生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン Ⅲ 埼 玉 教 育 の 課 題 教 育 を 取 り 巻 く 社 会 の 動 向 を 背 景 に 本 県 の 教 育 の 課 題 として (1) 学 び や 自 立 (2) 心 や 体 (3) 学 校 教 育 (4) 家 庭 や 地 域 の 教 育 (5) 生 涯 学 習 やス ポーツ の5つに 大 きく 整 理 することができます (1) 学 びや 自 立 について 活 用 に 関 する 学 力 の 育 成 学 力 分 布 の 分 散 拡 大 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 の 結 果 によると 本 県 の 子 どもたちの 学 力 は 全 国 の 子 どもたちとほぼ 同 レベルにあるものの 知 識 そのものよりも 得 た 知 識 を 活 用 することに 課 題 があることが 明 らかになりました 全 国 学 力 学 習 状 況 調 査 における 埼 玉 県 の 平 均 点 ー 文 部 科 学 省 ( 平 成 ₂₀ 年 度 )ー 主 として 知 識 に 関 する 問 題 主 として 活 用 に 関 する 問 題 小 ₆ 国 語 小 ₆ 算 数 中 ₃ 国 語 中 ₃ 数 学 6
第 1 章 総 論 Ⅲ 国 際 的 な 学 力 調 査 (PISA 調 査 )の 結 果 でも わが 国 の 子 どもたちの 学 力 は 全 体 としては 上 位 にあるものの 活 用 に 関 する 学 力 である 読 解 力 に ついてはOECD 平 均 程 度 まで 低 下 していることが 示 されています また 成 績 中 位 層 の 減 少 とともに 低 位 層 の 増 加 も 見 られ 学 力 分 布 の 分 散 が 拡 大 しています 読 解 力 を 支 える 基 礎 学 力 を すべての 子 どもたちに 身 に 付 けさせることが 必 要 です 埼 玉 教 育 の 課 題 読 解 力 の 習 熟 度 レベル 別 の 生 徒 の 割 合 ー 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD):PISA 調 査 ー ₂₀₀₀ 年 調 査 ₂₀₀₃ 年 調 査 ₂₀₀₆ 年 調 査 レベル₁ 未 満 レベル₁ レベル₂ レベル₃ レベル₄ レベル₅ 対 象 学 年 : 高 校 1 年 生 PISA(Programme for International Student Assessment) 調 査 は 生 徒 の 学 習 到 達 度 調 査 と 訳 され OECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 )が 実 施 して いる 高 校 ₁ 年 生 を 対 象 とした 知 識 や 技 能 等 を 実 生 活 の 様 々な 場 面 で 直 面 す る 課 題 にどの 程 度 活 用 できるかを 評 価 するための 調 査 読 解 力 とは 書 かれたテキスト( 情 報 )を 理 解 し 利 用 し 熟 考 する 能 力 のこと 7
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン 目 的 意 識 や 学 習 意 欲 の 低 下 目 的 意 識 を 持 って 学 校 で 勉 強 している と 答 える 子 どもの 割 合 は 学 校 段 階 が 進 むにつれて 低 くなっています 子 どもたちに 目 的 意 識 を 持 たせるな ど 内 発 的 な 学 習 意 欲 を 向 上 させることが 必 要 です 目 的 意 識 を 持 って 学 校 で 勉 強 している と 答 えた 児 童 生 徒 の 割 合 ー 埼 玉 県 教 育 振 興 基 本 計 画 策 定 に 係 る 意 識 調 査 ( 平 成 ₁₉ 年 )ー 小 学 生 中 学 生 高 校 生 あてはまる ややあてはまる あまりあてはまらない あてはまらない 無 回 答 国 際 的 に 見 ても 日 本 の 子 どもたちは 諸 外 国 に 比 べ 宿 題 をする 時 間 は 短 く 逆 にテレビやビデオを 見 る 時 間 は 長 くなっています 学 校 外 での 一 日 の 時 間 の 過 ごし 方 ー 国 際 教 育 到 達 度 評 価 学 会 (IEA):TIMSS 調 査 *( 平 成 ₁₉ 年 )ー 日 本 平 均 国 際 平 均 宿 題 をする テレビやビデオを 見 る 家 の 仕 事 ( 手 伝 い)をする 対 象 学 年 : 中 学 校 2 年 生 8
第 1 章 総 論 Ⅲ 若 者 の 自 立 の 遅 れ 進 路 未 定 者 や 一 時 的 な 仕 事 に 就 いた 者 (フリーター*)の 割 合 は 近 年 減 少 していますが 就 業 構 造 の 変 化 もあり いまだ 相 当 数 にのぼっています 子 ど もたちに 将 来 の 生 き 方 を 考 えさせることが 必 要 です 埼 玉 教 育 の 課 題 埼 玉 県 公 立 高 校 卒 業 者 に 占 める 進 路 未 定 者 などの 割 合 と 人 数 ー 埼 玉 県 高 等 学 校 卒 業 者 の 進 路 状 況 調 査 : 埼 玉 県 教 育 委 員 会 ー 進 路 未 定 者 一 時 的 な 仕 事 に 就 いた 者 (フリーター) 平 成 ₁₈ 年 ₃ 月 平 成 ₁₉ 年 ₃ 月 平 成 ₂₀ 年 ₃ 月 進 路 未 定 者 は 無 業 者 から 家 事 手 伝 い 自 宅 浪 人 求 職 者 など を 除 外 した 数 値 なお 予 備 校 などへ 通 う 浪 人 も 含 んでいない 特 別 な 教 育 的 ニーズへの 対 応 障 害 のある 子 どもたちなどに 対 し 一 人 一 人 の 教 育 的 ニーズに 応 じた 適 切 な 支 援 が 求 められています すべての 公 立 学 校 において 特 別 支 援 教 育 の 推 進 体 制 を 整 える 必 要 があ ります また 本 県 では 全 体 の 児 童 生 徒 数 が 減 少 する 中 特 別 支 援 学 校 の 児 童 生 徒 数 は 増 加 しており 教 室 不 足 の 早 期 解 消 や 複 数 の 障 害 種 への 対 応 な ど 特 別 支 援 学 校 の 機 能 の 充 実 が 課 題 となっています 埼 玉 県 公 立 特 別 支 援 学 校 幼 児 児 童 生 徒 数 の 推 移 ー 埼 玉 県 教 育 委 員 会 ー 平 成 ₁₁ 年 度 平 成 ₁₄ 年 度 平 成 ₁₇ 年 度 平 成 ₂₀ 年 度 平 成 ₂₃ 年 度 9
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン (2) 心 や 体 について いじめ 不 登 校 高 校 中 途 退 学 の 解 消 いじめや 不 登 校 児 童 生 徒 が 依 然 として 多 く 特 に 不 登 校 児 童 生 徒 数 は 小 学 校 から 中 学 校 に 進 学 する 段 階 で 約 ₃.₅ 倍 に 増 加 しています 埼 玉 県 公 立 小 中 学 校 における 学 年 別 不 登 校 児 童 生 徒 数 ー 児 童 生 徒 の 問 題 行 動 等 生 徒 指 導 上 の 諸 問 題 に 関 する 調 査 : 文 部 科 学 省 ( 平 成 ₁₉ 年 度 )ー 不 登 校 児 童 生 徒 数 小 学 校 1,238 人 中 学 校 6,117 人 小 ₁ 小 ₂ 小 ₃ 小 ₄ 小 ₅ 小 ₆ 中 ₁ 中 ₂ 中 ₃ 高 校 中 途 退 学 率 は 特 に 高 校 ₁ 年 生 で 高 い 状 況 が 見 られます 埼 玉 県 公 立 高 校 ( 全 日 制 )における 学 年 別 中 途 退 学 者 数 と 構 成 比 ー 児 童 生 徒 の 問 題 行 動 等 生 徒 指 導 上 の 諸 問 題 に 関 する 調 査 : 文 部 科 学 省 ( 平 成 ₁₉ 年 度 )ー ₁ 年 ₂ 年 ₃ 年 単 位 制 10
第 1 章 総 論 Ⅲ 規 範 意 識 や 社 会 性 の 低 下 自 信 の 欠 如 子 どもたちに 規 範 意 識 や 社 会 性 の 低 下 などが 生 じています この 原 因 は 少 子 化 や 核 家 族 化 が 進 行 する 中 体 験 の 機 会 が 減 少 していることや 人 と 人 と のつながりが 弱 まっていることなどが 考 えられます 埼 玉 教 育 の 課 題 友 達 が 悪 いことをしていたらやめさせる 割 合 ー 青 少 年 の 自 然 体 験 活 動 等 に 関 する 実 態 調 査 報 告 書 ー 国 立 青 少 年 教 育 振 興 機 構 ( 平 成 ₁₇ 年 ) 平 成 ₁₀ 年 平 成 ₁₇ 年 やめさせる やめさせない 対 象 学 年 : 小 学 校 4 6 年 生 中 学 校 2 年 生 自 分 に 自 信 がある 子 どもの 割 合 が 減 っているなど 子 どもたちの 自 己 肯 定 感 の 低 さが 指 摘 されています 自 分 に 自 信 がある と 答 えた 児 童 生 徒 の 割 合 ー 低 年 齢 少 年 の 生 活 と 意 識 に 関 する 調 査 報 告 書 : 内 閣 府 ( 平 成 ₁₉ 年 )ー 小 学 生 ( 平 成 ₁₁ 年 ) 小 学 生 ( 平 成 ₁₉ 年 ) 中 学 生 ( 平 成 ₁₁ 年 ) 中 学 生 ( 平 成 ₁₉ 年 ) 自 信 がある 自 信 がない わからない 対 象 学 年 : 小 学 校 4 年 生 ~ 中 学 校 3 年 生 11
生きる力と絆の埼玉教育プラン 子どもの体力の低下 生活習慣の乱れ 子どもの体力は 長期的に見て低下 停滞傾向にあります 埼玉県公立小 中 高等学校児童生徒の体力の状況 ー 運動能力テスト 新体力テスト結果 埼玉県平均値 ー 高2 7.0 50m走 男子 秒 中2 8.0 7.5 8.5 8.0 9.0 8.5 9.5 9.0 S62 H元 3 5 7 9 小6 50m走 女子 秒 11 13 15 17 19 年 10.0 S62 H元 3 ボール投げ 男子 m 34 32 30 28 26 24 22 20 S62 H元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 年 5 7 9 11 13 15 17 19 年 ボール投げ 女子 m 24 22 20 18 16 14 12 S62 H元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 年 小学校はソフトボール 中 高等学校はハンドボールを使用 また 就寝時間が遅かったり 朝食を食べない子どもがいたりするなど 幼児 も含め 基本的な生活習慣の乱れが見られます 児童生徒の就寝時間 ー 埼玉県教育振興基本計画策定に係る意識調査 平成₁₉年 ー 0 20 40 60 80 100 1.6 小学生 79.2 中学生 高校生 26.0 10.8 18.7 60.3 57.9 12.7 30.0 0.5 1.0 1.3 ₁₀時より前 ₁₀ ₁₂時頃 ₁₂時より後 無回答 幼児の生活アンケート 教育研究開発センター によると ₁₀時以降に就寝する幼児 ₆か月 ₆歳 の割合は₂₉.₃ である 教育に関する₃つの達成目標 質問紙調査 埼玉県教育委員会 平成₁₉年度 によると 小学 生の₁ ₅ 中学生の₃ ₉ が朝食を ほとんど食べない と答えている 12
第 1 章 総 論 Ⅲ (3) 学 校 教 育 について 教 職 員 の 大 量 退 職 への 対 応 大 量 の 公 立 学 校 教 員 が 退 職 の 時 期 を 迎 えています 埼 玉 教 育 の 課 題 埼 玉 県 公 立 学 校 教 員 の 年 齢 構 成 ー 教 職 員 年 齢 構 成 調 査 : 埼 玉 県 教 育 委 員 会 ( 平 成 ₁₉ 年 度 )ー 教 員 の 大 量 退 職 などに 伴 い 採 用 数 が 増 加 する 一 方 で 採 用 試 験 の 受 験 倍 率 が 低 下 していることから 志 願 者 の 確 保 などが 課 題 となっています 埼 玉 県 教 員 採 用 試 験 における 受 験 倍 率 の 推 移 ー 埼 玉 県 教 育 委 員 会 ー 13
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン 学 校 運 営 の 改 善 学 校 の 様 々な 課 題 解 決 のために 教 職 員 一 人 一 人 が 学 校 運 営 に 参 画 するこ とによって 組 織 力 を 強 化 することが 求 められています また 地 域 に 開 かれた 学 校 づくりを 進 めるため 地 域 住 民 や 保 護 者 などによる 学 校 関 係 者 評 価 *の 実 施 や その 結 果 を 公 表 していくことが 求 められています 埼 玉 県 公 立 学 校 における 学 校 関 係 者 評 価 の 実 施 状 況 ー 学 校 評 価 及 び 情 報 提 供 の 実 施 状 況 調 査 : 文 部 科 学 省 ( 平 成 ₁₈ 年 度 )ー 保 護 者 等 による 学 校 関 係 者 評 価 の 実 施 率 結 果 の 公 表 率 小 学 校 中 学 校 県 立 学 校 学 校 の 自 己 評 価 は 全 ての 小 中 高 等 学 校 で 実 施 している 14
第 1 章 総 論 Ⅲ (4) 家 庭 や 地 域 の 教 育 について 家 庭 地 域 の 教 育 力 の 低 下 子 育 てや 教 育 の 問 題 点 として 親 は 家 庭 でのしつけ や 地 域 社 会 での 安 全 な 生 活 をあげています 埼 玉 教 育 の 課 題 親 が 考 える 子 育 てや 教 育 の 問 題 点 ー 低 年 齢 少 年 の 生 活 と 意 識 に 関 する 調 査 : 内 閣 府 ( 平 成 ₁₉ 年 )ー 家 庭 でのしつけや 教 育 が 不 十 分 であること 地 域 社 会 で 子 どもが 安 全 に 生 活 できなくなっていること メディアなどから 子 どもたちが 悪 い 影 響 を 受 けること 世 の 中 全 般 の 風 俗 が 乱 れていること 教 師 の 教 育 する 力 が 不 十 分 であること 子 どもたちの 遊 びの 場 が 少 ないこと 受 けられる 教 育 の 機 会 や 質 に 差 があること 地 域 社 会 と 子 どもたちのかかわりが 乏 しいこと 教 師 と 生 徒 の 接 触 が 乏 しいこと 受 験 競 争 が 厳 しいこと 子 どもたちの 生 活 が 勉 強 に 偏 りがちであること 教 師 の 数 が 少 ないこと 学 校 で 教 えることが 多 すぎること 学 校 の 規 則 が 厳 しすぎること その 他 保 護 者 は 近 所 づきあいは 多 くない 反 面 地 域 での 助 け 合 いは 重 要 である と 感 じています 保 護 者 が 地 域 について 感 じること ー 埼 玉 県 教 育 振 興 基 本 計 画 策 定 に 係 る 意 識 調 査 ( 平 成 ₁₉ 年 )ー 自 分 の 近 所 づきあいは 多 いほうである 地 域 での 助 け 合 いは 重 要 である 地 域 での 出 来 事 や 問 題 に 関 心 がある 地 域 での 行 事 にはなるべく 参 加 したい そう 思 う どちらともいえない そう 思 わない わからない 1
生 きる 力 と 絆 の 埼 玉 教 育 プラン (5) 生 涯 学 習 やスポーツについて 生 涯 学 習 への 支 援 人 生 を 豊 かにしたり 知 識 や 技 術 を 高 めたりするための 多 様 な 学 習 の 機 会 が 求 められています 特 に 団 塊 の 世 代 *は そうした 目 的 に 加 え 社 会 貢 献 や 将 来 の 仕 事 に 役 立 つなど 質 の 高 い 学 習 機 会 を 求 める 割 合 が 高 くなっています 人 生 を 豊 かにできる 地 域 や 社 会 との 関 わりが 深 められる 人 間 関 係 を 広 げられる ストレスの 解 消 になる 知 識 や 技 術 を 高 められる 余 暇 を 楽 しく 過 ごせる 今 の 仕 事 や 将 来 の 仕 事 に 役 立 つ 健 康 に 役 立 つ 老 化 防 止 になる 資 格 取 得 に 役 立 つ 社 会 に 貢 献 できる 家 庭 生 活 に 役 立 つ 学 習 活 動 を 行 う 理 由 ー 文 部 科 学 省 ( 平 成 ₁₈ 年 )ー 団 塊 世 代 全 体 スポーツ 活 動 への 支 援 県 民 は 生 涯 にわたって スポーツ 活 動 に 親 しむ 機 会 を 求 めていますが 活 動 時 の 苦 労 や 問 題 について 時 間 がない 場 所 や 施 設 がない などの 意 見 が 多 くなっています スポーツ レクリエーション 活 動 時 の 苦 労 や 問 題 ー 埼 玉 県 県 政 世 論 調 査 ( 平 成 ₁₉ 年 )ー 仕 事 や 家 事 育 児 が 忙 しくて 時 間 がない 身 近 に 利 用 できる 場 所 や 施 設 がない 費 用 が 高 い 病 気 年 齢 など 参 加 したいイベントがない つきあいが 面 倒 予 約 が 取 れないなど 場 所 や 施 設 が 利 用 しにくい 仲 間 がいない( 足 りない) 嫌 い 興 味 がない 下 手 だから 指 導 者 がいない その 他 特 にない( 十 分 にできている) 無 回 答 16