コンパクトシティ構想 2つの柱 ( 郊外の開発抑制 + 中心市街地の活性化 ) まちなか住み替え事業 や 家賃補助制度 を行っているが 借りたい人はいるが 貸したい人がいない という状況 コンパクトシティという構想だけでは 民間資本は動かない (= 補助金などのインセンティブが必要 ) 中心市街地活

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甲府市議会議員の定数を減少する条例

構想 とは 都市の郊外化を抑制し 都市機能の中心部への集積の推進と 都市機能の中心部集積に伴う中心市街地活性化を図るものである この構想の中では 基本的な考え方として 自家用自動車に過度に依存することのないコンパクトシティの形成を図る交通体系の確立 が定められている このことからも 公共交通機関を主

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

数値目標 平成 29 年 オープンカフェ新規参加店舗数 58 店 6 店 6 店 オリオン市民広場集客数 1,500 人 3,000 人 3,000 人 センターコア歩行者 自転車通行量 ( 平日 ) 1,700 人 1,700 人 1,700 人 5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概

レジャー産業と顧客満足の課題

Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

イメージ図 ( 医療施設の場合 ) イメージ図 ( 誘導施設 : 地域医療支援病院の場合 ) 5 届出を要しない軽易な行為などについて都市再生特別措置法第 108 条並びに都市再生特別措置法施行令第 35 条 第 36 条の規定により 以下の行為は届出の対象となりません 軽易な行為その他の行為で政令

[ 概要版 ] 倉吉都市計画 マスタープラン素案 鳥取県倉吉市

四国中央市住宅マスタープラン 概要版 平成 30 年 3 月四国中央市 Since

Taro-全員協議会【高エネ研南】

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Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

Microsoft Word - HP用基本構想概要.doc

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

目 次 1 背景 目的 1 2 計画の位置付け 2 (1) 計画の位置付け 2 3 現状の問題と課題 3 (1) 現状の問題 3 (2) 課題 3 4 市街化調整区域における土地利用方針 5 (1) ゾーンにおける土地利用方針 6 (2) 各ゾーンのイメージ 10 5 土地利用現況図 11 6 土地

Microsoft Word - 概要版.doc

[2] 具体的事業の内容 (1) 法に定める特別の措置に関連する事業 該当なし (2)1 認定と連携した支援措置のうち 認定と連携した特例措置に関連する事業 事業名 内容及び実施時期 実施主体 中心市街地の活性化を実現するための位置付け及び必要性 支援措置の内容及び実施時期 その他 の事項 群馬の玄

計画書

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10

目 次 1 目指すべき方向の策定に当たって 背景 目的 2 山梨県内の公共交通の現状と課題 本県を取り巻く環境 本県のバス交通の現状等 観光客と利用する交通手段等 3 山梨県のバス交通の目指すべき方向 背景と課題 基本的な考え方 基本理念 実現する将来像 基本目標 4 広域的な路線 5 地域内路線

一宮市住宅マスタープラン ~ 住み続けたいまち 住んでみたいまち 人々が生き生きと暮らせるまち ~ 概要版 平成 2 5 年 3 月 一宮市

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

コンパクト プラス ネットワークの形成 1

4. 都市づくりの目標と方針 4-1 都市づくりの基本理念 地域の個性が輝く生活快適都市 上田 ~ 魅力あるふるさと活気ある交流風格ただようまち ~ 基本理念の意味あい 上田市は 歴史 文化 自然 産業などに恵まれた特色ある地域から成り立っており 各地域が個性を発揮し 連携し合い 交流を促進しながら

かごしまコンパクトなまちづくりプラン ( 立地適正化計画 ) 素案概要版 - 目次 - 1. 立地適正化計画の概要 2 2. 計画策定に係る基本的な考え方 4 3. 居住誘導区域 6 4. 都市機能誘導区域 8 5. 誘導施設 届出制度 目標値の設定 都市機能及び

(2) 富士北麓都市計画都市計画区域の整備 開発及び保全の方針 ( 平成 23 年 3 月 ) 山梨県では 既に人口減少 超高齢社会が到来しており 都市経営コストの最適化 自動車を自由に使えない高齢者等の移動手段の確保 公共公益施設や大規模集客施設の適正立地 地球環境問題への対応など様々な課題が都市

阿賀野市の発展と市民福祉の向上を図ることを目的とした 行政運営の指針となる 阿賀野市総合計画 に定める本市の将来像 人 まち 自然が輝く幸福祉都市阿賀野 の実現に向けて また こよなく愛するふる里創造のため 全力を上げ取り組んでいるところでございます 国から地方への事務 権限移譲や三位一体改革が加速

地域公共交通確保維持改善事業 事業評価 ( 生活交通ネットワーク計画に基づく事業 ) ( 別紙 1) 資料 3 平成 23 年度 平成 24 年 4 月 23 日 協議会 構成員 上田市公共交通活性化協議会 上田市 上田バス 千曲バス 事業名 補助対象事業者等 事業概要 1 事業実施の適切性 2 目

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はじめに 都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域は 都市再生特別措置法 ( 平成 14 年 4 月 5 日公布 平成 14 年 6 月 1 日施行 以下 法 という ) に基づき 国が政令で指定するものです 1 都市再生緊急整備地域 趣旨 都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため

< 青森市 > 2 バスロケーションシステムの導入 ( 国土交通省総合政策局補助事業 ) 積雪寒冷地特有のバス遅れ情報の提供によりバス待ち環境の改善のため運用 乗車バス停 降車バス停をクリック 検索 をクリック 現在の運行情報と 選択バス停での発車 到着予想時刻を表示 バスの現在地を表示 予定時刻検

8略都市スライド東北(郡山市)全部 [互換モード]

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

4. 基本的な方針太田市が目指す将来像や公共交通が果たすべき役割を踏まえて 以下の4つを計画の基本的な方針とし 太田市にふさわしい公共交通ネットワークの形成を図ります 公共交通の役割取組みの方向性市民の移動手段の確保 おうかがい市バスによる高齢者 障がい者等の通院 買物等の移動手段の確保 学生 生徒

品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)に係る都市計画について


本編一括.doc

% 4.4% % 5.0% % 4.5% % 2.7% % 2.0% % 3.6% 5.1% 4.5% 2.6% 3.6%

計画の目的 多様化する生活交通ニーズへの対応 効率的 効果的な生活交通サービスの構築 山陽小野田市では 生活交通バス路線維持 通学児童定期補助 福祉タクシー券の発行等 上記の施策が行われており 生活交通の確保を図っている 行政負担 サービスの地域間格差 交通活性化計画 生活交通の現状と問題点の把握


長岡市立地適正化計画概要版目次 1. 立地適正化計画制度の概要... 1 (1) 立地適正化計画策定の背景と目的... 1 (2) 立地適正化計画制度... 1 (3) 立地適正化計画の位置付け... 2 (4) 計画の対象区域... 2 (5) 計画期間 長岡市の現状と将来見通し.

2 1 都市計画の目標 基本理念 愛知の都市づくりビジョン 平成 29 年 3 月 の都市づくりの理念である 時代の波を乗りこなし 元気と暮らしやす さを育みつづける未来へ の考え方を受け 元気 と 暮らしやすさ に対応した本区域の基本理念を定めます 広域からヒトやモノが集まるとともに 歩いて暮らせ

スライド 1

目次

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Ⅴ.( 仮称 ) 登大路バスターミナル整備計画 3-3. 平面図 (1) 地上部 1 階平面図 33

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

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能代市中心市街地活性化計画

国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告

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交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

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本町二・四・五・六丁目地区の地区計画に関する意見交換会

山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

大阪府営門真住宅まちづくり基本構想 平成 25 年 6 月 大阪府 門真市

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Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

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稲毛海岸5丁目地区

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第 1 章基本計画の策定 1 策定の趣旨 総合計画基本構想では 豊かな自然と歴史 文化につつまれ人と人がつながる市民創造都市高岡 をまちの将来像に掲げ 17 のめざすまちの姿を目標として設定しています 第 3 次基本計画は 基本構想で示した市の基本的な取り組みの方向性に基づき 中期的な視点に立って

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

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目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)


PowerPoint プレゼンテーション

第 5 章都市機能及び居住を維持 誘導するための施策 1. 施策の方向性当市では 人口減少や高齢化が進んだ 20 年後を見据え対応できるよう 都市機能誘導区域における都市機能の維持 誘導 まちづくりと連携した利便性と快適性の高い持続可能な公共交通の構築 居住誘導区域における生活環境の拡充と人口密度の

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スライド 1

8 月 : 新大阪駅周辺地域について 都市再生緊急整備地域の候補となる地域として公表 10 月 : 第 3 回大阪港ベイエリアに関する意見交換会 を開催 11 月 : 旧成人病センター跡地等に関するマーケットリサーチ結果の公表 ( 予定 ) グランドデザイン 大阪都市圏 の推進 淀川沿川の広域連携型

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東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

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柏駅西口北地区まちづくり

石巻市総合計画 方針図 交通に関する方針交通に関する施策 地域連携軸と広域連携軸について市としての一体化の促進と地域間交流 連携の活性化を図るため 地域核を結ぶ地域連携軸の整備を推進する また 地理的条件から他都市との連携が不可欠であるため 地域連携軸の整備とあわせて 他都市との交流を促進する広域連

「新しい都市づくりのための都市開発諸制度活用方針」

長野市中心市街地活性化基本計画の変更について

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1-2 立地適正化計画の役割 立地適正化計画は 都市全体の観点における居住機能や都市機能の立地 公共交通の充実に関する包括的なマスタープランであり 以下のような役割があるとされています 1 都市全体を見渡したマスタープラン 立地適正化計画は, 居住機能や医療 福祉 商業, 公共交通等のさまざまな都市

域 ) 域 ) 百万円 ) 百万円 ) の空き の空き 家 空き 家 空き 店舗を利 店舗を利 用したリ 用したリ ノベーシ ノベーシ ョン件数 ョン件数 件 ) 件 ) 居住人口 32,


PowerPoint プレゼンテーション

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平成 24 年 3 月改訂 茅ヶ崎海岸グランドプラン 西浜駐車場跡地北側に位置する茅ヶ崎警察署職員公舎が取り壊され 平成 23 年 3 月には グランドプランで駐車場機能の確保として位置づけのあった県営茅ヶ崎西浜駐車場が閉鎖された これを受け 海岸利用者のための駐車場を維持し かつ国道 134 号南

(4) 本市の観光スポットは 市内に点在しており 鉄道駅から歩いて行くには遠い距離にあるが 駅前にレンタカー店もなく 観光スポットへ向かう二次交通が不便なため 特に車を持たない観光客を取りこぼしている状況である このことは 加速化交付金事業で観光の拠点として整備した花木センターへの誘導を検討する際に

住まい まちづくりの基本目標と基本的施策の展開方向 1. 住まい まちづくりの理念と基本目標 だれもが安心して住み続けたいと感じる魅力ある とだ の住まい まちづくり を政策の基本理念とし これを実現するために次の 3 つを基本目標として総合的な施策を図るものとします 基本目標 -Ⅰ 多様なニーズに

目 次 1 小牧駅周辺のまちづくりに関する基本的考え方 1 2 小牧駅周辺の将来像 2 3 A 街区の位置づけ 5 4 A 街区 ライフ サポート オアシス の機能構成イメージ 6 5 交通結節点 広場の再整備 7 6 A 街区整備の進め方 8 7 結び 8

平成17年度予算案事業本部・局別記者発表日程表(案)

Transcription:

青森市行政視察報告書 2011 年 9 月 1 日 甲府市議会議員 神山玄太 視察 : 青森市日時 :2011 年 8 月 22 日 ( 月 ) テーマ : (1) 新青森駅と市内中心部の関わり及びコンパクトシティのまちづくりについて (2) 中心市街地活性化基本計画の進捗状況について 新しい玄関口である新青森駅と中心市街地との流動性 関連性の確保策 従来の中心の青森駅が新幹線の駅とならなかったことによる影響 新青森駅周辺と市内中心部との機能分担 コンパクトシティを目指したまちづくりに新幹線開業が及ぼした影響 視察理由 2027 年にリニア中央新幹線が品川 ( 東京 ) 名古屋間で開業することに伴い 山梨県内においては 甲府盆地南部地域にリニア駅が建設されることになった しかし 新たに作られるリニア駅は甲府市の中心市街地から離れていることから 中心市街地活性化において大きな課題となることが予想されている 青森市においても 東北新幹線新青森駅と市内中心部が離れていることから 青森市のまちづくりへの取り組みは リニア時代の甲府市のまちづくりにおいて大いに参考になると考え 視察した 青森市の状況 課題 特別豪雪地帯 の指定を受ける多雪都市 除雪 排雪の費用を抑えるためにコンパクトシティの形成を模索 都市の拡大を抑制する都市計画 機能的で効率的な土地利用を誘導インナー ミッド アウターの区分で土地利用公共交通を基本とする交通体系の確立 1

コンパクトシティ構想 2つの柱 ( 郊外の開発抑制 + 中心市街地の活性化 ) まちなか住み替え事業 や 家賃補助制度 を行っているが 借りたい人はいるが 貸したい人がいない という状況 コンパクトシティという構想だけでは 民間資本は動かない (= 補助金などのインセンティブが必要 ) 中心市街地活性化の目標は 歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間 ( ウォーカブ ルタウン ) の創造 新青森駅周辺整備は青森市の事業 中心市街地活性化に支障となる大規模集客施設整備を用途と地区計画により制限 市内の中心市部において 昔からの土地や家屋所有者が その不動産を賃貸したり手放したりしない (= 甲府の中心部と共通の問題点 ) 中心市街地の活性化に対する考えや思いが統一されておらず ( 目的が共有されておらず ) 店舗や土地の貸し渋りが発生し 空き店舗 空き地が多く存在する 新青森駅と青森駅周辺の中心市街地は離れているが 従来の青森駅周辺をまちづくりの核として位置づけ 再整備した 新青森駅に大規模なターミナル機能を持たせない ( 山梨県の方針と逆の考え方 ) 新青森駅から青森駅に移動した上で 従来の公共交通を利用して市内各地へ移動 2

16 年後にはリニア駅はできるのだから 開業に向けてのまちづくりは早めに取り組むべき まちづくりのターゲットは何か コンセプトは何か 打ち出すべき新しい形で 10 年先のライフサイクルを考え 活性化策を推進すべき まとめ: 神山玄太の考え 青森市の年間積雪量は約 624cmになり 市道の除排雪経費は約 18.9 億円にもなる ( 過去 10 年平均 ) そのため青森市のまちづくりは常に雪との関わりを考慮せざるをえず その過程の中でまちづくりの基本理念としてコンパクトシティの形成が打ち出され 定着していった 東北新幹線の新青森駅が新しい青森市の玄関口として開業しても 新青森駅を市内交通の新しいターミナルとして整備することなく いままでの市街地の中心だった青森駅を再整備してターミナル機能の利便性を向上させた それは 雪に対応するまちづくりとしてコンパクトシティを打ち出しているためで 郊外の開発を抑制するという考えに沿った判断だった そのため東北新幹線で新青森駅に到着した者は 乗用車やタクシーを利用して移動する以外は 一度 青森駅まで移動してから公共交通機関を利用しなくてはならない これは 従来の青森駅周辺の中心市街地の機能を維持し 青森駅周辺をまちづくりの核とするという意識の表れである 青森市の新青森駅周辺整備は 山梨県がリニア駅にターミナル機能を持たせるとした方向性 とは逆の発想を持っているが これは豪雪地帯のまちづくりにおいて コンパクトシティの形 成を打ち出さなくては生き残れない青森市の特徴といえる 今回の青森市視察で得たことは リニア駅はできるのだから リニア時代のまちづくりに早く取り組むべきだ ということ 青森市は豪雪地帯のまちづくりとしてコンパクトシティを打ち出して 取り組んだ 甲府においては リニア時代のまちづくりのターゲットは何か コンセプトは何か そのビジョンを打ち出してまちづくりを進めていかなくてはならない 3

八戸市行政視察報告書 2011 年 9 月 3 日 甲府市議会議員 神山玄太 視察 : 八戸市日時 :2011 年 8 月 22 日 ( 月 ) テーマ : (1) 中心市街地の活性化に関わる事業について 株式会社まちづくり八戸の事業 八戸ポータルミュージアムはっちの事業 (2) 東北新幹線中間駅を抱えるまちづくりについて 市内中心部と東北新幹線八戸駅との流動性 関連性の確保 新幹線の終点駅から中間駅への移行に伴うまちづくりの変化 視察理由 2027 年にリニア中央新幹線が品川 ( 東京 ) 名古屋間で開業することに伴い 山梨県内においては 甲府盆地南部地域にリニア駅が建設されることになった しかし 新たに作られるリニア駅は甲府市の中心市街地から離れていることから 中心市街地活性化において大きな課題となることが予想されている 八戸市の中心市街地活性化事業は みろく横町のにぎわい創出など 注目すべき点が多い その中でも新たに建設された八戸ポータルミュージアムはっちの運営や株式会社まちづくり八戸の事業が顕著であり その取り組みについて話を伺った また八戸市においても 東北新幹線八戸駅と市内中心部が離れていること そして新幹線の中間駅を抱えていることから 八戸市のまちづくりの取り組みは リニア時代の甲府市のまちづくりにおいて大いに参考になると考え 視察した 4

八戸市の状況 課題 東北本線が開業した当時から 八戸市の入り口である八戸駅 ( 開業当時は尻内駅 ) と市 内中心部が離れていた 市民の足としての公共交通が整備されている 八戸市営バスと南部バスの路線があり 競争がある 市内居住地の約 90% がバス停から500m 以内でカバーされている 八戸ポータルミュージアム はっち でその取り組みを伺う 東北新幹線八戸駅の開業の際 移動( モビリティ ) の流動性の確保が課題となる 既存の地域生活交通としての路線バスが確立されていた 既存の路線バスのポテンシャルを活かすことで 既存の地域生活交通を維持した 八戸駅のバス停を業者別から 行き先別に変更し 利便性を高めた 東北新幹線八戸駅の開業の際に 新幹線の発着時間にあわせたシャトルバスを中心市街地と八戸駅間で運行を開始したが 利用者は少なかった ( のちにシャトルバスは廃止 ) シャトルバスと通常の路線バスの違いが明らかではなく 分かりにくかった 新幹線の発着時間にあわせた運行だと 乗りたいときに乗ることができず 不便 = 八戸市内で運行している2 社 ( 南部バス 市営バス ) が協力し 運行ダイヤの見直しを進める中で 10 分間隔で中心市街地と八戸駅を結ぶことになった 5

歴史的に八戸市の中心部に幹線鉄道の駅がない 東北新幹線八戸駅が中心部から約 5km ほど離れたところに建設されたが 大きな影響は生じなかった 東北新幹線八戸駅が開業しても 八戸駅は都市の中心機能を持たなかった 八戸市が目指すコンパクトシティ = モビリティのあるコンパクトシティ 公共交通で中心部の都市機能集積地と生活空間をつなげる = 車社会の見直し 青森市のコンパクトシティ構想との違い = 八戸は積雪量が少ない まとめ: 神山玄太の考え 八戸市の路線バスには 主に南部バスと市営バスの2つの運行会社があり 競争する環境の中 質の高いサービスが提供されてきていた 利用者は近年 減りつつあるとはいえ 市民の公共交通を使うという意識は高い都市であると言える また 東北新幹線八戸駅は中心市街地から 5km ほど離れたところにある JR 東北本線八戸駅 に建設されたが そもそも歴史的に八戸市の中心街は幹線鉄道の駅から遠かったため 新幹線 の開業後も 駅が離れていることによる大きな生活の変化は生じなかった 東北新幹線八戸駅と中心市街地を 10 分間隔で路線バスを運行できるのは 八戸市における 路線バスのポテンシャルの高さを物語っている 甲府市において考えた場合 既存の公共交通が苦戦している中 リニア中間駅と JR 甲府駅や 中心市街地のアクセスにおいて 効果的に公共交通機関を使うためには まず公共交通に対す る市民の意識を変えるところから始めなくてはならない 今後の甲府のまちづくりにおいて 公共交通をどのように位置づけていくか 検討し 市民 に説明する必要がある 6