PowerPoint プレゼンテーション

Similar documents
がん登録実務について

「             」  説明および同意書

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

外来在宅化学療法の実際

頭頚部がん1部[ ].indd

1)表紙14年v0

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを


福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

がんの治療

抗がん剤を受けられる皆様へ


付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

H27栃木県のがんH27.indd

スライド 1

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

減量・コース投与期間短縮の基準

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

Microsoft PowerPoint - tobacco

<4D F736F F F696E74202D2088F38DFC B2D6E FA8ECB90FC8EA197C C93E0292E B8CDD8AB B83685D>

スライド 1

するものであり 分子標的治療薬の 標的 とする分子です 表 : 日本で承認されている分子標的治療薬 薬剤名 ( 商品の名称 ) 一般名 ( 国際的に用いられる名称 ) 分類 主な標的分子 対象となるがん イレッサ ゲフィニチブ 低分子 EGFR 非小細胞肺がん タルセバ エルロチニブ 低分子 EGF

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

記録ノート(A4単ページ ) indd

表面から腫れがわかりにくいため 診断がつくまでに大きくなっていたり 麻痺が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません したがって 痛みがずっと続く場合には要注意です 2. 診断診断にはレントゲン撮影がもっとも役立ちます 骨肉腫では 膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されてい

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

配偶子凍結終了時 妊孕能温存施設より直接 妊孕能温存支援施設 ( がん治療施設 ) へ連絡がん治療担当医の先生へ妊孕能温存施設より妊孕能温存治療の終了報告 治療内容をご連絡します 次回がん治療の為の患者受診日が未定の場合は受診日を御指示下さい 原疾患治療期間中 妊孕能温存施設より患者の方々へ連絡 定

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

6 月 25 日胸腺腫 胸腺がん患者の情報交換会 & 勉強会質疑 応答 奥村教授にお聞きしたいこと 奥村教授の話 1 特徴 (1) 胸腺腫 胸腺がん カルチノイドの違いについて 胸腺腫はがんの種類か 病理学的には胸腺腫はがんではなくて正常と区別つかず機能を残したまま腫瘍化したもの 一部 転移するもの

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

リンパ球は 体内に侵入してきた異物を除去する (= 免疫 ) 役割を担う細胞です リンパ球は 骨の中にある 骨髄 という組織でつくられます 骨髄中には すべての血液細胞の基になる 造血幹細胞 があります 造血幹細胞から分化 成熟したリンパ球は免疫力を獲得し からだを異物から守ります 骨髄 リンパ球の

はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

白血病治療の最前線

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

膵臓癌について

報道発表資料 2007 年 10 月 22 日 独立行政法人理化学研究所 ヒト白血病の再発は ゆっくり分裂する白血病幹細胞が原因 - 抗がん剤に抵抗性を示す白血病の新しい治療戦略にむけた第一歩 - ポイント 患者の急性骨髄性白血病を再現する 白血病ヒト化マウス を開発 白血病幹細胞の抗がん剤抵抗性が

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

平成17年

フォルフォックス FOLFOX 療法を受けられる患者さんへ 監修福井大学医学部長外科学 1 教授山口明夫

要望番号 ;Ⅱ-286 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 要望者 ( 該当するものにチェックする ) 学会 ( 学会名 ; 特定非営利活動法人日本臨床腫瘍学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 優先順位 33 位 ( 全 33 要望

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

乳がん術後連携パス

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

NCCN2010.xls

今日の内容 1. がん対策 ( 山梨県がん対策推進条例及び山梨県がん対策推進計画 ) 2. がんデータ ( 死亡者数 罹患率など ) 3. がん検診

PowerPoint プレゼンテーション

95_財団ニュース.indd

130724放射線治療説明書.pptx

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

治療法 下記 FOLFIRI 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 8~9 入 はじめに大腸癌 化学療法 手術後 再発 予防 補助化学療法 切除不能 進行再発大腸癌 対 全身化学療法 抗 剤治療 多 方法 基本 広 使 FOLFOX( ) 療法 FOLF

indd

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

第1章評価にあたって

1. ウイルス性肝炎とは ウイルス性肝炎とは 肝炎ウイルスに感染して 肝臓の細胞が壊れていく病気です ウイルスの中で特に肝臓に感染して肝臓の病気を起こすウイルスを肝炎ウイルスとよび 主な肝炎ウイルスには A 型 B 型 C 型 D 型 E 型の 5 種類があります これらのウイルスに感染すると肝細胞

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

3 成人保健

肺癌の放射線治療

白血病(2)急性白血病

IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

Microsoft Word - all_ jp.docx

<955C8E862E657073>

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

PT51_p69_77.indd

大腸がん術後連携パス

PowerPoint プレゼンテーション

1981 年 男 全部位 C00-C , , , , ,086.5 口腔 咽頭 C00-C

本書の内容 がん体験者の悩みや負担に関するデータベースについて全国のがん体験者 7,885 人を対象とした実態調査結果から抽出された悩みや負担は 2 万 6 千件余りでした この悩み等を 静岡がんセンターで作成した 静岡分類 にそって体系的に整理し がん体験者の悩みや負担に関するデータベースを構築し

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加

Microsoft PowerPoint - 薬物療法

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

Transcription:

第 1 回 抗がん化学療法の概説 2011 年 4 月 20 日 福岡大学病院腫瘍 血液 感染症内科高松泰

がんによる死亡率は年々増加しており 1981 年以降日本人の死因 の第 1 位である 主な死因別にみた死亡率の年次推移 悪性新生物 平成 20 年人口動態統計月報年計の概況 ( 厚生労働省大臣官房統計情報部 )

年間 ( 平成 20 年 ) の悪性新生物の死亡数は約 34 万人で 全死亡の 30% を占める 主な死因別死亡数の割合 ( 平成 20 年 ) 平成 20 年人口動態統計月報年計の概況 ( 厚生労働省大臣官房統計情報部 )

部位別の死亡率を見ると 胃癌と子宮癌は減尐しているが 肺癌 大腸癌 肝癌 乳癌は増加している 悪性新生物の主な部位別死亡率 ( 人口 10 万対 ) の年次推移 男性 女性 肺 胃 肝 大腸 胃 肝 大腸肺乳房 子宮 平成 20 年人口動態統計月報年計の概況 ( 厚生労働省大臣官房統計情報部 )

がんとは? 細胞が生体による制御を逸脱し 自立性に増殖することに より生じる病変 腫瘍細胞の発生母地の違いにより 上皮細胞 ( 皮膚 粘膜 分泌腺 ) 性の 癌 carcinoma と 非上皮細胞 ( 血管 筋 肉 脂肪 骨 軟骨 神経 結合組織 造血細胞 ) 性の 肉腫 sarcoma に分類される

がんになると何故困るのか? がん細胞が局所で無秩序に増殖すると 正常細胞の増殖が抑制され また臓器の正常構造が破壊されるため ( 気管や消化管の閉塞など ) 臓器機能が傷害される がん細胞は周囲に浸潤し 血管やリンパ管を介して遠隐臓器に転移するため 原発部位以外の臓器機能を傷害する 腫瘍細胞が産生する物質により 腫瘍が存在しない臓器に症状が出現する ( 腫瘍随伴症候群 ) がん細胞が広がった臓器の機能丌全や悪液質で死亡する

がんに対する治療の目標 がん細胞を根絶することで 治癒が期待できる 白血病 リンパ腫に対する薬物療法 早期癌に対する手術 術後薬物療法 がん細胞の増殖を抑制することで 延命が期待できる 再発 進行癌に対する薬物療法 低悪性度血液腫瘍に対する薬物療法 がん細胞を除去すると 正常細胞が増殖して臓器の機能が 回復する がんを縮小させることで がんに伴う症状を軽 減できる 転移性骨腫瘍や気管 消化管の狭窄病変に対する放射線療法

がんに対する治療 腫瘍が限局している場合 外科療法 ( 手術 ) 放射線療法 腫瘍が全身に広がっている場合 薬物療法 ( 抗がん薬治療 ) 症状を緩和する治療

がんに対する薬物療法 ( 抗がん薬治療 ) 抗がん薬に感受性が高い腫瘍 ( 急性白血病 悪性リンパ腫 胚細胞腫瘍など ) では 治癒を目指して薬物療法を行う 外科療法 放射線療法と薬物療法を組み合わせて治療する 根治的手術後に薬物療法を行うと再発率が低下する ( 術後薬物療法 ) 手術前に薬物療法を行うことで 切除丌能な腫瘍が縮小して手術が可能になる ( 術前薬物療法 ) 再発 進行性の腫瘍に対して 延命や症状の緩和を目的に薬物療法を行う

治癒を目指した薬物療法 - 急性白血病の治療 急性白血病に対する薬物療法の原理 寛解導入療法 寛解後療法 ( 地固め療法 維持療法 ) 体内の細胞数 10 12 10 9 正常造血細胞 白血病細胞 寛解状態 寛解生存 時間

治癒を目指した薬物療法 - 急性白血病の治療 成人 (15~59 歳 ) 急性骨髄性白血病 の生存率 小児の急性リンパ性白血病の生存率 Burnett A, J Clin Oncol 29, 487-494, 2011 Schrappe M, Blood 95, 3310-3322, 2000

治癒を目指した薬物療法 - 急性白血病の治療 急性白血病の治療概念 (Total cell kill) 実験動物白血病の研究結果より 白血病細胞をゼロにするまで根絶しないかぎり白血病の治癒は得られない ヒト白血病においても 白血病細胞をゼロにするまで徹底的に叩く必要がある 強力な抗がん薬治療を行うと 致死的な副作用が出現する危険がある 予想される副作用に対して予防策を立て 早期発見 早期治療に努め 強力な治療を完遂できた症例では 白血病の治癒が期待できる

術後薬物療法 ( Adjuvant chemotherapy ) 根治的手術を行っても 再発 遠隐転移する症例がある がん細胞は早い時期から全身に広がり 初期治療時に画像検査で検出できない 微小転移 がすでに存在している可能性がある 局所治療 ( 外科手術 放射線療法 ) を行った後に 将来の転移 再発を予防する あるいはその出現をできるだけ遅らせることを目的に薬物療法を行う

術後薬物療法 ( Adjuvant chemotherapy ) 乳癌の根治的手術後に薬物療法を行うと 無病生存期間および 全生存期間が延長する 全生存期間 術後薬物療法あり なし リンパ節転移なし 術後薬物療法あり なし リンパ節転移あり Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group, Lancet 352, 930-942, 1998

術前薬物療法 ( Neoadjuvant chemotherapy ) 腫瘍が大きく手術丌能な局所進行癌に対して 薬物療法により腫瘍が小さく (down staging) なれば 手術が可能となる より早期の段階のがんに対して術前薬物療法を行うと 術後薬物療法と同等の生存率 無病生存率が得られる 乳癌では 術前薬物療法を行うことで 乳房温存率が向上する また薬物療法の効果判定で容易にできるため 将来的に治療の個別化に役立つ可能性がある

術前薬物療法 ( Neoadjuvant chemotherapy ) 乳癌に対して術前薬物療法を行った患者の無病生存期間および 全生存期間は 術後薬物療法を行った患者と同等である 無病生存期間 全生存期間 Wolmark N, J Natl Cancer Inst Monogr 30, 96-102, 2001

術前薬物療法 ( Neoadjuvant chemotherapy ) 乳癌に対する術前薬物療法では 病理学的完全奏効が予後と相 関する 無病生存期間 全生存期間 Wolmark N, J Natl Cancer Inst Monogr 30, 96-102, 2001

乳癌に対する薬物療法では Dose intensity(di) と奏効率の間に 正の相関関係が認められる Dose intensity(di)= 単位時間当りの薬剤投不量 (mg/m 2 / 週 ) 計画量の DI と奏効率の関係 実際投不量の DI と奏効率の関係 Hryniuk W, J Clin Oncol 2, 1281-1288, 1984

延命や症状緩和を目指した薬物療法 切除丌能の進行非小細胞肺癌に対して抗がん薬治療を行うと best supportive care に比べて生存期間が延長する 抗がん 薬治療により 生活の質は低下しない 全生存期間中央値 8 ヵ月 vs. 5.7 ヵ月 (P=0.0006) Spiro SG, Thorax 59, 828-836, 2004

抗がん薬治療の副作用 血球減尐 発熱性好中球減尐 最も問題となる副作用は 血球減尐である 造血幹細胞が傷害されて造血能が低下し 白血球減尐 貧血 血小板減尐を来たす 特に好中球が減尐すると重症感染症を起こす危険が高く その場合は直ちに適切な抗菌薬治療を行わないと死に至ることがある ( 発熱性好中球減尐症 ) 発熱性好中球減尐症を発症した場合は 入院で抗菌薬静注療法もしくは外来で経口抗菌薬治療を開始する

抗がん薬治療の副作用 嘔気 嘔吐 抗がん剤投不後 1 時間ほどで現れ 24 時間以内に改善する ( 急性嘔吐 ) 治療を開始する15~60 分前に5HT 3 受容体拮抗薬を使用することにより予防できる 抗がん剤投不 1~2 日後に現れ 5 日間ほど持続する ( 遅発性嘔吐 ) 副腎皮質ステロイド ニューロキニン-1 受容体阻害薬 ( アプレピタント ) が有効 丌安感や恐怖心が吐き気を誘発することがある ( 予測性嘔吐 )

抗がん薬治療の副作用 口内炎 下痢 便秘 抗がん剤治療を行った2~10 日後に口内炎ができる ( メトトレキサート 5FU ドキソルビシンなど) 腸の粘膜が傷害される もしくは腸の動きが速くなると下痢が起こる (5FU イリノテカンなど) 水分や電解質の補充 止痢薬の投不を行う 薬剤の作用により腸の動きが悪くなると便秘になる ( ビンクリスチン モルヒネ製剤など ) 便通の状態に応じて下剤を投不する

福岡大学病院における抗がん化学療法 患者数 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2010 年 2011 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 入院化学療法の患者数 外来化学療法の患者数

外来化学療法を行う利点 家族と顔を合わせながら生活することで精神的な落ち着きが得られる 自分の生活リズムに合わせて使い慣れた食卓 布団 ( ベッド ) やトイレで食事 睡眠 排泄をすることで身体的にも健康を保ちやすい 30~50 歳代の仕事をしている あるいは育児中の患者では 患者および家族の健全な心身の安寧と 経済面の負担軽減が得られる

外来化学療法を行う問題点 医療従事者が患者を観察できる時間は短くなり 患者の病 態把握が疎かになりやすい 副作用が出現した場合に対応が遅れる危険がある 治療の副作用や日常生活の注意点について患者が良く理解し 体調を自己管理することが重要 自己管理ができていない患者では重大な合併症を生じる危険性が高くなる

抗がん薬治療を開始する前に病院で行っている確認 説明事項 悪性疾患であるという病名告示 ならびに組織型 悪性度 病期 全身 重要臓器の状態 使用する治療薬 治療スケジュール 予想される効果と副作用 副作用の予防法と対処法 他の治療法の提示とその得失 全体の治療 経過の流れと予想される予後

外来化学療法のポイント 十分に説明した上で治療を開始しても 患者の理解が丌十分なことが多い 実際に治療を受け 効果や副作用を体験 体得していくことで理解は深まる その間に重篤な有害事象が起こらないよう患者の管理に努める 患者が手帳を携帯し 治療日と治療内容 採血結果 自覚症状を記載して医療者と患者が情報を共有することにより 緊急時に訪れた病院での患者把握に役立つのみならず 患者が治療に参加している意識を持つことに役立つ

診療手帳 治療経過表 治療薬の名前と量を記入する 白血球数など疾患に応じて検査項 目を選択し 結果を記入する 原疾患 治療と関係のありそうな自 他覚所見を記入する

外来化学療法のポイント 外来化学療法室で抗がん化学療法 ( 注射薬 ) を受けた患者 は 院外薬局で経口抗がん薬や合併症に対する治療薬 予 防薬を受け取り 服薬説明を受けている 外来化学療法を安全かつ効果的に推進していく上で 病院 と院外薬局が患者に関する情報を共有し 患者に対して適 切かつ統一した服薬説明を行うことできるシステムを構築 することが重要である