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本文/扉1

プログラム


Program


日本内科学会雑誌第96巻第11号

平成20年5月 協会創立50年の歩み 海の安全と環境保全を目指して 友國八郎 海上保安庁 長官 岩崎貞二 日本船主協会 会長 前川弘幸 JF全国漁業協同組合連合会 代表理事会長 服部郁弘 日本船長協会 会長 森本靖之 日本船舶機関士協会 会長 大内博文 航海訓練所 練習船船長 竹本孝弘 第二管区海上保安本部長 梅田宜弘

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目次 1 研究の動機 1 2 研究を始める前に 1 インターネットで調べる 3 研究の目的 1 4 研究の内容 1 追究 1 日なたと日陰の気温の違いを調べる 1 追究 2 よしずできる日陰と日なたの気温を調べる 3 追究 3 よしずに水をかけたら気温がどのように違うか調べる 6 追究 4 ミストや

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4.3 用語の定義 気密性能建物の内外を隔てる外周部分 ( 建物外皮 ) または建物の部位で内外を隔てる部分の密閉性の程度を意味し 総相当隙間面積または相当隙間面積で表す 建物外皮 外壁 屋根 天井 基礎 床 開口部などの部位であって 建物内外を気密に隔て る部分をいう 共同

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給水管 給湯管又は排水管の維持管理又は更新の容易性を高める工事 木造 鉄骨 RC イ 給水管又は給湯管を維持管理上有効な位置に取り替える工事 ロ 排水管を維持管理上又は更新上有効なもの及び位置に取り替える工事 ハ 給水管 給湯管又は排水管の主要接合部等を点検し又は排水管を清掃するための開 口を床 壁

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Transcription:

を大きくとる必要があるためだけではなく 急勾配の 状を採用した (写真3-1 図3-D 屋根により面積当たりの気積を大きくとることで上下 の温度差をつくり出し 熱気を上部へ逃がして 下部 3.2芝土屋根 のアクティブゾーンを涼しく保つ働きがあると考えら 高温多湿な東南アジアにおいて一般的な伝統的建築形 れる 式として葺葺き高床式をみることができる (写真3-2)茅葺きは高い断熱性能を持っだけではなく蒸散によ る冷却能力も持っていることが考えられる このよう な作用を活用するために 平安座島のロングハウス では屋根面に土を吹き付けている (写真3-3)この土 が沖縄の暑い日射しを遮り 土に芝を生やすことで土 の流出を防いでいる ここに雨水を貯留したタンクか ら散水を行うことで この屋根は常に幾ばくかの水分 を含んでいる 常時吹いている海風に曝されることで 蒸散がおこり 断熱材ではおこりえない外部気温より 温度の低い屋根面を期待した 写真3-1最高天井高さ約7mの内部 写真3-2沖縄の伝統的茅葺民家 護 l I 1 ± 一 r 盤 i 譲 鴻 殉 瑚 罎 琳 騒 眠 一雪r曇義じ/7弱瀞置ヒノ嚇r/1!レc獄銑ノ/児 ヨ薯{1曜旧畠圃諾齪t帽,7イ,レ9レ翻糊埼一 気 〆 臨 i! 躊1器 t監 α駒1 竿31 趾 璽 1鋼 翁 ワ脚量 轟卜}早レ,Fコ帥霧 一,日塵コき號臓 踊 喝 脇蹟 一勇脂匿/〆 魑,, ナーL/4じ 9 コ渥=コー一 } :二:::_一"罫li 写真3-3芝土屋根 図3-1勾配屋根詳細図 現在沖縄の一般的な民家は屋根勾配が小さいが こ 3.3十分な換気を確保する開口の大きさと配置 れは木造建築で台風に対応するための伝統的な知恵 暑熱気候の中でも多湿な地域と低湿な地域において であった形状がコンクリート造となっても踏襲され は伝統的な対応手法が違うように考えられる ているものと考えられる しかしコンクリート造であ 低湿な地域では開口部を極力小さくし 日射などの ればで急勾配の屋根形状であっても充分な耐風能力の 外部からの熱の入射侵入を防ぐと言う考えが中心であ あるものにすることは可能なので 温熱環境の観点か るのに対して 多湿な地域では一般的に(多くの場合 らはで大きな気積を確保する急勾配が望ましいと考え 上下に)大きな開口を設けることで熱気を外部に排出 平安座島のロングハウス では45c勾配の屋根形 し熱溜まりを避け 空気の循環を促進することで対応 一462一 住宅総合研究財団研究論文集恥362009年版