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目次 ドイツにおける貸金業等の状況 2 フランスにおける貸金業等の状況 4 米国における貸金業等の状況 6 英国における貸金業等の状況 8 韓国における貸金業等の状況 9 ( 注 1) 本レポートは 金融庁信用制度参事官室において 外国当局 調査会社 研究者等からのヒアリング結果等に基づいて作成した

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

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1. 期待収益率 ( 期待リターン ) 収益率 ( リターン ) には次の二つがあります 実際の価格データから計算した 事後的な収益率 将来発生しうると予想する 事前的な収益率 これまでみてきた債券の利回りを求める計算などは 事後的な収益率 の計算でした 事後的な収益率は一つですが 事前に予想できる

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Transcription:

金融論第 4 章金融取引が生み出す利益 1 交換の利益 中村学園大学 吉川卓也 1 2 重要なセンテンス POINT 金融取引は現在のお金と将来のお金の交換 金融取引は貸し手と借り手の双方に利益をもたらす 金融取引が生む第 1 の利益は交換の利益 互いに足りないものを交換しあうことで, 貸し手と借り手の双方の状態が改善します 3 4 5 6 1

2 実物投資を実現する金融取引 重要なセンテンス 金融取引が社会を豊かにするのは, お金の貸し借りによって実物投資が促進されるから お金を借りて投資をすることの利益 = 投資の収益ー返済利子 7 8 POINT 1 利子率が自分のビジネス ( 投資機会 ) の収益率よりも高ければ, お金を貸したほうがよい 2 逆に, 収益率が利子率よりも高ければお金を借りたほうがよい 3 投資機会の収益率の低い人が, 高い人にお金を貸すことで, 双方の状態が改善される 例 :2 人だけの村 A さん : 収益性の高い投資機会をもっているが 現在は貧しい B さん : 収益性の低い投資機会しかもたないが 現在は裕福 9 10 Aさんは 現在 50 万円しかもっていない アイデアと体力 技術に恵まれている 投資資金を2 倍にできる収益率の高い ( 収益率は?) 投資機会がある Bさんは 現在 200 万円もっている 収益率が低い ( 収益率 10%) 投資機会がある 資金貸借取引がないケース 自分のもっている資金を自分のビジネスに投資するしかない その結果 A さんは 50 万円を投資し 2 倍の 100 万円を得る B さんは 200 万円を投資し 220 万円を得る 11 12 2

資金貸借取引があるケース 選択肢は 自分の投資機会に投資するか 資金を貸すか ( 収益率は利子率 ) 選択の判断基準は 収益率の高い順に 限度まで投資する A さんは ビジネスからの収益率 100% より利子率が高いならお金を貸した方がよい B さんは ビジネスからの収益率 10% より利子率が高いならお金を貸した方がよい 13 14 資金を借りて投資するときの利益 ( 例 ) 利子率が 30% の場合 資金を借りて投資をすることの利益 = 投資の収益ー返済利子 よって 投資の収益率 >( 返済 ) 利子率なら利益はプラスになる A さんについては 投資の収益率 100%> 利子率 30% なので 資金を借りて投資することでプラスの利益がでる 1 万円借りて投資すると 投資の収益は 2 万円 -1 万円 =1 万円投資からの利益は 1 万円 -3000 円 =7000 円 15 16 B さんについては 投資の収益率 10%< 利子率 30% なので 資金を借りて投資することでマイナスの利益 ( 損失 ) がでる 1 万円借りて投資すると 投資の収益は 1.1 万円 -1 万円 =1000 円投資からの利益は 1000 円 -3000 円 =-2000 円 1 A さんは 利子率が 100% 以上ならお金を貸した方がよい 2 A さんは 利子率が 100% 未満ならお金を借りた方がよい 3 B さんは 利子率が 10% 以上ならお金を貸した方がよい 4 利子率が 10% 未満ならお金を借りた方がよい 17 18 3

A さんと B さんしかいない村では 一方が貸してもう一方が借りることで取引が成立する この例では 2 と 3 の状況のとき すなわち 利子率が 10% より高く 100% 未満 のとき B さんが A さんに B さんの保有する資金全額を貸す 取引が成立する 19 20 利子率が 50% のケース 表 4.1 金融取引の利益 : 利子率 50% で貸し借りができる場合 B さんは A さんに 200 万円貸す A さんは自己資金 50 万円とあわせて 250 万円を収益率 100% で投資する A さんは将来 500 万円を手にする A さんは借りた資金 200 万円と利子 100 万円の合計 300 万円を B さんに返済する 貸し借りができないケース利子率 50% で貸し借りができるケース A さん B さん 100 万円 220 万円 200 万円 300 万円 (100 万円 up) (80 万円 up) 21 22 POINT( 再掲 ) 資金の貸借取引が成立すると A さん 100 万円 B さんは 80 万円利益が増加する あわせて 180 万円が金融取引が生み出す利益となる 1 利子率が自分のビジネス ( 投資機会 ) の収益率よりも高ければ, お金を貸したほうがよい 2 逆に, 収益率が利子率よりも高ければお金を借りたほうがよい 3 投資機会の収益率の低い人が, 高い人にお金を貸すことで, 双方の状態が改善される 23 24 4

QUESTION 3 利子率の決定と資金の流れ 利子率が, 取引の成立する上限の 100% の場合,A さんと B さんが手にするお金と金融取引の利益はそれぞれいくらになるでしょうか? 逆に, 取引が成立する利子率の下限の 10% で貸し借りをした場合はどうでしょうか? キーワード : 裁定取引利子率の収斂 需要曲線 供給曲線 貸出資金の供給曲線 貸出資金の需要曲線 需要と供給の均衡 超過需要 25 32 重要なセンテンス 貸出資金の供給曲線とは, 利子率の水準に応じて, 起業家たちが提供したい ( 貸したい ) 金額の合計を示した曲線 貸出資金の需要曲線とは, 利子率の水準に応じて, 起業家たちが借りたい金額の合計を示した曲線 需要曲線と供給曲線が交わるところで取引が決まる POINT 条件の同じお金の貸し借りは, 同じ利子率で取引がされるようになる 金融取引によって, 社会に存在する資金はより収益性の高いビジネスに振り向けられ, 社会に大きな価値を生み出す その取引によって, お金を貸す側だけでなく, お金を借りる側も利益を得ることができる 33 34 利子率の収斂 10 人の起業家が等しく 100 万円の資金をもっている それぞれ独自の投資機会をもっている 各投資機会の収益率は表 4.2 のように異なっている 投資されたビジネスは確実に成功して収益をもたらすと仮定する 表 4.2 起業家たちの投資機会の収益率 ( 単位 :%) 起業家 A B C D E F G H I J 収益率 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 35 36 5

表 4.3 お金の貸し借りができない場合の将来の資産額 ( 単位 : 万円 ) ビジネスの規模には上限があり 200 万円を超える投資からは収益がまったく得られないと仮定する 10 人の起業家はすでに 100 万円の資金をもっているので この仮定により 他の起業家から借りられる資金は 100 万円までとなる 起業家 A B C D E F G H I J 将来資産 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 37 38 QUESTION お金の貸し借りができるケースでは, どのような貸し借りがなされて, 結果として, 各起業家が将来手にする資産はどのように変化するでしょうか? まずは予想してみましょう 利子率は貸借取引の当事者の交渉によって決まる 利子率が公表されると 利子率は収斂して すべての貸借取引が同じ利子率でおこなわれる 39 40 利子率が同じになる理由 10 人の中に 利子率 30% で貸し借りする人たちと 利子率 40% で貸し借りする人たちが共存しているとする 利子率 30% で貸している人と利子率 40% で借りている人は たとえば利子率 35% で取引すれば得する そうなれば 30% や 40% で貸し借りする人はいなくなる なぜか? 30% では貸す人がいなくなるので 30% で借りることはできなくなる 40% では借りる人がいなくなるので 40% で貸すことはできなくなる 次第に ある一定の利子率で すべての取引がおこなわれるようになる 41 42 6

POINT 貸出資金の需要と供給 条件の同じお金の貸し借りは, 同じ利子率で取引がされるようになる 実際に 利子率がいくらになるかは需要と供給のバランスで決まる 利子率がどのような水準に決まって どのような貸し借りがおこなわれるかは 需要曲線と供給曲線で説明される 貸出資金に対する需要とは 社会の中で人々が借りたい資金の合計金額である 貸出資金に対する供給とは 社会の中で人々が貸したい資金の合計金額である 43 44 100% 利子率が 100% 以上なら全員が貸そうとする 貸すべきか借りるべきかの判断は そのときの利子率が自分のビジネスの収益率よりも高いか低いかで決まる 利子率 > 収益率なら 資金を貸す ( 資金を供給する ) 方を選択する 利子率 < 収益率なら 資金を借りる ( 資金を需要する ) 方を選択する 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 資金の供給曲線 A B Cさんが貸そうとする AさんとBさんが貸そうとするこの利子率だとAさんだけが貸そうとする利子率 10% までは供給 0 円 45 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 46 100% 利子率が 100% 以上だと誰も借りようとしない 100% 図 4.6 資金の需要と供給の均衡 90% この利子率だと J さんだけが借りようとする 90% 80% J さんと I さんが借りようとする 80% 70% J I H さんが借りようとする 70% 資金の供給曲線 60% 50% 資金の需要曲線 60% 50% 真ん中の交点 ( 利子率 55%) 40% 30% 40% 30% 資金の需要曲線 20% 20% 10% 10% 10% 未満になると全員が借りようとする 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 47 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 48 7

需要曲線と供給曲線が交わるところで取引がおこなわれる この例だと 利子率 50%~60% で 需要曲線と供給曲線が重なって 取引がおこなわれる このとき 取引される金額は 500 万円である 利子率の範囲は 2 人だけの村のケース ( 利子率 10%~100%) より狭い範囲に落ち着く 重なっている範囲の真ん中である利子率 55% で取引がおこなわれるとする このとき資金を貸したい起業家は A~E の 5 人で 合計 500 万円の資金が供給される 資金を借りたい起業家は F~J までの 5 人で 合計 500 万円の資金が需要される 49 50 表 4.4 利子率 55% で貸し借りする場合 ( 単位 : 万円 ) 相対的に収益率の低いビジネスをもつ A~E の起業家の資金 100 万円ずつ 合計 500 万円が 相対的に収益率の高いビジネスをもつ F ~J の起業家に 100 万円ずつ 合計 500 万円貸し出される F~J は 自分の資金 100 万円と借りた資金 100 万円の合計 200 万円を投資し その収益から A~E に利子をつけて返済する 起業家 A B C D E F G H I J 貸し借りできる場合の将来資産 155 155 155 155 155 165 185 205 225 245 得する額 45 35 25 15 5 5 15 25 35 45 貸し借りできない場合の将来資産 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 51 52 QUESTION QUESTION 1. 利子率が 50% のときと,60% のときに生じる取引の結果を考え, 表 4. 4 がどのように変化するか調べてみましょう 2. 現在では, お金の貸し借りに利子が付くのは当たり前の時代になっていますが, もしも貸し手が利子を要求することを禁止されてしまったら, 社会はどうなるでしょうか? 考えてみましょう 53 60 8

EXERCISE 4-1 利子を払ってまで, お金を借りるのは愚かなことだ と言う人がいますが, 利子があるとしても, お金を借りることで状態がよくなる場合があります それはどのような場合でしょうか? 簡潔に説明しましょう EXERCISE 4-2 第 3 節 利子率の収斂 (62 頁 ) で, 実際の世の中でも, 同じ条件の貸し借りでは, ほぼ同じ利子率が採用されています と述べました 実際の銀行ローンの利子率を調べてみると, 2% 台から 18% 台までかなり幅がありますが, この利子率の違いは条件の違いによるものです どのような条件だと利子率が高くなるのか考えてみましょう 66 69 EXERCISE 4-3 第 3 節では, ビジネス規模の上限が 200 万円で, 自己資金のほかに,100 万円までならお金を借りる余地がある起業家たちを想定しました この設定を少し変えてみると, 金融取引の結果はどう変わるでしょうか? 次の 2 つのケースについて考えてみましょう ⑴ ビジネス規模の上限が 300 万円で,200 万円までならお金を借りる余地がある場合 ⑵ ビジネス規模の上限がない場合 72 73 EXERCISE 4-4 [ 発展問題 ] この章では, 金融取引によってお金の貸し手と借り手の双方に利益がもたらされることを学びました 自動車保険の取引 ( 保険会社とドライバー ) も双方に利益をもたらしていると言えるでしょうか? どのような利益が生じるか考えてみましょう EXERCISE 4-5 [ 発展問題 ] ある学生からの質問です 世の中にあるお金の総額が一定で変わらないのだとしたら, 金融取引をしても, お金が人から人へと移動するだけで, お金の総額が増えることはない だから, 金融取引をしても社会全体でみると豊かにはならないのではないですか? 金融取引は社会を豊かにするはずなのに, この学生の主張も正しいように思えてしまいます 実は, この学生の主張はどこかが間違っています それは一体どこでしょうか? 83 86 9

4-6 発展途上国のなかには, 一部の人たちが金融取引の機会を独占し, それ以外の人たちには金融取引の機会が与えられていない国があります 本文で説明した 10 人の起業家からなる社会 の表 4. 2(61 頁 ) の設定のもとで,E, F, G,H, I, J の 6 人だけに金融取引の機会が与えられていて,A, B, C, D の 4 人は, 金融取引が禁止されているとします 91 10