更 新 日 :2013/6/21 中 国 の 天 然 ガスパイプライン 整 備 の 現 状 と 計 画 調 査 部 : 竹 原 美 佳 中 国 は 2015 年 に 天 然 ガス 消 費 が 現 在 より1,000 億 m 3 程 度 増 加 する 見 通 しであり 国 内 幹 線 パイプ ラインや LNG 受 入 基 地 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 などのインフラ 整 備 を 急 ピッチで 進 めている PetroChina は 天 然 ガス パイプライン 事 業 に 年 1 兆 円 前 後 を 投 じ 年 4,000km という 信 じ 難 い 速 度 で パイプラインを 建 設 している 中 央 アジアや 新 疆 など 中 国 西 部 で 生 産 した 天 然 ガスを 上 海 などの 東 部 や 広 東 福 建 など 南 部 の 沿 海 地 域 に 供 給 するパイプラインの 建 設 ならびにパイプラインの 相 互 接 続 を 図 っている PetroChina のパイプライン 投 資 や 販 売 量 は 年 々 伸 びているが 天 然 ガス 価 格 統 制 により 天 然 ガ ス パイプライン 事 業 の 利 益 は 減 少 2012 年 には 赤 字 を 計 上 した PetroChina は 第 3 西 気 東 輸 パイプライン 建 設 で 初 めて 鉄 鋼 大 手 宝 鋼 との 資 本 提 携 に 踏 み 切 った 安 定 的 な 販 路 確 保 投 資 負 担 軽 減 と 双 方 に 利 点 がある 国 有 異 業 種 企 業 間 の 提 携 は 今 後 も 拡 大 す る 可 能 性 がある 中 央 アジアからの 天 然 ガス 供 給 は 現 在 200 億 m 3 / 年 程 度 だが 9 月 に 世 界 有 数 のトルクメニスタン Galkynysh( 南 ヨロテン)ガス 田 1 期 (250 億 m 3 / 年 )の 生 産 が 開 始 し 今 後 拡 大 する 可 能 性 がある ロシアからの 天 然 ガス 供 給 について 2 月 の CNPC と Gazprom の 会 談 や 3 月 の 首 脳 会 談 において ロシアと 中 国 は 天 然 ガス 売 買 契 約 (2018 年 から 380 億 m 3 / 年 を 30 年 間 )で 年 内 の 合 意 を 目 指 すこ とを 確 認 した ロシアは 対 欧 州 向 けの 輸 出 が 減 少 し 極 東 向 けに 販 路 多 様 化 を 進 めている しかし PetroChina は 価 格 統 制 で 天 然 ガス 事 業 が 赤 字 という 状 況 の 下 ロシアとの 大 量 のガス 売 買 契 約 に 簡 単 に 応 じられる 状 況 には 見 えない 中 国 は 中 央 アジアでは 供 給 源 となるガス 田 の 開 発 やパイプラ イン 事 業 に 参 加 しているが Gazprom は 中 国 に 対 し 供 給 源 となるガス 田 の 開 発 やパイプライン 事 業 への 参 加 を 容 認 していない 中 露 は 中 国 国 家 開 発 銀 行 から Gazprom への 融 資 を 先 払 い とし PetroChina の 輸 入 価 格 を 見 かけ 上 引 き 下 げるスキームについて 交 渉 を 行 っていると 伝 えられるが 政 治 的 な 力 が 働 けば 別 だが 企 業 の 角 度 からは 年 内 に 合 意 する 可 能 性 は 低 いと 考 えている 1. 国 内 天 然 ガス 消 費 とパイプライン 等 インフラの 整 備 状 況 および 計 画 中 国 は 2012 年 に 天 然 ガスを 約 1,500 億 m 3 (14.7Bcfd) 消 費 した 現 在 は 天 然 ガス 消 費 約 1,500 億 m 3 のうち 7 割 ( 約 1,100 億 m 3 )を 国 産 ガスが 供 給 し 残 り 3 割 を 輸 入 LNG と 輸 入 ガスがそれぞれ 200 億 m 3 供 給 している 国 産 ガスの 7 割 は 西 部 ( 新 疆 四 川 長 慶 )で 生 産 しており パイプラインにより 北 京 上 海 広 東 などの 都 市 部 に 供 給 している( 図 1) 中 国 の 都 市 ガス 12 次 五 カ 年 計 画 による 分 類 および 能 源 統 計 年 鑑 によると 2011 年 には 東 南 部 地 域 が 天 然 ガスの 約 5 割 を 消 費 している 次 いで 産 ガス 地 域
を 含 む 西 部 地 区 が 4 割 を 消 費 残 り 2 割 は 中 部 と 東 北 地 域 が 消 費 している 中 国 の 都 市 ガス 12 次 五 カ 年 計 画 の 分 類 によると 東 南 部 地 域 は 北 京 天 津 河 北 上 海 江 蘇 浙 江 福 建 山 東 広 東 海 南 西 部 地 域 は 内 モンゴル 広 西 重 慶 四 川 貴 州 雲 南 チベット 陝 西 甘 粛 寧 夏 青 海 新 疆 中 部 地 域 は 山 西 安 徽 江 西 河 南 湖 南 湖 北 東 北 地 域 は 遼 寧 吉 林 黒 竜 江 である 図 1: 主 な 幹 線 パイプラインと 輸 送 能 力 中 国 政 府 は エネルギー 第 12 次 5 ヶ 年 計 画 において 2015 年 の GDP 単 位 当 たりのエネルギー 消 費 量 を 2010 年 比 16% 削 減 し 非 化 石 エネルギー 比 率 を11.4%とする 目 標 を 設 定 している 国 家 統 計 局 によ ると 2012 年 のエネルギー 消 費 量 は 標 準 炭 換 算 で 前 年 比 3.9% 増 の 36.2 億 トン( 以 下 tce)であった 現 在 のペースでエネルギー 消 費 が 増 加 すると 2015 年 時 点 で 目 標 を 超 過 する 可 能 性 があるが 一 次 エネ ルギー 消 費 の 7 割 を 占 める 石 炭 を 減 らし 再 生 可 能 エネルギーやクリーンかつ 高 効 率 な 天 然 ガスの 利 用 を 拡 大 し 目 標 を 達 成 する 計 画 である エネルギー 消 費 が 年 率 4.3% 増 加 するという 前 提 の 下 2015 年 に 一 次 エネルギー 消 費 は 40 億 tce 石 油 換 算 で 約 28 億 トン( 以 下 toe)となる そして 天 然 ガス 消 費 は 2015 年 に 一 次 エネルギー 消 費 の 7.5%( 約 2,500 億 m 3 / 年 ) 2020 年 には 同 11%( 約 3,900 億 m 3 / 年 )
に 増 加 する 見 通 しである 中 国 は 国 内 パイプライン 網 LNG 受 入 基 地 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 などのインフ ラ 整 備 を 急 ピッチで 進 めている( 表 1) 2010 年 2012 年 2015 年 (12 次 五 か 年 計 画 ) 天 然 ガス 消 費 1,000 億 m 3 1,400 億 m 3 約 2,400 億 m 3 幹 線 パイプライン 総 延 長 ( 輸 送 能 力 ) 4 万 km (1,000 億 m 3 ) 5 万 km (1,300 億 m 3 ) 約 8 万 4,000km* (2,500 億 m 3 ) 輸 入 LNG 受 入 能 力 1,240 万 t (170 億 m 3 ) 2,300 万 t (320 億 m 3 ) 6,240 万 t** (850 億 m 3 ) 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 (ワーキングガ ス***) 約 20 億 m 3 - 約 257 億 m 3 表 1: 中 国 の 天 然 ガス 消 費 幹 線 パイプライン 総 延 長 輸 入 LNG 受 入 能 力 地 下 貯 蔵 * 過 去 の 実 績 や 着 工 状 況 から 2015 年 時 点 は 7 万 km 程 度 の 見 通 し ** 着 工 中 基 地 の 状 況 から 2015 年 時 点 は 約 4,700 万 t/y(640 億 m 3 ) 程 度 の 見 通 し *** 払 い 出 し 可 能 量 (1) 幹 線 パイプライン 輸 入 LNG 受 入 設 備 の 整 備 計 画 国 家 能 源 局 が 2012 年 12 月 に 公 示 した 天 然 ガス 発 展 12 次 五 カ 年 計 画 1 によると 2011~2015 年 の 間 に 国 内 幹 線 パイプラインを 4 万 4,000km 新 たに 建 設 し 輸 送 能 力 を 1,500 億 m 3 / 年 に 増 強 する 計 画 で ある また 輸 入 LNGは 能 源 (エネルギー) 発 展 12 次 五 カ 年 計 画 2 によると2015 年 までに 受 入 能 力 を 5,000 万 t/ 年 増 強 する 計 画 である 計 画 通 りに 進 むと 国 内 の 天 然 ガスパイプライン 総 延 長 は 2010 年 の 約 4 万 km から 2015 年 には 8 万 km に 幹 線 パイプラインの 輸 送 能 力 は 2010 年 の 約 1,000 億 m 3 / 年 から 2,500 億 m 3 / 年 に 増 加 する 計 算 となる ただし 過 去 の 着 工 実 績 から 実 際 の 整 備 は 7 万 km 程 度 にとどまると 思 われる また LNG の 受 入 能 力 は 2010 年 の 3 基 地 1,240 万 t/y(170 億 m 3 )から 6,240 万 t/y(850 億 m 3 ) 1 発 改 能 源 2012 3383 号 12 年 10 月 24 日 公 示 12 月 3 日 2 国 発 2013 2 号 13 年 1 月 1 日 公 示 1 月 23 日
とする 計 画 だが 着 工 中 の LNG 受 入 基 地 の 状 況 から 2015 年 時 点 では 4,700 万 t/y(640 億 m 3 ) 程 度 と なる 見 通 しである (2) 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 設 備 の 整 備 計 画 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 について 2010 年 末 時 点 は 大 港 貯 蔵 庫 など 北 京 向 けの 陝 京 パイプラインのバック アップとして 消 費 の 2% 程 度 (2011 年 のワーキングガス( 払 い 出 し 可 能 量 )は 約 21 億 m 3 )にとどまっていた しかし 天 然 ガス 発 展 12 次 五 カ 年 計 画 3 によると 2011~2015 年 の 間 に 811 億 元 ( 約 130 億 ドル)を 投 じ 24 か 所 (ワーキングガス:257 億 m 3 ) 消 費 の 1 割 相 当 の 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 庫 を 建 設 する 計 画 である PetroChina が 地 下 貯 蔵 の 建 設 を 全 面 的 に 担 っており 昨 年 は 東 北 天 然 ガスパイプラインのバックアップ として 遼 寧 省 に 枯 渇 ガス 田 を 利 用 した 地 下 貯 蔵 設 備 を 建 設 した 現 在 は 西 気 東 輸 パイプラインのバック アップとして 江 蘇 重 慶 湖 北 湖 南 省 などで 地 下 貯 蔵 を 稼 働 建 設 中 である 2.PetroChina のパイプライン 整 備 計 画 (1)PetroChina: 年 1 兆 円 4,000km の 建 設 ペースでパイプライン 網 を 整 備 国 内 天 然 ガスパイプライン 網 の 整 備 を 主 に 担 うのは 最 大 の 石 油 天 然 ガス 事 業 者 PetroChina である PetroChina 年 報 によると 同 社 保 有 の 天 然 ガスパイプライン 総 延 長 は 2012 年 末 現 在 約 4 万 995km で 全 国 の 77%を 占 めている 同 社 は 天 然 ガス パイプライン 事 業 に 年 1 兆 円 前 後 を 投 じ 年 4,000kmという 信 じ 難 い 速 度 でパイプラインを 建 設 している( 図 2) PetroChina の 第 12 次 五 か 年 計 画 期 (2011~2015 年 )のパイプライン 整 備 計 画 は 中 央 アジアや 新 疆 な ど 中 国 西 部 で 生 産 した 天 然 ガスを 上 海 などの 東 部 や 広 東 福 建 など 南 部 の 沿 海 地 域 に 供 給 する 大 口 径 の 第 2 第 3 西 気 東 輸 パイプライン 建 設 を 主 軸 に 西 気 東 輸 パイプラインの 東 部 と 西 部 の 中 継 地 点 である 寧 夏 中 衛 から 西 南 部 の 重 慶 や 貴 州 を 結 ぶ 連 絡 線 を 建 設 し 貴 州 や 重 慶 など 西 南 地 域 のパイプライン 網 と 西 気 東 輸 パイプラインの 相 互 接 続 (ネットワーク 化 )を 図 るというものである 3 発 改 能 源 2012 3383 号 12 年 10 月 24 日 公 示 12 月 3 日
45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 パイプライン 総 延 長 (km) 図 2:PetroChina のパイプライン 総 延 長 事 業 者 主 幹 線 区 間 幹 線 総 延 長 (km) PetroChina 陝 京 ( 延 伸 ) ( 永 清 ~ 秦 皇 島 ) PetroChina 陝 京 ( 延 伸 ) 秦 皇 島 ~ 遼 寧 省 瀋 陽 PetroChina 大 連 LNG 大 連 ~ 瀋 陽 設 計 輸 送 能 力 稼 働 開 始 年 パイプ 口 径 上 段 : 億 m 3 / 年 上 段 :mm 下 段 :MMcfd 下 段 :インチ 312 90 2009 年 1,016 870 40 475 80 2010 年 1,016 389 774 40 N.A 2010 年 N.A PetroChina 第 2 西 気 東 輸 (コルガス~ 甘 粛 省 中 衛 ~ 広 東 省 広 州 ) 4,970km コルガス~ 中 衛 2,461km 中 衛 ~ 広 州 2,517km 300 コルガス~ 中 衛 : 1,219 2009 年 末 中 衛 ~ 広 州 :2011 年 6 月 2,901 48 PetroChina 第 3 西 気 東 輸 ( コ ル ガ ス ~ 福 州 ) 5,220 300 コルガス~ 寧 夏 中 1219/1016 衛 :2013 年 末 ( 見 込 み) 中 衛 ~ 江 西 吉 安 : 2,901 2015 年 ( 見 込 み) 48/40 吉 安 ~ 福 建 福 州 : 2014 年 ( 見 込 み) PetroChina ミ ャ ン マ ー 中 国 ( 中 国 区 間 ) 端 麗 ~ 昆 明 ~ 貴 陽 1,727 120 2013 年 1,016 1,161 40 PetroChina 中 衛 ~ 貴 陽 1,613 150 2013 年 ( 見 込 1,016 み) 1,451 40
表 2:12 次 五 カ 年 計 画 に 建 設 する 主 な 幹 線 パイプライン 1 第 2 西 気 東 輸 パイプライン:2012 年 全 線 開 通 第 2 西 気 東 輸 は 新 疆 ホルゴスから 寧 夏 中 衛 を 経 て 広 東 広 州 に 至 る 総 延 長 8,704km のパイプラインであ る 幹 線 1 本 支 線 8 本 で 構 成 され 幹 線 総 延 長 は 4,970km パイプ 口 径 は 1,016~1,219mm 設 計 圧 力 10~12MPa 設 計 輸 送 能 力 300 億 m 3 / 年 の 高 圧 大 口 径 のパイプラインである 西 部 区 間 ( 新 疆 ホルゴ ス~ 寧 夏 中 衛 )は 2009 年 末 に 完 成 東 部 区 間 ( 中 衛 ~ 広 東 広 州 )は 2011 年 6 月 に 完 成 した 上 海 や 香 港 への 支 線 も 建 設 された 新 疆 など 西 部 で 生 産 する 天 然 ガスやトルクメニスタンやウズベキスタンから 輸 入 する 天 然 ガスを 新 疆 から 上 海 広 東 香 港 などに 輸 送 する PetroChinaは 緊 急 時 のバックアップとして 約 25 億 元 を 投 じ 江 蘇 省 金 壇 に 岩 塩 ドームを 利 用 した 地 下 貯 蔵 を 2 か 所 (ワーキングガス:3.9 億 m 3 ) 建 設 しており すでに 稼 働 している ちなみに 審 計 ( 会 計 検 査 ) 署 によると 第 2 西 気 東 輸 パイプラインの 建 設 では 45 億 元 ( 約 60 億 円 ) 相 当 の 不 正 行 為 があった 模 様 である 例 えば 東 部 区 間 で 2009 年 4 月 に 入 札 を 公 募 せずに 上 海 拓 発 機 電 設 備 有 限 公 司 から 1 万 5 千 セットの 熱 収 縮 チューブ(パイプラインの 腐 食 を 防 ぐ)を 調 達 し 検 査 測 定 をせ ず 施 工 した このチューブは 基 準 値 より 強 度 が 低 く パイプラインの 腐 食 損 傷 が 起 きやすいことが 判 明 したが すでに 1 万 3 千 セットが 施 工 されていた 工 程 全 体 で 23 項 目 (5.18 億 元 )について 入 札 を 公 示 せず 実 施 73 項 目 (39.83 億 元 )が 落 札 者 の 調 整 など 違 法 な 契 約 を 行 っており 工 事 費 が 少 なくとも 8 億 元 (108 億 円 ) 上 乗 せとなっているという 上 記 違 法 行 為 による 調 達 が 原 因 かどうかは 判 らないが 2013 年 に 入 り 同 パイプラインでは 2 度 の 事 故 が 発 生 している 1 月 には 寧 夏 海 原 昇 圧 ステーション 第 76 バル ブ 室 で 発 火 死 傷 者 は 無 く 供 給 に 支 障 は 生 じなかった 模 様 である 5 月 には 江 西 ~ 湖 南 支 線 で 爆 発 事 故 が 起 き 2 名 が 死 亡 した 2 第 3 西 気 東 輸 パイプライン: 建 設 中 第 3 西 気 東 輸 は 新 疆 コルガスから 寧 夏 中 衛 を 経 て 福 建 福 州 に 至 る 総 延 長 7,378kmのパイプラインであ る 幹 線 1 本 支 線 8 本 で 構 成 され 幹 線 総 延 長 は 5,220km パイプ 口 径 は 1,016~1,219mm 設 計 圧 力 は 10~12MPa 設 計 輸 送 能 力 は 300 億 m 3 / 年 の 高 圧 大 口 径 のパイプラインである 2012 年 10 月 に 着 工 した 建 設 は 西 部 中 部 東 部 の 三 区 間 に 分 けて 行 われる 西 部 区 間 ( 新 疆 コルガス~ 寧 夏 中 衛 )は 2013 年 末 稼 働 予 定 である 中 部 区 間 ( 中 衛 ~ 江 西 吉 安 )は 2015 年 稼 働 予 定 東 部 区 間 ( 吉 安 ~ 福 州 ) は 2014 年 稼 働 予 定 である またパイプラインのバックアップとして 岩 塩 ドームを 利 用 した 天 然 ガス 地 下 貯
蔵 設 備 3 箇 所 ( 湖 北 雲 応 河 南 平 頂 山 江 蘇 淮 安 :ワーキングガス 計 31.1 億 m 3 )ならびにピーク 調 整 用 の 液 化 プラント( 福 建 福 州 : 貯 蔵 能 力 300 万 t/y)を 併 せて 建 設 する 計 画 である 3 ミャンマー~ 中 国 西 南 ( 雲 南 ~ 貴 州 ~ 重 慶 )パイプライン: 稼 働 準 備 中 ミャンマー~ 中 国 天 然 ガスパイプラインは2013 年 6 月 に 完 成 した ミャンマーのチャウピューが 起 点 で 雲 南 省 瑞 麗 市 の 58 号 国 境 標 識 から 中 国 国 内 に 入 り 雲 南 省 昆 明 貴 州 省 安 順 経 由 広 西 貴 港 まで 総 延 長 2,520km(ミャンマー 区 間 793km 国 内 1,727km) 設 計 輸 送 能 力 120 億 m 3 のパイプラインである 将 来 的 には 第 2 西 気 東 輸 パイプライン 広 西 支 線 と 接 続 する 天 然 ガスパイプラインは 5 月 末 稼 働 ( 試 運 転 ) 予 定 であったが ミャンマーの 抗 議 活 動 などにより 遅 れて いる パイプライン 沿 線 における 土 地 収 用 ( 補 償 )の 問 題 や ミャンマー 政 府 が 得 る 通 過 料 3,500 万 ドル / 年 への 不 満 さらにミャンマー 国 内 に 供 給 されるガスが 産 業 向 けであり 沿 線 住 民 への 裨 益 が 低 いこ となどへの 不 満 があるようだ ミャンマー 政 府 によると 5 月 15 日 にミャンマー 北 部 ( 中 国 国 境 付 近 )のシャ ン(Shan) 州 ナムカム(Namkham)において Restoration Council of the Shan State あるいは Shan State Army がミャンマー 国 営 石 油 会 社 Myanmar Oil and Gas Enterprise(MOGE)の 施 設 を 襲 撃 した CNPC 下 請 けの 2 名 のミャンマー 人 労 働 者 が 殺 害 され 3 名 が 負 傷 した 模 様 である ミャンマー 政 府 は 5 月 30 日 にカチン 独 立 機 構 (Kachin Independence Organization;KIO)と 停 戦 合 意 を 結 んだ 全 般 的 な 治 安 についてコントロール 可 能 な 状 況 であると 述 べている また パイプラインのセキ ュリティ 問 題 については 軍 警 察 民 間 のセキュリティ 会 社 による 警 備 を 行 うと 安 全 性 を 強 調 している 一 方 ガスソースとなるミャンマー 沖 合 シュエ(Shwe)ガス 田 (オペレーターは 韓 国 大 宇 )は 7 月 第 一 週 からガス 販 売 を 開 始 する 予 定 である( 当 初 供 給 量 は 10MMcfd) 天 然 ガス 価 格 はタイ 向 け 輸 出 価 格 と 同 様 の 条 件 であり Woodmacの 試 算 (2009 年 )によると 中 国 国 境 で 約 11 ドル/MMBtu これに 中 国 国 内 1,700km のタリフが 上 乗 せされると 末 端 の 広 西 到 着 価 格 はトルクメニスタンの 広 州 到 着 価 格 とほぼ 同 等 と なる 見 通 しである なお 広 西 は 天 然 ガス 試 行 制 度 地 域 ( 後 述 )への 天 然 ガス 卸 価 格 ( 輸 送 費 を 含 む)は 約 12 ドル/MMBtu である
図 3:ミャンマー~ 中 国 向 け 原 油 天 然 ガスパイプライン ちなみに 本 パイプラインは 原 油 パイプラインも 並 走 して 建 設 されている チャウッピューから 雲 南 省 昆 明 貴 州 省 安 順 までは 天 然 ガスパイプラインと 並 走 し その 後 安 順 から 重 慶 に 向 かう 総 延 長 2,403km(ミ ャンマー 区 間 771km 中 国 区 間 1,632km) 設 計 輸 送 能 力 44 万 バレル/ 日 のパイプラインである 2014 年 稼 働 予 定 である 原 油 パイプラインのミャンマー 区 間 は CNPC によると 6 月 5 日 時 点 で 94% 完 成 して いる 原 油 パイプラインはでサウジアラビアとクウェートの 原 油 を 輸 送 し 雲 南 省 ならびに 四 川 省 の 製 油 所 で 処 理 する 計 画 である 雲 南 省 の 安 寧 製 油 所 (1,000 万 t/y)は PetroChina サウジアラビア Aramco な らびに 雲 天 化 集 団 有 限 公 司 が 共 同 で 建 設 している 中 東 原 油 を 受 け 入 れるため パイプライン 起 点 の 島 に 10 万 m 3 タンク 12 基 を 建 設 する これまでに 6 基 完 成 しており 7 月 末 までに 完 成 予 定 である 4 中 衛 ~ 貴 陽 連 絡 線 : 建 設 中 PetroChina は 寧 夏 中 衛 から 貴 州 貴 陽 まで 総 延 長 1,613km 設 計 輸 送 能 力 150 億 m 3 / 年 のパイプライ ンを 建 設 する この 連 絡 線 は 四 川 重 慶 天 然 ガスパイプライン 網 と 西 気 東 輸 パイプラインを 結 び 中 央 ア ジアや 西 部 等 国 内 新 疆 の 天 然 ガスを 西 南 市 場 に 供 給 するためのものである 2011 年 に 着 工 2012 年 に
寧 夏 中 衛 ~ 安 徽 銅 梁 区 間 が 完 成 した 銅 梁 ~ 貴 州 貴 陽 区 間 は 2013 年 稼 働 予 定 である PetroChina は 西 南 地 域 のバックアップとして 重 慶 相 国 寺 に 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 設 備 (ワーキングガス 23 億 m 3 )を 建 設 し ており 2013 年 中 に 完 成 する 予 定 である (2)PetroChina: 膨 張 する 投 資 に 対 し 価 格 統 制 により 天 然 ガス パイプライン 事 業 は 伸 び 悩 み PetroChina は 2012 年 には 前 年 比 2 割 増 の 116 億 ドルを 天 然 ガス パイプライン 事 業 に 投 じた 2012 年 には 新 疆 から 広 東 省 広 州 まで 幹 線 総 延 長 4,970km 輸 送 能 力 300 億 m 3 / 年 の 第 2 西 気 東 輸 パイプラ インが 全 線 開 通 した 2012 年 の 天 然 ガス 販 売 量 は 854 億 m 3 (トルクメニスタンとウズベキスタンから 中 央 アジアパイプラインにより 天 然 ガス 218.5 億 m 3 を 輸 入 )である パイプラインの 整 備 が 進 み 販 売 量 は 伸 びているが 天 然 ガス 価 格 を 国 産 ガスの 生 産 コストベースで 低 く 価 格 統 制 している 影 響 ( 中 央 アジアから 輸 入 する 天 然 ガス 価 格 は 国 内 の 販 売 価 格 を 上 回 る)により 利 益 は 年 々 減 少 し 2012 年 は 天 然 ガス パイ プライン 事 業 について 419 億 元 ( 約 66 億 ドル)の 営 業 赤 字 を 計 上 最 終 赤 字 は 21.1 億 元 (3.4 億 ドル)と なった 4 2013 年 第 1 四 半 期 は 11 億 元 (1.8 億 ドル)の 利 益 を 計 上 したが 輸 入 パイプラインと LNG による 損 失 は 144.5 億 元 (23 億 ドル)に 達 しており 状 況 は 好 転 したとは 言 えない しかし PetroChina は 2013 年 に 天 然 ガス パイプライン 事 業 に 104 億 ドルの 予 算 ( 予 算 総 額 の 18.5%)を 計 上 しており パイプライン や 天 然 ガス 地 下 貯 蔵 設 備 の 整 備 を 進 める 計 画 である 1,000 800 600 400 200 0 億 m3 2010 年 2011 年 2012 年 ガス 販 売 量 ( 億 m3) 天 然 ガス PL 事 業 CAPEX( 百 万 ドル) 百 天 然 ガス PL 事 業 利 益 ( 百 万 ドル) 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0-2,000 4 部 門 別 では 精 製 部 門 も 69 億 ドルの 赤 字 だが 探 鉱 開 発 事 業 の 利 益 が 341 億 ドルあり PetroChina 全 体 の 利 益 は 277 億 ドル
図 4:PetroChina の 天 然 ガス 販 売 量 天 然 ガス パイプライン 事 業 への 投 資 利 益 参 考 : 天 然 ガス 価 格 統 制 中 国 は 輸 入 LNG は 調 達 価 格 で 販 売 することが 可 能 だが 国 産 ガスおよびトルクメニスタン 等 のパイ プラインで 輸 入 するガスについては 国 産 ガス 同 様 生 産 コストに 基 づき 定 められた 価 格 で 販 売 しなければ ならない また 輸 送 費 (タリフ)についても 中 央 政 府 が 定 めている このため 輸 入 パイプラインガスを 販 売 すればするほど 赤 字 になってしまう 例 えば 西 部 の 長 慶 で 生 産 する 天 然 ガスはパイプライン 起 点 の 卸 価 格 が 約 6 ドル/MMBtu である これを 約 1,000km のパイプラインで 北 京 に 輸 送 すると 7 ドルとなる 北 京 市 の 産 業 向 けの 小 売 価 格 は 8~11.6 ドル/MMBtu なので 国 産 ガスであれば 利 益 を 上 げることが 可 能 だ しかしトルクメニスタンガスの 2013 年 1-3 月 の 平 均 輸 入 価 格 ( 新 疆 国 境 )は 約 10.6 ドル/MMBtu である これに 輸 送 費 が 加 算 されると 北 京 到 着 時 には 大 幅 な 損 失 となる 差 額 は 輸 入 事 業 者 の PetroChina が 負 担 している 政 府 は 差 額 分 について 増 値 税 (VAT13%)を 減 免 5 しているが 前 述 の 通 り PetroChinaの2012 年 の 天 然 ガス パイプライン 事 業 の 営 業 赤 字 は419 億 元 ( 約 66 億 ドル)に 達 している 中 国 政 府 は 輸 入 拡 大 安 定 供 給 のため 2011 年 12 月 に 市 場 価 格 化 に 向 けた 天 然 ガス 試 行 価 格 制 度 に 踏 み 切 った エネルギーの 輸 入 依 存 度 が 高 く 購 買 力 のある 南 部 の 広 東 広 西 の 2 地 域 を 対 象 として いる 国 産 の 天 然 ガス 輸 入 パイプラインガス LNG 等 様 々なガスが 向 かう 上 海 を 基 準 市 場 とし 代 替 燃 料 である 重 油 と LPG の 輸 入 価 格 を 元 に 天 然 ガスの 基 準 価 格 を 設 定 する つまり 石 油 製 品 価 格 連 動 だが 天 然 ガス 利 用 促 進 のため 計 算 式 に 欧 州 同 様 一 定 の 係 数 をかけ 石 油 製 品 より 割 安 に 設 定 している 広 東 省 の 卸 価 格 は 2011 年 11 月 28 日 から 2014 年 12 月 31 日 まで 約 12.7 ドル/MMBtu で 固 定 され 広 州 市 の 産 業 用 小 売 価 格 は 元 々15~20 ドル/MMBtu と 他 の 都 市 より 高 くされており 試 行 価 格 導 入 によ る 消 費 者 への 影 響 は 抑 えられている 2013 年 6 月 現 在 天 然 ガス 試 行 価 格 制 度 は 広 東 と 広 西 の 2 地 域 にとどまっている しかし 昨 今 の 天 然 急 増 を 受 け 北 京 湖 南 江 蘇 海 南 など 一 部 の 地 方 政 府 は 民 生 用 小 売 価 格 を 引 き 上 げ また 消 費 量 に 応 じた 数 段 階 の 価 格 制 度 を 導 入 することにより 需 要 抑 制 を 図 ろうとしている これらの 動 きは 天 然 ガス 試 行 価 格 制 度 拡 大 につながる 可 能 性 がある 5 2011 年 8 月 1 日 付 けで 中 国 財 政 部 海 関 国 家 税 務 総 局 が 2011 年 から 2020 年 の 天 然 ガス 輸 入 ならびに 2010 年 末 までの 中 央 アジア 天 然 ガス 輸 入 に 係 る 輸 入 天 然 ガスに 対 し 一 定 比 率 で 増 値 税 を 還 付 する 問 題 に 関 する 通 知 ( 財 関 税 [2011]39 号 ) を 発 表
トルクメ( 新 疆 ) 11ドル/MMBtu 広 州 (5,000km) 18ドル/MMBtu 広 州 小 売 ( 産 業 ) 15~20ドル/ MMBtu 西 気 東 輸 (タリム) 3ドル/MMBtu 上 海 (3,800km) 7ドル/MMBtu 上 海 小 売 ( 産 業 ) 16ドル/MMBtu 長 慶 6ドル/MMBtu 北 京 (950km) 7ドル/MMBtu 北 京 小 売 ( 産 業 ) 8~12ドル/MMBtu 川 気 東 輸 ( 上 海 ) 6ドル/MMBtu 上 海 (1,700km) 12ドル/MMBtu 上 海 小 売 ( 産 業 ) 16ドル/MMBtu LNG(CIF 平 均 ) 12ドル/MMBtu ( 広 東 加 重 7.5ドル) 北 京 市 民 生 小 売 り 値 上 げ 11% 0.23 元 /m 3 値 上 げ 9.4ドル/MMBtu 四 川 シティゲート 価 格 統 一 8.1ドル/MMBtu 海 南 ( 海 口 ) 民 生 小 売 り 値 上 げ 21% 0.55 元 /m 3 値 上 げ 12.9ドル/MMBtu 湖 南 ( 長 沙 株 洲 湘 潭 ) 江 蘇 ( 徐 州 ) 値 上 げ+ 消 費 量 に 応 じた 段 階 価 格 制 度 値 上 げ+ 消 費 量 に 応 じた 段 階 価 格 制 度 600m 3 / 年 未 満 :10ド ル/MMBtu 600m 3 / 年 超 10ドル/MMBtu+ 0.55 元 /m 3 75m 3 / 月 未 満 :10ド ル/MMBtu 75~125m 3 / 月 :+ 10% 125m 3 / 月 超 :+20%
表 : 最 近 実 施 された 民 生 小 売 ガス 価 格 値 上 げ 新 華 社 China OGP 他 にもとづき 作 成 ちなみに 5 月 に PetroChina が 政 府 にガス 価 格 値 上 げを 迫 るために 供 給 制 限 を 行 っているという 疑 惑 が 中 国 国 内 で 報 じられた PetroChina 周 吉 平 (Zhou Jiping) 会 長 は 同 月 23 日 にこの 噂 を 否 定 した 周 会 長 は 一 部 地 域 の 一 部 業 種 で 供 給 不 足 が 見 られるのは4 月 に 計 画 を 上 回 る 供 給 が 見 られたためである 昨 年 冬 から 今 年 春 にかけて 大 気 汚 染 対 策 で 冬 場 の 操 業 を 停 止 していた 化 学 肥 料 発 電 ガス 供 給 など の 施 設 が 操 業 を 再 開 したことで 供 給 がひっ 迫 した 6 月 からの 夏 季 と 今 年 冬 から 来 年 春 にかけての 需 要 期 の 供 給 を 保 障 し 年 間 を 通 じ 安 定 供 給 を 確 保 するため 4 月 末 から 5 月 末 にかけてガス 田 やパイプライ ンのメンテナンスと 貯 蔵 施 設 への 供 給 に 注 力 した そのため 一 部 地 域 で 一 部 業 種 への 供 給 を 適 度 に 減 らした 供 給 拡 大 には 一 定 の 時 間 が 必 要 である 探 鉱 から 生 産 には 一 般 的 に4~5 年 パイプライン 建 設 には 2~3 年 が 必 要 である PetroChina は 供 給 を 年 10% 増 やしているが 需 要 は 年 に 15% 増 えている 間 も なく 中 央 アジアからのパイプライン(C 線 250 億 m 3 / 年 )が 稼 働 し 国 内 の 四 川 や 新 疆 タリムのガス 供 給 能 力 も 拡 大 し 2014 年 下 期 には 需 給 矛 盾 が 緩 和 される と 語 った (3)PetroChina: 国 内 鉄 鋼 大 手 との 提 携 によるパイプライン 建 設 2012 年 5 月 PetroChina は 第 3 西 気 東 輸 パイプラインについて 初 めて 国 内 異 業 種 からの 出 資 と JV 設 立 について 合 意 した 鉄 鋼 大 手 宝 山 鋼 鉄 株 式 会 社 ( 以 下 宝 鋼 )およびその 100% 子 会 社 華 宝 有 限 公 司 ( 以 下 華 宝 ) 全 国 社 会 保 障 基 金 理 事 会 ( 以 下 社 保 基 金 ) 北 京 国 聯 能 源 産 業 投 資 基 金 ( 以 下 産 業 基 金 )と 期 間 20 年 の 合 弁 会 社 を 設 立 した 資 本 金 は 625 億 元 (8,100 億 円 )で PetroChina が 325 億 元 (52%) 宝 鋼 12.8%(80 億 元 ) 華 宝 3%(20 億 元 ) 両 基 金 が 32.2%を 出 資 する 事 前 の 商 業 性 調 査 (FS)に よると 第 3 西 気 東 輸 パイプラインの 総 事 業 費 1,160 億 元 (1 兆 5000 億 円 )に 対 し 納 税 後 の 収 益 率 は 8% 投 資 回 収 期 間 ( 建 設 期 間 を 含 む)は 12.44 年 となっている 6 第 3 西 気 東 輸 パイプラインは 第 2 西 気 東 輸 同 様 X80 規 格 の 高 強 度 厚 肉 鋼 管 を 使 用 する 中 国 は 西 気 東 輸 建 設 時 に X70 規 格 の 螺 旋 溶 接 鋼 管 を 使 用 第 2 西 気 東 輸 パイプライン 建 設 時 には X80 規 格 の 螺 旋 溶 接 鋼 管 を 使 用 し いずれも 国 産 化 を 実 現 している 供 給 過 剰 で 生 産 調 整 や 値 下 げを 余 儀 なくされてい る 中 国 の 鉄 鋼 業 界 にとり 石 油 業 界 のパイプライン 事 業 への 出 資 は 安 定 的 な 販 路 確 保 につながる また 6 http://tv.baosteel.com/ir/pdf/bulletin/600019_20121220_2.pdf
PetroChina についてはパイプライン 投 資 の 負 担 を 軽 減 でき 鋼 材 の 安 定 調 達 という 利 点 がある LNG 輸 送 業 務 においても 石 油 会 社 と 海 運 会 社 7 との 提 携 がある このような 大 手 国 有 企 業 ( 異 業 種 間 )の 提 携 は 今 後 も 拡 大 するかもしれない 3. 他 社 のパイプライン 投 資 Sinopecは2010 年 稼 働 の 川 気 東 送 パイプライン( 総 延 長 約 1,700km)を 通 じ 四 川 の 普 光 ガス 田 で 生 産 したガスを 上 海 など 東 部 地 域 に 供 給 している CNOOC は 海 南 島 沖 合 の 崖 城 (Yacheng)ガス 田 から 香 港 向 けのパイプライン( 総 延 長 約 780km)により 香 港 向 けに 天 然 ガスを 輸 出 する 他 上 海 沖 合 で 生 産 したガスをパイプライン( 総 延 長 約 410km)により 上 海 など 東 部 地 域 に 供 給 している SINOPEC や CNOOC は 天 然 ガスの 販 売 量 を 公 表 していないが 普 光 ガス 田 の 2012 年 の 生 産 量 は 約 76 億 m 3 CNOOC の 香 港 向 け 輸 出 量 は 約 29 億 m 3 であった (1)Sinopec 新 疆 ~ 東 部 南 部 向 け CTG パイプライン SINOPECは 新 疆 から 山 東 浙 江 広 東 向 けに 石 炭 からメタンを 合 成 したCoal To Gas (CTG)パイプラ インを 建 設 する 計 画 である CTG は 昔 日 本 でも 利 用 していた 石 炭 ( 乾 留 )ガス( 熱 量 約 3,500Kcal/m 3 )で はなく 石 炭 化 学 (メタン 化 反 応 によるメタン 生 成 (CO+3H2=CH4+H2O)による 合 成 ガス(SNG)である 中 国 では 石 炭 由 来 のメタノール(DME)やオレフィン(MTO)などの 石 炭 化 学 プロジェクトが 盛 んだが CTG は 環 境 への 影 響 が 少 なく ガス 需 要 の 高 まりから 政 府 はこれを 奨 励 する 姿 勢 である すでに 内 モン ゴル 遼 寧 撫 順 新 疆 などで 複 数 の CTG 開 発 事 業 が 政 府 承 認 を 得 ている 天 然 ガス 12 次 五 か 年 計 画 によると 2015 年 の CTG 生 産 量 は 150~180 億 m 3 / 年 に 達 し 国 産 ガス 生 産 の 8~10%に 達 する 見 込 み である( 計 画 建 設 中 事 業 が 約 600 億 m 3 / 年 という 見 方 もあるが 進 捗 状 況 等 詳 細 は 不 明 ) ただし 製 造 コ ストが 高 く 長 距 離 輸 送 による 採 算 性 について 疑 問 の 声 も 上 がっている Sinopecは2 本 の CTGパイプライン 建 設 ( 新 疆 ~ 広 東 ~ 浙 江 間 および 新 疆 ~ 山 東 間 )を 計 画 している このうち 新 疆 ~ 広 東 ~ 浙 江 区 間 については 国 家 発 展 改 革 委 員 会 の 承 認 を 得 ている 主 幹 線 は 4,859km( 輸 送 能 力 300 億 m 3 / 年 ) 4 本 の 支 線 を 含 む 総 延 長 は 7,927km( 西 気 東 輸 と 同 スケール) パイ プラインの 事 業 費 は 1,300 億 元 (206 億 ドル)とされる Sinopec は 供 給 源 について 新 疆 の 炭 鉱 2 か 所 およ び 80 億 m 3 / 年 の CTG 製 造 プラントに 700 億 元 (113 億 ドル)を 投 じる 計 画 不 足 分 について 他 社 から 7 中 国 北 方 液 化 天 然 ガス 運 輸 投 資 有 限 公 司 (09 年 3 月 設 立 中 海 発 展 (China Shipping)90% PetroChina10% 中 国 東 方 液 化 天 然 ガス 運 輸 投 資 有 限 公 司 (2010 年 11 月 設 立 中 海 発 展 70% Sinopec30%
CTG を 追 加 調 達 する 計 画 である なお PetroChina も 第 3 西 気 東 輸 においてトルクメニスタンやウズベキスタンから 輸 入 する 天 然 ガスや 新 疆 など 西 部 国 産 のガスを 輸 送 するが CTG も 輸 送 する 計 画 である 第 3 西 気 東 輸 パイプラインでは 新 疆 伊 犂 地 区 の 7 事 業 で 生 産 する CTG(455 億 m 3 / 年 )を 輸 送 するとしている (2)CNOOC 香 港 沖 深 海 の 茘 湾 (Liwan)ガス 田 から 広 東 向 けのパイプライン 建 設 を 計 画 CNOOC は 2006 年 に 加 Husky が 香 港 南 方 沖 合 300km 水 深 約 1,500m の 深 海 域 で 発 見 した 茘 湾 (Liwan)3-1 ガス 田 の 開 発 を 進 めており 広 東 省 高 欄 島 の 珠 海 プラント 向 けに 80 億 m 3 / 年 のパイプライ ンを 建 設 する 計 画 を 進 めている 茘 湾 3-1 の 他 流 花 (Liuhua)29-1 34-2 などの 追 加 発 見 があり 周 辺 構 造 も 含 めた 確 認 可 採 埋 蔵 量 は 4~6Tcf と 中 国 海 洋 で 最 大 級 である 2011 年 5 月 伊 Saipem が 茘 湾 3-1 ガス 田 の 開 発 事 業 を 受 注 した 海 底 生 産 システム(SPS) パイプラ イン 2 系 統 (22 インチ 79km)などの 設 置 を 行 う 2013 年 11 月 に 生 産 開 始 予 定 (プラトー36 億 m 3 / 年 ) である 茘 湾 単 体 では 厳 しいので CNOOC は 自 社 100% 保 有 浅 海 の 番 于 (Panyu)ガス 田 との 統 合 開 発 を 検 討 している 模 様 である Panyu34/35 ガス 田 は 14 年 7 月 末 操 業 予 定 (プラトー14 億 m 3 / 年 )である
図 5: 中 国 の 主 な 稼 働 建 設 中 LNG 受 入 基 地 と 幹 線 パイプライン 4.ガス 輸 入 インフラ 整 備 (1)LNG 受 入 基 地 LNG 受 入 基 地 は 6 基 地 が 稼 働 中 である 6 基 地 の 受 入 能 力 は 約 2,300 万 t/ 年 ( 約 320 億 m 3 / 年 ) だが 2012 年 の 輸 入 量 は 1,470 万 トン( 約 203 億 m 3 )であった 現 在 10 基 地 計 2,920 万 トン( 約 400 億 m 3 / 年 )が 建 設 中 であり 2015 年 頃 に 約 5,000 万 トンの 輸 入 体 制 が 整 う 見 通 しだ 既 存 基 地 の 貯 蔵 タンク 等 の 増 強 により 受 入 能 力 をさらに 拡 張 することが 可 能 である (2) 輸 入 パイプライン 中 央 アジアパイプライン 中 央 アジアからの 輸 入 パイプラインはライン A と B が 稼 働 中 で 設 計 輸 送 能 力 は A B 合 計 約 400 億 m 3 / 年 である 2012 年 の 輸 入 量 は 219 億 m 3 でトルクメニスタンに 加 え 少 量 だがウズベキスタンからの 供 給 も 始 まった 現 在 は 月 20 億 m 3 ( 年 250 億 m 3 )の 輸 出 ペースである 現 在 ライン C( 設 計 輸 送 能 力 250 億 m 3 / 年 )の 建 設 を 進 めている トルクメニスタンは 2012 年 に 約 640 億 m 3 生 産 し そのうち 6 割 強 を 輸 出 している 輸 出 の 5 割 ( 約 217 億 m 3 )は 中 国 向 けで ロシアとイラン 向 けがそれぞれ 2 割 ( 約 90 億 m 3 )である トルクメニスタンが 主 な 供 給 国 で 中 国 と 計 650 億 m 3 / 年 の 長 期 契 約 を 締 結 している ライン C の 供 給 についてはトルクメニスタンとウズベキスタンからそれぞれ 100 億 m 3 / 年 は 残 り 50 億 m 3 / 年 はカザフ スタンから 輸 入 することになっている トルクメニスタンの 巨 大 ガス 田 Galkynysh( 旧 南 ヨロテン)ガス 田 (1 期 250 億 m 3 / 年 )が 今 年 9 月 に 生 産 を 開 始 することで 中 国 向 けの 供 給 が 大 きく 伸 びる 可 能 性 がある Galkynyshガス 田 は 世 界 第 2 位 のガス 田 と 言 われている Gaffney, Cline & Associates (GCA)の 評 価 によると 原 始 埋 蔵 量 が Low estimate(p90)で 13.1 兆 m 3 (462Tcf) Best estimate で 16.4 兆 m 3 (579Tcf) High Estimate(P10)で 21.2 兆 m 3 (748Tcf)であ る Galkynysh ガス 田 1 期 生 産 の 250 億 m 3 / 年 はそのほとんどが 中 国 に 向 かう 見 通 しである 中 国 は 中 央 アジアパイプラインの 建 設 運 営 に 参 加 している 他 トルクメニスタンでは 供 給 源 の 開 発 に 参 加 している Bagtiyarlyk 鉱 区 では 外 資 企 業 で 唯 一 PS 契 約 を 締 結 し 天 然 ガスを 生 産 している また Galkynysh ガス 田 1 期 開 発 事 業 には UAE の Petrofac 韓 国 LG とともに 油 田 開 発 業 務 を 受 注 している また 中 国 国 家 開 発 銀 行 が Galkynysh ガス 田 開 発 向 けに 国 営 Tukmengas 向 けに 81 億 ドル(2009 年 6 月
に 40 億 ドル 2011 年 4 月 に 41 億 ドル)を 融 資 している トルクメニスタンはカスピ 海 経 由 欧 州 向 けの Trans Caspian(East-West)パイプライン 計 画 やパキスタン~アフガニスタン~インド(TAPI)パイプライン による 天 然 ガスの 販 路 多 様 化 輸 出 拡 大 を 検 討 しているが いずれのパイプラインも 具 体 化 したとはい えない トルクメニスタンは Galkynysh ガス 田 2 期 (250 億 m 3 / 年 )の 開 発 準 備 を 進 めているが こちらも その 大 部 分 が 中 国 に 向 かうことになるかもしれない フル 稼 働 後 の 中 央 アジアパイプラインの 輸 送 能 力 は 650 億 m 3 / 年 だが 昇 圧 ステーションの 増 設 などで 輸 送 能 力 を 2 倍 程 度 に 増 やすことが 可 能 である 図 6: 中 央 アジアパイプライン ロシアからのパイプライン ~ 政 府 は 前 向 きだが 企 業 は?~ 中 国 とロシアの 天 然 ガスを 巡 る 交 渉 は 2011 年 6 月 に 2015 年 以 降 天 然 ガスの 輸 出 開 始 で 合 意 ( 販 売 量 は 300 億 m 3 / 年 輸 出 期 間 30 年 )したが 国 境 渡 し 価 格 で 契 約 には 至 らなかった これまでロシアか らの 輸 入 は 五 か 年 計 画 には 明 記 されていなかったが 13 年 1 月 公 示 の エネルギー 発 展 十 二 次 五 か 年 計 画 に 関 する 通 知 において 天 然 ガスパイプライン 建 設 重 点 計 画 にロシアの 東 線 とサハリンからのパイ プラインと 明 記 されており 政 策 的 な 変 化 ( 中 国 政 府 の 積 極 性 )を 感 じさせる 2 月 の CNPC と 露 Gazprom の 交 渉 で 東 ルートでの 天 然 ガス 輸 入 (2018 年 から 380 億 m 3 / 年 の 天 然 ガ スを 30 年 間 供 給 すること)について 2013 年 中 に 最 終 合 意 を 図 ることで 合 意 した 東 ルートはヤクーチャ -ハバロフスクパイプラインのブラゴヴェシチェンスクから 中 国 向 けの 支 線 を 建 設 し 黒 竜 江 省 黒 河 から
中 国 国 内 に 供 給 するものである 2013 年 3 月 には 王 岐 山 首 相 とドヴォルコーヴィチ 副 首 相 の 会 談 で 本 件 について 確 認 した 200 億 m 3 / 年 の 追 加 供 給 についても 交 渉 が 行 われている 模 様 である ロシア 側 の 天 然 ガス 供 給 を 巡 る 状 況 は 大 きく 変 化 した ロシアは 米 シェールガス 革 命 のあおりを 受 け 欧 州 向 けの 輸 出 が 激 減 し 値 下 げを 余 儀 なくされている しかし PetroChina は 中 央 アジアパイプラインから の 天 然 ガス 輸 入 について 輸 入 価 格 が 国 内 の 卸 価 格 を 上 回 り 天 然 ガス 事 業 が 赤 字 になっており 中 国 政 府 による 天 然 ガス 価 格 改 革 は 全 く 進 んでおらず ロシアとの 大 量 のガス 売 買 契 約 に 簡 単 に 応 じられる 状 況 には 見 えない 中 央 アジアの 事 業 は 上 流 ( 供 給 ガス 田 の 開 発 )やパイプライン 事 業 で 収 益 をあげら れ 事 業 全 体 では 利 益 を 出 している しかし Gazprom は CNPC にガスを 販 売 するだけで 供 給 源 となる 東 シベリアのチャヤンダガス 田 開 発 やパイプライン 事 業 に 参 加 させる 意 思 はないようだ また 中 央 アジ アパイプラインは 稼 働 増 設 中 だが ロシアからの 輸 入 が 具 体 化 した 場 合 西 気 東 輸 パイプラインと 同 等 の 大 口 径 の 幹 線 パイプラインを 東 北 地 域 に 建 設 する 必 要 がある その 代 わりロシアと 中 国 は 国 家 開 発 銀 行 などによる Gazprom への 融 資 を 先 払 い とし PetroChina の 輸 入 価 格 を 下 げるというスキームについ て 交 渉 が 行 っているようだ 2020 年 頃 の 天 然 ガス 需 給 は 国 産 非 在 来 型 ガスの 生 産 を 含 め 不 確 実 性 が 高 いが 国 産 天 然 ガスの 供 給 計 画 や 開 発 の 状 況 から 需 要 の 6 割 を 国 産 ガスが 4 割 (1,500 億 m 3 程 度 )を 輸 入 ガスでまかなうこと になると 思 われる 輸 入 LNG は 長 期 契 約 と 基 地 建 設 の 状 況 から 5,000 万 t/y( 約 700 億 m 3 / 年 )の 輸 入 が 可 能 だ 残 り 800 億 m 3 / 年 について 中 央 アジアとの 合 意 量 は 650~800 億 m 3 / 年 ミャンマーとの 契 約 量 が 50 億 m 3 / 年 あり ロシアから 300 億 m 3 / 年 は 宙 に 浮 く 可 能 性 がある 両 国 政 府 は 天 然 ガスの 契 約 を 進 めたいと 考 えているかもしれないが 企 業 としては 国 内 の 天 然 ガス 価 格 が 統 制 されている 状 況 の 下 では 供 給 源 の 開 発 ( 上 流 )に 参 加 し 既 設 のパイプラインがある 中 央 アジ アからの 供 給 を 優 先 するのが 最 も 経 済 的 な 判 断 であると 思 われる 企 業 (PetroChina)や 需 給 の 観 点 から はロシアと 急 いで 30 年 間 もの 長 期 に 亘 る 契 約 を 結 ぶ 必 要 があるようには 見 えず 政 治 的 な 力 が 働 けば 別 だが 年 内 の 合 意 について 可 能 性 は 低 いと 考 えている
図 7:ロシアのパイプライン