Taro-12)年報5章貯留汚泥からリン

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土壌含有量試験(簡易分析)

反応槽 1m 3 あたりの余剰汚泥発生量 (kg/m 3 / 日 ) 2-(3)-2 高負荷運転による水質改善および省エネルギー効果について 流域下水道本部技術部北多摩二号水再生センター葛西孝司 須川伊津代 渡瀬誠司 松下勝一 1. はじめに 21 年度の制限曝気 A2O 法の調査 1 ) の過程で

JASIS 2016 新技術説明会

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研究報告58巻通し.indd

搾乳関連排水 ( パーラー排水 ) 処理施設管理のポイント 栃木県農政部畜産振興課 環境飼料担当技師加藤大幾 掲載されている情報は平成 30 年 7 月 19 日現在のものです

活性汚泥の固液分離を促進するバクテリアの分離とその利用 宇都宮大学院工学研究科  物質環境化学専攻  教授  柿井 一男

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汚水処理施設管理マニュアル 編2j

資料5 汚濁負荷量の状況

施設名施設住所項目一般埋め立てた廃棄物廃棄物 (ton) 擁壁の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 遮水工の点検 遮水効果低下するおそれが認められた場合の措置 周縁地下水の水質検査結果 斜里町清掃センター最終処分場斜里町以久科北 破砕ごみ 内容 生ごみ残差 合計 点検を行った年月日

参考資料

ト ( 酢酸 ) を用いた ( 図 1) 各試薬がすでに調合されており操作性が良い また この分析方法は有害な試薬は使用しないため食品工場などでの採用が多く ISO などの国際機関も公定法として採用している F-キット ( 酢酸 ) での測定は 図 1の試薬類と試料を 1cm 角石英セル に添加し

2009年度業績発表会(南陽)

第42回優秀環境装置-本文.indd

Microsoft PowerPoint ダイオフロック営業資料.ppt [互換モード]

土壌溶出量試験(簡易分析)

第26号 技術報告集

畜産環境情報 < 第 63 号 > 1. 畜産の汚水から窒素を除去するということはどういうことか 2. 家畜排せつ物のエネルギー高度利用 南国興産を例に 3. 岡山県の畜産と畜産環境対策 4. 兵庫県の畜産と畜産環境対策について

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Water Circulation (Water in Japan is circulated as follows)

図 -1 汚泥減量設備外観 4. 技術の概要 4.1 原理本技術は, 酸化力を持つ薬剤 ( 酸化剤 ) を用いて, 余剰汚泥中の微生物の細胞を破壊し, 微生物の可溶化処理を行う この時の可溶化率 ( 可溶化による汚泥の固形物 (SS) の減少率 (%)) は, 処理前汚泥の固形物に対して 25% を

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

埋立てた一般廃棄物の種類及び数量の記録 ( 平成 30 年度 ) 最終処分場名 : 第二処分場 単位 : トン 種 類 数量 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 搬入量一般廃棄物焼却灰 1, , , 合計

第1編 春日井市下水道事業の現状と課題

北清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7 4

接触材特長 触面積流量計接材合併 産排 農集合併 産排 農集浄化槽用部材浄化槽用部材ダクト関連商品ダクト関連商品膜ユニット関連商114 物処理水処理関連商品ロハス関連商品サクションホース トヨックス 面積流量計 サクションホース D2 D1 バキューム OK トヨリング F バキューム OK トヨシ

練馬清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

国土技術政策総合研究所 研究資料

品川清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

た回分試験の開始から終了までの間 N 2 O 連続測定計 (FT-IR) を用いてガス態 N 2 O 濃度の連続測定を行った また 条件 1 3( 表 1) について 東京工業大学との共同研究により アイソトポマー技術を用いて N 2 O の生成機構の解明も合わせて行った (4) 活性汚泥採取場所本

記載例[成果情報名]○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○[要約]・・・・・・・・・・・・・・・・

条例施行規則様式第 26 号 ( 第 46 条関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画書 平成 30 年 6 月日 長野県知事 様 提出者 住 所 東御市下之城畔 ( 法人にあっては 主たる事業所の所在地 ) 氏 名 川西保健衛生施設組合長花岡利夫 ( 法人にあっては 名称及び代

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Agilent A-Line セーフティキャップ : 溶媒蒸発の抑制 技術概要 はじめに HPLC および UHPLC システムの移動相は 独特なキャップ付きの溶媒ボトルで通常提供されます ( 図 1) 溶媒ラインは移動相から始まり ボトルキャップを通った後 LC システムに接続されます 溶媒ボトル

ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト 事後評価の概要について

平成 24 年度維持管理記録 ( 更新日平成 25 年 4 月 26 日 ) 1. ごみ焼却処理施設 (1) 可燃ごみ焼却量項目単位年度合計 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 A B 炉合計焼却量 t 33, ,972

足立清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

[ 廃棄物の最終処分場 ( 管理型 )] 平成 29(2017) 年度 1 施設名称 1 号管理型処分場 (1) 埋立てた廃棄物の各月ごとの種類及び数量 規則第 12 条の 7 の 2 第 8 項イ 種類汚泥燃え殻紙くずばいじん 合計 単位 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

排水の処理方法と日常の維持管理(1)

有明清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

S1:Chl-a 濃度 8.5μg/L S1:Chl-a 濃度 8.4μg/L B3:Chl-a 濃度 8.0μg/L B3:Chl-a 濃度 7.5μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 67.0μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 8.7μg/L S1:

S1:Chl-a 濃度 18.6μg/L S1:Chl-a 濃度 15.4μg/L B3:Chl-a 濃度 19.5μg/L B3:Chl-a 濃度 11.0μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 33.7μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 16.6μg/

(3) イオン交換水を 5,000rpm で 5 分間遠心分離し 上澄み液 50μL をバッキングフィルム上で 滴下 乾燥し 上澄み液バックグラウンドターゲットを作製した (4) イオン交換水に 標準土壌 (GBW:Tibet Soil) を既知量加え 十分混合し 土壌混合溶液を作製した (5) 土

本品約2g を精密に量り、試験液に水900mLを用い、溶出試験法第2法により、毎分50回転で試験を行う

注 ) 材料の種類 名称及び使用量 については 硝酸化成抑制材 効果発現促進材 摂取防止材 組成均一化促進材又は着色材を使用した場合のみ記載が必要になり 他の材料については記載する必要はありません また 配合に当たって原料として使用した肥料に使用された組成均一化促進材又は着色材についても記載を省略す

No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 本規定は 地表水質

大栄環境 ( 株 ) 和泉リサイクルセンター平井 5 工区管理型最終処分場 / 処理実績平成 26 年度契約処理 : 管理型埋立区分品目 平成 26 年 平成 27 年 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 燃え殻

世田谷清掃工場 平成 27 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) スラグ ( ガス化溶融 )( 含

練馬清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

中央清掃工場 平成 29 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 主灰 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰処理汚泥 ( 含有 溶出試験 ) 6 (3) 汚水処理汚泥 ( 含有試験 ) 7

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(2) 現況水質等 A ポンプ場から圧送される汚水の水質分析及び硫化水素濃度測定結果を表 -2 図 -2 に示す 表 -2 水質分析 計量項目 単位 計量場所ピット吐出口 BOD mg/l CODcr mg/l 硫酸イオン濃度 mg/l 全硫化物 mg/l


Decomposition and Separation Characteristics of Organic Mud in Kaita Bay by Alkaline and Acid Water TOUCH NARONG Katsuaki KOMAI, Masataka IMAGAWA, Nar

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4 汚濁負荷量測定手法届出書記入例 78

豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

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Microsoft Word - basic_15.doc

形状 処理状況 表 1 各系列の反応タンクの形状と処理状況 ( 平成 27 年度 ) 深槽東系 深槽西系 浅槽系 西系 東系 有効容積 (m 3 ) 寸法 ( 長さ 幅 水深 : m)

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ウスターソース類の食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるウスターソース類及びその周辺製品に適用する 2. 測定方法の概要試料に水を加え ろ過した後 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.1 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費

氏名 ( 本籍 ) あんよんみ 安英美 ( 韓国 ) 学位の種類博士 ( 工学 ) 報告番号乙第 1525 号 学位授与の日付 平成 26 年 9 月 30 日 学位授与の要件学位規則第 4 条第 2 項該当 ( 論文博士 ) 学位論文題目 A Study on Enhanced Anaerobic

亜硝酸態窒素除去 タルシオン A-62MP(FG) はじめに平成 26 年 1 月 14 日 水質基準に関する省令 ( 平成 15 年厚生労働省令第 101 号 ) の一部が改正され 亜硝酸態窒素に係る基準 (0.04mg/L) が追加され 平成 26 年 4 月 1 日から施行となりました ( 厚

平成 29 年度 一般廃棄物最終処分場の維持管理記録 施設の名称 : 弘前市埋立処分場第 2 次 ( 第 1 区画 第 2 区画 ) 施設の位置 : 弘前市大字十腰内字猿沢 埋立廃棄物の種類及び数量 ( 単位 :kg) 区分 種類 平成 29 年平成 30 年 4 月 5 月 6 月

14551 フェノール ( チアゾール誘導体法 ) 測定範囲 : 0.10~2.50 mg/l C 6H 5OH 結果は mmol/l 単位でも表示できます 1. 試料の ph が ph 2~11 であるかチェックします 必要な場合 水酸化ナトリウム水溶液または硫酸を 1 滴ずつ加えて ph を調整

水質

表 2 特殊循環ボイラの及びの水質 (JIS B ) ボイラの種類 1 以下 1 を超え 3 以下 1 以下 1 を超え 3 以下 補の種類 ph(25 における ) 11.0~ ~ ~ ~9.0 硬度 (mgcaco 3 /L) 1 以下 1

- 2 - 二前号に掲げるもの以外のポリ塩化ビフェニル廃棄物及びポリ塩化ビフェニル使用製品別表第二の第一に定める方法

第26号 技術報告集

渋谷清掃工場 平成 28 年度環境測定結果 1 排ガス測定結果 1 (1) 煙突排ガス 1 (2) 煙道排ガス 2 2 排水測定結果 3 3 焼却灰等測定結果 5 (1) 不燃物 ( 含有 性状試験 ) 5 (2) 飛灰 ( 含有試験 ) 6 4 周辺大気環境調査結果 7 5 試料採取日一覧 8 (

2. 水管理に関連する障害 Q 軟化装置管理上の留意点ついて, 具体的な管理方法を教えてください イオン交換樹脂は球状で粒径は mm 程度, 複雑な網目状の三次元骨格構造を呈しており, 軟水採水量はイオン交換樹脂量と原水の硬度によって決まります イオン交換樹脂は一般的に1 年

しょうゆの食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるしょうゆに適用する 2. 測定方法の概要 試料に水を加え 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.02 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費した硝酸銀溶液の量から塩化ナトリウム含有

PAC PAC PAC

Microsoft PowerPoint - 学会発表用(HP掲載用)

出力用 indd

すとき, モサプリドのピーク面積の相対標準偏差は 2.0% 以下である. * 表示量 溶出規格 規定時間 溶出率 10mg/g 45 分 70% 以上 * モサプリドクエン酸塩無水物として モサプリドクエン酸塩標準品 C 21 H 25 ClFN 3 O 3 C 6 H 8 O 7 :

平成28年度家畜ふん尿処理利用研究会資料

Microsoft Word - 3_資機材試験新旧140328

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 船見処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 放流水槽 試料採取年月日 H H H H H 測定結果の得られた年月日 H H H30.6.6

Q2-4: 水銀を回収した後のガラスくず ( 破砕したもの ) や 破損した水銀使用製品 は水銀使用製品産業廃棄物になるのか 水銀使用製品産業廃棄物には卒業基 準はないのか P.3 3. 廃水銀等について P.4 Q3-1: 当社は水質汚濁防止法の特定施設からは外れているが 廃棄物処理法でも今 P.

31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長

フェロセンは酸化還元メディエータとして広く知られている物質であり ビニルフェロセン (VFc) はビニル基を持ち付加重合によりポリマーを得られるフェロセン誘導体である 共重合体としてハイドロゲルかつ水不溶性ポリマーを形成する2-ヒドロキシエチルメタクリレート (HEMA) を用いた 序論で述べたよう

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品目 1 四アルキル鉛及びこれを含有する製剤 (1) 酸化隔離法多量の次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させたのち 消石灰 ソーダ灰等を加えて処理し 沈殿濾過し更にセメントを加えて固化し 溶出試験を行い 溶出量が判定基準以下であることを確認して埋立処分する (2) 燃焼隔離法アフターバーナー及びスクラバ

表 活性汚泥法の運転条件 項目 BOD 負荷空気量 MLSS 濃度 (m 3 /m 3 滞留時返送汚泥 BOD 除去容積負荷汚泥負荷 排 (mg/l) 間 (h) 率 (%) 率 (%) (BOD-kg/m 3 日 ) (BOD-kg/kg-SS) 水量 ) 標準活性汚泥法

Taro-通知文

国土技術政策総合研究所 研究資料

[ 法第十五条の二の三 法第十五条の二の四 ] 会社名株式会社倉敷環境 産業廃棄物処理施設維持管理記録簿 ( 管理型埋立区域 2) 平成 26 年度 対象期間 : 平成 26 年 4 月 1 日 ~ 平成 27 年 3 月 31 日 1. 埋め立てた産業廃棄物の種類及び数量 [ 規十二条の七の二八イ

様式処 3 号 最終処分場水質検査の記録 最終処分場名 : 守山南部処分場 測定対象 : 放流水 試料採取場所 : 調整槽放流水試料採取口 試料採取年月日 H H H H H H 測定結果の得られた年月日 H30.5.7

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Ⅰ One-compartmentmodel( 静脈内急速投与 ) [ シミュレーション実験上の全般的注意点 ] 実習書をよく読み 適切な器具 ( フラスコ, メスシリンダー ) を使用する の流速を 実際の実験状態に近い位置で 別々にしっかりと合わせる ( 最低 3 回 ) 精製水の補給用のチュー

第1編 春日井市下水道事業の現状と課題

Transcription:

活性汚泥処理における貯留汚泥からのリン溶出と凝集剤による抑制効果 木内浩一小島博義 * (*: 千葉県環境生活部水質保全課 ) 1 はじめに県の水質汚濁防止法に係る事業場立ち入り検査ではリンの基準超過数が常に上位を占めている それらの事業所では主に活性汚泥による処理が行われている 活性汚泥処理におけるリンの除去は増殖した余剰汚泥を引き抜いて系外に排出することによってなされている かつて, 嫌気 好気法による活性 1) 汚泥施設でリンの除去が試みられたが, 実機ではリン溶出の制御が難しく, 現在のリンの除去法は凝集沈殿に比重がおかれている 現在, 事業場等における活性汚泥法においては, 沈殿汚泥を汚泥貯留槽に貯留し, それを脱水または搬出しており, 汚泥に取り込んだリンが放出されることにはあまり注意が払われていない そのため, 汚泥貯留槽から浸出したリンを含む上澄みや汚泥脱水時のろ水が原水槽に戻り, 排水処理施設に再びリンの負荷をかけている 2) この対処法として, 汚泥貯留槽に凝集剤を注入してリン溶出を抑制する方法が考えられ, その効果を明らかにするため実験を行った 実験は処理方式, 業種が異なる事業場の排水処理施設の汚泥を対象とし, 貯留汚泥からのリンの溶出量を明らかにするとともに, 凝集剤の注入によるリン溶出の抑制効果について検討を行った 2 実験方法事業場の排水処理施設の活性汚泥槽の汚泥を硬質性ガラス瓶に密閉保存することで, 汚泥貯留槽の状態を再現し, リン溶出の挙動と凝集剤の注入によるリン溶出の抑制効果を実験により検討した 採取した汚泥はばっ気, 撹拌した後, 試料の一部を直ちにろ過し, 日目用の試料とした 一部については凝集剤を注入,2 分ばっ気して撹拌した後, いずれも 5mL 瓶に充填し,2 の恒温 原水 1 2 4 5 放流 原水 凝集加 3 活性汚泥槽 沈殿槽 槽 圧浮上 ( ばっ気槽 ) 脱水機 槽に保存した これらは,1,2,4,7,14,21 日後に 1 本ずつ取出せる本数を用意した 一定の 日数後にこれを取り出して開栓し,GF/C(.45 μ m) のろ紙でろ過し, ろ液のリンを測定した 測定 方法は JISK12.46.3 モリブデンブルー吸光光度法 によった フロス ろ水は戻る 6 汚泥貯留槽 発生汚泥含水率 8% 図 1 処理工程図 なお, 参考のため窒素についても,JIS K12.45.5 の方法により定量した 汚泥貯留槽の酸化還元電位は通常 ~- 2mV である 実験に先立ち硬質性ガラス瓶に汚泥を充 填して酸化還元電位を測定したところ,- 18mV から - 23mV を保つことができ, 汚泥貯留槽の状 態を再現できると考えた さらに, 分析の際, 同 一の瓶から複数回にわたって試料を振とう, 採取 すると, 嫌気状態が保てなくなると判断し, 所定 の分析時ごとに 1 瓶づつ開栓した 実験に使用した活性汚泥は 1 水産加工業 2 豆腐 製造業,3 弁当製造業の排水処理施設から採取し た 1 水産加工業の汚泥の MLSS は約 57mg/L, 汚泥中のリン含有量は 26.3mgP/gMLSS, 窒素含有 量は約 57mgN/gMLSS であった 2 豆腐製造業で 使用した汚泥は MBR 槽から採取し,MLSS は 13mg/L, リン含有量 1.2mgP/gMLSS, 窒素含 有量 66mgN/gMLSS であった 3 弁当製造業で使 用した汚泥はばっ気槽から採取し, MLSS は 54mg/L, リン含有量 11.6mgP/gMLSS, 窒素含有 量 8mgN/gMLSS であった 返送汚泥 引き抜き汚泥

凝集剤は使用例の多い PAC( ポリ塩化アルミニウム ), 塩化第二鉄をそれぞれ 3,5,1ppm(PAC は Al2O3 として,Fe は単体濃度として ) の 3 段階で注入した また, 凝集沈殿の代わりに MBR( 膜分離活性汚泥処理 ) 槽に直接, 凝集剤を注入してリンを除去する処理方式がある この方式で PAC を 3ppm 注入している水産加工業の汚泥を使用し, リン溶出の挙動を通常の活性汚泥の場合と比較した 3 実験結果 3 1 凝集剤注入の有無によるリン溶出経日変化図 2は1 水産加工業の処理施設から採取した汚泥を試料として,PAC 注入によるリン溶出の変化をみたものである 各試料とも時間経過によりリン酸態リン ( 以下 PO4-P と記す ) 濃度は増加する傾向であった PO4-P は PAC の注入量によって 日目から差がみられ, 注入量が多い程リンの溶出は抑制されていた 7 日後まではリン溶出が継続するが, それ以降, 溶出量はほとんど増加しなかった なお, 各試料の溶出 TP( 全リン ) と PO4 -P は同値であり, 溶出した TP の全てが PO4-P であった 図 3は, 図 2と同じ汚泥試料を使用し, 塩化第二鉄を使って同様な実験を行ったものである PAC を注入した結果と同様, 注入量が多い程リンの溶出は抑制されていた また, 時間経過によりリン濃度が増加する傾向も同様であった 3 2 溶出速度の測定結果 1の汚泥で PAC3ppm を注入した場合のリン溶出の抑制効果を算出した 凝集剤 (3ppm) 注入した場合,PO4-P は, 無注入に比べ, 実験開始直後で約 2mg/L 低く, その後の経時変化において濃度差は 3 ~ 4mg/L で推移した また, 無注入試料の 7 日間のリン溶出量は, 1 週間ごとに 13.4mg/g, 1.35mg/g,.88mg/g となり, 実験に使用した汚泥中のりん含有量 26.3mg/g のうち約 51% が最初の 1 週間に溶出したが,PAC3ppm では 23% PO4-P(mg/L) PO4-P(mg/L) 14 12 1 8 6 4 2 14 12 1 8 6 無注入 4 PAC3 2 PAC5 PAC1 7 14 21 図 2 PAC 注入での溶出変化 ( 水産加工業の汚泥 ) 無注入塩鉄 3 塩鉄 5 塩鉄 1 7 14 21 図 3 塩化第二鉄注入での溶出変化 ( 水産加工業の汚泥 ) にとどまった 図 4 に単位汚泥重量あたりのリン溶 出速度を示した 溶出速度は各 PO4-P 濃度の測定 値を測定間隔で除した 中央差分としたため, 日 数に端数が出ている 時間的に初期にあたる.5 日後の溶出速度に大きな差がみられ, 無注入は 6.4mg/g/ 日であり,PAC3ppm 注入では 3.2mg/g/ 日 と無注入の半分であった この.5 日後の値は 日と,1 日後の平均の溶出量である 1.5 日以降は 両者の溶出速度にほとんど差はなかった 3 3 業種の違いによるリン溶出割合 各業種の汚泥について同様の実験を行い, その 結果得られた汚泥重量当たりのリン溶出量 (mg/p/gmlss) を図 5 に示した 汚泥重量当たりの

リン溶出速度 (mg/g/ 日 ) 8 6 無注入 PAC3ppm 4 2 7 14 21 図 4 PAC 注入によるリン溶出速度 リン溶出量は業種によって異なっていた 2 豆腐製造業で採取した汚泥は日数の経過により PO4-P 濃度は上昇するものの,1の実験でみられた 日から 1 日までの PO4-P 濃度の急激な上昇はなかった 汚泥中の含有リン量 1.1mg/g のうち, 7 日で溶出するのは 2.3mg/g で全体の約 23 %,14 日に溶出するリンは 37 % であった TP 濃度の増加は1 水産事業所の実験結果に比べて穏やかであった 3 弁当製造業の汚泥での結果は,2に比べて初期の溶出はあったが,21 日後までの溶出量は2を下回った 21 日後のリン溶出量は業種 1 水産加工業は 18.mgP/gMLSS, であったが,2 豆腐製造業, は 4.44mgP/gMLSS, 3 弁当製造業は 3.33mgP/gMLSS となった 溶出量について差が見られた原因として, まず, 汚泥中のリン含有量 (1 26.3mg/g,2 1.2mg/g,3 11.6mg/g) の影響が大きいと考えられた さらに, 溶出量を汚泥中のリン含有量で除した結果について図 6に示した これは汚泥中からのリンの溶出割合となる その結果は1では約 7 % のリンが溶出するのに対し,2では 42 %,3では 3 % にとどまった 3 4 MBR 槽に凝集剤を注入した汚泥の溶出割合 MBR 槽に直接凝集剤を注入している施設の汚泥の汚泥重量あたりのリン溶出量変化を図 7に示す 当該事業場は水産食料品製造の事業場で,MBR を 2 系列 (No.1 系,No.2 系 ) 備え,PAC を流入原水に対して約 3ppm 注入している 汚泥採取日の リン溶出量 / 汚泥中リン含有量 mgp/gmlss.8.7.6.5.4.3.2.1 2 15 1 5 7 14 21 図 5 汚泥重量当たりの溶出量 図 6 汚泥中のリン溶出割合 MLSS はそれぞれ 15mg/L,12mg/L, 汚泥中 のリン濃度は 23.5mgP/gMLSS, 24.mgP/gMLSS で あった 濃度のピークは両系列とも 7 日後にあり, 終局溶出量はそれぞれ.5mgP/gMLSS,.9mgP/gMLSS となり, リンの溶出はほとんどな かった この結果から MBR に直接凝集剤を注入 してリンを除去する方式は貯留後の汚泥の溶出を 防ぐこともできるといえる 1 水産 2 豆腐 3 弁当 1 水産 2 豆腐 3 弁当 7 14 21 3 5 凝集剤注入量とリン溶出削減量の関係 凝集剤の注入量とリン削減量の関係について検 討した 1 水産加工業の汚泥における凝集剤注入 別の 7 日後のリン溶出量を MLSS で除した値につ いて図 8 に示した PAC1ppm を上限として注入 量と除去量の関係はほぼ直線性を示し, 無注入の 22.5mgP/gMLSS から 1ppm 注入の 13mgP/gMLSS

へと 42 % が削減された 塩化第二鉄についてもほぼ同様な結果を得た 図 9は2 豆腐製造業の汚泥について同様な実験を行った結果である PAC1ppm を注入すると無注入の 3mgP/gMLSS から.75mgP/gMLSS へ 75 % 削減された 1と2は無注入の汚泥のリン溶出割合はかなり相違があるが, 両者とも 1ppm 注入の範囲で, リン削減に直線性を保つことから, 一般的に注入量に対する効果について推定することが可能と思われる 4 考察汚泥はばっ気槽から一定量が毎日引き抜かれて, 汚泥貯留槽に入る 中小の事業場や合併浄化槽では, 外部委託による汚泥の搬出処分は 3 週間から 1 か月に1 回の間隔で行われている 通常, 汚泥貯留槽から溢れた上澄みは原水槽に戻る構造になっているため, 今回の調査から相当量のリンが原水槽に回帰している事が判った そのため, 脱水機を備えている事業場では, 汚泥貯留槽の汚泥を速やかに脱水する必要がある また今回の実験から汚泥を引き抜く際に汚泥貯留槽に凝集剤を注入することは, リン溶出の抑制に役に立つことが判った さらに,MBR 直接注入でリンを除去する方法では, 凝集沈殿の代替法としてばかりでなく, 汚泥を貯留した後もリンの溶出抑制に効果があることが判った 5 まとめ実排水処理施設の活性汚泥槽の汚泥を硬質性ガラス瓶に密閉保存することで, 汚泥貯留槽の状態を再現し, リン溶出の挙動と凝集剤の注入によるリン溶出の抑制効果について検討した 1)1 水産加工業の汚泥によるリンの溶出は 7 日目までが多く, それ以降はほとんど溶出量の増加はなかった 2) 凝集剤 PAC(3ppm) 注入の1 水産加工業の汚泥中の PO4-P は, 無注入に比べ, 実験開始直後で約 2mg/L 低く, その後の経時変化において濃度差は 2 ~ 4mg/L で推移した mgp/gmlss 1.8.6.4.2 7 日後 mgp/gmlss 7 日後 mgp/gmlss 25 2 15 1 5 3).5 日後における単位汚泥重量あたりリン溶出 速度は無注入で 6.4mg/g/ 日,PAC 注入で 3.2mg/g/ 日であった 図 7 汚泥重量あたりの溶出量 (MBR 槽に凝集剤を直接注入 ) PAC 塩鉄 5 1 15 図 8 水産加工業の汚泥における凝集剤の効果 3.5 3 2.5 2 1.5 1.5 (No.2) 水産 (No.1) 水産 7 14 21 PAC 塩鉄 凝集剤 (ppm) 5 1 15 図 9 豆腐製造業の汚泥における凝集剤凝集剤の効果 (ppm)

4) 各業種の汚泥について同様の実験を行ったところ, 汚泥から溶出するリン量, 汚泥含有量に対する溶出の割合は業種によって違いがみられた 5)MBR 直接注入の汚泥の溶出量は.1mgP/g MLSS となり,1に比べて極端に低く, 貯留汚泥に対する MBR 直接注入の効果が確認できた 6) 業種によらず PAC, 塩化第二鉄凝集剤注入の増加に伴いリン溶出量は直線的に減少する傾向がみられ, 凝集剤の注入によるリンの溶出の抑制効 果が推定できると考えられた 参考文献 1)Barnard,J.L.: a Review of Biological Phosphorus Removal in the Activated Sludge Process. Water S.A., 2(3)136(1976) 2) 落合寿昭 : 嫌気好気活性汚泥法の余剰汚泥の処理技術, 用水と廃水,Vol3,No.1(1988) Phosphorus Release from Sludge in Activated Sludge Process and the Restriction of its Release Using Metal Salts and Polymers Koichi KIUCHI Hiroyoshi KOJIMA 千葉県では水質汚濁防止法により事業場からリンの排出濃度を規制している 有機汚濁排水の処理には活性汚泥処理法を使うが, 貯留汚泥からリンが溶出するため, 排水中のリン除去は容易でない この対処法として汚泥貯留槽に凝集剤を注入してリンの溶出を抑制することが考えられ, そのための実験を行った 汚泥貯留槽に入った汚泥の嫌気状態を再現するために, 水産食料品製造業, 豆腐製造業や弁当製造業の処理施設で採取した活性汚泥を密栓して瓶に詰め, 時間をおいて溶出したリンの濃度を測定した さらに, 凝集剤である PAC や塩化第二鉄を汚泥に注入し, 無注入の場合とリン溶出量を比較した その結果, 凝集剤を注入することにより, 大幅に汚泥からリン溶出を抑制できることがわかり, 活性汚泥の汚泥貯留槽に注入することで事業場のリン削減に役立てることができることがわかった キーワード ; 活性汚泥処理, 貯留汚泥, リン溶出, 凝集剤, 塩化第二鉄,PAC( ポリ塩化アルミニウム )