日本金属学会誌第 75 巻第 8 号 (2011)438 444 高麗青銅貨 ( 海東通寶 ( ヘドントンボ )) の表面腐食層の微細構造 崔禎恩 1 北田正弘 2 東京芸術大学大学院美術研究科 J. Japan Inst. Metals, Vol. 75, No. 8 (2011), pp. 438 444 2011 The Japan Institute of Metals Microstructure of Surface Corrosion Layer of Bronze Coin Headontongbo Fabricated in the Koryo Period (11 th Century) Jung Eun Choi 1 and Masahiro Kitada 2 Graduate School of Fine Arts, Tokyo University of the Arts, Tokyo 110 8714 The microstructure of the surface corrosion layer of the bronze coin Headongtongbo fabricated in the Koryo period (11 th 12 th centuries) in Korea has been investigated. The coin was first produced in 1097 and had been circulated in the first Koryo dynasty. Optical microscopy, scanning electron microscopy, energy dispersive X ray spectroscopy (EDS), transmission electron microscopy (TEM) and X ray diffraction (XRD) were used to determine the structure of the specimen. The matrix composition of the specimen is Cu 6.1 mass Sn 1.4 mass Pb 0.5 mass S. Metallic phase acu, Pb and Cu 2 S are observed in the bronze matrix. The surface corrosion layer consists of brown, grayish brown and greenish corrosion matters. The closer to the surface, the Cu concentration decreases. Conversely, the closer to the surface, Pb and Sn concentrations increase. The brownish layer consists of CuO. A mixture of Cu 2 O, CuO and SnO 2 is observed from the grayish brown layer on the acu matrix. The greenish corrosion layer is malachite (Cu 2 (CO 3 ) 2 (OH) 2 ) containing Sn and Pb. Chlorine introduced from the environment is detected from a part of the corrosion layer. (Received March 9, 2011; Accepted May 6, 2011) Keywords: ancient bronze coin, Headongtongbo, copper, tin, lead, corrosion layer, copper oxide, tin oxide, basic copper carbonate 1. 緒言 高麗時代に発行された海東通寶 ( ヘドントンボ ) は 1097 年に製造され, 高麗時代に本格的に流通した初めての貨幣であり, 韓国においては歴史的な意味が大きい文化財である. 前報では高麗時代の海東通寶の金属組織について述べた 1). 一般に銅製の古文化財表面には緑色の腐食物が生成するが, 保存された環境により腐食の挙動はかなり異なっている. 銅合金製文化財の腐食挙動を観察した研究は多く, たとえば, 銅銭に関してはローマ銅銭遺物の表面に生成されているシマ状の腐食層の観察 2), 屋外における Cu の腐食に関しては Cu の表面腐食と色に及ぼす環境条件の影響 3), 銅屋根板の酸性雨による腐食挙動の観察 4) など様々な研究がある. 一方, 美術工芸分野では, 着色を目的にした煮色技術があり, これで着色した赤銅 (Cu 4 mass Au ) 5), 四分一 (Cu 20 mass Ag) 6), 真鍮 (Cu 35 mass Zn) 7) および Cu 8) などの表面に生じた酸化物層などが研究されている. これらの着色層は基本的に Cu 2 O からなり, その中に Au ナノ粒子, 1 東京芸術大学大学院生 (Graduate Student, Tokyo University of the Arts) 2 東京芸術大学名誉教授 (Professor Emeritus, Tokyo University of the Arts) Ag 粒子, 硫化物などが存在し, これらの粒子が入射光と光学的に相互作用を起し, 着色する. このように現代の材料のみならず, 伝統的材料についても数多く表面分析が行われており, これらのデータの蓄積はこれからの銅合金製文化財の保存に役立つものである. ただし, 銅合金製文化財の組成や不純物は様々であり, 環境と放置された時間も異なるので, 個々の文化財について詳細構造を観察し, 全体像を明らかにしていくことが必要である. しかしながら, 古文化財に関してのナノスケールまでの詳細な研究は著者らを除くと極めて少なく, これからの研究発展のためには, ナノスケールまでの基礎データの蓄積が必要である. 本研究の目的は 11 世紀の韓国で発行された高麗青銅貨である海東通寶の表面腐食の微細構造を観察し, 将来の文化財保存に役立つ基礎データを得ることである. 2. 実験方法本研究で用いた試料は前報 1) で用いた, 高麗時代に製作された海東通寶である. 発行された年代は 11 世紀で, 試料の直径は平均 23.4 mm, 重量は 0.0048 kg(4.8 g) である. また, 中央には一辺約 5mmの矩形の穴がある. 表面は緑色の錆に覆われており, 割れなどの傷はない.
8 第 号 高麗青銅貨(海東通寶(ヘドントンボ))の表面腐食層の微細構造 試料の表面観察には光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡 439 が検出された (SEM)を用いた 組成は EDS にて分析した また 表面腐 試料表面は全体的に緑色の錆で覆われているが 部分的に 食層の結晶構造の解析には X 線回折(XRD)を用いた 表面 黒 赤茶色の腐食が見られる 表面近傍に存在する緑色腐食 層の微細構造の観察には透過電子顕微鏡( TEM 日立 H と地金を含む領域の光学顕微鏡像を Fig. 1 に示す Fig. 1 9500)を用いた TEM 観察用薄膜試料はフォーカスド イ には色の異なる 4 種の領域が観察される 茶色の Cu 地金の オンビーム(FIB 日立 FB 2100)法で切り出した 周囲では腐食部分が層状になっている この地金の周辺領域 に着目すると 地金は灰褐色の腐食生成物に囲まれている 実験結果および考察 3. 3.1 さらに 灰褐色腐食生成物の周囲に赤茶色の相が存在し 赤 茶色の領域は帯状に広がっている 灰褐色および赤茶色の領 表面腐食層 域は 色から推定して亜酸化銅(Cu2O )および酸化銅(CuO) 用いた試料の合金組成は 表面に形成されている緑色腐食 と考えられる その周囲には緑色の領域が広がっている 緑 物領域を十分に取り除き 腐食の影響がない金属部分を露出 色領域はいわゆる緑青である 緑青の典型的な化合物は水酸 さ せ て EDS で 分 析 し た 得 ら れ た 平 均 組 成 は Cu 6.1 化炭酸銅(malachite: Cu2(CO3)2(OH)2)であるが 腐食環境 mass Sn 1.4 mass Pb 0.5 mass S であり 痕跡量の As によって brochantite ( CuSO4 3Cu ( OH )2 ) 水酸化塩化銅 (atachamite: CuCl 3Cu(OH)2)9)などが生成する Fig. 1 の 緑色領域は上記化合物のいずれかと推定される また 白緑 色の帯状領域および赤茶色粒子などが点在している これら は緑青に変化する前の酸化銅および合金中の他の元素を含む 化合物と考えられる10) 上述の Fig. 1 の地金周辺を含む領域の拡大した光学顕微 鏡像を Fig. 2(a) 同じ領域の SEM 像を(b)で示す 光学顕 微鏡像(a)中の A で示す領域は上述の地金 B で示す領域は Cu 酸化物 C で示す領域は緑青である 光学顕微鏡像(a)の B で示した灰褐色と赤茶色に見える酸化銅領域は光学顕微鏡 では 2 層として観察されるが (b )の SEM 像では僅かな明 るさの差として観察される これは CuO と Cu2O で組成の 差が少ないためである ( b )の SEM 像では 水酸化炭酸銅 粒子の周囲に溝あるいは空洞が観察され チャージアップし た像になっている この部分は光学顕微鏡で白緑色の部分と 一致しており 白緑色に見えるのは 空洞などのために水酸 Fig. 1 Optical microsopy image of surface corrosion area of Korai bronze coin. Fig. 2 化炭酸銅の色が薄くなっているものと考えられる 地金を含まない緑色腐食領域から得られた XRD スペクト Magnified optical micrograph (a) and SEM image (b) of corrosion area shown in Fig. 1.
440 日本金属学会誌 (2011) 第 75 巻 ルを Fig. 3 に示す. 検出された化合物は亜酸化銅 (Cu 2 O), 酸化銅 (CuO ), 酸化錫 (Sn 2 O ) および水酸化炭酸銅 (malachite: Cu 2 (CO 3 ) 2 (OH) 2 ) および酸化鉛 (PbO 2 ) である. この結果から,Cu, Sn および Pb はそれぞれが O を含む腐食生成物である. 酸化銅は 2 種検出されたが, 前述の Fig. 2 (a) で示した色の異なる B 領域が 2 種の酸化銅に相当する層と考えられる. 一般に Cu の酸化は Cu 2 O から始まり,CuO へと変化するので, 地金に近い層が Cu 2 O とみなされる. 3.2 透過型電子顕微鏡観察上述した表面緑色腐食部分をさらに詳しく観察するために TEM で観察した.Fig. 2 の地金 A から緑青領域 C を含む部分を FIB で試料を切り出した. この断面 TEM 像を Fig. 4 に示す.A, B および C 領域は同様な厚さであるが A から Fig. 3 XRD spectrum of corrosion areas shown in Fig. 1. C の順に明るくなっており, 電子線の透過率が高い. これは O などの軽元素の含有量の差とみられる.C 領域ではさらにコントラストの異なる領域が存在する. 地金領域 A の電子回折図形を Fig. 4 の TEM 像の左に示す. これは Cu (JCPDS04 0836) と一致する. 次に,Fig. 4 の A 領域の EDS スペクトルを Fig. 5 に示す. 組成は Cu 5.8 mass Sn 0.4 mass Pb であり,As が微量検出された. この組成は前述の地金合金組成 (Cu 6.1 mass Sn 1.4 mass Pb 0.5 mass S) に比較すると Sn, Pb などが減少している. これは Sn 等が優先的に表面で酸化されてその濃度が減少したためと考えられる. 続いて Fig. 4 の B 領域の EDS スペクトルを Fig. 6 に示す. 組成は Cu 11.2 mass Sn 8.7 mass O 7.1 masss Pb 1.4 mass Cl であり,Cu 29.6 mol O 5.1 mol Sn 2.1 mol Cl 1.8 mol Pb の mol 濃度である.A 領域より Cu 濃度が減少し,Sn および Pb 濃度が高い.O が検出されたことから,B 領域が酸化層であると判断できる. 母材の Cu 合金から Sn が表面に拡散して酸化されていることを示す. また, 地金の A 領域からは検出されなかった Cl( 塩素 ) と O が検出された. ここで検出された Cl はブロンズ病 11) と呼ばれる進行性腐食の原因になる成分であり, 環境中から進入したものである. ブロンズ病は銅表面に生成された塩化第一銅 (CuCl) が空気中の水分および二酸化炭素と反応を繰り返し, 塩基性塩化銅 (CuCl 2 3Cu(OH) 2 H 2 O) を生成しながら内部に進行し, 銅系の文化遺物を崩壊させていく腐食である. 領域 B の中央部を高倍率で観察した結果を Fig. 7 に示す. ここには 3 種の異なる結晶格子像が観察された. これら 3 種の結晶格子像とそれらをフーリエ変換した再生電子回折図形を Fig. 7 中に B1,B2 および B3 で示す. これらの再生電子回折図形を解析した結果,B1 は CuO(JCPDS48 1548 ),B2 は SnO 2 ( JCPDS41 1445 ),B3 は Cu 2 O Fig. 4 Cross sectional transmission electron micrograph of surface corrosion area shown in Fig. 2.
第 8 号 高麗青銅貨(海東通寶(ヘドントンボ))の表面腐食層の微細構造 Fig. 6 Fig. 5 441 EDS spectrum of area B shown in Fig. 4. EDS spectrum of area A shown in Fig. 4. Fig. 7 Lattice image of area B shown in Fig. 4. Reproduced electron diffraction patterns obtained from areas B1, B2 and B3 are shown. ( JCPDS05 0667 ) と 一 致 し た こ れ ら の 結 果 B 領 域 は に コントラストの異なる領域がある 比較的明るい下の層 CuO, Cu2O および SnO2 の混合層である ただし XRD で を C 1 最表面の層を C 2 で示す Fig. 8 の点線で囲んだ 検出された Pb 酸化物を観察することができなかった これ B と C 1 の境界領域をさらに拡大した TEM 像を Fig. 9 に は TEM の観察範囲が狭いためと思われる 示す C 1 の領域には 5 30 nm 程度の円形に近い粒子が多 酸化物層 B 領域と C 領域の境界部分の高倍率の TEM 像 数観察され 粒子の密度が高い部分もある これらの粒子を を Fig. 8 に示す C の領域 には Fig. 4 で も明 らかな よう 含む C 1 領域の EDS スペクトルを Fig. 10 に示す 組成は
442 日本金属学会誌 (2011) 第 75 巻 Fig. 8 Transmission electron microscopy images of areas B andcshowninfig.4. Fig. 10 EDS spectrum of area C 1 shown in Fig. 9. Fig. 9 Magnified transmission electron micrograph of area C 1 dotted rectangle shown in Fig. 8. Cu 37.3 mass O 6.4 mass Pb であり,mol は Cu 71.7 mol O 0.9 mol Pb である.Si と Sn が微量検出された. C 1 領域は上述した B 領域に比べると Sn の濃度が極めて低く,O の濃度が高くなっている. この層の Sn 濃度が低い理由は不明であるが, 腐食条件や腐食層内部での SnO 2 の拡散挙動や相安定性に関係していると思われる. Fig. 9 で点線で囲んだ領域の円形状粒子の結晶格子像およびフーリエ変換図形を Fig. 11 に示す. 再生電子回折図形を解析した結果, 水酸化炭酸銅 (Cu 2 (CO 3 ) 2 (OH) 2 ) と一致した. したがって,C 1 層から見られる円形粒子は緑色の水酸化炭酸銅である. 一方, マトリックスからは格子像が得られず, アモルファスとみなされる. 領域 C 2(Fig. 8) の高倍率 TEM 像とその一部の格子像お よびフーリエ変換した電子回折図形を Fig. 12 に示す.C 2 領域のマトリックスはアモルファスで, その中にも微細な粒子が観察される. この領域の EDS スペクトルを Fig. 13 に示す. 組成は Cu 26.5 mass O 21 mass Sn 14.4 mass Pb であり,mol では Cu 66.2 mol O 7.1 mol Sn 2.8 mol Pb である.C 2 領域は C 1 領域で微量しか検出されなかった Sn と Pb の濃度が比較的高く検出された. 微量検出された Si および P は地金からは検出されないので, 大気中や土などからの外部由来元素と考えられる.C 2 領域の微粒子の格子像をフーリエ変換で解析すると, 大部分は水酸化炭酸銅 (Cu 2 (CO 3 ) 2 (OH) 2 ) である. ただし, 微粒子の一部 (Fig. 12 の矢印で示す ) の再生電子回折図形はリング状でブロードであるが,SnO 2 の (011) とほぼ一致する. したがって,C 2 領域は水酸化炭酸銅中に SnO 2 粒子が混合している状態と考えられる.SnO 2 は無色なので表面腐食層の色に強い影響は持たないものと考えられる.Pb 化合物の粒子は検出されなかった. また, この層のマトリックスには格子像が得られない領域もあり,TEM EDS と格子像観察結果から, アモルファスと酸化物からなっていると思われる. ブロンズ病の原因とされる Cl は地金に近い部分から検出されたが, 他の腐食層からは検出されなかった. ブロンズ病の初期段階では肉眼では観察できない小さな針孔状のピットを形成し, それが拡大しながら同時に内部で腐食を増大すると言われている 11). また, ハロゲン元素は化学輸送を担う元素として良く知られており, 化学ポテンシャルにそって移動し, 結合と解離を繰り返して化合物を形成する. 本研究では Cl の挙動を詳しく把握できなかったが, その解明は今後の研究課題である. 以上のように腐食層中の成分について大略の結果が得られたが, まだ, 不明な点も多く, 引き続き詳細な検討を進めていく.
8 第 号 高麗青銅貨(海東通寶(ヘドントンボ))の表面腐食層の微細構造 443 Fig. 11 Lattice image of nano grains of area C 1 dotted rectangle shown in Fig. 9. Fourier transformed electron diffraction pattern of dotted circle area is shown. Fig. 12 Transmission electron micrograph of boundary area of C 1 and C 2 shown in Fig. 8. Lattice image and Fourier transformed electron diffraction pattern of area C 2 are shown. (OH)2)である 結 4. 言 最表面の水酸化炭酸銅(Cu2(CO3)2(OH)2)の領域には Sn, Pb が含まれる 高麗銭 海東通寶の表面腐食層の微細構造について検討し た 得られた結果を以下に述べる 表面腐食物は主に銅酸化物および水酸化炭酸銅 (Cu2(CO3)2(OH)2)からなる 地金近くの腐食領域には CuO, Cu2O および SnO が混 在した領域が存在する 腐食層中には外部環境から滲入したものと考えられる Cl が存在する 青銅文化財の多くは表面に緑色の錆で覆われているが 環 境に依存するので腐食層の構造は複雑である 今後 多くの 高麗青銅品の表面分析を行い 保存に役立つデータを蓄積す る計画である 表面近傍層には円形に近い微粒子が多数観察され 格 子像を解析した結果 これらは水酸化炭酸銅( Cu2 ( CO3 )2 本研究を進めるにあたり 東京芸術大学大学院の桐野文良
444 日本金属学会誌 (2011) 第 75 巻 教授, 透過型電子顕微鏡の観察にご協力くださった 株日立ハ イテクノロジーズの多持隆一郎氏, 佐藤岳志氏, 仲野靖孝氏, 格子像解析にご協力戴いた永田文男博士に深謝する. 文 献 Fig. 13 EDS spectrum of area C 2 shown in Fig. 13. 1) J. E. Choi and M. Kitada: J. Japan Inst. Metals 74(2010) 30 35. 2) G. M. Ingo, T. De Caro, C. Riccucci and S. Khosroff: Appl. Phys. A, Materials Science & Processing 83(2006) 581 588. 3) M. Kohei and T. Ozaki: Journal of the JCBRA 38(1999) 287 290. 4) Y. Yamaguchi and K. Morimoto: Journal of the JCBRA 38 (1999) 70 75. 5) M. Kitada: J. Japan Inst. Metals 69(2005) 1069 1076. 6) M. Kitada: J. Japan Inst. Metals 71(2007) 295 303. 7) M. Kitada, M. Horiguchi and I. Iino: Bulletin of the Faculty of Fine Arts, Tokyo University of the Arts 34(1999) 5 44. 8) M. Kitada, I. Iino, R. Miyata, M. Horiguchi and S. Niiyama: Bulletin of the Faculty of Fine Arts, Tokyo University of the Arts 41(2004) 5 17. 9) D. A. Scott: Copper and Bronze in Art, (Getty Publications, 2002) pp. 100 144. 10) J. E. Choi and M. Kitada: J. Japan Inst. Metals 73(2009) 381 386. 11) M. Sawada: Note Book on Conservation Science of Cultural Properties, (Kinmiraisha, 2005) pp. 117 119.