水門 陸閘等の閉鎖 ~ 総合的な対策の推進 ~ 現場操作員の安全の確保と 確実 迅速な閉鎖で南海トラフ巨大地震を迎え撃つ ハード対策 閉鎖作業の負担軽減や迅速化 1) 利用の少ない陸閘等の常時閉鎖 統廃合 2) 労力や時間を要する陸閘等の電動化 3) 津波の到達時間が短く閉鎖が困難な箇所の自動化 常時閉鎖統廃合電動化自動化 写真 : 国土交通省 神奈川県資料 ソフト対策 操作に従事する者の安全確保と確実な閉鎖 水門 陸閘等の操作指針を策定 ( 平成 25 年 3 月 ) 1) 水門 陸閘等の操作の明確化 ( 閉鎖基準 操作対象施設 ) 2) 体制づくりの強化 ( 配備体制 操作マニュアル作成 ) 3) 訓練の実施 ( 定期的な操作や情報伝達等訓練 )
津波に対する水門 陸閘等の操作指針について 1. 目的 本指針は, 水門 陸閘等に関して, 海岸, 河川, 港湾, 漁港等の管理者 ( 以下 施設管理者 という ) と現場操作員が平常時及び津波発生時に実施すべき事項や, 施設に関する閉鎖基準等及び配備体制などの基本的な方針を定め, 本県沿岸に襲来する津波に対し, 現場操作員の安全を確保した上で, 迅速 確実に水門 陸閘等を閉鎖することにより, 県民の生命, 身体及び財産を保護し, 津波に対する防災 減災に資することを目的とする 2. 適用範囲 本県に影響を及ぼす津波を対象とする 海岸 河川 港湾 漁港等の管理者が管理する水門 陸閘等で H24.10.31 公表の津波浸水想定区域内に存する施設を対象とする 3. 水門 陸閘等の操作等 (1) 基本方針 現場操作員の安全確保を最優先 地震情報の内容により注意報発表前でも閉鎖 注意報時は予め選別した操作対象施設を閉鎖 警報時は可能な限り全閉鎖 (2) 水門 陸閘等の操作 1 閉鎖基準 2 操作の指示等 3 操作対象施設 4 開門基準 5 操作の報告 津波到達予想時刻の 10 分前までを目安に避難完了 指示前の活動開始を位置づけ 注意報 : 敷高等で選別警報 : 原則全施設閉鎖 注意報 警報の解除により判断 閉鎖 開門の報告を義務づけ (3) 体制づくり等 1 配備体制整備 2 連絡体制表 3 操作マニュアル 4 台帳整備保管 5 地域住民への周知 職員 現場操作員の適切な配備 現場操作員への伝達系統等作成 施設ごとに作成整備 操作 避難時間周辺環境も整理 閉鎖基準や操作員の活動内容を周知 4. 閉鎖作業の軽減 迅速化等 施設の点検 維持管理電動化 統廃合 常時閉鎖 5. 訓練の実施定期的に操作や情報伝達の訓練を行う
閉鎖基準 水門 陸閘等の操作等 津波到達予想時刻の 10 分前までを目安に現場操作員の避難が完了できる場合に行う 準備時間 + 移動時間 + 操作時間 + 避難時間 + 安全時間 < 津波到達予想時間 準備時間 : 地震発生から現在地等を出発するまでに要する時間移動時間 : 現在地等から水門 陸閘等までに要する時間 ( 距離 / 移動速度 ) 移動速度は 44m/ 分注 ): 津波からの避難実態調査 ( 東日本大震災 ) 国土交通省による操作時間 : 水門 陸閘等を閉鎖するのに要する時間避難時間 : 安全な場所への避難に要する時間 ( 距離 / 移動速度 ) 安全時間 : 不確定要素を考慮した余裕時間 ( 目安 10 分 ) ただし 市町等が策定する震災対応マニュアル等において, 現場操作員の安全確保を最優先として, 水門 陸閘等の閉鎖活動以外の活動内容や, 避難困難地域が広いなどの状況を考慮して別に定める場合はこの限りでない 注 ) この数値は南海トラフ巨大地震を前提としたものであり, 震源地や警報の種別及び発生時間等で異なる 閉鎖活動の途中でも安全な避難に必要な時間が確保できなくなるおそれのあるときは, 活動を直ちに中止し, 避難する 操作対象施設の基準 開放していることで背後地等が浸水する恐れがある水門 陸閘等を対象 津波注意報 : 朔望平均満潮位 +1.0m( 津波予想高上限値 ) 水門等敷高津波警報 大津波警報 : 原則全ての水門 陸閘等を閉鎖 対象施設は 地域の状況 ( 背後地盤高 利用状況等 ) も考慮し決定するものとする 朔望平均満潮位 : 讃岐阿波沿岸 (1.026m) 紀伊水道西沿岸 (0.876m) 海部灘沿岸 (0.917m) 朔 ( 新月 ) 及び望 ( 満月 ) の日から前 2 日後 4 日以内に現れる各月の最高満潮面を平均した水面朔朔 ( 新月 ) および望 ( 満月 ) の日から5 日以内に観測された各月の最高満潮面の平均値 ( 新月 ) および望 ( 満 閉鎖基準 月 ) の日から5 日以内に観測された各月の最高満潮面の平均値 操作対象施設 津波注意報
津波に対する水門 陸閘等の操作指針 平成 25 年 3 月 徳島県
はじめに 平成 23 年 3 月 11 日, 三陸沖を震源域として発生した東北地方太平洋沖地震は, 我が国観測史上最大のマグニチュード 9.0 の巨大地震で, 想定をはるかに超える地震 津波により, 東北地方を中心に広い地域で甚大な被害が発生し, 未曾有の大災害となりました この東日本大震災において, 自治体職員や消防団員等は, 津波から背後地等の 人命や財産を守る という強い使命感と責任感から, 自らが被災者であったにも関わらず, 水門 陸閘等の閉鎖や住民の避難誘導, 救助活動などを献身的に行いました そして, その最中に津波に襲われ, 多くの方々の尊い命が失われたという事実は, 業務の危険性を再認識するとともに自治体職員や消防団員等の活動中の安全をいかに確保するのかという大きな課題を残しました 東日本大震災の際, 本県にも大津波警報が気象庁から発表されたことから, 自治体職員や消防団員等の水門 陸閘等の操作に従事する者 ( 以下 現場操作員 という ) は, すべての水門 陸閘等の閉鎖を行いました このときは, 一部の地域で津波による被害が出ましたが, 現場操作員は無事に水門 陸閘等の操作活動を終えることができました しかしながら, 本県には津波時の水門 陸閘等に関する指針となるものが無いことから, 近い将来, 発生が危惧される南海トラフの巨大地震による津波に対する備えが万全とは言えない状況となっています このため, 本県では, 現場操作員の安全確保に向けた取組みとして, 平成 24 年 6 月の徳島県水防計画の改正で, 津波における留意事項や安全配慮について明記し, 現場操作員の避難時間を確保した上で水防活動を実施することを定めました 本指針は, この水防計画の考えに基づき, 津波に対する防災 減災に資することを目的として, 本県に 津波注意報 津波警報 大津波警報 が気象庁から発表され被害が想定される場合に, 現場操作員が水門 陸閘等を安全かつ迅速 確実に閉鎖することや, 平常時における施設整備, 維持管理等について, 施設管理者が基本とすべき内容を定めるものです 今後は, この指針を踏まえて, 施設毎の職員 現場操作員の適切な配備や台帳の整備等を行うとともに, 地域住民や関係機関への協力 周知を進め, 来るべき大規模な災害等に備えて参ります 1
1. 目的本指針は, 水門 陸閘等に関して, 県の海岸, 河川, 港湾, 漁港等の管理者 ( 以下 施設管理者 という ) と現場操作員が平常時及び津波発生時に実施すべき事項や, 施設に関する閉鎖基準等及び配備体制などの基本的な方針を定め, 本県沿岸に襲来する津波に対し, 現場操作員の安全を確保した上で, 迅速 確実に水門 陸閘等を閉鎖することにより, 県民の生命, 身体及び財産を保護し, 津波に対する防災 減災に資することを目的とする 2. 適用範囲本指針の適用範囲は, 以下のとおりとする 本指針の対象とする津波は, 南海トラフの巨大地震に伴う津波をはじめ, 本県に影響を及ぼす津波を対象とする 本指針の対象とする水門 陸閘等は, 施設管理者が管理する施設であり, 平成 24 年 10 月 31 日に本県が公表した津波浸水想定区域内に存するものとする 3. 水門 陸閘等の操作等 (1) 基本方針水門 陸閘等の閉鎖については, 現場操作員の安全確保を最優先とした上で, 次の基本方針により行うものとする 津波注意報発表時には, 閉鎖することにより内水氾濫による被害が津波による被害よりも大きいと予想されるなど支障のある水門 陸閘等を除き, 原則として, 閉鎖しなければ背後地等が浸水する恐れがあると予め選別した水門 陸閘等について, 閉鎖するものとする 津波注意報発表前であっても, 事前の地震情報等で津波注意報が発表される可能性がある場合は, 施設管理者の指示により閉鎖するものとする 津波警報, 大津波警報発表時には, 現場操作員の安全確保をした上で, 全ての水門 陸閘等を閉鎖するものとする ただし, 現場操作員が, 水門 陸閘等の閉鎖活動以外の救助活動や避難誘導等により人命救助を優先しなければならない場合や避難時間を確保できない恐れがある場合は, この限りでない 南海トラフの巨大地震と考えられるこれまでに経験したことのない強い揺れや弱くても長い揺れを感じた場合には, 津波警報や大津波警報が発令されたものとして,(2)1の操作に関する判断基準に基づいて予め定めた方針により対応するものとする 2
(2) 水門 陸閘等の操作 1 閉鎖基準操作に関する判断基準水門 陸閘等の閉鎖活動は, 現場操作員の安全を考慮し, 津波到達予想時刻の 10 分前までを目安に避難を完了できる場合に行うものとする また, 閉鎖活動の途中でも安全な避難に必要な時間を確保できなくなるおそれのあるときは, 活動を直ちに中止し, 避難するものとする 施設管理者及び現場操作員は, 次の式を活用し, あらかじめ, 南海トラフの巨大地震による津波や遠地津波に対して, 操作時間 ( 活動可能時間 ) の把握をしておくものとする 準備時間 + 移動時間 + 操作時間 + 避難時間 + 安全時間 < 津波到達予想時間 準備時間 : 地震発生から現在地等を出発するまでに要する時間 移動時間 : 現在地等から水門陸閘等までに要する時間 ( 距離 / 移動速度 ) 移動速度は 44m/ 分 注 ) : 津波からの避難実態調査 ( 東日本大震災 ) 国土交通省による 注 ) この数値は南海トラフ巨大地震を前提としたものであ り, 震源地や警報の種別及び発生時間等で異なる 操作時間 : 水門 陸閘等を閉鎖するのに要する時間 避難時間 : 安全な場所への避難に要する時間 ( 距離 / 移動速度 ) 安全時間 : 不確定要素を考慮した余裕時間 ( 目安 10 分 ) ただし, 安全時間については, 市町等が策定する震災対応マニュアル等において, 現場操作員の安全確保を最優先として, 水門 陸閘等の閉鎖活動以外の活動内容や, 避難困難地域が広いなどの状況を考慮して別に定める場合はこの限りでない 2 操作の指示等現場操作員は, 施設管理者からの指示により, 水門 陸閘等の閉鎖活動を行うものとするが, 指示前であっても, 津波注意報, 警報等により津波到達予想時刻の情報が入手でき次第, 安全の確保が可能と判断できる場合は, 水門 陸閘等の閉鎖活動を開始するものとする 3 操作対象施設 1) 津波注意報発表時の操作対象施設の基準 3
閉鎖しなければ背後地等が浸水する恐れがある水門 陸閘等を対象とし, 施設管理者及び現場操作員は, 次の基準により事前に選定を行っておくものとする < 対象施設の基準 > 津波注意報 : 朔望平均満潮位 +1.0m( 津波予想高上限値 ) 水門 陸閘等の敷高 背後地の地盤高さや集落, 公共施設の有無及び開口部の交通量等, 地域の状況も考慮し対象施設を決定朔望平均満潮位 : 讃岐阿波沿岸 (1.026m) 紀伊水道西沿岸 (0.876m) 海部灘沿岸 (0.917m) 朔望平均満潮位とは, 朔 ( 新月 ) および望 ( 満月 ) の日から前 2 日後 4 日以内に現れる各月の最高満潮面を平均した水面 2) 警報 大津波警報発表時の操作対象施設の基準原則全ての水門 陸閘等を対象とする ただし, 交通量の多い道路に設置されている陸閘等については, 避難や救助活動の妨げとなる場合があるので, 直ちに閉鎖できる体制を整えた上で, 施設管理者の指示または現場操作員の判断により, 状況を見ながら閉鎖を行うものとする 4 開門基準等閉鎖した水門 陸閘等の開門活動は, 津波注意報, 警報等の解除により施設管理者が判断するものとする 現場操作員は, 施設管理者からの指示により開門活動を行うものとする ただし, 内水排除の必要がある箇所など速やかに開門を要する水門, 樋門や交通量の多い道路に設置されている陸閘等については, この限りではない 5 操作の報告現場操作員は, 水門 陸閘等の閉鎖を完了した時は, 自らの安全を確保した後, 管轄する施設管理者にその旨を報告するものとする ただし, 現場操作員の活動状況や通信の途絶等により報告ができない場合はこの限りでない また, 津波注意報, 警報等解除後については, 水門, 樋門及び必要がある陸閘を開門した時も同様とする 報告を受けた施設管理者は, 情報を取りまとめ所管課に報告するものとする 4
(3) 体制づくり等 1 配備体制施設管理者は, 本県に津波注意報, 警報等が発表された場合に, 安全かつ迅速 確実に閉鎖活動ができるよう, 次の配備体制を整備するものとする 職員の非常体制については, 水門 陸閘等の操作要員及び関係機関への連絡要員を想定した配備体制とする 現場操作員の非常体制については, 水門 陸閘等の操作が速やかに完了できる配備体制を整備するものとし, できる限り現場操作員に複数の水門 陸閘等の閉鎖を任さぬよう努めるとともに, やむを得ず現場操作員が複数の水門 陸閘等を閉鎖せざるを得ない場合には, 予め優先順位を定め, 安全に避難ができないと考えられる場合には, 活動を直ちに中止し, 避難を行うこととするなど安全を確保した上で閉鎖するものとする また, 現場操作員が安全に避難できる体制も整備するものとする 2 連絡体制表施設管理者は, 現場操作員が迅速に閉鎖活動が行えるよう非常時における指示及び連絡に関わる連絡体制表 ( 指示及び連絡の起点と伝達系統, 連絡先, 優先順位など ) を整備しておくものとする 3 操作マニュアル施設管理者は, 水門 陸閘等施設ごとに操作方法等を示した操作マニュアルを整備しておくものとする 4 台帳の整備等施設管理者は, 水門 陸閘等の台帳の整備 保管を適切に行うとともに, 水門 陸閘等の設置されている場所および周辺環境等, 発災または津波注意報, 警報等の情報の入手から水門 陸閘等の閉鎖が完了するまでに要する時間, 現場操作員が避難に要する時間などを調査し整理しておくものとする なお, 台帳については, 毎年内容を再確認し, 必要な更新を行うものとする 5 周辺住民への周知施設管理者は, 水門 陸閘等の周辺の地域住民に対し, 当指針による水門 陸閘等の閉鎖基準や操作対象施設の考え方とあわせ, 当指針に基づく現場操作員の活動内容や陸閘については常時閉鎖を基本とすること, 地域住民の注意報, 警報発表時の避難に関する留意事項等について周知を図るよう努めるものとする 5
4. 閉鎖作業の軽減 迅速化等 (1) 施設の点検 維持管理施設管理者は, 水門 陸閘等については, 定期的に点検 (1 回以上 / 年 ) を行い, 設備の疲労, 劣化, 損傷の有無等を確認し, 必要に応じて部品等の交換を行うなど適切な維持管理を行い, 常に良好な状態を保つものとする (2) 施設の整備 運用施設管理者は, 現場操作員の安全を確保した上で迅速 確実に水門 陸閘等の閉鎖ができるよう, 使用頻度が少ない施設については常時閉鎖とし, 地理的条件や周辺の状況及び利用頻度などを勘案しつつ, 水門 陸閘等の自動化, 電動化及び統廃合について検討し, 閉鎖作業の軽減, 迅速化等適切な措置を講ずるものとする 5. 訓練の実施県は, 現場操作員が, 津波注意報, 警報等の発表時に迅速 確実に水門 陸閘等の操作が行えるよう, 定期的に操作や情報伝達等の訓練を行うものとする 6
< 参考 > 津波警報 注意報等について気象庁は, 津波による災害の発生が予想される場合に, 地震が発生してから約 3 分 ( 一部の地震については最速 2 分以内 ) を目標に津波警報 ( 大津波, 津波 ) または津波注意報を発表する ただし, 第一報では, 予想される津波の高さを 巨大 高い という言葉で発表して非常事態であることを伝える (1) 津波注意報発表する津波高さ :1m 高いところで1.0m(20cm~1.0m) 程度の津波が予想されますので, 注意してください 海の中にいる人は, ただちに海から上がって, 海岸から離れてください 津波注意報が解除されるまで海に入ったり海岸に近付いたりしないで下さい (2) 津波警報発表する津波高さ :3m 高いところで3m(1.0m~3.0m) 程度の津波が予想されますので, 警戒してください 沿岸部や川沿いにいる人は, ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください 津波は繰り返し襲ってくるので, 津波警報が解除されるまで安全な場所から離れないでください (3) 大津波警報発表する津波高さ :5m,10m,10m 超える高いところで10m(3m~) を超える津波が予想されますので, 厳重に警戒してください 沿岸部や川沿いにいる人は, ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難してください 津波は繰り返し襲ってくるので, 津波警報が解除されるまで安全な場所から離れないでください 7