取り 無水硫酸ナトリウムを加え脱水処理を行い 15,000rpm で 5 分間遠心分離処理し 得られた油層を精油サンプルとした 2) 減圧水蒸気蒸留法アスピレーターで減圧することによって得た約 40 の水蒸気を 破砕したサンプルに吹き込むことにより得られた精油を含んだ水蒸気として回収した 3) 溶媒

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タイトル

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資料 愛媛県産業技術研究所研究報告 No.51 2013 柑橘類精油を用いた機能性アロマオイル効果検証に関する研究 *1 中村仁新谷智吉 Effects Verification of Functional Aroma Oil Using Citrus Fruits Essential Oil NAKAMURA Hitoshi and SHINTANI Tomoyoshi ミカン 伊予柑 ポンカン等の柑橘類の果皮の油脂成分には 機能性芳香成分が多く含まれており 多様な製品開発の可能性があるが 現状では 十分な機能性成分の探索 利用が行われていない 本研究では 機能性アロマオイルの開発を行うため 県内産柑橘類より抽出した精油成分の検証及び新しい柑橘精油の分類手法について検討した その結果 効率的な精油の抽出方法と各種精油の成分分析条件の確立 及び各品種毎の特徴をグループ化することが可能となった キーワード : アロマ 柑橘 精油 はじめに 愛媛県を中心とした瀬戸内海沿岸では多種多様な柑橘類が栽培されており これらの柑橘類の一部は商業作物として消費される 果汁製造時に生じる搾汁後の残さには多くの機能性成分が含まれており 果皮そのものについては薬理的な効果を期待して利用されている 果皮中に含まれる精油成分の効果としては抗菌作用 抗ウイルス作用 害虫忌避作用等 神経作用に関係する作用としては 抗うつ作用 鎮静作用 神経失調回復作用等が知られている 柑橘加工の際に生じる油脂成分は高度な利用に期待がもたれるが 現状では必要量の確保が難しく また 機能性 ( 生理 心理的 ) の研究は始められたばかりで 十分な機能性成分の探索 利用は図られていない 一方 柑橘等の精油を用いたアロマセラピーは ヨーロッパでメディカルアロマセラピーとして臨床医学の領域でも一定の評価を得ている 日本でも 1990 年頃から精油によるアロマセラピーが 普及し始めたが ほとんどが癒しを目的として行われており 医学的な治療としては極限られている その原因として 精油の作用機序や安全性について経験によって得られたものが多く 医療現場で求められる科学的データに乏しいことが上げられる また アロマセラピー等に用いられる精油は 水蒸気蒸留法 圧搾法 溶媒抽出法等によって精製されるが 抽出法によっては不安定なものが多く含ま 1)~ 5) れている可能性が高いため 安定した抽出方法を確立する必要がある そこで 本試験研究では 機能性アロマオイルの開発を行うため 県内産柑橘類より抽出した精油成分の質量分析による検証及び質量分析を用いた新しい柑橘精油の分類手法の可能性について検討した 実験方法 1. 試料本実験で使用した柑橘果皮及び精油は 愛媛県農林水産研究所みかん研究所 三洋興産株式会社より供与されたもの及び愛媛県内で採取されたものを使用した 2. 果皮から精油抽出 1) 凍結粉砕コールドプレス法サンプル 10g に食塩 2g を加え液体窒素冷却下で乳鉢により破砕を行った 破砕物を遠沈管に取り飽和食塩水を 10ml 加え 15,000rpm で 60 分間遠心分離処理した 上部に浮遊している油層を遠沈管に *1( 現 ) 繊維産業技術センターこの研究は 柑橘類精油を用いた機能性アロマオイル効果検証に関する研究 の予算 ( 技術開発部 ) で実施した 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 1 -

取り 無水硫酸ナトリウムを加え脱水処理を行い 15,000rpm で 5 分間遠心分離処理し 得られた油層を精油サンプルとした 2) 減圧水蒸気蒸留法アスピレーターで減圧することによって得た約 40 の水蒸気を 破砕したサンプルに吹き込むことにより得られた精油を含んだ水蒸気として回収した 3) 溶媒抽出法凍結破砕遠心抽出法と同様に液体窒素冷却下で破砕したサンプル 1g にヘキサン 2ml を加え 30 分攪拌し 15,000rpm で 10 分間遠心分離して得られた油層を 精油を含んだ精油溶液とした 3. GC-TOFMS 分析 GC-TOFMS の分析条件は表 1 のとおりである 得られた MS データを MassLynx Software(waters 社 ) により解析を行い 物質の同定は NIST08 MassSpectral Library を用いて行った 4. 柑橘精油 MALDI-TOFMS 分析による比較 MALDI TOF-MS 分析は JEOL-JMS-S3000 Spiral TOF( 日本電子 ) を使用した MALDI-TOF 質量分析による柑橘精油試料調製は マトリックス剤には α- シアノヒドロキシ桂皮酸 (CHCA) を用い 50% アセトニトリル 0.1% トリフルオロ酢酸水溶液に溶解して 約 10 mg/ml のマトリックス溶液を調製した また 柑橘精油は 1mg/ml の濃度になるように アセトニトリルに溶解し 試料溶液 1μl とマトリックス剤溶液 5μl を 200μl プラスチックチューブ中で十分に混合し その 1μl を MALDI-MS 測定用の試料プレートに滴下し 風乾して試料 / マトリックス剤の混合結晶を調製した 表 1. GCMS 条件 GC Agilent 7890A Waters GCT Premier カラム Agilent J&W DB-WAX 30m 0.25mm 0.25μm サンプラ Agilent 7683B 5.0 μl シリンジ 注入量 0.5 μl 恒温槽昇温条件 40 (5min) 5 /min 230 (5min) 注入口温度 220 注入口 20:1 スプリット キャリアガス He,1.0 ml/min (const.flow) 注入量 0.5μL スヘ クトル記録速度 5 scan/sec スキャン質量範囲 50~500 m/z イオン化電圧 70ev イオン化電流 300μA イオン源温度 220 検出器電圧 2700V GC 接続管温度 220 結果と考察 1. 抽出法の検討伊予柑精油の精製を 減圧水蒸気蒸留法 凍結粉砕コールドプレス法により行った結果 20g の果皮よりそれぞれ 1ml 程度の精油が得られた 1g の伊予柑果皮よりヘキサンにより抽出した溶媒抽出物は ヘキサンに溶解した状態で GC-MS により分析した 凍結粉砕コールドプレス法 減圧水蒸気蒸留法 溶媒抽出法により作製した精油を質量分析した結果を図 1 に示す それぞれの抽出法ともリモネンが比率的に多いが 低沸点 高沸点側において特徴のあるクロマトグラムが得られた 溶媒抽出 コールドプレスにおいては リモネン以外に α- ピネン β- ピネン サビネン ミルセン γ- テルピネン α- テルピネン リナロール等多種類の成分が検出されていたが 水蒸気蒸留では 凍結 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 2 -

粉砕コールドプレス法 溶媒抽出法に比べ 検出成分数も少なく リモネン以外の成分も 10% 以下と低かった 蒸留温度も 40 と低めに設定していることもあり 高沸点側においてリナロール以外に目立った成分は見られなかった 温州ミカン等の果皮が比較的薄い品種では 従来法のコールドプレス法は精油の収率が低く 精製が困難であったが 凍結粉砕コールドプレス法による精油の抽出方法は揮発成分の揮散や成分変化を抑え 効率よく精油を抽出することができた また 凍結粉砕コールドプレス法により抽出した各品種精油を質量分析した結果 柑橘精油中に一般的に多いリモネン α ピネン β ピネン等の精油主要成分以外のテルピネオール カリオフィレン等の微量精油成分が他の抽出法に比べ 2 倍以上高い濃度で得られることが分かった 溶媒抽出法 凍結粉砕コールト フ レス法 減圧水蒸気蒸留法 図 1 溶媒抽出法 凍結粉砕コールドプレス法 減圧水蒸気蒸留法による伊予柑精油の GC-TOFMS クロマトグラム 2. 柑橘精油 GC-TOFMS 分析による比較凍結粉砕コールドプレス法により精製した 宮川早生 南柑 4 号 伊予柑 不知火 はれひめ ひめこはる ポンカン タロッコの果皮精油 計 8 種類について質量分析により分析を行った結果を表 2 に示し 伊予柑精油の質量分析クロマトグラムを図 2 に示す 抽出方法の検討と同様に α- ピネン β- ピネン サビネン ミルセン リモネン γ- テルピネン α- テルピネン リナロール等多種類の成分が検出された リモネンが比率的に多いが リモネン以外の香気成分は それぞれ特徴のある比率で検出されていた 鎮静効果 睡眠効果のあるリナロールの比率が品種により大きく異なっており 植物中においてリナロールとともに存在することが多い鎮静作用 鎮痛作用がある酢酸リナリルは 今回の分析では検出されなかった 温州ミカン 青ミカン 伊予柑 甘夏等の果皮を減圧水蒸気蒸留して得られた精油 計 12 種類の質量分析を行い 得られたデータを MarkerLynx を用いて主成分解析 (Principal ComponentsAnalysis, PCA) を行った パターン認識分析法である PCA を用いて解析を行った結果を図 3 に示す スコアープロットよりリモネン比率の高いものと低いものでクラスタリングが可能となり 仏手柑 ジャバラのグループとレモン ライムグループ及び伊予柑 温州ミカン 紅まどんな等の柑橘類の 3 つのグループに各品種のサンプル間の関係をパターン化することができた 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 3 -

表 2. 柑橘精油の組成比率 No. 時間成分 % 宮川早生伊予柑ひめこはるポンカン不知火はれひめタロッコ 1 5.1 α-pinene 0.59 1.11 1.06 1.25 0.49 0.49 0.53 2 5.3 πphellandrene 0.14 0.27 0.31 0.29 0.02 3 6.4 Camphene 0.04 0.01 4 7.8 β-pinene 0.28 0.45 0.44 0.44 0.03 0.01 0.02 5 8.5 Sabinene 0.11 0.16 0.12 0.37 0.48 0.12 0.35 6 9.6 3-Carene 0.01 7 10.6 β-myrcene 1.16 1.44 1.03 1.57 1.16 1.13 1.27 8 11.9 D-Limonene 83.68 84.73 82.93 85.9 93.29 94.89 93.51 9 12.3 1,8-Cineole 0.21 0.27 2.11 0.32 2.55 2.42 3.00 10 14.2 trans-ocimene 0.01 0.02 11 14.7 γ-terpinene 8.97 7.25 9.95 7.84 0.24 0.05 0.03 12 15.2 3-Carene 0.07 0.46 0.02 0.08 13 15.7 Cymene 0.34 0.2 0.31 0.15 0.01 14 16.6 Terpinolene 0.36 0.31 0.38 0.36 0.13 0.12 0.12 15 17.0 Octanal 0.06 0.03 0.11 0.1 0.03 16 23.0 Nonanal 0.01 17 27.4 Linalool oxide 0.25 0.54 0.1 0.03 0.11 0.05 0.02 18 27.9 Menthone 0.04 0.06 19 28.0 Citronella 0.12 0.01 0.03 0.08 0.05 20 29.0 Camphor 0.08 0.04 0.04 0.2 0.07 0.02 21 29.3 Decanal 0.09 0.06 0.02 0.1 0.1 22 32.6 Linalool 0.68 0.98 0.14 0.4 0.41 0.06 0.41 23 33.0 Linalyl acetate 24 34.3 Caryophyllene 0.14 0.01 0.03 0.02 25 34.9 Terpinene-4-ol 0.03 0.01 0.02 0.1 26 39.1 cis-citral 0.17 0.03 0.12 0.01 0.07 0.06 0.06 27 40.3 alpha-terpineol 0.42 0.55 0.03 0.07 0.05 0.06 0.02 28 40.4 Borneol 0.04 29 41.4 Dodecanal 0.02 30 42.0 trans-citral 0.05 0.03 0.03 0.03 0.05 0.07 31 42.4 Neryl acetate 0.02 0.03 0.05 0.03 0.13 32 43.3 πselinene 0.01 0.04 0.01 33 43.6 πcadinene 0.74 0.05 0.24 0.31 0.02 0.04 34 43.8 πfarnesene 0.04 0.04 0.01 0.01 35 44.1 Geranyl acetate 0.04 0.1 0.02 0.02 0.03 0.01 36 44.7 Citronellol 0.01 0.01 0.02 37 46.2 Nerol 0.02 0.13 0.01 0.05 0.03 0.03 38 48.8 Geraniol 0.03 39 54.9 Caryophyllene oxide 0.01 40 66.3 α-sinensal 0.03 0.01 0.01 41 73.8 Cumarin 42 54.9 Nootkatone 0.04 0.01 0.01 0.01 3. 柑橘精油 MALDI-TOFMS 分析による比較 MALDI-TOFMS により宮川早生 南柑橘 4 号 はれひめ 伊予柑 ひめこはる 清見 不知火 甘平 オレンジ せとか はるみ ポンカン エクリーク計 13 種の柑橘精油の測定をした結果を 図 4 に示す それぞれ数本の MS スペクトルが得られ 403.134, 373.124, 433.145 の精密質量を測定した結果 C 20 H 20 O 7, C 21 H 22 O 8, C 22 H 24 O 9 の分子式が得られた 蒸留法では検出されなかったことを考慮すると 柑橘果皮に多く含まれているノビチレンやシネンセチン等のポリメトキシフラボン類である可能性が考えられる 柑橘果皮精油にはポリメトキシフラボン類以外に テルペン類等の炭化水素化合物 アルデヒド エステル アルコール ワックス カロテノイド色素等の多くの成分が含まれており 今までの方法ではポリメトキシフラボン類を直接分析することは難しく 通常 蒸留等により揮発性成分を除去した後 残った留出物を測定するため 精油本来の状態での測定は困難となる 今回用いた MALDI-TOFMS では 非常に簡便に酸化などの影響を受けにくい精油本来の状態での測定が可能であり それを利用した柑橘精油の分類に利用できる 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 4 -

今回の愛媛県産柑橘類精油成分の精製方法及び成分比較等を行った結果 非常に多種類の成分比率が品種 精製法により異なることが分かった 精油成分を経口的 経肺的 又は経皮的に体内に取り込むアロマセラピーは 元はヨーロッパで行われてきた技術であるが 日本でもアロマセラピーの前身ともいえる香木やお香等の香りを利用した習慣があり アロマセラピーの関連書籍なども増えてき 図 2 伊予柑精油 GC-TOFMS クロマトグラム 図 3 柑橘精油主成分解析 た しかしながらアロマセラピーに関する科学的な研究は十分に進んでおらず 植物精油に含まれるそれぞれの芳香成分については経験的なものが多く 科学的に裏づけされているものが少ない 近年 徐々にではあるが 研究が進められており グレープフルーツ精油成分には自立神経活性化作用があるという報告がなされている 4) 永井らは 4) 生理機能変化 ( 血糖 血圧 体温 エネルギー代謝など ) は自律神経活動の変化と深い関係があることを見出しており それを利用した自律神経系の電気活動を直接測定するという方法を開発している 自律神経は 内臓 血管などの働きをコントロールし 体内の環境を整える神経で 交感神経と副交感神経がある 交感神経は胸髄と腰髄の一部から分枝し 副交感神経は脳神経を経由するものと仙髄から分枝するものがある これらの神経は内臓の平滑筋や腺に作用し 多くは互いに相反する作用をする 交感神経活動は興奮状態のときには亢進し リラックスや安静状態のときに低下する 良好な睡眠状態では 交感神経は休息し 副交感神経活動が優位になる これにより今まで体内に現れた現象をみて判断していたものが 現象発現の要因を直接測定することができ 要因探求が短時間にしかも確実に実現できるようなった 今後 愛媛県産柑橘類から分離精製された物質の機能性が次々に明らかになるにつれて これらに有効な機能性成分の機能の解明と利用がますます活発になると期待される 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 5 -

図 4 柑橘精油 MALDI-TOFMS 分析による比較 まとめ 1. 凍結粉砕コールドプレス法による精油の抽出方法の検討を行った結果 揮発成分の揮散や成分変化を抑え 効率よく精油が抽出することができた 2. 質量分析データによる主成分解析を行った結果 仏手柑 ジャバラのグループと レモン ライムグループ及び伊予柑 温州ミカン等の柑橘類の 3 つのグループに各種品種のサンプル間の関係をパターン化することができた 3. 鎮静効果 睡眠効果のあるリナロールの比率が品種により大きく異なっていることが分かった リナロールとともに存在することが多い鎮静作用 鎮痛作用がある酢酸リナリルは検出されなかった 4. 柑橘精油の MALDI-TOFMS 分析では 酸化などの影響を受けにくい精油本来の状態での測定が可能であり それを利用した柑橘精油の分類に利用できることが分かった 謝 辞 本研究を進めるにあたって, 柑橘精油の製造法について懇切丁寧に御指導して下さり 試料提供にご協力をいただいた愛媛県農林水産研究所みかん研究所井上久雄様 三洋興産株式会社飯尾健一様に深く感謝します 文 献 1) 清水純夫, 角田一 : 食品と香り, p82-106(2004). 2) 沢村正義 : ユズの香り,p51-67(2008). 3)Buck,R Axel,R : Cell,65,175-187(1991). 4)Shena,J, Nagai,K :Neuroscience Letters, 380, p289-294(2005). 5) 杉本篤史, 上東治彦 : 高知県工業技術センター研究報告,35,p7-12(2004). 愛媛県産業技術研究所業績第 5 号 - 6 -