 目 実 施 した 今 ま でに 災 害 による 被 害 や 危 険 を 感 じた 経 験 につい ては 学 生 教 員 ともに 地 震 が 最 も 多 く 次 い で 台 風 であった また 地 域 の 特 徴 である 河 川 の 氾 濫 豪 雪 と 回 答 したものが 若 干 名 いた しか し 今 までに 災 害 による 被 害 や 危 険 を 感 じたこ とがないものが 学 生 38 名 (62.3%) 教 員 3 名 (30.0%)であり 回 答 者 の 多 くが 被 害 や 身 の 危 険 を 感 じるような 経 験 をしていないという 結 果 が 得 られた 現 在 住 んでいる 地 域 の 災 害 に 対 する 安 全 性 をどのように 感 じているかについて 安 全 から 危 険 の 5 段 階 評 価 で 尋 ねた 安 全 または ある 程 度 安 全 と 回 答 したものが 学 生 30 名 (49.2%) 教 員 6 名 (60.0%)であった ある 程 度 危 険 と 回 答 したものが 学 生 26 名 (42.6%) 教 員 2 名 (20.2%)であり 危 険 と 回 答 したものは 学 生 教 員 ともに 皆 無 であった このように 学 生 教 員 ともに 回 答 者 の 半 数 近 くは 自 身 が 住 んでいる 地 域 は 比 較 的 に 安 全 と - 54 -

看 護 学 部 の 学 生 および 教 員 に 対 する 防 災 教 育 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 看 護 学 研 究 誌 創 刊 号 2016 考 え 危 険 性 を 強 く 感 じているものは 少 なかっ た 日 ごろの 防 災 意 識 について 意 識 している から 意 識 していない の 5 段 階 評 価 で 尋 ねた 意 識 している または ある 程 度 意 識 してい る と 回 答 した 学 生 が 23 名 (37.7%) 教 員 6 名 (60.0%)であった あまり 意 識 していない ま たは 意 識 していない と 回 答 したものが 学 生 26 名 (42.6%) 教 員 1 名 (10.0%)であった 災 害 時 に 使 用 する 備 蓄 品 については 学 生 教 員 ともに 懐 中 電 灯 (ろうそくなど) 飲 料 水 非 常 食 の 順 で 準 備 していると 回 答 していたが 学 生 では 準 備 していないものが 14 名 (23.0%) いた 防 災 意 識 や 災 害 時 の 備 蓄 品 に 関 しては 学 生 よりも 教 員 の 方 が 防 災 に 対 する 備 えがで きており 防 災 意 識 が 高 い 傾 向 にある 過 去 の 避 難 訓 練 の 経 験 実 施 場 所 と 時 期 につ いては 学 生 では 1 年 前 の 高 校 生 の 時 期 に 教 員 は 1 年 前 に 職 場 で 実 施 しているものがほとん どであり 避 難 訓 練 そのものは 受 けていること が 明 らかとなった 災 害 時 の 家 族 や 身 近 な 人 との 安 否 確 認 方 法 の 取 り 決 めとその 方 法 については 安 否 確 認 方 法 の 取 り 決 めをしているものが 学 生 19 名 (31.1%) 教 員 6 名 (60.0%)であった 具 体 的 な 安 否 確 認 の 方 法 は 学 生 教 員 ともに 携 帯 電 話 から 電 話 やメールと 公 衆 電 話 が 最 も 多 く 災 害 用 伝 言 ダイヤル(171) 災 害 用 ブロードバ ンド 伝 言 板 (Web171)と 回 答 したものは 学 生 教 員 ともに 1 ~ 2 名 であった また 自 由 記 述 欄 に 事 前 に 取 り 決 めた 集 合 場 所 と 記 載 したもの が 学 生 1 名 教 員 2 名 であった 災 害 時 特 に 大 規 模 災 害 の 際 は 携 帯 電 話 や 公 衆 電 話 の 使 用 が 困 難 となる 災 害 時 の 連 絡 手 段 として 災 害 用 伝 言 ダイヤル(171) 災 害 用 ブロードバン ド 伝 言 板 (Web171)を 使 用 することは 非 常 に 有 効 な 手 段 であるが 今 回 の 調 査 で これらを 活 用 しているものは ごく 少 人 数 であった 今 回 の 防 災 セミナーでは 時 間 の 都 合 上 家 族 と の 連 絡 方 法 については 災 害 時 掲 示 板 の 紹 介 のみ にとどまったが 被 災 時 に 家 族 の 安 否 を 把 握 で きることは 精 神 的 な 安 寧 につながると 考 える 今 後 の 防 災 教 育 では 災 害 時 に 家 族 と 連 絡 を 取 ることの 意 義 や 具 体 的 な 連 絡 方 法 設 定 方 法 な どといった 詳 細 な 説 明 と 設 定 の 促 しが 必 要 であ る 本 学 の 羽 島 キャンパスが 指 定 緊 急 避 難 場 所 ( 水 害 を 除 く)に 指 定 されていることを 知 ってい るかどうかを 尋 ねたところ 知 っているものが 学 生 11 名 (18.0%) 教 員 9 名 (90.0%)であり 本 学 における 災 害 時 の 地 域 支 援 に 対 する 学 生 の 関 心 の 低 さがうかがえる 結 果 となった 今 回 の 調 査 では 母 集 団 数 が 異 なるため 単 純 には 比 較 できないが 学 生 よりも 教 員 の 方 が 防 災 に 対 する 備 えができており 防 災 意 識 が 高 い 傾 向 があることが 明 らかとなった また 学 生 教 員 ともに 被 災 経 験 が 少 なく かつ 災 害 に よる 危 険 性 をあまり 感 じていないこと 災 害 時 の 備 蓄 品 準 備 や 家 族 との 連 絡 方 法 の 取 り 決 めと いった 防 災 に 対 する 備 えを 行 っていないことが 示 された 以 上 のことから 自 主 的 な 防 災 行 動 につながるよう 教 育 を 計 画 し 実 施 すること が 今 後 の 課 題 である 4. 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 本 学 の 安 否 確 認 メールの 登 録 状 況 は 学 生 58 名 (95.1%) 教 員 8 名 (80.0%)が 安 否 確 認 メー ルに 登 録 していると 回 答 した 防 災 セミナー 終 了 3 日 後 に 学 生 に 対 し 安 否 確 認 メールの テスト 配 信 を 実 施 した 結 果 1 年 生 63 名 中 安 否 確 認 メールの 登 録 者 数 60 名 (95.2%) 返 信 者 41 名 ( 返 信 率 65.5%)であった さらに 安 否 確 認 メール 返 信 者 41 名 のうち 返 信 の 内 容 を 間 違 えた 学 生 が 7 名 安 否 確 認 メールに 登 録 していないアドレスから 返 信 した 学 生 が 4 名 であり 正 しく 安 否 確 認 メールを 返 信 できた 学 生 が 30 名 (47.6%)であった 毎 年 秋 学 期 の 防 災 総 合 訓 練 時 に 行 われる 他 学 部 の 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 における 平 成 25 26 年 度 の 返 信 率 は 25% 台 である 今 回 の 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 結 果 は それと - 55 -

林 和 枝 比 較 すると 高 く 防 災 セミナーを 実 施 した 効 果 であると 考 えられる しかし 返 信 者 の 内 訳 を みると 正 しく 安 否 確 認 メールを 返 信 できた 学 生 は 30 名 と 過 半 数 を 割 っている 状 態 であり 学 生 に 周 知 徹 底 できたとはいいがたい そこで 後 期 オリエンテーション 時 に 資 料 を 用 いて 安 否 確 認 メールのテスト 配 信 の 結 果 を 学 生 に 伝 え 再 度 正 しい 安 否 確 認 メールの 受 信 設 定 と 返 信 方 法 を 教 授 した 安 否 確 認 メールは 大 学 側 が 学 生 の 被 災 状 況 を 把 握 するためのものである 学 生 が 自 身 に 課 せられた 責 任 を 的 確 に 果 たすといった 態 度 や 習 慣 を 身 につけることは 社 会 人 として さらに 人 間 の 命 を 守 る 看 護 職 を 目 指 す 学 生 にとって 必 要 不 可 欠 である 次 回 の 安 否 確 認 のテストメー ル 配 信 は 秋 学 期 の 防 災 総 合 訓 練 時 である 学 生 に 対 する 教 育 効 果 が 現 れることを 期 待 したい おわりに - 今 後 の 活 動 に 向 けて- 本 学 看 護 学 部 における 災 害 に 関 する 教 育 は 始 まったばかりである 現 在 看 護 学 部 防 災 関 連 ワーキングでは 看 護 学 部 学 生 の 有 志 を 募 り 学 生 の 意 見 を 反 映 した 災 害 時 に 活 用 可 能 な 防 災 ガイドブック 製 作 に 取 り 組 んでいる 今 回 は 教 員 が 防 災 セミナーを 実 施 した 将 来 的 に 上 級 生 が 下 級 生 を 教 育 するといった 本 学 看 護 学 部 の 特 色 のひとつである 縦 の 連 携 を 持 つことで 学 生 が 主 体 となり 率 先 して 自 身 と 他 者 の 命 を 守 る 行 動 がとれることを 目 指 して 今 後 の 活 動 を 行 っていきたい 謝 辞 調 査 の 趣 旨 をご 理 解 いただき 貴 重 なデータ を 提 供 くださいました 学 生 教 員 の 皆 様 に 深 く 感 謝 申 しあげます また 学 生 への 安 否 確 認 メー ルのテスト 配 信 に 関 して 多 大 なるご 協 力 をい ただきました 情 報 センターの 江 口 廣 晃 様 に 厚 く お 礼 申 しあげます なお 本 研 究 は 平 成 27 年 度 岐 阜 聖 徳 学 園 大 学 研 究 助 成 により 実 施 した 調 査 の 一 部 である 引 用 文 献 内 閣 府 ( 平 成 27 年 6 月 1 日 検 索 ). 防 災 に 関 す る 世 論 調 査. http://survey.gov-online.go.jp/h25/h25-bousai/3_ chosahyo.html 上 田 ゆみ 子, 林 和 枝, 鈴 木 寛 之 他 (2013): 看 護 大 学 生 の 災 害 時 対 応 の 実 態 と 対 応 マニュア ルのニーズ, 中 部 大 学 生 命 健 康 科 学 研 究 所 紀 要,9,25-34. - 56 -