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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

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サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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Invesco Premia Plus Fund

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

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○ユーロ

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

2013 年 8 月 19 日号

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

2012 年 10 月 15 日号

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

○ユーロ

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今月の経済金融情勢2018年11月30日号

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

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(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

マネーマーケットマンスリー

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株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

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株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

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参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

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株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

マネーマーケットマンスリー 2018年3月

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米国リート市場と米国株式市場の推移 102 ( 2015 年 12 月末 ~2016 年 2 月 12 日 ) 米国リート 米国株式 /12/ /1/6 2016/1/ /1/ /1/ /1/3

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

為替:マーケット・フォーカス

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

Economic Indicators_  定例経済指標レポート

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経済学でわかる金融・証券市場の話③

投資環境レポートVol.242(2018.7)

今月の経済・金融情勢

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第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

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経済金融・情勢資料  15年7月 

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Invesco Australian Bond Fund (Monthly)

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

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株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

スライド 1

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日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

現代資本主義論

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投資環境レポートVol.201(2015.2)

退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

今月の経済金融情勢2018年12月25日号

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

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経済・物価情勢の展望(2017年10月)

株式市場 米国株 年末商戦や金利動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米中首脳会談への期待から上昇米国株式市場は上昇しました 前半は中間選挙の結果が市場の事前想定通りとなったことなどから安心感が広がり株価は上昇しました 中旬では一部のハイテク企業が需要見通しを引き下げたこと

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経済・物価情勢の展望(2018年1月)

金融政策決定会合における主な意見

2017年上半期の為替相場展望

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

週間マーケット情報 (2016 年 9 月 2 日 ~2016 年 9 月 9 日 ) ご参考資料 2016 年 9 月 12 日 野村アセットマネジメント 市場の動向 日本の株式市場 日本の株式市場の代表的な指数である東証株価指数 (TOPIX) は 2 日比で 0.23% 上昇しました 週初の日

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No.276 C O N T E N T S 1 グローバルマーケット概要 米国経済の回復と 緩和的な金融環境は持続 3 金利 為替トピックス 利下げ一服感から豪ドルは戻りを試す動きも 5 マーケットポイント 米1 3月期決算は 2. %増益見通し 欧州発 内外金融市場は不安定な動きをみせる 7 クローズアップ 新興市場への参入期待が広がる米カード会社 ビザ マスターカード 11 経 済トピックス 景気下押し圧力が根強く 対策を強める中国 13 タイムテーブル 5/18 6/19のタイムテーブル 14 金融商品取引法に係る重要事項 マーケットビュー276号 平成27年5月13日作成 5月18日発行 毎週月曜日発行 215.5.18

グローバルマーケット概要 米国経済の回復と 緩和的な金融環境は持続 米 4 月雇用統計は 米国経済の緩やかな回復と 緩和的な金融環境が当面維持されるとの安心感を与える結果となった ギリシャ問題等 不透明要因は残るものの 中国やオーストラリア等での追加利下げ決定はポジティブ材料 世界的な流動性の拡大は グローバル経済の下支えになるとともに 株式市場にも大きな恩恵をもたらすことになろう 米 4 月雇用統計きっかけに安心感戻るも 米国株は神経質な展開 5/8に発表された米 4 月雇用統計で 非農業部門雇用者数は前月比 +22.3 万人と2ヵ月ぶりに堅調さの目安とされる +2 万人を上回った 米国経済の減速を示唆するほど弱くない一方 米連邦準備理事会 (FRB) が早期に利上げが必要と判断するほどの過熱感もない 金融市場にとっては 程良い内容 と受け止められた そのため これをきっかけに同日の米国市場で債券 株がともに買われ S&P5 株価指数は再び史上最高値更新が射程圏内に入ってきた ただ ギリシャ問題等 不透明要因も多いことから 欧州を中心とした債券相場は当面不安定な動きが続くとみられる (P.6 欧州発 内外金融市場は不安定な動きをみせる ) 米国株相場もしばらくは 神経質な展開が予想される WTI 原油先物価格とドルインデックスの推移 ( 日次 :214/1/2~215/5/13) (1バレル = ドル ) ( ポイント ) 12 11 1 8 6 1 9 8 WTI 原油先物価格 ( 左目盛 ) ドルインデックス ( 右目盛 ) 出所 :QUICK Astra Manager およびブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 4 14/1 14/3 14/5 14/7 14/9 14/11 15/1 15/3 15/5 7 ( 年 / 月 ) ドル高と原油安の一巡は米企業業績に寄与 株価上昇要因に 減益が懸念されていた215 年 1-3 月期の米企業業績が増益見通しに転じ 底入れ感が広がってきたことも 足元で高まっていた米国経済への警戒感を緩和させている (P.5 米 1-3 月期決算は2.% 増益見通し ) 最大の減益要因とされていた原油価格 (WTI 原油先物価格 ) には下げ止まり感がみられ 3 月安値から約 4 割反発 昨年からのドル高トレンドにも一巡感が出ている 外部環境の改善から4-6 月期の米企業業績はグローバル企業中心に回復感が強まることが予想され 今後の米国株相場上昇に寄与することが期待される 1

日本株は 根強い押し目買い意欲から堅調に推移 日経平均株価は 大型連休明けの5/7に一時 19257 円と 4 月上旬以来の水準まで調整したが その後は持ち直す動きとなっている 欧米の金融 資本市場が次第に落ち着いてくるとの見方に加え 緩和マネーによる過剰流動性相場が続くとみられること 企業業績やコーポレートガバナンス ( 企業統治 ) 改革への期待感等が 日本株への根強い押し目買い意欲につながっているといえる ほぼ一巡した国内 3 月期決算企業の業績発表では 16/3 期予想について会社側の慎重姿勢が目立ち 発表後に売られる銘柄も多かった しかし 為替が対ドルで12 円前後の円安水準で安定していることや 内外景気の改善傾向等を背景に 4-6 月期決算が発表される7 月以降の業績上方修正に対する期待は高いとみられる 公的年金の買いや日銀の指数連動型上場投資信託 (ETF) の買い入れ等 需給面の安心感も引き続き日本株の下支え材料となろう ( 円 ) 21 2 19 18 17 日経平均株価の推移 ( 日次 :214/7/1~215/5/13) 日経平均株価 25 日移動平均線 75 日移動平均線 16 15 14 14/7 14/9 14/11 15/1 15/3 15/5 出所 :Quick Astra Manager のデータよりみずほ証券作成 ( 年 / 月 ) 5/2に日本の1-3 月期 GDPが発表 5/2に 日本では215 年 1-3 月期の実質 GDP 速報値が発表される QUICK 集計の市場予想の中心値は前期比年率 1.5% 増 (5/13 現在 ) と 14 年 1-12 月期の同 1.5% 増に続いてプラス成長の見通し 国内景気は 個人消費の鈍さ等から加速感はみられないものの 緩やかに回復基調をたどっていることが示されよう 一方 GDPが市場コンセンサスより弱い内容だった場合 株式相場はネガティブに反応しそうだが 5/21-22には日銀金融政策決定会合が予定されるなか 追加金融緩和を巡る思惑が市場で再燃する可能性も考えられる < 地域 セクター戦略 > 先進国株式米カード業界 先進国の緩やかな景気回復と企業業績の改善傾向に大きな変化はないだろう 米マクロ指標の悪化やギリシャ問題の影響等から 足元の先進国株は騰勢がやや鈍化しているが ITや金融 ヘルスケア業種等のグローバル企業が主導する株高の流れは続くと思われる (P.7~ 新興市場への参入期待が広がる米カード会社 ) 一方 新興国市場では一段の政策期待から中国株の上昇が目立っているが 同国の厳しい経済情勢には注意が必要だろう (P.11~ 景気下 押し圧力が根強く 対策を強める中国 ) ( 大神美由紀 半杭亮一郎 ) 2

金利 為替トピックス 利下げ一服感から豪ドルは戻りを試す動きも 豪州準備銀行 (RBA) は2 月に続いて追加利下げを実施 政策金利は史上最低の2.% となった 声明ではインフレの安定が利下げの機会を提供したとする一方 今後の追加緩和を示唆する文言が削除されており 当面は様子見姿勢をとる可能性が高まった 成長率見通しも若干下方修正されたが 家計支出が力強さを増す等の明るい面も強調されている 豪ドルは鉄鉱石価格の反発や米利上げ観測の後退等から持ち直す動きとなっており 目先は利下げ一服感を背景に戻りを試す動きになる可能性がある RBAは追加利下げを実施 声明では追加緩和を示唆せず 豪州準備銀行 (RBA) は5/5の金融政策理事会で政策金利を.25% 引き下げ 史上最低の2.% とした RBAは213 年 9 月以降 金利据え置きを続けた後 成長率見通しの下方修正等を背景に今年 2 月には.25% の利下げを実施 その後 2 回の会合では金利を据え置いたが 今回は予想通り追加利下げを実施した スティーブンス総裁は声明で インフレ見通しがさらなる金融緩和の機会を提供した と述べて 今年 1-3 月期の消費者物価指数の伸び率がインフレ目標のレンジ (2~3%) 内で安定していたことを利下げの理由として挙げた 一方 前回会合の声明にあった 今後追加緩和が適切になる可能性がある との文言は削除されており 今後の金融政策スタンスについては明示しなかった 景気判断を上方修正 しばらくは様子見姿勢をとる可能性 声明では 最近の指標は過去 6ヵ月における家計需要のトレンド改善や 雇用の力強い拡大を示唆している と述べて 国内景気判断を上方修正している 金融緩和の効果が徐々に実体経済に波及し始めていることにも言及しており 景気の先行きに対する見通しはかなり明るくなった 振れの激しい項目を除いた基調インフレ率ベースで見ると 今回の利下げにより実質金利がマイナスになったこと等もふまえれば RBAはいったん短期的な利下げサイクルを終了し しばらくは様子見姿勢をとる可能性が高いと思われる (%) 豪ドル相場と政策金利 ( 日次 :214/1/1~215/5/13) (1 豪ドル = ドル ) 2.8.98 2.7.96 2.6.94 2.5.92 2.4.9 2.3.88 2.2.86 2.1.84 2. 1.9.82 1.8.8 1.7.78 1.6.76 1.5.74 14/1 14/3 14/5 14/7 14/9 14/11 15/1 15/3 15/5 ( 年 / 月 ) 政策金利 ( 左目盛 ) 3 日物銀行間金利先物 15/12 限月 ( 左目盛 ) 豪ドル ( 右目盛 ) ( 注 )3 日物銀行間金利先物は 14 年 7 月 1 日から出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 3

RBAは引き続き不確実要因を注視しており 鉄鉱石価格の動向等に注意が必要 RBAが四半期に1 回発表する金融政策報告 (SMP) によれば 215 年末から17 年半ばにかけての成長率とインフレ率の見通しは若干ながら下方修正された これは 低金利等から消費や住宅等の家計支出が力強さを増す一方で 設備投資が上向く時期や失業率がピークを打つ時期が後ずれしていることが背景にある このため 全体の成長率は以前予想したよりも長くトレンドを下回るだろう と述べるとともに 理事会は見通しの評価を続け 持続可能な成長や目標と一致するインフレ率を促進するために 必要なら政策を調整する と述べており 今後の経済動向次第では追加利下げの選択肢も一部残している また RBAは不確実要因として 1 中国経済の動向 2 商品価格の行方 3 所得や資産価格に対する家計消費の反応 4 設備投資の見通し- 等を挙げている 中でも商品価格の行方は交易条件や為替相場にも直接影響することから 今後とも注目度が高い要素となろう ちなみに 中国の輸入鉄鉱石価格は4 月初めに一時 1トン =47ドル近くまで下落した後は反発に転じ 足元ではボトムから3 割近くまで値を戻しているが 供給削減の動きがなかなか進んでいないことから これで底入れしたとは言い切れず 注意深く見極める必要がある 利下げ打ち止め感から目先戻りを試すも 上値も重い推移に 豪ドルの対米ドル相場は 2 月の利下げ実施後は徐々に下げ渋る動きとなっており 4 月上旬にかけては小刻みに安値を更新したものの その後は良好な経済指標や鉄鉱石価格の反発 米利上げ観測の後退等につれて値を戻す動きになっている さらに 今回の金融政策理事会の結果を受けて目先の利下げ打ち止め感が出ていることも 買い戻しを加速させる要因になっている これらの点をふまえれば 追加緩和観測を背景にした豪ドル売りのトレンドは目先一巡した可能性が高く しばらくは戻りを試す動きになることが予想される ただ 豪州景気の先行き不透明感が残ることや 鉄鉱石価格の先行きに注意が必要であること等から RBAの豪ドル高けん制の姿勢も変わらないとみられ 上 (%) 豪州実質 GDP 消費者物価指数と政策金利 値も限定的なものになる可能性には留意が必要となろう ( 五十嵐聡 ) (1 豪ドル = ドル ) 8 17 1.1 ( 四半期 :27/3~217/6) ( 週次 :212/1/6~215/5/13) 16 7 RBAインフレ目標レンシ 15 1.5 6 (2~3%) CPI 基調インフレ率 ( 前年比 ) 14 RBAスタッフ予想 (15/5 時点 ) 13 1. 5 実質 GDP 成長率 ( 前年比 ) 12 RBAスタッフ予想 (15/5 時点 ) 11.95 4 1 9 政策金利.9 3 8.85 7 2 6 中国輸入鉄鉱石価格 ( 左目盛 ) 5 豪ドル ( 右目盛 ).8 7 8 9 1 11 12 13 14 15 16 17 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 1 4.75 ( 注 ) 実質 GDP 成長率は214 年 1-12 月期 CPIは15 年 1-3 月期 政策金 ( 年 ) 出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ( 年 / 月 ) 利は月次で5/13まで RBAスタッフ予想は予想レンジの中間値 出所 :RBA ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ( ドル / トン ) 中国輸入鉄鉱石価格と豪ドル相場 4

マーケットポイント 米 1-3 月期決算は 2.% 増益見通し 215 年 1-3 月期は 2.% 増益見通し 215 年通年は1.5% 増益見通し 米主要 5 社の215 年 1-3 月期 (Q1) 決算発表は5/8までに447 社が終了 トムソン ロイターが集計したデータ ( 未発表企業は予想を使用 ) によると 15 年 Q1 決算は前年同期比 2.% 増益と 事前予想の2.9% 減益 (4/1 時点 ) を上回り 減益決算を免れる見通し 業種別では資本財を除く9 業種が事前予想から上振れており 特にS&P5 指数に占めるウエートの高い金融やヘルスケアの上振れの寄与が大きい 資本財については 原油価格の急落を受けた設備投資の抑制等が響いたと考えられる 215 年通年では前年比 1.5% 増益の見通し 業績見通しの大幅下方修正は一巡したものの 4/1 時点予想 ( 同 1.7% 増益 ) から.2ポイント下方修正された ヘルスケアの上方修正が目立つ一方 資本財の下方修正等が重しとなっている また 米主要 5 社の15 年 4-6 月期業績は前年同期比 2.4% 減益見通しと 4/1 時点見通し ( 同.4% 減益 ) から2.ポイント下方修正されている 米企業業績に対する懸念が払しょくされたとは言い難く 当面 米株式相場の懸念材料としてくすぶり続けることも予想される 米 S&P5 業種別の利益伸び率見通しと S&P5 指数ウエート (5/8 時点 ) 指数ウエート 215 年 1-3 月期 ( 前年同期比 %) 215 年通年 ( 前年比 %) (%) 5/8 時点 4/1 時点 5/8 時点 4/1 時点 S&P5 指数 - 2. 2.9 1.5 1.7 情報技術 19.9 9.4 4.2 5.9 6. 金融 16.3 16.1 1.9 16.5 16. ヘルスケア 14.7 17.5 7.2 9.7 7.7 一般消費財 12.5 7.7 7. 1.3 11.1 資本財 1.3 5.1 7.5 4.7 9.8 生活必需品 9.5 3.8.6 1.7 2. エネルギー 8.3 57.8 63.7 56.4 56.5 素材 3.3 3.4 2.4 3.2 2.4 公益 2.9 2.6 6.7 1.3.9 通信 2.3 3.4.9 7.5 4.6 ( 注 ) 指数ウエートは四捨五入で表示 出所 : トムソン ロイターの資料およびブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 情報技術やヘルスケアが業績拡大をけん引か ただ 急激なドル高や原油安は一巡しており 世界的に高い競争力を有する情報技術 (IT) やヘルスケアセクターが業績拡大をけん引する構図は変わっていないとみている 改めて215 年通年の利益見通しをみると S&P5 指数に占めるウエートが8% 程度に過ぎないエネルギーセクターの大幅減益が全体の業績を押し下げるものの エネルギー以外の9 業種は増益見通しを維持している 米 企業業績に対する過度の不安視は必要ないと考えている ( 永田尋嗣 ) 5

マーケットポイント 欧州発 内外金融市場は不安定な動きをみせる ドイツ国債利回り急騰 内外金融市場は4 月末から5 月の初めにかけて不安定な値動きを見せている 特に ドイツ国債利回りは214 年からの急速な低下トレンドから反転上昇 1 年債の利回りは過去最低の.5% 近辺から一時.8% 近くまで急騰 ( 価格は急落 ) した ユーロ圏のデフレ懸念後退や景況改善等のファンダメンタルズ ( 経済の基礎的諸条件 ) だけでは 金利のここまでの急上昇は説明し難い これには 投機筋が主導した過度の利回り低下と大規模なポジションの巻き戻しが大きく影響していると考えられる また 債券王と呼ばれたビル グロース氏や新債券王とも称されるジェフリー ガンドラック氏といった著名な債券運用者が ドイツ国債は著しく割高との見方を示していたことも金利上昇に一役買ったとみられる (%) 3.5 3. 2.5 2. 日米欧 :1 年国債利回りの推移 ( 日次 :213/1/4~215/5/13) 米国ドイツ日本 1.5 1..5. 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ( 年 / 月 ) イエレン議長 株高と債券高にリスク イエレン米連邦準備理事会 (FRB) 議長のワシントンでの発言にも注目が集まった 5/6の講演後 株価バリュエーションは概して かなり高い (Quite High) と述べると同時に 債券の利回りと比べてそれほど割高ではないとした ただ 長期金利は非常に低い水準にあることから 初回の利上げをきっかけに長期債利回りが 急激に上昇 (Sharp Jump) する可能性にリスクが潜んでいるとの認識を示した つまり 債券市場の買われ過ぎを戒めたともいえる 加えて 低金利環境に促されて 投資家にはリスクの高い投資で高いリターンを求めようとする 利回り追求 (Reach for Yield) の兆候が一部に見られるともした 米国債は欧州債に連れ安 ( 金利は上昇 ) 米国の長期金利が上昇傾向をみせたことで 電力等の公益株やハイイールド社債 不動産投資信託 (REIT) 等への価格下押し圧力も強まった ただ 欧州の国債市場においては 中央銀行による国債購入を当てにしてマイナス利回りで取引される債券が急速に増える異例の事態も起こっていた それに対する健全な修正局面と捉えれば 今回の国債価格に対する調整圧力は 長期スタンスの投資家にとって歓迎すべき投資機会を提供する 可能性がある ( 上田正信 ) 6

クローズアップ 新興市場への参入期待が広がる米カード会社 中国政府は215 年 4 月 中国の銀行カード決済市場の参入規定を発表 これによって ビザやマスターカード等 外資系のカード運営会社による中国市場参入が可能になる 中国では海外旅行者の増加やモバイル決済の普及等を追い風にカード市場の拡大が期待されているだけに米国のカード運営会社にとってプラス材料となろう 米国のほか 中東やアフリカにおけるモバイル決済の拡大も恩恵となる見通し 中国の銀行カード市場が大きく変化する可能性 中国政府は215/4/22 中国の銀行カード( 銀行が発行するクレジットおよびデビットカードやキャッシュカード等の機能を持つカード ) 決済市場についての参入規定を明らかにした デビットカードが大半を占める同市場は 中国銀聯 ( ちゅうごくぎんれん ) がほぼ独占しているが 12 年 世界貿易機関 (WTO) が中国政府に対し 外資系企業にも市場を開放するよう求め 中国政府は14 年 1 月 これに応じる方針を示した 今後は外資系企業が現地企業とのパートナーシップや買収を通じて中国市場に参入できることになる 米カード運営大手のマスターカード (MA) は15/4/29の15/12 期 Q1(1-3 月 ) の決算発表時 当局が今後 規定の詳細を発表する予定で 認可までにかかる期間は不明 としながらも 16 年末までに進出できるとの見方を示しており 市場は今後大きく変化する可能性が高い 中国における銀行カード枚数と決済口座数の推移 ( 億枚 ) ( 年次 :29~213) ( 億件 ) 5 6 4 45 デビットカード ( 左目盛 ) 3 2 1 9 1 11 12 13 3 15 ( 年 ) クレジットカード ( 左目盛 ) 決済口座 ( 右目盛 ) 出所 : 中国人民銀行の年次報告書よりみずほ証券作成 中国では銀行カードの利用が増加 中国では213 年末時点の銀行カード枚数が12 年末比 19% 増の42 億枚超となった 中間層の拡大や 銀行カード決済に必要なインフラの改善や加盟店の増加が順調に進んでいること等を背景に 支払い方法が現金以外の手段にシフトしていることも追い風となっているもよう 13 年はまた 現金以外の決済件数が 12 年比 22% 増の51.6 億件 決済額が同 25% 増の1,67.6 兆人民元に達した 7

特に決済額の伸びは12 年の11 年比 16% 増を大幅に上回り 決済 1 件当たりの金額が大きくなっていることがうかがわれる また銀行カードは 現金以外の決済に占める件数ベースでみると大半を占めているが 決済額ベースの比率は低い 今後は小切手等からのシフトが期待され 外資系企業にとって中国のカード市場は高成長が見込まれる魅力的な市場といえる ( 億件 ) 6 5 4 3 2 1 中国における現金以外の決済件数の推移 ( 年次 :29~213) その他 ( 送金等 ) 小切手等銀行カード ( 兆人民元 ) 1,8 1,5 1,2 9 6 3 中国における現金以外の決済額の推移 ( 年次 :29~213) その他 ( 送金等 ) 小切手等銀行カード 9 1 11 12 13 出所 : 中国人民銀行の年次報告書よりみずほ証券作成 ( 年 ) 9 1 11 12 13 出所 : 中国人民銀行の年次報告書よりみずほ証券作成 ( 年 ) 中国のモバイル決済普及によるカード利用拡大への期待 中国ではオンラインや電話を通じた支払い スマートフォン ( 以下 スマホ ) 等携帯端末を通じたモバイル決済が急速に拡大している 特にオンライン決済は 13 年の件数が12 年比 23% 増の236.7 億件 金額が同 29% 増の1,6.8 兆人民元と大きく伸びている また モバイル決済についても農村部でのテスト範囲が広がっており 一部地域ではモバイル端末を通じた現金引き出しサービスも開始されていることから 今後は富裕層の多い都市部だけでなく 全国的にモバイル決済の利用が増えると考えられる 中国では発行済みの銀行カードのうち 14% に相当する5.9 億枚余りがチップ付きのICカードだが 今後さらにICカードが普及すれば 高い安全性を背景にカード利用が増えよう ( 兆人民元 ) 6 4 2 中国の GDP 小売売上高 個人所得の推移 ( 年次 :29~213) 9 1 11 12 13 ( 万人民元 ) 4 3 2 1 小売売上高 ( 左目盛 ) 名目 GDP( 左目盛 ) 都市部の 1 人当たり可処分所得 ( 右目盛 ) 農村部の 1 人当たり純所得 ( 右目盛 ) 出所 : 中国人民銀行の年次報告書よりみずほ証券作成 ( 年 ) 8

世界的なモバイル決済の拡大期待 世界的な携帯端末の普及にともなうオンライン取引の増加により 中国以外の市場でもカード決済の増加が期待される 米連邦準備理事会 (FRB) が215 年 3 月に発行した14 年の報告書によると 米国では携帯電話を所有している成人の割合は87% と 13 年とほぼ同水準だったが そのうちスマホの比率は71% と 13 年の61% から大幅に上昇した また スマホユーザーで過去 12ヵ月の間にモバイル決済を実施した人の割合が28% と 12 年および13 年の24% から上昇している 低所得者層におけるスマホ保有比率が約 4 割にのぼることも プリペイドカードを中心とするカード利用の拡大につながる要因となろう 14 年 1 月にアップルが米国でサービスを開始したモバイル決済 アップルペイ について 米大手銀行でカード発行体としても大手であるJPモルガン チェースは 同行カードのなかでも アップルペイ の利用件数が増加していると指摘 また 平均的な アップルペイ の利用者が通常のカードの利用者と比べて9 才若く 所得が21% 高く デビットカードと比べてカード会社や銀行にとって利益率が高いクレジット利用が多いことを明らかにした アップルペイ がカード発行体にとっても魅力あるサービスであることや アップルのスマホ アイフォーン の販売台数が堅調に伸び続けていることから アップルペイ の利用とともにモバイル決済件数が今後も増え続ける可能性は高いと言えよう 中東やアフリカ等新たな市場への期待 米国や中国以外でカードの高成長が期待されている市場が中東とアフリカ ビザは215 年 2 月 南アフリカで ビザ チェックアウト ( 数回のクリックで済むオンライン決済アプリ ) を開始 また同年 3 月にはインドの通信会社バーティ エアテルと組み アフリカの7 市場でモバイル決済サービスを提供する計画を発表 またマスターカードも エジプト政府と提携し 同国における既存のモバイル決済プラットフォームと身分証明書をリンクさせる計画を明らかにした 中東やアフリカではモバイルの出荷台数が増加していることもあって 今後世界のカード利用の伸びをけん引する可能性は高い ( 百万台 ) 2, 地域別モバイル出荷台数の推移 ( 年次 :21~214) 1,5 1, 5 その他 中東およびアフリカ アジア 太平洋 ( 除く日本 ) 米国 出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 1 11 12 13 14 ( 年 ) 9

( ドル ) 8 6 4 2 ビザ (V) 世界の加盟店数は 3,6 万件超 モバイル決済が可能な加盟店は 8 万件超にのぼる 株価 ( 左目盛 ) 株価の推移月次 (12 年 6 月 ~15 年 5 月 ) 売買高 ( 右目盛 ) 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12 ( 注 ) 株価は月足 売買高は月間累計 直近は 5/8 まで出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 ( 百万株 ) 3 24 18 12 6 ( 年 / 月 ) クレジットカード運営最大手 発行枚数 23 億枚のビザカードを運営し 世界 2 以上の国と地域にまたがる世界最大の電子決済ネットワーク ビザネット を展開 クレジットカードの発行やクレジット供与は 提携金融機関 14,3 社が行い 同社は金融機関が処理した決済金額やサービスに基づいて手数料を受け取る 15/9 期 Q2(1-3 月 ) 決算は 営業収益が前年同期比 8% 増の 34.1 億ドル 営業利益が同 11% 増の 22.8 億ドル 純利益が同 3% 減の 15.5 億ドル Q2 のサービス手数料に反映される 214 年 1-12 月の決済高は前年同期比 7% 増の 1.2 兆ドル Q2 の国際取引手数料に反映される 15 年 1-3 月のクロスボーダー取引額は同 2% 増 データプロセス手数料に反映される 15 年 1-3 月の決済件数は同 11% 増の 17 億件 15/9 通期については 為替の営業収益伸び率への影響が約 2 ポイント 為替の影響を除くベースでの営業収益成長率が 14/9 期比 1% 台前半と 前回予想を据え置き EPS 成長率については 前回予想の 1% 台半ば から若干下方修正した 215 年 3 月には 会員制ディスカウント小売大手のコストコ ホールセールが 16 年 3 月末で契約が切れるアメリカン エキスプレスの代わりにシティグループと組み 共同のクレジットカードを発行することで合意 その決済ネットワークに同社が採用された 決算期 営業収益 前期比 税引前利益 前期比 純利益 EPS 配当 13/9 期 11,778 13 7,257 3.3 倍 4,98 1.9.33 14/9 期 12,72 8 7,724 6 5,438 2.15.4 ( 注 ) 単位はEPS 配当がドル その他は百万ドル 前期比は% 1 株当たりデータは1 対 4の株式分割 (15/3/19 権利落 ) 調整後 出所 : 会社資料よりみずほ証券作成 ( ドル ) 1 8 6 4 マスターカード (MA) 革新的なサービスで世界の小売売上高の85% を占める現金 小切手市場を狙う 株価 ( 左目盛 ) 株価の推移月次 (12 年 6 月 ~15 年 5 月 ) ( 百万株 ) 12 3 2 売買高 ( 右目盛 ) 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12 ( 年 / 月 ) ( 注 ) 株価は月足 売買高は月間累計 直近は5/8まで出所 : ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 9 6 世界第 2 位の電子決済ネットワークを 21 以上の国と地域で運営 MasterCard や Maestro Cirrus といったブランドを利用し 幅広い決済方法とサービスを提供している 15/12 期 Q1(1-3 月 ) 決算は 米国とアジア 太平洋地域における決済額が伸び 営業収益が前年同期比 3% 増の 22.3 億ドル 営業費用が同 1% 減となったため 営業利益は同 5% 増の 13.5 億ドル 税率低下の恩恵により 純利益は同 17% 増の 1.2 億ドル 215 年 3 月 シティグループとブラジルのイタウ ユニバンコとの提携強化を発表 シティグループとは世界の個人向けクレジットおよびデビットカードの大半について 同社決済ネットワークを 1 年間延長利用することで合意 イタウ ユニバンコとは新たに 2 年契約を結んだ 決算期 営業収益 前期比 税引前利益 前期比 純利益 EPS 配当 13/12 期 8,346 13 4,5 14 3,116 2.56.29 14/12 期 9,473 14 5,79 13 3,617 3.1.49 ( 注 ) 単位はEPS 配当がドル その他は百万ドル 前期比は% 出所 : 会社資料よりみずほ証券作成 ( 森川尚子 ) 1

経済トピックス 景気下押し圧力が根強く 対策を強める中国 中国の3 月マクロ景気警戒指数は1999 年 8 月以来の低い水準に悪化し 低迷 に接近した 4/3 開催の共産党中央政治局会議では 適時予見性をもって政策微調整を図る等 景気下押し圧力への対応を高度に重視すること を指摘した 5/1には214 年 11 月以来 3 回目の利下げが発表された ただし 物価考慮後の実質貸出金利は 下げ幅が不充分で景気刺激には程遠い 利下げは実体経済よりも株式市場に好影響 資産効果による消費下支えや国有企業改革等が期待される 官製相場の色彩は一段と強まろう 3 月のマクロ景気警戒指数は1999 年 8 月以来の低い水準に悪化し 低迷 に接近 実質 GDP 成長率とほぼ連動するマクロ景気警戒指数は 214 年 7 月に やや低迷 レベルに転落した後 低下の動きに歯止めがかからない 215 年 3 月には 同指数が前月比 2.7ポイントの65.3と1999 年 8 月以来の低い水準に悪化 低迷 に接近した 当時の中国経済は 1997 年 7 月のタイバーツ暴落を機に発生したアジア金融危機や国有企業等の国内構造問題を背景に5 年程度厳しい情勢にあった 215 年 3 月のマクロ景気警戒指数を構成する1 指標をみると 3 指標 ( 固定資産投資 工業企業利潤 都市住民 1 人当たり平均可処分所得 ) が やや低迷 で 4 指標 ( 鉱工業生産 貿易 財政収入 マネ-サプライM2) が 低迷 の最低水準であった 一方 3 指標 ( 社会消費財小売総額 金融機関貸出 消費者物価指数 CPI) は 安定 であった 15 125 1 中国のマクロ景気警戒指数と実質 GDP 成長率 ( 月次 :1996/1~215/3) (%) 17 過熱 15 やや過熱 13 安定 11 マクロ景気警戒指数 ( 左目盛 ) 実質 GDP 成長率 ( 右目盛 ) 14 年 11 月以来 3 回目の利下げ 党の政策決定機関にて景気下押しへの対応を重視 75 5 やや低迷 96 98 2 4 6 8 1 12 14( 年 ) 人民銀行は 5/1に214 年 11 月以来 3 回目の利下げ ( 実施日 :5/11) を発表した 4/3 開催の共産党中央政治局会議では 海外需要の低下や 中国国内に山積する課題 景気下押し圧力が依然として大きいこと と認識し 適時予見性をもって政策微調整を図る等 景気下押し圧力への対応を高度に重視すること を指摘していた 低迷 9 7 5 ( 注 ) 実質 GDP 成長率は四半期の前年同期比で 215 年 1-3 月期まで 1996 年 1-3 月期から 1999 年 7-9 月期までの四半期別伸び率は年初来累計伸び率よりみずほ証券推計出所 : 中国国家統計局資料 CEIC データよりみずほ証券作成 11

実質金利の下げ幅は不充分 預金金利上限引き上げは利ざやを縮小 融資慎重へ 利下げ発表の内容は 1 貸出基準金利 (1 年物 ) が.25% の5.1% に 預金基準金利 (1 年物 ) が.25% の2.25% に引き下げられ 2 預金金利の上限が基準金利の1.5 倍に引き上げられた 等が挙げられる 1の貸出基準金利の引き下げは 物価考慮後の実質貸出金利をみると 消費者物価指数が前年同月比 +1% 台に低下しているため 下げ幅は不充分であり 景気刺激には程遠い状況と言えよう 一方 2の預金金利の上限引き上げは 預金集めにはプラスに働くも 景気減速にともない信用リスクが高まるなか 貸出金利を引き下げることは 金融機関にとって 利ざや縮小や不良債権の増加懸念により 経営財務状況が悪化する可能性が高まるため 実際には利下げには慎重に対応しよう 地方政府の借換債引き受け先が銀行の場合 相当の預金準備率引き下げが必要か マネーサプライM2は低下の動きにある M2に影響する主要要因の1つであるベースマネーは外貨持ち高に連動する傾向にあるが 海外からの資金流入が低下基調にあるため 高水準の預金準備率をさらに引き下げる必要があろう 預金準備率引き下げは215 年 2 月と4 月の2 回の実施にとどまっている 加えて 中国政府は地方政府の1 兆人民元の債券発行による借り換えを認可しているが 基本的には銀行が最大の引き受け先として想定されるため 相当の預金準備率引き下げが必要と考えられる 利下げは実体経済よりも株式市場への好影響が大きい 官製相場色は強まろう 中国政府は 投資 輸出主導の経済成長方式から 消費ウエートを高め 質的で集約的な生産 投資 輸出への構造転換を目指している 第 3 次産業の実質 GDP 成長率への寄与度は着実に高まる方向にあり 景気減速ながらも雇用 所得の確保を重視した政策運営が図られよう 利下げは実体経済よりも株式市場への影響が大きいと言えよう 中国政府は 資産効果による消費需要の安定的な喚起 国有企業改革等の企業経営マネジメントの改善やベンチャー企業の育成 等を図るため 株式市場の健全な発展を一層重視しよう 27~28 年のような株価バブル崩壊を回避するため 官製相場の色彩は一段と強まろう ( 吉川健治 ) 12

タイムテーブル (5 月 18 日 ~6 月 19 日 ) 月日国内月日海外 5 18 3 月機械受注 5 19 米 4 月住宅着工件数 2 1-3 月期 GDP(1 次速報値 ) 2 FOMC 議事録公表 (4/28-29 開催分 ) 21 日銀金融政策決定会合 (~22 日 ) 21 中国 5 月 HSBC 製造業 PMI 25 4 月貿易収支ユーロ圏 5 月製造業 PMI 27 日銀金融政策決定会合議事要旨公表 (4/3 開催分 ) 米 4 月中古住宅販売件数 29 消費者物価 (4 月全国 5 月都区部 ) 22 米 4 月消費者物価指数 4 月失業率 25 釈迦生誕祭 ( 香港市場休場 ) 4 月有効求人倍率メモリアル デー ( 米国市場休場 ) 4 月鉱工業生産 26 米 4 月耐久財受注 4 月住宅着工統計 米 4 月新築住宅販売件数 6 1 1-3 月期法人企業統計 米 5 月消費者信頼感指数 2 4 月毎月勤労統計 27 G7 財務相 中央銀行総裁会議 ( ドレスデン ~29 日 ) 6 5 4 月景気動向指数 29 ブラジル 1-3 月期 GDP 8 4 月国際収支米 1-3 月期 GDP 改定値 1-3 月期 GDP(2 次速報値 ) 6 1 中国 5 月製造業 PMI 5 月景気ウォッチャー調査米 5 月 ISM 製造業景況指数 1 4 月機械受注 2 オーストラリア準備銀行理事会 5 月国内企業物価指数ユーロ圏 5 月消費者物価指数 11 4-6 月期法人企業景気予測調査ブラジル金融政策委員会 (~3 日 ) 17 5 月貿易収支 3 オーストラリア 1-3 月期 GDP 18 日銀金融政策決定会合 (~19 日 ) ECB 理事会 主な国内企業の決算発表予定 5 2 28 損保 JPNK MS&AD 東京海上パーク24 6 1 8 主な海外企業の決算発表予定 5 19 2 21 22 26 27 ウォルマート オートデスク ホーム デポセールスフォース ドットコム ネットアップヒューレット パッカード ベスト バイダラー ツリー ディーアタタ モーターズティファニー マイケル コース ホールディングス 16 17 伊藤園トーホー アドビ システムズフェデックス ジェイビル サーキット 米 4 月貿易収支米地区連銀経済報告 ( ベージュブック ) 5 OPEC 総会 ( ウィーン ) 米 5 月雇用統計 7 G7 首脳会議 ( ドイツ バイエルン州エルマウ城 ) トルコ総選挙 8 中国 5 月貿易収支 9 中国 5 月消費者物価指数 11 中国 5 月鉱工業生産 固定資産投資等米 5 月小売売上高 12 米 6 月ミシガン大学消費者信頼感指数 ( 速報値 ) 15 米 5 月鉱工業生産 16 米 5 月住宅着工件数米 FOMC(~17 日 ) 17 米 FRBによる経済見通し イエレン議長記者会見 18 ユーロ圏財務相会合米 5 月消費者物価指数 19 EU 財務相理事会 日本国債入札予定 5/19:5 年 5/26:2 年 5/28:2 年 6/2:1 年 6/4:3 年 6/11:2 年 6/16:5 年 6/18:4 年 米国債入札予定 5/21:1 年 TIPS 5/26:2 年 5/27:5 年 5/28:7 年 6/9:3 年 6/1:1 年 6/11:3 年 6/18:3 年 TIPS ( 注 ) 記載事項はすべて 予定 ないし 見込み であり 予告なく変更されることがあります 海外イベントおよび経済指標は現地日程で記載しています出所 : 各種資料よりみずほ証券作成 ( 投資情報部 ) 13

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No.276