1. 子宮頸がんの診断 分類 予後 治療 HPV との関連性を述べなさい診断接触出血などの不正性器出血があると子宮頸癌を疑う 頸部細胞診 ( 擦過法 ) で得た検体に異常が見られた場合精密検査が必要となる コルポスコピーによる子宮頸部の観察を行い 異常が見られるようであれば異常所見部をコルポスコープ下で生検する ( 狙い組織診 ) 異常所見が見られなかったら頸管内掻破により組織診をする ちなみに子宮がん検診で ASC-US( 意義不明な異型扁平上皮細胞 ) であった場合は HPV 検査を行い 陽性だった場合はコルポスコピーを実施する 分類 Ⅰ 期 : 癌が子宮頸部に限局するもの 5 年生存率 92% A; 組織学的にのみ診断できる浸潤癌 B; 臨床的に明らか ) Ⅱ 期 : 癌が頸部を超えて広がっているが 骨盤壁または膣壁下 1/3 には達していない 5 年生存率 73% A; 膣壁浸潤が認められるが 子宮傍組織浸潤は認められない B; 子宮傍組織浸潤が認められる Ⅲ 期 : 癌浸潤が骨盤壁にまで達するもの または膣壁浸潤が下 1/3 に達するもの 5 年生存率 55.% A; 膣壁浸潤は下 1/3 に達するが 骨盤壁まで達していない B; 子宮傍組織浸潤が骨盤壁にまで達している Ⅳ 期癌が小骨盤腔を超えて広がるか 膀胱 直腸の粘膜を侵す 5 年生存率 24.3% A; 膀胱 直腸粘膜への浸潤がある B; 小骨盤腔を超えて広がる ( 肺 肝臓など ) 治療 上皮内腫瘍 ~ⅠA 期 : 円錐切除術または単純子宮全摘術 ⅠB 期 ~Ⅱ 期 : 広範子宮全摘術 同時化学放射線療法 (CCRT) Ⅲ 期 ~Ⅳ 期 : 放射線療法 化学療法 CCRT HPV との関連性器に感染する HPV は約 30 種類あり その中でも特に子宮頸がんの高リスクになるのは 16.18 である このハイリスク群はワクチンによって予防が可能だが ほかにも子宮頸がんの原因となる HPV が存在するため 100% 予防することはできない 2. 垂直感染を引き起こす感染症について述べなさい母体に感染している病原体が 分娩 妊娠 授乳をとおして児に感染することを垂直感染という 以下の三種類がある 経胎盤感染: 胎盤を介して病原体が胎児血液に混入する 産道感染: 産道や母体血中に要る病原体が分娩時に感染する 母乳感染: 母乳を介して病原体が感染する TORCH 症候群胎内感染 ( 経胎盤感染 ) により胎児に重篤な症状を引き起こす感染症の総称 T:Toxoplasmosis( トキソプラズマ ) O:Others( 梅毒 水痘など ) R:Rubella( 風疹 ) C:Cytomegalovirus( サイトメガロウイルス )
H;Herpes simplex( 単純ヘルペス ) 3. 切迫早産と CAM 常位胎盤早期剥離 妊娠高血圧症候群の関係を述べなさい切迫早産妊娠 22 週以降 37 週未満の時期に規則的な子宮収縮と頸管熟化が見られ 早産の危険性が高い状態を切迫早産という 原因の大半が絨毛膜羊膜炎 (CAM) である CAM 胎児付属物である卵膜 ( 絨毛膜 羊膜 ) に細菌が感染して生じる炎症性疾患 早産の原因として最も多く 発症 すると短期間で早産に至る 常位胎盤早期剥離正常位置に付着している胎盤が 妊娠中または分娩経過中の胎盤娩出前に子宮壁から剥離した状態をいう 初期症状が切迫早産と類似しているが 切迫早産は妊娠の継続を図るのに対し 常位胎盤早期剥離では急速遂娩を行うと処置が真逆であるため鑑別が必要になる 切迫早産では胎児心拍パターンが正常なことが多いのに対し 常位胎盤早期剥離では胎児心拍パターンが異常となるのが鑑別点である 妊娠高血圧症候群なんらかの原因によって妊娠中に高血圧が起こる または高血圧に加え母体の血管障害や様々な臓器障害が発生する全身性の症候群である 妊娠高血圧症候群では子宮胎盤の循環障害が起き 常位胎盤早期剥離を合併することがある 4. 麻疹 風疹 突発性発疹 水痘 ムンプスについて簡潔に説明し ワクチン接種時期について述べなさい 麻疹: 二週間前後の潜伏期を経て発熱が 3~4 日続き 解熱するが再燃し カタル症状とともに全身に皮疹を見る 3~4 日で皮疹は色素沈着を残して治癒する 風疹: 皮疹 リンパ節腫脹 発熱の 3 主徴 皮疹と発熱は同時に見られ 色素沈着を残さず皮疹は治癒する 突発性発疹:2 週間の潜伏期を経て発熱が 3~4 日続くが児は元気なことが多い 解熱とともに皮疹が出現し 色素沈着を残さず 2~3 日で消退する 水痘: 発熱と同時に全身に紅斑性丘疹 ( 水疱や膿疱 ) が出現 7~10 日で治癒する ムンプス: 発症から 12 24 時間以内に唾液腺 ( 耳下腺 ) の腫脹 (60 70% で発生 ) 2 日目に最もひどく 3 4 日でゆっくり消失する 38 39 の発熱が 3 5 日間続く 接種時期 麻疹と風疹は定期接種で 1 歳の時と小学校入学前に 1 回ずつ受ける 水痘は任意接種 1 歳の時と 小学校入学までに合計 2 回受ける ムンプスは任意接種 1 歳の時と 3 歳の時の合計 2 回受ける 5.1 歳までの発達を簡潔に述べなさい追視 定頸 :2~3 か月で見られるようになる寝返り お座り :6~7 か月で見られるようになる独歩 有意語 :10 か月 ~1 歳で見られるようになる
6. 言語の遅れのある乳児がやってきた 鑑別診断と鑑別のポイントを述べなさい 鑑別診断器質的疾患による精神発達遅滞 ( 結節性硬化症など ) 代謝異常による精神発達遅滞( フェニルケトン脳症 ) その他の精神発達遅滞 自閉症 発達性言語障害 ネグレクト 難聴など 鑑別のポイント 遠城寺式 乳幼児分析発達検査表にて運動 社会性 言語の発達を見る 難聴の検査をする ベルを鳴らしたり 名前を呼んだりして反応があるかを見る ベルを鳴らすと反応するのに 名前を呼んでも反応しない場合などは 聴覚は正常で社会性の発達が遅れている可能性がある 器質的疾患 代謝性疾患が無いかを検査する 7. けいれんとてんかんの違い てんかんの単純性と複雑性の違いを述べなさいけいれんとは骨格筋の発作的かつ不随意的な収縮のことで てんかんとは大脳皮質ニューロンの過剰興奮により同一パターン発作を繰り返す慢性の疾患のことである 意識障害が無ければ単純型 あれば複雑型という また脳波で 単純型は病巣部位に棘波がみられ 複雑型では側頭部中心に棘波徐派複合が見られる 8. 病的黄疸を原因 発症時期に分けて説明しなさい原因 ビリルビン産生過剰: 溶血性疾患 多血症 閉鎖性出血 ビリルビン抱合低下:Crigler-Najjar 症候群 腸肝循環亢進: 消化管通過傷害 母乳性黄疸 肝外胆汁鬱滞: 先天性胆道閉鎖症 先天性胆道拡張症 肝内胆汁鬱滞: 感染症 新生児肝炎 発症時期 早発黄疸: 血液型不適合溶血など生後 24 時間以内に肉眼的な黄疸が出現する 溶血性疾患の可能性が高い 重症黄疸:Rh 血液型不適合溶血 栄養失調など血清ビリルビン値が正常域の上限を超える ( 成熟児 15mg/dL, 早産児 12mg/dL) 遅延性黄疸; 閉鎖性出血 閉塞性黄疸 母乳性黄疸など生後 2 週間を超えて肉眼的な黄疸が続く 生理的黄疸生後 2~3 日で肉眼的黄疸が出現し 5~7 日で血清ビリルビン値がピークに達した後は自然に低下し 生後二週間以内に消失する 9. 新生児仮死の診断とその治療を述べなさい出生時に子宮内環境から子宮外環境に移行する過程で 種々の原因から呼吸不全 (= 低酸素 ) に陥った病態を新生児仮死という Apger score が 6 または 7 以下の時新生児仮死と診断する 新生児仮死になると呼吸不全に引き続き循環不全と高度の代謝性アシドーシスから全身臓器の機能障害を引き起こす
10.RDS の診断と治療について述べなさい RDS では 主に児の未熟性のため 肺サーファクタント欠乏のため肺胞が虚脱し ガス交換が障害され生後数時間以内に呼吸窮迫症状 ( 多呼吸 呻吟 陥没呼吸 チアノーゼ ) が出現する 検査はステイブル マイクロバブルテストで判定する 羊水や胃液に混入した肺サーファクタントを調べるため カバーガラス状に検体を滴下し パスツールピペットで素早く 強く撹拌して泡ができるかを見る マイクロバブルの数が羊水で 5 個 /mm^2 未満または胃液で 10 個 mm^2 未満であれば RDS と診断し 症状の進行を待たずにサーファクタント補充を行う 11. 肺炎球菌ワクチンについて述べなさい肺炎球菌は生後 6 カ月以降の細菌性髄膜炎の起炎菌として重要である このワクチンは 13 種の血清型の肺炎球菌による侵襲性肺炎球菌感染症の予防に用いられる (13 価ワクチン ) 接種の対象となるのは 2 ヶ月齢以上 6 歳未満の小児で 標準として 2 ヶ月齢以上 7 ヶ月齢未満で接種を開始する 接種回数は年齢により異なるが 1 回 0.5mL を皮下に注射する 12. 結節性硬化症について述べなさい 結節性硬化症( プリングル病 ) 常染色体優性遺伝 顔面の血管線維腫 知能障害 けいれん発作が3 主徴 皮膚症状は血管線維腫以外に葉状白斑 隆起革様皮膚 爪囲線維腫などがある 頭部 MRIで大脳皮質に結節状石灰化腫瘤が見られる 合併症として腎臓の多発性腎血管平滑筋脂肪腫 肺形成不全 心臓横紋筋筋腫などが見られる 13.PCOS と排卵誘発法による合併症について述べなさい 概要両側卵巣の多嚢胞性腫大に何らかの月経異常 不妊を伴い 内分泌検査で LH 高値を特徴とする内分泌疾患をいう
症状 月経異常( 無月経 希発月経 無排卵周期症 ) 不妊などが主訴 多毛 ニキビ 声の低音化 陰核肥大 ( 男性化徴候 ) 肥満 ( インスリン抵抗性 ) 本症では卵胞発育が抑制され 多数の発育途上の卵胞が存在し 超音波にて多数の嚢胞として確認できる 加えて白膜の肥厚が見られる 病態仮説であるが 莢膜細胞におけるアンドロゲン産生過剰が PCOS の中心病態であると考えられている アンドロゲン産生過剰には莢膜細胞自体の異常のほかにも 肥満 インスリン抵抗性なども関わり これらが悪循環を形成してアンドロゲン過剰を助長する アンドロゲン過剰 卵胞発育障害により多嚢胞卵巣 月経異常 男性化徴候といった臨床像が形成される 排卵誘発法 クロミフェン療法抗エストロゲン作用を持つクロミフェンを経口投与することによりエストロゲンのネガティブフィードバックを解除して LH,FSH の分泌を増加させる 内因性エストロゲン分泌が保たれた無排卵周期症 既発月経 第 1 度無月経が対象となる 問題点抗エストロゲン作用により頸管粘液分泌低下 子宮内膜発育不良を引き起こす また長期の投与は不可 ゴナドトロピン療法 FSH 作用を持つ hmg 製剤または FSH 製剤を投与して卵胞の発育を促進し 一定の大きさまで発育したら LH 作用をもつ hcg を投与して排卵を誘発される 問題点 PCOS の患者に対して行うと多数の卵胞が発育することにより OHSS や多胎妊娠をきたすことがある 14. 破水の診断方法を述べなさい BTB 試験紙法正常の妊娠時の膣内の ph は弱酸性 (4.5~6.0) であるのに対し 羊水は弱アルカリ性 (7.0~8.5) のため 破水前は BTB 試験紙が黄変するのに対し 破水があると青変する 生化学検査おもに羊水中に存在し 膣内分泌物には含まれないα-フェトプロテイン IGFBP-1 癌胎児性フィブロネクチンなどが検出されると破水があるとみなされる 顕微鏡検査採取した膣内貯留液を乾燥させ 顕微鏡でシダ状結晶を確認する 羊水は NaCl 濃度が高いため乾燥させるとシダ状結晶が見られる
15. 頸管成熟を見るための視標について述べなさい 子宮開口度 子宮頸管展退度 児頭の位置 頸部の柔らかさ 子宮口の位置の 5 つを見る 9 点以上で頸管成熟 とし 8 点以上で分娩誘発が成功したとする 4 点以下は頸管未成熟とする 16. 自閉症の特徴について述べなさい 対人的相互作用の質的な障害( 他人の気持ちが理解できない 他人への配慮ができない ) 意思伝達の質的な障害( 言語発達の障害 ) 興味の限局 同一保持の強迫的欲求( 想像力の障害 日常の変化に対応できない )