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介護保険制度を利用した健康寿命計算マニュアル 目次 介護保険制度を利用した健康寿命計算マニュアル P2 ワークシートを利用した健康寿命の計算について P17 平成 14 年 12 月 12 日 切明義孝 http://home.at.ne.jp/star/publi chealth/ 平成 16 年 11 月 1 日改訂 1

介護保険制度を利用した健康寿命計算マニュアル 平成 14 年 12 月 12 日切明義孝 1. はじめに従来 健康状態を示す指標として広く 平均寿命 が用いられてきました 日本人の平均寿命を見ると先進諸国間では 戦後 最下位であったものが現在では日本人男性 女性共に世界一となり特に日本人女性の寿命は2 位との差がますます開きつつあります ( 図 1) その一方で癌や循環器病などの生活習慣病が増加し 寝たきり や 痴呆 などの高齢化に伴う障害も増加しており 日常生活の質までを含めた健康状態の評価には従来からの指標である 平均寿命 では不十分となってきました そこで 健康日本 21では人生の中で健康で障害の無い期間 ( 支援や介護を要しない期間 ) を健康寿命と定義し 国民の健康寿命の延伸及び生活の向上を目標として掲げています 2. 健康寿命の算出の目的健康寿命の算出にはさまざまなメリットがあります (1) 健康寿命の算出 評価を通じて健康寿命を短縮させている要因が明らかになる (2) 早世 障害の現状を把握することにより 取り組むべき地域保健計画の方向性が明 2

らかとなり 行政と住民とが情報の共有化を図ることができる (3) 実施された地域保健計画を評価して課題を明らかにし 次の計画 実施につなげることができる (4) 健康寿命の重要性が住民にとっても分かりやすいものとなる (5) 地域住民が健康つくり運動に参加する動機付けとなり それを継続する推進力となる (6) 健康寿命の延伸や障害期間の短縮という明確な目標を立てることが可能になり 今後の地域保健計画へのフィードバックが図られる (7) それらにより 地域保健計画が行政評価の時代にマッチしたものとなる (8) 以上により 地域保健計画が行政施策として打ち出しやすいものとなる 3. 用語の説明 健康寿命に関連して よく使われる言葉の意味を説明します 3.1 障害障害とは日常生活に何らかの支援や介護を要する状態のことです あらゆる年代で障害は発生しますが 一般的には生活の質に最も影響を与える 障害 は高齢者 (65 歳以上 ) に多く発生します 代表的な障害として寝たきり老人や痴呆老人がありますが その数は年々増加しており 2000 年には140 万人 2010 年には200 万人にも達すると予測されています なお この章では障害期間という言葉を支援や介護を要する期間として使用します 3.2 生命表生命表には ある期間の人口集団の死亡率 生存数 定常人口 平均余命などが記載されています 生命表を用いると年齢構成が異なる集団の間でも死亡状況を比較分析する事が出来ます 特に 0 歳の平均余命である 平均寿命 は その人口集団の保健福祉水準を示す総合的指標として広く活用されています 生命表の各数値は自治体毎に異なりますので健康寿命の計算にはそれぞれの自治体の生命表が必要です 都道府県の生命表は各自治体の情報コーナー等で入手可能です 現在 生命表がなくても 必要な情報を入手すれば生命表を作成することが可能です ( 後述 ) 3.3 生命表の諸関数 健康寿命の計算に必要な生命表の諸関数について説明します 生命表の関数記号の欄に平均余命 と書かれています これは x 歳ちょうどの者のそ 3

の後の生存年数の期待値のことで Tx/lx で得られる値です 特に 0 歳での平均余命は平 均寿命と呼び と標記します なお Tx は x 歳以上の定常人口で lx は生存数と呼びます Tx lx ともに生命表から読み取ります ( 参考 ) 下記に全国の生命表の例を載せておきます 生命表には5 年毎の国勢調査に基づき作成される完全生命表と毎年作成される簡易生命表があります 健康寿命の計算は簡易生命表を用いても可能ですが簡易生命表は計算が簡略化されています 第 18 回生命表 - 男 - ( 一部抜粋 ) 年齢生存数死亡数生存率死亡率死力平均余命 定常人口 x lx ndx npx nqx µx ex nlx Tx 0 年 10000 0 456 0.9954 4 0.0045 6 0.1578 4 76.3 8 9963 4 763796 4 1 99544 68 0.9993 1 0.0006 9 0.0008 5 75.7 3 9950 7 753833 0 : : : : 65 8329 5 1419 0.9829 6 0.0170 4 0.0165 0 16.4 8 8259 3 137267 5 66 8187 5 1509 0.9815 7 0.0184 3 0.0178 8 15.7 6 8112 9 129008 2 67 80367 1604 0.9800 4 0.0199 6 0.0193 4 15.0 4 7957 3 120895 3 68 7876 3 1713 0.9782 5 0.0217 5 0.0210 14.3 4 7791 6 112938 0 69 7705 1839 0.9761 3 0.0238 7 0.0230 13.6 5 7614 105146 4 70 7521 1 1974 0.9737 6 0.0262 4 0.0253 4 12.9 7 7423 5 97532 3 71 7323 7 2111 0.9711 0.0288 3 0.0278 7 12.3 0 7219 3 90108 8 72 7112 6 2261 0.9682 1 0.0317 9 0.0307 0 11.6 5 7000 8 82889 5 73 6886 5 2425 0.9647 8 0.0352 2 0.0340 0 11.0 2 67666 7588 86 74 6643 9 2599 0.9608 9 0.0391 1 0.0378 0 10.4 0 6515 4 69122 0 : : : : 85 2952 0 3724 0.8738 5 0.1261 5 0.1275 1 5.05 2765 1 14919 8 : : : : : : : : 注 ) 後述の文中で参照する数字は太字で示した 4

3.4 自立率 ここでは ある集団における自立者 ( 支援や介護が不要な者 ) の割合を自立率と定義し 自立率 =1-( 支援や介護を要する者の人口 )/( ある集団の人口 ) として計算します x 歳における自立者の割合 ( 自立率 ) が判ると 生命表から得られる数値を用いて健康余命が計算できます 地域住民の年齢階級別の自立率を求めるためには何らかの調査が必要ですが 調査方法によっては 得られる自立率が異なり 結果として健康余命も異なる値となり得るため 自立率の調査方法の選択はとても重要です 3.5 自立平均余命 ( 健康余命 ) x 歳における平均余命 =Tx /lx の式を応用して x 歳での自立平均余命 ( 健康余命 ) を求める事が出来ます x 歳以上の自立定常人口を T x 自立平均余命 ( 健康余命 ) をとすると =T x /lx となります 1 また 調査により求めた x 歳での自立率を I x とすれば (I は I ndependent の頭文字 ) T x=( Tx-Tx+1) I x +(Tx+1 Tx+2) I x+1 + (Tx+2 - Tx+3) I x+2+ +(T - T +1) I です 2 次に 2 を 1 に代入すると x 歳での自立平均余命 ( 健康余命 ) は 次の計算式で表せ ます ={( Tx-Tx+1) I x +(Tx+1 Tx+2) I x+1 + (Tx+2 - Tx+3) I x+2+ +(T - T +1) I } / lx ここで Tx と lx の値は生命表から得られるため I x を求めれば が算出されます 注 )T I の は地域住民の最高年齢 (110 歳前後 ) になります 3.6 健康寿命高年期 (65 歳以上 ) は人生の完成期で余生を楽しみ豊かな収穫を得る時期ですが老化や生活習慣病等による障害が起こりやすく支援や介護を要す者が増える時期でもあります 65 歳という年齢は健康で自立した人生を送る上でも重要な年齢と考えられますので 65 歳での健康余命 を健康寿命と表現する事もありますが ここでは健康余命と健康 5

寿命を区別して健康寿命は 0 歳平均余命 - 障害期間 として計算していきます 介護保険制度を利用して障害の無い平均余命 ( 健康余命 ) を推定する事が可能である事については健康日本 21の総論で簡単に触れられています そこには 介護保険の導入にともない市町村レベルでの障害の無い平均余命 ( 健康余命 ;DFLE,Disease free life expectancy) の算出が可能になりつつある と記述されています さて 平成 14 年現在では既に 各自治体が要支援 要介護者数を把握しており これを基にして健康余命を算出する事が可能になりました 介護保険制度を利用して健康余命を計算し 健康寿命を推定することは 計算が比較的簡単であることや地域の住民が平均何歳で介護保険サービスを利用し始めるかという直接的な数字が出るため 介護サービスの提供の面や自治体の財政という側面から見ても 行政のための非常に有益な指標となります 4 健康寿命を計算しよう 実際に 介護保険 平成 11 年人口 ( 国民衛生の動向 2000 年より ) 第 18 回生命表を 利用して日本人男性の健康寿命を計算してみましょう 4.1 自立率を調査する ここでは介護保険制度を利用した自立率の調査方法を紹介しますが 自治体独自の調査によって自立率を求めても構いません 独自の調査方法でも表 3が作成できれば十分です 表 1に自立率の調査方法に望まれる条件を簡単にまとめてみました 表 1. 自立率の調査方法に望まれる条件 1. 費用や労力を要しない 2. 調査に用いられる判定基準等に客観性がある 3. 調査者による判定の差異が少なく再現性がある 4. 調査後のデーター処理が容易 5. 少なくとも年に一回は調査が可能である 調査に要する負荷が少ない 6. 経年変化を追跡できる 7. 地域を問わずに実施可能な方法である 8. 既存の資源を利用出来る 4.2 自立率の調査方法を決める 今回 ご紹介する介護保険を利用した自立率の調査は介護担当課がすでに集めている情報を利用するものですから必要な資料は比較的容易に入手できます 介護保険制度は平成 12 年の4 月からスタートしたばかりの制度であり現状では 要支援 要介護者を必ずしも100% 把握しているとは言えません しかし 介護保険の認定作業自体は平成 11 年の10 月から始まっており 認定開始から既に1 年が経過し各自治体の介護保険担当課には十分な情報が蓄積されていることや1 次審査と2 次審査により慎重に認定作業を行うの 6

で信頼性が高い情報が得られます また 介護保健サービスの受給者はすべて行政側で把握されますので経年変化を見ることも可能であり 判定にはコンピューターを用いて全国的にもほぼ画一的な判定が行われていますので自治体間の比較も可能です また 基礎資料に介護保険サービスの受給者を用いるという事は 将来的に保険財政の動向を探る指標にもなり得ます 4.3 介護担当課から必要な情報を入手する 自立率の計算のために介護保険担当課から必要な情報を入手します 健康寿命の計算には表 2の情報が必要です もし このような統計が存在しない場合 必要な手続きを行い システム担当者に集計を依頼すれば これらの情報は入手可能です なお 自治体の介護保険担当課には高齢者介護サービス支援事業として認定支援ネットワーク Nintei Net の端末があり定期的に認定状況が入力されています ここでは その端末から報告集計の画面を利用して年齢階級別の要支援 要介護者数を入手しました ( 表 2) 表 2. 介護保険担当課で入手できる情報 全国全国平成 12 年年計要支援要介護者数 ( 一部抜粋 ) 項目名 65 歳未満 ( 件 ) 65~69 歳 ( 件 ) 70~74 歳 ( 件 ) 75~79 歳 ( 件 ) 80~84 歳 ( 件 ) 85~89 歳 ( 件 ) 男 1866 3 3167 1 4897 4 5547 8 5987 1 5162 7 女 1719 7 3388 7 6826 1 12384 0 16240 6 15559 3 計 3586 0 6555 8 11723 5 17931 8 22227 7 20722 0 4.4 自立率を計算する下記のような表を作り 自治体の情報コーナー等で介護保険被保険者数または人口を調べて被保険者数の欄に数字を記入します 要支援 要介護者数は表 2の数値を記入します そして 各年齢階級別に要支援 要介護者率を計算し 自立率 (=1- 要支援 要介護者率 ) を求め表 3を完成します 7

表 3. 日本人の年齢階級別自立率の計算 - 男 - 年齢 被保険者数 ( 年齢階級別人口 ) 要支援 要介護者数 a 年齢階級別 b 年齢階級別 要支援 要介護者率 b/a 年齢階級別自立率 1-(b/a) 65-69 歳 327700 0 3167 1 0.00966 5 0.99033 5 70-74 歳 257300 0 4897 4 0.01903 4 0.98096 6 75-79 歳 149100 0 5547 8 0.03720 9 0.96279 1 80-84 歳 86500 0 5987 1 0.06921 5 0.93078 5 85 歳以上 61000 0 8014 3 0.13138 2 0.86861 8 注 1) 年齢別被保険者数は 国民衛生の動向 2000 年 掲載の平成 11 年の人口で代用 した 注 2) 要支援 要介護者数は表 2 を利用 注 3) 要支援 要介護者率 = 要支援 要介護者数 / 被保険者数 4.5 年齢階級別の定常人口を求める 生命表から nlx Tx を読み取り 定常人口を求めます 表 4. 第 18 回生命表より抜粋 - 男性 - 年齢 x nlx Tx : : : 注 1) 括弧内の記号は該当する関数記号を表す 注 2)nLx の記号 x は年齢 n は区間を表すが 上記の生命表は 1 歳階級なので n=1 と なる 65 8259 3(1L65) 137267 5(T65) 66 8112 9(1L66) 129008 2(T66) 67 7957 3(1L67) 120895 3(T67) 68 7791 6(1L68) 112938 0(T68) 69 7614 1(1L69) 105146 4(T69) まず 65-69 歳の定常人口を求めてみましょう 第 18 回生命表より T65=137267 5 T70=975323 ですから 65-69 歳の定常人口 = T65-T70 =137267 5-975323=39735 2 8

なお Tx と nlx の関係を利用して T65-T70 = 1L65+1L66+1L67+1L68+1L69 = 82593 +81129 +79573 +77916 +76141 =39735 2 としても同じ値が得られます 70-74 歳 75-79 歳 80-84 歳の定常人口はそれぞれ T70-T75 T75-T80 T80-T85 を計算して求めます 85 歳以上の定常人口は 生命表から直接 T85=14919 8 として読み取れます なお T85=1L85+1L86+1L87+1L88+1L89+ +1L110 = 1492 00 と 計算しても上記の 149198 とほぼ同じ値が求められます 注 ) 生命表の数値は計算の過程で小数計算を含み 四捨五入されているので若干の誤差が 生じます 9

4.6 年齢階級別の自立定常人口を求める 表 5. 年齢階級別自立定常人口 - 男性 - 年齢階級別年齢階級定常人口 c 年齢階級別 自立定常人口 c (1-(b/a)) 65-69 歳 39735 2(T65-T70) 3935 11.7 ⅰ 70-74 歳 3492 57(T70-T75) 342608.3 ⅱ 75-79 歳 28196 9(T75-T80) 271477.3 ⅲ 80-84 歳 19490 0(T80-T85) 18141 0 ⅳ 85 歳以上 14920 0(T85) 129597.8 ⅴ 次に年齢階級別の定常人口に表 3 で求めた年齢階級別の自立率を乗じて ( かけて ) 自立 定常人口を算出します Tx は x 歳以上の定常人口の和ですから 65-69 歳の自立定常人口 =(T65-T70) (65-69 歳の自立率 ) =(397352) 0.99033 5 表 3 表 5 =393511.7 70-74 歳 75-79 歳 80-84 歳 85 歳以上の自立定常人口も同様にして計 算し表 5 表 6 を完成します 表 6. 各年齢以上の自立定常人口 (T x)- 男性 - 65 歳以上 131860 5 (T 65=ⅰ+ⅱ+ⅲ+ⅳ+ⅴ) 70 歳以上 925093.5 (T 70=ⅱ+ⅲ+ⅳ+ⅴ) 75 歳以上 582485.1 (T 75=ⅲ+ⅳ+ⅴ) 80 歳以上 311007.8 (T 80=ⅳ+ⅴ) 10

4.7 生存数を求める 表 7. 主な年齢の生存数 l x 男性 生存数 65 歳 8329 5(l 65) 70 歳 7521 1(l 70) 75 歳 6384 1(l 75) 80 歳 4823 0(l 80) 注 )65 歳での生存数は 第 18 回生命表より l 65 =83295 と読み取る 4.8 健康余命を求める x 歳での自立平均余命 ( 健康余命 ) は =T x /lx で表されますから 65 歳での健康余命 =( )= T 65/ l 65 =1318605 83295 表 6 表 7より 15.83 日本人 65 歳男性の健康余命は 15.83 歳となります 同様に 70 歳での健康余命 = =T 70/ l 70 75 歳での健康余命 = =T 75/ l 75 80 歳での健康余命 = =T 80/ l 80 です これらの式に表 6 表 7 の数値を代入して計算すると 表 8 が完成します 11

表 8. 各年齢における健康余命 - 男 - 年齢健康余命 ( 歳 ) 65 歳 15.8305 4( ) 70 歳 12.2999 8( ) 75 歳 9.12399 8( ) 80 歳 6.4484 3( ) 5. 報告書を作成する 健康余命を判りやすく説明するために関連する指標をあわせて報告書を作ります まず 生命表から 0 歳平均余命 ( 平均寿命 ) を読み取りましょう 0 歳平均余命 ( 平均寿命 ) は生命表より = 76.3 8 歳 同様に 65 歳平均余命は = 16.48 歳 65 歳での平均障害期間は - 0.65 年と求められます 同様に計算すると表 9 が完成します 表 9. 男性の年齢別平均障害期間 65 歳 0.65(= - ) 70 歳 0.67(= - ) 75 歳 0.69(= - ) 80 歳 0.68(= - ) 12

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上記の図 2 図 3 によると 全国 東京都ともに高齢者男女の障害期間は 65 歳から平 均寿命付近で変化の幅は小さくほぼ一定です また 近似式を求めても x にかかる係数は 小さく 0 に近い事からも障害期間は大きく変動しません 各年齢における生涯において障害期間がほぼ一定であることを判りやすく図示したもの が図 4 と図 5 です 健康寿命は次の計算式で近似できます 健康寿命 -65 歳での平均障害期間 14

= -( - ) =76.38 0.65) ( 表 9より - = 0.65 =75.73 男性の健康寿命 =75.73 歳と求められます 女性の健康寿命も同様に計算し これらを表に整理したものが表 10 です 表 10. 日本人の健康寿命 男性 女性 65 歳平均余命 65 歳平均余命 16.5 年 20.9 年 65 歳健康余命 65 歳健康余命 15.8 年 19.6 年 障害期間 障害期間 0.7 年 1.4 年 0 歳平均余命 0 歳平均余命 76.4 歳 82.9 歳 健康寿命 健康寿命 75.7 歳 81.5 歳 注 ) 少数第 2 位で四捨五入した 6. まとめ 介護保険制度に基づく自立率と都道府県別生命表を利用し 健康寿命 - ( - ) として計算する方法をご紹介いたしました 自立率の調査方法は数多くの手法がありますので自治体の事情にあわせてより適切な方法で自立率を調査すればさらに正確な健康寿命が計算できると思われます しかし 介護保険を利用した自立率の把握は既存の調査資料から把握が可能であることと介護保険を利用して計算された健康寿命は現実の住民の自立率をそのまま反映するため地域保健計画策定や見直しの上でも優れた指標になります 15

参考文献 1) 健康日本 21 企画検討会 健康日本 21 計画策定検討会 :21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) について報告書 2) 厚生統計協会 : 国民衛生の動向 2000 年 3) 宮下光令 橋本修二 尾島俊之 他 ; 高齢者における要介護者割合と平均自立期間 : 厚生の指標,46(5),25-29,1999 4) 東京都総務局統計部統計調整課 : 東京都生命表平成 7 年 過去 5 年間の年齢別人口と死亡数 要支援 要介護者数を入力すると 65 歳平 均余命 健康寿命 障害期間などが算出されるワークシートを公開しています http://home.att.ne.jp/star/publichealth/ken 16

ワークシートを利用した健康寿命の計算について http:/ /home. att.n e.jp/ star/ publi chealt h/kenkou.htm 健康寿命計算ワークシートはこちらのアドレスからダウンロード出来ます 平成 16 年 11 月 1 日 ( 月 ) 介護保険制度を利用した健康寿命の計算プログラム Q&A! 注意!) ご利用の前に必ずお読み下さい バグは見つけ次第更新していますので更新履歴をご確認下さい! 重要 1!) 基礎データー欄の 0 歳 1-4 歳 の欄は省略せずに正確に入力してください! 重要 2!) いかなるセルも削除 改変された場合には正常に動作しなくなります 1) 85 歳までの死亡統計があれば標準版を利用して下さい 簡易版は死亡統計が80 歳までの場合に利用します 2) 健康寿命の計算のためには年齢階級別要支援者数 + 要介護者数が必要です 入手は 各自治体の介護保険担当課にご依頼ください 介護保険担当課が把握していない場合には 情報システム課 国民保険課または給付関係を委託している国民健康保険団体連合会が把握している場合があります 参考 ) 下記は東京都の公開資料です ( 平成 12 年 年計 年齢階層別 要支援者数 + 要介護者数 ) 65 歳未満 ( 件 ) 65~69 歳 ( 件 ) 70~74 歳 ( 件 ) 75~79 歳 ( 件 ) 80~84 歳 ( 件 ) 85~89 歳 ( 件 ) 90 歳以上 ( 件 ) 男 1143 1959 2708 3039 3422 295 1803 女 1102 2291 4125 6812 8793 8263 5490 計 2245 4250 6833 9851 12215 11218 7293 3) 出生数がゼロの市町村では生命表が作成できません その場合は近隣の地域をいくつか統合 ( 二次医療圏別など ) して計算してみてください 4) 年齢別被保険者数が入手できない場合は最新の年齢別人口で代用して下さい 5) 健康寿命の計算に関する考え方 介護保険制度を利用して 各年齢階級別の自立率を算出し 生命表によって得られる標準化された定常人口と生存数を計算します 次に65 歳以上の自立定常人口を計算して65 歳の生存数で割った値を65 歳での健康余命として計算します 17

6) 健康寿命は基礎調査や計算方法により 長くもなれば短くもなります ご紹介する方法は介護保険制度に基づいているので新たな調査が不要であり 基礎データが全国画一で入手しやすく 計算が簡単 介護保険の判定の差異に よる影響が小さいという特徴があります 7) 健康寿命の定義は 0 歳平均余命 -65 歳障害期間 としました 8) 生命表を作成する際に 1 歳階級の生命表を作成すべきですが 人口の少 ない少人数の自治体ではゼロのセルが多くなり処理が煩雑になります このた め 生命表は 5 歳階級にしました 入力の負担も少なくなります 9) 年齢階級別の自立率は 自立率 I(Independent =1-( ratio) 要支援 者数 + 要介護者数 )/ 介護保険被保険者数 ( または人口 ) で計算しました この部分では 要支援者数をカウントすべきかという議論がありますが 今後 の認定基準の変更によっては現行の要支援相当から要介護相当への移行者が出 る可能性やその逆もあり得るため 将来の認定基準の変更の影響を大きく受け ず かつ長期間の経年変化を追跡できるように上記の定義としました 10) 9) の補足 自治体により要介護の認定基準に若干の差がありますの で 上記のように 要支援者数 + 要介護者数 の数を基に自立率を計算すれば 自治体毎の認定基準の差による影響は小さいと考えます 11) 健康寿命の計算方法に関しましてはいくつかの方法があります 計算 方法や定義が異なる健康寿命を比較して健康度の良し悪しを判断される方がお られますが これは誤りです * 健康寿命の比較をする場合には 必ず算出方法をお確かめの上 比較してく ださい * 健康寿命の比較をする場合には必ず 同じ計算式 と 同等の資料 に基づ き算出してください 12) 健康寿命の分析についてですが 他の自治体との比較をするよりも 自治体毎の健康寿命の経年変化を捉えることに意味があると思います (^^; 13) その他 ご不明の点がございましたら下記まで御連絡ください 14) 無料でご利用になれますが著作権は放棄しておりません 転載等の際に はご一報ください 15) 小規模の区市町村で生命表を作成するのは困難ですが C.L.Chiang の方 法があります ここではその方法を利用しますが 過去五年間の統計による近 似的な生命表になります なお 生命表の数値 (0 歳平均余命等 ) が短期間で 大きく変動することは少ないのでこれを利用します 参考厚生統計協会 : 厚生統計ハンドブック 18

ファイル更新履歴平成 13 年 2 月 5 日簡易版表 5 表 6の計算部分で年齢階級を 1 階級増やして計算の精度を向上させた 平成 13 年 2 月 6 日簡易版で女性の0 歳平均余命が正しく表示されないバグを修正 平成 13 年 2 月 7 日標準版 簡易版共に定数の値を更新しました 平成 13 年 2 月 8 日健康寿命の定義を見直し計算式を変更しました 平成 13 年 4 月 3 日 95-100 歳 のセルを 95-99 歳 に訂正しました 平成 16 年 11 月 1 日年齢階級別の要介護 要支援認定者数の入手法を補足 切明義孝 mailto:kiriake@tkg.att.ne.jp http://home.att.ne.jp/star/publichealth/ C.L.Ch iang の方法による生命表作成ワークシートを世田谷保健所長永見宏行 先生のご好意により掲載させていただいております この生命表作成ワークシ ートを利用すれば国勢調査で補正した より正確な生命表を作成することが可 能になります http:/ /home. att.n e.jp/ star/ publi chealt h/kenkou.htm ワークシートはこちらのアドレスからダウンロード出来ます 19