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民 間 税 制 調 査 会 寄 稿 平 成 27 年 8 月 29 日 個 人 住 民 税 のふるさと 納 税 制 度 の 疑 問 点 川 村 栄 一 はじめに 最 近 個 人 住 民 税 の ふるさと 納 税 制 度 に 関 する 記 事 や 報 道 等 が 目 立 っている ように 思 える 書 店 では ふるさと 納 税 の 活 用 を 勧 める 書 籍 が 並 べられており 車 内 吊 りの 広 告 では ふるさと 納 税 の 活 用 方 法 が 記 載 されていると 思 えるサイトの 案 内 があり 新 聞 報 道 においても ふるさと 納 税 の 返 礼 品 の 金 額 別 ランキングのような 記 事 特 定 の 市 町 村 がチケットの 交 付 やレンタカーの 無 償 使 用 を 認 めているなどの 記 事 も 見 受 けられる 今 年 度 の 税 制 改 正 では 寄 附 金 税 額 控 除 の 限 度 額 が 所 得 割 額 の10% 限 度 から 同 20% 限 度 に 引 き 上 げられたことから お 得 度 2 倍 というような 記 事 まで 見 受 けられる 筆 者 は 長 年 にわたり 地 方 税 の 課 税 実 務 や 制 度 等 に 携 わってきた 経 験 から この ような ふるさと 納 税 の 制 度 には 運 用 面 の 問 題 のみならず 制 度 的 にも 問 題 点 ( 欠 陥 というといい 過 ぎであろうか )があるのではないかと 危 惧 している 以 下 気 がついた 点 を 述 べておきたい 1 個 人 住 民 税 とふるさと 納 税 ( 寄 附 金 税 額 控 除 )とは ふるさと 納 税 とは 個 人 住 民 税 所 得 割 額 の 寄 附 金 税 額 控 除 のことをいう 個 人 住 民 税 というときは 道 府 県 民 税 と 市 町 村 民 税 とをあわせたものをいう 道 府 県 民 税 と 市 町 村 民 税 には いずれも 一 律 に 定 額 で 課 される 均 等 割 と 所 得 に 対 し て 課 される 所 得 割 とからなっている ここでは 道 府 県 民 税 と 市 町 村 民 税 とを 含 め ひとまとめにして 個 人 住 民 税 ということにする 個 人 住 民 税 の 寄 附 金 税 額 控 除 は 所 得 割 額 から 控 除 される 地 方 公 共 団 体 に 対 する 寄 附 金 については 所 得 税 において 所 得 控 除 である 寄 附 金 控 除 ( 総 所 得 金 額 等 の40% 限 度 )の 適 用 があり 2 千 円 を 超 える 部 分 にその 納 税 義 務 者 に 適 用 される 限 界 税 率 (その 者 の 最 高 税 率 )を 適 用 して 計 算 した 所 得 税 額 が 控 除 される 個 人 住 民 税 では 所 得 税 のような 所 得 控 除 ではなく 寄 附 金 税 額 控 除 の 適 用 があ る 寄 附 金 の 額 が 総 所 得 金 額 等 の30% 限 度 で かつ 所 得 割 額 の20% 限 度 ( 平 成 27 年 度 税 制 改 正 後 )であれば 所 得 税 額 の 控 除 額 を 除 いた2 千 円 を 超 える 税 額 が 全 額 控 除 される よりわかりやすくいえば 納 税 者 の 国 税 地 方 税 の 納 税 額 の 一 - 1 -

定 額 の 範 囲 内 の 寄 附 金 であれば 2 千 円 を 自 己 負 担 額 とするだけで 残 る 税 額 は 全 て 控 除 されることになるのである 2 ふるさと 納 税 制 度 の 問 題 点 とその 検 討 このふるさと 納 税 制 度 に 問 題 点 はないのか 具 体 的 な 設 例 により 考 えてみよう ある 市 町 村 に 対 し 5 千 円 の 寄 附 をすると 2 千 円 相 当 の 返 礼 品 をもらえるとし よう 東 京 都 特 別 区 に 在 住 する 個 人 のAさんが 5 千 円 の 寄 附 を10 回 にわたって 計 5 万 円 の 寄 附 をした 場 合 には 計 2 万 円 相 当 の 返 礼 品 を 受 け 取 ることができる 5 万 円 の 寄 附 金 が 寄 附 金 税 額 控 除 の 限 度 額 の 範 囲 内 にあれば Aさんは 対 価 2 万 円 を 得 ているにもかかわらず 2 千 円 のみが 自 己 負 担 額 となり 残 る4 万 8 千 円 は 全 額 が 所 得 税 額 及 び 個 人 住 民 税 所 得 割 額 から 控 除 されることになる これは 寄 附 金 税 額 控 除 の 運 用 として 適 切 といえるだろうか 総 務 省 の 道 府 県 及 び 市 町 村 に 対 するいわゆる 取 扱 通 知 においては 寄 附 金 税 額 控 除 の 運 用 について 寄 附 金 が 経 済 的 利 益 の 無 償 の 供 与 であることを 踏 まえ 返 礼 品 ( 特 産 品 )の 送 付 が 対 価 の 提 供 との 誤 解 を 招 きかねないような 寄 附 の 募 集 をす る 行 為 を 行 わないようにすること 具 体 的 には 高 額 又 は 寄 附 額 に 対 し 返 礼 割 合 の 高 い 返 礼 品 ( 特 産 品 )の 送 付 を 行 わないよう 通 知 している 至 極 もっともな 通 知 内 容 である しかし ふるさと 納 税 制 度 には こうした 運 用 上 の 問 題 だけではなく 税 制 上 問 題 はないのであろうか 以 下 寄 附 金 税 額 控 除 の 問 題 を 税 制 の 制 度 面 と 租 税 の 本 質 から 考 えてみよう (1) 所 得 税 法 の 税 制 面 からの 検 討 上 記 の 設 例 では Aさんは 計 2 万 円 相 当 の 返 礼 品 を 受 け 取 っているので これ は 経 済 的 利 益 を 得 たことになる 経 済 的 利 益 は 所 得 税 法 上 10 種 類 の 所 得 の 種 類 に 応 じ 収 入 金 額 とし 又 は 総 収 入 金 額 に 算 入 しなければならない この 経 済 的 利 益 がいずれの 所 得 の 種 類 に 該 当 するのかについては 総 務 省 は 一 時 所 得 に 当 たると 考 えている( 前 掲 総 務 省 通 知 ) 一 時 所 得 に 当 たれば 特 別 控 除 額 50 万 円 ( 限 度 額 )を 控 除 することができるので 設 例 のAさんは 一 時 所 得 の 金 額 はないことになり 所 得 税 個 人 住 民 税 の 課 税 関 係 は 生 じないことになる しかし 本 当 にそういえるであろうか 一 時 所 得 に 当 たるためには 所 得 税 法 の 条 文 上 1 営 利 を 目 的 とする 継 続 的 行 為 から 生 じた 所 得 以 外 の 一 時 の 所 得 であること 及 び2 資 産 の 譲 渡 の 対 価 として の 性 質 を 有 しないこと という 各 要 件 を 満 たす 必 要 があるとされている ここにいう 寄 附 とは 所 得 税 法 の 資 産 の 譲 渡 における 譲 渡 に 当 たる ので そうとすれば 一 時 所 得 の 要 件 を 満 たさないと 考 えられる 例 えば 重 要 文 化 財 を 国 や 地 方 公 共 団 体 に 対 して 寄 附 をした 場 合 において 譲 渡 益 が 発 生 するときは 本 来 は 譲 渡 所 得 課 税 がなされるべきであるが 租 税 特 別 措 置 法 は こうした 寄 附 の 実 情 等 に 鑑 み 譲 渡 所 得 を 非 課 税 としている ということ - 2 -

は 寄 附 は 譲 渡 に 当 たるから このような 規 定 を 置 いているということである したがって 寄 附 によって 対 価 を 得 た 場 合 のその 対 価 の 所 得 の 種 類 は 一 時 所 得 に 当 たるための 前 掲 2の 要 件 を 満 たさず 一 時 所 得 には 当 たらないということにな りそうである また 寄 附 に 伴 う 対 価 を 得 ることを 目 的 として 継 続 的 に 寄 附 をしてその 対 価 を 得 ている 場 合 には 一 時 所 得 に 当 たるための 前 掲 1の 要 件 も 満 たさないと 考 えられ る なお 資 産 の 譲 渡 における 資 産 には 金 銭 は 含 まれないが 一 時 所 得 で は 譲 渡 所 得 の 要 件 を 検 討 する 必 要 はないと 考 える そうすると これらの 事 例 における 所 得 の 種 類 は 一 時 所 得 ではなく 雑 所 得 で あると 考 えるべきであろう 雑 所 得 の 金 額 の 計 算 については 総 収 入 金 額 から 必 要 経 費 を 控 除 するが ふるさ と 納 税 における 寄 附 については 必 要 経 費 はないか あっても 僅 少 な 額 であろう 寄 附 をする 者 が 給 与 所 得 者 又 は 公 的 年 金 等 の 雑 所 得 の 対 象 となる 者 である 場 合 に は これらの 所 得 以 外 の 所 得 の 金 額 が20 万 円 以 下 であるときは 所 得 税 の 確 定 申 告 義 務 はない しかし 個 人 住 民 税 においては このような 申 告 不 要 制 度 は 存 在 し ない 所 得 金 額 がある 限 り 申 告 しなければならない (2) 法 人 税 法 の 税 制 面 からの 検 討 地 方 公 共 団 体 は 法 人 税 法 上 の 法 人 ( 別 表 1の 公 共 法 人 )の 一 つであり いわゆ る 大 法 人 の 範 疇 に 入 る 地 方 公 共 団 体 は 公 共 的 性 格 を 有 するため 法 人 税 は 非 課 税 とされている 公 共 法 人 や 収 益 事 業 を 営 まない 公 益 法 人 等 を 除 けば 法 人 は 法 人 税 法 及 び 租 税 特 別 措 置 法 の 規 定 の 適 用 を 受 け 損 益 計 算 後 の 所 得 の 金 額 があれば 法 人 税 の 納 税 義 務 を 負 う 地 方 公 共 団 体 が 寄 附 をした 者 に 返 礼 品 の 贈 与 をするその 費 用 は 交 際 費 に 当 たる 可 能 性 が 高 いと 考 える 交 際 費 については いわゆる 大 法 人 であれば 飲 食 費 を 除 く 交 際 費 は 損 金 算 入 が 認 められず 全 額 益 金 に 算 入 しなければならない この 交 際 費 に 当 たらず 損 金 算 入 が 認 められる 例 としては 租 税 特 別 措 置 法 施 行 令 において カレンダー 手 帳 扇 子 うちわ 手 拭 い 等 の 贈 与 に 通 常 要 する 費 用 とされている この 交 際 費 に 当 たるための 要 件 については 裁 判 例 により 1 支 出 の 相 手 方 が 事 業 関 係 者 等 であること 2 支 出 の 目 的 が 事 業 関 係 者 等 との 間 の 親 睦 の 度 を 密 にして 取 引 関 係 の 円 滑 な 進 行 を 図 ること 3 行 為 の 形 態 が 接 待 贈 答 その 他 これらに 類 す る 行 為 であること の3 要 件 を 満 たすことが 必 要 であるとされているが 地 方 公 共 団 体 の 返 礼 品 については 寄 附 者 は 地 方 公 共 団 体 の 関 係 者 に 当 たり 地 方 公 共 団 体 は 寄 附 をしてもらう( 場 合 によっては 継 続 的 に)という 円 滑 な 関 係 の 構 築 に 資 する ものであり 行 為 の 形 態 は 贈 答 であるから 3 要 件 を 全 て 満 たしていそうである 地 方 公 共 団 体 は 法 人 税 法 上 の 非 課 税 法 人 であるので 法 人 税 法 及 び 租 税 特 別 措 置 法 等 の 課 税 規 定 の 直 接 の 適 用 はない しかし 地 方 公 共 団 体 といえども 法 人 税 法 上 の 一 法 人 である 以 上 法 人 税 法 及 び 租 税 特 別 措 置 法 等 の 規 定 の 趣 旨 はあてはま - 3 -

るであろう 少 なくとも これらの 規 定 の 趣 旨 を 踏 まえた 対 応 をすることが 求 めら れるというべきであろう そうとすれば ふるさと 納 税 に 対 する 返 礼 品 は カレン ダー 等 の 類 いに 止 めておくべきであろう(これは 運 用 上 の 問 題 でもある ) (3) 租 税 の 本 質 からの 検 討 租 税 は サラリーマン 税 金 訴 訟 の 最 高 裁 昭 和 60 年 3 月 27 日 大 法 廷 判 決 の 判 示 に 照 らせば 特 別 の 給 付 に 対 する 反 対 給 付 としてでなく 資 金 調 達 目 的 で 強 制 的 に 課 す 金 銭 である すなわち 租 税 の 性 格 は 無 償 性 が 大 原 則 であり 対 価 性 はあってはならないと いうべきである 3 ふるさと 納 税 制 度 の 見 直 しの 方 向 性 ふるさと 納 税 における 対 価 については これまでみたように 極 めて 疑 わしい 税 制 上 の 疑 問 点 が 存 するといえる そうであれば 何 らかの 疑 問 点 の 解 消 策 が 必 要 で あろう できれば 廃 止 すべきではないか 廃 止 でなければ 少 なくとも 次 のような 措 置 を 講 じるべきであろう 例 えば 所 得 税 法 の 規 定 をみると 災 害 により 住 宅 家 財 等 に 損 失 を 受 けた 場 合 に は 雑 損 控 除 の 適 用 があり 所 定 の 損 失 額 を 所 得 控 除 することができる ただし 控 除 できる 金 額 は 保 険 金 等 により 補 填 された 金 額 を 除 くこととされている 事 業 用 固 定 資 産 について 生 じた 損 失 については 事 業 所 得 の 金 額 等 から 控 除 する ことができるが 同 様 に 控 除 できる 金 額 は 保 険 金 等 により 補 填 された 金 額 を 除 くこととされている 個 人 住 民 税 の 所 得 割 の 課 税 標 準 は 前 年 の 所 得 について 算 定 した 総 所 得 金 額 等 で ある この 総 所 得 金 額 等 の 計 算 には 所 得 税 法 等 の 所 得 計 算 規 定 が 一 部 の 例 外 を 除 き 包 括 的 に 適 用 されるのであるから 上 記 2つの 所 得 税 法 の 規 定 は そのまま 個 人 住 民 税 に 適 用 される ふるさと 納 税 についても 上 記 2つの 規 定 と 同 様 寄 附 金 を 支 出 したことに 伴 っ て 返 礼 品 等 の 対 価 相 当 額 を 得 た 場 合 には 寄 附 金 税 額 控 除 の 対 象 となる 額 から 控 除 すべきであろう そうすることによって 寄 附 は 人 の 善 意 に 根 ざすものであるとの 寄 附 金 税 額 控 除 の 本 来 の 姿 に 立 ち 返 ることができるのではないだろうか 終 わりに 公 表 されているデータ( 平 成 26 年 度 実 績 )によれば 東 京 都 ( 都 民 税 及 び 区 市 町 村 民 税 )から 出 て 行 く 寄 附 金 税 額 控 除 額 は 18 億 円 を 超 えている 2 番 目 の 神 奈 川 県 の3 倍 を 超 えている 都 民 が 納 税 した 個 人 住 民 税 の18 億 円 超 が 都 外 に 流 失 しているのである - 4 -

こうした 実 態 をみると 筆 者 には ふるさと 納 税 とは 寄 附 に 名 を 借 りた 税 源 の 移 転 ではないかという 疑 問 が 常 につきまとっている 最 近 個 人 のふるさと 納 税 に 類 似 した 法 人 住 民 税 の 税 額 控 除 を 創 設 することが 検 討 されていることが 報 道 されたが 本 稿 で 指 摘 したふるさと 納 税 制 度 の 疑 問 点 の 検 討 が 先 であるように 思 うが どうであろうか - 5 -