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枠組壁工法実大実験住宅における 床衝撃音遮断性能向上に関する実験的検討 平光 厚雄1 1独立行政法人築研究所 環境研究グループ 5-2 茨城県つくば市立原1 木造である枠組壁工法 ツーバイフォー工法 による木造耐火構造が可能となり 4年から防火地域 内において 4階共同住宅や特殊築物等への枠組壁工法の適用が可能となった 集合住宅の音環境性 能 特に床衝撃音遮断性能は コンクリート系築物と比較すると 木造系の築物の性能は劣ることが 多い そこで 4階ての実大実験住宅を設し 床衝撃音に関する実験的検討を行った その結果 コ ンクリート系の集合住宅の床仕上げ材として使用される乾式二重床構造が床衝撃音遮断性能対策に有効で あることがわかった さらには 現在衝撃力の異なる2種類が規定されている標準重量衝撃源のタイヤ衝 撃源とゴムボール衝撃源の対応性を実大実験住宅において検討を行った キーワード 枠組壁工法 床衝撃音遮断性能 乾式二重床構造 標準重量衝撃源 1. はじめに 築基準法第61条により 防火地域内では 階数が3 以上であり 又は延べ面積が1 を超える築物は耐 火築物とし その他の築物は耐火築物又は準耐火 築物としなければならない 独立行政法人築研究所 と社団法人日本ツーバイフォー築協会は 木造である 枠組壁工法 ツーバイフォー工法 の耐火構造に関する 共同研究を実施し 枠組壁工法による木造耐火構造を可 能とした これにより 4年 平成16年 から防火地 域内において 4階共同住宅や特殊築物等への枠組 壁工法の適用が可能となった 防火地域内における枠組 壁工法の適用範囲について図-1に示す しかしながら 4階枠組壁工法に関する技術の知見 は少なかっため そこで4階の実大実験住宅を設し 構造安定性 振動特性2) 物の沈み込み量等について 検討を行ってきた (財)住宅リフォーム 紛争処理支援センターの 相談 統計年報8 等によると 音 振動 の相談事象が 多くみられ 共同住宅におけるクレーム内容では音環境 に関することが上位に位置しており その中で床衝撃音 に関する事項が1位となっている 枠組壁工法の4階 共同住宅を計画 施工する際は 床衝撃音対策が必要で あると考えられる 当然のことながら 音環境性能 特 に床衝撃音遮断性能は コンクリート系築物と比較す ると 木造系築物の性能は低いといえる これは 音 環境性能向上の基本が質量や剛性を上げることが基本で あるためである そこで 実大実験住宅において音環境 性能についても実験的検討を行った 実大実験住宅は 界床は6種類あり コンクリート系物に用いる床仕上 げ材である乾式二重床構造を施工する等 床断面仕様を 全て異なる仕様とした 日本工業規格JIS A 1418-23)において 標準重量衝撃源 として衝撃力特性の異なるタイヤ衝撃源とゴムボール衝 撃源の2種類が規定されている ゴムボール衝撃源は 年に新たに追加された衝撃源であるが 日本住宅性 能表示基準などの各種基準は 従来から使用されいてい るタイヤ衝撃源による評価となっている ゴムボール衝 撃源への移行には 2つの標準重量衝撃源の対応性を明 らかにすることが急務となっており 実大実験住宅の測 定結果を基に検討した 本報では 床衝撃音遮断性能測定結果 2つの標準重 量衝撃源の対応性に関する検討内容について報告する 4 階 2x4耐火築物で 築可能な規模 3 階 2 階 2x4準耐火築物 で築可能な規模 1 一般の 階 2x4築 物可 1 延べ面積 図-1 防火地域内の枠組壁工法による 共同住宅の構造について1)

2. 実大実験住宅について (1) 物概要実大実験住宅の物は 7,735 4,777.5 軒高 12,639 の規模をもつ 4 階て ( 小屋裏 5 階て ) の木造枠組壁工法耐火築物である 写真 -1 に物の外観全景を図 -2 に平面図を示す 居室部分に関しては 1 階から 4 階までほぼ同じ間取りとなっており 各階に 2 つの居室 ( 住戸 ) を有している また外壁 バルコニー手摺に関しては 全て異なる仕様となっている 図中の床側断面と天井側断面の強化せっこうボード 2 枚 ( 厚さ 15 mm +21 mm ) 貼りは 耐火構造の基本となっており 壁部分についても同様の強化せっこうボード 2 枚貼りとなっている 界床 にアスファルト系遮音シートを挿入したもの () 制振ダンパを床根太部分に組み込んだもの () の仕上げの複合フローリングの代わりに乾式二重床構造を設置したもの ( ) の 6 種類である 界床 に使用したダンパおよび乾式二重床構造は試作品を用いている 乾式二重床 A B に関しては コンクリート系住宅用に市販されている製品で それぞれカタログ値では L L -35 L H -45( 乾式二重床 A) L L- -45 L H -( 乾式二重床 B) と表記されているものである 乾式二重床構造は コンクリート構造共同住宅に多く使用される床仕上げ材の一つであり 図 -5 の断面図例に示すように空気層をもつ構造をしている しかしながら コンクリート構造では空気ばねの影響のため 床仕上げ材の施工時には素面スラブと比較すると 重量床衝撃音遮断性能が低下することが知られている なお 天井部分は床根太と天井ボードが直接接触していい 独立天井 とし 天井内にはグラスウールなどの吸音材の挿入は行わなかった 写真 -1 実大実験住宅外観 S5 S2 S3 S4 S1 3,6 図 -3 実大実験住宅断面概略図 表 -1 界床の断面仕様概要 2,7 図 -2 実大実験住宅平面図および測定ポイント図 ( 例 ) (2) 界床仕様物断面概略図を図 -3 に示す 前述したように 1 つの階に 2 住戸ある 4 階てであるため 図中のように の 6 つの界床をもつこととなる この 6 床は全て異なる断面仕様とした なお 4 つの界壁 (W1 W2 W3 W4) についても 異なる断面仕様としている 断面仕様の概要について表 -1 に示す それぞれの断面は 耐火構造の認定取得した界床断面仕様である を基本仕様とした 界床 の断面図を図 -4 に示す 界 床 仕 様 ( 基本 ) 耐火構造仕様 + 複合フローリング (12) 耐火構造仕様 +アスファルト系遮音シート (8)+ 複合フローリング (12) 耐火構造仕様 + 乾式二重床 A 耐火構造仕様 + 乾式二重床 B 耐火構造仕様 + 乾式二重床 C 耐火構造仕様 + 遮音用制振ダンパ 組込 ただし 印は試作品 括弧内の数値は厚さを表す 図 -4 基本仕様界床 () 断面図

3. 床衝撃音遮断性能測定 図 -5 乾式二重床構造断面例 (1) 測定概要床衝撃音遮断性能の測定は JIS A 1418-2 および JIS A 1418-1 4) に準拠して行った 図 -2 に示すように 室 (2,7 3,6) の対角線を 4 等分点した 5 点を衝撃点および受音点とし 各衝撃点について標準衝撃源により衝撃加振し 多チャンネル分析器により床衝撃音レベルを測定した なお 受音点 5 点の高さは ~1 cmの cmピッチで不均一とした 標準衝撃源としては JIS A 1418-2 に規定されている標準重量衝撃源の タイヤ衝撃源 ゴムボール衝撃源 および JIS A 1418-1 に規定されている標準軽量衝撃源の タッピングマシン の 3 種類とした また測定は写真 -2 に示すように 受音室内にソファー カーペットおよびカーテンを設置し 通常の室内に近い状況に残響調整を行った 受音室 6 室の残響時間測定結果を 設置なしのときの測定結果と併せて図 -6 に示す 残響時間は 63Hz 帯域を除き おおよそ.4s で 部屋による差はほとんどみられなかった 残響時間 [s] 1.4 1.2 1..8.6.4.2 写真 -2 受音室内観 家具なし ソファーなど設置. 図 -6 受音室の残響時間測定結果 (2) 床衝撃音遮断性能測定結果床衝撃音遮断性能の測定結果を 標準衝撃源別に図 -7 に示す また 一般的な界床断面仕様である を基準とし 床衝撃音レベル差をそれぞれ求めた結果を図 -8 に示す 図 -8 中で正の値は より床衝撃音遮断性能が高いことをあらわしている a) 重量床衝撃音レベル基本の と厚さ 8 mmのアスファルト系遮音シートを挿入した との差は タイヤ衝撃源 ゴムボール衝撃源ともにほとんどみられなかった 重量床衝撃音対策は 床の面密度や剛性を上げることが基本であるが 面密度 剛性ともにほとんど変化しなかったためであると考えられる の制振用ダンパは 63Hz 帯域付近の制振を目的としている 基本の と との重量床衝撃音遮断性能の差は 63Hz 帯域で 4dB 程度みられ 制振ダンパの効果がみられた 乾式二重床を施工した は 基本の と比べて 63Hz 帯域で 1dB 程度の重量床衝撃音遮断性能の向上がみられた 乾式二重床を施工した については と比較すると タイヤ衝撃源の場合は ほとんど差がみられなかったのに対し 衝撃力の小さいゴムボール衝撃源の場合は 63Hz 帯域で 3dB 程度の効果がみられた 6 床の内 最も性能が高い床は で タイヤ衝撃源の場合は L-(L 数 :62) であった b) 軽量床衝撃音レベル基本の と との軽量床衝撃音遮断性能の差は ほとんどみられなかった これは の制振用ダンパは 重量床衝撃音を対象としており 63Hz 帯域付近のみを制振し 床の表面材は同様の複合フローリングとしたためである 基本の と厚さ 8 mmのアスファルト系遮音シートを挿入した との差は 2Hz 帯域 Hz 帯域において 重量床衝撃音レベルではほとんどみられなかった遮音シートの効果がみられた 乾式二重床を施工した は いずれの場合も 基本の と比べて軽量床衝撃音遮断性能の向上がみられた 6 床のうち 最も性能が高い床は重量衝撃音のときと同様に で L-(L 数 :53) であった さらには 本実大実験住宅の天井内には吸音材が入っていないが グラスウールなどの吸音材を挿入することにより 軽量床衝撃音遮断性能の更なる性能向上は可能であると考えられる c) 日本築学会の遮音性能基準による評価実測された床衝撃音遮断性能などの音環境の測定結果の評価は 日本築学会の遮音性能基準 5) により通常行われる 集合住宅居室における床衝撃音レベルの適用等級を表 -2 に示す 表中の重量衝撃源は タイヤ衝撃源を示している

1 1 L- L- L- L-55 L- 図 -7 床衝撃音レベル測定結果 ( 左 : タイヤ衝撃源 中 : ゴムボール衝撃源 右 : タッピングマシン ) L-55 125 2 1 床衝撃音レベル差 [db] 1-1 床衝撃音レベル差 [db] 1-1 125 2 1 図 -8 床衝撃音レベル差計算結果 ( 左 : タイヤ衝撃源 中 : ゴムボール衝撃源 右 : タッピングマシン ) 床衝撃音レベル差 [db] 1-1 基本仕様の および の 4 床については 重量および軽量床衝撃音レベルは共に等級外であった 一方 最も性能の高い界床 の測定結果を表に当てはめると 重量床衝撃音レベルの場合はコンクリート構造における 3 級 軽量床衝撃音レベルの場合は 2 級と高い性能を示している 以上の結果から 木造の枠組壁工法では乾式二重床構造が 重量床衝撃音 軽量床衝撃音ともに有効であることがわかった これは 枠組壁工法における乾式二重床構造の共振周波数がコンクリート構造と比較して低域に シフトしたことや乾式二重床構造がもつ防振ゴムによる振動減衰効果が有効に働くためと考えられる 表 -2 集合住宅居室における床衝撃音レベルの適用等級 衝撃源 適用等級 特級 1 級 2 級 3 級 重量衝撃源 L-45 L- L-55 L-, L-65* 軽量衝撃源 L- L-45 L-55 L- * 木造 軽量鉄骨造またはこれに類する構造の集合住宅に適用する

4. 標準重量衝撃源の対応性に関する検討 タイヤ衝撃源 日本工業規格 JIS A 1418-2 において 標準重量衝撃源として衝撃力特性 (1) をもつタイヤ衝撃源に加え 衝撃力特性 (2) をもつゴムボール衝撃源が 年に規格化された 既報 6)7)8) では コンクリート構造を対象とした 2 種類の標準重量衝撃源の対応性に関する検討が行われてきた 今回 3. で測定した枠組壁工法の実大実験住宅を対象とし 2 種類の標準重量衝撃源の対応性について検討を中心に行っきた 標準重量衝撃源であるタイヤ衝撃源とゴムボール衝撃源の衝撃力特性は JIS A 1418-2 および ISO1-11 9) に規定されている それぞれの衝撃力特性について図 -9 に示す 図中のそれぞれの衝撃源の 2 本の線は 規格の上限と下限を表している 2 つの衝撃源は衝撃力の大きさの他 周波数特性も異なっており 低周波数域ではタイヤ衝撃源の方が 高周波数域ではゴムボール衝撃源の方が衝撃力暴露レベルが大きくなっている この 2 つ標準重量衝撃源の対応性については 既報 6) では 式 (1a) のように 衝撃力暴露レベル差により規準化する方法を提案した 規準化されたボールによる床衝撃音レベル = ボールによる床衝撃音レベル - ボールの衝撃力暴露レベル + タイヤの衝撃力暴露レベル (1a) 3. で測定したゴムボール衝撃源による重量床衝撃音レベルを式 (1a) により規準化された重量床衝撃音レベルとタイヤ衝撃源による重量床衝撃音レベルを比較した結果の例 ( ) を図 -1 に示す また 6 床の全てに対してタイヤ衝撃源による重量床衝撃音レベルから規準化したゴムボールによる重床衝撃音レベルを差し引いたものを図 -11 に示す これらをみると 乾式二重床を施工していない の 3 床では 衝撃力暴露レベル差で規準化することにより 全周波数帯域において両衝撃源の対応性がほぼとれることがわかる これに対し 乾式二重床構造を施工した では 125Hz 帯域から上の周波数帯域では 周波数帯域が高くなるほど その差が大きくなる傾向がある これは 乾式二重床構造などでは 衝撃力変化に対する床衝撃音変化は線形ではないためと考えられる 今後 2 つの標準重量衝撃源の対応をみるために 床構造別の補正値を求めることが必要であると考えられる 重量床衝撃音で最も重要な周波数帯域である 63Hz 帯域のみに着目すると その差が最大で 2dB 程度であることから 枠組壁工法においても既報と同様に 63Hz 帯域では 衝撃力暴露レベルの差で規準化することにより 両衝撃源の対応性がとれる可能性が示された 1 衝撃力暴露レベル [db] 1 ゴムボール衝撃源 31.5 63 125 2 図 -9 標準重量衝撃源の衝撃力特性 タイヤ衝撃源コ ムホ ール衝撃源コ ムホ ール衝撃源 ( 規準化 ) 1 タイヤ衝撃源コ ムホ ール衝撃源コ ムホ ール衝撃源 ( 規準化 ) ( 乾式二重床 A) ( 基本 ) 図 -1 2つの標準重量衝撃源の対応性の例 ( 衝撃力暴露レベルにより規準化 ) 床衝撃音レベル差 ( タイヤ衝撃源 - コ ムホ ール衝撃源 ( 規準化 )) [db] 1-1 図 -11 タイヤ衝撃源による床衝撃音レベルと規準化されたボール衝撃源による床衝撃音レベル差

5. まとめ 付録 今回 防火地域内で設可能となった 4 階て枠組壁工法の床衝撃音遮断性能に関する検討を行った結果 以下のことを明らかにした コンクリート系物で使用される床仕上げ材である乾式二重床構造は 枠組壁工法の重量および軽量床衝撃音遮断性能の向上に有効である タイヤ衝撃源とゴムボール衝撃源による重量床衝撃音レベルは 衝撃力暴露レベル差で規準化すると 63Hz 帯域では対応性が取れる 今後の討課題としては 以下のようなことが考えられる 室面積の違いの影響などを実物での検証 耐火構造でない一般的な枠組壁工法や他の木造系築物での検証 他の物 ( 室面積の違いなど ) での検証 乾式二重床構造は 空気層をもつことから天井高 ( 階高 ) に影響を与えるため 空気層の薄い専用の乾式二重床構造の開発 乾式二重床構造は 空気層の厚さが天井高 ( 階高 ) に影響を与えるため 空気層の薄いの乾式二重床構造の開発 2 つの標準重量衝撃源による床衝撃音データの更なる蓄積 今後も 枠組壁工法を対象とした床衝撃音遮断性能向上に関する検討を進めていく予定である 本研究は 独立行政法人築研究所と社団法人日本ツーバイフォー築協会との共同研究 枠組壁工法による木質複合築構造技術に関する研究 ( その 2) の内容の一部を取り纏めたものである 参考文献 1) 社団法人日本ツーバイフォー築協会ホームページ : http://www.2x4assoc.or.jp/ 2) 村上 山口 河合 : 枠組壁工法耐火構造 4 階て物の振動特性 日本築学会大会学術講演梗概集 C-1 分冊 pp.325-326 6 年 9 月 3) JIS A 1418-2:: 築物の床衝撃音遮断性能の測定方法 - 第 2 部 : 標準重量衝撃源による方法 年 1 月 4) JIS A 1418-1:: 築物の床衝撃音遮断性能の測定方法 - 第 1 部 : 標準軽量衝撃源による方法 年 1 月 5) 日本築学会編 : 築物の遮音性能基準と設計指針 [ 第二版 ] 1997 年 6) 平光 中森 冨田 木瀬 井上 橘 安岡 : 新標準重量床衝撃源の開発その 3: 床衝撃音による検討 日本築学会大会学術講演梗概集 D-1 分冊 pp.233-234 年 9 月 7) 高橋 清水 平光 坪川 : 標準重量床衝撃源の違いによる床衝撃音レベルの検討その 1 現場測定による検討 日本築学会大会学術講演梗概集 D-1 分冊 pp.47-48 3 年 9 月 8) 平光 清水 高橋 坪川 : 標準重量床衝撃源の違いによる床衝撃音レベルの検討その 2 実験室測定による検討 日本築学会大会学術講演梗概集 D-1 分冊 pp.49-3 年 9 月 9) ISO 1-11:Acoustics - Measurement of sound insulation in buildings and of building elements - Part 11: Laboratory measurements of the reduction of transmitted impact sound by floor coverings on lightweight reference floors 5 年