長期 ~ 当日断面における予備力確保のイメージ 2 供給予備力 ( 本資料記載部分 ) 需給ハ ランス調整に対応した調整力 原則 小売電気事業者が確保すべき予備力 需要 長期短期 (GC 断面等 ) 連系線期待分 上げ方向 上げ方向 現在はマージン (3%) これまでの 供給予備力 (8~10%)

Similar documents
本日の議論 2 本日は 6 月に実施する以下の業務における需給バランスの評価における供給予備力の基準について ご議論いただく 供給計画とりまとめ (STEP0, 対象 : 第 1 年度 ~ 第 10 年度 ) 電源入札等の検討開始の要否判断のための需給バランス評価 (STEP1, 対象 : 第 1

2 空 白

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

本日の内容 2 一般送配電事業者が電源 Ⅰ の公募調達を行うに当たり 広域機関は 一般送配電事業者が募集量を設定する際の基本となる考え方を示す必要がある 217 年度の調整力公募における電源 Ⅰ 必要量の基本的な考え方について改めて整理したので 電源 Ⅰ Ⅰ 必要量の考え方等についてご議論いただきた

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

( 余 ) 1

説明 年間断面におけるマージンの値 2 間接オークション導入が 2018 年 10 月 1 日からとなったことを踏まえ 10 月以降分のマージンについて間接オークション導入後に適用される送配電等業務指針に基づき設定する 変更後の送配電等業務指針では 実需給断面におけるマージンが必要な場合を除き 原則

説明 年間断面におけるマージンの値 2 間接オークション導入が 2018 年 10 月 1 日からとなったことを踏まえ 10 月以降分のマージンについて間接オークション導入後に適用される送配電等業務指針に基づき設定する 変更後の送配電等業務指針では 実需給断面におけるマージンが必要な場合を除き 原則

検討の進め方 出所 ) 第 4 回調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会資料 3( 赤枠削除 ) 217/chousei_sagyokai_4_haifu.html 2 第 11

1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

マージンバランス給運用容量4 周波数維持用容量空容量その他需現状と課題 1 現状の北海道本州間連系設備 ( 以下 北本 という ) の運用容量 マージンの考え方 交流連系線における運用容量の考え方と異なり 北本は設備容量を運用容量としている 北本 ( 両方向 : 以下 記載省略 ) では 交流連系線

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

スライド 1

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

1 第 13 回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会資料 4 参考資料 2 必要供給予備力に関する追加検討について 2017 年 2 月 24 日 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会事務局

横浜市環境科学研究所

スライド 1

周期時系列の統計解析 (3) 移動平均とフーリエ変換 nino 2017 年 12 月 18 日 移動平均は, 周期時系列における特定の周期成分の消去や不規則変動 ( ノイズ ) の低減に汎用されている統計手法である. ここでは, 周期時系列をコサイン関数で近似し, その移動平均により周期成分の振幅

商品設計の再検討について 2 商品設計のイメージとして議論してきた調整力の要件をより詳細に検討した結果 見直しが必要と考えられえる箇所が顕在化してきたため その箇所について新たに議論をしたい なお 本資料の内容は 資料 6 需給調整市場に関する意見募集について ( 案 ) の 3 項に組み入れる予定

PowerPoint プレゼンテーション

安定供給の確保に係る事業者等の役割 1 第 2 段階においてライセンス制が導入された以降も安定供給を維持するためには 各事業者等がそれぞれに課された責務をしっかりと果たしていくことが求められます 特に 小売事業者が果たすべき役割は重要であり 自社顧客の需要に応じた供給力を確保するためのインセンティブ

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

森林水文 水資源学 2 2. 水文統計 豪雨があった時, 新聞やテレビのニュースで 50 年に一度の大雨だった などと報告されることがある. 今争点となっている川辺川ダムは,80 年に 1 回の洪水を想定して治水計画が立てられている. 畑地かんがいでは,10 年に 1 回の渇水を対象として計画が立て

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

余白 1

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

日心TWS

今年度の算定項目 P2 今年度の算定項目は以下のとおり (1)2016 年度の需要実績等に基づく接続可能量 (2017 年度算定値 ) 風力の接続可能量 (2017 年度算定値 ) 太陽光の接続可能量 (2017 年度算定値 ) (2)2014 年度 ~2016 年度の需要実績等に基づく指定ルール事

第1章 低下から停滞に転じた鉱工業生産


スライド 1

PowerPoint プレゼンテーション

再生可能エネルギー発電と二次電池を導入した地域電力システムのシミュレーションによる設計

第1章 財務諸表

公表内容 2 本機関は業務規程第 22 条に基づき 需要想定の前提となる経済指標として 以下の項目の見通しを策定し 公表します ( 全国の経済見通しの策定 ) 第 22 条本機関は 需要想定の前提となる人口 国内総生産 (GDP) 鉱工業生産指数 (IIP) その他の経済指標について 当年度を含む


利水補給

労働法令のポイント に賞与が分割して支払われた場合は 分割した分をまとめて 1 回としてカウントし また 臨時的に当該年に限り 4 回以上支払われたことが明らかな賞与については 支払い回数にカウントしない ( 賞与 として取り扱われ に該当しない ) ものとされている 本来 賞与 として取り扱われる

スライド 1

<4D F736F F D208D A778D5A8A778F4B8E7793B CC A7795D2816A2E646F6378>

比較的早期に容量メカニズムを導入した電力市場としては アメリカ東部の PJM が知られているが 上記の 2 手法のうち 初期に導入された容量市場は手法 1 に相当し その制度で顕在化した問題を踏まえた進化形である信頼度価格モデル (Reliability Pricing Model: 以下 RPM)

Probit , Mixed logit

Microsoft PowerPoint - 22_容量市場(松久保)

変更履歴 年月日内容 作成 第 6 章適用時期およびアクセス案件の取り扱い (2) 電源接続案件募集プロセスへの対応について当面の適用方法 ( 補足 ) を追記 章構成を変更 第 2 章前提条件 適用する系統分類を明確化 適用系統に応じた潮流

<4D F736F F D2091E E8FDB C588ECE926E816A2E646F63>

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

はじめに 2 第 4~6 回作業会にて 調整力の細分化 市場化に対応するための技術的課題 および広域的な調達 運用に対する技術的課題について検討を行い 2020 年 および2020+X 年の需給調整市場の姿を提示し 第 21 回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会にて方向性について了解を得た

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

発電単価 [JPY/kWh] 差が大きい ピークシフトによる経済的価値が大きい Time 0 時 23 時 30 分 発電単価 [JPY/kWh] 差が小さい ピークシフトしても経済的価値

リスク分析・シミュレーション

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

強度のメカニズム コンクリートは 骨材同士をセメントペーストで結合したものです したがって コンクリート強度は セメントペーストの接着力に支配されます セメントペーストの接着力は 水セメント比 (W/C 質量比 ) によって決められます 水セメント比が小さいほど 高濃度のセメントペーストとなり 接着

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

目次

Microsoft Word - NumericalComputation.docx

データ解析

スライド 1

1

Microsoft Word - 報告書.doc

電解水素製造の経済性 再エネからの水素製造 - 余剰電力の特定 - 再エネの水素製造への利用方法 エネルギー貯蔵としての再エネ水素 まとめ Copyright 215, IEEJ, All rights reserved 2

M&A研究会報告2009

Microsoft PowerPoint - stat-2014-[9] pptx

Microsoft Word - mstattext02.docx

南早来変電所大型蓄電システム実証事業

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

布に従う しかし サイコロが均質でなく偏っていて の出る確率がひとつひとつ異なっているならば 二項分布でなくなる そこで このような場合に の出る確率が同じであるサイコロをもっている対象者をひとつのグループにまとめてしまえば このグループの中では回数分布は二項分布になる 全グループの合計の分布を求め

0 スペクトル 時系列データの前処理 法 平滑化 ( スムージング ) と微分 明治大学理 学部応用化学科 データ化学 学研究室 弘昌

Microsoft Word _3.2.1−î‚bfiI”Œ“•.doc

統計学入門

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

<4D F736F F D F CD94AD93648BA689EF938A8D65815E8C6E939D CC897E8A8A89BB814592E197F589BB82CC8EE691678

PowerPoint プレゼンテーション

岩手支社管内の配電用変圧器の空容量 1/4 安代配電塔 1B 伊手変電所 1B 猿ヶ石発電所 1B 遠野変電所 1B 0.0 2B 下船渡変電所 1B 0.0 2B 河原町変電所 1B 0.0 2

1. 気温と産業の関係 2. 気温と販売数の関係の分析 過去の気温データをダウンロードする 時系列グラフを描く 気温と販売の関係を調べる 散布図を描く 定量的な関係を求める 気温から販売数を推定する 2 週間先の気温予測を取得し 活用する 気温以外の要素の影響 3. 予報精度 過去の 1 か月予報

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

Microsoft Word 後藤佑介.doc

けいはんなエコシティ次世代エネルギー 社会システム実証プロジェクトにおける 電気のかしこい使い方プログラム の今夏の実施結果と今冬の実施概要について 平成 25 年 12 月 2 日関西電力株式会社三菱電機株式会社三菱重工業株式会社 関西電力株式会社 三菱電機株式会社 三菱重工業株式会社の 3 社は

Microsoft Word - 修士論文.doc

. 石垣島における電力系統の概要 Copyright The Okinawa Electric Power Company, Incorporated. All Rights Reserved.

平成22年3月期 決算概要

風力発電インデックスの算出方法について 1. 風力発電インデックスについて風力発電インデックスは 気象庁 GPV(RSM) 1 局地気象モデル 2 (ANEMOS:LAWEPS-1 次領域モデル ) マスコンモデル 3 により 1km メッシュの地上高 70m における 24 時間の毎時風速を予測し

本資料の議論対象 ( 赤枠内 ) 1 論点 1: 需給バランスに対応したマージン ( 長期断面の検討に基づく ) の必要性 量 (1) 需給バランスに対応したマージン ( 系統容量の 3% に相当 ) の量は如何にあるべきか ( 必要性を含め ) 論点 2: 需給バランスに対応したマージン ( 短期

平成 22 年基準 秋田県鉱工業生産指数月報 平成 30 年 12 月分 鉱工業生産指数の推移 季節調整済指数全国 東北 : 平成 27 年 =100 秋田 : 平成 22 年 =

第 21 回系統 WG プレゼン資料資料 1 九州本土における再エネ出力制御の実施状況について 年 4 月 2 6 日 九州電力株式会社

生命情報学

電気料金種別定義書 動力プラン 株式会社 Looop

<4D F736F F D F88C990A CC8FAB C91AA8C768E5A8C8B89CA2E646F63>

314 図 10.1 分析ツールの起動 図 10.2 データ分析ウィンドウ [ データ ] タブに [ 分析 ] がないときは 以下の手順で表示させる 1. Office ボタン をクリックし Excel のオプション をクリックする ( 図 10.3) 図 10.3 Excel のオプション

Microsoft PowerPoint - 09macro3.ppt

PowerPoint プレゼンテーション

種類以上 再生可能エネルギー 100% のメニューだけでも 5~60 種類あり 新規参入が低調になりやすい家庭部 門においても 豊富な選択肢が確保されている 表 1: 米国の全面自由化実施州における新規参入状況 自由化中断 廃止州 : 7 州 ( カリフォルニア ネバダ アリゾナ ニューメキシコ モ

申込代行事業者さまへのお知らせについて

イクル成分 のみから 需要側の動きの 仮置き値 の作成を行う これにより 次 QE から 2 次 QE への改定幅を縮小させることが期待される 本改善策は 22 年 4-6 月期 次 QE から導入する 本改善策の効果について 一定の仮定をおいて試算を行ったところ 民間企業設備の 2 年 7-9 月

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

基礎統計

情報工学概論

Transcription:

1 第 1 回調整力等に関する委員会資料 6-1 これまでの供給予備力の考え方について 平成 27 年 4 月 30 日 調整力等に関する委員会 事務局

長期 ~ 当日断面における予備力確保のイメージ 2 供給予備力 ( 本資料記載部分 ) 需給ハ ランス調整に対応した調整力 原則 小売電気事業者が確保すべき予備力 需要 長期短期 (GC 断面等 ) 連系線期待分 上げ方向 上げ方向 現在はマージン (3%) これまでの 供給予備力 (8~10%) これまでの 運転予備力 (3~5%) 需要 連系線期待分 上げ方向 下げ方向 これまでの 瞬動予備力 (3%) 連系線期待分 上げ方向 下げ方向 周波数制御に対応した調整力

供給予備力必要量の考え方及びその背景 3 S33 年の日本電力調査委員会報告において 電源開発計画策定の指標として 確率論的手法による供給予備力必要量の考え方が記載されている 背景 当時 ( ) は 戦後の電源開発の促進により 需給が改善されてきたものの 異例の渇水や設備事故発生時等には まだ需要家に迷惑をかける事態が生じていた これらの状況下においても安定供給を維持するため 計画的に電源開発を進め 適正な予備力を確保することが求められた 水主火従期の後半 電源開発のリードタイム及び経済性を考慮した電源開発計画を策定するにあたり その指標となる供給予備力必要量が検討された 供給予備力必要量は 予測できない設備の事故 渇水などのリスクを最大限考慮すると 過大な設備投資が必要となるため 安定供給と経済性を考慮した確率論的手法が採用された

供給予備力必要量の考え方の変遷 4 当初 (S33 年 ) 示された 供給予備力必要量の考え方 について 確率論的手法に関する基本的な考え方については 大きな見直しが行われることなく 現在に至っている ( 分析データの追加等 算定手法の見直しは都度実施 ) 当初から見直されていない項目 確率論的手法供給力が不足する確率 ( 見込不足日数 ) を目標値として供給予備力必要量を算定 見込不足日数 :0.3 日 / 月 エリア間の不等時性を考慮した連系効果の考慮 見直しが行われた項目 変動要素の追加 S35 年頃に 需要変動 を追加当初は 電源の計画外停止 出水変動 のみ考慮 持続的需要変動( 景気変動に基づく想定値の誤差 ) 等 S37 年頃から導入 当初は過去の実績より 3% 程度 で設定 等

見込不足日数の考え方 5 見込不足日数 0.3 日 / 月 については 日本電力調査委員会の解説書 (S37 年版 ) に記載がある 日本電力調査委員会解説書 (S37 年 11 月 ) 見込不足日数 (0.3 日 / 月 ) については 過去の実績から 事故 渇水が一度発生した場合は 6 日間連続するものと考えなければならない そのため供給予備力を保有する目標として ある月に 20 年に 1 回の確率で発生する事故 渇水による出力減少量までを充足することとすれば 1 ヶ月に 0.3 日であることが予想される状況となる

供給予備力必要量の考え方 6 これまでの LOLP 解析により得られた偶発的需給変動対応分 7%( 連系線期待分の 3% を除く ) に EPA 法により算出された持続的需要変動対応分 1~ 3% を加えた 8~10% を供給予備力 ( 率 ) 必要量としている 需要の変動 循環景気による中長期的な需要変動 気象要因による需要変動 気象要因以外による需要変動 電源の計画外停止 持続的需要変動 偶発的需給変動 過去の景気変動実績に基づき 1~3% LOLP 解析の結果から [ エリア内対応 ] 7% 供給予備力 ( 率 ) 必要量 8~10% 供給力の変動 出水変動 等 LOLP 解析の結果から [ 連系線期待分 ] 3%

持続的需要変動の考え方 (EPA 法 ) 7 EPA(Economic Planning Agency) 法は 季節調整を必要とするデータに対して有効な分析手法 過去の需要実績 ( 各月最大 3 日平均電力 ) から 以下に示すようシーズン成分とイレギュラー成分を除去した トレンド成分 サイクル成分の合成値 (TC 成分 ) を循環的景気変動分として扱う この TC 成分と回帰直線との最大偏差を景気変動分に対応するために必要な予備力としている TC 成分 景気変動 成分 各月最大 3 日平均電力実績 TCSI データ TC 成分の回帰直線 5 か年 (15 か年,10 か年 ) T( トレンド ) 成分 : 趨勢的傾向要素時系列データの傾向 ( 上昇 下降 横ばい等 ) 傾向を示す線を傾向線という C( サイクル ) 成分 : 循環変動要素 S( シーズン ) 成分 : 季節変動要素 I( イレギュラー ) 成分 : 不規則変動要素 傾向線の周りを ほぼ一定周期をもって規則的に変動する動き ( 景気変動や商品のライフサイクルによる変動等 ) 傾向線の周りを1 年周期で変動する動き ( アイスの売上のように夏は売れ 冬は売れないといった毎年同じパターンで繰り返す変動 ) 傾向線の周りを不規則に変動する動き ( 法規税制改正やキャンペーン等によって起こる変動 ) 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

偶発的需給変動の考え方 (LOLP 解析 ) 8 LOLP(Loss of Load Probability) 解析は 確率分布で表される偶発的な需給変動に対し 見込不足日数が所与の目標値 (0.3 日 / 月 ) となるよう 必要な供給予備力を算出 モンテカルロ法により解析 H3( 最大 3 日平均電力 ) 出力減少量 供給予備力 供給能力 不足日数 需要持続曲線 1 ヶ月 (31 日 ) 平日 休祭日 夏季ピーク 1 ヶ月 (8 月 ) の毎日の需要を模擬した需要持続曲線を作成 需給変動要因として 需要変動 出水変動 電源の計画外停止を考慮 作成した需要持続曲線に対し 上記の需給変動下において停電が発生する ( 供給力が需要を下回る ) 日数を不足日数とする 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料一部修正

( 参考 ) モンテカルロ法の使用例 9 サイコロの 1 の目が出る確率の理論値は 1/6 である モンテカルロ法は 試技回数を十分に多く繰り返すことにより 1/6 に近い答えを求めることができる どの目も出目確率は 1/6 初期値設定試技回数 n=0, 1 の出目累計回数 k=0 試技開始 n=n+1 0~6の乱数 R 発生 R 1か? Yes No k/n の変化が十分小さくなるまで繰り返す 0.30 0.25 0.20 0.17 0.15 0.10 出目確率の近似値 (k/n) の推移 1 の出目確率の近似値 :k/n 出目確率の理論値 =1/6 k=k+1 0.05 試技結果の記録 n 回目の試技までの 1 の出目割合は, k/n この時の k/n の値が 1 の目が出る確率の近似値 0.00 0 100 200 300 400 500 試技回数 n 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

( 空白 ) 10

供給予備力必要量の算定フロー ( 単独系統の場合 ) 11 データの初期設定 1 需要持続曲線 2 変動分布 ( 需要変動 出水変動 電源の計画外停止 ) 3 初期供給予備力 4 見込不足日数目標値 (0.3 日 / 月 ) 等 需要変動 出水変動 電源計画外停止 供給力過不足量算出 着目エリア 不足日数の算出 累積 応援電力なし no 指定回数は終了したか yes 供給予備力を修正 no 見込不足日数は目標値か? A エリア B エリア yes END (Output : 供給予備力 )

供給予備力必要量の解析 ( 単独系統の場合 ) 12 単独系統における供給予備力必要量は 見込不足日数が目標値となるように 供給予備力を増減させて試行錯誤で算出する 見込不足日数 =Σ 不足日数 i 出力減少発生確率 i (i=1,2,: 離散化した度数 ) ( 不足日数に出力減少発生確率を乗じたものを出力減少の大きさごとに求め その総和が見込不足日数となる ) 不足電力 不足日数のイメージ供給予備力最大 3 日平均電力出力減少 ( ) A( 電源の計画外停止による変動 ) 総合確率変動分布 発生確率 C( 需要変動 ) B( 河川流況の変化による水力発電の出力変動 ) 不足日数 需要持続曲線 - + 0 日数 平日日数 - 側 A: 事故減少出力 + 側 A: B: 渇水出力 B: 豊水出力 C: 需要増加 C: 需要減少 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

初期設定 ( 需要持続曲線 ) 13 8 月の平日 ( 特異日除く ) の最大需要実績を基に 最大 3 日平均電力と 平日平均電力を想定し 下図のように一次式で近似させた月間の需要持続曲線を作成 需要 最大 3 日平均電力 平日平均最大電力 1.5 日平日日数 /2 平日日数 31 日 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

変動分布 ( 需要変動 ) 14 需要変動は 気温による変動 ( 高気温による冷房需要の増加など ) と 気温以外の要因による変動 ( 一時的な社会現象による TV 需要増など ) に分ける 8 月の最大 3 日平均電力を基準として 最大 3 日平均電力からの確率的な変動を考慮して決定 ( 確率的変動は正規分布に従うとした ) 需要 = 最大 3 日平均電力 +( 気温による変動 )+( 気温以外による変動 ) 需要変動確率分布 ( 気温要因 ) 需要変動確率分布 ( 気温外要因 ) 需要変動量 + 発生確率 需要変動量 + - 発生確率 -

変動分布 ( 電源計画外停止率 ) 15 ( 参考 ) 計画外停止日数 計画外停止率 = 運転日数 + 計画外停止日数 100(%) 水力:0.5% 火力:1ユニット当り運開後 3 年以内 :5.0% 運開後 3 年経過 :2.5% 原子力: 火力に準ずる 日本電力調査委員会実績調査より 出力減少のイメージ 計画外停止 =0 発電出力 1 - - - - - - - - - - - - - - - -- - - - - - - - - - - - - - - - - - -31 日数 ( 日 )

変動分布 ( 出水による出力変動 ) 16 自流式水力が対象 原則として至近 30 ヶ年の流量記録により 出水デュレーションカーブ ( ) を作成する 供給能力としては 第 Ⅴ 出水時点 ( 最渇水日 ) を基準にする 貯水式 揚水式水力については H3 時点での供給能力とする 出水デュレーションカーブ 供給力変動確率分布 + 発生確率 最大出力 第 Ⅰ 時点 第 Ⅱ 時点 第 Ⅲ 時点 第 Ⅳ 時点 第 Ⅴ 時点 L5 出力 出水変動率 - 第 Ⅴ 出水時点出力 1 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 31 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

供給予備力必要量の算定フロー ( 連系系統の場合 ) 17 データの初期設定 1 需要持続曲線 2 変動分布 ( 電源の計画外停止 出水変動 需要変動 ) 3 初期供給予備力,4 指定回数 5 見込不足日数目標値 (0.3 日 / 月 ) 等 需要変動 着目エリアを指定 出水変動 電源計画外停止 no 指定回数は終了したか yes 各エリアの供給力過不足量算出 着目エリアの供給力は余力があるか no 他エリアからの応援電力の計算 着目エリアの供給力に加算 yes 供給予備力を修正 着目エリア no 各エリアの見込不足日数は目標値か? END yes 着目エリアは供給力不足か yes no 追加応援 追加応援 着目エリアを変更 不足日数の累積 no 全てのエリアの計算が終了したか yes A エリア B エリア 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

供給予備力必要量の解析 ( 連系系統の場合 ) 18 各エリアの供給力の過不足量をモンテカルロ法で求め 着目エリアの供給力が不足している場合は 他エリアからの連系容量を考慮して応援電力を算出する 応援電力の考慮により 各エリアの必要予備力が変動する [ 不足電力 ( 応援後 )]=[ 不足電力 ( 応援前 )]-[ 他社からの応援電力 ] 応援前 応援後 不足電力 不足日数 供給予備力最大 3 日平均電力出力減少需要持続曲線 不足電力応援電力 不足日数 供給予備力最大 3 日平均電力出力減少需要持続曲線 0 日数 平日日数 0 日数 平日日数 連系効果 ( 他エリアからの応援 ) を織り込むことにより 不足日数が減少するため エリア内に確保する予備力が減少する 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

連系系統解析における応援可能量設定 19 連系線の運用容量および計画潮流を基に 他エリアからの応援可能量を設定 応援可能量 = 運用容量 - 計画潮流 マージン 応援の考え方は以下のとおり 着目したエリアで不足電力が生じている場合 まずは同一ブロック内で応援 ブロック内での応援後 不足が継続する場合 全ブロックから応援 運用容量 空容量 計画潮流 応援可能量 中国 関西 北陸 中部東京東北 北海道 九州 四国 ブロック 3 ブロック 2 ブロック 1 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

連系系統信頼度解析に用いる各エリア需要の不等時量 20 各エリアの最大需要が発生する日時は必ずしも一致しないため 不等時量を考慮 8 月の需要実績から全国の不等時量を算出 全国の不等時量 = 全国合計 ( 各エリアの最大需要の単純合計 ) - 全国合成 ( 当該時間の全国の需要 ) 全国の不等時量は 想定年度の最大 3 日平均電力 (H3) 比にて各エリアへ配分 < 不等時量の算定例 ( 北海道から見た東北の不等時量 )> 東北 8 月 H3 (8 月 H3の全国合計 - 8 月 H3の全国合成 ) 北海道以外のエリアの8 月 H3の合計値 [MW] 全国大の不等時量 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

A 社に着目した場合の連系系統解析における応援イメージ 21 単独系統信頼度解析により A エリアに供給力不足が発生したため 他エリアの供給余力により A エリアに応援する場合 ( 各エリアの供給力過不足量算出結果を以下の表の値とする ) Aエリア Bエリア Cエリア 需要 (D) 1,050 2,000 1,500 供給力 (S) 1,000 2,020 1,580 供給余力 (S-D) -50 +20 +80 各エリアの需要は 不等時量を考慮する 運用容量と計画潮流の差分が応援可能な容量 ( ただし 供給余力を上限とする ) A エリア需給差 (S-D)=-50 B エリア需給差 (S-D)=+20 C エリア需給差 =+80 応援 10-50 応援 40 A エリアは B C エリアより供給余力比にて応援を受け 供給力不足を解消 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料

LOLP 解析による算出結果 22 H17 年度計算結果 ( 想定断面 :H21 年度 ( 第 5 年度 )8 月 ) 北海道東北東京中部北陸関西中国四国九州 9 社計 最大 3 日平均電力 (MW) 4,800 14,380 61,830 26,560 5,450 30,640 11,960 5,640 16,830 178,090 各社単独時ケース 各社連系時ケース 連系効果 ( 単独 - 連系 ) 予備力 (MW) 予備率 (%) 予備力 (MW) 予備率 (%) 予備力 (MW) 予備率 (%) 629 1,497 5,377 2,628 660 2,675 1,176 759 1,627 17,028 13.1 10.4 8.7 9.9 12.1 8.7 9.8 13.5 9.7 9.6( 平均 ) 358 1,107 4,392 1,959 341 2,039 781 356 1,152 12,485 7.5 7.7 7.1 7.4 6.3 6.7 6.5 6.3 6.9 7.0( 平均 ) 271 390 985 669 319 636 395 403 475 4,543 5.6 2.7 1.6 2.5 5.8 2.0 3.3 7.2 2.8 2.6( 平均 ) 単独 ( エリア間連系を考慮しない ) ケースと 連系 ( エリア間連系を考慮する ) ケースの予備率の差が連系効果 連系効果分を連系線のマージンとして設定 出典 : 広域的運営推進機関設立準備組合第 5 回マージン及び予備力に関する勉強会 (H27.1.15) 中部電力殿資料 参考 偶発的需給変動の算定結果 ( 全国計 1 ) S37 年頃 : S42 年 12 月断面 9.8%( 単独時 ) 4.1%( 連系時 2 ) S62 年 : H 8 年 8 月断面 10.0%( 単独時 ) 6.9%( 連系時 ) H17 年 : H21 年 8 月断面 9.6%( 単独時 ) 7.0%( 連系時 ) 1 沖縄電力を除く 2 連系線容量に制約がないことを前提とした算定値

( 参考 ) 諸外国の供給信頼度の評価方法と基準 23 評価方法指標考え方評価基準 LOLP (Loss of Load Probability) 需要に対して供給力が下回る日数の期待値を 基準値以内に収めるために必要な予備率を算出 日本 :0.3 日 / 月 供給支障の発生頻度に着目した評価 LOLE (Loss of Load Expectation) 需要に対して供給力が下回る時間数の期待値を 基準値以内に収めるために必要な予備率を算出 NERC:10 年に 1 日 仏 :3 時間 / 年以下 LOLEV (Loss of Load Events) 需要に対して供給力が下回る回数の期待値を 基準値以内に収めるために必要な予備率を算出 ERCOT:10 年に 1 回