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2 累計 収入階級別 各都市とも 概ね収入額が高いほども高い 特別区は 世帯収入階級別に見ると 他都市に比べてが特に高いとは言えない 階級では 大阪市が最もが高くなっている については 各都市とも世帯収入階級別の傾向は類似しているが 特別区と大阪市が 若干 多摩地域や横浜市よりも高い 東京都特別区

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5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

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第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

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図表 II-39 都市別 世帯主年齢階級別 固定資産税等額 所得税 社会保険料等額 消 費支出額 居住コスト 年間貯蓄額 ( 住宅ローン無し世帯 ) 単位 :% 東京都特別区 (n=68) 30 代以下 (n=100) 40 代

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年 2 月期関西圏 中京圏 福岡県賃貸住宅指標 大阪府 京都府 兵庫県 愛知県 静岡県 福岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新

13 年冬のボーナス 昨冬 は 12 年冬を指しますこの冬のボーナス平均手取額は 66.8 昨冬と比べて 4.7 増 昨冬との比較では 増えた (36.4%) が 減った (21.6%) を上回り 増減は 年冬のボーナス手取額 平均 :

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電通、エネルギー自由化に関する生活者意識の変化を分析

1 食に関する志向 健康志向が調査開始以来最高 特に7 歳代の上昇顕著 消費者の健康志向は46.3% で 食に対する健康意識の高まりを示す結果となった 前回調査で反転上昇した食費を節約する経済性志向は 依然厳しい雇用環境等を背景に 今回調査でも39.3% と前回調査並みの高い水準となった 年代別にみ

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摂南経済研究第 4 巻第 1 2 号 (2014) 較検討するのも興味深いことであるが ここではあくまでも 2011 年のデータの提示のみに終始し 分析 検討は改めて順次おこなってみたい 後者の目的にかかわる国際観光輸出 輸入 収支については 前掲の 国際観光論 において 2000 年から 2008

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ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

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貸出は積極的だが消費者向けの環境に変化

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1 見直したい費目のトップは 光熱費 で 82.9% 電力自由化の認知率も 97.1% を超える 各世帯の支出が発生している中で 見直したい費目の 1 位は 光熱費 で 82.9% 携帯電話料金 が 76.3% 食費 が 76.2% と続きました なお 光熱費を見直したい という意識は ライフステー


依然見通しは慎重 環境や海外への関心高まる-第7回不動産市況アンケート結果

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28 GCC UAE GCC (2) 大きく上昇した食料価格と住居費 GCC GCC GCC 図表 2 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価上昇率 (28 年 ) 図表 3 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価指数に占める食料品と住居費の割合

世帯収入 DI 大幅な改善現在の 世帯収入 DI ( 増えた やや増えた ) と回答した割合から 減った やや減った と回答した割合を引いた値 ) は で前回 (11 年 6 月 :-24.6) から +6.8 ポイント上昇した 震災後に混乱していた企業のサプライチェーンが回復し生産体制

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【別添3】道内住宅ローン市場動向調査結果(概要版)[1]

Transcription:

中国の消費者は 消費から貯蓄へ と変化 倹約しつつ 絞った品目で ワンランク上の消費 を志向 ~BCG 消費意欲調査 ( 中国版速報 ) Jeff Walters, Youchi Kuo, Hubert Hsu, Carol Liao, David Jin, Waldemar Jap, Vincent Lui (213 年 6 月 ) 概要 BCG では 213 年で 12 回目となる 世界消費意欲調査 を実施した 中国では 12 都市 1, 人に対する調査を 4 月に行った ( 日本でも調査を行っており 結果を発表予定である ) 数年間 増加傾向にあった中国の消費拡大意向が 今年は減少に転じた 前年より消費に意欲的である消費者は 昨年比 11% 減の 27% にとどまる 消費拡大意向のある人は 日本の 7% 米国の 1%(212 年の結果 ) と比較すれば中国の 27% は大きいものの 過去数年の傾向からは一転 引き締め傾向に変わった 支出引き締め傾向への変化は 貯蓄志向の高まりによるもの 6% 近くが 貯蓄のために支出を減らすと回答 212 年の可処分所得に対する家計貯蓄率は 38% と 1 年前より 15% 上昇 それにも関らず 貯蓄額に満足しているとの回答は 22% にとどまる 貯蓄の理由 1. 中国経済の成長スピードの減速により 消費者がより慎重になったため - 1 年以内に経済が回復する と回答した人は昨年より約 1 割減の 38% - ただし 中長期的にみると楽観傾向が強く 今後数年間は経済が回復しないと思う との回答した人は 11% のみ 貯蓄の理由 2. 一人っ子政策の結果 多くの家族を養う必要性があるため 貯蓄の理由 3. 住宅価格が高騰し 今後の価格変動も不透明な中で マイホーム購入資金を貯めるため 倹約しつつも 購入する品目を絞って 質の高いものを購入するつもり との回答が 8% にのぼる 経済減速の影響が表れにくいの中間 富裕層にも 影響が出始めた の中間 富裕層のうち 経済的安定を感じている人は 昨年より 13% 減り 57% に の中でも 若者は消費意欲が旺盛 22 年には の中間 富裕層が 中国の消費を牽引 1 THE BOSTON CONSULTING GROUP

数年間 増加傾向にあった中国の消費拡大意向が 今年は減少に転じた 前年より消費に意欲的である消費者は 昨年比 11% 減の 27% にとどまる 今後 1 年間の消費意欲について 前年より支出を増やす と回答した人は 日本の 7% 米国の 1%( 昨年の結 果 ) と比較すると 中国の 27% は大きいものの 過去数年の傾向からは一転した ( 図表 1) 図表 1. 今後 1 年間の消費意向中国は 数年続いた消費拡大傾向から一転 引き締め傾向へ " 今後 1 年間で 自由に使えるお金をどのくらい使う予定ですか " 中国の消費者は 他国に比べて消費意欲が高いものの 消費拡大意向のある人は減少 1 1 9 7 13 1 27 43 41 54 4 5 4 5 22 5 36 38 4 29 11 27 4 前年より支出を増やす 前年同等 46 5 4 47 33 米国 EU5カ国 1 日本インド中国 (212 年 ) (212 年 ) (212 年 ) (212 年 ) (213 年 ) 28 24 21 211 33 33 212 213 前年より支出を減らす 1. イタリア スペイン フランス ドイツ イギリス出所 : BCG 消費意欲調査 支出引き締め傾向への変化は 貯蓄志向の高まりによるもの 6% 近くが貯蓄のために消費を減らすと回答 6% 近くが貯蓄のために支出を減らすと回答した 212 年の可処分所得に対する家計貯蓄率は 38% と 1 年前より 15% 上昇したにも関らず 貯蓄額に満足しているとの回答は 22% にとどまった ( 図表 2) 貯蓄志向の大きな理由は次の 3 つである 貯蓄の理由 1. 中国経済の成長スピードの減速により 消費者がより慎重になったため : 1 年以内に経済が回復するとの回答は 昨年の約半数から 今年は 38% まで減少 12 か月以内に経済は回復するだろう と回答した人が昨年は約半数いたのに対し 今年は 38% であった しかし 中長期的には今後の見通しに対して悲観的な人は少なく 今後数年間は経済が回復しないと思う との回答した 人は 11% のみであった ( 図表 3) また 収入減や失業の不安を抱えている人もごく少数であることがわかった 2 THE BOSTON CONSULTING GROUP

図表 2. 中国人消費者の貯蓄に対する意向中国の可処分所得に占める家計貯蓄は 38% に上るが 貯蓄額に満足している人は 22% 家計貯蓄率は1 年前より15% 増加して 38% になったが 貯蓄額に満足している人は 22% のみ 可処分所得に対する家計貯蓄率 " 貯蓄額に満足している " 1 1 8 8 6 4 +15 6 4 2 23 38 2 22 22 年 212 年 213 年 出所 : BCG 消費意欲調査 図表 3. 経済回復に対する見通し短期的な経済回復を楽観視する人は減少したものの 中長期的に悲観的な人は少ない 短期的には 中国経済を楽観視する声は 減少したが 中長期的に悲観的な人は少ない "12ヶ月以内に経済は 1 回復するだろう " 1 " 今後数年間は経済が回復しないと思う " 8 8 6 4 昨年は約半数が " 回復するだろう " と回答 6 4 2 38 2 11 出所 : BCG 消費意欲調査 3 THE BOSTON CONSULTING GROUP

貯蓄の理由 2. 一人っ子政策の結果 多くの家族を養う必要性があるため 中国では一人っ子政策により 結婚後 2 組の両親夫婦 場合によっては 4 組の祖父母夫婦まで面倒をみる必要がある また 子供の教育費の負担も大きくなっている 家族にかかる費用が増える一方 社会福祉は十分ではない 貯蓄の理由 3. 住宅価格が高騰し 今後の価格変動も不透明な中で マイホーム購入資金を貯めるため 日本同様 マイホーム購入のために貯蓄をしている人たちもいる しかしながら 日本とは状況が異なり 中国では住宅価格が高騰している 上海の 1 平方メートルのアパートメントの平均価格は 45 万 2, ドル (213 年 4 月現在 ) で 平均的な年収 2 万 1, ドルの 2 倍以上まで上昇している また 政府は 213 年 3 月に手を打ったものの 今後の住宅価格の見通しは不透明である 倹約しつつ 購入する品目を絞って 質の高いものを購入するつもり との回答が 8% にのぼる 支出引き締め傾向の中でも 購入する品目を絞って 質の高いものを購入するつもりだ と回答した人が 8% にのぼった また 今よりもより良いものを購入したいという ワンランク上の消費 を志向する人は 21 年 211 年と同等であった 一方で ワンランク下の消費 を行う またはブランド消費を減らすことで節約すると回答した人は 昨年よりも 2% 少なくなった 経済減速の影響が表れにくいの中間 富裕層にも 影響が出始めた の中間 富裕層のうち 経済的安定を感じている人は 昨年より 13% 減り 57% に 都市の規模によっても消費意欲が異なる かつては 1 の中間 富裕層 2 が経済減速の影響を受けることは比較的少なかった しかしながら 1 での経済減速の影響は底をつきつつあるが 一方ででは影響を感じ始めるようになった 年収が同レベルの中間 富裕層であっても 経済的に安定している と感じている人はでは 57% と よりも 14% 少なく 昨年よりも 13% 減少した ( 図表 4) の中でも 若者は消費意欲が旺盛 22 年には の中間 富裕層が 中国の消費を牽引 では 中高年層 (35~54 歳 ) が支出引き締め傾向である一方で 若年層 (18~34 歳 ) は 前年より支出を増やす との回答が昨年よりも 7% 増加し 地域別 年齢層別で見た中で 増加が最も大きかった ( 図表 5) 22 年には の中間 富裕層が人口の 27% 消費の 4% を占めるようになると予測する 1 中間 富裕層 : 年収 75, 人民元を超える世帯 2 : 中間 富裕層人口 5 万人以上の都市 : 中間 富裕層人口 3 万 ~5 万人の都市 4 THE BOSTON CONSULTING GROUP

図表 4. 経済的に安定していると感じている割合 ( 中間 富裕層 ) にも経済減速の影響が出始めた よりも の方が経済的安定を感じている人が少ない では 昨年よりも経済的安定を感じている人が減っている 1 213 年 1 8-14 8-13 6 6 4 2 71 57 4 2 7 57 212 年 213 年 注 : 図表 4は 中間 富裕層のうち 経済的に安定している と感じている人の割合中間 富裕層 : 年収 75, 人民元を超える世帯 : 中間 富裕層人口 5 万人以上の都市 : 中間 富裕層人口 3 万 ~5 万人の都市出所 : BCG 消費意欲調査 図表 5. 別比較 ( 消費意欲 人口 / 消費額 ) の若者 中間 富裕層が今後の消費を牽引 の若年層の消費意欲が目立つ の中間 富裕層が 人口 消費共に牽引する 回答率 6 3 3 x 1 4 1 64 68 66 71 64 36 18 34 x " 今後 1 年間で 自由に使えるお金をどのくらい使う予定ですか " 32 35 44 34 212 年からの増減 7 7 29 36 53 47 昨年以上に支出する 昨年より支出を減らす 45 54 18 34 35 44 45 54 ( 才 ) 17 人口構成 1 5 52 2 13 15 212 38 12 27 22 22 消費額構成 1 5 29 13 25 17 6 4 33 37 212 22 中間 富裕層以外 中間 富裕層 注 : 中間 富裕層 : 年収 75, 人民元を超える世帯 : 中間 富裕層人口 5 万人以上の都市 : 中間 富裕層人口 3 万 ~5 万人の都市出所 : BCG 消費意欲調査 5 THE BOSTON CONSULTING GROUP

BCG 消費意欲調査の概要今年で 12 回目となる 中国では 213 年 4 月に実施し 12 都市 1, 人の消費者からの回答を得た 今年も 既に各国で実施しており 今後発表予定 昨年は 世界 16 カ国で 2, 人以上の消費者から回答を得た 日本における担当者齊藤直人パートナー & マネージング ディレクター東京大学教養学部国際関係論分科卒業 デューク大学経営学修士 (MBA) 株式会社日本興業銀行を経て現在に至る BCG コンシューマー プラクティス フィナンシャルインスティテューション プラクティス マーケティング & セールス プラクティスのコアメンバー 原題 A Change of Pace in Chinese Consumer Sentiment https://www.bcgperspectives.com/content/articles/consumer_insight_consumer_products_change_pace_in_ chinese_consumer_sentiment/ 著者 :Jeff Walters, Youchi Kuo, Hubert Hsu, Carol Liao, David Jin, Waldemar Jap, Vincent Lui ( 本稿は 上記レポートを抜粋 翻訳したものです ) ボストンコンサルティンググループ (BCG) について BCG は 世界をリードする経営コンサルティングファームとして 政府 民間企業 非営利団体など さまざまな業種 マーケットにおいて カスタムメードのアプローチ 企業 市場に対する深い洞察 クライアントとの緊密な協働により クライアントが持続的競争優位を築き 組織能力 ( ケイパビリティ ) を高め 継続的に優れた業績をあげられるよう支援を行っています 1963 年米国ボストンに創設 1966 年に世界第 2 の拠点として東京に 23 年には名古屋に中部関西オフィスを設立しました 現在世界 43 ヶ国に 78 拠点を展開しています http://www.bcg.co.jp/ bcgperspectives.comでは 様々な業界 分野に関するBCGの知見をまとめたレポート 記事およびインタビュー映像などをご紹介しています https://www.bcgperspectives.com/ 213 年 7 月発行 コンサルティングに関するお問い合わせ電話 : 3-5211-3 / メール :TOKofficialinquiry@bcg.com 報道 / 取材に関するお問い合わせ担当 : マーケティング電話 : 3-5211-6 / メール :press.relations@bcg.com 6 THE BOSTON CONSULTING GROUP