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Q&A Tight Glucose Control in Critically Ill Patients: Should Glucose Meters Be Used? David B. Sacks 1 1 David B. Sacks, Department of Pathology, Harvard Medical School, Brigham and Women s Hospital, Boston, MA. Q&A 重篤な患者への厳格な血糖管理 : グルコースメーターは使用できるのでしょうか 糖尿病患者においては 血糖の測定には携帯式 ハンディータイプの測定器が広く使われています 医療オフィス 養護施設および病院のような臨床の現場では 患者による血糖の自己管理のために用いられています 最近では 病院の集中治療室 (ICU) での臨床成績の改善のような 非糖尿病患者における厳格な血糖管理に関するエビデンスも報告されています このエビデンスに基づき インスリンによる血糖値を低下する治療方法は 多くの ICU や病院で基本になっています これらの患者の大部分においては 血糖の管理は携帯式のグルコースメーターを用いて行っており その値はインスリンの投与量を決定するために使われています この Q&A では 五名の専門家に厳格な血糖管理に対する グルコースメーターの使用についてコメントを求めました これまでに報告されたエビデンスは 非糖尿病入院患者の厳格な血糖管理の成果の裏付けとなるのでしょうか? Greet Van den Berghe 2 : 厳格な という言葉の定義と 入院 の理由によります 多くの研究で 入院患者の死亡と高血糖および低血糖の双方は 強く結びついていることが示されています ( 最も少ないリスクは その年齢での正常な 空腹時血糖の範囲と関連しています ) 無作為抽出した対照研究からのエビデンスは 一般に ICU 患者を対象としています Leuven によって行われた三つの研究では その年齢での正常な空腹時の 血糖値として [ 成人では 80-100 mg/dl (4.4-6.1 mmol/l) 子供では 70-100 mg/dl (3.9-5.6 mmol/l) 幼児では 50-80 mg/dl (2.8-4.4 mmol/l)] を目標として 性能の優秀さを調べるために高血糖値のグループを対照群として比較検討しました 対照群においては 腎臓の許容範囲である 215 mg/dl (11.9 mmol/l) を越えなければ 何も対処しませんでした 血糖は一つの装置でのみ測定しました 外科および小児科の ICU の研究では ABL 血液ガス分析装置 一般医療用の ICU の研究では HemoCue( ヘモグロビン解析装 1

置 ) で測定しました 一種類の厳格な測定法を使うのは 正確なインスリン投与量を調節するために必須です これら三つの無作為化の対照研究は その年齢での正常値の目標 を測定することにより 病的状態や死亡率を減少させるという意味での有用性は示されました 近代の大きい複数の医療機関での NICE-SUGER (Nornoglycaemia in Intensive Care Evaluation and Survey Using Glucose Algorism Regulation) 研究は 対照群として 血糖は中間目標範囲である [140-180 mg/dl (7.8-10.0 mmol/l)] で 70% はインスリンで治療を行っている被験者であり 介入群は目標とする血糖の範囲は その年齢で正常 な被験者であり ほとんどの被験者はインスリン投与を必要とします NICE-SUGER の研究者は Leuven 研究で使用したグルコースメーターとは異なる変数式のグルコースメーターを使用しました NICE-SUGER 研究では 血糖値が 145 mg/dl (8.0 mmol/l) の方が 118 mg/dl (6.6 mmol/l) よりも良いと結論付けています ICU ではない患者においては 今のところ活用できる無作為化の対照試験のデータはありません 活用できるエビデンスに基づけば すべての非糖尿病の入院患者において 血糖管理のためある特定の範囲の血糖値の目標は今のところ提案できません 正常血糖値にできるだけ近づけるためには 低血糖や容認できない血糖の変動を避け ふさわしい手段の出現 血糖測定の正確な方法の提供 インスリン注射の利用 および個別のプロトコールに対応できる経験を積んだ医師および看護スタッフの育成が必要です Sue Kirkman 3 : 観察研究のエビデンスでは 不十分な血糖管理は入院患者において ( 死を含む ) 有害な結果を引き起こすこと また長期的研究のエビデンスでは インスリンの静脈内投与 (IV) による血糖の低下は 症状の好転を引き起こすことが多く報告されています 強制的な高血糖 は そうでない場合よりも 糖尿病と同じくらい多くのリスクを持つと思われています Van den Berghe が示唆したように 人工呼吸をしている外科の ICU 患者を対象とした無作為化の対照試験では 厳格な目標 [80-100 mg/dl (4.4-6.1 mmol/l)] にするためインスリンを IV により投与する治療を行うと死亡率が減少し 続いて同センターの医療用の ICU 患者を対象とした試験でも 症状の改善が示されました ( 死者は出ませんでした ) 最近行われた ICU 患者を対象とした多くの無作為化の対照試験では 死亡率の改善は確認されておらず 最近報告された NICE-SUGER 研究では 強制的に血糖を目標値にする治療は 140-180 mg/dl (7.8-10.0 mmol/l) を目標とした場合と比べて 死亡率が増加したことが示されました ICU ではない患者にとっては 最初にも述べましたが エビデンスは観察研究であり 不十分な血糖管理は有害な結果を引き起こします ICU 患者においては 極めて厳格な目標 ( 正常血糖値 ) のためのエビデンスは使用できず 事実 障害のリスクもあると結論付けたいところです しかしながら 入院患者においては 良い血糖管理 [<180 mg/dl (10.0 mmol/l)] のためのエビデンスは一つの価値ある考えであり 高血糖を無視することは良い医療行為ではないと思います Gerald Kost 4 : これまでの皆様の意見に賛成です 最近のエビデンスは 厳格な血糖管理は非糖尿病成人の ICU および神経外科の患者においてリスクと関連しています 外傷 やけど および他の疾病においてはさらなる研究が必要ではありますが 研究者たちは厳格な血糖管理の有利な点と不利な点を評価するために 高度で正確な臨床現場即時検査できる測定装置を使わなければなりません 2

厳格な血糖管理計画の血糖値測定において 携帯式のグルコースメーターは適用できるのでしょうか? Ron Ng 5 : FDA によると 現在市場ある血糖モニタリングシステムで 重篤な患者への使用の承認を得たものはないといわれています それゆえ 製造者たちは重篤な患者への使用を推奨できない しかしながら 中央検査室からグルコースの結果が得られるために約一時間かかるということは 現状では厳格な血糖管理を求められる IV のインスリン治療を行っている患者にとって 症状をより悪化させる事になるでしょう それゆえ頻繁に血糖を測定する目的にこれらのメーターを使用することは 現時点では利用できるもっともよい解決法だと思われます 私は 使用する機器の限界を理解し 治療の状況を判断し より広い血糖の目標値を使いながら頻繁に血糖を測定することは 早期の低血糖から守る手段として有効であると提案します Sue Kirkman : 現行の基準では メーターは 20% の誤差 ( 測定回数の 95%) が許されていますが 医療の現場ではこの基準は受け入れられていません これは入院患者において一つの問題であり 臨床医はこの値をもとにインスリン投与量を調整します そして外来患者においてはこれらの値をもとに 食前のインスリンの投与量を決定します 加えて インスリンの投与は短期の深刻な低血糖を引く起こすことが知られており 多くの患者からは低血糖のリスクを減らすことが求められています 入院および外来患者において 深刻な低血糖は 死に直結します また それは精神異常にも関連しています 人々にとって 正確ではない血糖の測定に基づいて インスリンの投与量を決定するのは受け入れ難いものです Greet Van den Berghe : ほとんどの携帯式のグルコースメーターの正確さは 最善のものからは程遠く 非常に重篤な ICU 患者において使用するには不十分です ICU 患者において この誤差はとても大きい [Bland- Altman は 40 mg/dl (2.2 mmol/l) もしくはそれ以上が担保の限界としています ] これは 予想されない結果や整合性のとれない結果 を示し そして 80-110 mg/dl (4.4-6.1 mmol/l) のような 極めて狭い血糖の範囲を目標として使用することを不可能としています Sverre Sandberg 6 : 第一に 携帯式のグルコースメーターは 仮に受け入れられる分析の能力とユーザーの親しみやすさがあれば この目的に適応しうるでしょう あるグルコースメーターでは 合計の誤差は 10% 未満であることが知られていますが (www.skup.nu) 私は装置全体の質を改善すべきだと思います Garald Kost : 私たちは 臨床現場即時検査の成果を 視覚的に 早急にそして明らかに示すために 部分的に平均化した中央値の絶対的な差で曲線を作りました 参考となる分析装置の結果とグルコースメーターの結果を併せて これらの曲線はグルコースメーターのシステムとインスリンによる血糖調節の範囲に依存した 厳格な血糖管理に適合できる精度に到達することを示しました 厳格な血糖管理の境界域は隔たりがあり 意思決定する領域を表す必要がありますが ほとんどの携帯型の装置では低血糖と高血糖の決定的な限界となる血糖値を明確にはできません ICU の患者にはさらなる問題があり ヘマトクリット値の高低のように 混乱させる変動要因の補正や修正がなければ グルコースメーターの使用は制限されます 糖尿病患者が血糖値を自己管理するためにグルコースメーターを使うには どのような正確さが必要でしょうか? 3

Sue Kirkman : 精度を向上させるように努めるべきです 測定回数の 95% で 10% もしくはそれ以下の誤差が妥当だと思われます ( 使用者の練習 正確は補正およびメーターの維持は必要ですが ) Ron Ng : 国際規格 (ISO15197: 糖尿病における自己測定のための血糖モニタリングシステムに対する要求事項 ) に従い グルコースモニタリングシステムを製造した結果 最低限受け入れられる正確さは 以下のようにされています : 製造者の測定手順に従うことが前提ですが 個々の血糖の測定結果の 95% は 血糖値 75 mg/dl (4.2 mmol/l) 未満で ±15 mg/dl (0,83 mmol/l) 以内 血糖値が 75 mg/dl (4.2 mmol/l) で ±20% 以内です 最低限受け入れられる正確さの基準はグルコース管理の医学的な要求に基づいています ±20% 以内 という正確さの基準は ISO15197 によって定義づけられており クラーク誤差グリッドおよびコンセンサス誤差グリッド解析と 糖尿病患者を管理している臨床医の意見に基づいています Sverre Sandberg : このことはどのようにこのメーターを使用するか すなわちこのメーターを臨床の現場で使用するかです インスリン投与のために使用したとき 解析の質はインスリンを使わない 2 型糖尿病患者の自己管理に使用する場合以上のものにしなければなりません そして即効的な血糖管理には注目しないことです 私は ISO15197 はすべての結果の 95% は参考とする方法の ±20% 以内にすべきであると述べていると解釈していますが すべての結果の少なくとも 95% は参考となる方法の ±15% 以内にすべきだと書き直すべきだと思っています Gerald Kost : 臨床現場では即時検査の不正確さは許されません グルコースメーターはしばしば使われているので たとえ不適当でも 世界中の資源の少ない地域での糖尿病の診断では 均一化された素晴らしい能力を発揮すると思われます 血糖の自己管理のための機器は 混乱させる変動要因を減らすために最適化し 安心できる正確さを有し そして費用効果的な治療をもたらさなければなりません 厳格な血糖管理のためにグルコースメーターにはどのような正確さが必要でしょうか またその正確さは達成できるのでしょうか? Ron Ng : 第一に 重篤な患者にとっての最適な血糖値と 安全で効果的な血糖値の管理方法が確立されるべきです 第二に 血糖値の管理方法のための血糖管理に求められる正確さは 医療の専門家の意見と誤差グリッド解析の発展の双方に基づいて定義される必要があります 第三に 評価は現行の血糖モニタリングシステムが これらの要求を満たしているかどうかを評価できることです Greet Van den Bertghe : この質問は全く複雑で 一言で答えるのはたやすくありません 目標とする範囲と 測定数が現実的に達成できるかに依存しています その答えは三つの段階を踏んでいます : 誤差の管理 ( 推定値以下または以上 ) 誤差の大きさ そして誤差の数 私の専門領域では 目標とする血糖の範囲である 80-110 mg/dl (4.4-6.1 mmol/l) にすることと 継続的な測定が ICU にいる成人患者に適応できると提案します : (1) 誤差は一定であるべきで予想されるべきであり これらの患者でありうる血糖値の範囲を満たします [ およそ 30-300 mg/dl (1.67-16.7 mmol/l)] (2) 誤差の大きさは 100-200 mg/dl (5.6-11.1 mmol/l) の間の値では 10% 未満 100 mg/dl (5.6 mg/dl) 以下の値では 10 mg/dl 未満 200 mg/dl (11.1 mmol/l) 以上の値では 15% 未満であるべきです (3) 基準に対して乖離する値の数は むしろ 5% 未満であるべきです 連続的に測定するセンサーを評価するために 他の要因としてグルコースシグナルの経時的な変動を計算でする必要が 4

あるかもしれません この正確さで到達できているのでしょうか 私はそう思いますが 一般的に利用できるツールとしては不十分です Sue Kirkman : 到達できていると思います 現行の基準は 20 年ぐらい昔のものです 測定の正確さ ( 装置を使う主な理由 ) が改善できているかどうかは判断しにくいですが 製造者は その間にメーターのすべての特徴や品質を改善してきているでしょう 厳格な血糖管理の方法のために 特にグルコースメーターは改良されるべきでしょうか? Ron Ng : 仮に現行の血糖値管理システムで 医療の専門家が正確な方法を確立できているのであれば 改良の必要性はありません より正確で手ごろな新世代のシステムの発展は考えられます Greet Van den Berghe : 私もそう思います ICU 患者において血糖値を目標とする範囲内に分析するために [ 私たちの研究のように厳密に 80-110 mg/dl (4.4-6.1 mmol/l) にするか 最近の NICE-SUGER 研究のように 140-180 mg/dl (7.8-10.0 mmol/l) にするかどうか ] 重要なことは正確な血糖値をどの装置を用いて測定するか 望ましいことは血糖値を連続した方法で測定し モニターで表示されることです それにより血糖の動向を解析することが可能となり 看護師や医師によるインスリン投与量の予測できるようになります 最後に 連続的なセンサーが閉回路のコンピュータのアルゴリズムの改良を可能にしたように 不安定な目標範囲外になることなく 範囲内に血糖値を完全に制御できる必要があります しかし 第一にそして最も重要な条件は グルコースメーターの正確さの結果が 真の血糖値を反映できているかどうかです 一般に 唯一グルコースメーターの中で ICU において厳格な血糖管理のために断続的な測定を十分 正確に行われていることが証明されたものは ABL 血液ガス解析装置であり 続いて HemoCue です 加えて血中のカリウム濃度を管理する装置は インスリン療法にとってはとても便利です インスリンは細胞内へのカリウムの移動を誘導し 血中のカリウムを減少させ 外因性のカリウム添加の必要量を 55% 増加させることが 我々の研究で分かっています 未処置のままにした場合 低カリウム血症により 不整脈を引き起こすかもしれません 低カリウム血症が急速に検知および処置されなかったとき インスリン測定の方法の問題点が問われます 連続的な血糖管理は 厳格な血糖管理法の役割を果たせるのでしょうか? Sue Kirkman : 外来の一型糖尿病患者における 連続的な血糖管理を行った最近の複数の医療機関による研究では 一型糖尿病患者の成人において低血糖者の割合を増加することなく 血糖管理を改善したことが示唆されています (10 代や子供の患者における結果は印象的ではありませんでした ) 入院患者を対象とした小さい研究もありますが 技術的な論文であり透析を行っているようなより深刻な患者を対象としているようなものなどがあります 連続的な血糖モニタリングシステムは誤差範囲がありますが 閉鎖系のポンプのような最も発展の可能性を有し 改良が必要とされています Greet Van den Berghe : むしろ 連続的な血糖管理としてグルコースは血液中で管理されるべきものであって ( 組織液中のグルコースの濃度は正確に重篤な患者の血液中のグルコース濃度を反映していません ) 特に上記に記載されているような正確さを必要とします このことは在宅での健康な糖尿病患者よりも ICU 患者にとってより重要なことかもしれず ICU 患者はときには無意識の状態になることがあり 低血糖の兆候を判断 5

することができません 現在利用できる連続式の血糖管理のほとんどは皮下で行っており ICU で適用するた めにはまだ不十分です ( 訳者 : 松岡亮輔 ) 謝辞 Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors Disclosures of Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the Disclosures of Potential Conflict of Interest form. Potential conflicts of interest: Employment or Leadership: R. Ng, Abbott Diabetes Care. Consultant or Advisory Role: D.B. Sacks, BioRad. Stock Ownership: R. Ng, Abbott Diabetes Care. Honoraria: D.B. Sacks, BioRad. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Role of Sponsor: The funding organizations played no role in the design of study, choice of enrolled patients, review and interpretation of data, or preparation or approval of manuscript. 脚注 1 Nonstandard abbreviations: ICU, intensive care unit; NICE-SUGAR, Normoglycaemia in Intensive Care Evaluation and Survival Using Glucose Algorithm Regulation; IV, intravenous; POC, point of care; POCT, point-of-care testing; ISO, International Standards Organisation. 2 Greet Van den Berghe, Professor of Medicine; Head, Department of Intensive Care Medicine; Chair, Division of Acute Medical Sciences, Catholic University of Leuven, Leuven, Belgium. 3 M. Sue Kirkman, Vice President, Clinical Affairs, American Diabetes Association, Alexandria, VA. 6

4 Gerald Kost, Director and PI, University of California Davis and Lawrence-Livermore National Laboratory, Point-of-Care Technologies Center, National Institute of Biomedical Imaging and BioEngineering, NIH; Professor, Pathology and Laboratory Medicine, School of Medicine, University of California Davis, Davis, CA. 5 Ronald Ng, DABCC, FACB, Director, Clinical Research, Abbott Diabetes Care, Alameda, CA. 6 Professor Sverre Sandberg, Director, Laboratory of Clinical Biochemistry and Norwegian Porphyria Centre, Haukeland University Hospital, Bergen, Norway, and The Norwegian Quality Improvement of Primary Care Laboratories (NOKLUS), Bergen, Norway. 7