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3 学校の部活動部活動についてについてお聞きします 問 7: あなたは 学校の部活動に参加していますか 学校の部活動に参加していますか 部活動部活動に参加している人は 所属している部活動の名前も記入してください 1. 運動部活動に参加 ( 問 8へ ) 2. 文化部活動に参加 ( 問 9へ ) 3.

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0-1表紙


市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き


施策1

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[ 中学校男子 ] 1 運動やスポーツをすることが好き 中学校を卒業した後 自主的に運動やスポーツをする時間を持ちたい 自分の体力 運動能力に自信がある 部活動やスポーツクラブに所属している 3 運動やスポーツは大切 [ 中学校女子


スライド 1

第 1 章スマートスポーツ ( 生涯スポーツ ) 分野意見の要旨府の考え方 スポーツごころ の定義を教えてください スポーツごころ は京都府スポーツ推進審議会から 府民により多くの場面でこのような 思い を持っていただきたいという期待を込めて提言されたものです 提言において スポーツごころ とは感動

5. 注目競技ランキングは 1 位 水泳 ( 競泳 ) 2 位 サッカー ( 女子 ) 3 位 サッカー ( 男子 ) 注目度の高い競技ランキングは 1 位 水泳 ( 競泳 ) (53.7%) 2 位 サッカー ( 女子 ) (52.3%) 3 位 サッカー ( 男子 ) (46.8%) 4 位 マ

1 はじめに富山県では 平成 6 年度全国高等学校総合体育大会および平成 12 年 2000 年とやま国体に向けて 選手の競技力向上 体力増強を目的とした対策が行われ 各大会では大きな成果を上げてきた そして現在 2020 年の東京オリンピックも見据え 本県競技力の更なる向上を目指し 監督 コーチ

小学生の運動 スポーツ活動に関するアンケート 調査報告書 1 調査の概要 (1) 調査目的本市における小学生のスポーツ活動の実態を調査し 豊川市スポーツ振興計画 ( 改訂版 ) 策定のための基礎資料を得るため (2) 調査対象豊川市内小学校 6 年生の全児童学校数 26 校児童数 1,825 人 (

家庭における教育

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Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

第56回国民体育大会

平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(概要)


第56回国民体育大会

令和元年度 大田区立馬込中学校 部活動 年間活動計画

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平成 27 年度 全国体力 運動能力 運動習慣等調査の概要 平成 28 年 3 月 四條畷市教育委員会

平成 26 年度 全国体力 運動能力 運動習慣等調査の概要 平成 27 年 1 月 四條畷市教育委員会

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

目次 第 1 部調査の概要 Ⅰ 調査目的 4 Ⅱ 調査内容 4 Ⅲ 調査対象 6 Ⅳ 調査時期 6 Ⅴ 調査方法 6 Ⅵ 回収結果 6 Ⅶ 標本抽出方法 6 Ⅷ 回答者の属性 7 第 2 部調査結果 Ⅰ 中学生 高校生の現状 意識 12 1 中学生 高校生全体 12 2 運動部活動に所属する生徒 1

第 2 章計画の背景 1 ぎふスポーツ振興計画の総括 1 ぎふスポーツ振興計画について本県では 平成 17 年 3 月に ぎふスポーツ振興計画 を策定し スポーツ王国 ぎふ の実現を目指して (1) 生涯スポーツの振興 (2) 競技スポーツの振興 (3) 学校における体育 スポーツ の3つの分野を主

調査結果の概要

ききょう通信162号

する・みる・ささえるの スポーツ文化

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第2章マレーシア人海外旅行市場の現状

23 県立米沢工業高等学校 ( 全日制 ) 工業科 ( 機械科 生産デザイン科 電気情報科 建築科 環境工学科 ) 当該類 ( 学科 ) を志望する動機及び目的意識が明確 適切であり ものづくり や創意工夫することに強い興味 関心を持ち 将来の工業界を担うことが期 A 25 : B 25 : C 3

第 9 回市市民体育大会成績表 ( 速報 : 日目終了時点 ) 成 0 年 9 月 9 日 ( 日 ) 日 ( 日 ) 市陸上競技場はじめ 9 会場 小学男子ソフトボール P 一般男子ソフトボール P 女子バレーボール P 小学女子ミニバスケットボール P 陸上競技少女 少年 P ~ 玉入れ P グ

資料5 マルチサポート事業関係資料

スポーツに関する市民意識調査速報値 (H30) 小中学生 資料 2 1 調査概要 (1) 調査対象 : 市内小中学生 1,831 人 ( 地域性から学校を抽出 ) (2) 調査方法 : 学校を通じてアンケートを配布 回収 (3) 回収数 : 有効回収数 1,747 件 ( 回収率 95%) (4)

22 県立米沢興譲館高等学校 ( 全日制 ) 理数科求める生徒像 出願要件 1 キャリア形成に係る要件 選抜規準 (A 調査書学習の記録 :B 調査書学習の記録以外 :C 面接 : D 作文 :E 基礎学力検査 ) 2 成績評定概況に係る要件 面接の評価の観点 評価の段階 推薦入学者選抜 3 特別活

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Microsoft Word - meti-report

参考資料1 高等教育の将来構想に関する参考資料2/3

18 歳人口予測 ( 全体 : :217~228 年 ) 年 45,961 人 228 年 4,98 人 (5,863 人減少 ) は 12 年間で 5,863 人 12.8% 減少し 全国の減少率 9.6% を 3.2 ポイント上回る 223 年に 41,13 人まで減少した後 224

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

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Microsoft Word - 【最終版】ロンドンオリンピックに関する調査.doc

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

Ⅲ 調査対象および回答数 調査対象 学校数 有効回答数児童生徒保護者 (4~6 年 ) 12 校 1, 校 1, 校 1,621 1,238 合計 41 校 3,917 ( 有効回答率 96.3%) 3,098 ( 有効回答率 77.7%) Ⅳ 調査の実施時期

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

平成 28 年度全国体力 運動能力 運動習慣等調査愛媛県の結果概要 ( 公立学校 ) 調査期間 : 調査対象 : ( 悉皆 ) 平成 28 年 4 月 ~7 月 小学校第 5 学年 中学校第 2 学年 男子 5,688 人 女子 5,493 人 男子 5,852 人 女子 5,531 人 本調査は

スライド 1

15 県立村山産業高等学校 ( 全日制 ) 工業科 ( 機械科 電子情報科 ) 知徳体が調和した人間を目指し 誠実な行動ができる生徒 将来 地域の産業 社会の発展に貢献しようとする強い気持ちを持った生徒 将来のスペシャリストになるという明確な目的意識を持ち そのために必要な知識 技術及び技能を身につ

目次 調査の概要 1 ページ 第 1 章 : 運動部 スポーツクラブ等 団体への所属状況 2 ページ 第 2 章 : 部員数の増加に向けて 4ページ (1) 学校の運動部 クラブへの参加 / 不参加 (2) 加入していない生徒が運動 スポーツをしない理由 (3) 中途退部理由 (4) 加入していない

5 児童生徒質問紙調査 (~P23) (1) 運動に対する意識等 [ 小学校男子 ] 1 運動やスポーツを [ 小学校女子 ] することが好き 1 運動やスポーツをすることが好き H30 全国 H30 北海道 6 放課後や学校が休みの日に 運動部や地域のスポーツクラブ以外で運動やスポーツをすることが

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2008 年 1 月 11 日 株式会社エルゴ ブレインズ ポイントオン株式会社 自主学習時間は 1 日平均 4 時間以上 ~ 高校 3 年から塾 予備校に通い始めた追い込み組 ~ 株式会社エルゴ ブレインズ ( 本社 : 東京都港区 代表取締役最高経営責任者 CEO: 宮田徹 証 券コード :43

Taro-スペシャル開催要項H30

平成25~27年度間

第 8 回市市民体育大会成績表 成 年 月 0 日 ( 日 ) 日 ( 日 ) 市陸上競技場はじめ 会場 種目別上位成績一覧表 P 小学男子ソフトボール P 青年男子ソフトボール P 一般男子ソフトボール P 青年女子バレーボール P 一般女子バレーボール P 小学女子ミニバスケットボール P 陸上

2009高体連男子大会要項

5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

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参加標準記録 少年女子 B 少年共通 少年男子 B 少年女子 A

2008/3/4 調査票タイトル : ( 親に聞く ) 子どものダイエットについてのアンケート 調査手法 : インターネットリサーチ ( ネットマイル会員による回答 ) 調査票種別 : Easyリサーチ 実施期間 : 2008/2/22 14:28 ~ 2008/2/22 21:41 回答モニタ数

Microsoft Word 年度入学時調査報告.docx

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第56回国民体育大会

し環境の整備や 大会 合宿等の誘致 グッズや特産品の物販 体験型観光など スポーツを生かしたにぎわいの創出を進めることにより 交流人口の増加を図るとともに 将来的な市への移住 定住の促進を目指す 事業 スポーツを生かした交流によるにぎわい創設事業 KPI 観光交流客数 地域ブランド調査魅力度全国ラン

基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

平成 28,29 年度スポーツ庁委託事業女性アスリートの育成 支援プロジェクト 女性アスリートの戦略的強化に向けた調査研究 女性アスリートにおける 競技力向上要因としての 体格変化と内分泌変化の検討 女性アスリートの育成 強化の現場で活用していただくために 2016 年に開催されたリオデジャネイロ

5. 選考方法 カデ男子フルーレ 男子フルーレ : 以下の )~) 合計ポイントの上位 名 + 強化部推薦者 名を 07 年世界カデ選手権に派遣する ) 国内 ( 下記 5) のうち 上位 ) 国際 ( 下記 ) のうち 上位 ) ジュニア国際 シニアワールドカップ 合宿及ひ 派遣日程については 変

6. 調査結果及び考察 (1) 児童生徒のスマホ等の所持実態 1 スマホ等の所持実態 54.3% 49.8% 41.9% 32.9% % 78.7% 73.4% 71.1% 76.9% 68.3% 61.4% 26.7% 29.9% 22.1% % 中 3 中 2 中 1

p 旭川市.xls

報道関係各位 2012 年 1 月 25 日 株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役社長福島保 高校受験調査 ~ 高校 1 年生は自らの高校受験をどのように振り返っているのか ~ 高校受験を通じて やればできると自信がついた 71% 一方で もっと勉強しておけばよかった 65% 株式会社ベネッ

初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 問 33 問 8- 母 ) 図 95. 初めて親となった年齢別に見た 母親の最終学歴 ( 母親 ) 初めて親となった年齢 を基準に 10 代で初めて親となった 10 代群 平均出産年齢以下の年齢で初めて親となった平均以下群 (20~30 歳 ) 平均

様式 Ⅰ 平成 28 年度オリンピック パラリンピック教育推進校 事業実施報告書 学校名 井手町立井手小学校 多賀小学校 泉ヶ丘中学校 全校児童 生徒数 井手小 ;222 名多賀小 ; 99 名泉ヶ丘中 ;154 名 Ⅰ スポーツへの誘い自己肯定感の醸成 Ⅱ 障害者や高齢者への理解共生社会の形成 Ⅲ

Microsoft Word - 14水泳【事務局校正】.docx

日本ユニシス実業団バドミントン部11名の選手が2018年日本代表(ナショナルチーム)入り

第56回国民体育大会

(3) 生活習慣を改善するために

目次 1 はじめに 1 2 根拠法令 1 3 計画期間 1 4 大綱の基本方針 2 5 主な取組 3 参考資料 7

(2) 熟練技能者等の派遣による若年技能者等に対する実技指導ものづくりマイスター対象職種以外の職種で企業等から実技指導の要請を受けた場合 熟練技能者等を派遣し実施します (3) 学校単位の製作実演のイベント熟練技能者等を小中学校 訓練施設等へ派遣し 製作実演 ものづくり体験等を行う ものづくり体験教

10/15 男子 10/16 女子 11/5 男子 11/6 女子 *: 位決定戦は行わない 選手に21 点を付与 国内シニア大会参加の場合 ポイントの2 倍をカデランキングポイントとする シニア 大会 日程 1 位 2 位 位 4 位 5-8 位 9-16 位 17-2 位 7/2 女子 1 東京

Q 6 本会場施設や大会期間中の練習会場施設で応募することはできますか? できません 本会場及び大会期間中練習会場 ( 公式練習会場 ) は本大会の 1 週間 ~ 数ヶ月 前は会場準備に向けて設営が行われ 他目的での利用が困難となる状況が想定されます Q 7 練習施設の IF 基準確認を行ってもらう

計画策定の基本的な考え方 スポーツ振興法が50 年ぶりに全面改正され 平成 23 年 6 月に新たにスポーツ基本法が制定されました スポーツ基本法においては スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるとともに スポーツは青少年の健全育成等 国民生活において多面にわたる役割を担

中学校ま ~ るいテーブル会議議事概要 開催日時 平成 30 年 12 月 4 日 ( 火 )19:30~21:00 会場能楽の里文化交流会館 2 階大会議室 1 開会 2 あいさつ教育長本日は PTA 役員の方や学校関係者 行政関係者が集まり 学校の状況について情報共有をし どのように子ども達の成

スライド 1

1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

問 3 問 2 で と回答した方は 上記対策で何を見て知ったか ( 複数回答可 ) % 問 4 問 2で と回答した方は 下記対策で利用したいまたは既に利用しているものは 問 4 何か ( 複数回答可 ) 特定健診 特定保健指導対策 10 (41.9%) がん ( 婦人

平成 26 年度生徒アンケート 浦和北高校へ入学してよかったと感じている 1: 当てはまる 2: だいたい当てはまる 3: あまり当てはまらない 4: 当てはまらない 5: 分からない 私の進路や興味に応じた科目を選択でき

平成18年度(財)岐阜県体育協会 事業報告(案)

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3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子

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Transcription:

レスリング競技の普及発展および 地域連携による競技力向上に関する考察 レスリング専門部 山形県立米沢工業高等学校

玉橋貴彦 1 はじめに 昨今のレスリング界では 男 女ともに世界で活躍している その中でも 北京オリンピックでメダルを獲得した 男子スリースタイル銀メダリスト 松永共広選手 (ALSOK) や銅メダリスト 湯元健一選手 (ALSOK) 女子フリースタイル 金メダリスト 吉田紗保里選手 (ALSOK) 金メダリスト 伊調馨選手(ALSOK) 銀メダリスト 伊調千春選手 (ALSOK) 銅メダリスト 浜口京子選手( ジャパンビバレッジ ) は幼少期よりレスリングを始め世界で活躍している このように現在の日本レスリング界は 幼少期からレスリングを始め全国大会などで活躍してきた選手が 全日本のトップチームを支えている現状にある 幼少期からレスリングに親しんでいるため バランス感覚 試合の駆け引き 技のタイミングなどで高等学校から始めた選手より数段の差がある かつては 高等学校から始めた選手も全国大会での上位入賞が可能であったが近年はかなり厳しい状況になってきている また 全国的な少子化に伴う生徒数の減少により部員確保がかなり厳しい状況であり 部活動離れ特に運動部離れが叫ばれている 本県においても高校の登録選手が減少傾向にあり 選手確保が重要な課題となっている 本県レスリング競技の登録人数の推移 傯栖 70 60 50 40 30 20 10 0 16 17 18 19 20 21 惑惻 そんな中 3 年前に米沢市で中学生を対象としたレスリングクラブ アルカディア Jr.WC が発足した 米沢市には小学生を対象にした 米沢レスリングクラブ があり そのクラブの選手が中学進学後も競技を継続できる環境が アルカディアJr.WC の設立によって整った また 本県では高等学校まで継続して競技を続けている生徒は少なく アルカディアJr.WC の選手が中学校卒業後も継続してレスリングを続けてくれることで本県の競技力向上に繋がると考えられる このようなことから 本県のレスリング競技の技術力向上や各種大会での入賞を収めるためには 幼少期からの選手確保と育成における各年代での指導体制の確立が必要であると考える そこで 本研究では 他県のスポーツ少年団やクラブの活動状況や指導体制 他の競技機関との連携などを調べ 本県と比較検討して今後の課題や取り組みについて一提案ができればと思う

2 アルカディア Jr. レスリングクラブ概要 本クラブは レスリング競技人口の底辺拡大を図り 全国で活躍する選手の育成と 地域の中学生から優秀選手の発掘を目指すことを目的に設立した また 総合型地域スポーツクラブをモデルとし 外部活動として中学校の承諾を得て 部活動には入部せずに授業終了後レスリング活動場所に集合するようにした 活動場所としては置賜地域でレスリング部がある山形県立米沢工業高等学校レスリング場をとさせていただいた 1 対象 : 米沢市内及び置賜地域の中学生 2 活動内容 : 週 6 日 3 活動時間 :2 時間 4 活動人数 :6 名 ( 男子 5 名 女子 1 名 ) 3 研究の方法 (1) 調査方法 1アンケートの実施 (2) 調査対象 1アルカディアJr.WC 2 米沢レスリングクラブ 3 他県レスリングクラブ (3) 実施時期平成 22 年 2 月上旬 (4) 調査内容意識調査 4 結果と考察 (1) 本県と他県の活動状況調査本県と任意に選んだ各県のレスリングクラブの活動状況 1 所属年代および人数について山形県 ( 米沢 WC アルカディア ) 京都府 ( 網野 WC) 栃木県 ( 宇都宮 WC) 三重県 ( いなべWC) 小学生男子 11 15 12 10 小学生女子 2 6 9 5 中学生男子 6 4 5 6 中学生女子 1 2 2 0 合 計 20 27 28 21 1の表のとおり 各県のクラブの所属年代として差はあるものの20 名前後で活動していることが分かった 京都府は 地域一貫教育で地域の方がレスリングを非常に理解してくれているので 毎年所属人数の増減がないことが分かった また 中学生の人数としては本県は他県と比べても少ない状況にあるのではないことが分かった

2 活動回数および活動日について回数 ( 週 ) 月火水木金土日山形県 6 栃木県 2 京都府 2 三重県 3 山形県の は 米沢 WCが一緒に活動している 栃木県の は 幼年 初心者の部と小学生 中学生の部に分けて活動している 3 活動時間と主な活動場所 活動時間 活動場所 山形県 2 時間 高校レスリング場 栃木県 2 時間 中学校体育館 京都府 1 時間 30 分 高校小体育館 三重県 2 時間 高校レスリング場 ほとんどのクラブが週に2 回というスタイルをとっている しかし 山形県は前途のように中学校の部活動に加入していないため週 6 日の活動が可能となっている 栃木県は 中学校体育館を活動場所としているのには驚いた これは レスリングはレスリングマットがなければ技術練習等ができないため レスリングマットが常設されている場所が活動場所として最適である そのため 地域にレスリング部がある高等学校が活動場所となっていると考えていたため 中学校体育館での活動となれば中学校の全面的協力を受けているものと考えられる また 高等学校で練習することで技術レベルの向上や駆け引きを学べるという点で 非常にいい影響を及ぼすと考えられる また 高校生と練習することで身近な目標の動機付けや練習した技が高校生に掛ったなど 自信をつける機会としても非常に有効である 本県としても今後より一層連携を深めていく必要がある 活動時間としても本県 他県とも2 時間としている 週末であれば若干の超過はあると考えられるが 平日となれば小 中学校が放課したのち活動場所に集合するまでに時間がかかり 保護者の苦労もある 集中した練習ができる練習時間として最適であると考えられる 4 指導者 ( 監督 コーチ ) の人数について山形県 栃木県 京都府 三重県 男性 6 7 7 6 女性 1 3 1 0 合計 7 10 8 6 指導者の人数としては 各クラブとも充実した指導体制である レスリングは 基本姿勢の指導やフットワーク時の体重移動など今までに経験したことのない動きが多いため しっかりとした指導をしておかなければ後々の指導が困難になってしまう 基本の徹底を図るには指導者が多いほど目が届き指導しやすいと考える クラブ指導者はレスリング経験者が多い そんな中で米沢 WCの女性指導者は初心者にも関わらず指導者講習会などに参加しレスリング知識を深め クラブ指導者として立派に子ども達を教えている このような情熱あるクラブ指導者の育成も併せて今後の大きな課題である

5 選手確保 勧誘のための取り組みクラブ名 内 容 米沢 WC 市広報の少年団一覧への掲載 友人 保護者伝いの勧誘 アルカディアJr.WC 宇都宮 WC クラブ独自のHPの活用 クラブで他競技も運営 網野 WC クラブ独自のHPの活用 友人 保護者伝いの勧誘 いなべWC クラブ独自のHPの活用 友人 保護者伝いの勧誘 他県の勧誘方法としては クラブのHPを作成し大会報告や近況報告など最新情報を掲載するなど時代にあったものであった HPを活用していないのは本クラブだけであり 開設するかどうか検討が必要である また 栃木県はレスリング以外の競技 ( 陸上 ) でも活動しているのには驚いた クラブで2 種目の競技運営は指導者 保護者の方の協力体制がとても強く 何より選手を育てたいという意識の高さの表れだと感じた 6 レスリングを始める時に期待したいこと 不安に思ったこと ( アンケートより抜粋 ) ( 期待したいこと ) レスリングを通して肉体的 精神的に成長して欲しい 各種大会で活躍して欲しい 自己責任( 体調 体重管理 ) を身につけて欲しい 物事を途中で投げ出さない子どもになって欲しい ( 不安に思ったこと ) 怪我などが心配である レスリングだけでなく 他競技も経験させたい メディアに取り上げられる機会が少なく 認知度が低い 大会 遠征での費用が心配である 広報活動を活発にして欲しい 以上を踏まえ 各関係組織と連携を図りながらクラブ運営をしていく必要がある (2) 本県のクラブ生徒の状況 ( 米沢 WC アルカディア Jr.WCアンケート結果より ) 1 レスリングを始めた年齢 きっかけについて 始めた年代 ( 全体 ) きっかけ ( 全体 ) 5% 5% 低学年中学年高学年 40% 90% グラフより 低学年から始めている生徒が大半であった これにより中学年 高学年からでも始められる 5% 55% 親の勧めで 友人からの勧誘で興味があったから

広報活動をもっと充実する必要があると考える また 親の勧め で始めるきっかけが 55% となっている クラブには兄弟で在籍している生徒が多く保護者がレスリングに触れてレスリングの魅力や安全性を理解してくれたことでこのような結果に反映されていると考える また 生徒自身のやる気もそうだが保護者の理解を得ることも重要であり 今後は保護者へのアピールも考えていかなければならない 2 中学生への意識調査について 1レスリングは楽しいか全体 > < 2 高等学校でも競技を継続するか < 中学生全体 > 0% 17% はいいいえ 0% 続けたいやらないわからない 100% 83% 1の結果より 中学生がレスリングを楽しいと感じているのは クラブの方針が無理強いさせることなくレスリングを楽しみながら継続させることを意識しているからだと考えられる また 2の結果からも競技継続意識が高いことが分かる ( 本クラブ出身者が高等学校に進学するのは平成 22 年 4 月からである ) これは 今まで競技を継続してきたことで試合に勝つことを覚え 強くなりたいという欲求からだと考えられる 高等学校では試合数は決められてしまうので小 中学生の時により多くの試合に参加させ 勝つ事 勝利の味 を覚えさせることが競技継続意識を高められると考える どちらのグラフの結果も指導者としては嬉しいばかりであるが これを継続していくことが本県 日本レスリング界の競技人口を増やし 技術力向上につながると考える 5 まとめ 今回の研究で 将来本県レスリング界を担うであろう小 中学生のレスリングに対する意識調査を実施できたことはとてもよかった また 他クラブの活動状況なども調査でき 今後の参考となる事もあり今後の指導に活かしていきたい 本県 他県とも クラブ人数確保に力を注いでおり 競技継続を考え長期的指導で生徒を育成していることも今回の調査で分かった 小 中学生をしっかりと確保し 高等学校でも競技を継続できる環境と 卒業後もレスリング競技に携われる環境作りが 今後の本県レスリング競技の普及発展に繋がっていくと改めて感じた 今後も 調査 研究を通してレスリング競技の普及発展に努めたい