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不妊治療は女性のもの 一昔前まで そう思われていましたが最近では男性に原因があることも多いという事が知られるようになってきました 不妊は 実に4-5 割の確率で男性にも原因があるという事が分かってきています 夫婦がお互いをいたわりながら よりよい不妊治療ができるように 男性も男性不妊症についての基礎

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はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

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1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

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脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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2 注釈 1 精液検査とは? 射精した精液中の精子の数や運動性 形などを調べる検査で これらの結果を 精液所見 といい 治療方針が決められることが多い 精液検査の標準値として左図のWHOラボマニュアルに準拠している場合が多い 注釈 2 フーナーテストとは? 代表的な精子 - 子宮頸管粘液適合試験であ

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規


わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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ですが せっかく美人を落とすことができたのだからと トライしてみました ところが またも私のペニスは勃起しなかったのです 彼女は きっと 疲れていたんだよ 全然 気にしないでね と 優しく慰めてくれました 緊張からか 焦りからか それとも少しだけ口にしたアルコールのせいなのか? その時は苦し紛れの説

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勃起不全治療薬として承認前から大きな話題を呼んだバイアグラは 平成 11 年 3 月 23 日発売されました 希望処方価格は 25mg 1 錠 =1100 円 50mg 1 錠 =1300 円 勃起障害 =ED とは 標題に掲げた ED(Erectile Dysfunction: 勃起障害 ) とい

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科目名授業方法単位 / 時間数必修 選択担当教員 人体の構造と機能 Ⅱ 演習 2 単位 /60 時間必修 江連和久 北村邦男 村田栄子 科目の目標 人体の構造と機能 はヒトの体が正常ではどうできていてどう働くのかを理解することを目的とする この学問は将来 看護師として 病む ということに向き合う際の

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

2

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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Transcription:

1. 男性の性機能 勃起機能障害 / 射精障害 市立室蘭総合病院泌尿器科加藤隆一 性欲 勃起 極致感 ( オーガズム ) 射精 1.1 性欲とは? 1.2.1 勃起を促す神経伝達経路 食欲 睡眠欲と並ぶ 3 大欲求のうちの一つ 種族保存の欲求に直結する欲求 どのような性的刺激に対し反応するかは様々 視覚 聴覚 嗅覚 触覚 味覚 空想 視床下部 刺激伝導系 視床下部 内側視索前野 (MPOA) 室傍核 (PVN) 脊髄 ( 仙髄副交感神経節 陰部神経核 ) 副交感神経系 骨盤神経 陰部神経 感覚神経系 海綿体神経 = 勃起神経 1.2.2 末梢での勃起のメカニズム 勃起 = 陰茎海綿体に血液が充満する状態 血管内皮細胞 非アドレナリン 非コリン作動性神経 enos グアニル酸シクラーゼ 細胞内 Ca 2+ NO nnos GTP cgmp PDE5 5 -GMP 海綿体平滑筋弛緩 勃起 バイアグラ レビトラ シアリス 静脈系 陰茎海綿体 尿道と尿道海綿体 1

勃起 = 陰茎海綿体動脈系の流入と静脈系の閉塞 1.3.1 陰茎の解剖 収縮した平滑筋 陰茎海綿体白膜 NO 血液流入 拡張した海綿体洞 拡張した平滑筋 亀頭 尿道海綿体 陰茎海綿体 陰茎海綿体 亀頭 尿道口 冠状溝 静脈系 動脈系 拡張した動脈系 弛緩時 勃起時 尿道 尿道海綿体 1.3.2 陰茎の血管系 1.4.1 射精のメカニズム 深陰茎背静脈海綿体動脈 陰茎海綿体尿道海綿体 陰茎背神経 尿道 陰茎背動脈 主に交感神経系の興奮による 精巣上体から精子が後部尿道に移動 精子 前立腺液の後部尿道への移動 Seminal emission 内尿道口が閉鎖 圧の上昇 膀胱への逆流防止 尿道括約筋が弛緩 球海綿体筋などが精液を律動的に射出 Projectile ejaculation 精嚢も収縮 精嚢液を射出 内尿道口 1.4.2 オーガズム ( 極致感 絶頂感 ) 精液が射出されるときの快感 後部尿道の知覚神経が関与 射精に伴わないものもある Dry ejaculation 交感神経系の伝導障害 射精はみられるが オーガズムのないものもある 交感神経系の伝導障害 男性の性行動の最終段階 交感神経系の興奮 勃起の消退 性欲の障害 勃起障害 (Erectile dysfunction; ED) 射精障害 オーガズムの障害 ペロニー病 持続勃起症 男性更年期障害 ( 加齢男性性腺機能低下症候群 ; LOH 症候群 ) 2

2. 性欲の障害 3. 勃起障害 (ED)= 勃起不全 脳内アミンの不足 男性ホルモンの不足 脳内アミン低下 NO の産生低下 過去の失敗や不快感 緊張 社会的 宗教的規制 神経系疾患 パーキンソン病 統合失調症 うつ病 内分泌系疾患 下垂体疾患 精巣疾患 代謝異常 慢性消耗性疾患 甲状腺疾患 副腎疾患 薬剤 抗精神病薬 降圧剤 ( 中枢性など ) 定義 : 満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか または維持できない状態 それが三か月続くこと ED の分類 3.1 血管性 ED 器質性 I. 血管性 A) 動脈性 B) 海綿体性 ( 静脈性 ) C) 混合性 II. 神経性 III. 解剖性 IV. 内分泌性 心因性 生来性 加齢性 パートナー性 行動性 ストレス 動脈硬化 骨盤外傷 手術後の血流障害 静脈閉塞機構の障害 陰茎海綿体白膜の弾性低下 収縮した平滑筋 静脈系 弛緩時 陰茎海綿体白膜 動脈系 NO 血液流入 拡張した動脈系 拡張した海綿体洞 勃起時 拡張した平滑筋 3.2 神経性 ED 前立腺癌 神経温存手術の普及 中枢性 脳血管障害 パーキンソン病 Shy Drager syndrome ミエロパチー 脳腫瘍 頭部外傷 脊髄疾患 脊髄損傷 脊椎ヘルニア 糖尿病 ( 血管障害とともに ) 骨盤外傷 骨盤内手術 前立腺癌 膀胱癌 直腸癌 骨盤臓器への放射線 どこかに障害? 陰茎 性中枢 脊髄 性的刺激 精巣 可能な限り神経を残す 勃起神経 3

3.3 解剖性 ED 陰茎外傷 陰茎彎曲症 ペロニー病 先天奇形 尿道下裂など 硬度の問題ではない 3.4 内分泌性 ED 高プロラクチン血症 GnRH の分泌を低下 下垂体性性腺機能障害 Kallmann 症候群 他 精巣疾患 Klinefelter 症候群 他 甲状腺疾患 副腎疾患 ペロニー病 3.5 心因性 ED 現実心因 性的未熟 性的無知 過去の性行為の失敗 性器劣等感 性への罪悪感 新婚状態 初回性交 男女関係の問題 女性からの抑制 失恋 不倫 疾患懸念 妊娠恐怖 性病恐怖 家庭内経済問題 家庭内の不慮の出来事 嫁姑問題 他 深層心因 幼少時の体験 母子の不分離 性否定的養育歴 エディプス コンプレックス 異性に対する敵意 性への抑圧感情 抑圧された感情 無意識な不安や憎しみ ホモ セクシャル 近親相姦欲求 他 3.6 薬剤性 ED 抗精神薬 抗うつ薬 降圧薬 サイアザイド系利尿剤など 抗アンドロゲン剤 他 3.7 ED の疫学 3.8 加齢と ED 日本で 1000 万人以上 完全 ED: 常に性行為不能中等度 : ときどき不能 生活習慣病の増加 陰茎海綿体機能の変化 陰茎血管系の変化 末梢神経系の変化 内分泌系の変化 遊離テストステロンが減少 心理的要因 パートナーとの関係 4

3.9 ED の危険因子 ( リスクファクター ) 3.10 ED と心血管疾患 加齢 喫煙 高血圧 糖尿病 脂質異常症 肥満と運動不足 自転車は逆効果 うつ 下部尿路症状 / 前立腺肥大症 慢性腎臓病 (CKD) 睡眠時無呼吸症候群 (SAS) 神経疾患 不妊症 薬剤 多くの心血管疾患患者が ED を自覚 ED は心血管疾患の前兆 心血管疾患と ED がリスクファクターを共有 病理学的基礎 ( 内皮障害 ) も共有 ED 患者をみたら心血管疾患の存在を考える 心血管疾患の患者をみたら ED の存在を考える 3.11 下部尿路症状 / 前立腺疾患と ED 下部尿路症状と ED は相関 動脈硬化などによる血流障害や血管内皮の NO 産生障害? 膀胱 前立腺など局所の問題と直接関連? 排尿障害の治療は勃起能を改善 ED の治療は排尿症状を軽減 勃起不全治療薬 ( 後述 ) は排尿障害の治療薬にも使用 前立腺癌の治療は ED を引き起こす 手術 神経温存手術の普及 放射線 内分泌療法 3.12.1 ED における問診 質問紙の使用 国際勃起能インデックス Sexual Health Inventory for Men (SHIM) 勃起の硬さスケール (EHS) 札幌医大式 治療効果の評価にも有用 3.12.2 ED の専門的問診 3.12.3 ED の診断における血液検査 既往歴 合併症 血管性 神経性 内分泌性 ED の有無 薬剤 ED の原因薬剤 硝酸剤服用の有無 ( 後述 ) 生活歴 心因性 ED の有無 性交の相手 パートナーとの関係 マスターベーションについて 心理的背景 心理テストなど 明らかな精神的異常 精神科へ 検血 生化学 血糖値など ホルモン学的検査 ( 必要時 ) テストステロン LH FSH プロラクチン 内分泌性 ED のチェック 5

3.12.4 ED の身体診察 3.12.5 ED の特殊検査 1 エレクトメーター ( リジスキャン ) 陰茎の診察 解剖学的 ED の有無 精巣の診察 内分泌性 ED の有無 前立腺の診察 排尿障害の有無 夜間睡眠時勃起の検査 健康成人男性は夜間睡眠時勃起あり REM 睡眠時に 3-4 回 / 夜 夜間に陰茎周が何 cm 伸びるか? 夜間の陰茎の硬度を記録 ED の特殊検査 2 血管作動薬局所注射 プロスタグランディン E1(PGE1) の使用 陰茎海綿体に直接注射 勃起作用 神経性か血管性か 神経性 ED では勃起可能 ED の特殊検査 3 カラードップラー検査 血管性 ED を疑う場合 PGE1 局所注射を同時に施行 動脈性 ED の診断が可能 ED の特殊検査 4 血管造影 CT アンギオグラフィー 動脈性 ED で血行再建術を考慮する場合など 超選択的内陰部動脈造影 3.13.1 ED 治療の第一選択 :PDE5 阻害剤 Phosphodiesterase 5 阻害剤 70 80% で有効 保険適応のない医薬品 シルデナフィル ( バイアグラ ) バルデナフィル ( レビトラ ) タダラフィル ( シアリス ) 6

PDE5 阻害剤の作用点 PDE5 阻害剤の全身への影響 enos 血管内皮細胞 NO 非アドレナリン 非コリン作動性神経 nnos バイアグラ レビトラ シアリス 心血管系への悪影響なし 基本的に健康に良い 肺動脈性肺高血圧の治療にも使用 排尿障害の治療にも使用 グアニル酸シクラーゼ 細胞内 Ca 2+ GTP PDE5 cgmp 5 -GMP 海綿体平滑筋弛緩 勃起 ただし硝酸剤との併用は禁忌 PDE5 阻害剤の使用法 適切なタイミングで服用する バイアグラ レビトラは性行為の 30 60 分前 性的刺激が必要 催淫剤や性欲増進剤ではない 治療効果は 投与を繰り返すことで改善 初回失敗の救済率は 42 59% 偽造品に注意 ウェブサイトなどでの入手では約半数が偽造品 医師の処方箋が必要な薬! 3.13.2 ED の特殊治療 1 陰茎海綿体注射 PGE1 使用 80 90% で有効 病院での注射 ホテル直行法 自己注射 稀に疼痛 稀に持続勃起 診断薬としては認可されているが治療薬としてはまだ未承認 各施設で自主臨床試験などとして対応 ED の特殊治療 2 陰圧式勃起補助具 陰茎に陰圧をかけて陰茎内に血液を集める 80 90% の有効率 使い方次第では痛みなど 冷たい勃起 ED の特殊治療 3 動脈性 ED に対する血行再建術 動脈再建 下腹壁動脈ー陰茎背動脈 ( 静脈 ) 吻合など 顕微鏡的手術下腹壁動脈 長期成績 60 70% 陰茎背動脈 7

ED の特殊治療 4 陰茎プロステーシス挿入術 究極の ED 治療 インフレータブル型 ノンインフレータブル型 感染 (1 5%) や故障の懸念 現在は国内輸入なし ED の特殊治療 5 心因性 ED に対する行動療法 しなくても良いときは 勃起できる を利用 感覚集中訓練 ( と指導 ) 勃起させようとはしてはいけない ( と指導 ) 半勃起の状態で膣入り口の感覚を楽しむ ( と指導 ) 挿入禁止で 入ってしまったら抜く ( と指導 ) 3.13.3 リスクファクターと合併症への対応 喫煙者は禁煙 肥満や運動不足があれば生活指導 高血圧 糖尿病 心疾患 うつ病 睡眠時無呼吸症候群 慢性腎臓病 排尿障害 / 前立腺疾患などがあれば治療 原因薬剤の中止や変更 3.13.4 治療可能な ED の発見と治療 内分泌性 ED 男性ホルモン ( テストステロン ) 低下による ED 必要ならテストステロン補充療法 若年者の外傷後の動脈性 ED 血行再建術 ( 前述 ) 心因性 ED 患者とパートナーに適切な教育 カウンセリング PDE5 阻害剤と組み合わせる 精神神経科へ紹介 ED 治療のフローチャート 4. 射精障害とその種類 治癒可能なEDの治療 リスクファクターの排除 患者とパートナーの教育とカウンセリング 患者とパートナーの希望を聞き 治療法を決定 第 1 選択 PDE5 阻害剤 PDE5 阻害剤禁忌 第 2 選択 効果不十分 / 重篤な副作用出現海綿体注射あるいは陰圧式勃起補助具効果不十分 / 重篤な副作用出現 ( 自主臨床試験などで ) 原発性射精障害 解剖学的原因 精路閉塞など 今まで一度も射精ができない人など 手術による交感神経障害 大腸 後腹膜の手術などによる交感神経の損傷 逆行性射精 精液が膀胱へ流れる 早漏 膣内射精障害 外傷性 ( 脊髄損傷など ) 薬剤性 第 3 選択 プロステーシス挿入手術を考慮 *ED 診療ガイドラインより一部改変 8

4.1 射精障害の治療 原発性 外科的治療 : 射精管開放術など 脊損などによるもの バイブレーターなどによる刺激 電気刺激射精 逆行性射精 交感神経刺激薬 三環系抗うつ薬 4.1.1 早漏の治療 セマンズ法 パートナーが陰茎を刺激し 射精閾値に近づくと刺激を中止 射精を我慢 スクイーズテクニック 射精閾値に近づいたら パートナーが陰茎を圧迫して射精を抑制 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 麻酔作用のあるクリーム 前立腺肥大症の治療薬の応用 (α1 遮断薬 ) 欧米では大きな問題で治療薬の研究が盛ん 4.1.2 膣内射精困難の治療 射精できるが膣内で射精できない 射精障害の治療の中で最も難しい 正しいマスターベーションの指導 カウンセリング 精神科的治療 マスターベーターの使用 TENGA 5. 持続勃起症 性欲と無関係に有痛性の勃起が持続 4 6 時間以上勃起が続く状態 後遺症として ED 虚血性と非虚血性に分類 血液ガス分析で判定 虚血性は緊急事態 強い疼痛 5.1 虚血性持続勃起症 5.2 非虚血性持続勃起症 陰茎海綿体の血液還流不全 緊急事態! 原因 鎌状赤血球性貧血 白血病 多発性骨髄腫 悪性腫瘍 神経疾患 薬剤性 陰茎海綿体内注射 発症後 12 時間以上で 平滑筋変性 壊死 線維化 ED 初期治療 陰茎海綿体瀉血 生食洗浄 血管収縮薬を海綿体注射 初期治療に反応しなければシャント手術 陰茎海綿体ー尿道海綿体吻合術 陰茎海綿体ー静脈系吻合術 陰茎動脈系の損傷などによる流入過剰の状態 骨盤外傷など 動脈系ー海綿体ろう まず 経過観察 場合によっては内陰部動脈造影 動脈塞栓術 9

6. Peyronie( ペロニー ) 病 陰茎海綿体白膜に線維性硬結を作る疾患 症状 : 硬結触知 陰茎彎曲 疼痛 ( 勃起時 ) 勃起不全 ( 性交障害 ) 白人で約 1% 東洋人には稀 45 60 歳くらいに多い 原因不明 外傷? Dupuytren 拘縮? 陰茎海綿体 亀頭 線維性硬結 6.1 Peyronie 病の治療 待機療法 自然回復は少なく 進行する場合がある 疼痛の改善は見込める 薬物療法 有効な内服薬なし Ca 拮抗薬の局所注射の報告あるも保険適応なし 手術療法 縫縮法 硬結切開 + 静脈などのパッチグラフト 7. 男性更年期障害の概念 7.1 テストステロンの作用点 血中テストステロンの低下を特徴とする 加齢に伴う臨床的 生化学的症候群で 生活の質や多臓器に影響を及ぼす病態 = 加齢男性性腺機能低下症候群 (late-onset hypogonadism; LOH 症候群 ) 遊離テストステロン値 (pg/ml) * 女性の閉経後ほど顕著ではないが 加齢とともに男性ホルモンは低下する 脳神経系 骨髄 骨 筋肉 心血管系 皮膚 陰茎 前立腺 精巣 * これらの機能が低下する 7.2 LOH 症候群の臨床症状 7.3 LOH 症候群の質問紙 (AMS)Aging Male Symptom 意欲低下 認知力低下 骨密度低下 筋力低下 内臓脂肪増加 ほてり 発汗 性機能低下 抑うつ症状 うつ病の病態と似る 鑑別重要 10

7.4 LOH 症候群の治療 テストステロン値の低下があり LOH 症候群の症状があるものに 遊離テストステロン値の低下 (8.5pg/ml 未満 ) が目安 テストステロン注射剤 2~3 週に一回筋肉注射 一番汎用 経口テストステロン剤 肝機能障害多く 使いにくい テストステロン軟膏 陰嚢皮膚に 連日投与必要 局所刺激あり 若い症例には hcg( 胎盤性性腺刺激ホルモン ) 注射も考慮 11